説明

排気システム

【課題】燃焼機関、特に自走車のための排気システムに関し、還元剤の結晶化のリククを低減できる排気システムを提供する。
【解決手段】入口領域4および出口領域5を含み、排気ガス流3を導く曲り配管部2と、前記排気ガス流3の中に液体還元剤8を導入するためのインジェクタ7であって、接続導管10を介して配管部2に接続されており、前記還元剤8を、前記入口領域4と前記出口領域5との間に位置する前記配管部2の導入領域13の中で、前記出口領域5の方向に前記排気ガス流3の中に導入することができる、インジェクタ7と、を備える。還流板14は、配管部2の中の導入領域13の上流側に配置される。還流板14の長手方向は、出口領域5への排気ガス流れ方向に対して傾斜して延在しており、前記入口領域4の排気ガス流3と還流板14の横方向に流れる排気ガス流3の循環が生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼機関のための、特に自走車の燃焼機関のための排気システムに関する。本発明はさらに、そのような排気システムのための還流板に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼機関の一酸化窒素の排出を低減するために、燃焼機関の排気システムに、選択触媒還元を行うことができるSCR触媒コンバータを組み込むことが知られている。SCR触媒コンバータの上流に適切な還元剤を割り当てることにより、一酸化窒素を、窒素と二酸化炭素に還元することができる。この場合の適切な還元剤は、尿素水溶液である。熱分解および加水分解を介して、尿素をアンモニアに変化させることができ、SCR触媒コンバータによって一酸化窒素を窒素および二酸化炭素に効果的に転換することができる。
【0003】
尿素水溶液の導入に関する問題点は、高温の排気ガス中では、注入された混合物の水分が、尿素成分よりも急速に蒸発するという事実があるため、濃縮された尿素が、排気システムの比較的低温の壁面上に蓄積し、そこで結晶化してしまう可能性があるということである。結晶化の際に、ビウレットおよびメラミンといった副産物が発生する可能性があり、それらを分解することはもはや容易ではなく、或いはまったく不可能である。そのような残留物は、排気システムの汚染をもたらし、その運転を阻害する可能性がある。さらに、これらの付着物は、排気ガスのクリーニングの効率を低下させる。なぜなら、尿素の一部がアンモニアの生成に利用できないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、冒頭で言及したタイプの排気システムのための改良された実施形態の問題点を解消すべくなされたものであり、特に、尿素の結晶化のリスクを低減することを特徴とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、上述の問題点は、特に独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0006】
本発明は、配管部の中に還流板を配置するという考えに基づいている。還流板は、排気ガス流を導くために機能し、入口領域と出口領域との間に配置された導入領域の上流にあり、また、配管部には、液体還元剤、特に尿素水溶液を導入するインジェクタが設けられている。還流板は、導入領域にて排気ガス流の還流、即ち渦を生成し、これにより、導入された還元剤の液滴が巻き上げられて小さくなり、その結果、それらの相対的な表面積が増大し、還元剤の急速な蒸発が促進される。さらに、もし仮に、導入された還元剤が、好ましくは還流板上に付着したとしても排気ガス流の吸気に直接晒されるようになり、これにより、還流板は、通常、尿素が結晶化するには高すぎる温度となる。尿素の結晶化のリスクは、これにより実質的に低減される。
【0007】
実際には、還流板は配管部の中に配置され、その長手方向が、出口領域の方向で流れ方向に関して傾斜して延在しており、入口領域にて排気ガス流を含んでいる。さらに、還流板は、実質的に、横方向の排気ガス循環流、即ち、長手方向を横切る方向の流れを受けることができるように、配管部の中に位置決めされている。かくして、排気ガス流中に還流を生成するために、還流板は、導入領域の上流で排気ガスが流れることができる配管部の断面を横切り、排気ガス流に対して多かれ少なかれ明らかな傾斜度を持ち、プロセス中に横方向流れ循環を受けることができる。還流板の流入側或いは前側または風上側は、流入する排気ガス流に晒されるが、そこから離れた所に面している流出側或いは戻り側または風下側は導入領域に面している。その結果、還元剤は、流入する排気ガス流によって直接的に衝突されることがない。還流板の周りを横方向に循環する排気ガス流は、むしろ、導入領域内で回転するはっきりした渦円柱を形成し、これにより、注入された還元剤が還流板の方向に導かれる。このようにして、例えば配管部の壁への還元剤の接触を効率的に避けることができる。
