説明

排ガス処理システム及びボイラ燃焼制御方法

【課題】ボイラ排ガス中の未燃分を計測して電気集塵器に灰付着がないボイラ燃焼を行う排ガス処理システム及びボイラ燃焼制御方法を提供する。
【解決手段】燃料Fとして石炭を供給して燃焼してなる石炭焚ボイラ11と、該石炭焚ボイラ11からの排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去する脱硝装置12と、窒素酸化物除去後のガス中の熱を回収する空気予熱器13と、熱回収後のガス中の煤塵と、排ガス中の添加したアンモニア(NH3)17によるSO3中和物とを除去する電気集塵器14と、空気予熱器13と電気集塵器14との間に設けられ、排ガス中の灰中の未燃分を計測する第1の未燃分濃度計測器21−1と、灰中の未燃分濃度の計測結果に基づき、灰の付着性を抑制する制御を行う制御装置22とを具備するものであり、これにより電気集塵器14における灰の排出性を良好とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラ排ガス中の未燃分を計測して適切なボイラ燃焼を行う排ガス処理システム及びボイラ燃焼制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術に係る石炭焚ボイラの排ガス処理システムについて、図面を参照して説明する。図6は、従来技術に係る石炭焚ボイラの排ガス処理システムの概略構成図である。先ず、図6に示すように、従来技術排ガス処理システム100は、燃料Fとして石炭を供給して燃焼してなる石炭焚ボイラ11と、該石炭焚ボイラ11からの排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去する脱硝装置12と、窒素酸化物除去後のガス中の熱を回収する空気予熱器(AH)13と、熱回収後のガス中の煤塵を除去する電気集塵器14と、排ガス中の硫黄酸化物(SOx)を除去する脱硫装置15と、脱硫後の浄化ガスを外部に排出する煙突16とを具備するものである。
空気予熱器13と電気集塵器14との間でアンモニア(NH3)17を添加して、排ガス中のSO3を硫酸アンモニウムの固形分として、前記電気集塵器14で除去するようにしている。
【0003】
前記排ガス中のNOx及びSOxは、大気汚染の問題から規定値以下に保持する必要があり、燃焼灰は、灰中未燃分を規定値以下に保持しないと、セメント原料等の二次製品として利用することができず、規定値を保持できない場合には廃棄せざるを得ないために、経済的に重要な問題となっている。
【0004】
石炭燃焼に伴い発生する石炭灰のうちの約7割は未燃分の少ない石炭灰であるため、セメント原料や混和材として再利用され、残りは埋立てなどにより廃棄処分されているのが現状である。一方、石炭灰中の未燃分が多くなるとセメント混和材としての再利用が不可能となり、埋立処分する灰の量が多くなる。このため、石炭灰中の未燃分が少なくなるように燃焼を制御し、再利用できる石炭灰が得られるようにすることが従来から望まれていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−74833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような従来技術では未燃分計測装置で灰中の未燃分を計測し、その結果に基づいて未燃分を少なくする運転をして、灰を再利用することを図っているが、未燃分を少なくする運転は電気集塵器14における灰付着の要因となり、適切な運転制御ができない場合には、例えば電気集塵器14の集塵電極の肥大化を起こす要因となる、という問題がある。
【0007】
このため、電気集塵器の灰付着によるトラブルを防止するためのボイラ燃焼制御方法の出現が切望されている。
【0008】
本発明は、前記問題に鑑み、ボイラ排ガス中の未燃分を計測して電気集塵器に灰付着がないボイラ燃焼を行う排ガス処理システム及びボイラ燃焼制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、燃料として石炭を供給して燃焼してなる石炭焚ボイラと、該石炭焚ボイラからの排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去する脱硝装置と、窒素酸化物除去後のガス中の熱を回収する空気予熱器と、熱回収後のガス中の煤塵と、排ガス中の添加したアンモニアによるSO3中和物とを除去する電気集塵器と、排ガス中の硫黄酸化物(SOx)を除去する脱硫装置と、脱硫後の浄化ガスを外部に排出する煙突と、排ガス中の灰中の未燃分を計測する未燃分濃度計測器と、灰中の未燃分濃度の計測結果に基づき、灰の付着性を抑制する制御を行う制御装置とを具備することを特徴とする排ガス処理システムにある。