説明

排ガス浄化方法、及び排ガス浄化装置

【課題】排ガスへのアンモニアの注入を効率的に行うことができる排ガス浄化方法、及び排ガス浄化装置を提供する。
【解決手段】排ガス浄化装置10は、電気集塵器1と、排ガス管2と、アンモニア注入装置3と、排ガス温度測定器4と、制御装置5とを有する。
制御装置5は、アンモニア注入装置3を制御し、具体的には、排ガス温度測定器4によって測定された排ガスの測定温度が硫酸の酸露点未満の場合には、排ガスへのアンモニアの注入を継続する一方で、測定温度が硫酸の酸露点以上の場合には、排ガスへのアンモニアの注入を停止するようにアンモニア注入装置3を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス浄化方法、及び排ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラ等から排出された排ガスには、塵が含まれている。そこで、このような排ガスから塵を除去するために、塵を含む排ガスを電気集塵器(EP:Electrostatic Precipitator)へ供給する技術が開発されている。
【0003】
ところが、このような排ガスには、通常、塵のほかに三酸化硫黄(SO)も含まれているため、その三酸化硫黄が水蒸気と反応して、排ガス中に硫酸蒸気が生成されることとなる。そして、排ガスの温度が硫酸の酸露点(130℃〜150℃)未満になると、排ガス中に生成した硫酸蒸気が結露し、結露した硫酸蒸気が伝熱面を腐食させたり、或いは、結露した硫酸蒸気が塵に付着して当該塵の電気抵抗が低下し、その結果、当該塵が帯電しにくくなって、電気集塵器(EP)による集塵が困難になるなどの問題が生じてしまう。
【0004】
そこで、従来より、エアヒータ(AH:air heater)を用いて排ガスを加熱し、その温度を酸露点以上にすることによって、硫酸蒸気が結露するのを防いだり、或いは、排ガスにアンモニア(NH)を注入し、そのアンモニアにより排ガスに含まれる三酸化硫黄(SO)を中和させて硫酸アンモニウムにした上で、電気集塵器(EP)によって、塵とともに硫酸アンモニウムを除去している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−206701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術にあっては、排ガスの温度が酸露点未満の場合(硫酸蒸気が結露し、アンモニアの注入が効を奏する場合)のみならず、酸露点以上の場合(硫酸蒸気が結露せず、アンモニアを注入する必要がない場合)においても、排ガスにアンモニアを不必要に注入していたため、排ガスへのアンモニアの注入が非効率的であった。
【0007】
そこで、本発明は、排ガスへのアンモニアの注入を効率的に行うことができる排ガス浄化方法、及び排ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、塵及び三酸化硫黄(SO)が含まれる排ガスにアンモニアを注入し、当該アンモニアが注入された排ガスを電気集塵器へ供給することにより、前記排ガスから前記塵を除去して当該排ガスを浄化する排ガス浄化方法であって、
前記排ガスの温度を測定し、その測定温度が硫酸の酸露点未満の場合には、前記排ガスへの前記アンモニアの注入を継続する一方で、前記測定温度が前記酸露点以上の場合には、前記排ガスへの前記アンモニアの注入を停止することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の排ガス浄化装置は、電気集塵器と、前記電気集塵器へ塵及び三酸化硫黄が含まれる排ガスを供給する排ガス管と、前記排ガス管内を流れる前記排ガスにアンモニアを注入するアンモニア注入装置と、前記排ガス管内を流れる前記排ガスの温度を測定する排ガス温度測定器と、前記排ガス温度測定器によって測定された前記排ガスの測定温度が硫酸の酸露点未満の場合には、前記排ガスへの前記アンモニアの注入を継続する一方で、前記測定温度が前記酸露点以上の場合には、前記排ガスへの前記アンモニアの注入を停止するように前記アンモニア注入装置を制御する制御装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排ガスへのアンモニアの注入を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る排ガス浄化装置を示す概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図1を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る排ガス浄化装置を示す概略図である。
【0013】
図1に示すように、排ガス浄化装置10は、電気集塵器1と、電気集塵器1へ塵及び三酸化硫黄(SO)が含まれる排ガスを供給する排ガス管2と、排ガス管2内を流れる排ガスにアンモニア(NH)を注入するアンモニア注入装置3と、排ガス管2内を流れる排ガスの温度を測定する排ガス温度測定器4と、アンモニア注入装置3を制御する制御装置5と、を有する。なお、排ガス管2の上流側には、排ガスを加熱するためのエアヒータ(AH)が設けられており、電気集塵器1へ供給する排ガスの温度を制御することが可能である。制御装置5は、アンモニア注入装置3を制御する装置であり、排ガス温度測定器4によって測定された排ガスの測定温度が硫酸の酸露点未満の場合には、排ガスへのアンモニアの注入を継続する一方で、測定温度が硫酸の酸露点以上の場合には、排ガスへの前記アンモニアの注入を停止するようにアンモニア注入装置3を制御する。
【0014】
このような排ガス浄化装置10にあっては、制御装置5によって、排ガスの温度が酸露点未満の場合(硫酸蒸気が結露し、アンモニアの注入が効を奏する場合)にのみ、排ガスにアンモニアを注入することとし、これとは逆に、排ガスの温度が酸露点以上の場合(硫酸蒸気が結露せず、アンモニアを注入する必要がない場合)には、排ガスにアンモニアを注入しないように制御されている。従って、排ガス浄化装置10にあっては、不必要なアンモニアの注入が抑制されるため、排ガスへのアンモニアの注入が効率的になる。
【符号の説明】
【0015】
1 電気集塵器
2 排ガス管
3 アンモニア注入装置
4 排ガス温度測定器
5 制御装置
6 エアヒータ(AH)
10 排ガス浄化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵及び三酸化硫黄(SO)が含まれる排ガスにアンモニアを注入し、当該アンモニアが注入された排ガスを電気集塵器へ供給することにより、前記排ガスから前記塵を除去して当該排ガスを浄化する排ガス浄化方法であって、
前記排ガスの温度を測定し、その測定温度が硫酸の酸露点未満の場合には、前記排ガスへの前記アンモニアの注入を継続する一方で、前記測定温度が前記酸露点以上の場合には、前記排ガスへの前記アンモニアの注入を停止することを特徴とする排ガス浄化方法。
【請求項2】
電気集塵器と、
前記電気集塵器へ塵及び三酸化硫黄が含まれる排ガスを供給する排ガス管と、
前記排ガス管内を流れる前記排ガスにアンモニアを注入するアンモニア注入装置と、
前記排ガス管内を流れる前記排ガスの温度を測定する排ガス温度測定器と、
前記排ガス温度測定器によって測定された前記排ガスの測定温度が硫酸の酸露点未満の場合には、前記排ガスへの前記アンモニアの注入を継続する一方で、前記測定温度が前記酸露点以上の場合には、前記排ガスへの前記アンモニアの注入を停止するように前記アンモニア注入装置を制御する制御装置と、
を有することを特徴とする排ガス浄化装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−234322(P2010−234322A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87069(P2009−87069)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】