説明

振分装置

【課題】 搬送物品重量の良否を判定して、不良品を排出する振分装置において、より安全性の高い振分処理が可能で、しかも判定処理の制御をシンプルな振分装置の提供を目的とする。
【解決手段】 重量判定信号のうち良品に対応する良品判定信号を、当該良品が第二搬送コンベアの良品振分側を通過するタイミングで遅延出力させる良品タイミング出力手段と、前記良品振分側の良品の通過を許可する通過可否判定手段と、を備えてなり、前記通過可否判定手段は、前記良品タイミング出力手段による良品判定信号のみに基づき、良品通過の許可を開始し、かつ、物品長に基づく時間を経過した時点で前記許可を終了し、前記許可の開始から終了まで以外では、すべての物品の通過を許可しないことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物品重量の良否を判定して、不良品を排出する振分装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送物品重量の良否(所定重量範囲内に収まるか否か)を判定し、所定重量範囲外と判定された物品を不良品として排出する振分装置が提案されている。この振分装置は、物品を搬送しながら重量計量する第一搬送コンベアと、第一搬送コンベアからの重量計量信号に基づき、物品重量の良否を判定する重量判定手段と、第一搬送コンベアから搬送されてくる物品を搬送する第二搬送コンベアと、第二搬送コンベアの搬送路途中に設けられる所定振分位置で、重量判定手段の重量判定信号に基づき、不良品を排出する一方、良品をそのまま下流端へ通過させる振分手段を備える。
【0003】
振分手段としては、第二搬送コンベアの傍らにエアノズルを設置しておき、そこへ不良品が到達するタイミングでエアノズルにエア供給することにより、当該不良品をコンベア上から吹き飛ばして排出する一方、良品が到達するタイミングではエア供給することなく当該良品を通過させるもの等が採用されるが、搬送物品の形状や姿勢しだいでは不良品をうまく吹き飛ばすことができずに下流端側へ搬送されてしまうおそれがある。
【0004】
そのため、上記従来の振分装置には、第二搬送コンベアの下流端を通過する物品を検知する物品検知センサと、物品が第二搬送コンベアの下流端に到達するタイミングで重量判定信号を出力するタイミング出力手段と、を備えており、良品に対応する重量判定信号の出力時に物品が検知されたときは、振分処理が適正に行われたと判定する一方、不良品に対応する重量判定信号の出力時に物品が検知されたときには、振分処理にミスがあったと判定して振分ミス信号を出力し、警告手段による警告を行っている。また、良品に対応する重量判定信号の出力時に物品が検知されない場合も、物品の詰まりなどが生じたものと判定し、振分ミス信号を出力する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平2−92482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の振分装置では、すべての物品について適正に振分されたか否か、例えば良品が良品振分側に振り分けられたか否かまで判定し、そのために物品検知信号と重量判定信号を組み合わせて、その都度、振分ミス信号を生成するので、無駄が多く、高速処理の妨げにもなっていた。
【0006】
また、上記従来の振分装置では、タイミング出力手段によって出力される重量判定信号は、後続物品の重量判定信号が新たに出力されるまで、その信号レベルが保持される。したがって、例えば第二搬送コンベアの中途部において、別の物品(不良品)が不正混入され、当該物品が物品検知センサで検知されている場合でも、良品の通過直後であれば、良品に対応する信号レベルが保持されているため、それらの組合せによって、振分処理は適正に行われたと誤判定されることがあった。
【0007】
