説明

排ガス処理装置および排ガス処理方法

【課題】高効率で低コストな排ガス処理装置および排ガス処理方法を提供する。
【解決手段】この排ガス処理装置および排ガス処理方法は、第1の汚泥と第2の汚泥の2種類によって悪臭を処理する。悪臭を発生する第1の排水処理装置28の牡蠣殻31を含む接触酸化槽30からのカルシウム汚泥をスクラバー11の中段部11Bに導入する。また、悪臭を処理する第2の排水処理装置29の第2硝化槽20からの高濃度微生物汚泥をスクラバー11の上段部11Aに導入する。これにより、牡蠣殻31由来のミネラルを含有するカルシウム汚泥と高濃度微生物汚泥との両方でもって、悪臭ガスを効率よく処理できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排ガス処理装置および排ガス処理方法に関する。一例として、この発明は、2004年4月から施行された水質汚濁防止法の一部改正による窒素の総量規制および2001年4月から施行されたPRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法における有害物質の排出量削減に対応する排ガス処理装置および排ガス処理方法に関する。
【0002】
また、この発明は、例えば、主として半導体工場から排水されるアミノエタノールとジメチルスルホキシドとを含有する排水と高濃度窒素排水(高濃度アンモニア排水、現像廃液およびジメチルホルムアミド廃液)の2系統の排水を処理する場合の排ガス処理装置および排ガス処理方法に関する。アミノエタノールはPRTR法の第1種指定化学物質に該当している。また、この発明は、一例として、ジメチルスルホキシド含有排水を排水処理する場合に、排水処理装置から発生する悪臭を処理ができるとともに、イニシャルコスト、ランニングコストおよびメンテナンスコストを低減できる排ガス処理装置および排ガス処理方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、排水処理装置から生じるイオウを含む悪臭を処理する方式としては、(1)焼却による直接燃焼方式、(2)活性炭塔の活性炭による吸着方式、(3)次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤による薬剤処理方式、(4)水や汚泥を含む水を吸収剤として活用する吸収剤方式等がある。
【0004】
しかし、それらの方式は、悪臭処理性能、イニシャルコスト、ランニングコストおよびメンテナンスコストの点で一長一短があり満足できるものではない。
【0005】
特に、(1)の焼却による直接燃焼方式、(2)の活性炭塔の活性炭による吸着方式、
および(3)の次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤による薬剤処理方式では、ランニングコストがかかることに問題がある。
【0006】
一方、(4)の水や汚泥(化学汚泥や生物汚泥)を含む水を吸収剤として活用する吸収方式は、悪臭処理性能が低いという課題があった。
【0007】
この(4)の水や汚泥(化学汚泥や生物汚泥)を含む水を吸収剤を利用する液分散型としては、(i)スプレー塔、(ii)サイクロンスクラバー、(iii)ベンチュリースクラバー (iv)ジェットスクラバー等がある。
【0008】
上記(i)のスプレー塔は、悪臭ガスに吸収液を噴霧して接触させる方式であり、構造が簡単で圧力損失が小さいという特徴がある。また、(ii)のサイクロンスクラバーは、塔内を旋回上昇する悪臭ガスと半径方向に吸収液を噴霧して接触させる方式であり、比較的構造が簡単である。また、(iii)のベンチュリースクラバーは、悪臭ガス入口にベンチュリー管を挿入し、そのスロート部周辺から管内を流れる悪臭ガス中に吸収液を噴霧接触させる方式であり、小型で大容量の悪臭ガスを処理できる特徴がある。また、(iv)のジェットスクラバーは、吸収液をノズルから高圧で噴霧させ、その作用で悪臭ガスを吸引するので、送風機は不要となる特徴がある。
【0009】
ところで、別の従来技術が、特許文献1(特開2001−70950号公報)に記載されている。この従来技術は、発明の名称として記載の如く『ジメチルスルホキシド含有排水の処理方法および処理装置』であり、ジメチルスルホキシドを含有する排水の処理について記載している。この従来技術は、半導体製造工場などにおいて、発生する有機物が共存するジメチルスルホキシド含有排水について、共存有機物を酸化することなく、ジメチルスルホキシドを選択的に酸化してジメチルスルホンとすることができるジメチルスルホキシド含有排水の処理方法および処理装置である。
【0010】
すなわち、この従来技術では、ジメチルスルホキシド含有排水の処理方法において、排水のpHを9〜14に調整して過酸化水素水を添加する処理方法を開示している。また、この従来技術では、ジメチルスルホキシド含有排水と過酸化水素含有排水を混合し、混合排水のpHを9〜14に調整する処理方法を開示している。また、この従来技術では、ジメチルスルホキシド含有排水のpHを9〜14に調整する機構と、過酸化水素水を添加する機構を有する処理装置を開示している。さらに、この従来技術では、ジメチルスルホキシド含有排水と過酸化水素含有排水を混合する機構と、混合排水のpHを9〜14に調整する機構を有する処理装置を開示している。しかし、この従来技術では、悪臭ガスの処理については記載されていない。
【0011】
また、さらに別の従来技術が、特許文献2(特開2002−186829号公報)に記載されている。この従来技術は、発明の名称として記載の如く、『悪臭ガスの脱臭方法およびその装置』であり、悪臭ガスの処理について記載している。この従来技術は、悪臭ガスを、悪臭成分を分解する微生物を付着させた充填層に接触させて生物学的に脱臭する方法において、この充填層には、充填材として、腐植質、マグネシウム塩およびケイ酸塩で構成される充填材、または腐植質、マグネシウム塩およびケイ酸塩で構成される充填材と無機充填材とを併用して用いることを開示している。また、この従来技術は、上記悪臭成分としては、揮発性有機物に適用するのがよく、また、脱臭処理中に充填層の圧力損失が規定値を越えた場合は、充填層に悪臭ガスを含まない空気を通し、充填層の汚泥量を減少させることを開示している。
【0012】
ところで、排水処理装置からのイオウを含む悪臭を効率よく処理できて、しかもイニシャルコスト、ランニングコストおよびメンテナンスコストを低く抑えることができる排ガス処理装置および排ガス処理方法が求められている。
【特許文献1】特開2001−70950号公報
【特許文献2】特開2002−186829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、この発明の課題は、高効率で低コストな排ガス処理装置および排ガス処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、この発明の排ガス処理方法は、複数の種類の汚泥によって、悪臭ガスを処理することを特徴としている。
【0015】
この発明の排ガス処理方法によれば、複数の種類の性状の異なる汚泥によって、悪臭ガスを処理することによって、単一の種類の汚泥で悪臭ガスを処理する場合に比べて、悪臭ガスの処理能力が向上する。
【0016】
また、一実施形態の排ガス処理装置は、悪臭ガスが導入される排ガス処理部と、上記排ガス処理部に複数の種類の汚泥を導入する汚泥導入部とを備える。
【0017】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、排ガス処理部に悪臭ガスと複数の種類の性状の異なる汚泥とを導入して、悪臭ガスを処理することにより、単一の種類の汚泥で悪臭ガスを処理する場合に比べて、悪臭ガスを効率よく処理できる。
【0018】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記汚泥は、少なくとも2種類の微生物汚泥を含む。
