説明

捕捉された試薬ビーズを備える流体処理デバイス

流体処理デバイス、流体処理方法および流体処理システムが提供される。この流体処理デバイス(20)は、基板(22);この基板の内部または表面に配置された複数の反応領域(50);これらの複数の反応領域を相互接続する少なくとも1つのチャネルであって、最大寸法を含む断面積を有する、少なくとも1つのチャネル(24);および複数の試薬放出ビーズ(48)を備え得る。各試薬放出ビーズは、これらの反応領域のうちの1つにそれぞれ配置され得る。各ビーズは、アッセイのための1つ以上の反応成分を含み得る。試薬放出ビーズの各々は、チャネルの断面の最大寸法より大きい最小寸法を有し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、先願である、2005年3月18日に出願された米国仮出願番号60/663,085、およびVannらにより2006年3月17日に出願された、発明の名称「Fluid Processing Device with Captured Reagent Beads」の米国特許出願(代理人事件番号5010−247−01)の各々から、利益を主張し、これらの先願は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(導入)
本教示は、複数の反応領域を有するマイクロカードに流体を装填するために使用される、デバイスおよび方法に関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(要旨)
種々の実施形態に従って、流体処理デバイスが提供される。この流体処理デバイスは、基板;この基板の内部または表面に配置された複数の反応領域;これらの複数の反応領域を相互接続する少なくとも1つのチャネルであって、最大寸法を含む断面積を有する、少なくとも1つのチャネル;および複数の試薬放出ビーズを備え得る。各試薬放出ビーズは、これらの反応領域のうちの1つにそれぞれ配置され得る。各ビーズは、アッセイのための1つ以上の反応成分を含み得る。試薬放出ビーズの各々は、チャネルの断面の最大寸法より大きい最小寸法を有し得る。
【0004】
種々の実施形態に従って、流体処理デバイスが提供される。この流体処理デバイスは、基板、およびこの基板の内部または表面に配置された通路を備え得る。この通路は、装填ポート;通気口;この装填ポートと流体連絡する、試薬放出ビーズを収容する第一の流体保有領域;この通気口と流体連絡する、試薬放出ビーズを収容する第二の流体保有領域;ならびに第一の流体保有領域および第二の流体保有領域と流体連絡する第一のチャネルを備え得る。
【0005】
種々の実施形態に従って、方法が提供される。この方法は、流体処理デバイスに流体を装填する工程を包含し得、ここで、この流体処理デバイスは、基板の表面または内部に配置された複数の反応領域を備え、これらの反応領域は、少なくとも1つのチャネルによって相互接続されており、そして各反応領域は、試薬を含む試薬放出ビーズを収容する。各試薬放出ビーズは、試薬放出ビーズまたは溶解可能ビーズを含み得、そしてこの方法は、各試薬放出ビーズを融解または溶解する工程を包含し得る。この方法は、反応領域の各々において、反応プロセスを実施する工程を包含し得る。この方法は、複数の反応領域のうちの少なくとも2つの間の少なくとも1つのチャネルにおいて、流体連絡を遮断する工程を包含し得る。
【0006】
上記一般的な記載と、以下の詳細な説明との両方は、例示および説明のみであり、そして特許請求される本教示のさらなる説明を提供することが意図されることが、理解されるべきである。
【0007】
当業者は、以下に記載される図面が、例示の目的のみであることを理解する。これらの図は、いかなる方法においても、本教示の範囲を限定することを意図されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(種々の実施形態の説明)
種々の実施形態に従って、流体処理デバイスは、複数の反応領域を含むマイクロカードまたはマイクロプレートを備え得る。この反応領域は、複数のチャネルまたは流体通路によって、相互接続され得る。望ましくは、低費用かつハイスループットのマイクロカード型流体処理デバイスは、複数の反応領域(例えば、ウェル)を備え得る。これらの反応領域のうちのいくつかまたは全ては、1マイクロリットル程度に小さい体積、または1マイクロリットルより小さくさえある体積を有し得る。これらの反応領域の各々は、異なるプローブ、プライマー、または試薬を装填され得る。反応領域の各々にサンプルを導入することは、望ましくは、1つの反応領域内のプローブ、プライマーまたは試薬が、流体接続された別の反応領域に流入することを防止するための手段を備える。望ましくない流体流れは、別の反応領域(例えば、第一の反応領域の下流の反応領域)を汚染し得る。
【0009】
種々の実施形態に従って、流体処理デバイスが提供される。この流体処理デバイスは、基板、この基板の内部または表面に配置された複数の反応領域、これらの複数の反応領域を相互接続する少なくとも1つのチャネル、および複数の試薬放出ビーズを備え得る。断面積を有する少なくとも1つのチャネルは、最大寸法を含み得る。各試薬放出ビーズは、これらの反応領域のうちの1つにそれぞれ配置され得る。各ビーズは、アッセイのための1つ以上の反応成分を含み得る。試薬放出ビーズの各々は、チャネルの断面の最大寸法より大きい最小寸法を有し得る。
【0010】
種々の実施形態に従って、流体処理デバイスは、少なくとも1つのチャネルと流体連絡する装填ポートを備え得る。この装填ポートの体積は、複数の反応領域と、複数のチャネルとの全てを合わせた合計体積より大きくあり得る。少なくとも1つのチャネルは、第一の端部および第二の端部を備え得る。装填ポートは、この第一の端部と流体連絡し得る。流体処理デバイスは、チャネルの第二の端部と流体連絡する吸引ポートを備え得る。
【0011】
種々の実施形態において、流体処理デバイスは、注射器を備え得、この注射器は、吸引ポートにおいて吸引を生じるように適合され、そしてこの吸引ポートと気密シールを形成する。1つの実施形態において、少なくとも1つのチャネルは、複数のチャネルを備え得る。これらの複数のチャネルの各々は、複数の反応領域の複数のものとそれぞれ流体連絡し得る。複数のチャネルの各々は、装填ポートと流体連絡する第一の端部、ならびに吸引ポート、通気口、および/または毛管通気口と流体連絡する第二の端部を備え得る。
【0012】
種々の実施形態に従って、各試薬放出ビーズは、25℃において水に実質的に非溶解性であり、そして約50℃より高い温度において水に溶解する、材料を含み得る。各試薬放出ビーズは、ポリエチレングリコールを含み得る。少なくとも1つのビーズは、複数の反応領域のうちの1つに保持された核酸増幅産物のリアルタイム蛍光ベース測定のための、1つ以上の成分を含み得る。複数の試薬放出ビーズのうちの1つは、第一のオリゴヌクレオチドプライマーおよび第二のオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに蛍光剤−消光剤オリゴヌクレオチドを含み得、これらの第一のオリゴヌクレオチドプライマーおよび第二のオリゴヌクレオチドプライマーは、選択されたポリヌクレオチド分析物セグメントの相補鎖の反対側の末端領域にハイブリダイズするために効果的な配列を有し、そしてこの蛍光剤−消光剤オリゴヌクレオチドは、これらのプライマーのうちの1つの下流の領域において、分析物セグメントにハイブリダイズし得る。このプライマーは、プライマーにより開始されるポリメラーゼ連鎖反応によって、このセグメントを増幅するためのものであり得る。この蛍光剤−消光剤は、分析物がサンプル中に存在する場合に、検出可能な蛍光信号を発生させるためのものであり得る。
【0013】
種々の実施形態に従って、基板は、頂部表面を備え得る。流体処理デバイスは、カバー層を備え得、このカバー層は、この頂部表面と接触し、そして複数の反応領域および少なくとも1つのチャネルに蓋をする。このカバー層は、1平方インチあたり75ポンド以下の圧力において気体透過性かつ液体不透過性である、非多孔性の材料を含み得る。このカバー層は、必要に応じて、透明であり得る。
【0014】
種々の実施形態に従って、この基板は、底部表面を備え得る。流体処理デバイスは、この底部表面と接触する熱伝導性層を備え得、この熱伝導性層は、1メートルあたり0.25ケルビン・ワットの熱伝導率を有する。この熱伝導性層は、金属またはその合金を含み得る。この熱伝導性層は、箔を備え得る。この熱伝導性層は、アルミニウム、銅、鉄、またはこれらの合金を含み得る。流体処理デバイスは、カバー層を備え得、このカバー層は、底部表面と接触し、そして複数の反応領域のうちの少なくとも1つまたは少なくとも1つのチャネルに蓋をし得る。この底部カバー層は、熱伝導性層であり得る。
【0015】
他の実施形態において、装填ポートは、複数の装填ポートを備え得る。複数の装填ポートの各々が、複数のチャネルのうちの複数のものとそれぞれ流体連絡し得る。複数の装填ポートは、基板の内部または表面に線状に配列され得る。複数の装填ポートのうちの第一の複数のものは、基板の第一の縁部に沿って配列され得、そして複数の装填ポートのうちの残りの複数のものは、この基板の第二の縁部に沿って配列され得る。第二の縁部は、この基板の反対側の縁部であり得る。
【0016】
種々の実施形態に従って、流体処理デバイスは、少なくとも1つのチャネルの内部にか、このチャネルの表面にか、このチャネルを横切ってか、またはこのチャネルに沿って配置された、杭を備え得る。この杭は、複数の反応領域のうちの少なくとも2つの相互接続部を遮断し得る。
【0017】
種々の実施形態に従って、流体処理デバイスは、核酸増幅産物のリアルタイムでの蛍光ベース測定のために、上記成分と光学通信するために適合された励起ビームを備え得る。
【0018】
種々の実施形態に従って、基板は、マイクロプレートまたはマイクロカードを備え得る。少なくとも1つのチャネルは、複数の反応領域を相互接続するための、複数のセグメントを備え得る。各セグメントは、蛇行した通路を備え得る。杭が、各セグメントを横切って配置され得る。通気口が、少なくとも1つのチャネルの一端と流体連絡し得、そして装填ポートが、少なくとも1つのチャネルの遠位端と流体連絡し得る。