さらに、上記従来の振分装置では、搬送物品が途中で引っ掛かる等して、搬送方向で多少位置ズレしても、当該重量判定信号の信号レベルが保持されている範囲内であれば、異常として検出されることは無い。したがって、下流側に設置される処理装置が、物品の搬送間隔の適正を要求する場合には、搬送間隔の監視装置を別途設ける必要があった。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑み、搬送物品重量の良否を判定して、不良品を排出する振分装置において、判定処理の制御をシンプルにしながら、安全性の高い振分処理を可能とし、物品の不正混入や搬送間隔のズレ等についても監視可能な振分装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1記載の振分装置は、物品を搬送しながら重量計量する第一搬送コンベアと、該第一搬送コンベアからの重量計量信号に基づき、物品重量の良否を判定する重量判定手段と、前記第一搬送コンベアから搬送されてくる物品を搬送する第二搬送コンベアと、該第二搬送コンベアの搬送路において、その途中に設けられる所定振分位置で、前記重量判定手段からの重量判定信号に基づき、良品と、不良品と、を振り分ける振分手段と、前記重量判定信号のうち良品に対応する良品判定信号を、当該良品が前記第二搬送コンベアの良品振分側を通過するタイミングで遅延出力させる良品タイミング出力手段と、前記良品振分側の良品の通過を許可する通過可否判定手段と、を備えてなり、前記通過可否判定手段は、前記良品タイミング出力手段による良品判定信号のみに基づき、良品通過の許可を開始し、かつ、物品長に基づく時間を経過した時点で前記許可を終了し、前記許可の開始から終了まで以外では、すべての物品の通過を許可しないことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2記載の振分装置は、請求項1に記載の振分装置において、前記第二搬送コンベアの良品振分側を通過する物品を検知する物品検知センサを備え、良品が本来と異なるタイミングで通過する場合には、下流工程への物品流出を防止することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3記載の振分装置は、請求項1又は2に記載の振分装置において、前記物品検知センサは、投光器と受光器を備えてなる光電センサであり、前記投光器は、前記第二搬送コンベアの上流側に設けられ、前記第二搬送コンベアの搬送物品より上方において、前記第二搬送コンベアの下流側に設けられる反射板へ向かうように投光し、前記受光器は、前記第二搬送コンベアの下流側に設けられ、前記第二搬送コンベアの搬送面より下方において、前記反射板から下方へ向けられる反射光を受光することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項4記載の振分装置は、請求項3に記載の振分装置において、前記投光器による投光は、前記第二搬送コンベアの上方を斜め方向に横断するように設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1又は2記載の振分装置によれば、以下の優れた効果を奏する。良品の通過タイミングには、通過可否判定手段による判定を停止して、物品通過を許可するが、それ以外のタイミングには、すべての物品通過を不許可とするので、制御をシンプルにしながら安全性の高い振分処理を実現することができる。特に、通過可否判定手段による判定の停止を、当該良品判定信号の出力開始から搬送方向の物品長に基づく時間を経過した時点で終了することにより、良品が本来のタイミングでのみ通過するように制限したので、従来は検出できなかった良品の搬送直後における物品の不正混入や物品の搬送方向における位置ズレを確実に検出することができる。
【0014】
本発明の請求項3記載の振分装置によれば、請求項1又は2記載の振分装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。物品検知センサは、第二搬送コンベアの上方において、上流側の投光器と下流側の反射板の間を横切るものがある場合(例えば、第二搬送コンベア上への手入れによる物品の不正混入や不正抜取が行われる場合)についても検出できるので、より信頼性の高い振分処理を担保することができる。
【0015】
