説明

排気ガス浄化触媒、及び排気ガス浄化触媒の製造方法

【課題】 貴金属の分散度低下を抑制して貴金属の粒子径が小さい状態を維持することができ、少ない貴金属量で耐熱性に優れた排気ガス浄化触媒を得る。
【解決手段】 Pt、Pd、Rhの群から選ばれる少なくとも一種以上の貴金属2と、Al、Ce、La、Zr、Co、Mn、Fe、Mg、Ba、Tiの群から選ばれる少なくとも一種以上の金属元素の化合物が、Al、ZrO、CeOの群から選ばれる少なくとも一種以上の酸化物に略均一に分散された複合化合物3a、3bとを含む排気ガス浄化触媒1であって、貴金属2の表面積の一部が複合化合物によって被覆された状態で、貴金属2が複合化合物3a、3bに担持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排気ガス浄化触媒、及び排気ガス浄化触媒の製造方法に関し、特に内燃機関から排出される排ガスを浄化する排気ガス浄化触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の排ガス規制は世界的に拡大していることから、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Rh(ロジウム)などの貴金属粒子を多孔質体であるAl(アルミナ)などの担体に担持させた三元触媒が、排ガス中のHC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)、NO(窒素酸化物)を浄化する目的で使用されている。
【0003】
貴金属の触媒活性は、貴金属を用いた反応が貴金属表面で反応が進む接触反応であるため、貴金属の持つ表面積にほぼ比例する。このため、少ない貴金属量から最大限の触媒活性を得るためには、粒子径が小さく高比表面積の貴金属粒子を作製し、その粒子径を維持しつつ担体上に均一に分散させることが好ましい。
【0004】
しかしながら、粒子径10[nm]未満の小さい貴金属粒子は、触媒活性は高いが表面反応性が高く大きな表面エネルギーを持っているため非常に不安定である。また、図4の貴金属の粒子径と融点との関係を示す図に示されるように、貴金属微粒子は、粒子径が5[nm]以下になると急激に融点が下がる(参考文献 J.Phys.Chem.B ,107,pp2719-2724(2003))。このため、貴金属粒子は互いに接近して凝集(シンタリング)しやすくなる。特に、Ptは加熱すると凝集が著しく、担体上に均一に分散させても加熱により凝集して粒子径が大きくなる。このため、図5に示す白金の粒子径と転化率との関係を示す説明図のように加熱によるPtの凝集により、Ptの触媒としての機能、つまりNOを浄化するための指標である転化率が低下する。自動車用の触媒は、通常800〜900[℃]、場合によっては1000[℃]を越える高温にさらされるため、粒子径の小さい貴金属粒子の凝集を防止して作製時の粒子径を維持し、かつ触媒活性を維持するのは困難である。
【0005】
一方、貴金属粒子の凝集を防止するためには、貴金属粒子の表面エネルギーを下げることが考えられる。しかし、表面エネルギーを抑えるためには貴金属粒子の粒子径を50[nm]、100[nm]程度の大きな粒子にする必要があり、この粒子径の場合には触媒活性自体を失う問題がある。また、従来、上記した貴金属を用いた排気ガス浄化触媒は、図6(a)に示すように、排気ガス浄化触媒101は、担体であるアルミナ103上にセリア104が担持され、さらにその上に白金などの貴金属102が担持されていた。この排気ガス浄化触媒101では、熱耐久によりセリア104が担持された白金が凝集する。熱耐久後の状態を図6(b)に示す。熱耐久後の排気ガス浄化触媒111では、アルミナ113上に担持されたセリア114上に粗大化した白金112が担持されている。この場合には、白金は凝集して粒子径が大きくなるため、触媒活性が低下する。このように、従来の排気ガス浄化触媒では、触媒作製時には白金102の粒子径が小さい場合であってもその粒子径を維持されず、触媒活性を維持することは難しい。
【0006】
そこで、例えば、触媒活性粒子を担体に担持させ、その担体表面に担体と同一材料もしくは他種材料を付着させた排気ガス浄化触媒が提案されている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−216517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献に開示された技術であっても、充分に触媒活性粒子の凝集を抑えることができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、第1の発明である排気ガス浄化触媒は、Pt、Pd、Rhの群から選ばれる少なくとも一種以上の貴金属と、Al、Ce、La、Zr、Co、Mn、Fe、Mg、Ba、Tiの群から選ばれる少なくとも一種以上の金属元素の化合物が、Al、ZrO、CeOの群から選ばれる少なくとも一種以上の酸化物に略均一に分散された複合化合物とを含む排気ガス浄化触媒であって、貴金属の表面積の一部が複合化合物によって被覆された状態で、貴金属が複合化合物に担持されていることを要旨とする。
