説明

挟持具

【課題】詰替用シャンプー液パック等のパウチのように重くて表面が滑り易いパウチを確実に挟持することができ、かつ所望時に簡単に取り外せるようにした挟持具を提供する。
【解決手段】本体1には、内部に対向状態に傾斜面2が形成され、下面及び両側面に開口する差込口3が形成されている。本体の内部には、2個のローラー9a、9b及び9c、9dを軸方向に並列したローラー群10、11が対向状態で収納されている。パウチの底部を扁平に折畳んで上記差込口から差し込むと、上記ローラー群10、11のローラーは上記傾斜面に沿って内方に移動し、パウチ5を挟持する。パウチを取り外す際は、スライドスイッチ18を押して上記ローラー群の一方を押し上げると、挟持作用が消失するから、容易に取り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜面に沿ってローラーを移動させ、該ローラー間に生じる挟時作用で被挟着物を保持できるようにした挟持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本体内に設けた傾斜面に沿って転動するようローラーやボール等の転動体を設け、該転動体間に被挟着物を差し込んで該転動体間の挟持作用で被挟持物を保持するようにした挟持具が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の挟持具は紙やシート状物等のように、比較的軽い被挟着物の場合には保持することができるが、挟着した状態で被挟着物が左右に動揺するとローラーが斜めになって挟持作用が消失して該被挟着物が脱落したり、被挟着物の荷重が重い場合や表面が滑り易い材質の場合には確実に保持することができず、簡単に滑り落ちるおそれがあった。特に、詰替用のシャンプー液パック、リンス液パックや洗剤パックその他のパウチは表面が樹脂フィルムで構成され、重量もあるので、パウチの底を折り重ねて逆さに吊り下げようとしても、落下し易く、確実に保持することがむずかしかった。
【特許文献1】実開昭49−79313号公報(第1図、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の解決課題は、上記のようにローラーやボール等の転動体を使用した挟持具において、詰替用シャンプー液パック等のパウチのように重く表面が滑り易い被挟着物を確実に挟持でき、動揺しても脱落するおそれがなく、しかも取り外す際は簡単に取り出せるようにした挟持具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、差込口を有し内面に傾斜面を形成した本体と、該差込口に臨み上記傾斜面に転接可能に本体内に収納され該傾斜面に案内されて差込口の内方に移動したとき被挟着物を挟持するよう係止面を有するローラーを具備し、該ローラーは軸方向に複数並びかつ対向状態に向かい合う一対のローラー群で構成され、上記本体には該ローラー群の一方を内方に移動させるスライドスイッチが設けられていることを特徴とする挟持具が提供され、上記課題が解決される。
【0005】
また、本発明によれば、上記挟持具のローラー郡の上記係止面にはローラーの周方向に延びる突起と溝が形成され、上記ローラー群は、対向するローラー群の一方のローラー群の上記溝に他方のローラー群の突起が入り込む状態に組み合わせられている上記挟持具が提供され、上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、上記のように構成され、差込口を有し内面に傾斜面を形成した本体と、該差込口に臨み上記傾斜面に転接可能に本体内に収納され該傾斜面に案内されて差込口の内方に移動したとき被挟着物を挟持するよう係止面を有するローラーを具備し、該ローラーを軸方向に複数並びかつ対向状態に向かい合う一対のローラー群で構成したので、差込口からローラー群間に差し込んだ被挟着物を左右に動揺させても上記ローラー群を構成する複数のローラーが被挟着物を挟持したまま個々に動いて挟持作用を分散して負担するから、該挟持作用が消失することはなく、しかも上記ローラーの周面に形成した突起が対向するローラーの溝に入り込むようにローラー群を組み合わせておけば、この挟持作用は一層強固であり、詰替用シャンプー液パック等のパウチのように重くて滑り易いものでも確実に保持することができる。またばねにより差込口の入口方向に押圧されている上記ローラー群のいずれか一方を内方に移動させるようスライドスイッチを設けたので、該スライドスイッチを操作すれば上記挟持作用を消失させることができ、被挟着物の取り出しも容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜図6は、本発明の一実施例を示し、本体1は内部に対向状態に設けられた傾斜面2を有し、かつ少し巾広に図において下方に開口する入口4を有し側面がスリット状に開口する差込口3が形成され、上記傾斜面2は該差込口の下方に位置する入口4側の対向間隔が狭く内方側の対向間隔が広くなるように傾斜している。また、該差込口の入口4は下面から見て、中央部は少し広くなるように形成されており(図6参照)、パウチ等の被挟着物5を挿入し易くしてある。該本体1の上方には掛止孔9が形成され、内部の空所7を覆うよう側面の一方にはカバー8が設けられている。該空所7には上記差込口3に臨み上記傾斜面2に転接可能で、該傾斜面2に案内されて差込口の内方に移動するようローラー9が設けられ、該ローラーの外面には被挟着物5を挟持するよう係止面が形成されている。図に示す実施例では上記傾斜面2は平面状に形成してあるが、曲面状にしてもよく、また表面に凹凸線条等の回転阻止部材を形成して被挟着物が脱落する方向へのローラーの回転を制限するようにしてもよい。
【0008】
上記ローラーは、図7(A)に示すように軸方向に複数、図に示す実施例では2個の独立したローラー9a、9b 及び9c、9dが並んだ一対のローラー群10、11で構成され、かつこのローラー群10、11は対向状態に向かいあっている。そして、このローラー9の係止面には周方向に延びる突起12と溝13が形成され、図に示す実施例では該突起12には略山形状の凹凸が形成されているが、断面がラッチェットホイールように一方に傾斜する傾斜山形状の突条を設けたり、ピン状の係止部材を上記突起に形成してもよい。このようにしてローラーを並列したローラー群10、11は、図7(B)に示すように対向状態に向かい合わせたとき、上記溝13に突起12が入り込むような状態に組み合わせて上記空所に収納される。
