説明

振動式パーツフィーダ

【課題】ワークを、振動とエア流により、搬送路上で転動したり、互いに接触したりして損傷したり、詰まりを生じたりすることなく確実に搬送することが可能な振動式パーツフィーダを提供する。
【解決手段】順次供給されるワークWをワーク導入部3aから取り入れ、ワーク排出部3bまで搬送する搬送路3に対し、ワーク導入部からワーク排出部に向かってワークが搬送されるように振動を加えるようにした振動式パーツフィーダにおいて、搬送路の両側の互いに対向する位置から、搬送路を搬送されているワークに対してエアが吹き付けられ、かつ、ワークの搬送方向に沿うエア流が形成されるように、搬送路にエアを供給するエア供給部を、搬送方向に所定の間隔をおいて複数配設する。
また、ワーク導入部近傍に、エア供給部を設ける。
また、ワーク排出部近傍に、エア供給部を設ける。
さらに、ワークを、基板上に表面実装部品が実装された構造のものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電子部品を搬送するための振動式パーツフィーダに関し、詳しくは、順次供給されるワークをワーク導入部から取り入れ、ワークを整列させた状態でワーク排出部まで搬送する搬送路と、搬送路に対しワークが搬送されるように振動を加える加振機構を備えた振動式パーツフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、一方主面に表面実装型の実装部品を搭載した多層基板には、実装部品を保護するため、一方主面を覆うように金属ケースを接合した構造を備えた製品がある。
【0003】
ところで、このような金属ケースを備えた多層基板の場合、金属ケースを取り付けるにあたっては、例えば、金属ケースを取り付ける前の多層基板本体をケーシング装置に順次供給し、これを吸着ノズルで吸着、保持し、所定の金属ケースに嵌め込む方法が用いられている。
【0004】
そして、ケーシング装置に多層基板本体を順次供給するにあたっては、多層基板本体を搬送するための搬送路を備えた振動式パーツフィーダが一般的に用いられている。
【0005】
そして、このような振動式パーツフィーダとして、振動により被搬送物を前進駆動させるとともに、エアジェットの噴射により前進駆動の促進を図るようにした振動式パーツフィーダ提案されている(特許文献1)。
【0006】
この振動式パーツフィーダによりワーク(被搬送物)を搬送する場合、所定の条件が整えば、図4に示すように、振動と、エアの噴射により、ワーク52が、搬送路カバー51aを備えた搬送路51を、ばたついたりすることなく、安定した姿勢で、かつ、ワーク52どうしが互いに接触したりすることなく確実に搬送される。
【0007】
しかしながら、この特許文献1の振動式パーツフィーダにおいて、その実施例に示されているように、搬送路の上方よりエアジェットを導入した場合、多層基板にように板状の部品を搬送する際には、図5に示すように、搬送路51上を搬送されるワーク52の下側にエアが回り込みやすく、ワーク52がその下側に回り込んだエアにより搬送路51上でばたつき、ワーク52どうしの互いの接触、搬送路51の壁面や底面への衝突などにより、割れや欠けなどの不具合を生じたり、搬送路51上で詰まりを生じたりするというような問題点があり、必ずしも十分な搬送信頼性を備えているとはいえないのが実情である。
【特許文献1】実公平7−8494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明は、上記課題を解決するものであり、ワークを、振動とエア流により、搬送路上で転動したり、互いに接触したりして、割れや欠け、あるいは搬送途中での詰まりなどを生じたりすることなく確実に搬送することが可能な振動式パーツフィーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本願発明(請求項1)の振動式パーツフィーダは、
順次供給されるワークをワーク導入部から取り入れ、前記ワークを整列させた状態でワーク排出部まで搬送する搬送路と、
前記搬送路に対し、前記ワーク導入部から前記ワーク排出部に向かって前記ワークが搬送されるように振動を加える加振機構と、
を備える振動式パーツフィーダであって、
前記搬送路の、ワーク搬送方向に向かって左右両側の互いに対向する位置に、前記ワーク搬送方向に所定の間隔をおいて複数配設され、前記搬送路を搬送されている前記ワークに対してエアを吹き付けるとともに、前記ワークの搬送方向に沿うエア流を生じさせるように、前記搬送路にエアを供給するエア供給部と
を具備することを特徴としている。
【0010】