【0009】
また、第2の発明である排気ガス浄化触媒の製造方法は、金属元素が酸化物に均一に分散された触媒担体に貴金属塩を投入し、貴金属を還元剤で還元析出させる工程と、析出した貴金属を金属元素の塩及び酸化物の塩で同時に被覆する工程と、貴金属を被覆した状態で焼成する工程と、を含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明によれば、この排気ガス浄化触媒では、貴金属の分散度低下を抑制して貴金属の粒子径が小さい状態を維持することができ、少ない貴金属量で耐熱性に優れた排気ガス浄化触媒を得ることが可能となる。
【0011】
第2の発明によれば、金属元素が均一に分散された酸化物上に、この金属元素を含む酸化物で被覆した状態で貴金属を担持させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る排気ガス浄化触媒、及び排気ガス浄化触媒の製造方法の詳細を実施の形態に基づいて説明する。
【0013】
(排気ガス浄化触媒)
本発明に係る排気ガス浄化触媒の実施の形態について説明する。図1(a)は、本発明に係る排気ガス浄化触媒1の酸化雰囲気での状態を示す説明図である。図1(b)は、本発明に係る排気ガス浄化触媒11の還元雰囲気での状態を示す説明図である。図2(a)は、排気ガス浄化触媒21の酸化雰囲気での状態を示す説明図である。図2(b)は、排気ガス浄化触媒31の還元雰囲気での状態を示す説明図である。図2(c)は、本発明に係る排気ガス浄化触媒41の還元雰囲気での状態を示す説明図である。
【0014】
図1(a)に示すように、本実施の形態に係る排気ガス浄化触媒1は、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Rh(ロジウム)の群から選ばれる少なくとも一種以上の貴金属2と、Al(アルミニウム)、Ce(セリウム)、La(ランタン)、Zr(ジルコニウム)、Co(コバルト)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Mg(マグネシウム)、Ba(バリウム)、Ti(チタン)の群から選ばれる少なくとも一種以上の金属元素の化合物が、Al(アルミナ)、ZrO(酸化ジルコニウム)、CeO(セリア)の群から選ばれる少なくとも一種以上の酸化物に略均一に分散された複合化合物3a、3bとを含む排気ガス浄化触媒であって、貴金属2の表面積の一部が複合化合物3a、3bによって被覆された状態で、貴金属2が複合化合物3a、3bに担持されていることを特徴とする。図1(a)では、金属元素の化合物が略均一に分散された複合化合物3a上に貴金属2が担持されており、貴金属2の表面積の一部が複合化合物3bによって被覆されている。この排気ガス浄化触媒1では、酸化雰囲気にある場合には貴金属2が複合化合物3a、3b中に固溶する。このため、貴金属2の凝集を抑制できる。
【0015】
貴金属2としてPt、金属元素としてCeO、酸化物としてAlを用いた場合を例にあげる。Ptは酸化雰囲気で凝集し、還元雰囲気では貴金属が担持された場所は変化しないという特性をもつ。このため、貴金属(Pt)2は、図1(a)に示すように、酸化雰囲気ではCeOとAlとの複合化合物(Ce−Al)3a、3b中に固溶する。また、貴金属(Pt)2は、表面積の一部が複合化合物3bによって被覆されているため、複合化合物(Ce−Al)3a、3b中に固溶しやすくなる。ここで、酸化雰囲気から還元雰囲気になると、図1(b)に示すように複合化合物(Ce−Al)13a、13b中に固溶した貴金属(Pt)12の固溶が解除され、複合化合物(Ce−Al)13a、13b表面に貴金属(Pt)12が露出する。上記したように、還元雰囲気下ではPtは凝集しないため、複合化合物(Ce−Al)13a、13b表面に露出した貴金属(Pt)12は凝集しない。このように、貴金属が、酸化雰囲気で金属元素が略均一に分散された酸化物中に固溶することによって、貴金属の分散度低下を抑制し、貴金属の粒子径が小さい状態を維持することができる。このため、少ない貴金属量で耐熱性に優れた排気ガス浄化触媒を得ることが可能となる。
【0016】
なお、貴金属の複合化合物中への固溶速度が遅い場合には、還元雰囲気と酸化雰囲気を繰り返すうちに貴金属が凝集する。これは、酸化雰囲気において貴金属が複合化合物中へ固溶する速度が、還元雰囲気で固溶が解除された貴金属が酸化雰囲気下で凝集する速度よりも遅い場合に起きる現象である。この場合、図2(a)に示すように、複合化合物23b上に担持された貴金属22が、矢印x、yの方向に移動し、図2(b)に示すように凝集した貴金属が粗大粒32を形成する。この場合には、複合化合物と貴金属の接触の低下や反応ガスとの接触確率の低下が起きる場合があるため、触媒性能が低下する。このように、貴金属の複合化合物中への固溶速度が遅い場合には、還元雰囲気で固溶が解除された貴金属が酸化雰囲気で複合化合物中へ固溶する以前に凝集する。
【0017】
そこで、図2(c)に示す排気ガス浄化触媒41のように、貴金属42の一部を上記金属元素の化合物が略均一に分散された複合化合物43a、43bで被覆する。このため、貴金属42の凝集を防ぐことができ、酸化、還元両雰囲気で凝集しにくい排気ガス浄化触媒41が得られる。
