説明

捲回電極体の製造方法およびその装置、および、電池の製造方法

【課題】巻取速度に急激な加減速が生じる状況下においても適切な硬さの捲回電極体を製造することができる方法を提供する。
【解決手段】この捲回電極体の製造方法は、帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14を重ねて捲回し、捲回電極体を製造する方法であり、押付部材30を押し付けながら帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14を巻取軸20に巻き取る工程を有している。そして、当該工程において、帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14のうち少なくとも1つに作用する張力Tが減少するのに応じて、当該押付部材30の押付力を大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状電極と帯状セパレータを重ねて捲回し、捲回電極体を製造する方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる捲回電極体の製造方法には、例えば、特開2007−142351号がある。同公報では、捲回する素子(帯状電極や帯状セパレータに概ね相当する)の外径寸法及び硬度を安定させるため、捲回中の素子に加圧ローラ(押付部材に相当する)を押し付けながら素子材料を巻き取る装置が開示されている。この装置は、捲回素子の捲回時に加圧ローラを巻芯の方向へ押し付けることにより、素子材料間に入り込む空気を排出する。ただし、上述した特許文献1には、加圧ローラをどのように押し付ければよいかについて、特に、押付力の調整について、具体的な示唆はない。
【0003】
また、他の先行技術として、例えば、特開平10−310299号がある。同公報には、ダンサー機構を有し、巻き取られる帯状体(帯状電極と帯状セパレータに概ね相当する)のテンションを安定して制御する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2007−142351号
【特許文献2】特開平10−310299号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、かかる捲回電極体を製造する方法として、巻取速度を上げて生産効率を向上させることを考えている。例えば、全長5m程度の帯状材であれば、2m/sを超える程度の巻取速度で巻き取ることを考えている。これによって捲回時間を大幅に短縮することできる。この場合、巻き始めてから巻取速度を急激に早くし、さらに巻き終わる前にも巻取速度を急激に遅くするなど、今までに比べて格段に急激な加減速が伴う。
【0005】
ここまで急激な加減速が生じると種々の問題が生じる。例えば、巻き始めから巻取速度が急激に加速されると、帯状電極と帯状セパレータに作用する張力が急激に大きくなる。また、巻き終わる前に巻取速度が急激に減速されると、張力が急激に小さくなる。そして、張力が急激に緩むと、巻き取られる帯状材に空気が入り込み易くなる。空気が入り込むと捲回電極体が柔らかくなる。これに対して、巻き取られる帯状材に空気が入り込むのを防止すべく、巻き取られる帯状電極と帯状セパレータを押付部材(加圧ローラ)で強く押し付けると、捲回電極体が必要以上に硬くなる。
かかる事象を鑑み、本発明者は、巻取速度に急激な加減速が生じる状況下において、捲回電極体を適切な硬さにしたいと考え、本発明を創案した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る捲回電極体の製造方法は、帯状電極と帯状セパレータを重ねて捲回し、捲回電極体を製造する方法であり、押付部材を押し付けながら帯状電極と帯状セパレータを巻取軸に巻き取る工程を有している。当該工程において、本発明では、帯状電極と帯状セパレータのうち少なくとも1つに作用する張力が減少するのに応じて、当該押付部材の押付力を大きくする。
帯状電極と帯状セパレータに作用する張力が減少すると、帯状電極と帯状セパレータが巻取軸に巻き取られるときに巻き付く力が減少する。本発明によれば、この減少分を押付部材の押付力で補うことができるので、捲回電極体を適切な硬さにすることができる。
【0007】
例えば、帯状電極と帯状セパレータが巻取軸に巻き取られるにつれて、巻取軸に巻き取られた捲回電極体の外径は大きくなっていく。外径が大きくなると、帯状電極と帯状セパレータが巻き取られる際に、捲回電極体の外周に巻き付く力も変わる。
このため、張力を、巻取軸に巻き取られた捲回電極体の外径で割った値が小さくなるのに応じて、押付部材の押付力を大きくしてもよい。これによって、巻取軸に巻き取られた捲回電極体の外径の変化を考慮して適切に押付部材の押付力を大きくすることができる。
【0008】
また、帯状電極は、帯状シートに電極材料が所定の電極幅で塗工されている場合は、さらに、帯状電極に作用する張力を、巻取軸に巻き取られた捲回電極体の外径および電極幅で割った値が小さくなるのに応じて、押付部材の押付力を大きくするとよい。これによって、電極幅を考慮して適切に押付部材の押付力を大きくすることができる。
また、押付部材は、帯状電極と帯状セパレータに作用する張力が減少するときに、巻取軸に巻き取られる帯状電極と帯状セパレータに押し付けてもよい。