【0008】
有利な実施形態によれば、インジェクタは接続導管を介して配管部に接続され、これにより、インジェクタは、接続導管を介して、導入領域の中の排気ガス流の中に、還元剤を出口領域の方向に向けて導入する。
【0009】
有利な実施形態によれば、還流板は、流入表面および流出表面を含み、それらの表面は、接続導管に面するプレート始端、出口領域に面するプレート終端、およびプレート始端からプレート終端まで延在する2つのプレート側縁によって包囲されている。ここで、流入表面は、排気ガス流に晒され、還流板の風上側を形成している。これとは対照的に、流出表面は、導入領域に面しており、還流板の風下側を形成している。還流板周りの横方向循環流は、主に、プレート側縁の領域で発生する。
【0010】
特に、プレート側縁は、ほぼ直線に延ばすことが出来る。そのようにする際は、それらは実質的に互いに平行して延びず、プレート始端からプレート終端まで互いの間隔が増加するように広がり、プレート始端からプレート終端まで拡大する。
【0011】
有利な実施形態によれば、長手方向を横切る方向に、および、排気ガス流の流れ方向を横切る方向に測定した還流板の幅は、出口端部の方向において増大させることが出来る。特に、還流板の長手方向におけるプレート側縁同士の間隙は、プレート始端からプレート終端に向けて増大する。
【0012】
この場合における曲り配管部内での還流板の位置決めは、流入側が配管部の内側円弧部に面し、一方、流出側が配管部の外側円弧部に面するようにして行われる。内側円弧部は、外側円弧部よりも小さな円弧半径を有する。
【0013】
還流板の幾何学的形状により、配管部の流れ抵抗をさほど増大させることなく、効果的な渦形成を実現できる。排気ガス流の主な部分が晒される、外側円弧部に面する開始領域において、還流板は、比較的小さな流れ抵抗のみを形成する。
【0014】
実施形態では、還流板は、長手方向を横切って導入領域に向かって見ると凹状に湾曲しており、または、導入領域から離れる方向に見ると凸状に湾曲している。還流板のそのような形状は、還流板の背面または流出側にて還流渦を形成することを促進する。
【0015】
インジェクタは、還元剤をスプレー方向に拡大する円錘状スプレーの形態で導くように構成されている。
【0016】
好ましい実施形態では、還流板の長手方向は、円錘状スプレーの表面線に対して実質的に平行に延びるように出来る。特に、「実質的」の表現は、±20%の偏差を許容するものである。追加的に、または代替的に、還流板は、その長手方向において、円錘状スプレーの円錐角に実質的に等しい角度で広がるようにすることができる。ここで、また、「実質的」の表現は、特に、±20%の偏差を含むものである。還流板の幾何学的形状および/または構成を円錘状スプレーの幾何学的形状に適合させることによって、比較的小さな流れ抵抗が同時に生成されるだけで、スプレー注入された還元剤の特に効果的な渦形成を実現することができる。
【0017】
さらに好ましい実施形態によれば、還流板を、接続導管に面するプレート始端にて配管部に固定することができる。これにより、還流板の配管部上への位置決め固定が行われる。この場合における還流板は、プレート始端に固定コンソールを備えることが可能であり、これを介して還流板を配管部に固定できる。そのような固定コンソールにより、還流板を配管部に特に容易に固定することができる。例えば、固定コンソールの領域にてスポット溶接を行うことができる。同様に、少なくとも1つの突起を固定コンソール上に形成し、この突起を配管部の壁内に導入された、特にこの壁を貫通できるスロットに係合するようにしても良い。このようにして、配管部への還流板の外側からの固定が簡略化される。
【0018】
更なる実施形態によれば、還流板は、接続導管に面するプレート始端において、配管部に向かって、または配管部の壁上に、間隙を有することができる。これにより、また、還流板は、プレート始端にて排気ガス流によって循環され得るようにできる。そのような間隙は、特に、上述した固定コンソールの領域に設けることができ、そして固定コンソールは、プレート始端と配管部の間の空間を横方向にブリッジする。特に、還流板は、プレート始端に偏った形状を有することができ、この部分は、間隙を介して接続導管に流入する排気ガス流を偏向させる。このようにすることによって、インジェクタ上にまたは接続導管上に、還元剤が付着して結晶化するリスクを特に低減することができる。
【0019】
