説明

排出ハッチ

【課題】分解して清掃することが容易な排出ハッチを提供する。
【解決手段】頂部に排出口を有する円錐台形状の排出ハッチ外壁21と、外壁と所定の間隙を有して配置され排出口に対応する開口を備えた通気性を有する流動板22とを備え、外壁と流動板との間隙に供給された空気を流動板を介して噴出させ、流動板近傍に滞留している粉体を流動化させて排出する排出ハッチ16において、外壁は、その内壁の排出口の周縁部に当接面を有し、流動板は、開口の外壁側の周縁部に設けられた当接部と、開口の周縁部に形成された小フランジ部と、開口とは反対側の開口端部に形成された大フランジ部と、両フランジ部を接続する流動板の円錐台形状の外壁に所定の間隔で複数配置された縦リブと、縦リブと交差する複数の同心円リブとを備え、外壁の当接面に対して流動板の当接部をオーリングを介して当接させ、複数の牽引ボルトにより外壁と前記流動板とを締結した構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製粉された小麦粉などの食用の粉体を積載して輸送する粉体輸送用バルク車の車載タンクの排出ハッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
バルク状の粉体、例えば、製粉された小麦粉などの食用の粉体(以下、小麦粉を例にして説明する)を製粉工場から製パン工場等の顧客の加工工場に輸送する際には、従来は、25kg詰めの袋などに小麦粉を袋詰めしてから、この袋詰めされた小麦粉をトラックなどで輸送していたが、近年では、大量に購入する顧客を中心に、袋詰めをすることなく小麦粉をバルク状の粉体のままでタンクローリの車載タンクに投入して積載し、この車載タンクに積載された小麦粉を輸送するケースが増えている。そして、このようなバルク状の粉体を輸送するタンクローリをバルク車と称している。
【0003】
このバルク車による輸送によって、小麦粉を袋詰めすることなく輸送して、顧客の加工工場のサイロ(貯蔵タンク)に直接納入することが可能になり、一時に大量の小麦粉(8〜10トン)を輸送することができるとともに、製粉工場における袋詰め工程や顧客の加工工場における袋からの取り出し作業などが不要になり、輸送コストを大幅に削減することができるので、近年ではこの輸送方法が多く用いられている。
【0004】
このバルク状の小麦粉を輸送するバルク車は、例えば、図7に示すようなバルク車130であって、このバルク車130の車載タンク132に小麦粉を積載して輸送する。この図には、バルク車130の車載タンク132に製粉工場で小麦粉を投入する方法と、顧客の工場で小麦粉を排出する方法の双方が同時に描かれている。すなわち、製粉工場でバルク車130に小麦粉を投入するときには、例えば、製粉工場において製粉された小麦粉を積込場所である2階に搬送し、1階に駐車するバルク車130の車載タンク132に蛇腹状の搬送チューブ134を介して自然落下させ、バルク車130の車載タンク132に投入して積み込む。
【0005】
この小麦粉の積み込みでは、小麦粉は、例えば、2本の蛇腹状の搬送チューブ134によって、バルク車130の車載タンク132の上面に設けられた前方側及び後方側の2個の投入ハッチ136から投入され、中央の投入ハッチ136から風抜きがなされる。この例に限ることなく、小麦粉の投入・風抜きは適宜どの投入ハッチ136を用いてもよい。また、顧客の工場において、サイロに小麦粉を排出するときには、排出ハッチ137の排出口138から排出し、搬送チューブ140を通して空気輸送でサイロまで搬送する。この際に、油圧シリンダ(図示しない)で車載タンク132の前部を押し上げて車載タンク132を傾け、バルク車130に搭載されたコンプレッサーまたは顧客工場に設置されたコンプレッサー(ともに図示しない)を駆動し、発生した圧縮エアーを車載タンク132の前端上部に導入することでタンク内部を加圧し、さらに排出ハッチ137の内側に配置された流動板から空気を噴出させて排出ハッチの内側の小麦粉を流動化させて排出口138から排出する(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004-99147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車載タンク132に積み込まれた小麦粉は排出ハッチの内側、即ち排出ハッチの内側に配置されている流動板にも付着するが、従来の排出ハッチ137は、図8に示すように、排出ハッチの外壁150と流動板152とを備えており、排出ハッチの外壁150に形成された排出口150aに、流動板152の短管状の開口部152aがオーリング154を介して隙間無く嵌め込まれているため、排出ハッチの外壁150から流動板152を取り外すことが極めて困難であり、付着した小麦粉の清掃に多大な労力を要していた。
【0007】