【0019】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、悪臭ガスを処理する汚泥として微生物汚泥を利用するので、例えば、生物処理装置からの微生物汚泥を有効に利用でき、ランニングコストを低減できる。なお、微生物汚泥と微生物を含有しない汚泥とで悪臭ガスを処理してもよい。
【0020】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、牡蠣殻が充填された接触酸化槽とこの接触酸化槽の後段の沈殿槽とを有する第1の排水処理装置と、
上記第1の排水処理装置の上記沈殿槽からの第1の汚泥を上記排ガス処理部に導入する第1の汚泥導入部と、
液中膜を含む微生物処理槽を有する第2の排水処理装置と、
上記第2の排水処理装置の上記微生物処理槽からの第2の汚泥を上記排ガス処理部に導入する第2の汚泥導入部とを備える。
【0021】
この実施形態の排ガス処理装置では、第1の汚泥導入部は、第1の排水処理装置の牡蠣殻を含む接触酸化槽の第1の汚泥を排ガス処理部に導入する。また、第2の汚泥導入部は、第2の排水処理装置の微生物処理槽からの第2の汚泥を上記排ガス処理部に導入する。これにより、この実施形態では、牡蠣殻由来のミネラルを含有する汚泥と微生物処理槽からの微生物を含有する汚泥との両方でもって、悪臭ガスを効率よく処理できる。また、上記第1、第2の排水処理装置は、既存の排水処理設備を利用でき、既存の排水処理設備の汚泥を有効に利用することで、ランニングコストを低減できる。
【0022】
なお、上記微生物汚泥が活性炭を含む場合は、悪臭ガスに対する処理性能が特に向上する。また、微生物を含有する汚泥を配管ノズルから噴霧する場合は、悪臭ガスに対する処理能力が通常の微生物濃度の場合よりも向上することを見い出した。
【0023】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記排ガス処理部は、上記第1の汚泥で上記悪臭ガスを処理し、さらに、上記処理された悪臭ガスを上記第2の汚泥で処理する。
【0024】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、第1の排水処理装置のかきがら由来の第1の汚泥で悪臭ガスを処理してから(前段処理)、次に、第2の排水処理装置の微生物処理槽からの微生物を含有する第2の汚泥で悪臭ガスを処理する(後段処理)。このように、第1の汚泥による前段処理と微生物を含有する第2の汚泥による後段処理とによって、悪臭ガスの処理性能が向上することを発見した。
【0025】
また、一実施形態の排ガス処理方法では、上記悪臭ガスは、アミノエタノールとジメチルスルホキシドとを含有する排水を脱窒処理した際に発生するイオウを含む悪臭ガスである。
【0026】
この実施形態の排ガス処理方法によれば、複数の種類の汚泥によって、従来は処理が困難と言われていたイオウを含む悪臭ガスを、燃焼や薬品による方式ではなく、汚泥で処理できることとなり、ランニングコストを低減できる。なお、アミノエタノールとジメチルスルホキシドとを含有する排水を脱窒処理した際にはイオウを含む悪臭が発生することを実験により確認した。その悪臭ガスはメチルスルホキシドを生物分解して発生するイオウ化合物であった。
【0027】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記悪臭ガスは、アミノエタノールとジメチルスルホキシドとを含有する排水が導入されると共に脱窒槽と液中膜が設置された硝化槽を有する排水処理装置から発生するイオウを含む悪臭ガスである。
【0028】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、上記アミノエタノールとジメチルスルホキシドとを含有する排水処理装置から発生するイオウを含む悪臭ガスを処理する。よって、この実施形態によれば、アミノエタノールとジメチルスルホキシドとを含有する排水からの悪臭をも処理でき、公害を発生させることなく、上記排水を完全に処理できる。
【0029】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記複数の種類の汚泥のうちの少なくとも1つが活性炭を含有している。
【0030】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、悪臭ガスを処理する汚泥が活性炭を含んでいるので、悪臭ガスに対する処理効率が向上する。
【0031】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記複数の種類の汚泥のうちの少なくとも1つがミネラルを含有している。
【0032】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、上記悪臭ガスを処理する汚泥がミネラルを含有しているので、汚泥中の微生物の活性が増加して、悪臭処理能力が向上する。
【0033】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記第2の排水処理装置は、窒素排水を処理する排水処理装置であり、上記液中膜を含む微生物処理槽は、硝化槽である。
【0034】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、液中膜を含む微生物処理槽が硝化槽であると共に窒素排水を処理する第2の排水処理装置からの第2の汚泥を悪臭ガスの処理に利用している。したがって、この第2の排水処理装置を、排ガス処理と排水処理とに兼用しており、イニシャルコストを低減できる効果がある。
【0035】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記硝化槽は、下部の半嫌気部と上部の好気部とを有する。
【0036】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、排水処理装置から得られる汚泥は、下部の半嫌気部と上部の好気部とを有する硝化槽からの汚泥であるので、上記汚泥は好気性および半嫌気性の広範囲な微生物を含むこととなり、悪臭ガスを効果的に処理できることになる。
【0037】
また、一実施形態の排ガス処理方法では、上記悪臭ガスは、揮発性有機化合物を含むガスである。
【0038】
この実施形態の排ガス処理方法によれば、揮発性有機化合物を含んだ悪臭ガスを、複数の種類の汚泥で処理することによって、単一の種類の汚泥で悪臭ガスを処理する場合に比べて、悪臭ガスの処理能力が向上する。
【0039】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記悪臭ガスは、揮発性有機化合物を含むガスである。
【0040】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、排ガス処理部に複数の種類の性状の異なる汚泥を導入し、この複数の種類の性状の異なる汚泥により、揮発性有機化合物を含む悪臭ガスを処理するので、単一の種類の汚泥で悪臭ガスを処理する場合に比べて、揮発性有機化合物を含む悪臭ガスを効率よく処理できる。
【0041】
また、一実施形態の排ガス処理方法では、上記汚泥は、マイクロナノバブルを含む汚泥である。
【0042】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記汚泥は、マイクロナノバブルを含む汚泥である。
【0043】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、汚泥が含んでいるマイクロナノバブルの吸着作用でもって、悪臭ガスの悪臭成分を効率よく吸着できるので、悪臭ガスの処理能力が向上する。また、一例として、上記汚泥が微生物を含有している場合には、マイクロナノバブルによって微生物が活性化するので、活性化した微生物によって悪臭ガスの成分を効率よく分解処理できる。
