振動検出装置
【課題】振動検出における指向特性を電気的な加算によらずに実現すること。
【解決手段】本発明は、レーザ光源10から出射されたレーザ光を反射可能な第1の振動膜151および第2の振動膜152と、偏光ビームスプリッタ130とを含んで構成され、レーザ光を偏光ビームスプリッタ130によって第1および第2の光路に分離するとともに、第1の光路において第1の振動膜151により反射された反射光と第2の光路において第2の振動膜152により反射された反射光とを互いに干渉させて干渉縞を形成するマイケルソン型干渉計と、この干渉縞に基づき、第1の振動膜151および第2の振動膜152の振動を量子化して検出する検出手段とを備える振動検出装置である。
【解決手段】本発明は、レーザ光源10から出射されたレーザ光を反射可能な第1の振動膜151および第2の振動膜152と、偏光ビームスプリッタ130とを含んで構成され、レーザ光を偏光ビームスプリッタ130によって第1および第2の光路に分離するとともに、第1の光路において第1の振動膜151により反射された反射光と第2の光路において第2の振動膜152により反射された反射光とを互いに干渉させて干渉縞を形成するマイケルソン型干渉計と、この干渉縞に基づき、第1の振動膜151および第2の振動膜152の振動を量子化して検出する検出手段とを備える振動検出装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動体の変位を光学的に検出する振動検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマイクロホンでは、アナログケーブルでの長距離の引き回しによるノイズの増加や、コンデンサマイクに対してミキシングコンソールからファンタム電源を供給しなければならない。録音・制作システムがすべてデジタル化している中でマイクをデジタル化するメリットは大きい。
【0003】
そこで、近年、デジタル方式のマイクロホンがいくつか提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。また、これらに関連する技術として、例えば特許文献3に開示された変位検出装置が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−308998号公報
【特許文献2】特開平11−178099号公報
【特許文献3】特開2003−322552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、マイクロホンの指向性について、全指向性マイクカプセルと双指向性マイクカプセル、あるいは2組の相反する方向を向いた単一指向性マイクカプセルを組み合わせ、出力信号を電気的に合成する方式の技術は存在するものの、微小信号レベルでの信号合成をマイクカプセルの近傍で、低ノイズで高精度に行なう必要があり、信号の劣化を伴うという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような課題を解決するために成されたものである。すなわち、本発明は、レーザ光を出射する光源と、光源から出射されたレーザ光を反射可能な第1の振動体および第2の振動体と、ビームスプリッタとを含んで構成され、光源から出射されたレーザ光をビームスプリッタによって第1および第2の光路に分離して進行させるとともに、第1の光路において第1の振動体により反射された反射光と第2の光路において第2の振動体により反射された反射光とを互いに干渉させて干渉縞を形成するマイケルソン型干渉計と、干渉計によって形成された干渉縞に基づき、第1の振動体および第2の振動体の振動を量子化して検出する検出手段とを備える振動検出装置である。
【0007】
このような本発明では、2つの振動体による2つの光路によって干渉縞を形成し、この干渉縞に基づき振動を量子化することから、電気的加算によらず光学的な光路長差によって2つの振動体の振動における合成出力を検出できるようになる。
【0008】
ここで、第1の振動体および第2の振動体としては、振動の検出において互いに異なる指向性を有するものや、いずれか一方は振動検出における指向性が全指向特性を有し、他方は振動検出における指向性が双指向特性を有するものを用いている。これにより、2つの振動体の合成出力が特定の指向性を持った振動検出値となる。
【0009】
この際、干渉計として、第1の光路と第1の振動体との相対的な位置および第2の光路と第2の振動体との相対的な位置を変更可能に設けることで、これら相対的な位置に応じて2つの振動体の合成出力の合成の割合を変更でき、指向性特性を変更できるようになる。これら相対的な位置を変更するには、振動体の位置を変更できる機構を設けるほか、光路をずらす機構を設けることが考えられる。
【発明の効果】
【0010】
したがって、本発明によれば、2種類の振動体による出力を合成する場合、電気的加算の手法を使わずに、純粋に光学的に光路長差という形で合成出力を検出するため、加算による信号の劣化が全くなく、微小信号レベルでも低ノイズで高精度な振動検出を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図に基づき説明する。
【0012】
<振動検出装置の構成>
図1は、本実施形態に係る振動検出装置(光学式のマイクロホン装置1)の構成を示すブロック図である。このマイクロホン装置1は、音波Swに応じて振動する振動膜を利用して量子化された音声信号Soutを出力するものであり、レーザ光源10と、コリメータレンズ10Aと、偏光板110と、第1の振動膜151および第2の振動膜152と、偏光ビームスプリッタ(後述する偏光ビームスプリッタ130)および2つのλ/4板(後述するλ/4板161、162)を含むマイケルソン干渉計に準ずる構成の干渉計と、デジタル信号である出力信号(音声信号Sout)を出力する検出部とを備えている。
【0013】
レーザ光源10は、レーザ光Loutを出射するものであり、例えばマルチモード(ファブリペロー型)のレーザ光源(例えば、端面発光型の半導体レーザ光源)や、シングルモードのレーザ光源(例えば、面発光型の半導体レーザ光源やDFB(Distributed Feed-Back)レーザなど)などにより構成される。
【0014】
偏光板110は、レーザ光源10から出射されたレーザ光Loutの直線偏光の方向を変えるためのものである。具体的には、この偏光板110を通過したレーザ光Loutの直線偏光の方向が後述する偏光ビームスプリッタ130により分割されるs偏光波とp偏光波との光強度がほぼ等しくなるように偏光軸が設定されている。
【0015】
なお、レーザ光源10自体を回転させることで出射されるレーザ光Loutの直線偏光の方向をそのような方向に設定可能なのであれば、偏光板110を必ずしも設けなくともよい。ただし、本実施の形態のように偏光板110を設けた場合には、レーザ光源10自体の回転位置の精度によらず、偏光ビームスプリッタ130への入射光の直線偏光の方向を上記のように設定することができる。また、λ/2板を使用しても同様の効果が得られる。
【0016】
<干渉計の構成>
干渉計は、偏光ビームスプリッタ130と、第1の振動膜151と、第2の振動膜152と、3つのλ/4板161、162、163と、ビームスプリッタ120と、2つの偏光板111、112とから構成されている。
【0017】
偏光ビームスプリッタ130は、レーザ光源10から発せられ偏光板110を通過したレーザ光Loutを、2つの光路、すなわち第1の振動膜151側の反射光路(第1の光路)と、第2の振動板152側の反射光路(第2の光路)とに分離して進行させるためのものである。具体的には、詳細は後述するが、この偏光ビームスプリッタ130では、第1の光路側にレーザ光のP偏光成分poが、第2の光路側にレーザ光のS偏光成分soがそれぞれ進行するように設定されている。
【0018】