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、未燃分濃度計測器の計測結果において、灰性状が閾値以下の灰付着性不良領域である場合、ボイラへの空気投入調整手段又は燃料投入調整手段のいずれか一方の制御を行い、ボイラの燃焼性を悪化させる制御を制御装置により行うことを特徴とする排ガス処理システムにある。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、前記灰付着性不良領域の判定が、(アンモニア+硫酸成分)/未燃カーボン量と、灰凝集度との関係より求めることを特徴とする排ガス処理システムにある。
【0012】
第4の発明は、第1乃至3のいずれか一つの発明において、前記未燃分濃度計測器が、ボイラと脱硝装置との間、空気予熱器と電気集塵器との間の両方に設置してなることを特徴とする排ガス処理システムにある。
【0013】
第5の発明は、燃料として石炭を供給して燃焼してなる石炭焚ボイラのボイラ燃焼制御方法であって、排ガス由来の灰中の未燃分を計測する未燃分濃度計測器を有し、灰中の未燃分濃度の計測結果に基づき、灰の付着性を抑制する制御を行うことを特徴とするボイラ燃焼制御方法にある。
【0014】
第6の発明は、第5の発明において、未燃分濃度計測器の計測結果において、灰性状が閾値以下の灰付着性不良領域である場合、ボイラへの空気投入調整手段又は燃料投入調整手段のいずれか一方の制御を行い、ボイラの燃焼性を悪化させる制御を行うことを特徴とするボイラ燃焼制御方法にある。
【0015】
第7の発明は、第6の発明において、前記灰付着性不良領域の判定が、(アンモニアと硫酸成分)/未燃カーボン量と、灰凝集度との関係より求めることを特徴とするボイラ燃焼制御方法にある。
【0016】
第8の発明は、第5乃至7のいずれか一つの発明において、前記未燃分濃度計測器の計測が、ボイラと脱硝装置との間の排ガス中の飛灰、空気予熱器と電気集塵器との間で行うことを特徴とするボイラ燃焼制御方法にある。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電気集塵器における灰付着性の要因を適切に判断することができ、灰の排出性を良好とする制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、ボイラ燃焼制御方法を実施する排ガス処理システムの概略図である。
【図2】図2は、ボイラ燃焼制御方法を実施する他の排ガス処理システムの概略図である。
【図3】図3は、灰付着性の良否を判定するグラフ(横軸が(アンモニア+硫酸成分)/未燃カーボン量であり、縦軸が灰凝集度)である。
【図4−1】図4−1は、未燃分濃度計測器を構成する灰捕集手段の概略図である。
【図4−2】図4−2は、未燃分濃度計測器を構成する灰捕集手段の概略図である。
【図4−3】図4−3は、未燃分濃度計測器を構成する他の灰捕集手段の概略図である。
【図5】図5は、制御の一例のフローチャートを示す。
【図6】図6は、排ガス処理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例】
【0020】
本発明による実施例に係るボイラ燃焼制御方法について、図面を参照して説明する。図1は、ボイラ燃焼制御方法を実施する排ガス処理システムの概略図である。なお、従来技術における排ガス処理システムと同一の構成については同一の符号を付して重複した説明は省略する。
図1に示すように、本実施例に係る第1の排ガス処理システム10−1は、燃料Fとして石炭を供給して燃焼してなる石炭焚ボイラ(以下「ボイラ」という)11と、該ボイラ11からの排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去する脱硝装置12と、窒素酸化物除去後のガス中の熱を回収する空気予熱器13と、熱回収後のガス中の煤塵と、排ガス中の添加したアンモニア(NH3)17によるSO3中和物とを除去する電気集塵器14と、空気予熱器13と電気集塵器14との間に設けられ、排ガス中の灰中の未燃分を計測する第1の未燃分濃度計測器21−1と、灰中の未燃分濃度の計測結果に基づき、灰の付着性を抑制する制御を行う制御装置(CPU)22とを具備するものであり、これにより電気集塵器14における灰の排出性を良好とするものである。
これにより、電気集塵器14での灰付着を抑制し、安定したシステムの運転を行うことができ、電気集塵器での集塵電極の肥大による各種トラブルの防止を図ることができる。
【0021】