この捲回電極体の製造方法は、帯状電極と帯状セパレータが重ねられて捲回された捲回電極体を有する電池の製造方法において、捲回電極体の製造方法に用いることができる。
【0009】
また、本発明に係る捲回電極体の製造装置は、帯状電極と帯状セパレータを巻き取る巻取軸と、巻取軸に巻き取られる帯状電極と帯状セパレータに押し付けられる押付部材と、巻取軸に巻き取られる帯状電極又は帯状セパレータの張力を検出する張力検出部とを備えている。さらに、押付部材を制御する制御部を備えている。制御部は、張力検出部によって検出された張力が減少するのに応じて、押付部材の押付力を大きくする。
【0010】
さらに、制御部は、張力に対して予め第1基準値が設定されており、当該第1基準値と、張力検出部で検出された張力との差が大きくなるのに応じて、押付部材の押付力を大きくしてもよい。
また、巻取軸に巻き取られた捲回電極体の外径を検出する外径検出部を有している場合、かかる外径を考慮して押付部材の押付力を制御することができる。
この場合、制御部は、例えば、張力検出部で検出された張力を前記外径検出部で検出された外径で割った第1除算値を求め、当該第1除算値と予め設定された第2基準値との差が大きくなるのに応じて、押付部材の押付力を大きくするとよい。
【0011】
また、帯状電極は帯状シートに電極材料が所定の電極幅で塗工されている場合には、さらに、かかる電極幅を考慮するとよい。この場合、張力検出部は帯状電極に作用する張力を検出する。制御部は、張力検出部で検出された張力を、外径検出部で検出された外径および電極幅で割った第2除算値を求める。そして、当該第2除算値と予め設定された第3基準値との差が大きくなるのに応じて、押付部材の押付力を大きくするとよい。これによって、電極幅を考慮して、適切に押付部材を制御することができる。
【0012】
また、制御部は、巻取軸が帯状電極と帯状セパレータを巻き取る巻取速度の加速度に応じて、押付部材の押付力を補正してもよい。また、制御部は、帯状電極と帯状セパレータに作用する張力が減少するときに、巻取軸に巻き取られる帯状電極と帯状セパレータに押付部材を押し付けるとよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る捲回電極体の製造方法およびかかる製造方法を具現化した装置の一例を図面に基づいて説明する。なお、以下、帯状電極と帯状セパレータを、適宜、「帯状材」と総称する。
【0014】
上述したように巻取速度を速くして捲回時間を短縮する場合には、単純に、押付部材で帯状電極と帯状セパレータを巻取軸に押し付けつつ巻き取った場合でも、捲回電極体の硬さが安定しない。
本発明者は、その原因の一つとして巻取速度の急激な加減速があると考えている。すなわち、捲回時間を短縮するには、図1に示すように、巻き始め(A1)から急激に巻取速度を加速し(A2)、高速で巻き取る時間(A3)を出来る限り確保する。そして、その後、急激に巻取速度を減速させて巻き終える(A4)。この場合、加速工程(A2)、減速工程(A4)において急激な加減速が生じる。かかる急激な加減速が生じると、帯状電極や帯状セパレータに作用する張力Tは、例えば、図2のように急激に大きく変動する。
【0015】
本発明者は、図3および図4に示すように、押付部材30を押し付けつつ帯状材11〜14を巻き取った場合についてさらに検討を進めた。その結果、帯状材11〜14が巻取軸20に巻き付く力Taは、概ね、帯状材11〜14に作用する張力Tによって生じる力と、押付部材30の押付力Pによって生じる力の合力になるとの知見を得た。なお、帯状材11〜14が巻取軸20に巻き付く力Taは、巻取軸20に巻き取られた捲回電極体10aに作用する圧力に置き換えて考えてもよい。
図2のように張力Tが急激に大きく変動すると、帯状材11〜14が巻取軸20に巻き付く力Taのうち、張力Tによって生じる力が大きく変動する。このため、図3および図4に示すように、押付部材30を押し付けつつ帯状材11〜14を巻き取った場合でも、帯状材11〜14が巻取軸20に巻き付く力Taに緩みが生じる。帯状材11〜14が巻取軸20に巻き付く力Taに緩みが生じると、空気が巻き込まれる場合があり、空気が巻き込まれると捲回電極体は柔らかくなる。これに対して、空気が巻き込まれるのを防止すべく押付部材30を押し付ける力Pを大きくすると、帯状材11〜14が巻取軸20に巻き付く力が大き過ぎて、捲回電極体が硬くなりすぎる。
このように押付部材30を押し付けつつ帯状電極と帯状セパレータを巻き取った場合でも、捲回電極体を適切な硬さにすることは難しい。本発明は、かかる知見を基に創案された。
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る捲回電極体の製造方法およびかかる製造方法を具現化した装置の一例を図面に基づいて説明する。
【0017】
この捲回電極体の製造方法は、図5に示すように、帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14を重ねて捲回し、捲回電極体10を製造する。この製造方法は、押付部材30を押し付けながら帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14を巻取軸20に巻き取る工程を有している。当該工程において、帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14のうち少なくとも1つに作用する張力が減少するのに応じて、押付部材30の押付力Pを大きくする。
