説明

振動計測装置及び振動計測方法

【課題】 測定対象の振動情報と高さ情報を複数点同時に計測する。
【解決手段】
光源部110から出射された互いに位相同期され干渉性のある参照光LRと測定光Lを干渉光学系140において分割して参照光学系120と測定光学系130に入射し、測定光Lを光分合波器131によりチャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光LCH1〜LCHnに分離して測定面10の複数の測定点に照射し、測定面10で反射されて戻ってきた複数チャンネルの測定光LCH1〜’LCHn’を測定L’として測定光学系130から干渉光学系140に戻し、参照光学系120と測定光学系130から戻ってくる参照光LR’と測定光L’の干渉光Lに含まれる光スペクトルを検出部150で検出して信号処理部160において各スペクトル成分を解析し、測定面10の複数の測定点における振動情報と高さ情報を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いて測定対象の振動情報と高さ情報を複数点同時に計測する振動計測装置及び振動計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
振動を検出して電気信号に変換して振動を測定する計測器として、振動計が用いられている。振動計には、接触式と非接触式のものがある。接触式の振動計は、センサを測定対象物に接続して振動の加速度を計測する。非接触式の振動計は、センサの取り付けによって振動の状態が変化する場合、測定対象が回転体であって信号の読み出しが難しい場合、寸法や材質のためにセンサの取り付けが難しい場合等に用いられる。
【0003】
非接触式の振動計としては、渦電流型、静電容量型、レーザ型、レーザドップラ型等がある。例えば、レーザドップラ型の振動計は、振動体にレーザ光を照射して、ドップラ効果による反射光の周波数変化(ドップラシフト)を観測して振動の測定を行うものである。
【0004】
従来の振動計測装置においては、接触式、非接触式によらず、1つのヘッドについて1箇所の振動を計測するものであり、装置によっては、ヘッドを増設することにより複数ポイントの振動測定に対応できるものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−101963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
振動の発生原因や振動による負荷を調査するためには、測定対象の面内の振動分布の計測が求められる。例えば、定常的な振動であれば、振動の周期に合わせて場所をずらしながら振動計測を行うことによって、面内の振動分布を測ることができる。
【0007】
しかしながら、過渡的に変化する振動を実時間で計測したい場合、どのような周波数成分の振動が含まれているか予め分からない場合等、数点の振動情報を同時に必要とする場合には、数点の振動情報を同時に測定できる振動計測装置が必要となる。
【0008】
例えば、レーザドップラ振動計のような従来の装置においても多くのヘッドと干渉計を用い、装置間の同期をとりながら計測を行うことによって、多点の振動測定が可能であるが、多点のレーザ光線の光軸調整や測定時刻の同期をとるのは容易ではない。
【0009】
また、従来のレーザドップラ振動計では、振動の振幅を測定することができるが、静止状態の高さを得ることはできず、また、一般的に計測可能な速度レンジは、毎秒10m程度でしかない。
【0010】
本件出願人は、上述の如き従来の問題点に鑑み、所定の周波数間隔のスペクトルであって、互いに位相同期され干渉性のある基準光と測定光とを光源から出射し、上記光源から出射された測定光を分光ヘッドに入射し、上記分光ヘッドに入射された測定光を周波数成分毎に分けて測定対象の測定面の複数の測定点に照射することにより、上記測定面で反射され、上記分光ヘッドを介して入射された測定光と上記光源から出射された基準光とを干渉光学系により干渉させ、上記干渉光に含まれる光スペクトル成分を回折格子により分離し、分離した各スペクトル成分をそれぞれ複数の光検出器により検出し、検出した各スペクトル成分に基づいて、上記測定面の複数の測定点における振動情報を信号処理部により解析することにより、複雑な光軸調整をすることがなく、測定対象の多点の振動情報を同時に測定可能とした振動計測装置及び振動計測方法を特願2009−048392として先に提案している。
【0011】
本発明の目的は、本件出願人が先にて提案した振動計測装置及び振動計測方法を改良し、測定対象の振動情報と高さ情報を複数点同時に計測できるようにした振動計測装置及び振動計測方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明では、光周波数コムを異なるチャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光に分離して、複数チャンネルの測定光を測定対象に照射し、測定対象により反射された測定光と干渉光学系において基準光とを干渉させて干渉光を得て、上記干渉光に含まれる光スペクトル成分を分離し、分離した各スペクトル成分をそれぞれ複数の光検出器により検出し、検出した各スペクトル成分に基づいて、上記測定面の複数の測定点における振動情報を信号処理部により解析することにより、測定対象の振動情報と高さ情報を複数の測定点同時に計測する。
【0014】
すなわち、本発明に係る振動計測装置は、所定の周波数間隔のスペクトルであり、互いに位相同期され干渉性のある基準光と測定光とを出射する光源部と、上記光源部から出射された参照光と測定光を分割して参照光学系と測定光学系に入射し、上記参照光学系と測定光学系から戻ってくる参照光と測定光の干渉光を発生する干渉光学系と、上記干渉光学系において分割された参照光が入射され、入射された参照光を上記干渉光学系に戻す参照光学系と、上記干渉光学系において分割された測定光が入射され、入射された測定光をチャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光に分離して、複数チャンネルの測定光を測定面の複数の測定点に照射し、上記測定面で反射されて戻ってきた複数チャンネルの測定光を1つに合わせる光分合波器を備え、上記測定面の複数の測定点で反射された測定光を上記光分合波器を介して上記干渉光学系に戻す測定光学系と、上記干渉光学系により発生された干渉光に含まれる光スペクトルを分離する光スペクトル分離部と、上記光スペクトル分離部により分離された各光スペクトルを検出する複数の光検出器からなる光検出部と、上記検出部により検出した各スペクトル成分を解析し、各チャンネルの周波数成分の位相情報から上記測定面の複数の測定点における振動情報を得るとともに、各チャンネル内の各周波数成分の相対位相情報から上記測定面の複数の測定点における高さ情報を得る信号処理部とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る振動計測装置は、所定の周波数間隔のスペクトルであり、互いに変調周波数及び中心周波数が異なり、互いに位相同期され干渉性のある基準光と測定光とを出射する光源と、上記光源部から出射された参照光と測定光を分割して参照光学系と測定光学系に入射し、上記参照光学系と測定光学系から戻ってくる参照光と測定光の干渉光を発生する干渉光学系と、上記干渉光学系において分割された参照光が入射され、入射された参照光を上記干渉光学系に戻す参照光学系と、上記干渉光学系において分割された測定光が入射され、入射された測定光をチャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光に分離して、複数チャンネルの測定光を測定面の複数の測定点に照射し、上記測定面で反射されて戻ってきた複数チャンネルの測定光を1つに合わせる光分合波器を備え、上記測定面の複数の測定点で反射された測定光を上記光分合波器を介して上記干渉光学系に戻す測定光学系と、上記干渉光学系で発生した