なお、前述のように、この偏光ビームスプリッタ130へ入射するレーザ光Loutの直線偏光の方向は、偏光ビームスプリッタ130の有する2つの偏光軸(S偏光軸およびP偏光軸)に対してそれぞれ45度ずつ異なる方向となるように設定されているため、入射するレーザ光Loutは、P偏光成分poとS偏光成分soとでほぼその光強度が等しくなるように分離されるようになっている。
【0019】
第1の振動膜151は音波Swに応じて変位するものであり、例えばコンデンサマイクに使用されるものと同様に、表面が金蒸着された振動膜などにより構成される。この第1の振動膜151は、レーザ光Loutを高い反射率で反射可能となっている。
【0020】
第2の振動膜152は音波Swに応じて変位するものであり、例えばコンデンサマイクに使用されるものと同様に、表面が金蒸着された振動膜などにより構成される。この第2の振動膜152は、レーザ光Loutを高い反射率で反射可能となっている。
【0021】
λ/4板161は、偏光ビームスプリッタ130と第1の振動板151との間の光路上に配設され、λ/4板162は、偏光ビームスプリッタ130と第2の振動板152との間の光路上に配設されている。
【0022】
ビームスプリッタ120は、ビームスプリッタ130を介して入射するレーザ光LoutのS偏光成分s1(第1の反射光)およびP偏光成分p1(第2の反射光)をそれぞれ、偏光板111側の光路と偏光板112側の光路とに分離して進行させるものである。
【0023】
偏光板111、112は、それぞれ入射するS偏光成分s1(第1の反射光)の偏光方向およびP偏光成分p1(第2の反射光)の偏光方向からそれぞれ45度傾いた方向に偏光軸を有する偏光板である。このような構成により詳細は後述するが、これら偏光板111、112において、S偏光成分s1とP偏光成分p1とが互いに干渉して干渉縞が形成されるようになっている。なお、λ/4板163は、ビームスプリッタ120と偏光板111との間の光路上に配設されている。
【0024】
このような構成により本実施の形態の干渉計では、レーザ光源10から発せられたレーザ光Loutが2つの光路(第1および第2の光路)に分離されて進行する。具体的には、偏光ビームスプリッタ130、λ/4板161、第1の振動膜151、λ/4板161、偏光ビームスプリッタ130、ビームスプリッタ120、偏光板111、112およびλ/4板163を通る第1の光路(第1の反射光路)と、偏光ビームスプリッタ130、λ/4板162、反射板152、λ/4板162、偏光ビームスプリッタ130、ビームスプリッタ120、偏光板111、112およびλ/4板163を通る第2の光路(第2の反射光路)とに分離されて進行する。
【0025】
この際、第1の反射光路においてλ/4板161を介して振動膜151により反射された光p0はs偏光に変換されs1となり(S偏光成分s1、第1の反射光)と、第2の反射光路においてλ/4板162を介して反射板152により反射された光s0はp偏光に変換されたp1(P偏光成分p1、第2の反射光)とが偏光板111、112において互いに干渉し、干渉縞が形成されるようになっている。
【0026】
<検出部の構成>
検出部は、2つの光電変換素子171、172と、デジタルカウント部181とから構成されている。
【0027】
光電変換素子171、172は、偏光板111、112上に形成された干渉縞を検出して光電変換し、それぞれ出力信号 Sx、Syを出力するものである。これら光電変換素子171、172は、例えばPD(Photo Diode)などにより構成される。
【0028】
デジタルカウント部181は、光電変換素子171、172からそれぞれ出力される出力信号Sx、Syを、例えば図2に示したようなリサージュ図形を用いて後述する所定のカウントタイミングでカウントすることで量子化し、デジタル信号である出力信号(音声信号Sout)を出力するものである。なお、このようなリサージュ図形を用いたデジタルカウント方法については、後ほど詳述する。
【0029】
次に、図3を参照して、本実施の形態のマイクロホン装置1を単一の基体上で形成した場合の構成例について説明する。ここで図3は、図1に示したマイクロホン装置1を単一の基体上で形成した場合の平面構成を表したものである。
【0030】
図3に示したマイクロホン装置1では、アルミダイキャスト等のべース(基体100A)上に、レーザ光源10、このレーザ光Loutを集光するためのコリメータレンズ10A、偏光ビームスプリッタ130、第1の振動膜151、この第1の振動膜151を両端から支持する支持部151A、第2の振動膜152、この第2の振動膜152を両端から支持する支持部152A、偏光板111、112、ビームスプリッタ120、反射ミラーM1、λ/4板161〜163および光電変換素子171、172がそれぞれ配設されている。
【0031】
このうち、偏光ビームスプリッタ130、λ/4板161、162および反射ミラーM1が互いに張り合わせられ一体化して配置されるとともに、ビームスプリッタ120およびλ/4板163も互いに張り合わせられ一体化して配置されている。
【0032】
なお、図3のマイクロホン装置1には偏光板110が設けられていないが、この偏光板110を設けるようにしてもよい。このようにディスクリート光学部材を用いて構成されることで、図3に示したマイクロホン装置1では、小型(コンパクト)かつ堅固な構成となっている。この場合の装置の幅L1、W1(図3参照)としては、例えば、L1=20mm程度以下、W1=12mm程度以下にすることが可能である。
【0033】
<振動検出の基本動作>
次に、図1および図2を参照して、本実施の形態のマイクロホン装置1の動作について詳細に説明する。
【0034】
このマイクロホン装置1では、図1に示したように、レーザ光源10からレーザ光Loutが出射されて偏光板110を通過すると、このレーザ光Loutの直線偏光の方向が変更され、偏光ビームスプリッタ130の有する2つの偏光軸(S偏光軸およびP偏光軸)に対してそれぞれ45度ずつ異なる方向となる。
【0035】
次に、偏光板110を通過したレーザ光Loutは、偏光ビームスプリッタ130により、第1の振動膜151側の反射光路(第1の光路)と、第2の振動膜152側の反射光路(第2の光路)とに約50%ずつ分離され進行する。これにより、レーザ光Loutは、第1の反射光路を進行するP偏光成分poと、第2の反射光路を進行するS偏光成分soとに分離される。すなわち、偏光ビームスプリッタ130では、S偏光成分の光が反射されるとともに、P偏光成分の光が透過するようになっている。
【0036】
ここで、P偏光成分poは、λ/4板161を通過すると直線偏光から円偏光となり、その後、第1の振動膜151で反射されると逆向きの円偏光となり、再びλ/4板161を通過することで、S偏光成分s1(第1の反射光)に変換される。そしてこのS偏光成分s1は上記のように偏光ビームスプリッタ130において反射されるため、第1の反射光路上をビームスプリッタ120の方向へ進行する。
【0037】
一方、第2の反射光であるS偏光成分s0は、λ/4板162を通過すると直線偏光から円偏光となり、その後、第2の振動膜152で反射されると逆向きの円偏光となり、再びλ/4板162を通過することで、P偏光成分p1に変換される。そしてこのP偏光成分p1は上記のように偏光ビームスプリッタ130を透過するため、第2の反射光路上をビームスプリッタ120の方向へ進行する。
【0038】
なお、この際、同じ光路(反射光路および参照光路)を進行するS偏光成分s1およびP偏光成分p1は、互いに偏光方向が90度異なるため、干渉し合うことはない。
【0039】
次に、第1の反射光路および第2の反射光路を進行するS偏光成分s1およびP偏光成分p1は、それぞれビームスプリッタ120により偏光板111側の光路と偏光板112側の光路とに約50%ずつに分離されて進行し、偏光板111、112へそれぞれ到達する。
【0040】