本発明の請求項4記載の振分装置によれば、請求項3記載の振分装置が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。物品検知センサによる検知領域が、第二搬送コンベアの搬送方向のみならず、コンベア幅方向についても広げられることになるため、物品の不正混入等に対する検出能力を一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る振分装置1の構成を示すブロック図であり、図2は、振分装置1の作動を表すタイミングチャートである。図3は、(a)振分装置1に備えられる物品検知センサの構成例と、(b)その変形例を示す図である。
【0017】
振分装置1は、上流工程の搬入コンベアINから受け入れた物品Gを、第一搬送コンベア2で重量計量して物品重量の良否を判定し、第二搬送コンベア3に設けられる所定振分位置3aで、振分手段31によって良品と不良品に振り分け、良品のみを搬出口3bから下流工程の搬出コンベアEXへ受け渡す。
【0018】
第一搬送コンベア2は、物品Gを搬送しながら計量部21で重量計量し、その重量計量信号を重量判定手段22へ出力する。第一搬送コンベア2の搬入口2aには、第一搬送コンベア2への物品搬入を検知する搬入検知センサ23が設けられ、所定間隔をおいて搬送されてくる物品Gが搬入口2aを通過するたびに搬入検知信号を出力する(図2(a))。計量部21と重量判定手段22の間にはスイッチ24が設けられており、このスイッチ24が、搬入検知センサ23による搬入検知から所定時間経過後(重量計量信号が安定するタイミング)に、サンプリング手段25で閉じられることにより、重量計量信号を重量判定手段22へ導入する。
【0019】
重量判定手段22は、重量計量信号に基づき、搬入された各物品の重量が許容重量範囲内に収まるか否かの良否判定を行い、結果に応じて「良」又は「不良」の重量判定信号を出力する(図2(b))。この重量判定信号は、データ先入れ先出し方式の第一判定信号メモリ26に順次記憶され、所定時間T1経過後(各重量判定信号に対応する物品Gが所定振分位置3aに到達するタイミング)に出力される(図2(c))。
【0020】
第一判定信号メモリ26から重量判定信号を出力するタイミングを規定するタイマとして、振分タイミング出力手段27が設けられている。振分タイミング出力手段27は、搬入検知センサ23からの搬入検知信号を、所定時間T1だけ遅延させたタイミング信号として、第一判定信号メモリ26に出力する。なお、第一判定信号メモリ26から出力される重量判定信号は、後述する振分手段31、第二判定信号メモリ28及び良品タイミング出力手段29へ出力される。なお、所定時間T1は、搬入口2aから所定振分位置3aまでの距離D1をコンベアスピードSで除算することにより得られる。
【0021】
第二搬送コンベア3は、第一搬送コンベア2から搬送されてくる物品Gを搬送して、その搬送路途中に設けられる所定振分位置3aで、第一判定信号メモリ26から出力される重量判定信号に基づき、振分手段31によって良品と不良品に振り分ける。振分手段31は、第二搬送コンベア3の側方に配置され、所定振分位置3aを通過する物品Gをコンベア外へ吹き飛ばすことができるエアノズル31aを備えており、許容重量範囲外(不良品)と判定された物品を、ノズル31aへのエア供給によりコンベア外へ排出する一方、許容重量範囲内(良品)と判定された物品については、ノズル31aへのエア供給をすることなく、そのまま下流側に設けられた搬出口3bへ通過させる(図2(d))。
【0022】
第二判定信号メモリ28は、第一判定信号メモリ26と同様にデータを書込順に読み出しするメモリであるが、第一判定信号メモリ26からの重量判定信号のうち良品に対応する良品判定信号のみを順次記憶して出力する点で、第一判定信号メモリ26と異なる。良品タイミング出力手段29は、振分タイミング出力手段27から遅延出力されたタイミング信号を、さらに所定時間T2遅延させて、第二判定信号メモリ28に出力するタイマであって、第一判定信号メモリ26からの良品判定信号に基づき、当該良品が良品振分側の搬出口3bに到達するタイミングに信号出力する。これにより、第二判定信号メモリ28に記憶されている良品判定信号が、それに対応する良品が搬出口3bに到達するタイミングで通過可否判定手段33に出力される(図2(e))。なお、所定時間T2は、所定振分位置3aから搬出口3bまでの距離D2をコンベアスピードSで除算して得られる。