【0044】
なお、マイクロナノバブルは、マイクロバブル(直径50ミクロン以下)とナノバブル(直径1ミクロン以下)の両方を含んでいるバブルである。マイクロナノバブルによれば、水中の溶存酸素を上昇させて維持する機能を有していると考えられる。また、ナノバブルは直径が1ミクロン以下のバブルであるので、生物への細胞レベルでの直接的な作用があると考えられ、特に微生物の活性を増加させる。さらに、マイクロナノバブルの代表的機能として、界面活性作用、汚れ成分の吸着機能、物体表面の高速洗浄機能、触媒的機能等が挙げられる。
【0045】
また、一実施形態の排ガス処理方法では、上記悪臭ガスが含む揮発性有機化合物は、イソプロピールアルコール、アセトン、酢酸ブチルのうちの少なくとも1つを含む。
【0046】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記悪臭ガスが含む揮発性有機化合物は、イソプロピールアルコール、アセトン、酢酸ブチルのうちの少なくとも1つを含む。
【0047】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、悪臭ガスは、成分としてイソプロピールアルコール、アセトン、酢酸ブチルのうちの少なくとも1つを含むので、悪臭ガスの成分が微生物によって容易に分解できる。
【発明の効果】
【0048】
この発明の排ガス処理方法によれば、複数の種類の汚泥によって、悪臭ガスを処理することによって、単一の種類の汚泥で悪臭ガスを処理する場合に比べて、悪臭ガスの処理能力を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0050】
(第1の実施の形態)
図1に、この発明の排ガス処理装置の第1実施形態としての排ガス排水処理システムを模式的に示す。
【0051】
この第1実施形態の排ガス排水処理システムは、第1の排水処理装置28と、第2の排水処理装置29と、排ガス処理部としてのスクラバー11とを備える。
【0052】
まず、悪臭ガスを発生する排水処理装置である上記第1の排水処理装置28について説明する。この排水処理装置28は、第1脱窒槽1と、第1硝化槽6と、接触酸化槽30と、沈殿槽32を有する。上記第1脱窒槽1の下部に、アミノエタノールとジメチルスルホキシドとを含有する排水が導入される。これにより、重力により、上部に比べて微生物濃度が高濃度となっている第1脱窒槽1の下部に、毒性のあるアミノエタノール含有排水が導入されることとなり、微生物にとっての刺激が少なくなる。このことは、微生物処理に適している。
【0053】
また、第1脱窒槽1には、生物処理された処理水または生物処理で発生した汚泥が導入される。この生物処理された処理水または生物処理で発生した汚泥は、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の微量要素を含有しており、この微量要素が各槽全ての微生物の活性を促進することになる。特に、第1硝化槽6の液中膜7による高濃度微生物処理では、上記微量要素が被処理水に含有されていることで、微生物処理が安定する。
【0054】
また、第1脱窒槽1には槽内を撹拌するための撹拌機2が設置されている。この撹拌機2により、アミノエタノールとジメチルスルホキシドとを含有する排水を嫌気性微生物と効率良く混合することができる。この撹拌機2は、通常の撹拌機に替えて、水中に設置する水中撹拌機でも構わない。
【0055】
ただし、第1脱窒槽1での微生物濃度がMLSS(Mixed Liquor Suspended Solid)で10000ppmと高濃度であることから、この撹拌機2だけでは、第1脱窒槽1内に撹拌ができない部分いわゆるデットスペースができる。したがって、エアーリフトポンプ3による循環撹拌を実施している。すなわち、第1脱窒槽1の上部には、第1硝化槽6の下部からの微生物を含む返送汚泥がエアーリフトポンプ3によって多量に導入される。このエアーリフトポンプ3は、縦配管3Aの下部先端部内に散気管5Aが設置されている。この散気管5Aはブロワー16に接続されており、このブロワー16から供給される空気が、縦配管3A内の散気管5Aより吐出し、上昇流によって、微生物を含む返送汚泥が配管3A内下部から配管3A内上部に移動する。
【0056】
次に、第1脱窒槽1に導入されたアミノエタノールとジメチルスルホキシドとを含有する排水は、嫌気的に処理された後、第1脱窒槽1の上部から自然流下によって、第1硝化槽6の下部の半嫌気部23に導入される。この第1硝化槽6においては、上部の好気部24に液中膜7Aが設置されている。これにより、微生物は第1硝化槽6に留まるか、エアーリフトポンプ3によって第1脱窒槽1に返送されるかである。このエアーリフトポンプ3による返送汚泥の移送は、空気を利用した方法であり、多量の返送汚泥を少ない動力で移送することができる。すなわち、省エネルギーな汚泥移送方式である。一般に、圧送ポンプ方式は揚程は多く確保できるが、エアーリフトポンプ方式と比較して多くの動力が必要である。すなわち省エネルギー型の移送方式ではない。
【0057】
エアーリフトポンプ3によって、第1硝化槽6から第1脱窒槽1に返送された微生物汚泥は、再び第1脱窒槽1から第1硝化槽6に戻り、循環することとなる。両槽を微生物汚泥が循環することにより、両槽の微生物濃度がほぼ同様の濃度で維持される。上記したように、微生物濃度がMLSS(Mixed Liquor Suspended Solid)で10000ppm以上と高いと通常の撹拌機や水中撹拌機では、撹拌ができないデットスペースが発生することに対する対処として、エアーリフトポンプ方式による循環撹拌を実施している。
【0058】
第1脱窒槽1と第1硝化槽6の両槽の微生物濃度としては、MLSS(Mixed Liquor Suspended Solid)で10000ppm以上を維持する。なお、第1脱窒槽1には、嫌気性の度合いを測定するため、酸化還元電位計(図示せず)が設置されている。この第1脱窒槽1内では、エアーリフトポンプ3によって第1硝化槽6から導入された硝酸性窒素が、嫌気性微生物によって、一般的な水素供与体であるメタノールの代替品としてのアミノエタノールの存在下で、窒素ガスまで還元処理される。この硝酸性窒素は、第1硝化槽6でアミノエタノールが微生物により分解されて硝酸性窒素に変化したものである。また、第1脱窒槽1内においては、アミノエタノール以外の有機物は、嫌気性微生物により、生物学的に分解処理される。
【0059】
次に、第1脱窒槽1内より流出した被処理水は、第1硝化槽6の下部の半嫌気部23に導入される。ここで、嫌気部とは、溶存酸素が全く無い状態であり、好気部とは溶存酸素が数ppmに維持されている状態であり、半嫌気部とは溶存酸素が0ppmか、溶存酸素が存在していても0.5ppm程度と定義する。この第1硝化槽6には、第1硝化槽6の上部の好気部24と下部の半嫌気部23とを分離するための分離壁4Aが側面に設置されている。この分離壁4の施工としては、コンクリートで施工しても良いし、鋼鉄製で製作しても良い。すなわち、この分離壁4Aとしては、材質は限定しないが、鋼鉄製とした場合、長期間にわたって使用する場合には、腐食を防ぐために塗装をしっかりしておくことが必要である。この分離壁4Aは、第1硝化槽6の上部の好気部24で散気管5Bより吐出する空気により、水流が発生するが、その水流が下部の半嫌気部23に対して、多少は影響するが、より多くは影響しないようにする。第1硝化槽6内の微生物濃度が高濃度であるので、図1に示す程度の大きさの分離壁4Aであっても、好気部24が半嫌気部23に対して与える影響を最小限とすることができる。
【0060】