その際、偏光板111側の光路では途中にλ/4板163が挿入配置されているため、偏光板111へ到達したS偏光成分s1およびP偏光成分p1と、偏光板112へ到達したS偏光成分s1およびP偏光成分p1とでは、位相が互いに90度異なることになる。そして偏光板111、112は、それぞれS偏光成分s1の偏光方向およびP偏光成分p1の偏光方向からそれぞれ45度傾いた方向に偏光軸を有するため、これらS偏光成分s1およびP偏光成分p1の位相が互いに90度異なっている本実施の形態の場合でも、偏光板111、112においてS偏光成分s1とP偏光成分p1とが互いに干渉し合い、干渉縞が形成される。
【0041】
次に、偏光板111、112上に形成された干渉縞は、それぞれ光電変換素子171、172により検出される。ここで、光電変換素子171、172では互いに位相が90度ずれた状態で干渉縞が検出されることになる。
【0042】
そして、光電変換素子171で検出された干渉縞は電気信号に変換され、出力信号Sxとして出力される一方、光電変換素子172で検出された干渉縞も電気信号に変換され、出力信号Syとして出力される。
【0043】
次に、デジタルカウント部181では、光電変換素子171、172からの出力信号 Sx、Syがそれぞれ、X信号およびY信号とみなされ、例えば図2に示したような円状または円弧状のリサージュ図形が生成される。具体的には、まず、(X,Y)信号による干渉縞の強度の中央値を中心点C(CX,CY)として、以下の(1),(2)式の演算を行うことにより、(X,Y)信号が、DC成分が除去された(x,y)信号に変換される。
【0044】
x=X−CX …(1)
y=Y−CY …(2)
【0045】
すると、上記(1),(2)式の演算により、信号点(x,y)の動きから、図2に示したように中心点Cを中心とする円周上を運動するリサージュ図形が得られる。このとき、光電変換素子171、172で検出された検知ポイント(例えば、図中の信号点PO)はこの円周上の1点であり、第1の振動膜151および第2の振動膜152の変位の合成に従って円周上を変位することになる。
【0046】
したがって、このような信号点POが所定の基準点(例えば、x軸およびy軸上の4つの基準点Pa〜Pd)を通過する回数をカウントすれば、干渉縞の強度が一義的に決まるため、第1の振動膜151および第2の振動膜152の合成の変位をデジタルで検知したこととなり、そのカウントされた回数が角度αの情報であるデジタル信号の音声信号Soutとして出力される。なお、このように4つの基準点Pa〜Pdを基準点としてカウントした場合、干渉縞が90度(1/4波長)変動する度にカウントすることを意味することになる。後述のように、この円周上の基準点の数を増やすことによって検出の分解能を上げることが可能であるが、x、yの値をAD変換し、θ=arctan(x/y) の演算をデジタル的に行なうことにより図2における角度θが求められるため、デジタルデータの語長を長くすれば分解能を向上することができる。さらに上記カウントを併用することで、arctanの演算範囲を超える変位でも高精度に検出できる。
【0047】
以上のように本実施の形態では、レーザ光源10からのレーザ光Loutを偏光ビームスプリッタ130によって2つの光路(第1および第2の光路)に分離して進行させるとともに、第1の光路(第1の反射光路)においてλ/4板161を介して第1の振動膜151により反射されたS波成分s2(第1の反射光)と、第2の光路(第2の反射光路)においてλ/4板162を介して第2の振動板152により反射されたP波成分p1(第2の反射光)とを互いに干渉させて干渉縞を形成し、この干渉縞に基づき第1の振動膜151および第2の振動膜152の合成の振動を量子化して検出するようにしたので、従来と比べてよりコンパクトな構成によって、振動膜の振動を光学的にデジタル検出することができる。
【0048】
具体的には、干渉計としてマイケルソン干渉計に準ずる構成の干渉計を用いるようにしたので、小型かつ簡易な構成で実現することができる。よって、光学的にデジタル振動検出を行う振動検出装置(マイクロホン装置)において装置の小型化を図ることが可能となる。
【0049】
また、偏光ビームスプリッタ130およびλ/4板161、162を用いて干渉計を構成するようにしたので、純粋なマイケルソン干渉計の場合に生ずる、レーザ光源10に対するレーザ光Loutの戻り光を回避することができ、レーザ光源10でのノイズ発生を回避することが可能となる。よって、純粋なマイケルソン干渉計を用いて構成した場合と比べて良好なS/N比を得ることができ、第1の振動膜151および第2の振動膜152の振動の検出精度を向上させることが可能となる。
【0050】
また、干渉縞の検出を2つの光電変換素子171、172を用いて行うとともに、これら光電変換素子171、172で検出する干渉縞の位相差がそれぞれ互いにほぼ90度になるように設定したので、円形状のリサージュ図形を以下のように形成させることができ、検出を容易に行うことができる。
【0051】
さらに、2つの光電変換素子171、172からの出力信号Sx、SyをそれぞれX信号およびY信号とし、これらX,Y信号に基づく円状または円弧状のリサージュ図形を生成するようにしたので、干渉縞の検知ポイントがそれぞれ第1の振動膜151および第2の振動膜152の合成の変位に従って円周上を変位するようになり、所定の基準点を通過する回数をカウントすることにより、第1の振動膜151および第2の振動膜152の合成の変位をデジタルで検知することが可能となる。
【0052】
<振動膜の変位の合成>
本実施形態に係る振動検出装置(マイクロホン装置)では、2つの振動膜を用いてこれらの振動の合成を光学的に行う構成であり、合成の割合によってマイクロホン装置の振動(音波)検出における指向性を持たせることができる。特に、2つの振動膜が違いに異なる指向性を有するものを用いると、指向性の特性を顕著に制御できることになる。以下、この合成の説明を行うにあたり、2つの振動膜のうち一方が全指向性マイクカプセル、他方が双指向性マイクカプセルの場合を例とする。
【0053】
図1に示すマイクロホン装置1に用いられる2つの振動膜151、152のうち、第1の振動膜151が双方向性カプセル、第2の振動膜152が全指向性マイクカプセルとなっている。ここで、2つの振動膜151、152は、音波入射方向に第2の振動膜(全指向性マイクカプセル)152が向けられ、それと直角方向に第1の振動膜(双指向性マイクカプセル)151が向けられている。これは振動膜にレーザを直角に反射させるため都合のよい配置になっている。
【0054】
レーザ光源10から出射されたレーザ光Loutは偏光板110を通り偏光ビームスプリッタ130にてS偏光成分は全指向性マイクカプセル(第2の振動膜152)側へ、P偏光成分は双指向性マイクカプセル(第1の振動膜151)へと分岐する。全指向性マイクカプセル(第2の振動膜152)側へ分岐した光はλ/4板162を通過し円偏光になり第2の振動膜152で反射した後、再びλ/4板162を通過するためP偏光となり、偏光ビームスプリッタ130を透過する。
【0055】
一方、双指向性マイクカプセル(第1の振動膜151)側へ向かう光はλ/4板161を通過し円偏光になり第1の振動膜151で反射した後、再びλ/4板161を通過するためS偏光となり、偏光ビームスプリッタ130にて反射される。そして、この2つの光はビームスプリッタ120で2分岐され互いに90度の位相差が生じるような角度で配置された偏光板111、112を通過し、干渉縞を生じる。
【0056】
各カプセルでは音圧の入力に従いその振動膜に変位が生じる。ここで、全指向カプセル側アームの光路長をLa、生じる変位をδa、双指向性側アームの光路長をLb、生じる変位をδbとすると。光路差ΔL、光強度Ia,Ibは次のように表される。
【0057】
ΔL=(La+δa)−(Lb+δb)
Ia=A2+B2+2ABcos(2πΔL/λ)
Ib=A2+B2+2ABcos{(2πΔL/λ)+(π/2)}
ここで、A,Bは干渉する2光束の振幅、λはレーザ光波長である。
【0058】