本発明の課題は、分解して清掃することが容易な排出ハッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の排出ハッチは、粉体輸送用バルク車に搭載された車載タンクの後下部に備えられた排出ハッチであって、内部に円錐台形状の空間を有し該空間の頂部に排出口を有する外壁と、前記外壁と所定の間隙を有して配置され前記排出口に対応する開口を備えた通気性を有する流動板とを備え、前記排出口から粉体を排出する際に、前記外壁と前記流動板との間隙に供給された空気を前記流動板を介して噴出させ、前記流動板近傍に滞留している粉体を流動化させて前記排出口から排出する排出ハッチにおいて、前記外壁は、その内壁の前記排出口の周縁部に当接面を有し、前記流動板は、前記開口の前記外壁側の周縁部に設けられた当接部と、前記開口の周縁部に形成された小フランジ部と、前記開口とは反対側の開口端部に形成された大フランジ部と、前記小フランジ部と前記大フランジ部とを接続する前記流動板の円錐台形状の外壁に所定の間隔で複数配置された縦リブと、前記縦リブと交差する複数の同心円リブとを備え、前記外壁の前記当接面に対して前記流動板の前記当接部をオーリングを介して当接させ、複数の締結具により前記外壁と前記流動板とを締結した構造を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の排出ハッチにおいては、外壁と流動板とが、外壁の排出口の内壁側の周縁部に設けられた当接面に対して、流動板の開口の外壁側の周縁部に設けられた当接部を当接した構造を有するため、外壁と流動板とを分解することが容易であり、付着した小麦粉を取り除く清掃をきわめて容易に行うことができる。また、本発明の排出ハッチにおいては、流動板が開口の周縁部に形成された小フランジ部と開口とは反対側の開口端部に形成された大フランジ部とを接続する複数の縦リブと、円周状に形成された複数の横リブとを備えるため、流動板の剛性を高くすることができ、流動板と外壁とを全体として高い締結力で締結することができ、空気漏れの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態にかかる粉体輸送用バルク車の車載タンクに設けられた排出ハッチについて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る粉体輸送用バルク車の構成を示す図である。
【0011】
図1に示す粉体輸送用バルク車10は、前述したように、バルク状の小麦粉を輸送するためのタンクローリであって、車体の上部に小麦粉を収納する車載タンク12が設けられており、この車載タンク12の上面に設けられた前後2つのハッチ(投入ハッチ)14から小麦粉を供給して積載する。この際に小麦粉が投入されるハッチ14の間に設けられたハッチ(空気抜きハッチ)14を開放して、小麦粉と共に送られる空気の風抜きが行なわれる。なお、小麦粉が投入されるハッチ14は、前後2つのハッチに限定されるものではなく、積み込み工場の形態等に応じて、任意のハッチ14が投入ハッチとして用いられる。例えば、前方及び中央のハッチ14を投入ハッチとし、後方のハッチ14を空気抜きハッチとしてもよく、中央及び後方のハッチ14を投入ハッチとし、前方のハッチ14を空気抜きハッチとしてもよい。
【0012】
また、車載タンク12から小麦粉を排出する際には、車載タンク12内に小麦粉が残らないように、油圧シリンダ(図示しない)によって車載タンク12の前部を押し上げて車載タンク12を傾け、バルク車10に搭載されたコンプレッサーまたは積み込み工場に設置されたコンプレッサー(ともに図示しない)を駆動し、発生した圧縮エアーを車載タンク12の前端上部に導入することでタンク内部を加圧し、さらに排出ハッチ16の外壁21(図2参照)から図示しない流動用エアー配管を介してエアチャンバ20内へ供給される流動用エアーを排出ハッチ16の内側に配置された流動板22(図2参照)から噴出させて排出ハッチ16の内側の小麦粉を流動化させて排出口17から排出する。
【0013】
図2は、実施の形態に係る排出ハッチの排出口の中心を通る位置における断面図である。図2に示すように、排出ハッチ16は、流動板22とエアチャンバ20と外壁21等を備えている。流動板22は、エアチャンバ20の内壁に沿って配置され、エアチャンバ20の内壁との間に所定の空間を形成する内部に円錐台形状の空間を有する部材である。ここで流動板22は、例えば焼結金属により形成され通気性を有する。即ち、流動板22には、空気は通過することが可能であるが、小麦粉は通過することができない程度の微細な多数の通気口が形成されている。
【0014】
図3は実施の形態に係る流動板の開口部の中心を通る位置における断面図であり、図4は流動板の外壁を開口部側から見た図である。流動板22は、内部に円錐台形状の空間を有し、排出口30(図5参照)に対応する位置に開口部40を形成する小フランジ部41が接続されている。図6に示すように、小フランジ部41の先端部には、円周状の第1の当接部42が形成されている。
【0015】
流動板22の小フランジ部41が設けられている側とは反対側の開口端部には、排出ハッチの外壁21における第2の当接面32(図5参照)と当接する円周状の第2の当接部43が形成される円周状の大フランジ部44が接続されている。
【0016】