具体的には、第1の未燃分濃度計測器21−1により未燃分濃度を計測し、この計測結果において、図3に示すように灰性状が規定値を超える閾値以下の灰付着性“不良”領域Aである場合、ボイラ11への空気投入調整手段23又は燃料投入調整手段24のいずれか一方の制御を行い、ボイラの燃焼性を悪化させる制御を制御装置22により行うようにしている。
【0022】
これに対し、灰性状が規定値を超えない閾値以上の灰付着性“良好”領域Bである場合には、電気集塵器における灰付着による灰排出性が低下していないので、そのままの条件での排ガス処理を続行すればよいこととなる。
【0023】
一般に、発電プラントとしての効率を高めるために、燃料の利用率をできるだけあげることが求められる。
このことは,灰中の未燃分濃度を低減させるための燃焼性を良好にする制御を行うものであるが、本発明においては、下流プラント機器,たとえば電気集塵器14での灰の付着性を制御することを目的に未燃分濃度を調整し、未燃分濃度が下がり過ぎないようにするなどの燃焼性の制御を行うようにしている。
この結果、ボイラ燃焼利用率は悪くなるものの、電気集塵器14での灰の付着性は低下することとなり、例えば集塵電極の肥大化を抑制することができる。この結果、集塵電極の肥大化に伴う各種弊害を是正することができ、安定したボイラ燃焼を行うことができる。よって、例えば電気集塵器の不用意な停止による運転効率の低下を未然に防ぐことができる。
【0024】
ここで、図3は、灰付着性の良否を判定する指標の一例であり、横軸が(アンモニア+硫酸成分)/未燃カーボン量であり、縦軸が灰凝集度である。これらの相関関係より、灰性状を求めることができる。
ここで、前記灰凝集度とは、例えば灰の粒径(平均粒径:μm)、灰集合体の安息角等を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】
また、前記第1の未燃分濃度計測器21−1は、排ガス中の灰の未燃分を計測するものであり、従来より公知の化学分析装置、X線分析装置、レーザ誘起ブレークダウン法(Laser Induced Breakdown Spectroscopy :LIBS法)等の各種計測装置を用いることができる。
【0026】
また、図2に示す第2の排ガス処理システム10−2に示すように、さらに第2の未燃分濃度計測装置21−2をボイラ11と脱硝装置13との間に設けるようにし、前記第1の未燃分濃度計測器21−1と前記第2の未燃分濃度計測器21−2との両方の計測手段により二種類の未燃分濃度を計測するようにしてもよい。
【0027】
すわなち、未燃分濃度計測装置が一台の場合には、未燃分濃度の計測を分析装置により行う必要があるが、第1の未燃分濃度計測装置21−1と第2の未燃分濃度計測装置21−2との両方で判断することで、重量計測のみで、簡易な判断が可能となる。
これは、第1の未燃分濃度計測装置21−1では、アンモニア17の投入により排ガス中のSO3と結合して固体状の硫酸アンモニウム(硫酸成分)が生成するので、灰未燃分の重量が、第2の未燃分濃度計測装置21−2の重量測定値よりも増大する。
よって、この増大分よりアンモニアとSO3以外の未燃分の重量が求められ、灰性状を適切に判断することができる。
【0028】
ここで、ボイラ11の燃焼性の悪化のための制御は、ボイラ11への空気投入調整手段23による酸素濃度の調整と、燃料投入調整手段24による燃料の調整とを行うようにしている。
【0029】
ここで、ボイラの燃焼を促進させる空気投入調整手段23による調整としては、例えばボイラへ投入する空気の空気投入手段(空気投入量、空気投入位置)の変更を行う制御を行うものである。
具体的には、通常ボイラ11の火炉は、次第に汚れて熱吸収が落ちてくるので、最初は出口酸素濃度5%程度の高めの運転とし、次第に酸素濃度を絞りつつ(5%→3%→1%…)前記灰性状の評価による適正な制御を行うようにしている。
また、この調整の他に、アディショナルエアー(AA)のダンパの制御を行うようにしてもよい。
【0030】
この燃料投入調整手段24による調整としては、燃料投入量の調整、燃料の粒径の調整、燃料の投入位置を変更する等の制御を行うものである。
【0031】
図4−1は、未燃分濃度計測器(第1の未燃分濃度計測器21−1又は第2の未燃分濃度計測器21−2)を構成する灰捕集手段の概略図である。
図4−1に示すように第1の灰捕集手段30−1は、排ガスの煙道40から分岐された分岐通路32に介装されてなる灰捕集装置31と、排ガスを引き込むポンプPと、分岐通路32に設置された第1〜4のゲート弁33−1〜33−4と、第2及び第4のゲート弁33−2、33−4から分岐通路内に挿入され、煙道入口出口近傍における通路を閉塞した灰を煙道内部につつき出す第1のつつき棒34−1、第2のつつき棒34−2とから構成されている。