干渉縞の可視度が最大となるLa=Lbとなるように光路を調整すると、ΔL=δa−δbとなる。これらの光強度を光電変換素子にて電気信号に変換し、DC成分であるA2+B2の成分をカットし90度の位相差を持ったAC成分の比をarctan変換すれば角度成分が求まり、光路差ΔLに比例する成分を演算により求めることができる。このデータをサンプリング周波数の周期で取り込むことで音声信号を取り出すことができる。
【0059】
一方、図4に示すように、第1の振動膜および第2の振動膜であるマイクカプセル側には、レーザ光のビームスポット位置をずらすことができる機構が設けられており、中心からの距離dを変更できるようになっている。
【0060】
振動膜の変位は、ビームスポットが振動膜の中心から遠ざかるほど小さくなり、振動膜の固定端で変位がゼロになる。図4のように、中心からの距離d1の時の変位をδ1とすると、調整機構によりd2にビームスポット位置を移動させると変位をδ2に変化させることができる。このビームスポット位置調整機構は2つのマイクカプセルのそれぞれに設けられており、振動膜の受ける音圧に対する変位の割合を変えることができるようになっている。なお、この機構はマイクカプセル側をビームと直交方向に移動させるものであるが、レーザ光源や偏光ビームスプリッタ等を移動し、振動膜の位置に対する相対的なビーム位置を変えるような機構であってもよい。
【0061】
ここで、便宜的にそれぞれのマイクカプセルの指向性特性をf1(θ)=1、f2(θ)=cosθとし、全指向性マイクカプセルに対する調整機構による減衰係数をa、双指向性マイクカプセルに対する減衰係数をbとすると、本実施形態の振動検出装置(マイクロホン装置)の指向特性は図5、図6のようになる。すなわち、a=1、b=0では図5に示すような全指向特性を示し、a=0、b=1では図6に示すような双指向特性を示す。
【0062】
また、減衰係数a、bをかけた各特性はf1(θ)=a、f2(θ)=b・cosθとなる。また、それぞれの音圧特性は、振動膜の変位量に比例することからそれぞれの変位量をδ1、δ2とすると、感度係数Kをかけて、δ1(θ)=Ka、δ2(θ)=Kb・cosθとなる。
【0063】
したがって、光路長差ΔLは、ΔL=δ1−δ2=K(a−b・cosθ)と表され、(a−b・cosθ)に比例した振動膜の変位量を検出することが可能になる。
【0064】
ここで、(a−b・cosθ)の値は、前述の移動機構により調整が可能であり、aの値とbの値との組み合わせによって全指向性、双指向性のほか、図7に示すカージオイド(Cardioid)、図8に示すハイパー・カージオイド(Hyper Cardioid)、図9に示すスーパー・カージオイド(Super Cardioid)などの各種の指向特性を実現することが可能となる。
【0065】
前述の移動機構によりaおよびbの値の組み合わせを設定する場合、予め決められたパターンを用意しておき、ユーザの選択を受け付けて、その受け付けたパターンに設定したり、aおよびbの値を連続的に変化できるような機構を設けておいてもよい。また、指向性の特性によって複数のパターンを設けておき、指向性の特性をユーザによって選択させて、その選択した指向性のパターンに合わせてaおよびbの値を設定するようにしてもよい。
【0066】
なお、上記実施形態では、第1の振動膜151として双指向性マイクカプセル、第2の振動膜152として全指向性マイクカプセルを用いる例を示したが、これ以外の指向性を有するマイクカプセルを用いてもよい。例えば、第1、第2の振動膜151、152とも単一指向性のマイクカプセルを用い、両者を相直角に配置すれば、上記説明した減衰係数a、bの割合によって単一指向性の方向を90度の範囲で選択できるようになる。
【0067】
以上、本実施形態に係る振動検出装置を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、リサージュ図形上に4つの基準点Pa〜Pdを設けてデジタルカウントを行う場合について説明したが、基準点の数はこれに限らず、例えば、図10に示したように、4つの基準点Pa〜Pdに加えて例えば基準線E〜Hを用い、さらに基準点を細かく設定して増やすようにしてもよい。このように構成した場合、カウント数を増やすことができるので、出力信号Soutの値を大きくし、検出感度をより向上させることが可能となる。
【0068】
また、上記実施形態では、レーザ光Loutを発する光源として半導体レーザを挙げて説明したが、これ以外にも例えば、ガスレーザや固定レーザなどを用いるようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、本発明の振動検出装置の一例として、振動体が音波に応じて振動する振動膜(第1の振動膜151、第2の振動膜152)であり、この振動膜151、152の振動を音声信号Soutとして検出する光学式マイクロホン装置について説明したが、本発明の振動検出装置はこれには限られず、他の振動を検出するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施形態に係る振動検出装置(光学式のマイクロホン装置)の構成を示すブロック図である。
【図2】デジタルカウント部において作成されるリサージュ図形の一例を示す図である。
【図3】本実施形態に係る振動検出装置を単一の基体上に配置した場合の構成例を示す平面図である。
【図4】振動膜に当たるビームスポット位置による変位の違いを説明する模式図である。
【図5】本実施形態に係る振動検出装置(光学式のマイクロホン装置)の指向特性の例を示す図(その1)である。
【図6】本実施形態に係る振動検出装置(光学式のマイクロホン装置)の指向特性の例を示す図(その2)である。
【図7】本実施形態に係る振動検出装置(光学式のマイクロホン装置)の指向特性の例を示す図(その3)である。
【図8】本実施形態に係る振動検出装置(光学式のマイクロホン装置)の指向特性の例を示す図(その4)である。
【図9】本実施形態に係る振動検出装置(光学式のマイクロホン装置)の指向特性の例を示す図(その5)である。
【図10】本実施形態の変形例に係るリサージュ図形の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1…マイクロホン装置、10…レーザ光源、10A,10B…コリメータレンズ、100…基体、120…ビームスプリッタ、130…偏光ビームスプリッタ、151…第1の振動膜、152…第2の振動膜、171,172…光電変換素子、181…デジタルカウント部
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動体の変位を光学的に検出する振動検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマイクロホンでは、アナログケーブルでの長距離の引き回しによるノイズの増加や、コンデンサマイクに対してミキシングコンソールからファンタム電源を供給しなければならない。録音・制作システムがすべてデジタル化している中でマイクをデジタル化するメリットは大きい。
【0003】
そこで、近年、デジタル方式のマイクロホンがいくつか提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。また、これらに関連する技術として、例えば特許文献3に開示された変位検出装置が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−308998号公報
【特許文献2】特開平11−178099号公報