【0023】
第二搬送コンベア3には、搬出口3bにおける物品通過を検知する物品検知センサ32が設けられており、物品通過のたびに物品検知信号を出力する(図2(f))。物品検知センサ32は、図1及び図3(a)に示される、投光器32a、受光器32b及び反射板32cを備えてなる光電センサである。投光器32aは、第二搬送コンベア3の所定振分位置3a(上流側)で、かつ、第二搬送コンベア3より上方に設けられ、反射板32cは、第二搬送コンベア3の搬出口3b(下流側)で、かつ、第二搬送コンベア3より上方に設けられる。投光器32aから投光される光線は、物品Gの搬送経路の真上で、かつ、搬送される物品Gの上面よりも僅かに上方となる高さ位置を通過して、反射板32cに向かうように設定されており、搬送経路への物品の混入や搬送経路からの物品の抜取をした場合には、その物品や手によって必ず遮られるようになっている。反射板32cは、投光器32aからの光線を下方に向けて反射する。
【0024】
受光器32bは、第二搬送コンベア3の搬出口3bに設けられ、第二搬送コンベア3の搬送面よりも下方で、反射板32cによって下方へ向けられる反射光を受光する。上記のとおりであるから、物品検知センサ32は、搬出口3bに設けられた受光器32bと反射板3cの間における光線の遮断によって、搬出口3bにおける物品通過を検知するほか、上述した投光器32aと反射板32cの間における光線の遮断によって、第二搬送コンベア3の物品搬送経路に対する手入れ、物品の混入・抜取等についても検知する。
【0025】
通過可否判定手段33は、良品振分側への物品通過を常に許可しない判定をするが、良品タイミング出力手段29による良品判定信号の出力タイミングには判定が停止され、良品判定信号の出力タイミング以外のタイミングにのみ上記判定を行う(図2(e´))。すなわち、通過可否判定手段33は、良品が搬出口3bを通過するタイミング(良品通過タイミング)には判定を停止して、すべての物品通過を許可し、上記以外の良品通過が予定されていないタイミングには判定を行い、すべての物品通過を許可しないこととしている。
【0026】
通過可否判定手段33は、良品通過タイミング以外のタイミングで判定を行うため、例えば図2(f)において※1で示されるように、そのようなタイミングで物品検知センサ32による物品検知がなされた場合に、警告手段34への信号出力を行う。警告手段34は、当該信号に基づき、オペレータに対する警告をモニターへの画面表示や警告音として発する(図2(g))とともに、振分装置1による物品搬送を停止して、下流工程への不良品流出等を防止する。
【0027】
ところで、各物品Gは、図2(f)に示されるように、搬出口3b(物品検知センサ32)を非常に短い時間T3(=L/S〔L:物品Gの搬送方向における全長,S:コンベアスピード〕)で通過する。これに対して、重量判定手段22から出力される重量判定信号は、図2(b)に示されるように、「良」又は「不良」の信号レベルは、所定間隔をおいて搬送されてくる後続物品の重量判定信号の出力が開始されるまで保持される。例えば物品Gの重量判定信号は、その出力開始から後続物品Gの重量判定信号の出力開始までの時間T4に亘って信号レベルが保持され、その保持時間は上記時間T3に比べて相当長い。
【0028】
ここで、第二信号判定メモリ28から出力される物品Gの良品判定信号として、図2(e)において点線で示されるように、重量判定手段22からの重量判定信号(出力時間T4)をそのまま出力した場合、物品Gが搬出口3bを通過して検知された後も、通過可否判定手段33による判定の停止が継続され、その判定停止中は、不正混入物品(図2(f)において※2で示す。)の通過が許可される。本実施形態では、かかる事態を防止するため、良品タイミング出力手段29による良品判定信号について、図2(e)に示されるように、重量判定手段22からの重量判定信号の出力時間(例えばT4)に関係なく、所定時間T5を経過した時点で出力終了するように、出力時間を制限している。
【0029】