【0019】
他の実施形態において、流体処理デバイスは、装填ポートと連結するように適合された圧力源を備え得る。装填ポートは、少なくとも1つのチャネルおよび複数の反応領域に通して、第一の流体を注入することが可能であり得、同時に、通気口から第二の流体を排出することによって、少なくとも1つのチャネルおよび複数の反応領域の内部の第二の流体を置き換え得る。第一の流体は、液体を含み得、そして第二の流体は、気体を含み得る。他の実施形態において、流体処理デバイスは、サーマルサイクラー内に配置され得る。他の実施形態において、流体処理デバイスは、複数の反応ウェルのうちの1つについてリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応の検出を実施するように適合された、蛍光検出システム内に配置され得る。
【0020】
種々の実施形態に従って、流体処理デバイスが提供される。この流体処理デバイスは、基板、およびこの基板の内部または表面に配置された通路を備え得る。この通路は、装填ポート;通気口;この装填ポートと流体連絡している、試薬放出ビーズを収容する第一の流体保有領域;この通気口と流体連絡している、試薬放出ビーズを収容する第二の流体保有領域;ならびに第一の流体保有領域および第二の流体保有領域と流体連絡している第一のチャネルを備え得る。
【0021】
種々の実施形態に従って、方法が提供される。この方法は、流体処理デバイスに流体を装填する工程を包含し得る。この流体処理デバイスは、基板の表面または内部に配置された複数の反応領域を備え得、これらの反応領域は、少なくとも1つのチャネルによって相互接続されている。各反応領域は、試薬を含む試薬放出ビーズを収容し得る。この方法は、各試薬放出ビーズを融解または溶解する工程をさらに包含し得る。この方法は、反応領域の各々において、反応を実施する工程を包含し得る。この方法は、複数の反応領域のうちの少なくとも2つの間の少なくとも1つのチャネルにおける流体連絡を遮断する工程を包含し得る。他の実施形態において、少なくとも1つのチャネルは、複数の反応領域を相互接続する複数のセグメントを含み得る。各セグメントは、複数の反応領域のうちの1つの反応領域内の試薬の、複数の反応領域のうちの別の反応領域から放出された試薬との相互作用を防止するために充分に長い長さを有し得る。この方法は、流体処理デバイスをサーマルサイクリングさせる工程を包含し得、この反応プロセスは、ポリメラーゼ連鎖反応を含み得る。このサーマルサイクリングは、試薬放出ビーズの温度を、35℃より高く95℃より低い温度まで上昇させる工程を包含し得る。
【0022】
この方法の他の実施形態において、ビーズは、水溶性材料を含み得、そして放出させる工程は、反応成分を分解させることなく反応成分を放出するために充分な温度および時間で、このビーズを加熱する工程を包含し得る。
【0023】
種々の実施形態に従って、第一の反応領域の反応成分および/または反応生成物が、隣接する反応領域の反応成分および/または反応生成物と接触しないように、異なる独立した反応が、チャネルの各反応領域において実施され得る。他の実施形態において、隣接する任意の2つの反応領域の各々が、第一の反応領域から放出される反応成分および/または反応生成物が、隣接する反応領域から放出される反応成分および/または反応生成物と連絡することによって相互作用することを、防止するために充分な、チャネルの中間構成(例えば、長さおよび/または深さ)によって分離され得る。
【0024】
種々の実施形態に従って、複数の反応領域の各々にサンプルを提供する工程は、サンプルポート内にサンプルを提供する工程を包含し得る。このサンプルは、1つのチャネルを通してか、いくつかのチャネルを通してか、または全てのチャネルを通して、複数の反応領域のうちのいくつかへと、毛管作用によって引き込まれ得る。各チャネルは、毛管作用によって、液体サンプルを引き込むように適合され得る。このチャネルは、このチャネルの寸法を適切に構成することによって、適合され得る。種々の実施形態において、このチャネルは、一端に通気口を備え得る。
【0025】
図1を参照すると、流体処理デバイス20は、基板22、基板22の表面または内部に形成された複数の反応領域50(例えば、ウェル)、および反応領域50を相互接続させる複数のチャネル24を備え得、これらのチャネルの各々は、断面積を有する。複数のビーズ48が、複数の反応領域50に装填され得、その結果、例えば、1つのビーズが、各領域に装填されるか、または1つより多くのビーズが、各領域に装填される。ビーズ48は、例えば、カバー34(例えば、接着シール)によって、適所に捕捉され得る。ビーズ48は、セグメント26またはチャネル24内に移動することを防止され得る。各ビーズ48は、ビーズ48がセグメント26またはチャネル24内に移動することを防止するために充分に大きい直径を有し得る。各ビーズ48は、生物学的試薬(例えば、プローブ、1つ以上の異なるプライマー、キレート剤、酵素、ヌクレオチド、これらの組み合わせなど)を含み得る。
【0026】
流体処理デバイス20は、基板22の表面または内部に形成されたサンプルポート38を備え得る。サンプルポート38は、サンプルポート38がチャネル24を通して反応領域50と流体連絡するように、基板22の周囲の近くに配置され得る。吸引ポート36が、基板22の表面または内部に提供され得る。吸引ポート36は、基板22の周囲の近くに配置され得る。サンプルポート38は、サンプルポート30が配置される縁部に対して、基板22の反対側の縁部に配置され得る。吸引ポート36は、チャネル24を通して反応領域50と流体連絡し得る。図示される例において、チャネル24の第一の端部40は、吸引ポート36と流体連絡し得、そして同じチャネル24の第二の端部42は、サンプルポート38と流体連絡し得る。
【0027】
種々の実施形態において、ビーズ48は、溶解可能な材料(例えば、周囲温度においては固体であり、25℃より高温であるが95℃未満である温度においては溶解する材料)を含み得る。この材料は、ポリエチレングリコール(PEG)を含み得る。当業者は、過度の実験をすることなく、PEGが広い温度範囲にわたって固体のままであるか、溶解するか、または融解するように適合され得るように、PEGの化学構造を修飾し得る。例えば、PEGは、周囲温度において固体であり、従って、ビーズ48の内部の試薬が互いから隔離されたままであり得るか、またはある反応領域から別の反応領域への相互汚染がないように、チャネル24を通して反応領域50の各々へと提供されるあらゆるサンプルから、隔離されたままであり得るように適合され得る。
【0028】
ビーズ48が溶解または融解される場合、ビーズ48の内部に含まれる試薬は、それぞれの反応領域50内に放出され得る。ビーズの材料は、サーマルサイクラーの冷却サイクル(例えば、約60℃の最低温度を有する冷却サイクル)の間でさえも融解したままである材料を含み得る。ビーズ48は、ヌクレオチドの増幅反応を阻害せず、反応領域50内での反応の間に生成する化合物を同定するために実施され得る蛍光検出を妨害もしない、材料を含み得る。
【0029】
サンプルポート38は、全てのチャネル24と全ての反応領域50とを合わせた合計体積より大きい体積を有し得る。吸引ポート36は、全てのチャネル24と全ての反応領域50との合計体積より大きい体積を有し得る。チャネル24は、複数のセグメント26を備え得る。セグメント26は、反応領域50の間に流体連絡を提供し得るか、または反応領域50を相互接続し得る。セグメント26は、異なる反応領域50を分離するために充分な長さおよび/または深さのものであり得、その結果、サーマルサイクリングプロセスの間に第一の反応領域50においてビーズ48から放出された試薬が、望ましい数のサーマルサイクルまたは持続時間にわたって、他の反応領域においてビーズから放出される試薬と接触しない。
【0030】
1つの実施形態において、図2を参照すると、注射器44が、吸引ポート36においてシールを形成するように提供され得る。このシールは、気密であり得る。注射器44は、吸引ポート36とサンプルポート38との間に、圧力差を生じさせ得る。この圧力差は、注射器44のプランジャー46を引き出すことによって、形成され得る。得られる圧力差は、サンプルを、サンプルポート38から、チャネル24を通し、反応領域50を通して、吸引ポート36まで引き得る。あるいは、サンプルポート38と吸引ポート36との間に圧力差を生じるように適合された、他の任意の圧力源が利用され得る。サンプルをサンプルポート38から装填するこのプロセスが、周囲温度で行われる場合、各ビーズ48を閉じ込めるカバーまたはジャケットとして働くように適合された材料が、このサンプルと、各ビーズ48に閉じ込められた試薬との相互作用を防止し得る。
【0031】
他の実施形態において、チャネル24(図1)は、サンプルポート38に装填されたサンプルを、チャネル24内へ、反応領域50内へ、そして吸引ポート36内へと引くために充分な毛管力を提供し得る。
【0032】
ビーズ48を利用して試薬を提供することにより、装填工程の間、ビーズ48の成分の蒸発、滴下、および/または跳ねが回避され得る。ビーズ48を利用することにより、一定量および/または未知の量の試薬を、望ましい反応領域に提供し得る。サンプルの充填操作または装填操作の間に、ビーズ48およびその関連する成分を反応領域に収容または保持することによって、サンプルを充填する安価な方法が提供され得る。反応領域の各々は、圧力または毛管力を使用して、充填され得る。反応領域の相互汚染の可能性は、ビーズ48に含まれたかまたは閉じ込められた試薬を提供することによって、排除されるかまたは最小にされる。
【0033】
種々の実施形態に従って、サンプルは、一度に複数のサンプルウェル内に充填され得る。他の実施形態において、予めシールされたカードまたは流体処理デバイスが、予め充填された試薬を保護し得る。予め装填された試薬は、カードの内部に予め装填され、そして/または閉じ込められ得る(例えば、Taqman(Applied Biosystems,Foster City,California)試薬)。これによって、顧客または使用者が、保証されていない試薬を使用することを防止し得る。