干渉光を検出する検出部と、上記検出部により検出した干渉光に基づいて、各チャンネルの周波数成分の位相情報から上記測定面の複数の測定点における振動情報を得るとともに、各チャンネル内の各周波数成分の相対位相情報から上記測定面の複数の測定点における高さ情報を得る信号処理部とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る振動計測方法は、所定の周波数間隔のスペクトルであり、互いに変調周波数及び中心周波数が異なり、互いに位相同期され干渉性のある基準光と測定光とを光源部から出射する出射工程と、上記光源部から出射された測定光を光分合波器に入射する入射工程と、上記光分合波器に入射された測定光をチャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光に分離して、複数チャンネルの測定光を測定対象の測定面の複数の測定点に照射し、上記測定面で反射されて戻ってきた複数の測定光を上記光分合波器により1つに合わせて干渉光学系に入射する照射工程と、上記測定面で反射され、上記光分合波器を介して入射された測定光と上記光源部から出射された基準光とを干渉光学系により干渉させる干渉工程と、上記干渉光学系により発生された干渉光に含まれる光スペクトルを分離して、各光スペクトルを検出する検出工程と、上記検出工程において検出した各スペクトル成分を解析し、各チャンネルの周波数成分の位相情報から上記測定面の複数の測定点における振動情報を得るとともに、各チャンネル内の各周波数成分の相対位相情報から上記測定面の複数の測定点における高さ情報を得る解析工程とを有することを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明に係る振動計測方法は、所定の周波数間隔のスペクトルであって、互いに位相同期され干渉性のある基準光と測定光とを光源部から出射する出射工程と、上記出射工程において光源部から出射された測定光を光分合波器によりチャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光に分離して、複数チャンネルの測定光を測定対象の測定面の複数の測定点に照射し、上記測定面で反射されて戻ってきた複数の測定光を上記光分合波器により1つに合わせて干渉光学系に入射する照射工程と、上記光分合波器を介して入射された測定光と上記光源部から出射された基準光とを干渉光学系により干渉させる干渉工程と、上記干渉光学系で発生した干渉光を検出する検出工程と、上記検出工程において検出した干渉光に基づいて、各チャンネルの周波数成分の位相情報から上記測定面の複数の測定点における振動情報を得るとともに、各チャンネル内の各周波数成分の相対位相情報から上記測定面の複数の測定点における高さ情報を得る解析工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、測定対象の振動情報と高さ情報を複数点同時に計測できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用した振動計測装置の一例を示すブロック図である。
【図2】上記振動計測装置に備えられた光周波数コムの発生器から出力される光周波数コムを周波数軸上で模式的に示す図である。
【図3】上記振動計測装置に備えられた光分合波器により分波された光周波数コムの周波数成分と各チャンネルとの関係を模式的に示す図である。
【図4】三角プリズム用いた上記光分合波器の構成例を模式的に示す図である。
【図5】アレイ導波路格子を用いた光分合波器の構成例を模式的に示す図である。
【図6】複数の波長分割多重フィルタを用いた上記光分合波器の構成例を模式的に示す図である。
【図7】上記振動計測装置の検出部において検出される複数の干渉信号の波形及び相対位相を模式的に示す図である。
【図8】上記振動計測装置において光分合波器により分波された複数のチャンネルの測定光を各チャンネルのヘッド部を介して測定面の長手方向(x方向)に沿った直線上に位置する複数の測定点に照射する状態を模式的に示す図である。
【図9】上記振動計測装置において、測定面について振動情報を2次元で計測するために、各チャンネルの測定光に含まれる複数の周波数の光を1周波数が1測定点に対応するように分離する光分離素子を各ヘッド部に設けて、各チャンネルのヘッド部でそれぞれy方向の3点の測定点に測定光を照射する状態を模式的に示す図である。
【図10】上記振動計測装置において、測定面の捻れを計測するために、2列に配置した各チャンネルのヘッド部を介して各チャンネルの測定光を照射する状態を模式的に示す図である。
【図11】本発明を適用した振動計測装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図12】上記振動計測装置において干渉光学系に戻される測定光と基準光とを周波数軸上で模式的に示す図である。
【図13】本発明を適用した振動計測装置のさらに他の構成例を示すブロック図である。
【図14】上記振動計測装置において光源部から出射される2台の光周波数コム発生から参照光と測定光として出射される光周波数コムを周波数軸上で模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
本発明は、例えば図1に示すような構成の振動計測装置100に適用される。
【0022】
この振動計測装置100は、参照光Lと測定光Lとを出射する光源部110、上記参照光Lが入射される参照光学系120、上記測定光Lが入射される測定光学系130、上記参照光学系120を介して上記参照光Lが入射されるとともに上記測定光学系130を介して上記測定光Lが入射される干渉光学系140、上記干渉光学系140で発生した干渉光Lを検出する検出部150、上記検出部150により検出された干渉光Lの検出出力を解析する信号処理部160などからなる。
【0023】
この振動計測装置100において、上記光源部110は、例えば、周波数がνのレーザ光を出射するレーザ光源111と、上記レーザ光源111からレーザが入射される光周波数コム発生器112と、上記光周波数コム発生器112に所定周波数の変調信号を与える発振器113とからなり、上記光周波数コム発生器112により発生される光周波数コムを互いに位相同期され干渉性のある参照光Lと測定光Lとして出射する。
【0024】
上記光周波数コム発生器112は、例えば、レーザ外部で光の強度や位相を変調する電気光学変調器(EOM)と、このEOMを挟むように対向して配設された反射鏡とからなり、電気光学変調器と反射鏡とで光発振器を構成してなるファブリペロー型電気光学変調方式のものが用いられる。なお、上記光周波数コム発生器112としては、この他にも、LiNbO結晶を使った位相変調器、強度変調器、半導体の吸収や位相の変化を利用する変調器等を用いてもよい。
上記光周波数コム発生器112は、上記レーザ光源111から出射されたレーザ光を上記発振器113から与えられる周波数fの変調信号で変調することにより、光周波数コムを発生する。光周波数コムは、例えば、図2に示すように、光周波数νを中心にマイクロ波周波数(変調信号の周波数)fに一致する等周波数間隔で発生させた側波帯(サイドバンド)を有する光であり、光周波数コムの中心周波数が入射されるレーザの光周波数νに一致している。光周波数νは、数百THzの領域であるため、光の位相情報を直接取り扱うことが難しいが、fは高くても数十GHzの領域なので、従来の電子回路技術で位相情報を容易に扱うことができる。したがって、光周波数コムを用いることにより、相対的な光の周波数や位相の情報を、光周波数コムが存在している帯域内で電気的に取り扱うことが可能となる。
【0025】
なお、上記光源部110には、それぞれ周期的に強度又は位相が変調され、かつ、キャリア周波数が安定化された1台の光源、例えばモード同期レーザを用いてもよい。干渉性がよければ独立な2台の光源としてもよい。
【0026】