また、第1脱窒槽1と第1硝化槽6との間のエアーリフトポンプ3による循環システムにおいて、第1硝化槽6の下部に半嫌気部23を設けたことで、第1脱窒槽1で嫌気性微生物によって処理された被処理水と共に第1硝化槽6に移動してくる嫌気性微生物を、半嫌気部23を経て、好気部24に導入することとなる。これにより、第1脱窒槽1からの嫌気性微生物を直接(ストレート)に好気部24に導入する場合に比べて、第1硝化槽6に移動して来る嫌気性微生物に対する環境ストレスが少なくなり、嫌気性微生物によって窒素を処理する際の効率を向上できる。
【0061】
また、第1硝化槽6の下部の半嫌気部23では、特有の微生物が繁殖し、嫌気性微生物、好気性微生物のみならず、半嫌気部23に繁殖する各種微生物によって被処理水を処理することができ、総合的な微生物処理効率を向上できる。また、半嫌気部23で繁殖する微生物が汚泥の減溶化に役立つことを発見した。この半嫌気部23では、曝気設備が設置されていないので曝気されていないが、曝気されている上部の好気部24の多少の水流の影響を受けて、半嫌気部の条件である溶存酸素が0ppmか、溶存酸素が存在していても0.5ppm程度となる。これにより、半嫌気部23では、半嫌気性を維持できることとなる。
【0062】
また、上記エアーリフトポンプ3は、その縦配管3Aが第1硝化槽6の半嫌気部23から好気部24にわたって設置されていて、エアーリフトポンプ3では、ブロワー16から供給される空気が上下に延在する縦配管3Aの内部を上昇する際に返送汚泥も同時に上昇移送される。このエアーリフトポンプ3は少ない揚程しか確保できないが、圧送ポンプに比べて少ない電力で多量の返送汚泥を第1脱窒槽1に移送することができる。この多量の返送汚泥を第1脱窒槽1に移送することによって、第1脱窒槽1の水槽内の撹拌にも役立つこととなる。なお、第1硝化槽6の下部からエアーリフトポンプ3によって第1脱窒槽1に移送される汚泥は、微生物濃度がMLSS(Mixed Liquor Suspended Solid)で10000ppmと高いので、エアーで移送して酸素が供給されても、すぐに酸素が消費されて、第1脱窒槽1の上部では嫌気性を維持できる。
【0063】
また、第1硝化槽6の上部の好気部24では、液中膜7Aの下部に、液中膜7Aを空気洗浄するための散気管5Bが設置されている。この散気管5Bへの空気供給はブロワー16からの吐出空気により実施される。また、液中膜7Aとしては、平膜タイプと中空糸状膜の2種類が市販されているがどちらを採用しても良い。
【0064】
この第1硝化槽6の処理水は液中膜7Aに連結している重力配管9Aから、重力(水頭差)により、自然に流れ出てくる。この重力配管9Aによる方法は電力を必要としないため、省エネルギー運転が可能となる。また、液中膜7Aが閉塞して、重力配管9Aからの吐出量が減少した場合は、液中膜7Aと配管によって連結している液中膜ポンプ8Aを運転することによって処理水を確保できる。なお、液中膜7Aの活用方法としては、処理水の確保に重力配管方式と液中膜ポンプ方式の2種類を同時に採用して、それぞれの長所を生かし、処理水を確保する方式を採用することが、安全運転の観点からはより好ましい。また、液中膜7Aの透過水量が低下した場合、すなわち処理水量が低下した場合は、液中膜7A自体を次亜塩素酸ソーダ等で洗浄している。
【0065】
次に、第1硝化槽6からの被処理水は、重力配管9Aまたは液中膜ポンプ8Aを経由して、接触酸化槽30に導入される。この接触酸化槽30には牡蠣殻(かきがら)31が充填されおり、運転時間の経過と共に、かきがら31の表面に生物膜が形成され、被処理水中の残存有機物の処理に役立つこととなる。また、かきがら31は、接触酸化槽30への被処理水の流入PHが酸性化した場合は、かきがら自体が液性の関係から溶け出して結果的に被処理水を中和することとなる。この接触酸化槽30から出た被処理水は、レーキ33を有する沈澱槽32に流入し、沈殿物と液体とが個液分離される。沈澱槽32から出た上澄液は、第1処理水となる。
【0066】
一方、沈澱槽32で沈澱したカルシウム汚泥を含む固形物は、汚泥ポンプ34によって、脱臭用汚泥の往路配管12を経由して、排ガス処理部であるスクラバー11に導入され、悪臭ガスの吸収剤として利用される。この脱臭用汚泥の往路配管12と汚泥ポンプ34とが第1の汚泥導入部を構成している。
【0067】
次に、この排水処理装置28で発生する悪臭について説明する。
【0068】
この排水処理装置28が有する第1脱窒槽1や第1硝化槽6においては、被処理水中のジメチルスルホキシドが分解されてイオウ化合物が発生する。このイオウ化合物は悪臭ガス14となり、第1脱窒槽1や第1硝化槽6の上部から放出される。そこで、この第1排水処理装置28は、蓋部28Aを有し、この蓋部28Aで悪臭を発生する排水処理装置28全体を囲うと共に覆い、この蓋部28Aに接続した排気管L1と排気ファン10で悪臭ガス14をスクラバー11の下段部11Cに導入する。
【0069】
このスクラバー11は、最上段のガス排出部11Fと上段部11Aと中段部11Bと下段部11Cとを有する。このスクラバー11の上段部11Aの上部には上段配管ノズル35が設置されており、この上段配管ノズル35には脱臭用汚泥の往路配管12A−1、12A−2、12A−3が接続されている。この往路配管12A−1、12A−2、12A−3は汚泥ポンプ22を経由して、第2の排水処理装置29の第2硝化槽20の上部の好気部26に達している。この脱臭用汚泥の往路配管12A−1、12A−2、12A−3と汚泥ポンプ22とが第2の汚泥導入部を構成している。
【0070】
したがって、このスクラバー11では、第1に、悪臭を処理する排水処理装置29から脱臭用汚泥の往路配管12A−1、12A−2、12A−3を経由して、上段配管ノズル35から高濃度微生物汚泥が噴霧される。この高濃度微生物汚泥は、MLSS(Mixed Liquor Suspended Solid)が10000ppm以上の高濃度微生物汚泥であり、通常の微生物汚泥(MLSSが3000ppm程度の微生物汚泥)と比較して、悪臭吸収性能が格段に高いことが実験により判明した。
【0071】
第2に、上記悪臭を発生する排水処理装置28の沈澱槽32で沈澱したカルシウム汚泥に活性炭が混合された汚泥が、スクラバー11の中間部配管ノズル36から噴霧される。この活性炭は、活性炭水タンク37において撹拌機38により、撹拌された活性炭(粉末活性炭、粒状活性炭および顆粒状活性炭など)が活性炭水ポンプ39によって、脱臭用汚泥の往路配管12Bに設置されたラインミキサー(図示せず)に供給された活性炭である。このラインミキサーは、往路配管12Bにおいて、上記活性炭を上記沈澱槽32で沈澱したカルシウム汚泥と混合する。当然のこととして、このカルシウム汚泥に活性炭を混合することによって、活性炭の脱臭能力により、悪臭処理性能が向上することは言うまでもない。
【0072】
このように、このスクラバー11では、上段配管ノズル35と中段配管ノズル36から、スクラバー11の上段部11Aと中段部11Bに悪臭処理性能の高い2種類の吸収液(汚泥を含む水)が散布される。
【0073】
上記沈殿槽32からのカルシウム汚泥は、接触酸化槽30に充填されていた自然の産物である牡蠣殻31由来のカルシウム汚泥であり、このかきがら31が自然の産物であるが故、各種自然のミネラルを含んでいる。このカルシウム汚泥が各種自然のミネラルを含んでいるので、このカルシウム汚泥における微生物活性が増加して、結果的に、スクラバー11での悪臭処理能力が向上する。
【0074】
そして、上段配管ノズル35と中段配管ノズル36から散布された2種類の微生物汚泥は、スクラバー11の下段部11Cに落下して、悪臭ガス14の悪臭成分を吸収する。その後、この悪臭成分を吸収した微生物汚泥は、下段部11Cに接続された脱臭用汚泥の帰路配管13を通って、排水処理装置29の第2硝化槽20に設置された汚泥導入配管21から、第2硝化槽20の下部の半嫌気部25に導入される。この汚泥導入配管21は、第2硝化槽20の上部の好気部26から下部の半嫌気部25まで上下に延在している。この半嫌気部25では、上記微生物汚泥の吸収された悪臭成分が微生物分解される。つまり、イオウは酸化されて硫酸イオンとなって、被処理水中に溶解し、最終的には第2処理水の1つの成分として工場外に排出される。
