説明

振動及び温度測定器

【課題】 測定中にプローブが傾き始めたことが判るようにしてプローブの傾きを修正でき、振動と温度を正確に測定できる振動及び温度測定器を提供する。
【解決手段】 振動センサ6と温度センサ4がプローブ1に内蔵され、振動センサ6の被測定対象物へ押し当てられる振動検出針7の一端がプローブ1から突出せしめられ、温度センサ4の被測定対象物へ押し当てられる熱電対5の一端がプローブ1から突出せしめられ、振動センサ6の振動検出針7の一端と温度センサ4の熱電対5の一端を被測定対象物に押し当てることにより被測定対象物の振動と温度を測定するものにおいて、プローブ1に水準器30を外部から視認可能に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンプレッサーやタービンやポンプ、あるいは、ベアリングや歯車等の各種回転機械、及び、内部を流体が通過する弁やスチームトラップ等の作動に伴う振動及び温度を検出して、作動の良否を確認するときに用いる振動及び温度測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
工場やプラントにおける生産現場においては各種の回転機械や弁が数多く取り付けられており、これらの機械や弁は、最少の消費エネルギーで最大の生産量を得ると共に最高の生産品質を維持するために、絶えず又は定期的にその作動状況がチェックされている。従来の振動及び温度測定器としては、例えば、特開平7−5027号公報に示されたものがある。これは、振動センサと温度センサがプローブに内蔵され、振動センサと温度センサの被測定対象物へ押し当てられる一端がそれぞれプローブから突出せしめられ、振動センサと温度センサのそれぞれの一端を被測定対象物に押し当てることにより被測定対象物の振動と温度を測定するものである。
【0003】
上記従来のものは、測定中にプローブが傾くと振動センサと温度センサの被測定対象物への押し当て角度が変化するために振動と温度を正確に測定できなくなる。そのため、測定中にプローブが傾かないように保持しなければならないが、プローブが傾き始めたか否かが判らないために振動と温度を正確に測定できたか否かが判らない問題点があった。
【特許文献1】特開平7−5027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、測定中にプローブが傾き始めたことが判るようにしてプローブの傾きを修正でき、振動と温度を正確に測定できる振動及び温度測定器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、振動センサと温度センサがプローブに内蔵され、振動センサと温度センサの被測定対象物へ押し当てられる一端がそれぞれプローブから突出せしめられ、振動センサと温度センサのそれぞれの一端を被測定対象物に押し当てることにより被測定対象物の振動と温度を測定するものにおいて、プローブに水準器を外部から視認可能に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、プローブに水準器を外部から視認可能に設けることにより、測定中にプローブが傾き始めたことを水準器が視認可能に表示するので、傾きを修正することにより、振動と温度を正確に測定できるという優れた効果を生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の振動及び温度測定器は、プローブに水準器を外部から視認可能に設けたものである。そのため、測定中にプローブが傾き始めると傾き始めたことを水準器が視認可能に表示する。そのため、傾きを修正することにより、振動と温度を正確に測定できる。
【実施例1】
【0008】
上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する(図1乃至図3参照)。図1に本発明の振動及び温度測定器の正面図(イ)と底面図(ロ)を示す。プローブ1の上端からビス2a,2bによって固定された保護管3が突出し、保護管3の上端から温度センサ4の熱電対5の上端が僅かに突出し、熱電対5の中心から振動センサ6の振動検出針7の先端が僅かに突出している。プローブ1のほぼ中央部には振動及び温度の測定値を表示する表示部8が設けられている。表示部8は測定値をデジタル8a及びバーグラフ8bで表示する。表示部8の下に電源及び所望の測定結果をシフトして表示させるためのキー9が設けられている。プローブ1の側面にはイヤホン10が連結される。プローブ1の下端部には水準器30が外部から視認可能に設けられている。
【0009】