この振動計測装置100において、参照光学系120は、上記光源部110から参照光Lと測定光Lとして出射された光周波数コムを上記干渉光学系140において上記ビームスプリッタ141により分割された参照光Lが1/8波長(λ/8)板121を介して入射される参照面122により、入射された参照光Lを反射して上記1/8波長(λ/8)板121を介して上記干渉光学系140に戻すようになっている。
【0027】
また、この振動計測装置100において、測定光学系130は、上記干渉光学系140において上記ビームスプリッタ141により分割された測定光Lが入射され、入射された測定光Lをチャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光LCH1〜LCHnに分離して、複数チャンネルの測定光LCH1〜LCHnを測定面10上の対応する複数の測定点に照射し、上記測定面10で反射されて戻ってきた複数チャンネルの測定光LCH1’〜LCHn’を1つに合わせる光分合波器131を備え、上記測定面10において複数の測定点で反射された測定光LCH1’〜LCHn’を上記光分合波器131を介して上記干渉光学系140に戻すようになっている。
【0028】
上記光分合波器131は、入射された測定光Lをチャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光LCH1〜LCHnに分離して、上記複数チャンネルの測定光LCH1〜LCHnを測定面10上の複数の測定点に照射する分波機能と、上記測定面10で反射されて戻ってきた複数チャンネルの測定光LCH1’〜LCHn’を1つに束ねて上記測定面10で反射されて戻ってきた測定光L’として上記干渉光学系140に入射する合波機能を有するもので、光を合波・分波するための部品としては、プリズム、干渉膜フィルタ、あるいは回折格子等の分光素子が用いられる。
【0029】
上記光分合波器131は、図3に示すように、光周波数コムの周波数成分がチャンネル毎に2つ以上入るように、各チャンネルの出力バンド幅と中心周波数が設定される。
【0030】
上記光分合波器131は、例えば図4に示すように、集光レンズ131A,131Cを介して測定光Lが入出射される三角プリズム131Bからなり、上記三角プリズム131Bにより、入射された測定光Lをチャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光LCH1〜LCHnに分波し、また、上記測定面10で反射されて戻ってきた複数チャンネルの測定光LCH1’〜LCHn’を合波して1つに束ねることができる。
【0031】
また、上記光分合波器131には、例えば、図5に示すように、光導波路により上記三角プリズムの機能を果たすようにしたアレイ導波路格子131D(AWG:Arrayed Waveguide Grating)を用いることができる。
【0032】
さらに、上記光分合波器131は、例えば、図6に示すように、分割波長が少しずつ異なる複数の波長分割多重フィルタを縦接続して構成することもできる。
【0033】
この図6に示す光分合波器131は、9個の波長分割多重フィルタ131a〜131iを縦接続してなる。9個の波長分割多重フィルタ131a〜131iは、入射される測定光L、すなわち、上記光源110から出射される所定の周波数間隔の光周波数コムの各スペクトラムの波長λ−n、λ−n+1、・・・λ−5、λ−4、λ−3、λ−2、λ−1、λ、λ、λ、λ、λ、λ・・・λn−1、λに対し、m=−4、−3、−2、−1、0、1、2、3、4の整数として、λ3m+1以下の波長の光は透過し、λ3m+2以上の波長の光は透過する光学特性を有する。
【0034】
この光分合波器131は、9個の波長分割多重フィルタ131a〜131iにより、次のように波長分割を行う。
【0035】
第1の波長分割多重フィルタ131aは、入射される測定光Lに含まれる波長λ−13、λ−12、λ−11の光は透過して第1チャンネルの測定光LCH1として出射し、λ−10以下の波長の光は反射して第2の波長分割多重フィルタ131bに入射する。
【0036】
また、第2の波長分割多重フィルタ131bは、入射される測定光Lに含まれる波長λ−10、λ−9、λ−8の光は透過して第2チャンネルの測定光LCH2として出射し、λ−7以下の波長の光は反射して第3の波長分割多重フィルタ131cに入射する。
【0037】
また、第3の波長分割多重フィルタ131cは、波長λ−7、λ−6、λ−5の光は透過して第3チャンネルの測定光LCH3として出射し、λ−4以下の波長の光はして第4の波長分割多重フィルタ131dに入射する。
【0038】
また、第4の波長分割多重フィルタ131dは、波長λ−4、λ−3、λ−2の光は透過して第4チャンネルの測定光LCH4として出射し、λ−1以下の波長の光は反射して第5の波長分割多重フィルタ131eに入射する。
【0039】
また、第5の波長分割多重フィルタ131eは、波長λ−1、λ−0、λの光は透過して第5チャンネルの測定光LCH5として出射し、λ以下の波長の光は反射して第6の波長分割多重フィルタ131fに入射する。
【0040】
また、第6の波長分割多重フィルタ131fは、波長λ、λ、λの光は透過して第6チャンネルの測定光LCH6として出射し、λ以下の波長の光は反射して第7の波長分割多重フィルタ131gに入射する。
【0041】
また、第7の波長分割多重フィルタ131gは、波長λ、λ、λの光は透過して第7チャンネルの測定光LCH7として出射し、λ以下の波長の光は反射して第8の波長分割多重フィルタ131hに入射する。
【0042】
また、第8の波長分割多重フィルタ131hは、波長λ、λ、λ10の光は透過して第8チャンネルの測定光LCH8として出射し、λ11以下の波長の光は反射して第9の波長分割多重フィルタ131iに入射する。
【0043】
さらに、第9の波長分割多重フィルタ131iは、波長λ11、λ12、λ13の光は透過して第9チャンネルの測定光LCH9として出射する。
【0044】
すなわち、この光分合波器131は、入射された測定光Lを上記9個の波長分割多重フィルタ131a〜131iによりチャンネル毎に3つの周波数成分を含む9チャンネルの測定光LCH1〜LCH9に分波して、上記9チャンネルの測定光LCH1〜LCH19を測定面10上の複数の測定点に照射する。
【0045】
また、この光分合波器131は、上記測定面10で反射されて戻ってきた9チャンネルの測定光LCH1’〜LCH9’を上記9個の波長分割多重フィルタ131a〜131iにより合波する。
【0046】
すなわち、上記測定面10で反射されて戻ってきた9チャンネルの測定光LCH1’〜LCH9’は、第1チャンネルの測定光LCH1’に含まれる波長λ−13、λ−12、λ−11の光は第1の波長分割多重フィルタ131aを透過し、第2チャンネルの測定光LCH2’に含まれる波長λ−10、λ−9、λ−8の光は第2の波長分割多重フィルタ131bを透過し、第3チャンネルの測定光LCH3’に含まれる波長λ−7、λ−6、λ−5の光は第3の波長分割多重フィルタ131cを透過し、以下同様に、各チャンネルの測定光LCH4’〜LCH9’に含まれる波長λ−4〜λ13の光は各波長分割多重フィルタ131d〜131iを透過することにより合波され1つに束ねられる。
【0047】
すなわち、上記9個の波長分割多重フィルタ131a〜131iは、上記測定面10で反射されて戻ってきた9チャンネルの測定光に含まれるλ−13〜λ13の波長の光を合波して1つに束ねて、上記測定面10で反射されて戻ってきた測定光L’として上記干渉光学系140に戻す。
【0048】
ここで、1チャンネルに含まれる光の波長の数及びチャンネル数は、測定対象に応じて任意の数とすることができる。
【0049】