流動板22の外壁部には、流動板22の円錐台形状の母線方向に延びる縦リブ45が所定の間隔で8つ配置され、小フランジ部41と大フランジ部44とにそれぞれが溶接されている。また、流動板22の外壁部には、縦リブ45と交差する同心円リブ46が2つ形成されている。また、流動板22の外壁には、流動板22と排出ハッチの外壁21を固定する牽引ボルト(締結部材)47が、円周状に5つ設けられている。
【0017】
図5は排出口の中心を通る位置における断面図である。図5に示すように、エアチャンバ20の外壁21は内部に円錐台形状の空間を有し該空間の頂部に排出口30を有しており、排出口30の流動板22側の周縁部に円周形状の第1の当接面31が形成されている。また、排出口30とは反対側の開口端部には、流動板22と当接する円周状の第2の当接面32が形成されている。
【0018】
図2及び図6に示すように、排出ハッチの外壁21と流動板22は、第1の当接面31に対してオーリング24を介して流動板22の第1の当接部42が当接され、第2の当接面32に対して図示しないオーリングを介して流動板22の第2の当接部43が当接されて組み立てられ、排出ハッチの外壁21と流動板22とが、5つの牽引ボルト47により固定される。
【0019】
この排出ハッチは、排出ハッチの外壁21と流動板22とが、エアチャンバ20の第1の当接面31に対してオーリング24を介して流動板22の第1の当接部42が当接された構造であるため、排出ハッチの外壁21と流動板22の分解が容易であり、排出ハッチ21及び流動板22付着した小麦粉の清掃を容易に行うことができる。
【0020】
また、流動板22においては、8つの縦リブ45により大フランジ部44及び小フランジ部41を溶接にて結合し、更に2つの同心円リブ46も備えているため、流動板全体の剛性を高くすることができる。従って、流動板22と排出ハッチの外壁21とを略等間隔で配置された5本の牽引ボルトにより締結することにより、締結時の引っ張り負荷を分散させて全体で締結力を高め空気漏れを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態にかかる粉体輸送用バルク車の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる車載タンクの排出ハッチの構成を説明するための断面図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる流動板の構成を説明するための断面図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる流動板の片側の構成を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる排出ハッチの外壁の構成を説明するための断面図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる排出ハッチを構成する排出ハッチの外壁と流動板との当接部を示す断面図である。
【図7】従来の粉体輸送用バルク車の構成を示す図である。
【図8】従来の車載タンクの排出ハッチの構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0022】
10…粉体輸送用バルク車、12…車載タンク、14…ハッチ、16…排出ハッチ、17…排出口、20…エアチャンバ、21…排出ハッチの外壁、22…流動板、30…排出口、31…第1の当接面、32…第2の当接面、40…開口部、41…小フランジ部、42…第1の当接部、43…第2の当接部、44…大フランジ部、45…縦リブ、46…同心円リブ、47…牽引ボルト、24…オーリング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体輸送用バルク車に搭載された車載タンクの後下部に備えられた排出ハッチであって、
内部に円錐台形状の空間を有し該空間の頂部に排出口を有する外壁と、前記外壁と所定の間隙を有して配置され前記排出口に対応する開口を備えた通気性を有する流動板とを備え、
前記排出口から粉体を排出する際に、前記外壁と前記流動板との間隙に供給された空気を前記流動板を介して噴出させ、前記流動板近傍に滞留している粉体を流動化させて前記排出口から排出する排出ハッチにおいて、
前記外壁は、その内壁の前記排出口の周縁部に当接面を有し、
前記流動板は、前記開口の前記外壁側の周縁部に設けられた当接部と、前記開口の周縁部に形成された小フランジ部と、前記開口とは反対側の開口端部に形成された大フランジ部と、前記小フランジ部と前記大フランジ部とを接続する前記流動板の円錐台形状の外壁に所定の間隔で複数配置された縦リブと、前記縦リブと交差する複数の同心円リブとを備え、
前記外壁の前記当接面に対して前記流動板の前記当接部をオーリングを介して当接させ、複数の締結具により前記外壁と前記流動板とを締結した構造を有することを特徴とする排出ハッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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