【0075】
このように、排気ファン10で排気管L1から排ガス処理部としてのスクラバー11に導入される悪臭ガス14は、上述の2種類の微生物汚泥を含む水との気液(気体と液体)接触によって処理されて、スクラバー11の最上段のガス排出部11Fから処理ガス15として排出される。
【0076】
次に、悪臭を処理する排水処理装置29を詳細に説明する。この排水処理装置29は、第2脱窒槽17と、第2硝化槽20を有する。
【0077】
この第2脱窒槽17の下部に、高濃度窒素排水が導入される。この高濃度窒素排水としては、半導体工場で発生する高濃度アンモニア排水、現像廃液、およびジメチルホルムアミド廃液がある。この高濃度窒素排水が第2脱窒槽17の下部に導入される理由は、第2脱窒槽17の上部よりも下部の方が、重力により微生物濃度が高濃度となっているからである。高濃度窒素排水を、第2脱窒槽17の下部に導入することによって、微生物にとっての刺激が少なくなり、微生物処理に好適である。
【0078】
また、第2脱窒槽17には、生物処理された処理水または生物処理で発生した汚泥が導入される。生物処理された処理水または生物処理で発生した汚泥を第2脱窒槽17に導入することによって、生物処理された処理水または生物処理で発生した汚泥に含まれるリン、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の微量要素が、各槽全ての微生物の活性を促進することになる。
【0079】
特に、第2硝化槽20での液中膜7Bを利用する高濃度微生物処理では、微量要素が被処理水に含有されていることで、処理を安定化できる。また、第2脱窒槽17には槽内を撹拌するための撹拌機18が設置されている。嫌気性微生物と高濃度窒素排水を効率良く混合するためならば、通常の撹拌機に替えて、水中に設置する水中撹拌機でも構わない。ただし、第2脱窒槽17での微生物濃度がMLSS(Mixed Liquor Suspended Solid)で10000ppmと高濃度であるので、第2脱窒槽17内に撹拌ができない部分いわゆるデットスペースができる。これに対処するため、エアーリフトポンプ19による循環撹拌を実施している。すなわち、第2脱窒槽17の上部には、第2硝化槽20の下部からの微生物を含む返送汚泥がエアーリフトポンプ19により多量に導入される。
【0080】
このエアーリフトポンプ19は、縦配管19Aの下部先端部内に散気管5Cが設置され、ブロワー16から発生する空気が、配管19A内の散気管5Cより吐出し、上昇流によって、微生物を含む返送汚泥が配管19A内の下部から配管19A内の上部に移動する。尚、第2硝化槽20の下部からエアーリフトポンプ19によって移送される汚泥は、微生物濃度がMLSS(Mixed Liquor Suspended Solid)で10000ppmと高い。したがって、この汚泥がエアーで移送されることで、この汚泥に酸素が供給されても、すぐに酸素が消費されるので、第2脱窒槽17の上部では嫌気性を維持できる。
【0081】
次に、第2脱窒槽17に導入された高濃度窒素排水は、嫌気的に処理された後、第2脱窒槽17の上部から自然流下によって、第2硝化槽20の下部の半嫌気部25に導入される。この第2硝化槽20においては、液中膜7Bが設置されているので、微生物は第2硝化槽20内に留まるか、エアーリフトポンプ19によって第2脱窒槽17に返送されるかである。このエアーリフトポンプ19による返送汚泥の移送は、空気を利用した方法であり、多量の返送汚泥を少ない動力で移送することができる。すなわち、このエアーリフトポンプ19は省エネルギー方式のポンプである。一般に、圧送ポンプ等による方式は揚程は多く確保できるが、エアーリフトポンプ方式と比較して多くの動力が必要であり、省エネルギー型の移送方式ではない。
【0082】
この第2脱窒槽17に返送された微生物汚泥は、再び、第2硝化槽20に戻り、循環することとなる。両槽を微生物汚泥が循環することにより、両槽の微生物濃度がほぼ同様の濃度で維持される。上記したように、微生物濃度がMLSS(Mixed Liquor Suspended Solid)で10000ppm以上と高いと通常の撹拌機や水中撹拌機では、撹拌ができないデットスペースが発生することに対する対策として、エアーリフトポンプ19による循環撹拌を実施している。この第2脱窒槽17と第2硝化槽20の両槽の微生物濃度としては、MLSS(Mixed Liquor Suspended Solid)で10000ppm以上を維持する。なお、第2脱窒槽17には、嫌気性の度合いを測定するため、酸化還元電位計(図示せず)が設置されている。この第2脱窒槽17内では、エアーリフトポンプ19によって第2硝化槽20から導入された硝酸性窒素が、嫌気性微生物により、窒素ガスまで還元処理される。この硝酸性窒素は、第2硝化槽20で高濃度窒素排水が微生物により分解されて硝酸性窒素に変化したものである。また、この第2脱窒槽17内においては、被処理水中の有機物が、嫌気性微生物によって、生物学的に分解処理される。
【0083】
次に、第2脱窒槽17内より流出した被処理水は、第2硝化槽20の下部に導入される。この下部は半嫌気部25を有する。ここで、嫌気部とは、溶存酸素が全く無い状態の部分であり、好気部とは溶存酸素が数ppmに維持されている状態であり、半嫌気部とは溶存酸素が0ppmか、溶存酸素が存在していても0.5ppm程度と定義する。この第2硝化槽20の内壁側面には、第2硝化槽20の上部(好気部26)と下部(半嫌気部25)とを分離するための分離壁4Bが設置されている。この分離壁4Bは、コンクリートで施工しても良いし、鋼鉄製としても良い。すなわち、この分離壁4Bは、材質は限定しないが、鋼鉄製とした場合、長期間にわたって使用する場合には、腐食防止のための塗装をしっかりしておくことが必要になる。
【0084】
この分離壁4Bを設置することによって、第2硝化槽20の上部の好気部26で散気管5Dから吐出する空気によって、水流が発生するが、その水流が下部の半嫌気部25に対して、多少は影響するが、より多くは影響しないようにしている。この第2硝化槽20内の微生物濃度は高濃度であるので、図1に示す程度の大きさの分離壁4Bであっても、好気部26が半嫌気部25に与える影響を最小限とすることができる。
【0085】
また、第2脱窒槽17と第2硝化槽20との間のエアーリフトポンプ19による循環システムにおいて、第2硝化槽20の下部に半嫌気部25を設けたことで、第2脱窒槽17で嫌気性微生物によって処理された被処理水と一緒に移動してくる嫌気性微生物を、半嫌気部25を経由して、好気部26に導入している。これにより、上記嫌気性微生物を直接(ストレート)に好気部26に導入する場合に比べて、第2硝化槽20へ移動して来る嫌気性微生物に対する環境ストレスを少なくすることができる。嫌気性微生物に対する環境ストレスが少ない方が、窒素を処理する際の効率を向上できる。
【0086】
また、半嫌気部25に特有の微生物が繁殖し、嫌気性微生物、好気性微生物のみならず半嫌気部25に繁殖する各種微生物によって被処理水を処理することによって、総合的な微生物処理の効率を向上できる。また、第2硝化槽20に半嫌気部25を設けたことで、この半嫌気部25で繁殖する微生物が汚泥の減溶化に役立つことを発見した。
【0087】
この半嫌気部25には、曝気設備が設置されていないので、半嫌気部25は曝気されていないが、曝気されている上部の好気部26の多少の水流の影響を受けて、半嫌気部の条件である溶存酸素が0ppmか、溶存酸素が存在していても0.5ppm程度となる。これにより、半嫌気部25では、半嫌気性を維持できている。
【0088】