上記光分合波器131により空間的に分離された各チャンネルの測定光は、光周波数コムが周波数スペクトルの広がりに応じた形状、例えばシート状とされて測定対象の測定面10における各測定点に照射され、上記測定面10の各測定点において反射されて上記光分合波器131に戻り再び1本のビームに束ねられる。上記測定面10の測定点から上記光分合波器131に戻る戻り光の位相は、測定面10の位置に応じた位相のシフトを受ける。例えば、測定面10が動いている場合には、戻り光の周波数が測定面10の速度に比例したドップラシフトを受ける。ドップラシフトとは、ある一定の周波数成分を持つ音波、電波又は光波をある速度で移動している物体に当てると、移動物体の持つ速度成分に比例して周波数が変化する現象をいう。なお、測定対象は、滑らかに繋がった表面に限定されず、例えば、光周波数コムの各モードをそれぞれ独立に振動する物体に照射することも可能である。
【0050】
上記干渉光学系140には、上記測定光学系130において、上記測定面10に照射された各チャンネルの測定光が各測定点において反射されて上記光分合波器131に戻り再び1本のビームに束ねられて入射される。
【0051】
上記干渉光学系140は、上記測定面10に照射された各チャンネルの測定光測定光LCH1〜LCHnが各測定点において反射されて上記光分合波器131に戻り再び1本のビームに束ねられた測定光L’が上記測定光学系130から入射され、上記参照光学系120に入射される参照光LR’と上記測定光学系130から入射される測定光L’とを上記ビームスプリッタ141において重ね合わせることにより、上記参照光LR’と測定光L’とを干渉させ、その干渉光Lを検出部150に入射する。
【0052】
この振動計測装置100において、検出部150は、上記干渉光学系140から入射される干渉光Lを直交する2つの偏光成分の光LX1、LX2に分離する偏光ビームスプリッタ151と、上記偏光ビームスプリッタ151された直交する2つの偏光成分の光LX1、LX2が入射される2つの光検出部152A、152Bからなる。2つの光検出部152A、52Bは、それぞれ回折格子などの分光素子152A1,152B1と、光検出器アレイ52A2,52B2を備える。
【0053】
この検出部150では、上記干渉光学系140から入射される干渉光Lを偏光ビームスプリッタ151により直交する2つの偏光成分の光LX1、LX2に分離し、光検出部152Aにおいて、一方の偏光成分の光LX1に含まれる各光スペクトル成分を分光素子152A1により分離して光検出器アレイ152A2で検出し、また、光検出部152Bにおいて、他方の偏光成分の光LX2に含まれる各光スペクトル成分を分光素子52B1により分離して光検出器アレイ152B2で検出する。
【0054】
上記分光素子152A1,152B1により分解された各光スペクトル成分は、光検出器アレイ152A2,152B2の1素子毎に、1本のサイドバンドが入射されるようになっている。光検出器アレイ152A2,152B2は、多数の検出器が並んだものであり、1つの検出器に干渉光の複数の周波数成分が入らないように、分光素子152A1,152B1として用いる回折格子の回折角や光学系の配置を調整する。
【0055】
ここで、この振動計測装置100では、直角位相ホモダイン干渉計を用いるので、上記光源部110から出射される光の偏光を上記検出部150に備えられた偏光ビームスプリッタ(PBS)151の出力偏光に対して45度になるように設定しておき、参照光学系120においては、参照面122により参照光Lを反射して上記干渉光学系140に戻す経路に1/8波長(λ/8)板121を挿入し、往復で2回1/8波長(λ/8)板121を通過させることにより、入射した直線偏光の参照光Lを円偏光の参照光L’として上記干渉光学系140に戻すようにしている。
【0056】
上記干渉光学系140により発生した干渉光Lの周波数は、参照光L’と測定光L’との間の差の周波数に等しく、上記検出部150では、この干渉光Lの強度を検出する。このように、上記検出部150において、干渉光学系140により発生した干渉光Lに含まれる光スペクトル成分を分離して、分離した各スペクトル成分をそれぞれ検出することにより、測定面10上の複数の測定点における振動を分離して計測することができる。
【0057】
この振動計測装置100において、信号処理部150では、検出部150で検出した干渉光Lの各スペクトル成分に基づいて測定面10上の複数の測定点における振動情報を解析する。測定面10における1点毎の振動測定の原理については、従来のレーザドップラ振動計と同様である。具体的には、上述した測定面10で反射された測定光における周波数シフト、すなわち、ドップラシフトを利用して測定面10の速度成分を測定する。例えば、光の波長をλとしたとき、ドップラシフト分の周波数変化fと測定面10の振動速度Vとの間には、下記(1)式の関係が成立する。
【0058】
=2V/λ (1)
したがって、振動計測装置100においては、ドップラシフト分の周波数変化fから、測定面10の振動情報、例えば、振動速度、移動距離、加速度等を解析することができる。
【0059】
そして、この振動計測装置100において、信号処理部160では、光源部110から出射される光周波数コムのコムモード次数をnとし、干渉信号の振幅をa、干渉信号の位相をθとして、例えば、上記干渉光Lの一方の偏光成分の光LX1に含まれる光スペクトル成分の強度を検出する上記第1の光検出部152Aにより光検出器アレイ152A2による検出出力に基づいて、干渉信号のacosθ成分の電圧値を算出するとともに、上記干渉光Lの他方の偏光成分の光LX2に含まれる光スペクトル成分の強度を検出する上記第2の光検出部152Bにより光検出器アレイ152B2による検出出力に基づいて、上記干渉信号のasinθ成分の電圧値を算出し、算出した干渉信号のsin成分とcos成分の電圧値から、上記干渉光学系140を構成している上記ビームスプリッタ41から測定面10までの距離Dを求める。
【0060】
ここで、この振動計測装置100では、光分合波器131を介して、チャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光を測定面10の複数の測定点に照射し、上記測定面10で反射されて戻ってきた複数チャンネルの測定光を1つに束ねて干渉光学系140に入射するので、図7(A),(B)に示すように、干渉信号の周波数成分の相対位相は距離λ=c/Δν当たり2πの割合で変化する。Δνは光周波数コムの周波数間隔であるから数10GHz程度で、光の周波数よりもはるかに低い。Δν=1GHz〜30GHzとすると、距離λは光の波長に比べればはるかに長い300mm〜10mmである。したがって、相対位相を計測することにより静止状態の高さ情報を得ることができる。また、振動測定においても、1つの周波数の干渉信号は光波長の半分(数百nm)の周期性を持つため、感度が高く、サンプリング周期内に半波長以上変位する場合は正しく測定できないが、相対位相は、変位に対する感度が低いので、1測定時間内にλ/2以内での変位であれば正しく測定することができる。
【0061】
すなわち、この振動計測装置100では、光源部110から出射される所定の周波数間隔のスペクトルであり、互いに位相同期され干渉性のある基準光と測定光とを干渉光学系140により分割し、分割した参照光を参照光学系120に入射するとともに分割した測定光を測定光学系130に入射し、入射された測定光をチャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光に分離して、複数チャンネルの測定光を測定面10の複数の測定点に照射し、上記測定面10で反射されて戻ってきた複数チャンネルの測定光を1つに合わせる光分合波器131を備える測定光学系130により、上記測定面10の複数の測定点で反射された測定光を上記光分合波器131を介して上記干渉光学系140に戻し、上記干渉光学系140において、測定面10で反射され光分合波器131を介して入射された測定光と、参照光学系1から入射された参照光とを干渉させ、上記干渉光学系140により発生された干渉光Lに含まれる光スペクトルを光スペクトル分離部により分離して複数の光検出器からなる光検出部150で検出することにより、信号処理部160において、上記検出部150により検出した各スペクトル成分を解析し、各チャンネルの周波数成分の位相情報から上記測定面10の複数の測定点における振動情報を得るとともに、各チャンネル内の各周波数成分の相対位相情報から上記測定面10の複数の測定点における高さ情報を得る。