また、請求項2の振動式パーツフィーダは、請求項1の発明の構成において、少なくとも前記ワーク導入部近傍には、前記エア供給部が設けられていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項3の振動式パーツフィーダは、請求項1または2の発明の構成において、少なくとも前記ワーク排出部近傍には、前記エア供給部が設けられていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項4の振動式パーツフィーダは、請求項1〜3のいずれかの発明の構成において、前記ワークが、基板上に表面実装部品が実装され、かつ、表面実装部品を覆うケースが配設されていないか、または、樹脂モールド処理が施されていない加工途中の電子デバイス、または、モジュールであって、前記エア供給部は、エアが主に前記表面実装部品に向かって吹き付けられるように配設されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本願請求項1の発明の振動式パーツフィーダにおいては、搬送路の両側の互いに対向する位置からエアが供給されるため、ほぼ左右対称にエアが、搬送方向に所定の間隔を置いた複数の位置でワークに吹き付けられるとともに、吹き付けられたエアがワークの搬送方向に沿うエア流となるため、ワークの搬送状態や進行方向が安定し、ワークがエアにより持ち上げられてばたつき、ワークどうしの互いの接触、搬送路の壁面や底面への衝突などにより、割れや欠けなどの不具合を生じたり、搬送路51上で詰まりを生じたりすることを防止して、ワークを安定して確実に搬送することが可能になる。
【0014】
また、振動による搬送力と、エア流による推進力とにより搬送が行われるため、高速にワークを搬送することが可能になる。
【0015】
また、請求項2の発明のようにワーク導入部近傍にエア供給部を設けた場合、エア供給部からワーク導入部近傍にエアが供給されることにより、ワーク導入部近傍にエアの巻き込みが生じてワーク導入部近傍が負圧となるため、ワークが搬送路に吸い込まれるように円滑に導入されることになり、より安定した搬送を実現することができるようになる。
【0016】
また、請求項3の発明のようにワーク排出部近傍にエア供給部を設けた場合、ワーク排出部近傍に供給されるエアにより、ワークを搬送路から確実に排出することが可能になり、例えば、多層基板本体の、表面実装型電子部品が実装された実装面を覆うケースを取り付けるためのケーシング機構部などの搬送先へのワークの受け渡しをより円滑に行うことが可能になる。
【0017】
また、請求項4の発明のように、表面実装部品が実装され、表面実装部品を覆うケースが取り付けられていないか、樹脂モールド処理が施されていないか、または、エアを、主として、加工途中の電子デバイスやモジュールの、表面実装部品に向かって吹き付けるようにした場合、表面実装型電子部品が、例えば帆船における帆のようにエア流を確実に受け止めることから、ワークにエア流による推進力を十分に与えることが可能になり、より効率よく高速搬送を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本願発明の実施例を示して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0019】
まず、本発明の振動式パーツフィーダおよびこれを用いた部品搬送装置の構成について説明する。なお、図1は本願発明の一実施例にかかる振動式パーツフィーダの概略構成を示す断面図、図2は図1に示した振動式パーツフィーダの搬送路を、ワークの搬送方向に直交する方向、すなわち、図1のII−II線による断面図、図3は図1に示した振動式パーツフィーダの搬送路の平面図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の振動式パーツフィーダ1は、順次搬送されるワーク(この実施例では、表面実装部品が搭載された多層基板)Wをワーク導入部導3aから取り入れ、ワークWを整列させた状態でワーク排出部3bまで搬送する搬送路(トラフ)3と、搬送路3を覆う搬送路カバー23と、搬送路3の下部に配設され、搬送路3を振動させる加振機構5とを有するパーツフィーダ本体2とを備えており、パーツフィーダ本体2は、ベース6と、ベース6を保持するフレーム7とを備えている。
【0021】
この振動式パーツフィーダ1を構成する搬送路3は、図1,図2,図3に示すように、底部13aと両側の側壁部13bとからなり、断面がコ字状で、上面側が開口した構造を有する直線通路であり、その上をワークWが搬送されることになる底部13aが水平になるように配置されている。
【0022】
また、搬送路3の一方端側が、ワーク供給部から順次供給されるワークWを取り入れるワーク導入部3aとなっており、他方端側が、搬送路3上を搬送されてきたワークWを排出するワーク排出部3bとなっている。
【0023】
この実施例1では、ワークWは、基板本体11の上面側に、例えば、コンデンサ、コイル、抵抗、フィルター、発振器などの表面実装部品12を実装したものであり、表面実装部品12を覆うケースがまだ配設されていない加工途中の電子デバイス(具体的にはケースが取り付けられて製品(多層基板)となる多層基板本体)である。