巻取速度に急激な加減速が生じると、図3に示すように、帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14に作用する張力Tが減少する。張力Tが減少すると、帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14が巻取軸20に巻き取られるときに巻き付く力Taが減少する。この製造方法は、張力Tが減少するのに応じて、押付部材30の押付力Pを大きくする。このため、張力Tが減少することによって、上述した力Taが減少する分を押付部材30の押付力Pで補うことができる。これによって、捲回電極体10を適切な硬さにすることができる。
【0018】
この捲回電極体の製造装置100は、例えば、図5に示すように、巻取軸20と、押付部材30と、供給リール41〜44と、ガイドローラ46と、ダンサローラ48と、エッジ検出部52と、補正機構54と、制御部60とを備えている。
【0019】
巻取軸20は、帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14を巻き取る軸である。この実施形態では、帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14は、帯状電極11、帯状セパレータ12、帯状電極13、帯状セパレータ14の順に重ねられ、巻取軸20に巻き取られる。巻取軸20はアクチュエータ22によって回転する。アクチュエータ22は、制御部60によって制御されている。
制御部60は、CPUなどからなる演算部と、不揮発性メモリーなどからなる記憶部とを備えており、予め設定されたプログラムに沿って、種々の電子的な演算処理や各部位の制御を行う装置である。この実施形態では、制御部60は、アクチュエータ22の制御情報から巻取軸20の回転速度、回転数、および、巻取速度や巻取量を検出できる。
【0020】
押付部材30は、巻取軸20に巻き取られる帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14に押し付けられる。この実施形態では、押付部材30の先端部には、ローラ32が回転自在に取り付けられている。押付部材30は、アクチュエータ34によって操作されて巻取軸20に対して進退する。また、この実施形態では、押付部材30は、概ね、最外周に巻かれる帯状セパレータ14が巻き取られる位置Dから、巻取軸20の中心Cに向けて巻取軸20の径方向に進退するように配設されている。この実施形態では、アクチュエータ34は制御部60によって制御されている。この実施形態では、制御部60は、押付部材30の制御情報から、押付部材30の進退量、押付力の情報を得ることができる。さらに、制御部60は、押付部材30の進退量の情報から、巻取軸20に巻き取られた帯状材の外径を検出する外径検出部62を備えている。
【0021】
供給リール41〜44には、帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14がそれぞれロール状に巻き取られている。帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14は、それぞれ供給リール41〜44から巻取軸20まで引き出される。ガイドローラ46は、帯状材11〜14を案内し、軌道を形成する。
【0022】
次に、ダンサローラ48と、エッジ検出部52と、補正機構54を順に説明する。これらは各供給リール41〜44から引き出される帯状材11〜14の軌道上にそれぞれ設けられている。なお、図5は、便宜上、図示を種々簡略化しており、供給リール41〜44の配置や、帯状材11〜14の軌道についても、実際のものとは異なっている。ダンサローラ48と、エッジ検出部52と、補正機構54についても、便宜上、帯状材11の軌道上にあるもののみが描かれており、他は図示を省略している。
【0023】
ダンサローラ48(dancer roller)は、巻き取られる帯状材11に作用する張力を調整する装置である。ダンサローラ48はテンションレバーとも呼ばれている。
この実施形態では、ダンサローラ48は、揺動軸48aと、付勢手段48bを備えている。揺動軸48aは、一端を揺動支点48cとして揺動可能に配設されている。揺動軸48aの揺動端部と中間位置には、それぞれローラ48d、48eが取り付けられている。付勢手段48bは、揺動軸48aを所定の揺動方向に付勢する。この実施形態では、付勢手段48bの付勢力は制御部60によって制御されている。当該付勢力を調整することによって帯状材11〜14に作用する張力が調整される。
【0024】
帯状材12〜14については、図示を省略するが、帯状材11〜14は、図5に示すように、それぞれ供給リール41〜44から、固定的に配設されたテンションローラ47と、ダンサローラ48のローラ48d、48eに掛け渡されている。このダンサローラ48は、図5に示すように、帯状材11〜14の張力と付勢手段48bの付勢力が釣り合っている場合には、揺動軸48aは所定の揺動角度(中立位置)に維持されている。帯状材11〜14に作用する張力が増減すると、ダンサローラ48は、図6および図7に示すように、これに応じて揺動軸48aが揺動する。ダンサローラ48は、揺動軸48aの揺動により、帯状材11〜14の軌道の長さを変化させて帯状材11〜14に作用する張力を調整する。