【特許文献3】特開2003−322552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、マイクロホンの指向性について、全指向性マイクカプセルと双指向性マイクカプセル、あるいは2組の相反する方向を向いた単一指向性マイクカプセルを組み合わせ、出力信号を電気的に合成する方式の技術は存在するものの、微小信号レベルでの信号合成をマイクカプセルの近傍で、低ノイズで高精度に行なう必要があり、信号の劣化を伴うという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような課題を解決するために成されたものである。すなわち、本発明は、レーザ光を出射する光源と、光源から出射されたレーザ光を反射可能な第1の振動体および第2の振動体と、ビームスプリッタとを含んで構成され、光源から出射されたレーザ光をビームスプリッタによって第1および第2の光路に分離して進行させるとともに、第1の光路において第1の振動体により反射された反射光と第2の光路において第2の振動体により反射された反射光とを互いに干渉させて干渉縞を形成するマイケルソン型干渉計と、干渉計によって形成された干渉縞に基づき、第1の振動体および第2の振動体の振動を量子化して検出する検出手段とを備える振動検出装置である。
【0007】
このような本発明では、2つの振動体による2つの光路によって干渉縞を形成し、この干渉縞に基づき振動を量子化することから、電気的加算によらず光学的な光路長差によって2つの振動体の振動における合成出力を検出できるようになる。
【0008】
ここで、第1の振動体および第2の振動体としては、振動の検出において互いに異なる指向性を有するものや、いずれか一方は振動検出における指向性が全指向特性を有し、他方は振動検出における指向性が双指向特性を有するものを用いている。これにより、2つの振動体の合成出力が特定の指向性を持った振動検出値となる。
【0009】
この際、干渉計として、第1の光路と第1の振動体との相対的な位置および第2の光路と第2の振動体との相対的な位置を変更可能に設けることで、これら相対的な位置に応じて2つの振動体の合成出力の合成の割合を変更でき、指向性特性を変更できるようになる。これら相対的な位置を変更するには、振動体の位置を変更できる機構を設けるほか、光路をずらす機構を設けることが考えられる。
【発明の効果】
【0010】
したがって、本発明によれば、2種類の振動体による出力を合成する場合、電気的加算の手法を使わずに、純粋に光学的に光路長差という形で合成出力を検出するため、加算による信号の劣化が全くなく、微小信号レベルでも低ノイズで高精度な振動検出を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図に基づき説明する。
【0012】
<振動検出装置の構成>
図1は、本実施形態に係る振動検出装置(光学式のマイクロホン装置1)の構成を示すブロック図である。このマイクロホン装置1は、音波Swに応じて振動する振動膜を利用して量子化された音声信号Soutを出力するものであり、レーザ光源10と、コリメータレンズ10Aと、偏光板110と、第1の振動膜151および第2の振動膜152と、偏光ビームスプリッタ(後述する偏光ビームスプリッタ130)および2つのλ/4板(後述するλ/4板161、162)を含むマイケルソン干渉計に準ずる構成の干渉計と、デジタル信号である出力信号(音声信号Sout)を出力する検出部とを備えている。
【0013】
レーザ光源10は、レーザ光Loutを出射するものであり、例えばマルチモード(ファブリペロー型)のレーザ光源(例えば、端面発光型の半導体レーザ光源)や、シングルモードのレーザ光源(例えば、面発光型の半導体レーザ光源やDFB(Distributed Feed-Back)レーザなど)などにより構成される。
【0014】
偏光板110は、レーザ光源10から出射されたレーザ光Loutの直線偏光の方向を変えるためのものである。具体的には、この偏光板110を通過したレーザ光Loutの直線偏光の方向が後述する偏光ビームスプリッタ130により分割されるs偏光波とp偏光波との光強度がほぼ等しくなるように偏光軸が設定されている。
【0015】
なお、レーザ光源10自体を回転させることで出射されるレーザ光Loutの直線偏光の方向をそのような方向に設定可能なのであれば、偏光板110を必ずしも設けなくともよい。ただし、本実施の形態のように偏光板110を設けた場合には、レーザ光源10自体の回転位置の精度によらず、偏光ビームスプリッタ130への入射光の直線偏光の方向を上記のように設定することができる。また、λ/2板を使用しても同様の効果が得られる。
【0016】
<干渉計の構成>
干渉計は、偏光ビームスプリッタ130と、第1の振動膜151と、第2の振動膜152と、3つのλ/4板161、162、163と、ビームスプリッタ120と、2つの偏光板111、112とから構成されている。
【0017】
偏光ビームスプリッタ130は、レーザ光源10から発せられ偏光板110を通過したレーザ光Loutを、2つの光路、すなわち第1の振動膜151側の反射光路(第1の光路)と、第2の振動板152側の反射光路(第2の光路)とに分離して進行させるためのものである。具体的には、詳細は後述するが、この偏光ビームスプリッタ130では、第1の光路側にレーザ光のP偏光成分poが、第2の光路側にレーザ光のS偏光成分soがそれぞれ進行するように設定されている。
【0018】
なお、前述のように、この偏光ビームスプリッタ130へ入射するレーザ光Loutの直線偏光の方向は、偏光ビームスプリッタ130の有する2つの偏光軸(S偏光軸およびP偏光軸)に対してそれぞれ45度ずつ異なる方向となるように設定されているため、入射するレーザ光Loutは、P偏光成分poとS偏光成分soとでほぼその光強度が等しくなるように分離されるようになっている。
【0019】
第1の振動膜151は音波Swに応じて変位するものであり、例えばコンデンサマイクに使用されるものと同様に、表面が金蒸着された振動膜などにより構成される。この第1の振動膜151は、レーザ光Loutを高い反射率で反射可能となっている。
【0020】
第2の振動膜152は音波Swに応じて変位するものであり、例えばコンデンサマイクに使用されるものと同様に、表面が金蒸着された振動膜などにより構成される。この第2の振動膜152は、レーザ光Loutを高い反射率で反射可能となっている。
【0021】
λ/4板161は、偏光ビームスプリッタ130と第1の振動板151との間の光路上に配設され、λ/4板162は、偏光ビームスプリッタ130と第2の振動板152との間の光路上に配設されている。
【0022】
ビームスプリッタ120は、ビームスプリッタ130を介して入射するレーザ光LoutのS偏光成分s1(第1の反射光)およびP偏光成分p1(第2の反射光)をそれぞれ、偏光板111側の光路と偏光板112側の光路とに分離して進行させるものである。
【0023】
偏光板111、112は、それぞれ入射するS偏光成分s1(第1の反射光)の偏光方向およびP偏光成分p1(第2の反射光)の偏光方向からそれぞれ45度傾いた方向に偏光軸を有する偏光板である。このような構成により詳細は後述するが、これら偏光板111、112において、S偏光成分s1とP偏光成分p1とが互いに干渉して干渉縞が形成されるようになっている。なお、λ/4板163は、ビームスプリッタ120と偏光板111との間の光路上に配設されている。
【0024】
このような構成により本実施の形態の干渉計では、レーザ光源10から発せられたレーザ光Loutが2つの光路(第1および第2の光路)に分離されて進行する。具体的には、偏光ビームスプリッタ130、λ/4板161、第1の振動膜151、λ/4板161、偏光ビームスプリッタ130、ビームスプリッタ120、偏光板111、112およびλ/4板163を通る第1の光路(第1の反射光路)と、偏光ビームスプリッタ130、λ/4板162、反射板152、λ/4板162、偏光ビームスプリッタ130、ビームスプリッタ120、偏光板111、112およびλ/4板163を通る第2の光路(第2の反射光路)とに分離されて進行する。
【0025】
この際、第1の反射光路においてλ/4板161を介して振動膜151により反射された光p0はs偏光に変換されs1となり(S偏光成分s1、第1の反射光)と、第2の反射光路においてλ/4板162を介して反射板152により反射された光s0はp偏光に変換されたp1(P偏光成分p1、第2の反射光)とが偏光板111、112において互いに干渉し、干渉縞が形成されるようになっている。