そして、ワーク(多層基板本体)Wは、上記ワーク排出部3bにおいて、搬送路3から排出され、吸着ノズル20により吸着されて金属ケース14に嵌め込まれることにより、ケースが取り付けられ、製品である多層基板となる。
【0024】
この実施例においては、ワークWにケースを取り付けるためのケーシング機構部15は、上記搬送路3のワーク排出部3bから、ワークWを1個ずつ受け取って金属ケース14に嵌め込んでいくことができるように構成されている。すなわち、ケーシング機構15は、搬送路3のワーク排出部3bからワークWを受け取る吸着ノズル20を備えた吸着部16と、金属ケース14を待機させておき、金属ケース14に、ワークWの表面実装部品12が実装された面側を嵌め込むケーシング部17とを備えている。
【0025】
また、上記吸着部16は、吸着ノズル20を上方に向けた状態でワークWの下面を吸着し、そのまま吸着ノズル20を下方に向けることにより、ワークWを180℃回転させて、下向きに反転させることができるように構成されている。
【0026】
また、ケーシング部17は、吸着部16の下方に位置し、金属ケース14の天面を下に、開口部を上にした状態で金属ケース14を保持するように構成されており、吸着ノズル20によって吸着され、反転させられて下向きになったワークWの、表面実装部品12が実装された面側が上方から金属ケース14の開口に嵌め込まれるよう構成されている。
【0027】
なお、金属ケース14に嵌め込まれた基板本体11は、その接合部位にはんだペーストが供給された後、リフロー工程に送られ、金属ケース14と基板本体11とがはんだにより接合される。
【0028】
そして、この実施例の振動式パーツフィーダ1において、搬送路3の側壁部13bの互いに対向する位置には、図1,図2,図3に示すように、搬送路3を搬送されるワークWに対してエア8(図2,図3)を吹き付け、かつ、ワークWの搬送方向に沿うエア流8a(図3参照)を生じさせるに、エア供給部(エア供給口)10が搬送方向に所定の間隔(この実施例1では、約5cmの間隔)をおいて複数配設されている。
【0029】
なお、この実施例では、エア供給部10にエア8を供給するためのエア供給機構として、エア供給部10へのエア供給ライン、エア供給ラインを経てエア供給部10にエア8を供給するエア供給手段(ポンプ等)などから構成されるエア供給機構が用いられている。
【0030】
また、搬送路3の両側壁部13bのワーク導入部3aの近傍(ワークWの流れ方向でいうワーク導入部3aよりも下流側で、この実施例1では、ワーク導入部3aから1cm以内の位置)には、エア供給部10(10a)が設けられており、また、ワーク排出部3bの近傍(ワークWの流れ方向でいうワーク排出部3bよりも上流側で、この実施例1では、ワーク排出部3bまで1cm以内の位置))にもエア供給部10(10b)が設けられている。
【0031】
また、この実施例1では、上述のように、ワークWが、基板本体11の上面側に表面実装部品12が実装され、かつ、表面実装部品12を覆うケースが配設されていない加工途中の電子デバイス(具体的には多層基板)であり、エア供給部10は、吹き出したエア8が、多層基板(基板本体)11の表面に実装された表面実装部品12に当たるように配設位置およびエアの吹き出し角度が調整されている。
【0032】
次に、上記実施例1の振動式パーツフィーダ1によりワークWを搬送する場合の動作について説明する。
まず、前工程22から送られてきたワークWは、プッシャー21により、1個ずつ搬送路3のワーク導入部3aに供給される。このとき、搬送路3のワーク導入部3aから下流側に1cm以内の搬送路3の両測壁部13bの、互いに対向する位置にエア供給部10が設けられていることから、搬送路3のワーク導入部3aが負圧になり、搬送路3へのワークWの移行が円滑に行われる。
【0033】
そして、搬送路3に移行したワークWは、加振機構5による振動と、エア供給部10からのエア流8aにより搬送路3を円滑に搬送され、搬送途中でワークWどうしが衝突したり、転動したりすることによる破損や、ワークWの詰まりなどが生じることなく、安定して搬送路3を搬送される。すなわち、この実施例1の振動式パーツフィーダ1においては、搬送路3の両側の互いに対向する位置に、搬送方向に所定の間隔をおいて配設されたエア供給部10から、左右対称にエア8がワークWに吹き付けられるとともに、吹き付けられたエア8がワークWの搬送方向に沿うエア流8aとなることから、ワークWの搬送状態や進行方向が安定し、結果として、エア8によりワークWが持ち上げられてばたつくことによる、ワークWどうしの衝突や、搬送路3の壁面や底面への衝突によるワークWへの割れや欠けの発生、搬送路3上におけるワークWの詰まりの発生などを防止して、ワークWを損傷させることなく、確実に搬送することが可能になる。