【0034】
図3は、流体処理デバイス20の部分断面図である。示されるように、チャネル24は、反応領域50より小さい深さを有し得る。カバー34は、ビーズ48、チャネル24、および反応領域50をシールし得る。
【0035】
図4および図5は、種々の実施形態に従う流体処理デバイス300の部分上平面図を図示する。流体処理デバイス300は、基板312を備え得る。チャネル306は、基板312の表面、(図示されるように)基板312の内部、または基板312の表面と内部との両方に、提供され得る。チャネル306に沿って形成される反応領域は、図5には示されない。チャネル306の部分集合が、サンプルポート304と流体連絡し得る。各チャネル306は、通気口310を備え得る。通気口310は、チャネル306の遠位端の、覆われていない領域を含み得る。他の実施形態において、通気口310は、カバー302の開口部を含み得る。カバー302は、基板312の表面に配置され得る。カバー302は、チャネル306の全体または一部を覆い得る。例えば、カバー302は、チャネル306の遠位端が覆われないことを除いて、チャネル306を覆うように提供され得、チャネル306の遠位端において、通気口310を形成し得る。サンプルポート304は、覆われないままにされ得る。カバー302は、フィルム(例えば、ポリマー材料)を含み得る。カバー302は、接着剤で裏打ちされたフィルムを含み得る。カバー302は、非多孔性の気体透過性材料を含み得る。
【0036】
種々の実施形態に従って、カバー層は、約0.001インチ〜約0.1インチ(例えば、約0.003インチ〜約0.05インチ)の、例示的な厚さを有し得る。使用前、使用中または使用後に、流体処理デバイスは、気体不透過性の層(例えば、非多孔性のアルミニウムフィルム層、ポリオレフィンフィルム層、またはポリテトラフルオロエチレン層)によって、さらにコーティングされ得るか、シールされ得るか、または覆われ得、あるいはこの気体不透過性の層によって、最初にコーティングされるか、シールされるか、または覆われて提供され得る。この気体不透過性の層は、反応領域内のサンプルの蒸発もしくは他の損失、または汚染を防止することが可能であり得る。
【0037】
シールデバイスの非多孔性の気体透過性材料は、栓の形態であろうとカバー層の形態(例えば、フィルム、シート、またはストリップ)であろうと、ポリシロキサン材料、ポリジメチルシロキサン材料、ポリジエチルシロキサン材料、ポリジプロピルシロキサン材料、ポリジブチルシロキサン材料、ポリジフェニルシロキサン材料、および他のポリジアルキルシロキサン材料またはポリアルキルフェニルシロキサン材料から選択される少なくとも1つのメンバーを含み得る。このポリシロキサンは、架橋していない反応性ポリシロキサンモノマーと、約0.01重量%〜約50重量%のポリシロキサン架橋剤(例えば、約0.1重量%〜約25重量%、または約0.5重量%〜約10重量%のポリシロキサン架橋剤)との、反応生成物であり得る。
【0038】
非多孔性の気体透過性材料は、ポリシロキサン材料、ポリアルキルシロキサン材料、ポリジアルキルシロキサン材料、ポリアルキルアルキルシロキサン材料、ポリアルキルアリールシロキサン材料、ポリアリールシロキサン材料、ポリジアリールシロキサン材料、ポリアリールアリールシロキサン材料、ポリシクロアルキルシロキサン材料、ポリジシクロアルキルシロキサン材料、およびこれらの組み合わせを含み得る。種々の実施形態に従って、このポリシロキサン材料は、例えば、RTV 615(Waterford,New YorkのGE Siliconesから入手可能なポリジメチルシロキサン材料)を含み得る。このポリシロキサンは、2成分のシリコーンから形成され得る(例えば、RTV 615)。
【0039】
種々の実施形態に従って、任意の適切なカバー材料が、利用され得る。例示的な材料は、反応領域に入れられる試薬と実質的に化学的に不活性であり得る。いくつかの実施形態に従って、基板の上部表面またはその適切な領域(例えば、各反応領域の周りの直立するリムまたはリップ)と実質的に流体密のシールを形成し得る、カバー材料が使用される。このようなシールは、例えば、従来の接着剤および/または熱シール技術を使用して、行われ得る。適切な熱シール可能材料としては、例えば、ポリマーフィルム(例えば、ポリスチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルムおよび/またはポリエチレンフィルム)が挙げられる。このような材料は、例えば、Polyfiltronics,Inc.(Rockland,Mass.)およびAdvanced Biotechnologies(Epsom,Surrey England UK)から市販されている。
【0040】
種々の実施形態に従って、実質的に透明なポリマーフィルムが使用され得、このフィルムは、例えば、約0.05ミリメートル〜0.50ミリメートルの間の厚さであり、そして覆われる反応領域内で起こる反応の光学測定を可能にする。この点に関して、本教示は、核酸増幅産物(例えば、PCR)の、リアルタイムの蛍光ベース測定を企図することが思い出される。一般に、このような技術において、励起ビームは、カバーを通して、反応領域に別々に含まれる複数の蛍光性混合物の各々に方向付けられ、ここで、このビームは、各混合物中の蛍光成分を励起させるために適切なエネルギーを有する。蛍光強度の測定は、リアルタイムで、各反応の進行を示す。このようなリアルタイムでの監視を可能にする目的で、この実施形態における各シートは、透明であるか、または励起波長および測定波長において少なくとも透明である、熱シール可能な材料から形成される。この点に関して、1つの適切な熱シール可能なシートは、ポリプロピレンとポリエチレンとの共積層体である。このシートが切断されてウェルのアレイを覆うように配置されると、加熱可能なプラテン(図示せず)が、このシートを係合させて熱を付与するために使用され得、これによって、このシートが基板に結合する。
【0041】
使用され得る他の例示的なカバー層としては、2004年1月22に出願された米国特許出願番号10/762,786、および2003年1月30日に公開された米国出願公開第2003/0021734号に記載されるものが挙げられ、これらの米国特許出願は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0042】
図4は、図5に示される流体処理デバイス300の、拡大上平面図である。流体処理デバイス300は、チャネル306を備え得る。チャネル306は、複数の反応領域308と流体連絡し得る。ビーズ316が、反応領域308の内部または表面に配置され得る。ビーズ316は、1種以上の試薬放出材料(例えば、1種以上の溶解可能な材料または融解可能な材料)を含み得る。これらのビーズは、例えば、高温で軟化および融解および/または溶解する1種以上のポリマー、低温で軟化する逆ポリマー(reverse polymer)、水溶性材料、ならびに/あるいは溶媒に可溶性の材料(例えば、酸性溶媒に可溶性である材料、塩基性溶媒に可溶性である材料、中性溶媒に可溶性である材料、水性溶媒に可溶性である材料など)を含み得る。いくつかの実施形態において、溶媒および材料は、サンプルおよび反応成分の存在下で不活性なままである。反応領域308は、基板312の内部または表面の反応部位の数を最大にするように、配置され得る。反応領域308は、格子(例えば、正方形の格子、矩形の格子、六角形の格子)、または当該分野において公知である他の任意のアドレス可能な配列の設計として、配置され得る。いくつかの実施形態において、反応領域308は、互い違いに並び得る。
【0043】
2つの反応領域308は、チャネル306のセグメント314によって分離され得る。セグメント314は、第一の反応領域308からの試薬が、第二の隣接する反応領域308と入り混じることまたは合わさることを防止するために充分な長さおよび/または深さのものであり得る。各反応領域308は、内部に配置されたビーズまたはビーズのセット316を収容し得る。各ビーズまたはビーズのセット316は、流体処理デバイス300の1つ以上の他の反応領域308内に配置された他のビーズまたはビーズのセット316とは異なる生物学的試薬を提供し得る。
【0044】
種々の実施形態に従って、サンプルは、サンプルポート304からチャネル306および反応領域308内へと、例えば、毛管作用または遠心力によって、引かれるかまたは他の様式で押され得る。チャネル306およびサンプルポート304は、このようなサンプル装填を達成するように構成され得る。例えば、サンプルポート304は、チャネル306の深さより小さいかまたは等しくあり得る深さを有し得る。例えば、チャネル306は、約30μm〜約120μm、約50μm〜約110μm、約80μm〜約100μm、または約100μmの深さを有し得る。サンプルが装填された後に、反応成分または試薬は、ビーズ316から放出され得る。これらの試薬は、反応領域308内に配置されたサンプルと相互作用し得る。これらの試薬は、ビーズ316またはその層もしくはその表面の層を融解させるか、溶解させるか、または他の様式で破壊して、これらのビーズに含まれる試薬またはこれらのビーズ上にコーティングされた試薬を放出するために効果的な条件下でビーズ316を処理することによって、ビーズ316から放出され得る。このような処理としては、例えば、加熱、サーマルサイクリング、超音波処理、冷却、溶解などが挙げられ得る。処理の間、例えば、サーマルサイクリングの前に、サンプルポート304、チャネル306および反応領域308は、本明細書中に記載されるようなカバーを使用して覆われ得る。ビーズ316を処理する前に、チャネル306を通る流体連絡が、例えば、光学弁を閉じることによってか、熱により作動可能な弁を閉じることによってか、変形可能な弁を閉じることによってか、杭を差し込むことなどによって、遮断され得る。
【0045】
種々の実施形態に従って、流体処理デバイスは、単回使用デバイスを備え得る。他の実施形態において、流体処理デバイスは、複数回使用デバイスを備え得る。
【0046】