さらに好ましい実施形態によれば、還流板は、出口領域に面するプレート終端上の出口領域内で自由に立たせることもできるし、配管部に緩やかに接触させることもできる。このようにすることで、還流板は、配管部に対する、熱的に誘導された相対的な運動が可能であり、その結果、機械的ストレスが促進されるのを防止できる。
【0020】
さらに好ましい例として、還流板は、そのプレート終端に、配管部に緩やかに接触する支持構造を含む。この支持構造により、プレート終端の領域での還流板の位置決めが保証される。ここで、実際には、支持構造は、リング形状に、またはリングセグメントの形状に構成され、出口領域にて配管部の周方向に延在することができる。実際、支持構造のリング形状またはリンクセグメント形状の輪郭は、配管部の円筒状出口領域の幾何学的形状に適合しており、その結果、平坦な接触、およびこれによる効果的な支持を実現できる。
【0021】
他の好ましい実施形態によれば、還流板は、還流板を通過する流れを可能とする、少なくとも1つの辺縁クリアランスおよび/または少なくとも1つの開口を含み、これは、貫通流を可能とする。そのようなクリアランスまたは開口により、還流板の導入に伴って生じる、配管部の流れ抵抗の増加を低減することができる。実際的な実施形態によれば、穿孔された還流板、即ち多数の開口を有する還流板を構成することができる。辺縁クリアランスのみが存在する場合は、このクリアランスは、流出側に、即ちプレート終端に配置することができる。
【0022】
さらに好ましくは、還流板は、一つの部品から製造された成形金属シート部品である。
【0023】
特に好ましい実施形態によれば、還流板は、その流入表面および/または流出表面に、機械的および/または化学的影響から還流板を保護するための保護コーティングを有することができる。そのような保護コーティングは、例えば、衝突落下に対する還流板の強度を増大させる。追加的にまたは代替的に、保護コーティングは、例えば、腐食または化学的変化から保護する。
【0024】
既に上で示したように、還流板の配管部への固定は、機械的接続によって実現することができる。例えば、プラグ接続を介して実現でき、これは、溶接接続および/またはクランプ接続と組み合わせることができる。還流板の配管部への固定は、他の如何なる機械的接続またはプラグ接続または溶接接続またはクランプ接続によっても実現できることはあきらかである。
【0025】
本発明は、また、そのような排気システムのための還流板自身に関する。
【0026】
本発明のさらに重要な特徴および利点は、従属請求項、図面、および図面を用いた関連の図面記述から得られる。
【0027】
上述した特徴およびまだ以下で説明すべき特徴は、ここに言及した各組み合わせでのみ使用されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組み合わせまたはそれら自身によって使用され得るものである。
【0028】
本発明の好ましい例示の実施形態を図面に示し、以下の記述においてより詳細に説明する。ここで、同一の参照符号は、同一または同様、或いは機能的に同一の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態であって、還流板の領域を含む排気システムの簡略化した部分横断面図。
【図2】本発明の他の一実施形態であって、還流板の領域を含む排気システムの簡略化した部分横断面図。
【図3】本発明のさらに他の一実施形態であって、還流板の領域を含む排気システムの簡略化した部分横断面図。
【図4】本発明の一実施形態である還流板の斜視図。
【図5】本発明の他の一実施形態である還流板の斜視図。
【図6】本発明のさらに他の一実施形態である還流板の斜視図。
【図7】本発明のさらに他の一実施形態である還流板の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1〜図3を参照し、燃焼機関、好ましくは自走車の排気ガスを排出する際に使用される排気システム1は、矢印で示された排気ガス流3を導く曲り配管部2を含み、この曲り配管部2は、入口領域4および出口領域5を含む。図1〜図3に示した各例において、直線配管部6は、各々、曲り配管部2に対してその出口側で接続されている。
【0031】
排気システム1は、排気ガス流3の中に液体還元剤8を導入するために使用されるインジェクタ7を備えている。液体還元剤8としては、好ましくは尿素水溶液が使用され、矢印の通りインジェクタ7に供給される。インジェクタ7を排気システム1の高温から保護するために、追加的に冷却材9を矢印の通りインジェクタ7に供給することができる。
【0032】