【0018】
貴金属として使用されるPt、Pd、Rhは、それぞれ酸化雰囲気又は還元雰囲気における挙動が異なっている。Ptは、前述したように酸化雰囲気では凝集し、還元雰囲気では変化はない。Pdは、酸化雰囲気では変化がなく、還元雰囲気では凝集する。Rhは、酸化雰囲気では変化がなく、還元雰囲気では凝集する。そこで、Ptを使用する場合には、酸化雰囲気でPtが固溶する金属元素と組み合わせ、その金属元素を含む化合物によって貴金属を被覆する。Pd、Rhの場合には、基本的に還元雰囲気で固溶し、かつ固溶することによって触媒性能が維持される元素との組み合わせがよい。たとえば、Rhに対してAlを使用することが好ましい。中でも、貴金属元素Pt、Pd、Rhそれぞれにおいて好適な組み合わせは、Ptに対してCeOを用い、さらに酸化物としてAlを用いる場合、すなわち、Pt/CeO/Alの組み合わせであり、Rhの場合にはRh/Al/ZrO、Pdの場合にはPd/Al/Alの組み合わせである。また、酸化物に分散させる元素の化合物として、例えば、Ce−Zr−Oxのように組み合わせる場合には、貴金属の固溶速度が増すため、さらに凝集を抑制することができる。なお、例えば図1(a)において、貴金属2を担持する複合化合物3aと、貴金属2を被覆する複合化合物3bは物性が同じ化合物であっても良く、異なる物性を有する化合物であっても良い。
【0019】
本実施の形態に係る排気ガス浄化触媒では、貴金属は、貴金属の表面積の10〜80[%]の範囲で上記複合化合物によって被覆されていることが好ましい。通常、触媒として有効に機能するのは触媒表面に存在する貴金属である。このため、貴金属が被覆される割合が高い、すなわち被覆率が高い場合には貴金属が安定化し、貴金属の凝集抑制能が高いが、貴金属が充分に反応物質と接触することができないため充分な触媒活性を得ることができない。これに対し、貴金属の被覆率が低い場合には、触媒の初期活性は高いものの、担体表面に担持された貴金属が加熱により凝集するため耐久性に乏しい。このため、凝集抑制能と触媒性能のバランスを考慮すると、貴金属は、その表面積の10〜80[%]の範囲で被覆されていることが好ましい。被覆率がこの範囲にある場合には、貴金属の凝集が抑制される。
【0020】
ここで被覆率の計算方法について説明する。 被覆率は、(100−露出率)[%]として求められる。露出率は、以下に示すように、後述するCO(一酸化炭素)吸着により算出した貴金属外表面積(PMSA)と、TEM(透過型電子顕微鏡)観察結果により得られた粒子径から理論的に算出した粒子表面積(TSA)の比から算出したものであり、排気ガス浄化触媒に存在する貴金属のうち、複合化合物表面に露出した貴金属の割合をいう。TEMで観察される粒子は、複合化合物表面に露出していない貴金属も観察することが可能である。このため、仮に貴金属が全て複合化合物表面に露出している場合には、TSAに対し化学量論的に吸着したガス吸着量が得られ、TSAとPMSAが同じ値になる。しかしながら、貴金属が複合化合物表面上で被覆された状態で担持されている場合には、貴金属粒子径より求まる貴金属表面積に対し化学量論的に吸着したガス吸着量が得られない。そこで、TEMによって観察した貴金属粒子径と、実際に試料に吸着したガス吸着量より、複合化合物表面に露出している貴金属表面積の割合を算出し、露出率とする。
【0021】
PMSAは以下に示す式より算出したものである。
【数1】

【0022】
TSAは次に示すように算出したものである。TEMで観察した貴金属粒子の平均粒子径を[D]とする。[D]1個を構成する貴金属の原子数を[A]とすると、調製時に仕込んだ貴金属原子数[N]より、触媒に含まれる[D]の個数(n)が算出できる。
【数2】

【数3】

【数4】

【0023】
得られたPMSAとTSAの比から露出率を計算する。
【0024】
露出率(%)=(PMSA)/(TSA)×100
そして、100から露出率(%)を引いたものが被覆率(%)である。
【0025】
被覆率(%)=100−露出率
なお、上記算出方法を簡略化すると、以下に示す式が得られる。この式より被覆率が得られる。
【数5】

【0026】
また、排気ガス浄化触媒において、金属元素の化合物の粒子径は、10[nm]以下であることが好ましい。排気ガス浄化触媒を製造する上で、上記酸化物に略均一に分散された金属元素の化合物上で貴金属を選択的に析出させる。この場合、酸化物中の金属元素の化合物の粒子径が大きいと、その上に析出する貴金属の粒子径も大きくなる。このため、酸化物に略均一に分散された金属元素の化合物の粒子径は10[nm]以下であることが好ましく、金属元素の化合物の粒子径は10[nm]以下である場合にはその上に析出する貴金属の粒子径を10[nm]以下にすることが可能となる。
【0027】
さらに、排気ガス浄化触媒を、空気中、900[℃]で3[時間]焼成した後の貴金属の粒子径が10[nm]以下であることが好ましい。空気中、900[℃]で3[時間]焼成した、つまり熱耐久をかけた後の貴金属の粒子径が10[nm]より大きい場合には、触媒性能が低下するためである。なお、貴金属の粒子径が5[nm]以下である場合には、触媒性能が向上する。