【0025】
このダンサローラ48は、付勢手段48bの付勢力および揺動軸48aの揺動量によって、帯状材11に作用している張力を検出することできる。この実施形態では、揺動軸48aに取り付けられた第1検出部64によって揺動軸48aの揺動量を検出している。揺動軸48aの揺動およびその揺動角度は、例えば、エンコーダやポテンショメータに基づいて検出することができる。この実施形態では、制御部60は、巻取軸20に巻き取られる帯状材11〜14の張力Tを検出する張力検出部66を備えている。張力検出部66は、付勢手段48bの制御情報から検出される付勢力と、第1検出部64によって検出された揺動軸48aの揺動量とによって、帯状材11に作用している張力Tを検出する。
【0026】
次に、エッジ検出部52は巻取軸20に巻き取られる帯状材11〜14の縁部の位置をそれぞれ検出する装置である。補正機構54は巻取軸20に巻き取られる帯状材11〜14の幅方向の位置を補正する機構である。
この実施形態では、制御部60は、エッジ検出部52の検出信号に基づいて補正機構54を制御している。帯状材11〜14は、当該補正機構54によって幅方向の位置を補正されつつ巻取軸20に巻き取られている。
【0027】
この実施形態では、図5に示すように、帯状材11〜14を巻き取る際に帯状材11〜14に作用する張力Tを調整している。帯状材11〜14に適切な張力を作用させることによって、ガイドローラ46と帯状材11〜14との間に適当な摩擦力を作用させることができる。そして、この摩擦力によって、帯状材11〜14が軌道上で幅方向にずれるのを抑制できる。また、張力Tを調整することによって、帯状材11〜14の幅方向の位置を補正する制御についても所要の精度を確保することができる。
以上、帯状材11〜14の張力Tを調整する機構としてのダンサローラ48、帯状材11〜14の幅方向の位置を補正する機構としてエッジ検出部52や、補正機構54を説明した。本発明において、帯状材の張力を調整する機構や、帯状材の幅方向の位置を補正する機構、および、その具体的な制御方法などは、上述した実施形態のものに限定されず、適宜種々の構成を採用することができる。
【0028】
この製造装置100は、上述したように巻取軸20に巻き取られる帯状材11〜14を押し付ける押付部材30を備えている。さらに、この製造装置100は、巻取軸20に巻き取られる帯状材11〜14に作用する張力Tを検出する張力検出部66と、押付部材30を制御する制御部60とを備えている。制御部60は、張力検出部66で検出された張力Tが減少するのに応じて、押付部材30の押付力Pを大きくする。
このように、帯状材11〜14に作用する張力Tが減少するのに応じて当該押付部材30の押付力Pを大きくすることによって、巻取速度に急激な加減速が生じ、張力Tに緩みが生じた場合でも、押付力Pが大きくなるので、帯状材11〜14が捲回電極体10aに巻きつく力Ta(図3および図4参照)が小さくなるのを防止できる。これによって、捲回電極体を適切な硬さにすることができる。
【0029】
張力検出部66で検出された張力Tが減少するのに応じて、押付部材30の押付力Pを大きくする制御手法には、種々の制御手法がある。
例えば、図5に示すように、制御部60は、帯状材11〜14が巻き取られる際に帯状材11〜14に作用する張力Tを検出する。そして、当該張力Tが減少するのを検出したときに、押付部材30の押付力を大きくするとよい。
【0030】
他の制御手法として、この実施形態では、制御部60は、図5に示すように、第1設定部81に張力Tに対して基準値V1が設定されている。この制御部60は、第1設定部81に設定された基準値V1と、張力検出部66で検出された張力Tとの差(V1−T)が大きくなるのに応じて、押付部材30の押付力Pを大きくする。
例えば、図2に示すように、帯状材11〜14に作用する張力Tは、巻き始め(A1)から大きく変動する。この実施形態では、図8に示すように、張力Tに対して適当な基準値V1を設定しておく。制御部60は、基準値V1と張力Tとの差(V1−T)が大きくなるのに応じて、押付部材30の押付力Pを大きくする。図8に示す例では、張力Tが基準値V1よりも小さくなると、それに応じて押付力Pが大きくなる。これにより、張力Tが減少する分を、押付部材30の押付力Pで補うことができるから、帯状材11〜14を概ね一定の力で巻き付けることができ、捲回電極体の硬さをより均一にすることができる。
【0031】
また、制御部60は、巻取軸20と押付部材30を制御する。そこで、他の実施形態として、制御部60は、巻取軸20が帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14を巻き取る巻取速度の加速度に応じて、押付部材30の押付力Pを補正してもよい。
この場合、巻取速度の加速度を検出して、その情報から張力Tの変動を算出し、適切な押付部材30の押付力Pを求めてもよい。
また、押付部材30の押付力Pは、予め定めたプログラムに沿って制御してもよい。すなわち、巻取速度を制御するプログラムにタイミングを合わせて押付部材30を制御するようにしてもよい。この場合、巻取速度と、帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14の張力Tが減少するタイミング、および、張力Tの減少量を、複数回データを取るなどして、巻取速度の制御にタイミングを合わせて、押付部材30の押付力Pを制御するとよい。