種々の実施形態に従って、少なくとも1つのチャネルと、複数の反応領域と、それぞれの反応領域と連絡する2つ以上のビーズとを備える、流体処理デバイスを提供する工程を包含する、方法が提供される。これらのビーズのうちの少なくとも2つは、異なる反応成分を含み得、そして各ビーズは、チャネル内へのビーズの移動を防止するために充分なサイズのものであり得る。この方法は、ビーズから放出された反応成分をサンプルと接触させて、反応生成物を生成する工程をさらに包含し得る。この方法は、接触させる工程の前に、サンプルを複数の反応領域の各々に装填する工程を包含し得る。
【0047】
この方法は、ビーズから反応成分を放出させる工程を包含し得る。このビーズは、試薬放出材料を含み得、そしてこの放出させる工程は、この反応成分を損傷することなくこの反応成分を放出するために十分な温度まで、それに十分な時間にわたって、このビーズを加熱する工程を包含し得る。
【0048】
種々の実施形態に従って、異なる独立した反応が、チャネルの各反応領域において実施され得る。第一の反応領域における反応成分および/または反応生成物は、隣接する反応領域の反応成分および/または反応生成物と接触することを防止され得る。他の実施形態において、複数の反応領域は、第一の反応から放出された反応成分および/または反応生成物と、隣接する反応領域から放出された反応成分および/または反応生成物との相互作用を防止するために充分な長さおよび/または深さのチャネルによって分離された、2つの隣接する反応領域を備え得る。
【0049】
図6および図7は、それぞれレポーターおよびアンプリコンが、原点から分布する距離のヒストグラムである。これらのヒストグラムは、本教示の流体処理デバイスの1つの実施形態に従う、アンプリコンについての拡散の速度を図示する。この流体処理デバイスは、6,144個の反応領域を備えた。計算により、ほとんどのレポーターが、20回のサーマルサイクルにおいて、2mm未満拡散し得ることが示された。見られ得るように、アンプリコンのうちの80%より多くが、原点から300マイクロメートル(μm)より大きく漂う。この原点は、反応領域であり得る。アンプリコンの拡散係数(Damp)は、45μm/秒未満であり得る。Dampは、アンプリコン分子が1秒間あたりいかに迅速に移動し得るかの尺度である。Drepとは、レポーターについての拡散係数である。
【0050】
図8は、ビーズ分配システムを図示する、流体処理デバイスの製造システムの斜視図である。このビーズ分配システムは、2003年1月30日に公開された、米国特許出願公開第2003/0021734号に記載されるような、ビーズ分配システムを備え得る。複数の平行四辺形の連結アセンブリ(例えば、各々がそれぞれの導管アセンブリ126’を備える144)が、回転ラックの配置(一般に、168として表される)と組み合わせて見られ得る。回転ラック168の回転運動は、種々の連結アセンブリを、回転ラックの中心軸「A」の周囲で回転させ得る。好ましくは、回転ラックのこのような運動は、制御コンピュータ(図示せず)の指示のもとで行われる。各導管アセンブリは、軸「A」の半径方向外側に位置するそれぞれの水平リンク160の領域に沿って配置される。1つの実施形態において、例えば、各水平リンクは、それぞれの導管アセンブリを受容および支持するように構成された、中心開口部を有する枠組み構造体(図8では見えない)に堅固に取り付けられるか、またはこの枠組み構造体と一体的に形成される。各水平リンク160の他端は、回転軸「A」の方向に延びる、それぞれの細長アーム172に堅固に取り付けられるか、またはこの細長アームと一体的に形成される。この細長アームは、回転ラックの支持表面の内側領域に沿って延びるレール174に達し、そしてこのレールと係合する。レール174は、ベアリング表面178(以下にさらに記載される)を提供し、各連結アセンブリ144が、回転ラック168によって進められるにつれて、このベアリング表面に沿って支えられて動き得る。この点に関して、細長アーム172は、ベアリング表面178に沿って滑るように適合された、下向きに角度を有する末端屈曲部180を備える。ベアリング材料は、ベアリング表面178に一致する領域に沿って、屈曲部180に取り付けられ得る。好ましくは、ベアリング材料は、低い滑り摩擦の接触界面を提供するように、選択される。例示的なベアリング材料は、低摩擦材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など)から形成されるボスの形態であり得、ベアリング表面178に隣接領域において、屈曲部180に結合され得る。
【0051】
上記のように、特に図8の斜視図に関して、レール174は、回転ラック支持表面170の内側領域に沿って延びることが見られ得る。より具体的には、レール174のベアリング表面178は、(i)回転ラックの支持表面の上方に第一の垂直高さH1において、回転軸「A」から第一の距離R1で位置する、第一の弓形セクションおよび(ii)軸「A」から第二の距離R2(距離R1より短い)に位置し、第二の垂直高さH2(垂直高さH1より高い)に位置する、第二の弓形セクションを備える。このような弓形セクションの各々の構成は、ほぼ半円の構成であり、例えば、測定すると約60°〜約85°である。183および184において例示されるような移行セクションは、第一の弓形セクションと第二の弓形セクションとを一緒に架橋する。第一の弓形セクションおよび第二の弓形セクション、ならびに移行セクションは、一緒になって、上平面図(図示せず)においておよそ長円形に見える、連続したベアリング表面を提供する。
【0052】
操作において、各平行四辺形連結アセンブリ144が、レール174の第一の弓形セクションに沿って進むにつれて、それぞれの導管アセンブリ126’は、基板122’の真上のより低い位置に位置する。各平行四辺形連結アセンブリが第二の弓形セクションに沿って移動するにつれて、それぞれの導管アセンブリは、基板122’の上方であって基板122’からずれた上昇位置に位置する。
【0053】
各試薬供給位置は、ウェルによって規定される。6つのみのこのような位置が、線形の様式で横に並んで配置されて示されているが、任意の合理的な数の供給位置が、任意の望ましい空間的構成で配置され得ることが理解されるべきである。例えば、試薬プレート(プレート20など)は、24個、48個、96個、384個、1024個、1536個、または6144個のウェルを備え得、各ウェルは、1つ以上の試薬ビーズを支持するように構成される。このような配置において、これらのウェルは、代表的に、規則的な配列(例えば、8×12、16×24、32×32、32×48、または64×96の矩形の配列)で配置されるが、他の設計が可能である。上に示されたように、各試薬供給位置は、複数のビーズを保持し得る。各ビーズは、次に、所望の試薬を閉じ込め得るか、収容し得るか、保有し得るか、支持し得るかまたは他の様式で含み得る。
【0054】
検出器具が、種々の実施形態に従って、ビーズを受容する基板の標的位置(例えば、マイクロカードのウェル内)においてビーズの存在を検出するために、備えられ得る。1つの実施形態において、特定の試薬を保有する全てのビーズは、独特の、予め帰属された色を表示するように構成される。この実施形態において、検出器具は、このような色のビーズについて、各標的ウェルを調査するように適合され得る。検出器具は、例えば、CCDカメラ、蛍光検出器、放射性同位体検出器、RFID検出器、紫外線検出器、これらの組み合わせなどを備え得る。
【0055】
図9、図10、および図11は、種々の実施形態に従う流体処理デバイス400を図示する。注射器410が、管412を介して、基板402上に配置された固定具(例えば、(示されるような)ルアーロック414)に取り付けられ得る。ルアーロック414は、投入チャネル417に流体接続され得る。各投入チャネル417は、ルアーロック414と、基板402の内部または表面に規定された複数の保有領域404の部分集合との間に、流体連絡を提供し得る。各保有領域404は、投入ポート406を備え得る。保有領域404は、排出ポート408を備え得る。保有領域404は、1つ以上のさらなるチャネルと流体連絡し得る。投入ポート406および/または排出ポート408は、レーザー穿孔され得るか、または他の様式で形成され得る。チャネル418は、例えば、蛇行した構成を有し得る。チャネル418は、2つ以上の異なる保有領域404の間に、それぞれの投入ポート406および排出ポート408を介して流体連絡を提供し得る。チャネル418の通路は、1つの保有領域404内のビーズからの試薬が、例えば、融解または溶解後に、別の保有領域404内に拡散することを防止するために充分な形状および/または寸法のものであり得る。通気口430は、保有領域404の部分集合と流体連絡し得る。保有領域404のセットおよびチャネル418の部分集合を横断する連続的な流体流路は、装填の間、注射器410からそれぞれの排気口430への流体連絡を提供し得る。装填に続いて、通気口、チャネル、反応領域、またはこれらの組み合わせは、閉鎖またはシールされ得る。
【0056】
保有領域404は、生物学的試薬を含み得るビーズ428を保有し得る。カバー424は、基板402の頂部表面416を覆うように配置され得る。カバー424は、ビーズ428を、保有領域404内にシールし得る。カバー424は、光学検出を可能にするために、透明であり得る。カバー424は、例えば、接着、熱シール、圧力シール、これらの組み合わせなどによって、基板402に取り付けられ得る。シール426は、図10に示される底面図に図示されるように、基板402の底部表面415に配置され得る。シール426は、良好な熱伝導体であり得、そして例えば、金属材料(例えば、鉄、銅、アルミニウム)を含み得、そして/または熱伝導性炭素粒子などを含み得る。シール426は、チャネル418を通る流体連絡を遮断するように適合された障壁を形成するために、刻み目を付けられ得るかまたは襞を付けられ得る。
【0057】