インジェクタ7は、接続導管10を介して曲り配管部2に接続されており、即ち、曲り配管部の内側円弧部12の反対側に位置する外側円弧部11に接続されている。配管部2上での接続導管の位置決めは、実際には以下のように実施される。即ち、インジェクタ7が、接続導管10を介して、導入領域13の中の排気ガス流3の中に還元剤8を導入することができるように位置決めされ、この導入領域13は、排気ガス流3の流れ方向において入口領域4と出口領域5との間に位置している。ここで、還元剤8は、出口領域5の方向に向けて導入領域13内に導入され、特に噴射または噴霧という方法で導入される。
【0033】
排気システム1は、さらに、配管部2の中の導入領域13の上流側に、還流板14を備えている。この場合、還流板14は、その長手方向が出口領域5の方向に延在するように配置されており、この長手方向は、排気ガス流が曲り配管部2を介して流れることができるように、曲り配管部2の断面を横切る。還流板14は、さらに、流れ方向に向かって傾斜して延在しており、入口領域4において、排気ガス流3を含んでいる。このように、還流板14は、流入する排気ガス流3に対して角度をなしている。加えて、還流板14は、その長手方向を横切る方向に排気ガス流3の循環が生じるような形状にされており、同長手方向は図1〜図3において左から右への方向である。図1〜図3の紙面上で還流板14を横切る方向において、還流板14の長手方向の両端間は、曲り配管部2の全体にわたっては延びてはいないが、排気ガス流3を介して還流板14の所望の横方向流れ循環が可能となるような距離が設定されている。
【0034】
還流板14の横方向流れ循環は、還流または渦形成を生じさせる。これは図1〜図3において回転矢印で示されている。
【0035】
還流板14は、流入する排気ガス流3に面する流入表面16と、流入する排気ガス流3と反対の方向に面する流出表面17を有している。図4〜図7では、観察者側にある流出表面17および観察者と反対側にある流入表面16は、プレート14の長手方向の両端、即ちプレート始端18およびプレート終端19、ならびに、プレート始端18からプレート終端19まで延びる2つの側縁20によって包囲されている。プレート始端18は、組み立てられた状態において、接続導管10に面している。プレート終端19は、組み立てられた状態において、出口領域5に面している。図4〜図7において、還流板14の長手方向は、両方向矢印および符号21で示されている。
【0036】
ここに示した実施形態の還流板14において、還流板14の長手方向21を横切る方向に、かつ厚さ方向を横切る方向に測定した還流板14の幅は、プレート始端18からプレート終端19に向かって増大している。本例においては、プレート側縁20が直線設計であり、還流板14の幅が、プレート側縁20同士の距離に実質的に対応している。プレート側縁20同士が、プレート始端18から始まって長手方向21において離れて行くので、前記距離、即ち還流板14の幅は、それにつれて増大している。
【0037】
還流板14は、導入領域13に向かって、長手方向21を横切る方向に凹状に湾曲している。換言すれば、流出表面17は、長手方向21を横切る方向の断面において凹形状を有している。還流板14は、実際には金属シート体として形成されるので、導入領域13から離れるように凸状に湾曲される。換言すれば、流入表面16には、長手方向21を横切る方向に凸状の形状が付与されている。
【0038】
図1〜図3から明らかなように、インジェクタ7は、円錘状スプレー22の形態で還元剤8を導入できるように構成されている。この円錘状スプレー22は、還流板14に面する表面線23および円錐角24を有している。ここで還流板14は、その長手方向21が、還流板14に面する表面線23とほぼ平行となるように、曲り配管部2の中に配置されている。 変形として、還流板14は、円錐角24とほぼ等しい角度で広がるようにしても良い。換言すれば、直線状のプレート側縁20が、円錘状スプレー22の円錐角24とほぼ対応する角度にて互いに交差する。
【0039】
還流板14は、プレート始端18の領域において、配管部2に固定されており、具体的には配管部10の近くで固定されている。適切な固定方法は、例えば、溶接接続またははんだ付接続である。
【0040】
図6によれば、長手方向21に突出するリブ25をプレート始端18に形成することができ、図2に示した実施形態のように、ここでは明示されていないが曲り配管部2の壁26に形成されたスリットの中に挿入される。スリットは、また、壁26を貫通することができ、これにより、配管部2上への還流板14を外側から固定することができる。
【0041】
図1、図3〜図5、および図7の実施形態によれば、還流板14は、プレート始端18の領域に固定コンソール27を含み、この固定コンソール27を介して還流板14が配管部2に固定される。
【0042】
図1および図4に示した実施形態では、コンソール27は、支持表面28を含み、この支持表面28は、曲り配管部2の壁26の内側で担持され、そして特に、この支持表面28は、壁26を介して、配管部2に溶接することが可能である。