【0028】
また、貴金属はPtであり、金属元素はCeであり、酸化物はAlであることがより好ましい。この場合には、CeはAlと反応して複合化合物としてCe−Alを形成しやすい。そして、Ce−Al表面にPtが定着すると、Ce−Alはアルミナと比較して耐熱性が高く結晶構造が安定であるため、Ptの凝集を防ぐことができる。
【0029】
さらに、X線回折分析によるCe(200)面ピーク積分強度/Ce(111)面ピーク積分強度が0.6より大きいことが好ましい。この範囲にある場合には、Ceがアルミナに略均一に分散している状態である。
【0030】
また、貴金属がPt、金属元素がCe、酸化物がAlである場合において、排気ガス浄化触媒を、空気中、400[度]で1[時間]焼成した後のエネルギー分散型X線分析(EDX)により得られるPtのスペクトル積分強度(IA)と、Ceのスペクトル積分強度(IB)との比(IA/IB)が0.005以上であることが好ましい。この場合には、複合化合物(Ce−Al)上に選択的に担持されているPt量が多い。
【0031】
この排気ガス浄化触媒において、CeがAlに均一に分散した複合化合物(Ce−Al)に担持されているPtの担持濃度が、複合化合物に対して1.0[wt%]以下であることが好ましい。この場合には、Ptと他のPtとの間の粒子間距離を確保できるため、Ptの凝集を防ぐことができる。なお、Ptの担持濃度が高くなると、複合化合物に固溶できずに複合化合物表面に存在するPtが凝集する。また、Ptの担持濃度が0.01[wt%]以下の場合には、排気ガス浄化触媒をハニカム担体等に塗布して自動車排気ガスの浄化に用いる場合に、ハニカム担体に大量に排気ガス浄化触媒を塗る必要があるため、実用性に乏しい。
【0032】
このように、本発明の実施の形態に係る排気ガス浄化触媒では、Pt、Pd、Rhの群から選ばれる少なくとも一種以上の貴金属と、Al、Ce、La、Zr、Co、Mn、Fe、Mg、Ba、Tiの群から選ばれる少なくとも一種以上の金属元素の化合物が、Al、ZrO、CeOの群から選ばれる少なくとも一種以上の酸化物に略均一に分散された複合化合物とを含む排気ガス浄化触媒であって、貴金属の表面積の一部が、複合化合物によって被覆された状態で、貴金属が複合化合物に担持されていることによって、貴金属の分散度低下を抑制して貴金属の粒子径が小さい状態を維持することができ、少ない貴金属量で耐熱性に優れた排気ガス浄化触媒を得ることが可能となる。
【0033】
(排気ガス浄化触媒の製造方法)
次に、本発明に係る排気ガス浄化触媒の製造方法の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る排気ガス浄化触媒の製造方法では、金属元素が酸化物に均一に分散された触媒担体に貴金属塩を投入し、この貴金属を還元剤で還元析出させる工程と、析出した貴金属を金属元素の塩及び酸化物の塩で同時に被覆する工程と、貴金属を被覆した状態で焼成する工程と、を含むことを特徴とする。この排気ガス浄化触媒の製造方法では、アルカリ性の貴金属塩をCeO等の化合物表面に選択吸着担持する。この場合には、貴金属が酸化雰囲気で金属元素が酸化物に均一に分散された触媒担体に固溶するため凝集しない。
【0034】
ここで、一例として、貴金属はPt、金属元素はCe、酸化物はAlである、Pt/Ce/Al系について説明する。X線回折分析によるCe(200)面ピーク積分強度/Ce(111)面ピーク積分強度が0.6より大きいCe−Al上に、アルカリ性の貴金属塩であるジニトロジアミン白金塩と還元剤であるNaBHによって、Ce上にPtを選択的に析出させる。そして、析出した貴金属を硝酸Alと酢酸Ceによって被覆し、乾燥する。このような工程により、均一にCeが分散したAl上のPtをCe、Alを含む複合化合物が被覆する形になる。すなわち、Ptと、Ceの化合物がAlに略均一に分散された複合化合物とを含む排気ガス浄化触媒であって、Ptの表面積の一部が複合化合物によって被覆されている状態となる。
【0035】
このように、本実施の形態に係る排気ガス触媒の製造方法によれば、金属元素が均一に分散された酸化物上に、この金属元素を含む酸化物で被覆した状態で貴金属を担持させることが可能となるため、貴金属の分散度低下を抑制して貴金属の粒子径が小さい状態を維持することができ、少ない貴金属量で耐熱性に優れた排気ガス浄化触媒を得ることが可能となる。
【0036】
なお、排気ガス浄化触媒を製造するにあたり、貴金属を還元剤で還元析出させる工程、析出した貴金属を金属元素の塩及び酸化物の塩で同時に被覆する工程及び貴金属を被覆した状態で焼成する工程を、どのような調整方法に組み入れて行っても良い。調整方法としては、例えば、包接法、逆ミセル法、含浸法などがあげられる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例1〜19、比較例1〜比較例3により本発明に係る排気ガス浄化触媒をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。これらの実施例は、本発明に係る排気ガス浄化触媒の有効性を調べたものであり、異なる材料にて調整した排気ガス浄化触媒の例を示したものである。