【0032】
本発明者は、巻き取られる帯状材11〜14が巻取軸20に巻き付く力Taをさらに詳細に検討した。
帯状材11〜14は、図3および図4に示すように、巻取軸20に巻かれた捲回電極体10aの最外周に巻き付いていく。この際、捲回電極体10aの硬さは、図3に示すように、帯状材11〜14が捲回電極体10aに巻き付く力Taによって概ね決まる。
この場合、力Taは、帯状材11〜14に作用する張力Tと、押付部材30の押付力Pとで概ね決まる。力Taのうち張力Tによって作用する力は、帯状材11〜14に作用する張力Tに概ね比例する。
さらに、当該張力Tによって作用する力は、図4に示すように、巻取軸20周りの所定の角度θの円弧Lに作用する。円弧Lの長さは、捲回電極体10aの半径をRとすると、L≒R・sinθであるから捲回電極体10aの外径(半径R)に比例する。従って、張力Tが一定でも、帯状材11〜14が巻き取られ捲回電極体10aの外径Rの変化が、力Taに影響する。なお、この実施形態では、捲回電極体10aの外径は、図4に示すように、捲回電極体10aの半径Rを測定しており、当該半径Rにて処理している。ここで、「捲回電極体10aの外径」について、捲回電極体10aの半径Rであるか、直径であるかは、本質的な問題ではない。
【0033】
この場合、張力Tを巻取軸20に巻き取られた捲回電極体10aの外径で割った値(T/R)が小さくなるのに応じて、押付部材30の押付力Pを大きくするとよい。
この実施形態では、制御部60は、図5に示すように、張力Tを捲回電極体10aの外径Rで割った値(T/R)に対して基準値V2を設定する第2設定部82を有している。この制御部60は、張力検出部66で検出された張力Tを、外径検出部62で検出された捲回電極体10aの外径Rで割った第1除算値(T/R)を求める。そして、当該第1除算値(T/R)と第2設定部82に設定された基準値V2との差(V2−T/R)を求める。そして、制御部60は、当該(V2−T/R)が大きくなるのに応じて、押付部材30の押付力Pを大きくする。これにより巻取軸20に巻き取られた捲回電極体10aの外径Rの変化を考慮して、押付部材30の押付力Pをより適切に制御でき、捲回電極体10を適切な硬さにすることができる。
【0034】
さらに、帯状材11〜14として、蓄電池などに用いられる捲回電極体10を考える。かかる捲回電極体10では、例えば、図9および図10に示すように、帯状材としての帯状電極11、13は、帯状シート11b、13bに電極材料11d、13dが所定の幅a、bで塗工されている場合がある。
このような場合は、上述した力Ta(図3、図4参照)は、最も幅の狭い部分に作用すると考えられるので、帯状電極11、13について電極材料11d、13dが塗工された幅a、b(電極幅)を考慮することが望ましい。図9および図10に示す例では、帯状電極11の電極幅aの方が、僅かながら帯状電極13の電極幅bよりも狭い。この場合、より狭い帯状電極11の電極幅aを考慮して、押付部材30の押付力を制御するとよい。
また、帯状電極11の電極幅aを考慮する場合には、張力Tとして当該帯状電極11の張力を考慮するとよい。
【0035】
このように電極幅aも考慮する場合、張力Tを、巻取軸20に巻き取られた捲回電極体10aの外径Rおよび電極幅aで割った値(T/R/a)が小さくなるのに応じて、押付部材30の押付力Pを大きくするとよい。
この実施形態では、制御部60は、図5に示すように、張力Tを捲回電極体10aの外径Rおよび電極幅aで割った値(T/R/a)に対して基準値V3を設定する第3設定部83を有している。この制御部60は、張力Tを捲回電極体10aの外径Rおよび電極幅aで割った第2除算値(T/R/a)を求める。そして、当該第2除算値(T/R/a)と、第3設定部83に設定された基準値V3との差(V3−T/R/a)を求める。そして、制御部60は、当該(V3−T/R/a)が大きくなるのに応じて、押付部材30の押付力Pを大きくする。これにより、電極幅aを考慮して、押付部材30の押付力Pをより適切に制御でき、捲回電極体10を適切な硬さにすることができる。
【0036】
なお、この実施形態では、図1に示すように、巻き始め(A1)から巻取速度が急激に加速される。このため、図2に示すように、張力Tは急激に増加していく。張力Tが十分に大きいときは、図3に示すように、押付部材30は押付力を作用させなくても、帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14が十分に巻き付く力Taを得られる場合がある。このため、押付部材30は、張力Tが減少したときに押付力を作用させるように構成してもよい。
【0037】
制御部60は、帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14に作用する張力Tが減少するときに、巻取軸20に巻き取られる帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14に押付部材30を押し付けるように構成してもよい。