図12A、図12B、図12C、および図12Dは、流体処理デバイス400内へのサンプルの装填を図示する。図12Aにおいて、注射器または圧力源(図示せず)が、この注射器をルアーロック414にねじ込むことによって、基板402に取り付けられ得る。図12Bにおいて、この注射器は、サンプルをチャネル417内および第一の保有領域404内へと押し込む。このサンプルが保有領域404内に押し込まれるにつれて、空気は、通気口430を通って逃れ得る。図12Cは、注射器によって発生した圧力が、どのように、サンプルに複数の保有領域404を1つずつ順番に充填させるかを図示する。注射器によって付与される圧力は、このサンプルが通気口430を出るか、または通気口430に達すると、平衡化され得るかまたは他の様式で停止され得る。図12Dにおいて、ルアーロック414および基板の通気口430は、例えば、この図の頂部および底部に示されるように、基板402の一部分(それぞれ、通気口430およびルアーロック414を含む)を切り取ることによって、除去されている。この除去は、例えば、シール426を変形させることおよび/またはクリンプさせることによって、投入チャネル417およびチャネル418をシールして閉じ得る。
【0058】
操作において、この流体処理デバイスは、熱源(例えば、サーマルサイクラー)と熱接触して配置され得る。第一の熱サイクルにおいて、ビーズ428が融解し得、ビーズ428内に貯蔵された試薬をサンプル中に放出する。多数のサイクルにわたって、ビーズ428から放出される試薬は、反応領域404からチャネル418内へと拡散し得る。設計により、チャネル418の長さは、1つの保有領域404内にビーズから放出された試薬が、例えば、複数のサイクルにわたって(例えば、20サイクル以上、30サイクル以上、または40サイクル以上にわたって)、隣接する保有領域404に移動することを防止するために充分であり得る。
【0059】
図13A、図13B、および図14は、チャネル440が基板442の底部において杭を打たれるか、閉鎖されるか、または他の様式で遮断されて、1つの保有領域から別の保有領域への試薬の拡散を防止し得る、流体処理デバイス450の実施形態を示す。杭打ちは、チャネルを閉鎖するための物理的手段(例えば、刃、ナイフ、またはチャネル440にわたって押されるか、巻かれるか、もしくは欠き取られる他の変形子(deformer))を利用し得る。閉鎖は、基板442におけるチャネル440を横切って、ダム419を形成させ得る。種々の実施形態に従って、これらの試薬は、ダム419を越えて拡散し得ない。試薬は、各反応領域452内に配置された1つ以上のビーズ454(例えば、各反応領域452内の異なるビーズ)によって提供され得る。反応領域452は、フィルム444で覆われ得る。
【0060】
種々の実施形態に従って、閉鎖可能な弁が、隣接する反応領域の間に提供され得る。この閉鎖可能な弁は、カバーとデバイス基板とに間の接着剤層を備え得、その結果、この接着剤層は、2つの反応領域の間のチャネルを部分的に規定し得る。この閉鎖可能な弁は、変形子をこのカバーと接触するようにこのカバーに向かう方向に駆動するように適合された、駆動機構を備えるシステムを用いて、起動され得る。この変形子は、その起動端部に取り付けられた、接触パッドまたは類似の柔軟なデバイスを備え得る。
【0061】
この駆動機構は、変形子の接触パッドを、カバーと強制的に接触させ得、その結果、この接触パッドは、接着剤層を、下にあるチャネルの形状に密着させて、このチャネルに接着剤を満たし、そしてこのチャネルを接着剤で閉鎖し得る。このパッドの柔軟かつ順応性の特徴の結果として、このパッドの材料は、接着剤層の接着剤をチャネル内に操作するように働き得、これによって、弁を閉じる。
【0062】
種々の実施形態に従って、接触パッドの弾性の特徴は、構造体(例えば、接着剤層の弁)と強制的に接触させられる場合に、この接触パッドの形状が変化することを可能にし得る。この接触パッドは、化学的に耐性かつ不活性である材料であり得る。この接触パッドの材料は、サーマルサイクリング(例えば、PCRを実施する間に必要とされ得る)に耐え得るように選択され得る。弾性的に変形可能でありかつ順応性のある、任意の適切な材料(例えば、軟質ゴム(例えば、シリコーンゴム))が使用され得る。この接触パッドの特定の軟質特徴は、接着剤層において使用される接着剤の流動特徴に依存して、選択され得る。他の実施形態において、この接触パッドは、記憶を有し得、この接触パッドが弁と強制的に接触させられた後に、元の配向に復帰することを可能にする。この接触パッドの厚さは、このパッドが、下にあるチャネルを充填し得るような程度まで、このパッドが変形するために充分であり得る。種々の実施形態に従って使用され得る適切な変形可能な弁の例としては、例えば、2003年1月3日に出願された、米国特許出願番号10/336,274、および2003年7月23日に出願された、米国特許出願番号10/625,449(これらは、本明細書中に参考として援用される)に記載されるものが挙げられる。
【0063】
いくつかの実施形態において、この接触パッドは、接着剤層弁の構成要素を加熱することが可能であり得る。種々の実施形態に従って、この接触パッドは、この接触パッドがこの弁と強制的に接触させられる場合に、この接着剤層を加熱し得る。例えば、この接触パッドは、部分的にかまたは全体が、熱伝導性材料または抵抗加熱器として働き得る材料から形成され得るか、あるいはこの接触パッドは、2003年2月6日に出願された、Sigeuraに対する米国特許出願番号10/359,668(これは、その全体が本明細書中に参考として援用される)に記載されるように、放射加熱器として配置され得る。変形子の接触パッドが熱伝導性材料から形成される場合、この接触パッドは、例えば、対流または伝導によって、加熱され得る。変形子の接触パッドが抵抗加熱器として働く材料から作製される場合、この接触パッドは、例えば、この接触パッドに電流を流すことによって、加熱され得る。抵抗加熱器として形成される接触パッドは、電源との適切な電気接点を備えるように配置され得る。
【0064】
種々の実施形態に従って、この接触パッドがカバーと接触するように配置される場合、この接触パッドの温度は、ある範囲内にあり得、その結果、接着剤層に伝達される熱は、この接着剤の粘度を低下させ得る。接着剤層を加熱し、これによってこの接着剤層の粘度を低下させて、この接着剤の操作性を促進することにより、発熱接触パッドが、弁の閉鎖を補助し得る。種々の型の接着剤(例えば、感圧性接着剤およびホットメルト接着剤)が、それらの操作性を改善するために、加熱され得る。
【0065】
種々の実施形態に従って、接着剤層は、任意の適切な操作可能な接着剤であり得る。例えば、感圧性接着剤またはホットメルト接着剤が、使用され得る。感圧性接着剤の例としては、シリコーン感圧性接着剤、フルオロシリコーン感圧性接着剤、および他のポリマー感圧性接着剤が挙げられる。接着剤を選択する際に考慮され得る特徴としては、例えば、粘着性、粘度、融点、順応性が挙げられる。
【0066】
種々の実施形態に従って、接着剤層は、いずれのサンプルにも、望ましい反応にも、このデバイスにおいて処理されるサンプルの処理にも、有害な影響を与えない、任意の適切な厚さを有し得る。この接着剤層は、下にある基板の材料に対してよりも、弾性変形可能なカバーに対して、より接着性が高くあり得る。
【0067】
種々の実施形態に従って、流体処理デバイスは、種々の標準的な形式のマルチウェルプレート(例えば、例えば、6144ウェルプレート、3072ウェルプレート、1536ウェルプレート、768ウェルプレート、384ウェルプレート、または96ウェルプレート)と調和するように適合され得る。
【0068】
種々の実施形態に従って、流体処理デバイスは、以下の利点のうちの1つ以上を提供し得る:1つの装填ポートが複数のウェルに装填するような、1工程操作;液体の体積が、ウェルの体積に対して正確に計量され得ること;気泡が発生しにくいこと;流体処理デバイスが、輸送の時点で永続的にシールされ得ること;流体処理デバイスが、顧客によるシールおよび汚染を回避し得ること;ビーズに閉じ込められた試薬を有する流体処理デバイスが、試薬の一体性を改善し得ること;流体処理デバイスが、カードを顧客がシールすることおよびシールを外すことを回避し得ること;顧客が、単純かつ安価な注射器を用いてサンプルを装填し得ること;ウェル間のより大きな間隔が、より良好な接着剤シールを可能にし得ること;ウェル間のより大きな空間を用いて、より少ないビーズ分配器が使用され得ること;ならびにビーズを備える流体処理デバイスが、周囲温度で輸送され得ること。
【0069】
種々の実施形態に従って、流体処理デバイスは、少なくとも1つのさらなる流路内に配置された、少なくとも1つの熱起動可能な弁を備え得る。この少なくとも1つのさらなる流路は、少なくとも1つのさらなる流体保有領域、および複数の流体保有領域のうちの少なくとも1つと、流体連絡し得る。この熱起動可能な弁は、ゴム、プラスチック、蝋、パラフィン、ポリエチレングリコール材料、ポリエチレングリコール材料の誘導体、多糖類、多糖類の誘導体、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの材料を含み得る。この熱起動可能な弁は、室温において水に不溶性である材料を含み得る。この熱起動可能な弁は、約35℃〜約95℃(例えば、約35℃〜約70℃、約35℃〜約65℃、または約35℃〜約50℃)の融点を有する材料を含み得る。
【0070】
種々の実施形態に従って、流体処理デバイスは、各反応領域内に、1つ以上のビーズを収容する。各ビーズは、置換ポリエチレングリコール材料、コーティング内に試薬を含むコーティングされた糖ビーズ、凍結乾燥またはフリーズドライされたビーズ、多糖類ビーズなどを含み得る。例示的な置換ポリエチレングリコールとしては、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルが挙げられる。いくつかの実施形態において、このビーズは、ポリエチレングリコール誘導体を含み得る。例示的なポリエチレングリコール誘導体は、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとのトリブロックコポリマーを含み得る。このビーズは、分枝ポリエチレングリコールまたはその誘導体を含み得る。いくつかの実施形態において、このビーズは、異なるコア材料の頂部にコーティングされた、1層以上の試薬放出ポリエチレングリコール誘導体を含み得る。例示的な置換ポリエチレングリコール材料は、以下の表1に示される:
【0071】
【表1】