また、第2硝化槽20には、半嫌気部25と好気部26にまたがるエアーリフトポンプ19が設置されている。このエアーリフトポンプ19では、ブロワー16から吐出する空気が縦に設置された縦配管19Aの内部を上昇する際に返送汚泥も同時に上昇して、第2脱窒槽17へ移送される。このエアーリフトポンプ19は、圧送ポンプ等に比べて少ない揚程しか確保できないが、少ない電力で多量の返送汚泥を第2脱窒槽17に移送することができる。このエアーリフトポンプ19は、多量の返送汚泥を第2脱窒槽17に移送できるので、第2脱窒槽17の水槽内の撹拌にも役立てることができる。
【0089】
また、第2硝化槽20の上部の好気部26には、液中膜7Bを空気洗浄するための散気管5Dが液中膜7Bの下方に設置されている。この散気管5Dへの空気供給はブロワー16からの吐出空気によりなされる。また、この液中膜としては、平膜タイプと中空糸状膜の2種類が市販されているがどちらを採用しても良い。この第2硝化槽20からの処理水は、液中膜7Bに連結した重力配管9Bから、重力により、自然に流れ出てくる。つまり、この重力配管9Bは、水頭差を利用して、処理水を導出する。この重力配管9Bによる方法は、電力を必要としないため、省エネルギー運転が可能となる。また、液中膜7Bが閉塞して、重力配管9からの吐出量が減少した場合は、液中膜7Bと配管によって連結している液中膜ポンプ8Bを運転することによって処理水を確保できる。この液中膜7Bの活用方法として、処理水の確保に重力配管方式と液中膜ポンプ方式の2種類を同時に採用して、それぞれの長所を生かし、処理水を確保する方式とすることが、安全運転の観点からより好ましい。この液中膜7Bの透過水量が低下した場合、すなわち処理水量が低下した場合は、液中膜7B自体を次亜塩素酸ソーダ等で洗浄している。この第2硝化槽20からの被処理水は、重力配管9または液中膜ポンプ8により導出されて、第2処理水となる。
【0090】
次に、悪臭処理について説明する。この第2硝化槽20の上部の好気部26における微生物汚泥は、イオウ化合物等の悪臭の原因となる物質を吸着し、吸着後に微生物による分解が可能である。よって、好気部26での微生物汚泥を汚泥ポンプ22により、第2の汚泥導入部としての脱臭用汚泥の往路配管12A−1、12A−2、12A−3を通じて、スクラバー11の上段配管ノズル35に導入して、悪臭ガスの悪臭成分を一部吸着分解処理できる。すなわち、スクラバー11の上段配管ノズル35から上段部11Aにスプレー式に汚泥を散水して、悪臭ガスと接触させることにより、イオウ化合物等の悪臭原因物質の一部を微生物汚泥で吸着すると共に微生物分解する。このスクラバー11において、悪臭原因物質を吸着し微生物分解処理した後の汚泥は、脱臭用汚泥の帰路配管13を通じて、悪臭含有汚泥の導入配管21の上部に導入される。この悪臭含有汚泥の導入配管21の上部に導入された悪臭を含む汚泥は、さらに悪臭含有汚泥の導入配管21の下部に移動した後、半嫌気部25に導入される。この半嫌気部25では、半嫌気部25に存在する微生物により、悪臭の原因物質の大部分が分解処理される。分解後の微生物汚泥は再び好気部26に移動して、汚泥ポンプ22により、脱臭用汚泥の往路配管12A−1、12A−2、12A−3を通じて、スクラバー11の上段部11Aに導入される。
【0091】
すなわち、上記微生物汚泥は、スクラバー11と第2硝化槽20の好気部26、半嫌気部25の間を循環することとなる。この微生物汚泥の循環により、悪臭ガスに含まれるイオウ等悪臭化合物は、上記汚泥に吸着され、スクラバー11による1段目の分解と、半嫌気部25と好気部26の微生物により実施される2段目の吸着分解により処理されることとなる。
【0092】
尚、上記第1実施形態では、第1の排水処理装置28からの第1の汚泥と第2の排水処理装置29からの第2の汚泥の2種類の汚泥で悪臭ガスを処理したが、2つ以上の排水処理装置からの2種類以上の汚泥で悪臭ガスを処理してもよい。
【0093】
(第2の実施の形態)
次に、図2に、この発明の排ガス処理装置の第2実施形態としての排ガス排水処理システムを示す。
【0094】
前述の第1実施形態では、第2の排水処理装置29が有する第2脱窒槽17、および第2硝化槽20の好気部26と半嫌気部25には充填材が充填されていなかった。これに対し、この第2実施形態では、第2の排水処理装置29Nは、第2脱窒槽17N、および第2硝化槽20Nの好気部26Nと半嫌気部25に充填材として塩化ビニリデン充填物27が充填されている。よって、この第2実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0095】
この第2実施形態では、第2脱窒槽17N、および第2硝化槽20Nの好気部26Nと半嫌気部25Nに塩化ビニリデン充填物27を充填したことにより、高濃度窒素排水における窒素処理効率を上げることができる。これにより、第2の排水処理装置29Nにおいて、イオウ化合物等の悪臭原因物質を効率よく分解することができる。
【0096】
このように、第2脱窒槽17Nと、第2硝化槽20Nの好気部26Nと半嫌気部25Nに、塩化ビニリデン充填物27を充填したことで、充填物がない状態に比べて、各槽17N,20Nにおいて槽全体を平均すると微生物濃度が高濃度となる。その上、各塩化ビニリデン充填物27に微生物が付着し繁殖して、充填物が無い状態に比べて、微生物がより安定化し、窒素と悪臭原因物質の処理能力が向上する。なお、塩化ビニリデン充填物27は、各槽17N,20Nの水槽全体に配置することが好ましい。この場合、微生物濃度が各槽全体に高濃度となる。
【0097】
この第2の排水処理装置29Nは試運転からの時間の経過とともに各塩化ビニリデン充填物27に微生物が付着繁殖する。この塩化ビニリデン充填物27の表面の微生物濃度は30000ppm以上となり、窒素と悪臭成分の処理効率の向上につながる。この塩化ビニリデン充填物27の材質は、強固で化学物質に侵されない塩化ビニリデンであり、半永久的に使用できる。また、この塩化ビニリデン充填物23としては、バイオコード、リングレース、バイオマルチリーフ、バイオモジュール等の商品があるが、排水の性状に合わせて選定すれば良い。この第2の排水処理装置29Nの第2硝化槽20Nの好気部26Nでは、被処理水中のアンモニア性窒素が好気性微生物により分解酸化されて硝酸性窒素や亜硝酸性窒素となる。
【0098】
(第3の実施の形態)
次に、図3に、この発明の排ガス処理装置の第3実施形態としての排ガス排水処理システムを示す。
【0099】
前述の第1実施形態では、第1の排水処理装置28の第1脱窒槽1と第1硝化槽6、並びに第2の排水処理装置29の第2脱窒槽17と第2硝化槽20に充填材が充填されていなかった。これに対し、この第3実施形態では、第1の排水処理装置28Nの第1脱窒槽1Nと第1硝化槽6N、並びに第2の排水処理装置29Nの第2脱窒槽17Nと第2硝化槽20Nに充填材として塩化ビニリデン充填物27が充填されている。よって、この第3実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0100】
この第3実施形態では、第1脱窒槽1Nと第1硝化槽6N、並びに、第2脱窒槽17Nと第2硝化槽20Nに塩化ビニリデン充填物27を充填した。これにより、アミノエタノールとジメチルスルホキシドとを含有する排水に対して、アミノエタノールとジメチルスルホキシドの分解効率と窒素処理効率を上げることができる。また、高濃度窒素排水に対する窒素処理効率を上げることができる。
【0101】
すなわち、第1脱窒槽1Nと第1硝化槽6N、並びに、第2脱窒槽17Nと第2硝化槽20Nに塩化ビニリデン充填物27を充填したことで、充填物がない状態に比べて、各槽内の微生物濃度が槽全体を平均すると高濃度となる。その上、各塩化ビニリデン充填物27に微生物が付着し繁殖して、充填物がない状態に比べて、微生物がより安定化し、アミノエタノール、ジメチルスルホキシドおよび窒素の分解能力と窒素の処理能力が向上する。この塩化ビニリデン充填物27は、各槽の水槽全体に配置することが好ましい。この場合、微生物濃度が各槽全体に高濃度となる。この塩化ビニリデン充填物27が各槽に存在することで、この充填物27が無い状態に比べて、嫌気度(酸化還元電位で測定)が増加し、脱窒反応を促進できる。