この場合、制御部60は、張力検出部66によって検出される張力Tが予め設定された基準値よりも小さくなったときに、押付部材30を押し付けるように構成してもよい。また、例えば、制御部60は巻取軸20を制御しており、巻取軸20の制御プログラムから、帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14に作用する張力Tが減少するタイミングを予め見出しておくとよい。この場合、当該タイミングで、巻取軸20に巻き取られる捲回電極体10aに押付部材30を押し付けるとよい。このように、張力Tが減少するときに、巻取軸20に巻き取られる帯状電極11、13と帯状セパレータ12、14に押付部材30を押し付ける制御は種々の制御手法を用いることができる。
【0038】
かかる捲回電極体10は、例えば、リチウムイオン二次電池(lithium-ion secondary battery)やニッケル水素二次電池(nickel-hydride secondary battery)などの種々の蓄電池に用いられる。以下、リチウムイオン二次電池の一例を説明する。
【0039】
リチウムイオン二次電池は、例えば、図11に示すように、矩形の金属製の電池ケース300に構成されており、電池ケース300には、捲回電極体10が収容されている。
この実施形態では、捲回電極体10は、図9および図10に示すように、帯状電極として、正極シート11と、負極シート13を備えている。また、帯状セパレータ12、14として、第1セパレータ12と、第2セパレータ14を備えている。そして、正極シート11と、第1セパレータ12と、負極シート13と、第2セパレータ14の順で重ねられて巻き取られている。なお、正極シート11は正の電極シートであり、負極シート13は負の電極シートである。
【0040】
正極シート11は、この実施形態では、アルミニウム箔からなる集電体シート31(正極集電体)の両面に正極活物質を含む電極材料11dが塗工されている。当該電極材料11dに含まれる正極活物質としては、例えば、マンガン酸リチウム(LiMn)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)などが挙げられる。
負極シート13は、この実施形態では、銅箔からなる集電体シート41(負極集電体)の両面に負極活物質を含む電極材料13dが塗工されている。当該電極材料13dに含まれる負極活物質としては、例えば、グラファイト(Graphite)やアモルファスカーボン(Amorphous Carbon)などの炭素系材料、リチウム含有遷移金属酸化物や遷移金属窒化物等などが挙げられる。
セパレータ12、14は、イオン性物質が透過可能な膜であり、この実施形態では、ポリプロピレン製の微多孔膜が用いられている。
【0041】
この実施形態では、電極材料11d、13dは集電体シート31、41の幅方向片側に偏って塗工されており、集電体シート31、41の幅方向反対側の縁部には塗工されていない。正負の電極シート11、13のうち、集電体シート31、41に電極材料11d、13dが塗工された部位を塗工部11a、13aといい、集電体シート31、41に電極材料11d、13dが塗工されていない部位を未塗工部11b、13bという。
【0042】
図10は、正極シート11と、第1セパレータ12と、負極シート13と、第2セパレータ14とが順に重ねられた状態を示す幅方向の断面図である。正極シート11の塗工部11aと負極シート13の塗工部13aは、それぞれセパレータ12、14を挟んで対向している。図9および図10に示すように、捲回電極体10の捲回方向に直交する方向(巻き軸方向)の両側において、正極シート11と負極シート13の未塗工部11b、13bが、セパレータ12、14からそれぞれはみ出ている。当該正極シート11と負極シート13の未塗工部11b、13bは、捲回電極体10の正極と負極の集電体11b1、13b1をそれぞれ形成している。
【0043】
かかるリチウムイオン二次電池では、放充電時に、正極シート11の塗工部11aと負極シート13の塗工部13aの間で、帯状セパレータ12、14を通してリチウムイオンが行き来する。この際、リチウムイオンの析出するのを防止するため、正極シート11の塗工部11aは、負極シート13の塗工部13aからはみ出ないようにしたい。正極シート11の塗工部11aは、負極シート13の塗工部13aからはみ出ないように構成することによって、放充電時に、リチウムイオンの析出するのを防止することができる。
この実施形態では、図9および図10に示すように、正極シート11の塗工部11aの幅(電極幅a)を、負極シート13の塗工部13aの幅(電極幅b)よりも狭くし、正極シート11の塗工部11aが、負極シート13の塗工部13aからはみ出ないようにしている。また、正極シート11の塗工部11aと負極シート13の塗工部13aが、それぞれセパレータ12、14からはみ出ないようにして内部短絡を防止している。
【0044】
しかしながら製造上の誤差があったり、正極シート11と負極シート13、および、セパレータ12、14が重ねられる際に幅方向にずれが生じたりする。このため、誤差やずれを許容するべく、負極シート13の塗工部13aの幅bと正極シート11の塗工部11aの幅aとの差分(b−a)、第1セパレータ12と第2セパレータ14の幅c1、c2と負極シート13の塗工部13aの幅bとの差分((c1、c2)−b)に所要の距離を設定している。
【0045】
本発明に係る捲回電極体の製造方法によれば、上述したように捲回電極体10を適切な硬さにできる。また、当該捲回電極体10の製造時の巻ずれも小さくすることができる。これにより、上述した差分(b−a)、差分((c1、c2)−b)の低減を図ることができる。