【0038】
<試料の調製>
(実施例1)Pt0.3%/CeO20%−Al粉末調整
まず、水に分散させたアルミナに、アルミナに対しCeOとして20[重量%]となるように酢酸Ceを投入した。そして、2[時間]攪拌し、一昼夜120[℃]で乾燥させ、その後、空気中で600[℃]で2[時間]焼成した。攪拌後の試料を水に分散させ、その中にテトラアンミンPt水酸塩を投入した。その後、2[時間]攪拌し、一昼夜120[℃]で乾燥させ、その後、空気中400[℃]で1[時間]焼成した。焼成で得られた試料を水に分散させ、その中に酢酸Ceと硝酸Alを投入した。その後、2[時間]攪拌した後、一昼夜120[℃]で乾燥させ、その後空気中400[℃]で1[時間]焼成し目的の試料を得た。
【0039】
(実施例2)Pt0.3%/CeO20%−Alの製造
実施例2では、アルミナとしてCe−Alを使用した。まず、X線回折分析によるCe(200)面ピーク積分強度/Ce(111)面ピーク積分強度が0.6より大きいCeO20[%]−Alを水中に分散させた。この分散液に、テトラアンミンPt水酸塩を投入した。これを2[時間]攪拌し、一昼夜120[℃]で乾燥させ、その後空気中400[℃]で1[時間]焼成した。得られた試料を水に分散させ、その中に酢酸Ceと硝酸Alを投入した。その後、2[時間]攪拌し、一昼夜120[℃]で乾燥させ、その後空気中400[℃]で1[時間]焼成し目的の試料を得た。
【0040】
(実施例3)Pt0.3%/CeO20%−Alの製造
実施例3では、アルミナとしてCe−Alを使用した。まず、X線回折分析によるCe(200)面ピーク積分強度/Ce(111)面ピーク積分強度が0.6より大きいCeO20[%]−Alを水中に分散させた。この分散液にジニトロジアミンPt塩を投入し、さらにPtを還元するためのNaBHを投入して2[時間]攪拌し、一昼夜120[℃]で乾燥させ、その後空気中400[℃]で1[時間]焼成した。得られた試料を水に分散させ、その中に酢酸Ceと硝酸Alを投入し、さらにアンモニア水を投入した。その後、2[時間]攪拌し、一昼夜120[℃]で乾燥させ、その後空気中400[℃]で1[時間]焼成し目的の試料を得た。
【0041】
(実施例4)Pt0.3%/CeO20%−Alの製造
実施例4では、実施例1の酢酸Ceを硝酸CeテトラアンミンPt水酸塩をジニトロジアミンPt塩に代えた以外は同様に調整した。
【0042】
(実施例5)Pt0.3%/CeO20%−Alの製造
実施例5では、実施例1の酢酸Ceと硝酸Alの量を増やした以外は同様に調整した。
【0043】
(実施例6)Pt0.3%/CeO20%−Alの製造
実施例6では、実施例1の酢酸Ceと硝酸Alの量を減らした以外は同様に調整した。
【0044】
(実施例7)Pt0.3%/CeO20%−Alの製造
実施例7では、実施例1の酢酸Ceと硝酸Alの量を増やした以外は同様に調整した。
【0045】
(実施例8)Pt0.3%/CeO20%−ZrO−Al−の製造
実施例8では、まず、水に分散させたアルミナに、アルミナに対しCeOとして20[重量%]、ZrOとして7[重量%]となるように酢酸Ceと酢酸Zrを投入した。そして、2[時間]攪拌し、一昼夜120[℃]で乾燥させた。その後、空気中600[℃]で2[時間]焼成した。焼成して得られた試料を水に分散させ、その中にテトラアンミンPt水酸塩を投入した。そして2[時間]攪拌して一昼夜120[℃]で乾燥させ、その後空気中400[℃]で1[時間]焼成した。得られた試料を水に分散させ、その中に酢酸Ceと酢酸Zrと硝酸Alを投入して2[時間]攪拌し、一昼夜120[℃]で乾燥させ、その後空気中400[℃]で1[時間]焼成し、目的の試料を得た。
【0046】
(実施例9)Pd0.3%/Al20%−CeOの製造
まず、水に分散させたセリアに硝酸Alを、セリアに対しAlとして20[重量%]となるように投入した。そして2[時間]攪拌し、一昼夜120[℃]で乾燥させ、その後空気中600[℃]で2[時間]焼成した。焼成して得られた試料を水に分散させ、その中に硝酸Pd投入した。そして、2[時間]攪拌し、一昼夜120[℃]で乾燥させ、その後空気中400[℃]で1[時間]焼成した。焼成して得られた試料を水に分散させ、その中に酢酸Ceと硝酸Alを投入した。そして2[時間]攪拌し、一昼夜120[℃]で乾燥させ、その後空気中400[℃]で1[時間]焼成して目的の試料を得た。
【0047】
(実施例10)Rh0.3%/Al20%−ZrOの製造
水に分散させたジルコニアに硝酸Alを、ジルコニアに対しAlとして20[重量%]となるように投入した。その後2[時間]攪拌し、一昼夜120[℃]で乾燥させ、その後、空気中600[℃]で2[時間]焼成した。焼成して得られた試料を水に分散させ、その中に硝酸Rh投入した。そして2[時間]攪拌し、一昼夜120[℃]で乾燥させ、その後、空気中400[℃]で1[時間]焼成した。焼成して得られた試料を水に分散させ、その中に酢酸Zrと硝酸Alを投入して2[時間]攪拌し、一昼夜120[℃]で乾燥させ、その後空気中400[℃]で1[時間]焼成して目的の試料を得た。