【0043】
図3、図5および図7の実施形態では、リブまたは突起29は、コンソール27上に形成されており、スリットの中に挿入可能である。リブまたは突起29は、壁26の中で作用し、特に壁26を貫通することができる。したがって、この実施形態においても、還流板14の固定は外側から可能である。
【0044】
特に、図3、図5および図7の実施形態では、還流板14は、曲り配管部2とプレート始端18との間に間隙30が形成されるように構成することができ、排気システム1の運転中に、間隙30を介して排気ガス流3の一部が流れ、それによりプレート始端18の位置において排気ガス流を循環させる。図3、図5および図7の実施形態によれば、プレート始端18に偏向板31が形成され、この偏向板31は、間隙30を介して接続導管10の中に流れようとする排気ガス流を偏向させるように構成される。
【0045】
図1〜図3によれば、還流板14は、実質的に、出口領域5に面するプレート終端19にて配管部と緩く接触するように構成されている。変形例として、プレート終端19を持つ還流板14を、自立状態にて出口領域5に配置することもできる。しかしながら、還流板14はそのプレート終端19の領域で配管部2に緩く接触することが望ましい。そこで、還流板14は、そのプレート終端19に支持構造32を有していて、それが配管部2に緩く接触するようにしている。ここに示した実施形態では、支持構造32は、リング形状であり、出口領域5の配管部2の周方向にリング状に延びている。この場合における支持構造32は、出口領域5の断面に相補的に形成される。
【0046】
還流板14を配管部2に固定するための各種の例について上述した。主として機械的な接続、特に、溶接接続および/またはクランプ接続と組み合わせることができるプラグ接続についてここで紹介した。還流板14の配管部2への固定は、また、他の如何なる機械接続、プラグ接続、溶接接続またはクランプ接続によっても達成できることは明らかである。
【0047】
図7に示した実施形態は、図5に示した実施形態とは辺縁クリアランス33の点で相違し、この例ではプレート終端19から辺縁クリアランス33が形成されている。このクリアランス32は、還流板14を介する流れを可能とする。変形例として、還流板14に少なくとも1つの開口34を設けることが可能であり、この開口34を介して還流板14を通る流れが可能となる。そのような開口34の一例を図7に示す。開口34は、例えば、還流板14を穿孔処理することで得られる。図7に示した実施形態では、支持構造32は、リング形状で構成されているが、閉じたリング形状ではない。クリアランス33の領域において、支持構造32が途切れている。
【0048】
還流板14は、好ましくは、一つの部品から製造された成形金属シート部品であり、これは還流板14の製造を容易にする。
【0049】
還流板14は、その流入表面16上に、および/または流出表面17上に、還流板14を機械的および/または化学的影響から保護するための保護コーティング35を有することができる。そのような保護コーティング35は、例えば、衝突落下に対する還流板14の強度を増加させる。追加的にまたは代替的に、保護コーティング35は、例えば、腐食または他の化学的変化からの保護を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼機関、特に自走車のための排気システムにおいて、
入口領域(4)および出口領域(5)を含み、排気ガス流(3)を導く曲り配管部(2)と、
前記排気ガス流(3)の中に液体還元剤(8)を導入するためのインジェクタ(7)であって、接続導管(10)を介して配管部(2)に接続されており、これにより、前記接続導管(10)を介して前記還元剤(8)を、前記入口領域(4)と前記出口領域(5)との間に位置する前記配管部(2)の導入領域(13)の中で、前記出口領域(5)の方向に前記排気ガス流(3)の中に導入することができる、インジェクタ(7)と、
前記導入領域(13)の上流側で前記配管部(2)の中に配置される還流板(14)であって、その長手方向(21)が、前記出口領域(5)への排気ガス流れ方向に対して傾斜して延在し、前記入口領域(4)の排気ガス流(3)と還流板(14)の横方向に流れる排気ガス流(3)を受ける、還流板(14)と、
を備えた排気システム。
【請求項2】
前記還流板(14)は、流入表面(16)および流出表面(17)を含み、前記接続導管(10)に面するプレート始端(18)、前記出口領域(5)に面するプレート終端(19)、および前記プレート始端(18)から前記プレート終端(19)まで延在する2つのプレート側縁(20)によって包囲されている、ことを特徴とする請求項1記載の排気システム。
【請求項3】