【0102】
上記第1、第2の排水処理装置28N、29Nを含む排ガス排水処理システムは、試運転から時間の経過とともに各塩化ビニリデン充填物27に微生物が繁殖する。この塩化ビニリデン充填物27の表面の微生物濃度は30000ppm以上となり、各種微生物によるアミノエタノール、ジメチルスルホキシドおよび窒素化合物に対する処理能力が向上する。
【0103】
この塩化ビニリデン充填物27の材質は、強固で化学物質に侵されない塩化ビニリデンであり、半永久的に使用できる。この塩化ビニリデン充填物27としては、バイオコード、リングレース、バイオマルチリーフ、バイオモジュール等の商品があるが、排水の性状に合わせて選定すれば良い。
【0104】
また、第1脱窒槽1Nと第2脱窒槽17では、エアーリフトポンプ3とエアーリフトポンプ19により第1硝化槽6Nと第2硝化槽20Nから返送された被処理水中の硝酸性窒素が還元されて窒素ガスとなり、窒素が処理される。また、第1硝化槽6Nと第2硝化槽20Nでは、被処理水中のアミノエタノールやアンモニア性窒素が好気性微生物により分解酸化されて硝酸性窒素や亜硝酸性窒素となる。
【0105】
なお、上記第1〜第3実施形態では、第1排水処理装置28,28Nからの悪臭ガス14を排気ファン10でスクラバー11の下段部11Cに導入するが、第1排水処理装置28,28N外の揮発性有機化合物含有排ガスをスクラバー11に導入しない場合を説明した。これに対し、排気ファン10が第1排水処理装置28,28Nで発生する悪臭ガスだけでなく、図1〜図3に一点鎖線で示すように、上記悪臭ガス14だけでなく、揮発性有機化合物を含むガスをも排気ファン10を経由してスクラバー11の下段部11Cに導入してもよい。この場合、上記第1〜第3実施形態の一変形例となる。この一変形例では、スクラバー11内では、上段配管ノズル35と中段配管ノズル36から散布される微生物含有汚泥によって、悪臭ガスだけでなく揮発性有機化合物を含む悪臭ガスを効率よく処理できる。なお、微生物によるガスの処理では、処理可能なガスの種類の適用範囲が広くて、スクラバー11では多種類のガスを処理できる。また、揮発性有機化合物を含むガスは悪臭ガスである場合もある。また、上記揮発性有機化合物の一例としては、イソプロピールアルコール、アセトン、酢酸ブチル等が挙げられる。これらイソプロピールアルコール、アセトン、酢酸ブチルは、微生物によって比較的容易に分解される。なお、揮発性有機化合物としてはこれらに限定されるものではなく、揮発性有機化合物(VOC(Volatile Organic Compounds)と呼ばれるもののいずれもが該当することは勿論である。
【0106】
また、この一変形例では、好気部26,26Nの微生物汚泥をスクラバー11に導入するための脱臭用汚泥の往路配管12A−1,12A−2,12A−3のうちの配管12A−2に替えて、マイクロナノバブル発生槽44を配設した一点鎖線で示す脱臭用汚泥の往路配管47,48を備えた。したがって、この一変形例では、悪臭を処理する第2の排水処理装置29の第2硝化槽20,20Nの微生物汚泥は、汚泥ポンプ22により脱臭用汚泥の往路配管12A−3,48を経由して、マイクロナノバブル発生槽44に導入される。
【0107】
マイクロナノバブル発生槽44内には、マイクロナノバブル発生機41が設置され、このマイクロナノバブル発生機41には空気吸い込み配管43からの空気がバルブ42で調整されながら導入される。また、マイクロナノバブル発生機41には、マイクロナノバブル発生槽44内の汚泥が循環ポンプ40によって送水管46から例えば1.5kg/cm以上の圧力で送水される。上記汚泥は、大部分が水であるため、マイクロナノバブル発生機41は、マイクロナノバブルを効率良く発生させる。よって、マイクロナノバブル発生槽44では、上記汚泥とマイクロナノバブルとが混合されて、汚泥中の微生物が活性化される。
【0108】
そして、このマイクロナノバブル発生槽44で発生したマイクロナノバブルを含む微生物汚泥は、マイクロナノバブル発生槽ポンプ45によって、脱臭用汚泥の往路配管47、12A−1を経由して、スクラバー11の上段部11Aで散水される。これにより、スクラバー11では、このマイクロナノバブルを含む微生物汚泥を上段部11Aから散水して、悪臭ガスや揮発性有機化合物を含むガスに接触させることにより、イオウ化合物等の悪臭成分や揮発性有機化合物を微生物汚泥で吸着して一部微生物分解する。上記微生物汚泥中の微生物はマイクロナノバブルによって活性化されているので、スクラバー11内でのガス処理の効率が向上する。
【0109】
このスクラバー11において、悪臭成分や揮発性有機化合物を吸着し一部微生物分解した後の汚泥は、スクラバー11の下段部11Cに接続された脱臭用汚泥の帰路配管13を経由して、悪臭含有汚泥の導入配管21の上部に導入される。この導入配管21は、第2硝化槽20,20Nの上部から下部に亘って上下方向に延在している。
【0110】
したがって、上記悪臭成分や揮発性有機化合物を含む汚泥は、導入配管21の上部から、導入配管21の下部に移動した後、半嫌気部25,25Nに導入されて、微生物により悪臭の原因物質,揮発性有機化合物の大部分が分解処理される。この悪臭の原因物質,揮発性有機化合物が分解された後の微生物汚泥は再び好気部26,26Nに移動して、汚泥ポンプ22により、好気部26,26Nから脱臭用汚泥の往路配管12A−3,48とマイクロナノバブル発生槽44を通じて、スクラバー11の上部11Aに導入される。すなわち、この排水処理装置29,29Nでは、脱臭用汚泥の往路配管12A−3,48,マイクロナノバブル発生槽44,往路配管47,12A−1と帰路配管13を経由して、第2硝化槽20,20Nの微生物汚泥が、第2硝化槽20,20Nの好気部26,26N,半嫌気部25,25Nとスクラバー11との間を循環することとなる。この脱臭用汚泥の循環により、排水処理装置28,28Nで発生する悪臭ガスに含まれるイオウ等の悪臭化合物,揮発性有機化合物含有排ガスに含まれる揮発性有機化合物は、脱臭用汚泥に吸着される。そして、スクラバー11での1段目の一部分解と、半嫌気部25,25Nと好気部26,26Nでマイクロナノバブルを含む汚泥によって活性化した微生物により実施される2段目の大部分の分解とによって処理されることとなる。
【0111】
(実験例)
図2に示す第2実施形態と同じ構成の実験装置を製作した。この実験装置における第1脱窒槽1の容量は100リットル、第1硝化槽6の容量は200リットルとした。また、第2脱窒槽17Nの容量は、100リットルとし、第2硝化槽20Nの容量は200リットルとした。この実験装置での約2ケ月間にわたる微生物の訓養終了後、微生物濃度を18700ppmとした。そして、工場の生産装置から排水されるアミノエタノールとジメチルスルホキシド含有排水から、アミノエタノール濃度2860ppm、ジメチルスルホキシド濃度1400ppmの被処理水を採取して、第1脱窒槽1に連続的に導入した。そして、1ケ間水質が安定するのを待って、この実験装置から得られる処理水のアミノエタノール濃度を測定したところ、130ppmであり、ジメチルスルホキシド濃度を測定したところ110ppmであった。
【0112】
また、悪臭を発生する排水処理装置28の第1脱窒槽1と第1硝化槽6から発生した悪臭ガスは、人が実験装置に1m以内に近づいた時点で、臭気を感じるレベルであったが、スクラバー11で処理したところ、悪臭はほとんどしない状況であった。
【0113】