また、かかる捲回電極体10は、図11に示すように、電池ケース300に収容される。捲回電極体10が電池ケース300に収容されるときには、扁平な形状に折り曲げられる。この実施形態では、上述したように捲回電極体10を適切な硬さにできるので、図11に示すように、折り曲げ易く、かつ、当該折り曲げ時の形状も安定するように、捲回電極体10の硬さを調整することができる。
【0046】
また、電池ケース300には、正極端子301と負極端子303が設けられている。正極端子301は捲回電極体10の正極集電体11b1(図9参照)に電気的に接続されている。負極端子303は捲回電極体10の負極集電体13b1(図9参照)に電気的に接続されている。かかる電池ケース300には電解液が注入される。電解液は、適当な電解質塩(例えばLiPF等のリチウム塩)を適当量含むジエチルカーボネート、エチレンカーボネート等の混合溶媒のような非水電解液で構成できる。
本発明によれば、上述したように捲回電極体10を適切な硬さにできるので、捲回電極体10内に電解液が適度に浸み込む。また、捲回電極体10の硬さのばらつきがあると、捲回電極体10が部分的に劣化し易いなど、蓄電池の寿命が短くなる原因になる。本発明によれば、捲回電極体10の硬さのばらつきも小さく抑えることができるので、蓄電池の長寿命化を図ることができる。
【0047】
かかるリチウムイオン二次電池は、複数個が組み合わされて組電池1000を構成し、例えば、図12に示すように、車両1の電源として搭載される。本発明は電池性能の安定性や、長寿命化に寄与する。したがって、かかる車両1の電源として搭載される組電池に用いられる捲回電極体の製造方法として有益である。
このように本発明にかかる捲回電極体の製造方法は、帯状電極と帯状セパレータが重ねられて捲回された捲回電極体の製造方法として有益である。したがって、捲回電極体を有する種々の電池について、捲回電極体の製造方法として好適な方法である。
【0048】
以上、本発明の一実施形態に係る捲回電極体の製造方法およびその装置を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。
例えば、捲回電極体は、上述したリチウムイオン二次電池を構成するものに限定されず、種々の捲回電極体に適用できる。また、捲回電極体の製造装置については、巻取軸、押付部材、ダンサローラ、エッジ検知部、補正機構などは、特に、上述した実施形態に限定されない。
また、例えば、巻取軸に巻き取られた捲回電極体の外径は、押付部材の進退量から検出することを例示したが、これに限定されない。例えば、巻取軸の回転数と帯状材11〜14の厚さから算出してもよい。
また、例えば、帯状材11〜14に作用する張力は、ダンサローラを通じて検出することを例示したが、これに限定されない。例えば、帯状材11〜14の軌道に、張力を検出することができる張力検出ローラを配設し、当該ローラで張力を検出してもよい。
また、張力は、帯状電極と帯状セパレータのうち帯状電極に作用する張力に基づいて、押付部材の押付力を制御する手法を例示した。当該張力は、必ずしも帯状電極に作用する張力でなくてもよく、帯状電極と帯状セパレータのうち帯状セパレータに作用する張力に基づいて、押付部材の押付力を制御してもよい。しかし、例えば、帯状電極に作用する張力が、帯状セパレータに作用する張力に比べて高い張力で巻き取られることも多く、このような場合には、帯状電極に作用する張力の影響が大きいので、帯状電極に作用する張力に基づいて押付部材の押付力を制御するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】捲回電極体の製造方法における巻取速度の変化を示す図。
【図2】捲回電極体の製造方法における張力の変化を示す図。
【図3】捲回電極体の製造方法において帯状材が巻取軸に巻き取られるに作用する力を示す図。
【図4】捲回電極体の製造方法において帯状材が巻取軸に巻き取られるに作用する力を示す図。
【図5】本発明の一実施形態に係る捲回電極体の製造装置を示す図。
【図6】本発明の一実施形態において張力を検出する機構を示す図。
【図7】本発明の一実施形態において張力を検出する機構を示す図。
【図8】本発明の一実施形態において張力の変化と押付力の関係を示す図。
【図9】本発明の一実施形態において捲回電極体の構造を示す図。
【図10】本発明の一実施形態において捲回電極体の構造を示す図。
【図11】蓄電池の構造を示す図。
【図12】蓄電池を電源として搭載した車両を示す図。
【符号の説明】
【0050】
1 車両
10、10a 捲回電極体
11 帯状電極(帯状材、正極シート)
11a 塗工部
11b 未塗工部
11b1 正極集電体
11c 集電体シート
11d 電極材料
12、14 帯状セパレータ(帯状材)
13 帯状電極(帯状材、負極シート)
13a 塗工部
13b 未塗工部
13b1 負極集電体
13c 集電体シート
13d 電極材料
20 巻取軸
22 アクチュエータ
30 押付部材
31 集電体シート
32 ローラ
34 アクチュエータ
41〜44 供給リール
46 ガイドローラ
47 テンションローラ
48 ダンサローラ
48a 揺動軸
48b 付勢手段
48c 揺動支点
48d、48e ローラ
52 エッジ検出部