【0048】
(実施例11)Pt0.3%/CeO20%−La3%−Alの製造
実施例11では、実施例8の酢酸Zrを酢酸Laに変えた以外は同様に調整した。
【0049】
(実施例12)Pt0.3%/CeO20%−Co5%−Alの製造
実施例12では、実施例8の酢酸Zrを硝酸Coに変えた以外は同様に調整した。
【0050】
(実施例13)Pt0.3%/CeO20%−MnO5%−Alの製造
実施例13では、実施例8の酢酸Zrを硝酸Mnに変えた以外は同様に調整した。
【0051】
(実施例14)Pt0.3%/CeO20%−Fe5%−Alの製造
実施例14は、実施例8の酢酸Zrを硝酸Feに変えた以外は同様に調整した。
【0052】
(実施例15)Pt0.3%/CeO20%−MgO2%−Alの製造
実施例15では、実施例8の酢酸Zrを酢酸Mgに変えた以外は同様に調整した。
【0053】
(実施例16)Pt0.3%/CeO20%−BaO5%−Alの製造
実施例16では、実施例8の酢酸Zrを酢酸Baに変えた以外は同様に調整した。
【0054】
(実施例17)Pt0.3%/CeO20%−TiO5%−Alの製造
実施例17では、実施例8の酢酸Zrをシュウ酸チタニルアンモニウムに変えた以外は同様に調整した。
【0055】
(実施例18)Pt0.5%/CeO20%−Alの製造
実施例18では、実施例2のPt担持濃度を0.5[%]と変えた以外は同様に調整した。
【0056】
(実施例19)Pt1.0%/CeO20%−Alの製造
実施例19では、実施例2のPt担持濃度を1.0[%]と変えた以外は同様に調整した。
【0057】
(比較例1)Pt0.3%/CeO20%−Alの製造
比較例1では、Ptはセリアを含むアルミナに被覆されていない。まず、水に分散させたアルミナに酢酸Ceを、アルミナに対しCeOとして20[重量%]となるように投入し、2[時間]攪拌した。そして、一昼夜120[℃]で乾燥させ、その後空気中600[℃]で2[時間]焼成した。焼成により得られた試料を水に分散させ、その中にテトラアンミンPt水酸塩を投入した。次に、2[時間]攪拌して目的の試料を得た。
【0058】
(比較例2)Pt0.3%/Alの製造
比較例2では、Ceを含まないアルミナによりPtの被覆を行った。まず、水に分散させたアルミナにテトラアンミンPt水酸塩を投入して2[時間]攪拌し、一昼夜120[℃]で乾燥させ、その後空気中400[℃]で1[時間]焼成した。焼成により得られた試料を水に分散させ、その中に硝酸Alを投入して2[時間]攪拌し、一昼夜120[℃]で乾燥させた。その後、空気中400[℃]で1[時間]焼成して目的の試料を得た。
【0059】
(比較例3)Pt3.0%/CeO20%−Alの製造
比較例3では、実施例2のPt担持濃度を3.0[%]と変えた以外は同様に調整した。
【0060】
ここで、上記試料調製によって得られた試料は、各々H2[%]/Heバランスと、O5[%]/Heバランスを10[秒]ずつ切り替えたガス雰囲気中900[℃]で3[時間]焼成による触媒耐久試験を行った。そして、耐久試験前後においてTEM(透過型電子顕微鏡)による粒子径を測定した。また、Ptの被覆率については上述した式によって計算した。実施例1、実施例5〜実施例7及び比較例1については、50%転化率を求めた。
【0061】
<Pt及びCeの粒子径の測定>
上記試料調製によって得られた触媒及び焼成後の触媒を、TEM−EDX測定を実施した。TEMは、日立製作所製 HF−2000を用い、加速電圧を200[kV]、切削条件は常温にて行った。EDXは、Kevex製 SIGMAを用いた。測定方法は、触媒粉末をエポキシ樹脂にて包理処理し、エポキシ樹脂が硬化した後、ウルトラミクロトームにより超薄切片を作成した。その切片を用いて、透過型電子顕微鏡(TEM)により各種結晶粒の分散状態を調べた。得られた映像の中で、コントラスト(影)の部分に焦点を充て、金属種を限定し、その金属の粒子径を測定した。また、実施例2及び比較例1で得られた試料については高角環状暗視野像(HAADF−STEM)による観察を行った。
【0062】
<50%転化率温度の測定>
表1に示すモデルガスにより、室温から400[℃]まで10[℃/分]で昇温したときの50[%]転化率温度(T50)を求めた。
【表1】

【0063】
<単位CO吸着量の測定>
被覆率を求めるため、単位CO吸着量を測定した。単位CO吸着量の測定には、日本ベル株式会社製 金属分散度測定装置BEL−METAL−3を用い、以下の手順に従った測定した。試料は、He100[%]ガス気流中にて、10[℃/min]で400[℃]まで昇温し、次に、400[℃]、O100[%]ガス気流中にて、15分間酸化処理を行った。そして、He100[%]ガスにて5[分間]パージし、400[℃]、H40[%]/Heバランスガス気流中にて15[分間]還元処理を行った。次に、He100[%]ガス気流中にて50[℃]まで降温した。そして、CO10[%]/Heバランスガスをパルス的に流入させて求めた。
【0064】