なお、図4Aのタイムチャートに、上記第1〜第3実施形態において、第1脱窒槽に導入される排水のジメチルスルホキシド濃度が約900ppmで、第2脱窒槽に導入される排水の窒素濃度が約3000ppmである場合の各槽の滞留時間を示す。また、図4Bのタイムチャートに、上記第1〜第3実施形態において、第1脱窒槽に導入される排水のジメチルスルホキシド濃度が約1800ppmで、第2脱窒槽に導入される排水の窒素濃度が約6000ppmである場合の各槽の滞留時間を示す。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】この発明の排ガス処理装置の第1実施形態およびその一変形例としての排ガス排水処理システムを模式的に示す図である。
【図2】この発明の排ガス処理装置の第2実施形態およびその一変形例としての排ガス排水処理システムを模式的に示す図である。
【図3】この発明の排ガス処理装置の第3実施形態およびその一変形例としての排ガス排水処理システムを模式的に示す図である。
【図4A】ジメチルスルホキシド濃度が約900ppmで窒素濃度が約3000ppmである場合の上記第1〜第3実施形態での各槽の滞留時間を示すタイムチャートである。
【図4B】ジメチルスルホキシド濃度が約1800ppmで窒素濃度が約6000ppmである場合の上記第1〜第3実施形態での各槽の滞留時間を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0115】
1、1N 第1脱窒槽
2 撹拌機
3 エアーリフト
4A、4B 分離壁
5A〜5D 散気管
6、6N 第1硝化槽
7A、7B 液中膜
8A、8B 液中膜ポンプ
9A、9B 重力配管
10 排気ファン
11 スクラバー
12A−1〜12A−3、47,48、12B 脱臭用汚泥の往路配管
13 脱臭用汚泥の帰路配管
14 悪臭ガス
15 処理ガス
16 ブロワー
17、17N 第2脱窒槽
18 撹拌機
19 エアーリフト
20、20N 第2硝化槽
21 悪臭含有汚泥の導入配管
22 汚泥ポンプ
23、23N 半嫌気部
24、24N 好気部
25、25N 半嫌気部
26、26N 好気部
27 塩化ビニリデン充填物
28 悪臭を発生する排水処理装置
29 悪臭を処理する排水処理装置
30 接触酸化槽
31 牡蠣殻(かきがら)
32 沈澱槽
33 レーキ
34 汚泥ポンプ
35 上段配管ノズル
36 中段配管ノズル
37 活性炭水タンク
38 撹拌機
39 活性炭水
40 循環ポンプ
41 マイクロナノバブル発生機
42 バルブ
43 空気吸い込み配管
44 マイクロナノバブル発生槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の種類の汚泥によって、悪臭ガスを処理することを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項2】
悪臭ガスが導入される排ガス処理部と、
上記排ガス処理部に複数の種類の汚泥を導入する汚泥導入部とを備えることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の排ガス処理装置において、
上記汚泥は、少なくとも2種類の微生物汚泥を含むことを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の排ガス処理装置において、
牡蠣殻が充填された接触酸化槽とこの接触酸化槽の後段の沈殿槽とを有する第1の排水処理装置と、
上記第1の排水処理装置の上記沈殿槽からの第1の汚泥を上記排ガス処理部に導入する第1の汚泥導入部と、
液中膜を含む微生物処理槽を有する第2の排水処理装置と、
上記第2の排水処理装置の上記微生物処理槽からの第2の汚泥を上記排ガス処理部に導入する第2の汚泥導入部とを備えることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の排ガス処理装置において、
上記排ガス処理部は、
上記第1の汚泥で上記悪臭ガスを処理し、さらに、上記処理された悪臭ガスを上記第2の汚泥で処理することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の排ガス処理方法において、
上記悪臭ガスは、
アミノエタノールとジメチルスルホキシドとを含有する排水を脱窒処理した際に発生するイオウを含む悪臭ガスであることを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項7】
請求項2に記載の排ガス処理装置において、
上記悪臭ガスは、
アミノエタノールとジメチルスルホキシドとを含有する排水が導入されると共に脱窒槽と液中膜が設置された硝化槽を有する排水処理装置から発生するイオウを含む悪臭ガスであることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項8】
請求項2に記載の排ガス処理装置において、
上記複数の種類の汚泥のうちの少なくとも1つが活性炭を含有していることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項9】
請求項2に記載の排ガス処理装置において、
上記複数の種類の汚泥のうちの少なくとも1つがミネラルを含有していることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項10】
請求項4に記載の排ガス処理装置において、
上記第2の排水処理装置は、窒素排水を処理する排水処理装置であり、
上記液中膜を含む微生物処理槽は、硝化槽であることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項11】
請求項7または10に記載の排ガス処理装置において、
上記硝化槽は、
下部の半嫌気部と上部の好気部とを有することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項12】
請求項1に記載の排ガス処理方法において、
上記悪臭ガスは、揮発性有機化合物を含むガスであることを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項13】
請求項2に記載の排ガス処理装置において、
上記悪臭ガスは、揮発性有機化合物を含むガスであることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項14】
請求項1に記載の排ガス処理方法において、
上記汚泥は、マイクロナノバブルを含む汚泥であることを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項15】
請求項2に記載の排ガス処理装置において、
上記汚泥は、マイクロナノバブルを含む汚泥であることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項16】
請求項12に記載の排ガス処理方法において、
上記悪臭ガスが含む揮発性有機化合物は、イソプロピールアルコール、アセトン、酢酸ブチルのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項17】
請求項13に記載の排ガス処理装置において、
上記悪臭ガスが含む揮発性有機化合物は、イソプロピールアルコール、アセトン、酢酸ブチルのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする排ガス処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2006−289344(P2006−289344A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15379(P2006−15379)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】