また、振動による搬送力と、エア流8による推進力の両方を利用することができることから、高速にワークを搬送することが可能になる。
【0034】
さらに、エア供給部(エア供給口)10は、吹き出したエア8が、多層基板(基板本体)11の表面に実装された表面実装部品12に当たるように配設位置およびエアの吹き出し角度が調整されているため、ワークWにエア流8aによる推進力を十分に与えることが可能になり、より効率よく高速搬送を実現することができる。
【0035】
上述のようにして搬送路3を搬送されたワークWが、ケーシング機構部15にワークWを移送するためのワーク排出部3bに近づくと、ワーク排出部3bの近傍(ワーク排出部3bよりも上流側で、ワーク排出部3bから1cm以内の位置)に配設されたエア供給部10から吹き出されるエア8(エア流8a)により、ワークWが1個ずつ、確実に、かつ円滑にワーク排出部3bから排出され、ケーシング機構部15の吸着部16を構成する吸着ノズル20により吸着、保持される。
【0036】
その後ワークWは吸着ノズル20により吸着、保持された状態で、反転されるとともにケーシング部17に搬送され、表面実装部品12が実装されている面側が金属ケース14に嵌め込まれる。
したがって、上記実施例1の振動式パーツフィーダ1によれば、以下のような作用効果が得られる。一部は上述しているが、以下にまとめて説明する。
【0037】
(1)加振機構5により振動が印加される搬送路3の両側壁に、エア8を供給するエア供給部10を設けて、左右両側からワークWにエア8を吹き付けるようにしているので、振動による搬送力と、エア8(エア流8a)による推進力の両方を利用して、高速にワークWを搬送することが可能になる。
【0038】
(2)搬送路3の両側の側壁部13bの互いに対向する位置に設けられたエア供給部10からエア8が供給されるため、左右両側からバランスよくエア8がワークWに吹き付けられるとともに、吹き付けられたエア8がワークWの搬送方向に沿うエア流8aとなるため、ワークWの搬送状態や進行方向を安定させることが可能になり、例えば従来のように、上方からエアを吹き付けた場合に比べて、搬送路内でのワークWの詰まりを約1/5に減少させることができる。
【0039】
(3)また、搬送路3のワーク導入部3aの近傍にエア供給部10を設けることにより、搬送路3のワーク導入部3aの近傍の圧力が負圧になり、前工程から搬送路3へのワークWの移行がスムーズになり、この部分でのワークWの詰まりも約1/5に減少させることができる。
【0040】
(4)さらに、搬送路3のワーク排出部3bの近傍にエア供給部10を設けることにより、ワーク排出部3bにおいて、ワークWのケーシング機構部15への移行が円滑になり、この部分でのワークWの詰まりの発生を約1/2に減少させることができる。
【0041】
(5)また、上記実施例1の振動式パーツフィーダ1によれば、エア8によりワークWが持ち上げられてばたついたり、搬送路3の壁面や底面に当たったり、ワークどうしが互いに接触したりすることによる割れや欠けなどの不具合の発生を抑えることが可能になり、例えば従来のように、上方からエアを吹き付けた場合に比べて、搬送路内でのワークWの欠け、割れなどによる外観不良が約30%減少することが確認された。
【0042】
[変形例1]
なお、上記実施例1では、搬送路3の両側壁部13bの互いに対向する位置に、ワークWの搬送方向に所定の間隔をおいて複数配設するとともに、ワークWの搬送方向に沿うエア流8aが形成されるように、搬送路3にエア8を供給するエア供給部10を搬送方向に所定の間隔をおいて複数配設し、かつ、ワーク導入部3aの近傍でそれよりも下流側、および、ワーク排出部3bの近傍でそれよりも上流側にエア供給部10を設けるようにしているが、ワーク導入部と、ワーク排出部の近傍にのみエア供給部を設けた構成、すなわち、図1を参照しつつ説明すると、搬送路3のワーク導入部3aの近傍にはエア供給部10(10a)を設け、ワーク排出部3bの近傍にはエア供給部10(10b)を設けるが、その他のエア供給部10を設けないようにした構成とすることも可能である。
このようにした場合、搬送路3の構造が簡潔になり、搬送路3の製作コストを抑えることが可能になる。
【0043】
[変形例2]
また、特に図示しないが、上記実施例1の場合のように、搬送路のワーク導入部およびワーク排出部のごく近傍には特にエア供給部を設けず、例えば、搬送路に配設すべきエア供給部を、搬送路のワーク導入部から5〜10cm下流に設け、それ以降、5cm間隔でエア供給部を設け、さらに、ワーク排出部に最も近い位置に配設されるエア供給部を、ワーク排出部より5〜10cm上流側に設けるように構成することも可能である。すなわち、図1を参照しつつ説明すると、搬送路3のワーク導入部3aの近傍のエア供給部10a、およびワーク排出部3bの近傍のエア供給部10bを省略し、その他のエア供給部10を設けた構成とすることも可能である。