上記した実施例1〜7、比較例1及び比較例2について、触媒作製時のPt粒子径及びCe粒子径と、耐久後におけるのPt粒子径とCe粒子径を求めた。下表2に各粒子径とPt被覆率を示す。また、図3(a)に実施例2で得られた排気ガス浄化触媒の酸化雰囲気でのHAADF−STEM像を、図3(b)に比較例1で得られた排気ガス浄化触媒の耐久後の状態を示すHAADF−STEM像を示す。
【表2】

【0065】
実施例1と比較例1とを比較すると、Ptの被覆率が2[%]である比較例1では、還元雰囲気でCe−Alへの固溶が解除されたPtの再固溶速度がPtの凝集速度よりも遅いため、酸化雰囲気になった時にPtの凝集が起こる。このため、実施例1と比較例1とでは耐久後におけるPt粒子径に大きな差が生じた。実施例1と比較例2とを比較すると、比較例2ではPtのアルミナよる被覆率は54[%]であるものの、このPtを被覆しているアルミナにはCeOが含まれていないため、酸化雰囲気においてPtがアルミナに固溶せずに凝集が進行する。このため、比較例2では耐久後の粒子径が大きくなった。実施例1〜実施例4で得られた結果をみると、アルミナ中に分散されているCeOの粒子径が大きいと、その上に存在するPt量が増え、固溶よりも凝集の方が先に進行するため、Pt粒子径の大きさに差が生じたものと考えられる。また、図3(a)に示すように、実施例2で得られた試料では、図中白く見える箇所は全てCeの化合物であり、Ptの粒子は確認できなかった。装置の分解能が3[nm]であるため、Ptの粒子径は3[nm]以下であることが考えられた。これに対し、図3(b)でPt51が明確に観測された。その他の白い箇所は、Ceの化合物であると考えられた。図3(a)、(b)からもわかるように、実施例2で得られた試料は、酸化雰囲気下ではCe−Alに固溶していると考えられた。
【0066】
次に、上記した実施例1、実施例5〜7及び比較例1について、触媒作製時のPt粒子径、耐久後におけるのPt粒子径、Ptの被覆率及び耐久後の50%転化率温度を下表3に示す。
【表3】

【0067】
表3に記した結果より、被覆率が10〜80[%]の範囲を外れる実施例7及び比較例1では、50%転化率温度が高く、触媒性能は低下することが確認できた。実施例7では、被覆率が87[%]と高いため、Ptの凝集は抑制されているものの、反応ガスとの接触が低いため50%転化率温度が高いと考えられる。また、比較例1では、被覆率が2[%]と低いためPtの凝集を抑えることができず、耐久後のPtの粒子径が大きくなり、さらには50%転化率温度も高くなったと考えられる。
【0068】
次に、実施例1、実施例8〜17について、各構成元素と、触媒作製時の貴金属粒子径、耐久後の貴金属粒子径及び貴金属被覆率を下表4に示す。
【表4】

【0069】
表4に記した結果より、実施例1と、実施例8、実施例11〜実施例17との値を比較すると、アルミナにCe以外の他の元素を含有させた場合には、Ceだけ含有されている場合と比較して耐久後のPtの粒子径を耐久前の粒子径の3〜4倍程度に抑えることができ、他の金属元素を加えたことによる効果が見られた。また、貴金属としてPdやRhを使用した場合にもPtのときと同様に、耐久後の粒子径を低く抑えることができた。また、実施例8及び実施例11〜実施例17に示すように、Ce以外に含有させる他の金属元素として、Zr、La、Co、Mn、Fe、Mg、Ba、Tiのどの元素を用いても同程度の効果が得られることがわかった。
【0070】
次に、上記した実施例2〜実施例4について、400[度]で1[時間]焼成した後のEDXにより得られるPtのスペクトル積分強度(IA)、Ceのスペクトル積分強度(IB)、IA/IB、及び耐久後におけるのPt粒子径を下表5に示す。また、図4に、実施例2〜実施例4で得られた試料の焼成後のCeカウント数(cps)とPtカウント数(cps)との関係を示す。
【表5】

【0071】
実施例2及び実施例3では、Ceカウント数とPtカウント数とは良好な相関関係がみられた。実施例及び実施例3では、表2に示すように、CeOの粒子径の小さく、CeO粒子一つ当たりに存在するPt量が少ない。このためPtの凝集抑制効果が発揮できるようになる。凝集抑制効果は、耐久後のPtの粒子径が小さいことからも明らかである。また、実施例2と実施例3を比較すると、実施例3と比較して実施例2の方がIA/IB値が高い。この場合には、Ce−Al上に選択的に担持されているPt量が多く、Ptの凝集抑制効果が発揮できるようになる。これらの結果と比較し、実施例4ではCeカウント数とPtカウント数との間に相関関係がみられなかった。実施例4は、表2に示したように、アルミナ中に分散されているCeOの粒子径が大きく、その上に存在するPt量が増えるため、PtのCe−Alへの固溶よりもPt凝集の方が先に進行し、この結果としてPtの凝集抑制効果が発揮されず、耐久後のPtの粒子径が大きくなったと考えられる。
【0072】
次に、上記した実施例2、実施例18、実施例19及び比較例4について、Ptの担持濃度と耐久後のPt粒子径を下表6に示す。また、図5に、Ptの担持濃度と耐久後のPt粒子径との関係を示す。
【表6】

【0073】