図2に上記プローブ1の上部のみの断面を示す。振動検出針7の下部には小径の雄ねじが形成され、雌ねじが形成された振動伝達板11がねじ結合されて、大径部下面に振動伝達板11の上面が当接している。また振動伝達板11の下側には電極板12と圧電素子13と電極板14とウエイト15とが順次挿入され、ナット16で夫々接触せしめられて振動検出針7に固定されている。振動検出針7と振動伝達板11はステンレス鋼で形成され、ウエイト15はジルコニアセラミックで形成される。振動検出針7と振動伝達板11と電極板12と圧電素子13と電極板14とウエイト15とから振動センサ6のユニットが形成される。そして振動伝達板11の上面とウエイト15の下面がプローブ1に固定されたスイッチ金具17に挟まれている。スイッチ金具17は上壁と、上壁から下方に延びた両側の2つの側壁と、上壁の向う側の端から下方へ更に手前側へ延びた二股のばね部とから形成され、側壁によってプローブ1に固定される。またばね部によって振動センサ6が上方へ付勢され、上壁下面に振動伝達板11の上面が当接されている。また上壁には手前から向う側へ切込みが設けられていて、振動検出針7が手前側から差込まれる。電極板12,14からの導線(図示せず)は信号処理回路18の端子19,20へ結線される。
【0010】
熱電対5はクロメルとアルメルの長い薄板5a,5bの上端を夫々内側へ曲げ、曲げた部分の上下に中央に孔を有する円板状で周囲を下方に曲げた形状の接触板21と中央に孔を有する円板状の保護板22を溶接して固定することによって形成される。熱電対5の薄板5a,5bの下部は断熱管23の下部の大径孔に巻込まれ、断熱管23の大径孔に圧入されたリング24によって固定されている。熱電対5の保護板22の下面と断熱管23の上面との間には僅かな隙間が設けられている。断熱管23の両側には二つの窓25a,25bが設けられている。断熱管23の外側に保護管3が挿入されている。熱電対5と断熱管23とリング24と保護管3とから温度センサ4のユニットが形成される。熱電対5の薄板5a,5bは夫々熱電対接点26a,26bを介して信号処理回路18の端子27,28に結線される。リング24と断熱管23及び熱電対5を貫通して振動検出針7の先端が僅かに突出している。
【0011】
図3のブロック図に本発明の振動及び温度測定表示器の電気的回路を示す。図2に示したプローブ1に内蔵の振動センサ6は同じくプローブ1に内蔵の信号処理回路18の増幅回路31に連結され、検波回路32に連結され、更に中央演算処理回路33を通して、同じくプローブ1に設けた表示部8に連結される。また増幅回路31からプローブ1に連結されたイヤホン10に連結される。図2に示したプローブ1に内蔵の温度センサ4は信号処理回路18の増幅回路34に連結され、中央演算処理回路33を通して、表示部8に連結される。
【0012】
被測定対象物の作動状態を測定する場合、プローブ1を手で握って、振動検出針7の先端を被測定対象物の表面に押し当て、スイッチ金具17のばね部の弾性力に抗して熱電対5の接触板21の上面まで押し込むことによって、熱電対5も被測定対象物に押し当てる。更に熱電対5の薄板5a,5bを撓めて振動検出針7の先端と接触板21の上面を保護管3の上面まで押し込む。被測定対象物の機械的振動が振動検出針7を通して振動伝達板11に伝わり、圧力変動として圧電素子13に作用する。これに応じて圧電素子13に電圧変動が生じる。この電圧変動は電極板12,14から導線を介して信号処理回路18の端子19,20に送られ、増幅回路で31で増幅され、イヤホン10に送られて振動音が発せられる。また増幅回路31から検波回路32を通して中央演算処理回路33に送られ、平均値やピーク値等を表示部8にデジタル8aやバーグラフ8b表示される。一方被測定対象物の温度信号が熱電対5によって検出され、熱電対接点26a,26bを介して信号処理回路18の端子27,28に送られ、増幅回路34を通して中央演算処理回路33に送られ、表示部8にデジタル8a表示される。測定中にプローブ1が傾き始めると傾き始めたことを水準器30が視認可能に表示するので、傾きを修正することにより、振動と温度を正確に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の振動及び温度測定表示器の実施例を示す正面図(イ)と底面図(ロ)である。
【図2】図1の上部のみの断面図である。
【図3】本発明の振動及び温度測定表示器の実施例の電気回路のブロック図である。
【符号の説明】
【0014】
1 プローブ
4 温度センサ
5 熱電対
6 振動センサ
7 振動検出針
13 圧電素子
18 信号処理回路
30 水準器
31,34 増幅回路
32 検波回路
33 中央演算処理回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動センサと温度センサがプローブに内蔵され、振動センサと温度センサの被測定対象物へ押し当てられる一端がそれぞれプローブから突出せしめられ、振動センサと温度センサのそれぞれの一端を被測定対象物に押し当てることにより被測定対象物の振動と温度を測定するものにおいて、プローブに水準器を外部から視認可能に設けたことを特徴とする振動及び温度測定器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−170389(P2008−170389A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6086(P2007−6086)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】