PEGの例示的な誘導体としては、以下の表2に示されるものが挙げられ得る:
【0072】
【表2】

PEOとPPOとのトリブロックコポリマー(BASF,Mount Olive,NJ)。
【0073】
この流体処理デバイスは、複数のビーズを含み得、ここで、このビーズは、ポリエチレングリコール材料、ポリエチレングリコール材料の誘導体、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態において、複数のビーズの各々は、水と接触すると(例えば、室温で60秒後、40℃で30秒後、または50℃で10秒後に)溶解する、少なくとも1つの試薬層またはコーティングを備え得る。ビーズ全体が融解または溶解するのであれ、ビーズの層が融解または溶解するのであれ、ビーズの他の部分が融解または溶解するのであれ、種々の実施形態に従って、このビーズの分解は、融解、溶解、またはこれらの両方が原因であり得る。いくつかの例示的な実施形態において、これらのビーズは、各々が、試薬層を備え得、この試薬層は、約30℃〜約65℃の温度において、水に溶解し得る。
【0074】
種々の実施形態に従って、ビーズは、以下の式:
【0075】
【化1】

を有する材料を含み得る。式1において、
GおよびQは、各々独立して、単結合、O、N、
【0076】
【化2】

であり;
およびRは、各々独立して、
【0077】
【化3】

であり;
、R10、R11、R12、R13、およびR14は、各々独立して、O、S、またはNHであり;
pおよびqは、各々独立して、0、1、または2であり;
mは、0〜約10,000の整数であり;
p、q、およびmのうちの少なくとも1つは、0より大きい整数であり;
gは、2〜約20の整数であり;そして
nは、1〜約20の整数である。障壁または流体流れ調節剤は、以下の式:
【0078】
【化4】

を有する材料を含み得、式2において、
、R、およびRは、各々独立して、
【0079】
【化5】

であり;
uは、0〜約10,000の整数であり;
gは、2〜約20の整数であり;
nは、1〜約20の整数であり;
t、v、およびzは、各々独立して、0〜約10,000の整数であり;そして
t、u、およびvのうちの少なくとも1つは、0より大きい整数である。この障壁または流体流れ調節剤は、以下の式:
【0080】
【化6】