【0062】
これにより、複雑な光軸調整を個別の振動計測装置においてする必要がなく、測定点間の時刻の同期に配慮しなくても多点の同期を必要とする測定対象の測定面10の振動情報を計測することができ、また、各チャンネル内の各周波数成分の相対位相情報から上記測定面10の複数の測定点における高さ情報を得ることができる。
【0063】
ここで、この振動計測装置100では、上記光分合波器131により分波された複数のチャンネルの測定光を測定面10に照射するに当たり、図8に示すように、測定面10の長手方向(x方向)に沿った直線上に配置した各チャンネルのヘッド部H〜Hを介して各チャンネルの測定光LCH1〜LCHnを照射することにより、測定面10の直線上に位置する複数の測定点における振動情報と高さ情報を複数点同時に計測することができる。また、上記測定面10の長手方向(x方向)に沿った直線上に配置した各チャンネルのヘッド部H〜Hをx方向に直交するy方向に移動させる走査手段を設けることにより、測定面10について振動情報と高さ情報を2次元で計測することもできる。
【0064】
なお、高さ情報は失われてしまうが、例えば、図9(A)に示すように、各チャンネルの測定光LCH1〜LCHnに含まれる複数の周波数の光を1周波数が1測定点に対応するように分離する光分散素子135を各ヘッド部HCH1〜HCHnに設け、図9(B)に示すように、各チャンネルのヘッド部HCH1〜HCHnでそれぞれy方向の3点の測定点に測定光を照射することにより、測定面10について振動情報を2次元で計測することもできる。
【0065】
さらに、この振動計測装置100では、例えば、図10に示すように、2列に配置した各チャンネルのヘッド部HCH1〜HCHnを介して各チャンネルの測定光LCH1〜LCHnを照射することにより、測定面10の捻れも計測することができる。
【0066】
以上説明した実施の形態では、検出部150において、上記干渉光学系140から入射される干渉光Lを偏光ビームスプリッタ151により直交する2つの偏光成分の光LX1、LX2に分離して2つの光検出部152A、152Bで検出する波長分割直交移相ホモダイン検波を行うようにした振動計測装置100に本発明を適用したが、本発明は、例えば図11に示すように、検出部250において、波長分割ヘテロダイン検波を行う振動計測装置200に適用することもできる。
【0067】
この振動計測装置200において、上記振動計測装置100と共通する構成要素については、その詳細な説明を省略する。
【0068】
この振動計測装置200は、参照光Lと測定光Lとを出射する光源部210、上記参照光Lが入射される参照光学系220、上記測定光Lが入射される測定光学系測定光学系230、上記参照光学系220を介して上記参照光Lが入射されるとともに上記測定光学系230を介して上記測定光Lが入射される干渉光学系240、上記干渉光学系240で発生した干渉光Lを検出する検出部250、上記検出部250により検出された干渉光Lの検出出力を解析する信号処理部260などからなる。
【0069】
この振動計測装置200において、参照光学系220は、干渉光学系240を構成しているビームスプリッタ241により分離された参照光Lが周波数シフタ121を介して参照面222に入射され、上記参照面222で反射した参照光L’が上記周波数シフタ222を介して上記干渉光学系240に戻るようになっている。
【0070】
上記周波数シフタ222は、発振器223の出力により動作し、上記干渉光学系240から入射された参照光Lの周波数をfだけシフトさせ、この周波数をシフトさせた基準光を出射する。上記周波数シフタ222は、例えば内部に発生した超音波により音響光学相互作用で参照光の位相を変化させる音響光学変調器(AOM:acoustooptic modulator)からなる。
【0071】
また、検出部250は、上記干渉光学系240において、上記参照光学系220と測定光学系230から戻される参照光L’と測定光L’を上記ビームスプリッタ241で重ね合わせ、干渉させることにより発生される干渉光Lを分光素子251により各光スペクトル成分に分解して光検出器アレイ252により検出するようになっている。
【0072】
この振動計測装置200において、光源部210のレーザ光源211から出射されるレーザ光の周波数をν、光周波数コム発生器212に発振器213から与えられる変調信号の周波数をfとすると、図12の(A)に示すように、中心(0次)周波数がνで、n次コムモード周波数がν+nfの測定光L’が上記測定光学系230を介して上記干渉光学系240に戻され、図12の(B)に示すように、中心(0次)周波数がν+fで、n次コムモード周波数がν+f+nfの参照光L’が上記参照系230を介して上記干渉光学系240に戻される。
【0073】
したがって、上記干渉光学系240において発生される干渉光Lのビート周波数は、0次の周波数が(ν+f)−ν=fで、n次周波数が{ν+f+nf}−(ν+nf)=f(ここで、n=0,±1,±2,…..)、すなわち、すべてfになる。
【0074】
すなわち、上記検出部250の光検出器アレイ252の各素子では、すべてビート周波数がfの各光スペクトル成分が検出される。
【0075】
ここで、n次モードの干渉波の電界en(t)は、次の(2)式にて示される。
【0076】
【数1】

【0077】
この(2)式において、νはレーザ周波数、fはシフト周波数、nはコムモード次数、fは変調周波数、ETは測定光の電界、ERは参照光の電界である。さらに、θは、参照光パルスのn次モードの位相に対する測定光パルスの相対位相である。
【0078】
そして、上記光検出器アレイ252による検出出力電流in(t)は、次の(3)式にて示される。
【0079】
【数2】

【0080】
この(3)式において、aは比例定数である。
【0081】
したがって、信号処理部260では、光検出器アレイ252で同時に検出された交流信号in(t)の位相と振幅を比較することによりサイドバンド間の相対位相・振幅をリアルタイムに知ることができる。
【0082】
干渉信号Lの直流成分を測る場合、測定された電圧値から測定光の振幅と隣接サイドバンド間の位相差を求めることは容易でないが、この振動計測装置200のように参照光Lの経路に周波数シフタ222を挿入することにより、光検出器アレイ252で観測される信号がシフト周波数fになるため、信号処理部260における信号処理による位相比較が行いやすくなり、また、交流成分を観測しているので1モードあたり1個の検出器で干渉信号の位相と振幅を知ることができる。
【0083】
この振動計測装置200では、光源部210から出射される所定の周波数間隔のスペクトルであり、互いに位相同期され干渉性のある基準光Lと測定光Lとを干渉光学系240により分割し、分割した参照光Lを参照光学系220に入射するとともに分割した測定光Lを測定光学系230に入射し、入射された測定光Lをチャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光LCH1〜LCHnに分離して、複数チャンネルの測定光LCH1〜LCHnを測定面20の複数の測定点に照射し、上記測定面20で反射されて戻ってきた複数チャンネルの測定光LCH1’〜LCHn’を1つに合わせる光分合波器231を備える測定光学系230により、上記測定面20の複数の測定点で反射された測定光LCH1’〜LCHn’を上記光分合波器231を介して上記干渉光学系240に戻し、上記干渉光学系240において、測定面20で反射され光分合波器231を介して入射された測定光L’と、参照光学系220から入射された参照光L’とを干渉させ、上記干渉光学系240により発生された干渉光Lに含まれる光スペクトルを分光素子251により分離して光検出器アレイ252からなる光検出部250で検出することにより、信号処理部260において、上記検出部250により検出した各スペクトル成分を解析し、各チャンネルの周波数成分の位相情報から上記測定面20の複数の測定点における振動情報を得るとともに、各チャンネル内の各周波数成分の相対位相情報から上記測定面20の複数の測定点における高さ情報を得る。