【0026】
<検出部の構成>
検出部は、2つの光電変換素子171、172と、デジタルカウント部181とから構成されている。
【0027】
光電変換素子171、172は、偏光板111、112上に形成された干渉縞を検出して光電変換し、それぞれ出力信号 Sx、Syを出力するものである。これら光電変換素子171、172は、例えばPD(Photo Diode)などにより構成される。
【0028】
デジタルカウント部181は、光電変換素子171、172からそれぞれ出力される出力信号Sx、Syを、例えば図2に示したようなリサージュ図形を用いて後述する所定のカウントタイミングでカウントすることで量子化し、デジタル信号である出力信号(音声信号Sout)を出力するものである。なお、このようなリサージュ図形を用いたデジタルカウント方法については、後ほど詳述する。
【0029】
次に、図3を参照して、本実施の形態のマイクロホン装置1を単一の基体上で形成した場合の構成例について説明する。ここで図3は、図1に示したマイクロホン装置1を単一の基体上で形成した場合の平面構成を表したものである。
【0030】
図3に示したマイクロホン装置1では、アルミダイキャスト等のべース(基体100A)上に、レーザ光源10、このレーザ光Loutを集光するためのコリメータレンズ10A、偏光ビームスプリッタ130、第1の振動膜151、この第1の振動膜151を両端から支持する支持部151A、第2の振動膜152、この第2の振動膜152を両端から支持する支持部152A、偏光板111、112、ビームスプリッタ120、反射ミラーM1、λ/4板161〜163および光電変換素子171、172がそれぞれ配設されている。
【0031】
このうち、偏光ビームスプリッタ130、λ/4板161、162および反射ミラーM1が互いに張り合わせられ一体化して配置されるとともに、ビームスプリッタ120およびλ/4板163も互いに張り合わせられ一体化して配置されている。
【0032】
なお、図3のマイクロホン装置1には偏光板110が設けられていないが、この偏光板110を設けるようにしてもよい。このようにディスクリート光学部材を用いて構成されることで、図3に示したマイクロホン装置1では、小型(コンパクト)かつ堅固な構成となっている。この場合の装置の幅L1、W1(図3参照)としては、例えば、L1=20mm程度以下、W1=12mm程度以下にすることが可能である。
【0033】
<振動検出の基本動作>
次に、図1および図2を参照して、本実施の形態のマイクロホン装置1の動作について詳細に説明する。
【0034】
このマイクロホン装置1では、図1に示したように、レーザ光源10からレーザ光Loutが出射されて偏光板110を通過すると、このレーザ光Loutの直線偏光の方向が変更され、偏光ビームスプリッタ130の有する2つの偏光軸(S偏光軸およびP偏光軸)に対してそれぞれ45度ずつ異なる方向となる。
【0035】
次に、偏光板110を通過したレーザ光Loutは、偏光ビームスプリッタ130により、第1の振動膜151側の反射光路(第1の光路)と、第2の振動膜152側の反射光路(第2の光路)とに約50%ずつ分離され進行する。これにより、レーザ光Loutは、第1の反射光路を進行するP偏光成分poと、第2の反射光路を進行するS偏光成分soとに分離される。すなわち、偏光ビームスプリッタ130では、S偏光成分の光が反射されるとともに、P偏光成分の光が透過するようになっている。
【0036】
ここで、P偏光成分poは、λ/4板161を通過すると直線偏光から円偏光となり、その後、第1の振動膜151で反射されると逆向きの円偏光となり、再びλ/4板161を通過することで、S偏光成分s1(第1の反射光)に変換される。そしてこのS偏光成分s1は上記のように偏光ビームスプリッタ130において反射されるため、第1の反射光路上をビームスプリッタ120の方向へ進行する。
【0037】
一方、第2の反射光であるS偏光成分s0は、λ/4板162を通過すると直線偏光から円偏光となり、その後、第2の振動膜152で反射されると逆向きの円偏光となり、再びλ/4板162を通過することで、P偏光成分p1に変換される。そしてこのP偏光成分p1は上記のように偏光ビームスプリッタ130を透過するため、第2の反射光路上をビームスプリッタ120の方向へ進行する。
【0038】
なお、この際、同じ光路(反射光路および参照光路)を進行するS偏光成分s1およびP偏光成分p1は、互いに偏光方向が90度異なるため、干渉し合うことはない。
【0039】
次に、第1の反射光路および第2の反射光路を進行するS偏光成分s1およびP偏光成分p1は、それぞれビームスプリッタ120により偏光板111側の光路と偏光板112側の光路とに約50%ずつに分離されて進行し、偏光板111、112へそれぞれ到達する。
【0040】
その際、偏光板111側の光路では途中にλ/4板163が挿入配置されているため、偏光板111へ到達したS偏光成分s1およびP偏光成分p1と、偏光板112へ到達したS偏光成分s1およびP偏光成分p1とでは、位相が互いに90度異なることになる。そして偏光板111、112は、それぞれS偏光成分s1の偏光方向およびP偏光成分p1の偏光方向からそれぞれ45度傾いた方向に偏光軸を有するため、これらS偏光成分s1およびP偏光成分p1の位相が互いに90度異なっている本実施の形態の場合でも、偏光板111、112においてS偏光成分s1とP偏光成分p1とが互いに干渉し合い、干渉縞が形成される。
【0041】
次に、偏光板111、112上に形成された干渉縞は、それぞれ光電変換素子171、172により検出される。ここで、光電変換素子171、172では互いに位相が90度ずれた状態で干渉縞が検出されることになる。
【0042】
そして、光電変換素子171で検出された干渉縞は電気信号に変換され、出力信号Sxとして出力される一方、光電変換素子172で検出された干渉縞も電気信号に変換され、出力信号Syとして出力される。
【0043】
次に、デジタルカウント部181では、光電変換素子171、172からの出力信号 Sx、Syがそれぞれ、X信号およびY信号とみなされ、例えば図2に示したような円状または円弧状のリサージュ図形が生成される。具体的には、まず、(X,Y)信号による干渉縞の強度の中央値を中心点C(CX,CY)として、以下の(1),(2)式の演算を行うことにより、(X,Y)信号が、DC成分が除去された(x,y)信号に変換される。
【0044】
x=X−CX …(1)
y=Y−CY …(2)
【0045】
すると、上記(1),(2)式の演算により、信号点(x,y)の動きから、図2に示したように中心点Cを中心とする円周上を運動するリサージュ図形が得られる。このとき、光電変換素子171、172で検出された検知ポイント(例えば、図中の信号点PO)はこの円周上の1点であり、第1の振動膜151および第2の振動膜152の変位の合成に従って円周上を変位することになる。
【0046】
したがって、このような信号点POが所定の基準点(例えば、x軸およびy軸上の4つの基準点Pa〜Pd)を通過する回数をカウントすれば、干渉縞の強度が一義的に決まるため、第1の振動膜151および第2の振動膜152の合成の変位をデジタルで検知したこととなり、そのカウントされた回数が角度αの情報であるデジタル信号の音声信号Soutとして出力される。なお、このように4つの基準点Pa〜Pdを基準点としてカウントした場合、干渉縞が90度(1/4波長)変動する度にカウントすることを意味することになる。後述のように、この円周上の基準点の数を増やすことによって検出の分解能を上げることが可能であるが、x、yの値をAD変換し、θ=arctan(x/y) の演算をデジタル的に行なうことにより図2における角度θが求められるため、デジタルデータの語長を長くすれば分解能を向上することができる。さらに上記カウントを併用することで、arctanの演算範囲を超える変位でも高精度に検出できる。