【0032】
そして、灰性状を測定する際には、煙道40側に設置された第1及び第3のゲート弁33−1、33−3を開放して灰捕集装置31に灰を捕集し、前述した未燃分計測装置により灰の未燃成分の各種計測を行うようにしている。
【0033】
なお、計測の際に、図4−2に示すように、煙道40の位口部分で詰まり成分41の付着による詰まりが発生した際には、第2のゲート弁33−2を開放して、第1のつつき棒34−1を用いて、詰まり成分41を押出して、通路を開放するようにしている。これにより、引き続き、灰捕集が可能となる。
【0034】
なお、図4−3に示す第2の捕集手段30−2のように、灰の詰まりが生じた際の灰の開放の手段として、水51及び空気52を分岐通路内に噴出させて、水溶性の詰まり成分(例えば硫酸アンモニウム等)41を除去するようにしてもよい。
【0035】
本発明のボイラ燃焼制御方法により、電気集塵器の各室の灰性状を制御することになり、灰付着性を制御することができる。
これにより、電気集塵器の集塵電極の肥大化を制御する。
【0036】
図5は制御の一例のフローチャートを示す。
排ガス中の灰性状の評価を開始する。
【0037】
工程1:灰性状が規定値を超えている(不良)か否かの判断を行う(S−1)。
本実施例の工程1においては、灰の凝集性、付着性と灰組成等の複数の指標により判断をする。例えば(灰の平均粒径、アンモニア成分、硫酸成分)/カーボンの重量比の関係を評価することができる。
具体的には、図3に示すような(アンモニアと硫酸成分との合計)/カーボン量と、灰の平均粒子径(灰平均粒径)との関係を判断する。
【0038】
工程2:前記工程1の判断の結果、規定値を超える(不良:図3に示す灰付着性不良領域A)と判断(Yes)した際には、ボイラ火炉(以下「火炉」ともいう)の燃焼を悪化(促進)させる手段(空気調整)を調整する制御を制御装置22より行う(S−2)。
これに対し、規定値を超えない(良好)と判断(No)した際には、工程1に戻り、所定時間経過後に、灰性状が規定値を超えているか否かの判断を再度行う。
【0039】
ここで、ボイラの燃焼を促進させる第1の手段(空気調整)とは、例えばボイラへ投入する空気の空気投入手段(空気投入量、空気投入位置)の変更を行う空気投入調整手段23をいう。
具体的には、通常火炉は、最初は出口酸素濃度5%程度の高めの運転とし、次第に酸素濃度を絞りつつ(例えば5%→3%→1%…)前記灰性状の評価の適正な制御を行うようにしている。
【0040】
工程3:工程2の制御を行った後、工程1と同様に灰性状が規定値を超えている(不良)か否かの判断を行う(S−3)。
【0041】
工程4:前記工程3の判断の結果、規定値を超える(不良)と判断(Yes)した際には、火炉の燃焼を促進させる空気投入調整手段23の調整を制御装置22より行い、その調整が制御設定値1の下限値に到達しているか否かの判断を行う(S−4)。
これは、制御設定値(設計値)1を超えて酸素濃度を低下させていくと、火炉内の燃焼安定性が損なわれることがあるからである。この下限値は、火炉によってバラツキがあるので、例えば制御設定値(設計値)1を0.5%とする場合には、その数値以下に絞らないような対応が必要となる。
【0042】
これに対し、下限値に達していないと判断(No)した際には、空気投入調整手段23を施す調整を制御装置22より行う工程(S−2)に戻り、再度調整を行う。
【0043】
工程3において、規定値を超えない(良好)と判断(No)した際には、工程1に戻り、所定時間経過後に、灰性状が規定値を超えているか否かの判断を再度行う。
【0044】
工程5:前記工程4の判断の結果、下限値に到達したと判断(Yes)した際には、火炉の燃焼を促進させる手段を第1の手段である空気調整手段から、第2の手段である燃料調整手段に変更する制御を制御装置22より行う(S−5)。
この燃料投入調整手段24としては、燃料投入量、燃料の粒径、燃料の投入位置を変更する制御を行う。
【0045】
工程6:前記工程5の制御をした後、灰性状が規定値を超えているかどうかの判断を行う(S−6)。
この工程6においては、工程1と同様に、灰の凝集性、付着性と灰組成等の複数の指標により判断をする。例えば(灰の平均粒径、アンモニア成分、硫酸成分)/カーボンの重量比の関係を評価する。
【0046】
工程7:前記工程6の判断の結果、規定値を超える(不良)と判断(Yes)した際には、ボイラの燃焼を促進させる手段(燃料調整)を施す制御を制御装置22より行い、制御設定値2の下限値に到達しているか否かの判断を行う(S−7)。