【0084】
これにより、複雑な光軸調整を個別の振動計測装置においてする必要がなく、測定点間の時刻の同期に配慮しなくても多点の同期を必要とする測定対象の測定面20の振動情報を計測することができ、また、各チャンネル内の各周波数成分の相対位相情報から上記測定面20の複数の測定点における高さ情報を得ることができる。
【0085】
また、上述の振動計測装置100、200では、光源部110、210においてそれぞれ1つの光周波数コム発生器112、212により発生される光周波数コムを参照光Lと測定光Lとして用いて振動計測を行うようにしたが、本発明は、例えば、図13に示すように、参照光Lと測定光Lを2つの光周波数コム発生器313A,313Bにより発生される光周波数コムを参照光Lと測定光Lとして用いて振動計測を行う振動計測装置300に適用することもできる。
【0086】
この振動計測装置300は、参照光Lと測定光Lとを出射する光源部310、上記参照光Lが入射される参照光学系320、上記測定光Lが入射される測定光学系330、上記参照光学系320を介して上記参照光Lが入射されるとともに上記測定光学系330を介して上記測定光Lが入射される干渉光学系340、上記干渉光学系340で発生した干渉光Lを検出する検出部350、上記検出部350により検出された干渉光Lの検出出力を解析する信号処理部360などからなる。
【0087】
この振動計測装置300において、光源部310は、2台の光周波数コム発生器313A,313Bを用いて、互いに変調周波数及び中心周波数が異なり、互いに位相同期され干渉性のある参照光と測定光と発生するものであって、周波数がνのレーザ光を出射するレーザ光源311、このレーザ光源311から出射されたレーザ光がビームスプリッタ312により分割されて入射される2台の光周波数コム発生器313A,313B、上記2台の光周波数コム発生器313A,313Bにより個別に発生された光周波数コムを参照光と測定光として重ね合わせて出射する偏光ビームスプリッタ(PBS)318等からなる。
【0088】
この光源部310において、レーザ光源311から出射される周波数がνのレーザ光は、ビームスプリッタ312により分割され、分割された一方のレーザ光が光周波数コム発生器313Aに直接入射され、分割された他方のレーザ光が周波数シフタ(AOFS)314を介して光周波数コム発生器313Bに入射される。
【0089】
上記周波数シフタ314は、発振器315により与えられる発振信号により駆動され、上記光周波数コム発生器313Bに入射するレーザ光の周波数をfaomだけシフトする。上記周波数シフタ317は、例えば内部に発生した超音波により音響光学相互作用で入射光の位相を変化させる音響光学変調器(AOM:acoustooptic modulator)で構成される。
【0090】
上記光周波数コム発生器313Aは、上記ビームスプリッタ312により分割された一方のレーザ光を発振器316Aにより与えられる周波数がfの変調信号で変調することにより、光周波数コムを発生する。この光周波数コム発生器313Aにより発生された光周波数コムは、測定光Lとして偏光ビームスプリッタ318に入射される。
【0091】
また、上記光周波数コム発生器313Bは、上記ビームスプリッタ312により分割され、上記周波数シフタ314により周波数シフトされたレーザ光を発振器316Bにより与えられる周波数がf+Δfの変調信号で変調することにより、光周波数コムを発生する、この光周波数コム発生器313Bにより発生された光周波数コムは、半波長(λ/2)板317を介して参照光Lとして上記偏光ビームスプリッタ318に入射される。
【0092】
ここで、上記2台の光周波数コム発生器313A,313Bに変調信号を与える発振器316A,316Bは、図示しない共通の基準発振器により位相同期されることで、f+Δfとfとの相対周波数が安定化されている。
【0093】
光周波数コム発生器313A,313Bには、例えばレーザ外部で光の強度や位相を変調する電気光学変調器(EOM)と、このEOMを挟むように対向して配設された反射鏡とからなり、電気光学変調器と反射鏡とで光発振器を構成するファブリペロー型電気光学変調方式のものや、LiNbO結晶を使用した位相変調器、強度変調器、半導体の吸収や位相の変化を利用する変調器等が用いられる。
【0094】
上記光源部310として2台の光周波数コム発生器313A,313Bを用いることにより、測定光Lと参照光Lとの間で光周波数コムの周波数をモード毎にずらすことが可能となる。これにより、干渉信号の周波数をモードによって違った値にできるため、光検出の際に波長分割しなくても、干渉信号の周波数解析により各モードの位相情報を分離することが可能となる。
【0095】
上記光源部310は、光周波数コム発生器313A,313Bにより、例えば図14(A)、(B)に示すような周波数の光周波数コム(OFC1、OFC2)を出射する。図14(A)は、光周波数コム発生器313Aから出射された測定光としての光周波数コム(OFC1)を表している。また、図14(B)は、周波数シフタ314で周波数がシフトされた参照光としての光周波数コム(OFC2)を表している。図14に示す光周波数コムは、光パルスの繰り返し周波数に一致したコム状のモードを持っており、図14(A)に示す測定光のモード間隔がfであり、図14(B)に示す参照光のモード間隔がf+△fである。
【0096】
図14に示す光周波数コムの例は、スペクトル中央のモードを中心にモード番号を付け、N=0のモード間の干渉信号の周波数をfと仮定している。図14に示す光周波数コムの例において、中心周波数成分を0番目として数えてモードにつけた番号をNとすると、N番目のビート周波数=f+N△fとなり、N番目のビート周波数が光周波数コムのモードによって異なる周波数に出る。
【0097】
上記偏光ビームスプリッタ318は、光周波数コム発生器313Aから入射された測定光Lと半波長(λ/2)板317を介して光周波数コム発生器213Bから入射された参照光Lとを混合して、参照光Lと測定光Lを直交する偏光で重ね合わせた光を出射する。
【0098】
以上説明したように、上記光源部310は、単一レーザ光を入力とし、駆動周波数がそれぞれ異なる2台の光周波数コム発生器313A,313Bを備えることにより、同じビート周波数に複数の光周波数コムの情報が重ならないようにする。
【0099】
なお、上記光源部310には、それぞれ周期的に強度又は位相が変調され、かつ、キャリア周波数が安定化された2台の光源、例えばモード同期レーザを用いてもよい。
【0100】
この振動計測装置300において、干渉光学系340には、上記光源部310から出射される上記偏光ビームスプリッタ318により参照光Lと測定光Lを直交する偏光で重ね合わせた光が入射される。
【0101】
干渉光学系340は、上記光源部310から参照光Lと測定光Lを直交する偏光で重ね合わせた光が入射され、入射された光を分割するビームスプリッタ341と、このビームスプリッタ341により分割された一方の光が入射される第1の偏光子344Aと、このビームスプリッタ341により分割された他方の光が光ファイバ342を介して入射される偏光ビームスプリッタ343と、上記偏光ビームスプリッタ343から上記光ファイバ243を介して戻されてくる光が上記ビームスプリッタ341を介して入射される第2の偏光子344Bを備える。
【0102】
この干渉光学系340において、上記ビームスプリッタ341は、上記光源部310から入射される参照光Lと測定光Lを直交する偏光で重ね合わせた光を分割する。上記ビームスプリッタ341により分割された一方の光は、第1の偏光子344Aを介して参照光Lと測定光Lの干渉光S1として検出部350の第1の光検出器351Aに入射される。また、上記ビームスプリッタ341により分割された他方の光は、上記光ファイバ342を介して偏光ビームスプリッタ343に入射される。
【0103】