54 補正機構
60 制御部
62 外径検出部
64 第1検出部
66 張力検出部
81 第1設定部
82 第2設定部
83 第3設定部
100 捲回電極体の製造装置
300 電池ケース
301 正極端子
303 負極端子
1000 組電池
L Taが作用する円弧
P 押付力
R 巻取軸に巻き取られた捲回電極体の外径
T 張力
Ta 帯状材が巻取軸(捲回電極体)に巻き付く力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状電極と帯状セパレータを重ねて捲回し、捲回電極体を製造する方法であって、
押付部材を押し付けながら前記帯状電極と帯状セパレータを巻取軸に巻き取る工程を有し、
当該工程において、前記帯状電極と帯状セパレータのうち少なくとも1つに作用する張力が減少するのに応じて、当該押付部材の押付力を大きくする、捲回電極体の製造方法。
【請求項2】
前記張力を、前記巻取軸に巻き取られた捲回電極体の外径で割った値が小さくなるのに応じて、前記押付部材の押付力を大きくする、請求項1に記載の捲回電極体の製造方法。
【請求項3】
前記張力は、前記帯状電極と帯状セパレータのうち前記帯状電極に作用する張力である、請求項1又は2に記載の捲回電極体の製造方法。
【請求項4】
前記帯状電極は帯状シートに電極材料が所定の電極幅で塗工されており、
前記帯状電極に作用する張力を、前記巻取軸に巻き取られた捲回電極体の外径および前記電極幅で割った値が小さくなるのに応じて、前記押付部材の押付力を大きくする、請求項1に記載の捲回電極体の製造方法。
【請求項5】
前記帯状電極と帯状セパレータに作用する張力が減少するときに、前記巻取軸に巻き取られる前記帯状電極と帯状セパレータに前記押付部材を押し付ける、請求項1から4の何れかに記載の捲回電極体の製造方法。
【請求項6】
帯状電極と帯状セパレータが重ねられて捲回された捲回電極体を有する電池の製造方法であって、捲回電極体の製造方法として請求項1から5の何れかの捲回電極体の製造方法が用いられた、電池の製造方法。
【請求項7】
帯状電極と帯状セパレータを重ねて捲回し、捲回電極体を製造する製造装置であって、
前記帯状電極と帯状セパレータを巻き取る巻取軸と、
前記巻取軸に巻き取られる帯状電極と帯状セパレータに押し付けられる押付部材と、
前記巻取軸に巻き取られる前記帯状電極又は帯状セパレータの張力を検出する張力検出部と、
前記押付部材を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記張力検出部によって検出された張力が減少するのに応じて、押付部材の押付力を大きくする、捲回電極体の製造装置。
【請求項8】
請求項7に記載の捲回電極体の製造装置であって、
前記制御部は、張力に対して予め第1基準値が設定されており、当該第1基準値と、前記張力検出部で検出された張力との差が大きくなるのに応じて、押付部材の押付力を大きくする、捲回電極体の製造装置。
【請求項9】
請求項7に記載の捲回電極体の製造装置であって、
前記巻取軸に巻き取られた捲回電極体の外径を検出する外径検出部を有し、
前記制御部は、
前記張力検出部で検出された張力を前記外径検出部で検出された外径で割った第1除算値を求め、当該第1除算値と予め設定された第2基準値との差が大きくなるのに応じて、押付部材の押付力を大きくする、捲回電極体の製造装置。
【請求項10】
前記張力は、前記帯状電極と帯状セパレータのうち前記帯状電極に作用する張力である、請求項7から9の何れかに記載の捲回電極体の製造装置。
【請求項11】
請求項7の捲回電極体の製造装置であって、
前記巻取軸に巻き取られた捲回電極体の外径を検出する外径検出部を有し、
前記帯状電極は、帯状シートに電極材料が所定の電極幅で塗工されており、
前記張力検出部は、前記帯状電極に作用する張力を検出し、
前記制御部は、
前記張力検出部で検出された張力を、前記外径検出部で検出された外径および前記電極幅で割った第2除算値を求め、当該第2除算値と予め設定された第3基準値との差が大きくなるのに応じて、押付部材の押付力を大きくする、捲回電極体の製造装置。
【請求項12】
帯状電極と帯状セパレータを重ねて捲回し、捲回電極体を製造する製造装置であって、
前記帯状電極と帯状セパレータを巻き取る巻取軸と、
前記巻取軸に巻き取られる帯状電極と帯状セパレータに押し付けられる押付部材と、
前記巻取軸と前記押付部材を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、当該巻取軸が帯状電極と帯状セパレータを巻き取る巻取速度の加速度に応じて、前記押付部材の押付力を補正する、捲回電極体の製造装置。
【請求項13】
請求項7から12の何れかに記載の捲回電極体の製造装置であって、
前記制御部は、前記帯状電極と帯状セパレータに作用する張力が減少するときに、前記巻取軸に巻き取られる前記帯状電極と帯状セパレータに前記押付部材を押し付ける、捲回電極体の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−55962(P2010−55962A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220392(P2008−220392)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】