を有する材料を含み得、式3において、
AおよびBは、各々独立して、単結合、O、N、
【0081】
【化7】

であり;
およびRは、各々独立して、
【0082】
【化8】

であり;
は、C2n、C2n−2、またはCHCH(CH)Oであり;
、R10、R11、R12、R13、およびR14は、各々独立して、O、S、またはNHであり得;
a、b、r、およびsは、各々独立して、0、1、または2であり;
xおよびyは、各々独立して、1〜約10,000の整数であり;
gは、2〜約20の整数であり;そして
nは、1〜約20の整数である。この障壁または流体流れ調節剤は、以下の式:
【0083】
【化9】

を有する材料を含み得、式4において、
A、G、およびQは、単結合、O、N、
【0084】
【化10】

であり;
、R、R、およびRは、各々独立して、
【0085】
【化11】

であり;
、R10、R11、R12、R13、およびR14は、各々独立して、O、S、またはNHであり;
fは、1〜約10,000の整数であり;
pおよびqは、各々独立して、0、1、または2であり;
mは、0〜約10,000の整数であり;
p、q、およびmのうちの少なくとも1つは、0より大きい整数であり;
gは、2〜約20の整数であり;そして
nは、1〜約20の整数である。
【0086】
広範な種々のビーズが、本発明と共に使用され得る。一般に、これらのビーズは、比較的短い時間にわたって中程度の応力がかかる条件(例えば、以下でより完全に議論されるような、減圧、または電場もしくは静電場などの引力によって引かれること)に曝露される場合に、実質的な物理的変形に抵抗するべきである。例えば、特定の実施形態は、実質的に剛性の外側シェル、または柔軟なゼラチン性コーティングを有するビーズの使用を補償する。例示的な数種のビーズが、次に記載される。
【0087】
1つの実施形態において、これらのビーズは、コーティング材料(例えば、ゼラチン)を、試薬コアに適用することによって、形成される。このコーティングは、硬化して、この試薬の周りに実質的に固体のシェルを形成する。このコーティングは、制御された条件下(例えば、特定の溶媒への曝露の際)において、この試薬への接近を可能にするように、溶解可能または膨潤可能であり得る。コーティングされたビーズまたはマイクロ粒子を調製するための指針は、例えば、
【0088】
【表3】