また、偏光ビームスプリッタ343は、上記光ファイバ342を介して入射される参照光Lと測定光Lを直交する偏光で重ね合わせた光に含まれる参照光Lと測定光Lを分割する。そして、この偏光ビームスプリッタ343により分割された参照光Lは、参照光学系320に入射され、また、分割され測定光Lは測定光学系330に入射される。
【0104】
また、上記偏光ビームスプリッタ343には、上記参照光学系320から戻されてくる参照光L’が入射されるとともに、上記測定光学系330から戻されてくる測定光L’が入射される。そして、上記偏光ビームスプリッタ343は、上記参照光L’を測定光L’を重ね合わせる。この上記光ファイバ342を介して上記ビームスプリッタ341に戻す。上記偏光ビームスプリッタ342から上記光ファイバ342を介してビームスプリッタ341に戻されてくる光は、上記ビームスプリッタ341から第2の偏光子344Bを介して、上記参照光L’を測定光L’の干渉光S2として上記検出部350の第2の光検出器351Bに入射される。
【0105】
ここで、この振動計測装置300において、上記光源部310から上記記干渉光学系340に入射される参照光Lと測定光Lが重ね合わされた光は、参照光Lと測定光Lの偏光が直交しており、そのままでは干渉光として検出することができないので、上記記干渉光学系340では、上記第1の偏光子344Aの透過成分として参照光Lと測定光Lの干渉光S1を出射し、また、上記第2の偏光子344Bの透過成分として参照光L ’と測定光L ’の干渉光S2を出射する。上記記干渉光学系340の第1の偏光子344Aは、参照光Lと測定光Lの偏光に対して斜めになるように偏光の向きを調整されている。また、 上記記干渉光学系340の第2の偏光子344Bは、参照光L ’と測定光L ’の偏光に対して斜めになるように偏光の向きを調整されている。
【0106】
また、この振動計測装置300において、参照光学系320は、上記干渉光学系340から上記偏光ビームスプリッタ343を介して入射される参照光Lを反射する参照面321を備え、上記参照面321により反射した参照光L’を上記参照光学系320に戻すようになっている。
【0107】
また、この振動計測装置300において、測定光学系330は、上記干渉光学系340から上記偏光ビームスプリッタ343を介して測定光がL入射され、入射された測定光Lをチャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光LCH1〜LCHnに分離して、複数チャンネルの測定光LCH1〜LCHnを測定面30上の対応する複数の測定点に照射し、上記測定面30で反射されて戻ってきた複数チャンネルの測定光LCH1’〜LCHn’を1つに合わせる光分合波器331を備え、上記測定面30において複数の測定点で反射された測定光LCH1’〜LCHn’を上記光分合波器331を介して上記干渉光学系340に戻すようになっている。
【0108】
上記光分合波器331は、入射された測定光Lをチャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光LCH1〜LCHnに分離して、上記複数チャンネルの測定光LCH1〜LCHnを測定面30上の複数の測定点に照射する分波機能と、上記測定面30で反射されて戻ってきた複数チャンネルの測定光LCH1’〜LCHn’を1つに束ねて上記測定面30で反射されて戻ってきた測定光L’として上記干渉光学系340に入射する合波機能を有するもので、光を合波・分波するための部品としては、プリズム、干渉膜フィルタ、あるいは回折格子などの分光素子が用いられる。
【0109】
また、この振動計測装置300において、検出部350は、上記記干渉光学系340を介して戻されてくる上記参照光Lと測定光Lとの干渉光S1の光強度と、上記記干渉光学系340を介して戻されてくる上記参照光L’と測定光L’との干渉光LXの光強度を個別に検出する第1の光検出器351Aと第2の光検出器351Bからなる。
【0110】
この検出部350は、上記参照光Lと測定光Lとの干渉光S1の光強度を上記第1の光検出器351Aにより検出するとともに、上記参照光L’と測定光L’との干渉光S2の光強度を第2の光検出器351Bにより検出して、上記第1の光検出器351Aと上記第2の光検出器351Bの各検出出力を信号処理部360に入力する。
【0111】
この振動計測装置300では、光源部310において、レーザ光源311が出射するレーザ光に基づいて2台の光周波数コム発生器313A,313Bにより参照光Lと測定光Lを個別の光周波数コムとして発生する過程、すなわち、ビームスプリッタ312で分岐してから偏光ビームスプリッタ318で重ねるまでの間で遅延時間に差が生じてしまう可能性があるので、上記記干渉光学系340から上記第1の偏光子344Aを介して入射される上記参照光Lと測定光Lとの干渉光S1の光強度を第1の光検出器351Aにより検出し、この第1の光検出器351Aによる上記干渉光S1の検出出力を信号処理部360において周波数解析して、上記光周波数コムを発生する過程での時間差を計測する。また、上記記干渉光学系340から第2の偏光子344Bを介して入射される上記参照光L’と測定光L’との干渉光S2の光強度を第2の光検出器351Bにより検出し、この第2の光検出器351Bによる上記干渉光S2の検出出力を上記信号処理部360において周波数解析して、上記参照光学系320から戻されてくる上記参照光L’と上記測定光学系320から戻されてくる上記測定光L’の時間差を計測する。
【0112】
そして、上記信号処理部360では、上記第2の光検出器351Bの検出出力を周波数解析することにより計測される上記参照光L’と上記測定光L’の時間差から、上記第1の光検出器351Aの検出出力を周波数解析することにより計測される上記参照光Lと上記測定光Lの時間差を引くことで、参照面321までの距離と測定面30までの距離との差を光が伝搬する時間を求め、求めた時間に光速をかけた値を測定波長における屈折率で割ることにより、上記測定面30までの絶対距離を求めることができる。
【0113】
この振動計測装置300では、所定の周波数間隔のスペクトルであり、互いに変調周波数及び中心周波数が異なり、互いに位相同期され干渉性のある基準光Lと測定光Lとを出射する光源310と、光源部310から出射される所定の周波数間隔のスペクトルであり、互いに位相同期され干渉性のある基準光Lと測定光Lとを干渉光学系340により分割し、分割した参照光Lを参照光学系320に入射するとともに分割した測定光Lを測定光学系330に入射し、入射された測定光Lをチャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光LCH1〜LCHnに分離して、複数チャンネルの測定光LCH1〜LCHnを測定面30の複数の測定点に照射し、上記測定面30で反射されて戻ってきた複数チャンネルの測定光LCH1’〜LCHn’を1つに合わせる光分合波器331を備える測定光学系320により、上記測定面30の複数の測定点で反射された測定光LCH1’〜LCHn’を上記光分合波器331を介して上記干渉光学系340に戻し、上記干渉光学系340において、測定面30で反射され光分合波器331を介して入射された測定光L’と、参照光学系320から入射された参照光L’とを干渉させ、上記干渉光学系340により発生された干渉光に含まれる光スペクトルを光スペクトル分離部により分離して光検出部350で検出し、信号処理部360において、上記検出部350による検出出力を周波数解析することにより、各チャンネルの周波数成分の位相情報から上記測定面30の複数の測定点における振動情報を得るとともに、各チャンネル内の各周波数成分の相対位相情報から上記測定面30の複数の測定点における高さ情報を得ることができる。
【符号の説明】
【0114】