【0047】
以上のように本実施の形態では、レーザ光源10からのレーザ光Loutを偏光ビームスプリッタ130によって2つの光路(第1および第2の光路)に分離して進行させるとともに、第1の光路(第1の反射光路)においてλ/4板161を介して第1の振動膜151により反射されたS波成分s2(第1の反射光)と、第2の光路(第2の反射光路)においてλ/4板162を介して第2の振動板152により反射されたP波成分p1(第2の反射光)とを互いに干渉させて干渉縞を形成し、この干渉縞に基づき第1の振動膜151および第2の振動膜152の合成の振動を量子化して検出するようにしたので、従来と比べてよりコンパクトな構成によって、振動膜の振動を光学的にデジタル検出することができる。
【0048】
具体的には、干渉計としてマイケルソン干渉計に準ずる構成の干渉計を用いるようにしたので、小型かつ簡易な構成で実現することができる。よって、光学的にデジタル振動検出を行う振動検出装置(マイクロホン装置)において装置の小型化を図ることが可能となる。
【0049】
また、偏光ビームスプリッタ130およびλ/4板161、162を用いて干渉計を構成するようにしたので、純粋なマイケルソン干渉計の場合に生ずる、レーザ光源10に対するレーザ光Loutの戻り光を回避することができ、レーザ光源10でのノイズ発生を回避することが可能となる。よって、純粋なマイケルソン干渉計を用いて構成した場合と比べて良好なS/N比を得ることができ、第1の振動膜151および第2の振動膜152の振動の検出精度を向上させることが可能となる。
【0050】
また、干渉縞の検出を2つの光電変換素子171、172を用いて行うとともに、これら光電変換素子171、172で検出する干渉縞の位相差がそれぞれ互いにほぼ90度になるように設定したので、円形状のリサージュ図形を以下のように形成させることができ、検出を容易に行うことができる。
【0051】
さらに、2つの光電変換素子171、172からの出力信号Sx、SyをそれぞれX信号およびY信号とし、これらX,Y信号に基づく円状または円弧状のリサージュ図形を生成するようにしたので、干渉縞の検知ポイントがそれぞれ第1の振動膜151および第2の振動膜152の合成の変位に従って円周上を変位するようになり、所定の基準点を通過する回数をカウントすることにより、第1の振動膜151および第2の振動膜152の合成の変位をデジタルで検知することが可能となる。
【0052】
<振動膜の変位の合成>
本実施形態に係る振動検出装置(マイクロホン装置)では、2つの振動膜を用いてこれらの振動の合成を光学的に行う構成であり、合成の割合によってマイクロホン装置の振動(音波)検出における指向性を持たせることができる。特に、2つの振動膜が違いに異なる指向性を有するものを用いると、指向性の特性を顕著に制御できることになる。以下、この合成の説明を行うにあたり、2つの振動膜のうち一方が全指向性マイクカプセル、他方が双指向性マイクカプセルの場合を例とする。
【0053】
図1に示すマイクロホン装置1に用いられる2つの振動膜151、152のうち、第1の振動膜151が双方向性カプセル、第2の振動膜152が全指向性マイクカプセルとなっている。ここで、2つの振動膜151、152は、音波入射方向に第2の振動膜(全指向性マイクカプセル)152が向けられ、それと直角方向に第1の振動膜(双指向性マイクカプセル)151が向けられている。これは振動膜にレーザを直角に反射させるため都合のよい配置になっている。
【0054】
レーザ光源10から出射されたレーザ光Loutは偏光板110を通り偏光ビームスプリッタ130にてS偏光成分は全指向性マイクカプセル(第2の振動膜152)側へ、P偏光成分は双指向性マイクカプセル(第1の振動膜151)へと分岐する。全指向性マイクカプセル(第2の振動膜152)側へ分岐した光はλ/4板162を通過し円偏光になり第2の振動膜152で反射した後、再びλ/4板162を通過するためP偏光となり、偏光ビームスプリッタ130を透過する。
【0055】
一方、双指向性マイクカプセル(第1の振動膜151)側へ向かう光はλ/4板161を通過し円偏光になり第1の振動膜151で反射した後、再びλ/4板161を通過するためS偏光となり、偏光ビームスプリッタ130にて反射される。そして、この2つの光はビームスプリッタ120で2分岐され互いに90度の位相差が生じるような角度で配置された偏光板111、112を通過し、干渉縞を生じる。
【0056】
各カプセルでは音圧の入力に従いその振動膜に変位が生じる。ここで、全指向カプセル側アームの光路長をLa、生じる変位をδa、双指向性側アームの光路長をLb、生じる変位をδbとすると。光路差ΔL、光強度Ia,Ibは次のように表される。
【0057】
ΔL=(La+δa)−(Lb+δb)
Ia=A2+B2+2ABcos(2πΔL/λ)
Ib=A2+B2+2ABcos{(2πΔL/λ)+(π/2)}
ここで、A,Bは干渉する2光束の振幅、λはレーザ光波長である。
【0058】
干渉縞の可視度が最大となるLa=Lbとなるように光路を調整すると、ΔL=δa−δbとなる。これらの光強度を光電変換素子にて電気信号に変換し、DC成分であるA2+B2の成分をカットし90度の位相差を持ったAC成分の比をarctan変換すれば角度成分が求まり、光路差ΔLに比例する成分を演算により求めることができる。このデータをサンプリング周波数の周期で取り込むことで音声信号を取り出すことができる。
【0059】
一方、図4に示すように、第1の振動膜および第2の振動膜であるマイクカプセル側には、レーザ光のビームスポット位置をずらすことができる機構が設けられており、中心からの距離dを変更できるようになっている。
【0060】
振動膜の変位は、ビームスポットが振動膜の中心から遠ざかるほど小さくなり、振動膜の固定端で変位がゼロになる。図4のように、中心からの距離d1の時の変位をδ1とすると、調整機構によりd2にビームスポット位置を移動させると変位をδ2に変化させることができる。このビームスポット位置調整機構は2つのマイクカプセルのそれぞれに設けられており、振動膜の受ける音圧に対する変位の割合を変えることができるようになっている。なお、この機構はマイクカプセル側をビームと直交方向に移動させるものであるが、レーザ光源や偏光ビームスプリッタ等を移動し、振動膜の位置に対する相対的なビーム位置を変えるような機構であってもよい。
【0061】
ここで、便宜的にそれぞれのマイクカプセルの指向性特性をf1(θ)=1、f2(θ)=cosθとし、全指向性マイクカプセルに対する調整機構による減衰係数をa、双指向性マイクカプセルに対する減衰係数をbとすると、本実施形態の振動検出装置(マイクロホン装置)の指向特性は図5、図6のようになる。すなわち、a=1、b=0では図5に示すような全指向特性を示し、a=0、b=1では図6に示すような双指向特性を示す。
【0062】
また、減衰係数a、bをかけた各特性はf1(θ)=a、f2(θ)=b・cosθとなる。また、それぞれの音圧特性は、振動膜の変位量に比例することからそれぞれの変位量をδ1、δ2とすると、感度係数Kをかけて、δ1(θ)=Ka、δ2(θ)=Kb・cosθとなる。
【0063】
したがって、光路長差ΔLは、ΔL=δ1−δ2=K(a−b・cosθ)と表され、(a−b・cosθ)に比例した振動膜の変位量を検出することが可能になる。
【0064】
ここで、(a−b・cosθ)の値は、前述の移動機構により調整が可能であり、aの値とbの値との組み合わせによって全指向性、双指向性のほか、図7に示すカージオイド(Cardioid)、図8に示すハイパー・カージオイド(Hyper Cardioid)、図9に示すスーパー・カージオイド(Super Cardioid)などの各種の指向特性を実現することが可能となる。
【0065】