に提供され、各々が、本明細書中に参考として明白に援用される。
【0089】
種々の実施形態に従って、複数のビーズ様の粒子が、試薬のための固体支持体として働く。例えば、試薬は、ビーズ上で合成され得るか、またはビーズに吸収され得る。なお他の実施形態において、試薬と結合材料とからなるスラリーまたは分散物が、複数のビーズ様の粒子を形成するために使用され、各個々のビーズが、実質的に均質なコンシステンシーを有する。このようなビーズを調製するための方法は、当業者に周知である。
【0090】
複数の異なる試薬が、試薬ビーズのそれぞれの集合体または群(本明細書中で「ロット」と称される)に形成され得る。例えば、10,000の異なる試薬が、10,000の異なるビーズロットに形成され得、各ロットが、それぞれの試薬を保有する、複数の実質的に類似のビーズからなる。異なるロットからのビーズを区別することを補助するため、およびいずれか1つの特定のビーズによって保有される試薬の型を迅速に決定するための手段を提供するために、各ロットからのビーズは、特定の、予め帰属された色を表示するように形成され得る。例えば、黄色のビーズは、試薬または試薬セット「A」を補有し得、青色のビーズは、試薬または試薬セット「B」を保有し得、そして赤色のビーズは、試薬または試薬セット「C」を保有し得る。各ロットからのビーズは、それぞれの試薬供給位置に配置され得る。
【0091】
種々の実施形態に従って、複数のビーズロットが形成され、各ビーズは、例えば、充分に規定された物理的特性および化学的特性を有するコーティング材料(例えば、ゼラチンまたはPEG)でコーティングされた試薬コアを含み得る。好ましくは、この実施形態において、全てのロットにおける全てのビーズが、実質的に同じ外側コーティング(すなわち、「一般的な」コーティング)を有し、各ロットについてのコーティングは、上で議論されたように、色のみが異なる。この配置は、試薬自体との接触に起因する設備の汚染の危険性を低下させることが理解されるべきである。いずれかの残留物が、試薬がこのシステムを通って移動する際に後に残される場合、このような残留物は、全てが、同じ、既知のコーティング材料である。好ましくは、このコーティング材料は、あらゆる残留物がこのシステムに対して無害であるように選択される。従来の液体堆積システムと比較して、物質を堆積させるためのより高い速度が、このようなビーズを使用して達成され得ることが、さらに理解されるべきである。なぜなら、これらのビーズを送達するハードウェアが、頻繁な洗浄を必要とせず、流体を吸引するために時間を費やしもしないからである。
【0092】
実質的に任意の形状のビーズが、本教示と共に使用され得るが、ほぼ球状の幾何学的形状を有するビーズが、本明細書中で使用するために特によく適している。また、本発明のシステムは、種々のサイズのビーズと共に使用され得る。例えば、1つの実施形態は、約1mm未満の直径を有する球状ビーズの使用を企図する。1つのこのような配置において、各ビーズは、約50マイクロメートル〜約500マイクロメートル(例えば、約275マイクロメートル〜約325マイクロメートル)の直径を有するように形成され得る。別の実施形態において、これらのビーズは、より大きく、その結果、各ビーズが、試薬プレートの1つのウェルを実質的に満たす。例えば、各ビーズは、約1.0mm〜4.0mm(例えば、約3.7mm)の直径を有し得る。試薬プレートの各ウェルは、次に、ビーズの直径よりわずかに大きい内径を有するように構成され得る。各ウェルの下端は、この実施形態において、このビーズの外側表面の輪郭に相補的であるような形状にされ得る。
【0093】
ビーズは、任意の望ましい試薬を保有し得る。本明細書中で使用される場合、用語「試薬」は、単一の物質、または一群の物質をいい得る。1つの好ましい実施形態によれば、各ビーズによって保有される試薬は、例えば、PCT公開WO 95/31039および米国特許出願番号08/235,411(これらの各々は、本明細書中に参考として明白に援用される)に記載されるような、核酸増幅産物(例えば、PCR)のリアルタイムでの蛍光ベース測定のために有用な成分を含む。
【0094】
種々の実施形態に従って、各ビーズは、サンプル中に存在し得る選択された分析物と反応するために効果的な、分析物特異的な試薬を保有する。例えば、ポリヌクレオチド分析のためには、この分析物特異的な試薬は、選択されたポリヌクレオチド分析物セグメントをプライマーにより開始されるポリメラーゼ連鎖反応によって増幅するために、このセグメントの相補鎖の反対側の末端領域にハイブリダイズするために効果的な配列を有する、第一のオリゴヌクレオチドプライマーおよび第二のオリゴヌクレオチドプライマーを含み得る。この分析物特異的な検出試薬は、この分析物がサンプル中に存在する場合に検出可能な蛍光信号を発生させるために、これらのプライマーのうちの一方の下流の領域においてこの分析物セグメントにハイブリダイズし得る、蛍光剤−消光剤オリゴヌクレオチドをさらに含み得る。
【0095】
各ウェルからの逆ビーム(retro−beam)を提供するために、反射光のみに依存するよりむしろ、各ビーズ上のコーティングが、特定の波長の光で照射されると蛍光を発する型のコーティングであり得る。この様式で、各ビーズは、このビーズが保有する試薬を示す、特定の、予め帰属された色の蛍光発光を発生させ得る。
【0096】
本教示の他の実施形態は、本明細書の検討および本明細書中に開示される本教示の実施から、当業者に明らかになる。本明細書および実施例は、例示のみとみなされることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1は、種々の実施形態に従う流体処理デバイスの平面図を示す。
【図2】図2は、種々の実施形態に従う、図1に示される流体処理デバイスの側面平面図を示す。
【図3】図3は、図1に示される流体処理デバイスの、線3−3に沿った側面断面図を示す。
【図4】図4は、図5の高密度プレートのセクションの拡大平面図である。
【図5】図5は、種々の実施形態に従う高密度プレートの一部の平面図である。
【図6】図6は、レポーター色素の拡散速度を図示する図である。
【図7】図7は、アンプリコンの拡散速度を図示する図である。
【図8】図8は、製造ラインを図示する、流体処理デバイスの製造システムの1つの実施形態の斜視図である。
【図9】図9は、流体処理デバイスの1つの実施形態の斜視図であり、カバー、複数のインジェクタ、ならびに複数のチャネルおよび反応領域を備える基板を図示する。
【図10】図10は、図9のデバイスの底面斜視図である。
【図11】図11は、図9の流体処理デバイスの、線11−11に沿った側面断面図である。
【図12a】図12aは、流体処理デバイスを通る流体流れを図示する、流体処理デバイスの1つの実施形態の側面断面図である。
【図12b】図12bは、流体処理デバイスを通る流体流れを図示する、流体処理デバイスの1つの実施形態の側面断面図である。
【図12c】図12cは、流体処理デバイスを通る流体流れを図示する、流体処理デバイスの1つの実施形態の側面断面図である。
【図12d】図12dは、流体処理デバイスを通る流体流れを図示する、流体処理デバイスの1つの実施形態の側面断面図である。
【図13a】図13aは、流体処理デバイスの1つの実施形態の斜視図であり、カバー、複数の注射器、ならびに複数のチャネルおよび反応領域を備える基板を図示する。
【図13b】図13bは、図13aのデバイスの底面斜視図である。
【図14】図14は、図13aの流体処理デバイスの、線14−14に沿った側面断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体処理デバイスであって、該流体処理デバイスは、
基板;
該基板の内部または表面に配置された複数の反応領域;
該複数の反応領域を相互接続する少なくとも1つのチャネルであって、該少なくとも1つのチャネルは、最大寸法を含む断面積を有する、少なくとも1つのチャネル;および
複数の試薬放出ビーズであって、各試薬放出ビーズは、該反応領域のうちの1つにそれぞれ配置されており、そしてアッセイのための1つ以上の反応成分を含み、該試薬放出ビーズの各々は、該チャネルの断面の該最大寸法より大きい最小寸法を有する、複数の試薬放出ビーズ、
を備える、流体処理デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つのチャネルと流体連絡する装填ポートをさらに備える、請求項1に記載の流体処理デバイス。
【請求項3】
前記装填ポートの体積が、前記複数の反応領域の全てと前記複数のチャネルの全てとを合わせた合計体積より大きい、請求項2に記載の流体処理デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つのチャネルが、第一の端部および第二の端部を有し、前記装填ポートが、該第一の端部と流体連絡しており、そして前記デバイスが、該第二の端部と流体連絡する吸引ポートをさらに備える、請求項2に記載の流体処理デバイス。
【請求項5】
注射器をさらに備え、該注射器は、前記吸引ポートにおいて吸引を生じるように適合されており、そして該吸引ポートと気密シールを形成する、請求項4に記載の流体処理デバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つのチャネルが、複数のチャネルを備え、該複数のチャネルの各々が、前記複数の反応領域の複数とそれぞれ流体連絡しており、そして該複数のチャネルの各々は、前記装填ポートと流体連絡する第一の端部、および前記吸引ポートと流体連絡する第二の端部を有する、請求項4に記載の流体処理デバイス。
【請求項7】
各試薬放出ビーズが、25℃において固体であり約50℃より高温の水に溶解する材料を含む、請求項1に記載の流体処理デバイス。
【請求項8】
前記基板が、頂部表面を備え、そして前記デバイスが、該デバイスが、カバー層をさらに備え、該カバー層は、該頂部表面と接触し、そして前記複数の反応領域および前記少なくとも1つのチャネルに蓋をする、請求項1に記載の流体処理デバイス。
【請求項9】
前記カバー層が、1平方インチあたり75ポンド以下の圧力において気体透過性であり液体不透過性である非多孔性材料を含む、請求項8に記載の流体処理デバイス。
【請求項10】
前記基板が、底部表面を備え、そして前記デバイスが、該底部表面と接触する熱伝導性層をさらに備え、該熱伝導性層が、1メートルあたり0.25ケルビン・ワットの熱伝導率を有する、請求項1に記載の流体処理デバイス。
【請求項11】
前記基板が、底部表面を備え、そして前記デバイスが、カバー層をさらに備え、該カバー層は、該底部表面と接触し、そして前記複数の反応領域のうちの少なくとも1つまたは前記少なくとも1つのチャネルに蓋をする、請求項1に記載の流体処理デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つのチャネルが、複数のチャネルを備え、該複数のチャネルの各々が、前記複数の反応領域のうちの複数のものとそれぞれ流体連絡しており、そして該複数のチャネルの各々が、装填ポートと流体連絡する第一の端部および通気口と流体連絡する第二の端部を有する、請求項2に記載の流体処理デバイス。
【請求項13】
前記試薬放出ビーズの各々が、前記複数の反応領域のうちの少なくとも1つに保持された核酸増幅産物のリアルタイムの蛍光ベース測定のための1つ以上の成分を含む、請求項1に記載の流体処理デバイス。
【請求項14】
前記複数の試薬放出ビーズが、第一のオリゴヌクレオチドプライマーおよび第二のオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに蛍光剤−消光剤オリゴヌクレオチドを含み、該第一のオリゴヌクレオチドプライマーおよび第二のオリゴヌクレオチドプライマーは、プライマーにより開始されるポリメラーゼ連鎖反応によって、選択されたポリヌクレオチド分析物セグメントを増幅するために、該選択されたポリヌクレオチド分析物セグメントの相補鎖の反対側の末端領域にハイブリダイズするために効果的な配列を有し、そして該蛍光剤−消光剤オリゴヌクレオチドは、分析物がサンプル中に存在する場合に検出可能な蛍光信号を発生させるために、該プライマーのうちの一方の下流の領域において、分析物セグメントにハイブリダイズし得る、請求項1に記載の流体処理デバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つのチャネルが、前記複数の反応領域を相互接続するための複数のセグメントを備える、請求項1に記載の流体処理デバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つのチャネルの一端と流体連絡する通気口、および該少なくとも1つのチャネルの遠位端と流体連絡する装填ポートをさらに備える、請求項15に記載の流体処理デバイス。
【請求項17】
前記装填ポートと連結するように適合された圧力源をさらに備え、該圧力源は、前記少なくとも1つのチャネルおよび前記複数の反応領域に通して第一の流体を注入し得、同時に前記通気口から第二の流体を排出することによって、該少なくとも1つのチャネルおよび該複数の反応領域内の該第二の流体を置き換え得る、請求項15に記載の流体処理デバイス。
【請求項18】
前記第一の流体が、液体を含み、そして前記第二の流体が、気体を含む、請求項17に記載の流体処理デバイス。
【請求項19】
システムであって、該システムは、
サーマルサイクラー;および
該サーマルサイクラー内に配置された、請求項1に記載の流体処理デバイス、
を備える、システム。
【請求項20】
システムであって、該システムは、
サーマルサイクラー内に配置された、請求項1に記載の流体処理デバイス;および
複数の反応ウェルのうちの1つについてリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応の検出を実施するように適合された、蛍光検出システム、
を備える、システム。
【請求項21】
流体処理デバイスであって、該流体処理デバイスは、
基板;ならびに
該基板の内部または表面に配置された通路であって、該通路は、
装填ポート、
通気口、
該装填ポートと流体連絡する、試薬放出ビーズを収容する第一の流体保有領域、
該通気口と流体連絡する、試薬放出ビーズを収容する第二の流体保有領域、および
該第一の流体保有領域および該第二の流体保有領域と流体連絡する、第一のチャネル、
を備える、通路、
を備える、流体処理デバイス。
【請求項22】
方法であって、該方法は、
流体処理デバイスに流体を装填する工程であって、該流体処理デバイスは、基板の表面または内部に配置された複数の反応領域を備え、該複数の反応領域は、少なくとも1つのチャネルによって相互接続されており、そして各反応領域は、試薬を含む試薬放出ビーズを収容している、工程、
を包含する、方法。
【請求項23】
各試薬放出ビーズから試薬を放出させる工程をさらに包含する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記反応領域の各々において反応プロセスを実施する工程をさらに包含する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つのチャネルが、前記複数の反応領域を相互接続する複数のセグメントを備え、各セグメントが、該複数の反応領域のうちの1つの反応領域内の前記試薬の、該複数の反応領域のうちの別の反応領域から放出された前記試薬との相互作用を防止するために十分に長い長さを有する、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記流体処理デバイスをサーマルサイクリングさせる工程をさらに包含する、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−532016(P2008−532016A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557253(P2007−557253)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/010225
【国際公開番号】WO2006/102321
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【Fターム(参考)】