説明

挿管支援装置

【課題】立体的な観察が可能な挿管支援装置を提供する。
【解決手段】立体視アダプター10を介してディスプレイ3を観察する。立体視アダプター10には観察者の視線を左右に広げる左右一対のプリズム13が設けられているため、左右一対の電子画像A、B間の距離が小さくても、両方の電子画像A、Bをプリズム13を介して確実に視認でき、立体観察が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は挿管支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、患者の気道を確保するために用いられる挿管支援装置は、ドクターが手で持って操作できるハンディーサイズである。この挿管支援装置は、気道確保の状態を視覚的に確認するため、先端で電子画像を撮像するスコープと、スコープで撮像した電子画像を表示するディスプレイとを一体的に備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−144123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、スコープで撮像された電子画像は、スコープの先端から1つの撮像素子で撮像された2次元画像で、立体的に確認できるものでなかった。
【0005】
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、立体的な観察が可能な挿管支援装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、先端にて両眼視差を有する左右一対の電子画像を撮像可能なスコープと、該スコープ部にて撮像された左右一対の電子画像を表示可能なディスプレイとを有する挿管支援装置であって、前記ディスプレイが観察者の眼幅よりも小さい横幅を有する横型で、該ディスプレイに左右一対の電子画像を並列表示すると共に、該ディスプレイに観察者の視線を左右に広げる左右一対のプリズムを有する立体視アダプターを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、グリップ部の上部にディスプレイが、下部にスコープが設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、ディスプレイが立体視アダプターごと一端を中心に引起こし回動自在であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、スコープの先端にて両眼視差を有する左右一対の電子画像を撮像可能で、その左右一対の電子画像を横型のディスプレイに左右並列表示している。この左右に並列表示された一対の電子画像は両眼視差を有するものであるが、人間の眼幅よりも小さい距離で並列表示されているため、そのままでは立体的な観察ができない。そこで、立体視アダプターを介してディスプレイを観察する。立体視アダプターには観察者の視線を左右に広げる左右一対のプリズムが設けられているため、左右一対の電子画像間の距離が小さくても、両方の電子画像をプリズムを介して確実に視認することができ、立体観察が可能となる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、グリップ部が設けられているため、挿管支援装置を手で持って気道確保作業が行い易い。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、ディスプレイが立体視アダプターごと引起こし回動自在であるため、観察者は見やすい角度でディスプレイを観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】挿管支援装置を示す側面図。
【図2】挿管支援装置を示す斜視図。
【図3】ディスプレイ及び立体視アダプターを示す断面図。
【図4】スコープの先端を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜図4は、本発明の好適な実施形態を示す図である。挿管支援装置1は中央にグリップ部2を有している。グリップ部2の上部にはディスプレイ3が設けられ、下部にはチューブ状のスコープ4が設けられている。スコープ4の先端には、図4に示すように、左右一対の小型CCDカメラ5と白色LED(照明)6が設けられている。小型CCDカメラ5は小型CCDイメージセンサ(撮像素子)により両眼視差を有する電子画像A,Bを取得し、映像信号をディスプレイ3に出力する。小型CCDイメージセンサが左右一対設けられているため、両眼視差を有する左目用の電子画像A、右目用の電子画像Bを同時に撮像することができる。尚、このスコープ4はグリップ部2の下端に固定される図示せぬ挿入具内に支持される。挿入具は剛性を有し、先端にて気道確保作業を行うことができる。
【0014】
ディスプレイ3は2.4インチの液晶で、アスペクト比が16:9の横型である。このディスプレイ3は上端のヒンジ8を中心に全体を引起こして回動させることができる。この一枚のディスプレイ3に、前記CCDカメラ5にて取得された左右一対の電子画像A、Bが並列表示される。ディスプレイ3が小型のため、そこに表示される左右一対の電子画像A、Bは、観察者の眼幅よりも狭い間隔で表示されている。尚、ディスプレイ3の側面には溝9が形成されている。
【0015】
このディスプレイ3には、立体視アダプター10が着脱自在に取付けられる。立体視アダプター10は左右にフック11を有し、該フック11をディスプレイ3の側面の溝9に係合させることにより、一体的に取付けることができる。
【0016】
立体視アダプター10には中央に仕切板12が形成され、その両側にプリズム13がそれぞれ取付けられている。このプリズム13は観察者の視線を広げる光学的機能を有している。従って、左右一対の電子画像A、Bが観察者の眼幅よりも小さい間隔で表示されていても、立体視アダプター10におけるプリズム13を介して両方の電子画像A、Bを確実に視認することができ、立体観察が可能となる。また、ディスプレイ3がヒンジ8を中心に引起こし回動可能なため、観察者は見やすい角度でディスプレイ3を観察することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 挿管支援装置
2 グリップ部
3 ディスプレイ
4 スコープ
10 立体視アダプター
13 プリズム
A、B 電子映像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にて両眼視差を有する左右一対の電子画像を撮像可能なスコープと、該スコープ部にて撮像された左右一対の電子画像を表示可能なディスプレイとを有する挿管支援装置であって、
前記ディスプレイが観察者の眼幅よりも小さい横幅を有する横型で、該ディスプレイに左右一対の電子画像を並列表示すると共に、該ディスプレイに観察者の視線を左右に広げる左右一対のプリズムを有する立体視アダプターを備えたことを特徴とする挿管支援装置。
【請求項2】
前記挿管支援装置はグリップ部を有し、該グリップ部の上部に前記ディスプレイが、下部に前記スコープが設けられていることを特徴とする請求項1記載の挿管支援装置。
【請求項3】
前記ディスプレイが立体視アダプターごと一端を中心に引起こし回動自在であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の挿管支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−104097(P2011−104097A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261862(P2009−261862)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(390013033)三鷹光器株式会社 (114)
【Fターム(参考)】