これは、例えば燃料の粒径を調整する手段として、石炭粉砕ミル装置の出力、回転数を80%から50%、30%と低下していくと、火炉内の燃焼安定性が損なわれることがあり、ボイラによってバラツキがあるが、例えば30%を下限とする場合には、その数値以下にしないような対応が必要となる。
よって、下限値に達した(Yes)した際には、システムを停止して、メンテナンスを施す。
これに対し、下限値に達していないと判断(No)した際には、ボイラの燃焼を促進させる手段(燃料調整)を施す制御を制御装置22より行う工程(S−5)に戻り、再度調整を行う。
【0047】
この制御によって、電気集塵器における灰付着性の要因を適切に判断することができ、この灰中の未燃分濃度の計測結果に基づき、灰の付着性を抑制するし、灰の排出性を良好とする制御を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明に係る排ガス処理システムによれば、電気集塵器における灰付着性の要因を適切に判断することができ、灰の排出性を良好とする制御を行うことができ、燃料として石炭を供給して燃焼してなる石炭焚ボイラに適用できる。
【符号の説明】
【0049】
10−1 第1の排ガス処理システム
10−2 第2の排ガス処理システム
11 石炭焚ボイラ
12 脱硝装置
13 空気予熱器
14 電気集塵器
21−1 第1の未燃分濃度計測器
21−2 第2の未燃分濃度計測器
22 制御装置
23 空気投入調整手段
24 燃料投入調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料として石炭を供給して燃焼してなる石炭焚ボイラと、
該石炭焚ボイラからの排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去する脱硝装置と、
窒素酸化物除去後のガス中の熱を回収する空気予熱器と、
熱回収後のガス中の煤塵と、排ガス中の添加したアンモニアによるSO3中和物とを除去する電気集塵器と、
排ガス中の硫黄酸化物(SOx)を除去する脱硫装置と、
脱硫後の浄化ガスを外部に排出する煙突と、
排ガス中の灰中の未燃分を計測する未燃分濃度計測器と、
灰中の未燃分濃度の計測結果に基づき、灰の付着性を抑制する制御を行う制御装置とを具備することを特徴とする排ガス処理システム。
【請求項2】
請求項1において、
未燃分濃度計測器の計測結果において、灰性状が閾値以下の灰付着性不良領域である場合、ボイラへの空気投入調整手段又は燃料投入調整手段のいずれか一方の制御を行い、ボイラの燃焼性を悪化させる制御を制御装置により行うことを特徴とする排ガス処理システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記灰付着性不良領域の判定が、(アンモニア+硫酸成分)/未燃カーボン量と、灰凝集度との関係より求めることを特徴とする排ガス処理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
前記未燃分濃度計測器が、ボイラと脱硝装置との間、空気予熱器と電気集塵器との間の両方に設置してなることを特徴とする排ガス処理システム

【請求項5】
燃料として石炭を供給して燃焼してなる石炭焚ボイラのボイラ燃焼制御方法であって、
排ガス由来の灰中の未燃分を計測する未燃分濃度計測器を有し、
灰中の未燃分濃度の計測結果に基づき、灰の付着性を抑制する制御を行うことを特徴とするボイラ燃焼制御方法。
【請求項6】
請求項5において、
未燃分濃度計測器の計測結果において、灰性状が閾値以下の灰付着性不良領域である場合、ボイラへの空気投入調整手段又は燃料投入調整手段のいずれか一方の制御を行い、ボイラの燃焼性を悪化させる制御を行うことを特徴とするボイラ燃焼制御方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記灰付着性不良領域の判定が、(アンモニアと硫酸成分)/未燃カーボン量と、灰凝集度との関係より求めることを特徴とするボイラ燃焼制御方法。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか一つにおいて、
前記未燃分濃度計測器の計測を、ボイラと脱硝装置との間、空気予熱器と電気集塵器との間の両方で行うことを特徴とするボイラ燃焼制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−286198(P2010−286198A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141449(P2009−141449)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】