この所定時間T5には、物品が搬出口3bを通過するための所要時間として、上記物品通過時間T3に安全係数R(>1)を乗算して得られる時間が設定されており、物品の搬送間隔等に準じて決まる重量判定信号の出力時間に比べて大幅に短縮されている。すなわち、通過可否判定手段33による判定が、良品通過後、直ちに再開されることになるため、上記※2で示されるような不正混入物品も通過可否判定の対象となる。安全係数Rは、物品Gの搬送姿勢が傾いて物品検知センサ32による検知物品長が大きくなって通過不許可となる不都合を防止するための係数であるが、「2」より小さい値(例えば1.1〜1.2)に設定されているため、先行する良品と非常に接近した位置に不正混入物品(図2(f)において※3で示す。)があった場合でも、必ず通過可否判定の対象となる。
【0030】
(上記実施形態に係る振分装置の作動)
上記実施形態に係る振分装置1に物品G〜G(G:良品、G:不良品)が順次搬入された場合の作動を以下に説明する。
【0031】
まず、物品G〜Gが上流工程から第一搬送コンベア2へ搬入される際には、搬入検知センサ23によって、図2(a)に示されるように、各物品G〜Gに対応する搬入検知信号が順次出力される。また、計量部21からの重量計量信号に基づき、重量判定手段22から、図2(b)に示されるように、各物品G〜Gの重量の「良」「不良」に応じた重量判定信号が順次出力され、第一判定信号メモリ26に記憶される。
【0032】
第一判定信号メモリ26に記憶された各物品G〜Gの重量判定信号は、振分タイミング出力手段27からのタイミング信号によって、図2(c)に示されるように、所定時間T1だけ遅延して出力され、第二判定信号メモリ28、良品タイミング出力手段29及び振分手段31に出力される。振分手段31は、第一判定信号メモリ26からの重量判定信号に応じて、不良品G,Gが所定振分位置3aへ到達するタイミングで、図2(d)に示されるようにエア供給して、不良品G,Gをコンベア外へ排出する。
【0033】
第二判定信号メモリ28は、第一判定信号メモリ26から出力される重量判定信号のうち良品G,Gに対応する良品判定信号のみを記憶し、良品タイミング出力手段29からのタイミング信号に応じて出力する。この良品判定信号の出力は、図2(e)に示されるように、所定時間T2だけ遅延させられ、良品G,Gが搬出口3bに到達するタイミングに合わせて開始され、かつ、所要時間T5を経過した時点で終了される。この間、物品検知センサ32は、搬出口3bを通過する物品を検知し、図2(f)に示されるように、物品検知信号を出力する。
【0034】
通過可否判定手段33は、良品G,Gが搬出口3bに到達するタイミングから、所定時間T5を経過するまで判定を停止するため、良品G,Gは、通過を許可される。当然ながら、この所定時間T5内に物品検知信号が物品検知センサ32から出力されても警告はされない。一方、上記タイミング以外のタイミングには、常に物品通過を不許可とする判定がなされ、図2(f)に※1で示されるように物品検知信号が出力されると、図2(g)に示されるように警告手段34による警告がなされ、さらに振分装置1による物品搬送が停止される。
【0035】
ところで、通過可否判定手段33は、良品通過タイミング以外のタイミングにおいて、物品通過を許可しない判定のみを行うものであるため、良品G,Gが搬送方向に位置ズレしたり、搬送途中で不正に抜き取られたりしても、良品通過タイミングにおいて、物品通過(物品検知信号の出力)がないこと自体に対する警告や搬送停止は行われない。ただし、搬送方向に位置ズレした場合には、物品が良品判定信号の出力タイミング以外のタイミング、すなわち通過可否判定手段33による判定が行われるタイミングで、搬出口3bを通過することになるため、その時点で警告信号の出力等が行われる。
【0036】
また、物品が搬送途中で不正に抜き取られた場合には、物品の真上を通過する投光が不正者の手で遮られるため、その時点で警告や搬送停止が行われる。結果として、物品の位置ズレ、不正な手入れ(抜き取り)についても確実に検知して、警告等が行われる。なお、先行搬送される良品の良品判定信号による判定停止タイミングに、物品抜き取りが行われる場合が考えられるが、極めて短い判定停止時間T5内に不正抜き取りを遂行することは難しく、警告信号出力及び装置停止を免れることはできないと考えられる。
【0037】