図5のAはPt担持濃度が0.3[%]である実施例2のときのPt粒子径を、図5のBはPt担持濃度が0.5[%]である実施例18のときのPt粒子径を、図5のCはPt担持濃度が1.0[%]である実施例19のときのPt粒子径を、図5のDはPt担持濃度が3.0[%]である比較例3のときのPt粒子径を示す。これらの結果より、Ptの担持濃度が低いほど耐久後のPt粒子径が小さいことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】(a)本発明に係る排気ガス浄化触媒の酸化雰囲気での状態を示す説明図である。(b)本発明に係る排気ガス浄化触媒の還元雰囲気での状態を示す説明図である。
【図2】(a)排気ガス浄化触媒の酸化雰囲気での状態を示す説明図である。(b)排気ガス浄化触媒の還元雰囲気での状態を示す説明図である。(c)本発明に係る排気ガス浄化触媒の還元雰囲気での状態を示す説明図である。
【図3】(a)実施例2で得られた排気ガス浄化触媒の酸化雰囲気でのHAADF−STEM像である。(b)比較例1で得られた排気ガス浄化触媒の耐久後の状態を示すHAADF−STEM像である。
【図4】実施例2〜実施例4で得られた試料の焼成後のCeカウント数(cps)とPtカウント数(cps)との関係を示す説明図である。
【図5】Ptの担持濃度と耐久後のPt粒子径との関係を示す説明図である。
【図6】貴金属の粒子径と融点との関係を示す図である。
【図7】白金の粒子径と転化率との関係を示す説明図である。
【図8】(a)従来の触媒の作製時の状態を示す説明図である。(b)従来の触媒の耐久後の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0075】
1 排気ガス浄化触媒
2 貴金属
3a、3b 複合化合物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Pt、Pd、Rhの群から選ばれる少なくとも一種以上の貴金属と、
Al、Ce、La、Zr、Co、Mn、Fe、Mg、Ba、Tiの群から選ばれる少なくとも一種以上の金属元素の化合物が、Al、ZrO、CeOの群から選ばれる少なくとも一種以上の酸化物に略均一に分散された複合化合物とを含む排気ガス浄化触媒であって、
前記貴金属の表面積の一部が前記複合化合物によって被覆された状態で、前記貴金属が前記複合化合物に担持されていることを特徴とする排気ガス浄化触媒。
【請求項2】
前記貴金属は、その表面積の10〜80[%]の範囲で前記複合化合物によって被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化触媒。
【請求項3】
前記貴金属の粒子径は、10[nm]以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の排気ガス浄化触媒。
【請求項4】
前記金属元素の化合物の粒子径は、10[nm]以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載された排気ガス浄化触媒。
【請求項5】
空気中、900[度]で3[時間]焼成した後の前記貴金属の粒子径が10[nm]以下であること特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載された排気ガス浄化触媒。
【請求項6】
前記貴金属はPtであり、前記金属元素はCeであり、前記酸化物はAlであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載された排気ガス浄化触媒。
【請求項7】
X線回折分析によるCe(200)面ピーク積分強度/Ce(111)面ピーク積分強度が0.6より大きいことを特徴とする請求項6に記載の排気ガス浄化触媒。
【請求項8】
前記排気ガス浄化触媒を、空気中、400[度]で1[時間]焼成した後のエネルギー分散型X線分析により得られるPtのスペクトル積分強度(IA)と、Ceのスペクトル積分強度(IB)との比(IA/IB)が0.005以上であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の排気ガス浄化触媒。
【請求項9】
CeがAlに均一に分散した複合化合物に担持されているPtの担持濃度が、前記複合化合物に対して1.0[wt%]以下であることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか一項に記載された排気ガス浄化触媒。
【請求項10】
金属元素が酸化物に均一に分散された触媒担体に貴金属塩を投入し、前記貴金属を還元剤で還元析出させる工程と、
析出した貴金属を前記金属元素の塩及び前記酸化物の塩で同時に被覆する工程と、
前記貴金属を被覆した状態で焼成する工程と、を含むことを特徴とする排気ガス浄化触媒の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−198594(P2006−198594A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21427(P2005−21427)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】