前述の移動機構によりaおよびbの値の組み合わせを設定する場合、予め決められたパターンを用意しておき、ユーザの選択を受け付けて、その受け付けたパターンに設定したり、aおよびbの値を連続的に変化できるような機構を設けておいてもよい。また、指向性の特性によって複数のパターンを設けておき、指向性の特性をユーザによって選択させて、その選択した指向性のパターンに合わせてaおよびbの値を設定するようにしてもよい。
【0066】
なお、上記実施形態では、第1の振動膜151として双指向性マイクカプセル、第2の振動膜152として全指向性マイクカプセルを用いる例を示したが、これ以外の指向性を有するマイクカプセルを用いてもよい。例えば、第1、第2の振動膜151、152とも単一指向性のマイクカプセルを用い、両者を相直角に配置すれば、上記説明した減衰係数a、bの割合によって単一指向性の方向を90度の範囲で選択できるようになる。
【0067】
以上、本実施形態に係る振動検出装置を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、リサージュ図形上に4つの基準点Pa〜Pdを設けてデジタルカウントを行う場合について説明したが、基準点の数はこれに限らず、例えば、図10に示したように、4つの基準点Pa〜Pdに加えて例えば基準線E〜Hを用い、さらに基準点を細かく設定して増やすようにしてもよい。このように構成した場合、カウント数を増やすことができるので、出力信号Soutの値を大きくし、検出感度をより向上させることが可能となる。
【0068】
また、上記実施形態では、レーザ光Loutを発する光源として半導体レーザを挙げて説明したが、これ以外にも例えば、ガスレーザや固定レーザなどを用いるようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、本発明の振動検出装置の一例として、振動体が音波に応じて振動する振動膜(第1の振動膜151、第2の振動膜152)であり、この振動膜151、152の振動を音声信号Soutとして検出する光学式マイクロホン装置について説明したが、本発明の振動検出装置はこれには限られず、他の振動を検出するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施形態に係る振動検出装置(光学式のマイクロホン装置)の構成を示すブロック図である。
【図2】デジタルカウント部において作成されるリサージュ図形の一例を示す図である。
【図3】本実施形態に係る振動検出装置を単一の基体上に配置した場合の構成例を示す平面図である。
【図4】振動膜に当たるビームスポット位置による変位の違いを説明する模式図である。
【図5】本実施形態に係る振動検出装置(光学式のマイクロホン装置)の指向特性の例を示す図(その1)である。
【図6】本実施形態に係る振動検出装置(光学式のマイクロホン装置)の指向特性の例を示す図(その2)である。
【図7】本実施形態に係る振動検出装置(光学式のマイクロホン装置)の指向特性の例を示す図(その3)である。
【図8】本実施形態に係る振動検出装置(光学式のマイクロホン装置)の指向特性の例を示す図(その4)である。
【図9】本実施形態に係る振動検出装置(光学式のマイクロホン装置)の指向特性の例を示す図(その5)である。
【図10】本実施形態の変形例に係るリサージュ図形の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1…マイクロホン装置、10…レーザ光源、10A,10B…コリメータレンズ、100…基体、120…ビームスプリッタ、130…偏光ビームスプリッタ、151…第1の振動膜、152…第2の振動膜、171,172…光電変換素子、181…デジタルカウント部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射する光源と、
前記光源から出射されたレーザ光を反射可能な第1の振動体および第2の振動体と、ビームスプリッタとを含んで構成され、前記光源から出射されたレーザ光を前記ビームスプリッタによって第1および第2の光路に分離して進行させるとともに、前記第1の光路において前記第1の振動体により反射された反射光と前記第2の光路において前記第2の振動体により反射された反射光とを互いに干渉させて干渉縞を形成するマイケルソン型干渉計と、
前記干渉計によって形成された干渉縞に基づき、前記第1の振動体および第2の振動体の振動を量子化して検出する検出手段と
を備えることを特徴とする振動検出装置。
【請求項2】
前記第1の振動体と前記第2の振動体とは、振動の検出において互いに異なる指向性を有している
ことを特徴とする請求項1記載の振動検出装置。
【請求項3】
前記第1の振動体および前記第2の振動体のうち、いずれか一方は振動検出における指向性が全指向特性を有し、他方は振動検出における指向性が双指向特性を有する
ことを特徴とする請求項1記載の振動検出装置。
【請求項4】
前記干渉計は、前記第1の光路と前記第1の振動体との相対的な位置および前記第2の光路と前記第2の振動体との相対的な位置が変更可能に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の振動検出装置。
【請求項5】
前記検出手段は、
前記干渉縞を互いに位相が90度ずれた状態で検出する2つの光電変換素子と、
前記2つの光電変換素子からの出力信号を信号点とみなして、平面上に円状または円弧状のリサージュ図形を生成する図形生成手段と、
前記図形生成手段で生成されたリサージュ図形上において、信号点が所定の基準点を通過する回数をカウントするカウンタとを有する
ことを特徴とする請求項1記載の振動検出装置。
【請求項1】
レーザ光を出射する光源と、
前記光源から出射されたレーザ光を反射可能な第1の振動体および第2の振動体と、ビームスプリッタとを含んで構成され、前記光源から出射されたレーザ光を前記ビームスプリッタによって第1および第2の光路に分離して進行させるとともに、前記第1の光路において前記第1の振動体により反射された反射光と前記第2の光路において前記第2の振動体により反射された反射光とを互いに干渉させて干渉縞を形成するマイケルソン型干渉計と、
前記干渉計によって形成された干渉縞に基づき、前記第1の振動体および第2の振動体の振動を量子化して検出する検出手段と
を備えることを特徴とする振動検出装置。
【請求項2】
前記第1の振動体と前記第2の振動体とは、振動の検出において互いに異なる指向性を有している
ことを特徴とする請求項1記載の振動検出装置。
【請求項3】
前記第1の振動体および前記第2の振動体のうち、いずれか一方は振動検出における指向性が全指向特性を有し、他方は振動検出における指向性が双指向特性を有する
ことを特徴とする請求項1記載の振動検出装置。
【請求項4】
前記干渉計は、前記第1の光路と前記第1の振動体との相対的な位置および前記第2の光路と前記第2の振動体との相対的な位置が変更可能に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の振動検出装置。
【請求項5】
前記検出手段は、
前記干渉縞を互いに位相が90度ずれた状態で検出する2つの光電変換素子と、
前記2つの光電変換素子からの出力信号を信号点とみなして、平面上に円状または円弧状のリサージュ図形を生成する図形生成手段と、
前記図形生成手段で生成されたリサージュ図形上において、信号点が所定の基準点を通過する回数をカウントするカウンタとを有する
ことを特徴とする請求項1記載の振動検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−128170(P2009−128170A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303172(P2007−303172)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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