(上記実施形態に係る振分装置1の特徴)
第一に、振分装置1は、物品Gを搬送しながら重量計量する第一搬送コンベア2と、第一搬送コンベア2からの重量計量信号に基づき、物品重量の良否を判定する重量判定手段22と、第一搬送コンベア2から搬送されてくる物品Gを搬送する第二搬送コンベア3と、第二搬送コンベア3の搬送路途中に設けられる所定振分位置3aで、重量判定信号に基づき、良品と不良品を振り分ける振分手段31と、良品判定信号をそれに対応する良品が第二搬送コンベア3の良品振分側(搬出口3b)を通過するタイミングで出力させる良品タイミング出力手段29と、良品振分側を通過する物品を検知する物品検知センサ32と、良品振分側の物品の通過可否を判定する通過可否判定手段33と、を備えてなり、通過可否判定手段33による判定の停止を、良品タイミング出力手段29による良品判定信号の出力開始から、搬送方向の物品長に基づく時間T5を経過した時点で終了することにより、良品が本来のタイミングでのみ通過するように制限し、それ以外のタイミングでは、すべての物品の通過を許可しないことを特徴とする。
【0038】
上記のとおり、振分装置1は、通過可否判定手段33が、良品判定信号の出力タイミングでは判定を停止して、物品通過を許可し、上記以外のタイミングでは判定を行い、例えば不良品や不正混入物品が良品側に搬送されてきた場合や、良品が本来と異なるタイミングで搬送されてきた場合には通過を許可しない。したがって、制御をシンプルにしながら、安全性の高い振分が実現することができる。特に、良品判定信号の出力は、当該良品判定信号に対応する物品とそれに後続する物品の搬送間隔に関係なく、その出力開始から搬送方向の物品長に基づく時間T5を経過した時点で終了するように出力時間が制限されているので、従来は検出できなかったような物品の不正混入や搬送間隔のズレ等についても確実に検出することができる。
【0039】
第二に、振分装置1は、第二搬送コンベア3の良品振分側を通過する物品を検知する物品検知センサ32を備え、良品が本来と異なるタイミングで通過する場合には、振分装置1による物品搬送を停止して、下流工程への物品流出を防止することを特徴とする。
【0040】
第三に、振分装置1は、物品検知センサ32が、投光器32a、受光器32b及び反射板32cを備えてなる光電センサであり、投光器32aは、第二搬送コンベア3の上流側に設けられ、第二搬送コンベア3の搬送物品より上方において、第二搬送コンベア3の下流側に設けられる反射板32cへ向かうように投光し、受光器32bは、第二搬送コンベア3の下流側に設けられ、第二搬送コンベア3の搬送面より下方において、反射板32cから下方へ向けられる反射光を受光するという特徴を有する。
【0041】
上記のとおりであるから、例えば物品搬送経路への手入れによる物品の不正混入や不正抜取についても、搬出口3bにおける物品通過と同様に、物品検知センサ32による信号出力が行われるので、より信頼性の高い振分が実現されるものである。
【0042】
上記実施形態では、物品検知センサ32による搬送物品の通過検知を搬出口3bで行うようにしたが、良品振分側であれば、搬送路の途中に設けるようにしても良い。また、上記実施形態では、不良品をコンベア外に排出し、良品をそのままコンベア上を搬送することとしたが、良品をさらに複数コンベアに分けて搬送するようにしても良い。また、上記実施形態では、良品タイミング出力手段29は、第二判定信号メモリ28からの信号出力タイミングを規定するタイマとして、通過可否判定手段33の作動を制御していたが、良品タイミング出力手段で通過可否判定手段33の作動を直接制御することとしても良い。
【0043】
上記実施形態では、投光器32aから投光される光線を物品Gの搬送方向と同方向としたが、最終的に搬出口3bの反射板32cに向かうようにしていれば、第二搬送コンベア3上を斜め方向に横断するようにしても良い。例えば、投光器32aと反射板32cの設置位置を第二搬送コンベア3の幅方向でずらすようにすることで、手入れによる物品の不正混入や不正抜取をコンベアの搬送方向のみならず、幅方向についても広げられ、物品の不正混入等に対する検知能力を高めることができる。さらに、図3(b)に示されるように、第二搬送コンベア3の側方に一又は二以上の中間反射板を追加することにより、光線をコンベア幅方向で往復させて、より広い範囲で物品の不正混入等に対する検知能力を一層高めるようにしても良い。