10,20,30 測定面、100,200,300 振動計測装置、110,210,310 光源部、111,211,311 レーザ光源、112、212,313A,313B 光周波数コム発生器、113,213,223,315,316A,316B 発振器、120,220、320 参照光学系、121 1/8波長(λ/8)板、122,222,321 参照面、130,230、330 測定光学系、131,231、331 光分合波器、140,240、340 干渉光学系、141,241,341,312 ビームスプリッタ、150,250、350 検出部、151 偏光ビームスプリッタ、152A,152B 光検出部、160,260、360 信号処理部、251,152A1,152B1 分光素子、152A2,152B2,252 光検出器アレイ、221,314 周波数シフタ、317 半波長(λ/2)板、318,343 偏光ビームスプリッタ、342 光ファイバ、344A,344B 偏光子、351A,351B 第1の光検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数間隔のスペクトルであり、互いに位相同期され干渉性のある基準光と測定光とを出射する光源部と、
上記光源部から出射された参照光と測定光を分割して参照光学系と測定光学系に入射し、上記参照光学系と測定光学系から戻ってくる参照光と測定光の干渉光を発生する干渉光学系と、
上記干渉光学系において分割された参照光が入射され、入射された参照光を上記干渉光学系に戻す参照光学系と、
上記干渉光学系において分割された測定光が入射され、入射された測定光をチャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光に分離して、複数チャンネルの測定光を測定面の複数の測定点に照射し、上記測定面で反射されて戻ってきた複数チャンネルの測定光を1つに合わせる光分合波器を備え、上記測定面の複数の測定点で反射された測定光を上記光分合波器を介して上記干渉光学系に戻す測定光学系と、
上記干渉光学系により発生された干渉光に含まれる光スペクトルを分離する光スペクトル分離部と、上記光スペクトル分離部により分離された各光スペクトルを検出する複数の光検出器からなる検出部と、
上記検出部により検出した各スペクトル成分を解析し、各チャンネルの周波数成分の位相情報から上記測定面の複数の測定点における振動情報を得るとともに、各チャンネル内の各周波数成分の相対位相情報から上記測定面の複数の測定点における高さ情報を得る信号処理部と
を備える振動計測装置。
【請求項2】
上記光源部から出射される基準光又は測定光の周波数をシフトする周波数シフタをさらに備える請求項1記載の振動計測装置。
【請求項3】
上記光源部から出射された基準光が上記干渉光学系を介して入射され、該入射した基準光を直線偏光から円偏光に変換して上記干渉光学系に戻す参照光学系と、
上記干渉光学系で発生した上記参照光学系から戻された基準光と上記分光光学系を介して入射された測定光との干渉光を、2つの直交成分に分離する偏光ビームスプリッタとをさらに備え、
上記光スペクトル分離部は、上記偏光ビームスプリッタにより分離した第1の直交成分に含まれる光スペクトル成分を分離する第1の分光素子と、上記偏光ビームスプリッタにより分離した第2の直交成分に含まれる光スペクトル成分を分離する第2の分光素子とからなり、
上記検出部は、上記第1の分光素子により分離した第1の直交成分に含まれる光スペクトル成分をそれぞれ検出する第1の複数の光検出器と、上記第2の分光素子により分離した第2の直交成分に含まれる光スペクトル成分をそれぞれ検出する第2の複数の光検出器とからなる請求項1記載の振動計測装置。
【請求項4】
所定の周波数間隔のスペクトルであり、互いに変調周波数及び中心周波数が異なり、互いに位相同期され干渉性のある基準光と測定光とを出射する光源と、
上記光源部から出射された参照光と測定光を分割して参照光学系と測定光学系に入射し、上記参照光学系と測定光学系から戻ってくる参照光と測定光の干渉光を発生する干渉光学系と、
上記干渉光学系において分割された参照光が入射され、入射された参照光を上記干渉光学系に戻す参照光学系と、
上記干渉光学系において分割された測定光が入射され、入射された測定光をチャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光に分離して、複数チャンネルの測定光を測定面の複数の測定点に照射し、上記測定面で反射されて戻ってきた複数チャンネルの測定光を1つに合わせる光分合波器を備え、上記測定面の複数の測定点で反射された測定光を上記光分合波器を介して上記干渉光学系に戻す測定光学系と、
上記干渉光学系で発生した干渉光を検出する検出部と、
上記検出部により検出した干渉光に基づいて、各チャンネルの周波数成分の位相情報から上記測定面の複数の測定点における振動情報を得るとともに、各チャンネル内の各周波数成分の相対位相情報から上記測定面の複数の測定点における高さ情報を得る信号処理部とを備える振動計測装置。
【請求項5】
上記光源部は、第1の発振器により第1の変調周波数の変調信号でレーザ光を変調して第1の光周波数コムを生成する第1の光周波数コム発生器と、第2の発振器により上記第1の変調周波数とは異なる第2の変調周波数の変調信号で上記レーザ光を変調することにより、上記第1の光周波数コムとはモード周波数間隔が異なる第2の光周波数コムを生成する第2の光周波数コム発生器とからなる請求項4記載の振動計測装置。
【請求項6】
所定の周波数間隔のスペクトルであり、互いに変調周波数及び中心周波数が異なり、互いに位相同期され干渉性のある基準光と測定光とを光源部から出射する出射工程と、
上記光源部から出射された測定光を光分合波器に入射する入射工程と、
上記光分合波器に入射された測定光をチャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光に分離して、複数チャンネルの測定光を測定対象の測定面の複数の測定点に照射し、上記測定面で反射されて戻ってきた複数の測定光を上記光分合波器により1つに合わせて干渉光学系に入射する照射工程と、
上記測定面で反射され、上記光分合波器を介して入射された測定光と上記光源部から出射された基準光とを干渉光学系により干渉させる干渉工程と、
上記干渉光学系により発生された干渉光に含まれる光スペクトルを分離して、各光スペクトルを検出する検出工程と、
上記検出工程において検出した各スペクトル成分を解析し、各チャンネルの周波数成分の位相情報から上記測定面の複数の測定点における振動情報を得るとともに、各チャンネル内の各周波数成分の相対位相情報から上記測定面の複数の測定点における高さ情報を得る解析工程と
を有する振動計測方法。
【請求項7】
所定の周波数間隔のスペクトルであって、互いに位相同期され干渉性のある基準光と測定光とを光源部から出射する出射工程と、
上記出射工程において光源部から出射された測定光を光分合波器によりチャンネル毎に2つ以上の周波数成分を含む複数チャンネルの測定光に分離して、複数チャンネルの測定光を測定対象の測定面の複数の測定点に照射し、上記測定面で反射されて戻ってきた複数の測定光を上記光分合波器により1つに合わせて干渉光学系に入射する照射工程と、
上記光分合波器を介して入射された測定光と上記光源部から出射された基準光とを干渉光学系により干渉させる干渉工程と、
上記干渉光学系で発生した干渉光を検出する検出工程と、
上記検出工程において検出した干渉光に基づいて、各チャンネルの周波数成分の位相情報から上記測定面の複数の測定点における振動情報を得るとともに、各チャンネル内の各周波数成分の相対位相情報から上記測定面の複数の測定点における高さ情報を得る解析工程と
を有する振動計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−27648(P2011−27648A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175886(P2009−175886)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(503249810)株式会社 光コム (28)
【Fターム(参考)】