【0009】
上記ローラー9は、真ちゅうで構成してあるが、ステンレス材料その他適宜の金属材料で形成したりセラミックス、硬質プラスチック材料等で構成することもでき、また表面を軟質プラスチック材料等の滑り止め作用のある材料でコートしたり、多色成形やインサート成形の要領により一体的な滑り止め作用のある表面層を形成してもよい。
【0010】
上記本体1内には、上記ローラー群10、11を差込口3の入口4方向に押圧するばね14が設けられている。該ばねとしては、適宜のばねと使用することができるが、図3に示す実施例では、ばね材料を巻回し該巻回部15の両端に脚片16をハ字状に突出させたコイルばねを用いている。そして、上記ローラー群10,11を構成する複数のローラー9a、9b及び9c、9dの上面に沿って該ローラーに接する長さを有する断面略U字状の受片17を形成し、該受片17を介して上記各ローラーを押圧している。上記ばねを用いることにより、本体をどのような態様に位置させても使用することができるが、該本体を垂直状態で使用するならば、該ばねを省略することもできる。図において、上記ばね14は、上記カバー8の内面に形成したスプリング押え27で上記巻回部15を押えることにより定位置に保持されている。
【0011】
上記本体1には上記ローラー群10、11のいずれか一方を内方に移動させるためのスライドスイッチ18が設けられている。該スライドスイッチは適宜の構造に形成することができるが、図に示す実施例においては、断面略U字状に形成され、両側の側板19、20が本体下部に設けた開口部21の内面に沿って上下動可能するように上記本体1に組み込まれている。該内方の側板19の上部には、上面が傾斜する押上板22が形成され、該押上板22がローラー群10の下面に対向している。外方の側板20は上記本体1の正面に形成した弧状の凹み部23から一部が露出し、操作し易くしてある。
【0012】
而して、上記挟持具を使用するには、浴室、洗面所等の壁、紙挟み等のボードその他の適宜の場所に本体を取り付けて使用すればよい。例えば、図1に示すように壁面に設けたフック部材24に掛止孔6を引っ掛けたり、浴室で使用する場合は、例えば図4に示すように壁に吸盤25を固定し、該吸盤25のフック26に上記本体1の掛止孔6を引っ掛け、詰替用シャンプー液パック等のパウチ5を逆さにして扁平に折りたたんだ該パウチの底部を上記差込口3の入口4から差し込めば、ローラー群間10、11の係止面で該パウチを確実に保持でき、パウチの注出口(図示略)を下に向けて垂下することができる。そして、必要量のシャンプー液を取り出して使用する際、該パウチが大きく動揺しても、上記のように複数のローラー9a、9b及び9c、9dで構成したローラー群10、11は挟持作用が個々のローラーに分散されているから、挟持作用が全体として消失することがなく、上記パウチが落下するおそれはない。また、この挟持作用は係止面に形成した突起12と溝13により、一層確実である。
【0013】
上記のように使用した結果、中身が空になったら、上記スライドスイッチ18を押し込むと、該スライドスイッチの押上板22によって、一方のローラー群10が内方に移動され、上記挟持作用は消出し、空になった上記パウチを取り出すことができる。
【0014】
使用態様として、上記実施例ではシャンプー液パック等のパウチを逆さに吊るす場合の挟持具につき説明したが、本発明の挟持具はその他各種のものを挟持することができることは、明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図。
【図2】断面図。
【図3】ローラー群に沿った方向の断面図。
【図4】側面図。
【図5】正面図。
【図6】底面図。
【図7】ローラー群を示し(A)は分解状態、(B)は組み合わせた状態の各説明図。
【図8】スライドスイッチの斜視図
【符号の説明】
【0016】
1 本体
2 傾斜面
3 差込口
10、11ローラー群
14 ばね
17 受片
18 スライドスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
差込口を有し内面に傾斜面を形成した本体と、該差込口に臨み上記傾斜面に転接可能に本体内に収納され該傾斜面に案内されて差込口の内方に移動したとき被挟着物を挟持するよう係止面を有するローラーを具備し、該ローラーは軸方向に複数並びかつ対向状態に向かい合う一対のローラー群で構成され、上記本体には該ローラー群の一方を内方に移動させるスライドスイッチが設けられていることを特徴とする挟持具。
【請求項2】
上記係止面にはローラーの周方向に延びる突起と溝が形成され、上記ローラー群は、対向するローラー群の一方のローラー群の上記溝に他方のローラー群の突起が入り込む状態に組み合わせられている請求項1に記載の挟持具。
【請求項3】
上記本体には上記ローラー群を差込口の入口方向に押圧するばねが設けられている請求項1に記載の挟持具。
【請求項4】
上記ばねとローラー群の間には軸方向に並んだ複数の上記ローラーに接するよう受片が設けられ、該受片を介して上記ローラー群を押圧している請求項3に記載の挟持具。
【請求項5】
上記スライドスイッチは断面U字状に形成され、本体下部に形成した開口部から上下動可能に突出している請求項1に記載の挟持具。
【請求項6】
上記本体は上方に掛止孔を有する請求項1から5のいずれかに記載の挟持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−68529(P2009−68529A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234838(P2007−234838)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(592037804)株式会社三輝 (8)
【Fターム(参考)】