【0044】
その他、本発明の振分装置は、上記実施形態の構成・構造に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態に係る振分装置の構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態に係る振分装置の作動を表したタイミングチャート。
【図3】(a)振分装置に備えられる物品検知センサの構成、及び(b)その変形例を示す図。
【符号の説明】
【0046】
1 振分装置
2 第一搬送コンベア
2a 搬入口
3 第二搬送コンベア
3a 所定振分位置
3b 搬出口
21 計量部
22 重量判定手段
23 搬入検知センサ
24 スイッチ
25 サンプリング手段
26 第一判定信号メモリ
27 振分タイミング出力手段
28 第二判定信号メモリ
29 良品タイミング出力手段
31 振分手段
31a エアノズル
32a 投光器(物品検知センサ)
32b 受光器(物品検知センサ)
32a 反射板(物品検知センサ)
33 通過可否判定手段
34 警告手段
IN 搬入コンベア
EX 搬出コンベア
G 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送しながら重量計量する第一搬送コンベアと、
該第一搬送コンベアからの重量計量信号に基づき、物品重量の良否を判定する重量判定手段と、
前記第一搬送コンベアから搬送されてくる物品を搬送する第二搬送コンベアと、
該第二搬送コンベアの搬送路において、その途中に設けられる所定振分位置で、前記重量判定手段からの重量判定信号に基づき、良品と、不良品と、を振り分ける振分手段と、
前記重量判定信号のうち良品に対応する良品判定信号を、当該良品が前記第二搬送コンベアの良品振分側を通過するタイミングで遅延出力させる良品タイミング出力手段と、
前記良品振分側の良品の通過を許可する通過可否判定手段と、を備えてなり、
前記通過可否判定手段は、前記良品タイミング出力手段による良品判定信号のみに基づき、良品通過の許可を開始し、かつ、物品長に基づく時間を経過した時点で前記許可を終了し、前記許可の開始から終了まで以外では、すべての物品の通過を許可しないことを特徴とする振分装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振分装置において、
前記第二搬送コンベアの良品振分側を通過する物品を検知する物品検知センサを備え、
良品が本来と異なるタイミングで通過する場合には、下流工程への物品流出を防止することを特徴とする振分装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の振分装置において、
前記物品検知センサは、投光器と受光器を備えてなる光電センサであり、
前記投光器は、前記第二搬送コンベアの上流側に設けられ、前記第二搬送コンベアの搬送物品より上方において、前記第二搬送コンベアの下流側に設けられる反射板へ向かうように投光し、
前記受光器は、前記第二搬送コンベアの下流側に設けられ、前記第二搬送コンベアの搬送面より下方において、前記反射板から下方へ向けられる反射光を受光することを特徴とする振分装置。
【請求項4】
請求項3に記載の振分装置において、
前記投光器による投光は、前記第二搬送コンベアの上方を斜め方向に横断するように設定されていることを特徴とする振分装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−302361(P2008−302361A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213687(P2008−213687)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【分割の表示】特願2007−246888(P2007−246888)の分割
【原出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】