【0044】
このような構成とした場合、上記変形例1の場合と同様に、搬送路の構造が簡潔になり、搬送路の製作コストを抑えることが可能になるとともに、ワーク導入部では、外気中のほこりの取り込み量を減少させ、搬送路の清浄性を向上させることが可能になる。
【0045】
なお、上記実施例1では、ワークが表面実装部品が実装された多層基板である場合を例にとって説明したが、本願発明において、ワークは表面実装部品が実装された多層基板に限られるものではなく、特に表面実装部品が実装されていない電子部品素子(例えば、積層セラミックコンデンサやチップ抵抗など)を搬送するような場合にも本願発明を適用することが可能である。
【0046】
また、本願発明では、ワーク排出部から排出されるワークがケーシング機構部に搬送される場合を例にとって説明したが、本願発明において、搬送路より後の工程の種類には特別の制約はなく、本願発明は、種々の工程にワークを搬送する場合に広く適用することが可能である。
【0047】
本願発明はさらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
上述のように、本願発明によれば、振動とエア流を利用して、搬送路上でワークが転動したり、互いに接触したりすることを防止し、割れや欠け、あるいは搬送途中での詰まりなどを生じたりすることなく確実に搬送することが可能になる。
したがって、本願発明は、表面実装部品を搭載した多層基板をはじめとする種々のワークを搬送する工程を含む電子部品などの製造工程に広く適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本願発明の一実施例にかかる振動式パーツフィーダの構成を示す図である。
【図2】図1に示した本願発明の一実施例にかかる振動式パーツフィーダの搬送路の、ワークの搬送方向に直交する方向の断面図である。
【図3】図1に示した本願発明の一実施例にかかる振動式パーツフィーダの搬送路の平面図である。
【図4】従来の振動式パーツフィーダによる被搬送物の搬送状態を示す図である。
【図5】従来の振動式パーツフィーダの問題点を説明する図である。
【符号の説明】
【0050】
1 振動式パーツフィーダ
2 パーツフィーダ本体
3 搬送路
3a ワーク導入部
3b ワーク排出部
5 加振機構
6 ベース
7 フレーム
8 エア
8a エア流
10 エア供給部
11 基板本体
12 表面実装部品
13a 搬送路の底面部
13b 搬送路の両側壁部
14 金属ケース
15 ケーシング機構部
16 吸着部
17 ケーシング部
20 吸着ノズル
21 プッシャー
22 前工程
23 搬送路カバー
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次供給されるワークをワーク導入部から取り入れ、前記ワークを整列させた状態でワーク排出部まで搬送する搬送路と、
前記搬送路に対し、前記ワーク導入部から前記ワーク排出部に向かって前記ワークが搬送されるように振動を加える加振機構と、
を備える振動式パーツフィーダであって、
前記搬送路の、ワーク搬送方向に向かって左右両側の互いに対向する位置に、前記ワーク搬送方向に所定の間隔をおいて複数配設され、前記搬送路を搬送されている前記ワークに対してエアを吹き付けるとともに、前記ワークの搬送方向に沿うエア流を生じさせるように、前記搬送路にエアを供給するエア供給部と
を具備することを特徴とする振動式パーツフィーダ。
【請求項2】
少なくとも前記ワーク導入部近傍には、前記エア供給部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の振動式パーツフィーダ。
【請求項3】
少なくとも前記ワーク排出部近傍には、前記エア供給部が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の振動式パーツフィーダ。
【請求項4】
前記ワークが、基板上に表面実装部品が実装され、かつ、表面実装部品を覆うケースが配設されていないか、または、樹脂モールド処理が施されていない加工途中の電子デバイス、または、モジュールであって、前記エア供給部は、エアが主に前記表面実装部品に向かって吹き付けられるように配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の振動式パーツフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−156065(P2008−156065A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347105(P2006−347105)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】