前記還流板(14)は、その前記長手方向(21)を横切る方向の幅が、前記出口端部(19)の方向において増大していることを特徴とする請求項1または2に記載の排気システム。
【請求項4】
前記還流板(14)は、前記長手方向(21)を横切る方向に前記導入領域(13)に向かって見て凹状に湾曲しており、および/または、前記導入領域(13)から離れる方向に見て凸状に湾曲していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項5】
前記インジェクタ(7)は、前記還元剤(8)を円錘状スプレー(22)の形状で導き、前記還流板(14)は、その長手方向が前記円錘状スプレー(22)の表面線(23)に実質的に平行に延在することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項6】
前記インジェクタ(7)は、円錘状スプレー(22)の形態で前記還元剤(8)を導入し、前記還流板(14)は、その長手方向(21)において、前記円錘状スプレー(22)の円錐角(24)にほぼ等しい角度で広がることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項7】
前記還流板(14)は、前記接続導管(10)に面するプレート始端(18)にて前記配管部(2)に固定されており、還流板(14)は、プレート始端(18)に固定コンソール(27)を含み、この固定コンソール(27)を介して前記還流板(14)が前記配管部(2)に固定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項8】
前記還流板(14)は、前記接続導管(10)に面するプレート始端(18)に配管部(2)に対する間隙(30)を含み、還流板(14)は、前記プレート始端(18)に偏向板(31)を含み、前記偏向板(31)は、前記間隙(30)を介して前記接続導管(10)の中に流れようとする前記排気ガス流を偏向する、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項9】
前記出口領域(5)に面するプレート終端(19)における前記還流板(14)は、自立状態にて、または前記配管部(2)に緩やかに接触して、前記出口領域(5)に配置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項10】
前記プレート終端(19)における前記還流板(14)は、前記配管部(2)に緩やかに接触する支持構造(32)を含み、前記支持構造(32)は、リング形状、または一部リング形状に形成され、前記出口領域(5)にて前記配管部(2)の周方向に延在することを特徴とする請求項9に記載の排気システム。
【請求項11】
前記還流板(14)は、前記還流板(14)を通過する流れを可能とする、少なくとも1つの辺縁クリアランス(33)および/または少なくとも1つの開口(34)を含み、前記開口(34)は前記還流板(14)を穿孔することにより形成できることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項12】
前記還流板(14)は、その流入表面(16)および/またはその流出表面(17)に、機械的および/または化学的影響から前記還流板(14)を保護するための保護コーティング(35)が形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項13】
前記還流板(14)は、機械的接続、プラグ接続、溶接接続またはクランプ接続を介して前記配管部(2)に固定されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の排気システム(1)のための還流板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−7379(P2013−7379A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−128862(P2012−128862)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【出願人】(512148698)ボッシュ エミッション システムズ ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー (2)
【氏名又は名称原語表記】Bosch Emission Systems GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Postfach 30 02 20 70442 Stuttgart Germany
【Fターム(参考)】