説明

排気センサー

【課題】排気センサーの取り付けによるエンジンの背圧の上昇を抑制することにより、エンジンの燃費悪化を防止する。
【解決手段】排気ガス成分の測定を行う排気センサー10において、エンジン1の排気管5外部に配置される筒状のセンサー本体11と、センサー本体11の一端部に形成されたガス入口12と、センサー本体11の他端部に形成されたガス出口13とを備え、ガス入口12が排気管5と導入管16で連通され、ガス出口13が導入管16の連通部16aよりも排気ガス下流側の排気管5と戻り管17で連通され、導入管16の連通部16aと戻り管17の連通部17aとの圧力差により、排気ガスがガス入口12からセンサー本体11内部に取り込まれた後にガス出口13から排出されるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス成分の測定を行う排気センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
排気センサーは、例えば、エンジンの排気管における排ガス後処理装置の排気ガス下流側に配設され、排気ガス成分の測定を行うものである。排ガス後処理装置としては、例えば、排気ガス中に含まれるPM(粒子状物質)を捕集するDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)があり、排気センサーとしては、例えば、PM(粒子状物質)排出量を検知するPMセンサーがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/109688号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、排気ガスを排気センサー内部(センシング部)に取り込むために、排気センサー(センサー本体)をエンジンの排気管内部に配置することが提案されている。この場合、排気センサー自身が排気管内部において排気ガス流れの抵抗となり、エンジンの背圧の上昇を起こし、エンジンの燃費悪化を招く虞がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、排気センサーの取り付けによるエンジンの背圧の上昇を抑制することにより、エンジンの燃費悪化を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、排気ガス成分の測定を行う排気センサーにおいて、エンジンの排気管外部に配置される筒状のセンサー本体と、該センサー本体の一端部に形成されたガス入口と、前記センサー本体の他端部に形成されたガス出口とを備え、前記ガス入口が前記排気管と導入管で連通され、前記ガス出口が前記導入管の連通部よりも排気ガス下流側の前記排気管と戻り管で連通され、前記導入管の連通部と前記戻り管の連通部との圧力差により、排気ガスが前記ガス入口から前記センサー本体内部に取り込まれた後に前記ガス出口から排出されるように構成したものである。
【0007】
前記導入管と前記戻り管のいずれか一方または双方に開閉バルブを設けても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、排気センサーの取り付けによるエンジンの背圧の上昇を抑制することにより、エンジンの燃費悪化を防止することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る排気センサーが装着されるエンジンの概略図である。
【図2】図2は、他の実施形態に係る排気センサーが装着されるエンジンの概略図である。
【図3】図3は、他の実施形態に係る排気センサーが装着されるエンジンの概略図である。
【図4】図4は、他の実施形態に係る排気センサーが装着されるエンジンの概略図である。
【図5】図5は、他の実施形態に係る排気センサーが装着されるエンジンの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0011】
図1中、1はエンジン(本実施形態では、ディーゼルエンジン)、2はエンジン1の吸気ポート1aに接続された吸気管、3は吸気管2に配設されたエアクリーナー、4はエアクリーナー3よりも吸気下流側の吸気管2に配設されエンジン1に供給する吸気を昇圧するターボコンプレッサー(ターボチャージャーのコンプレッサー)、5はエンジン1の排気ポート1bに接続された排気管(テールパイプ)、6は排気管5に配設されターボコンプレッサー4を駆動するタービン、7はタービン6よりも排気ガス下流側の排気管5に配設された排ガス後処理装置である。排ガス後処理装置7は、例えば、排気ガス中に含まれるPM(粒子状物質)を捕集するDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)を有する。
【0012】
本実施形態の排気センサー10は、OBD(On-board diagnostics;自己故障診断)対応を想定した車載可能なセンサーであって、供給されるエアーに電荷をチャージし、電荷の変化量からPM(粒子状物質)排出量を検知するPMセンサーである。
【0013】
本実施形態の排気センサー10は、エンジン1の排気管5外部に配置される筒状(有底筒状或いは鞘状)のセンサー本体11と、センサー本体11の一端部に形成されたガス入口12と、センサー本体11の他端部に形成されたガス出口13と、センサー本体11内部に収容され先端からエアーを噴出するノズル14と、エアーに電荷をチャージする電極(図示せず)と、センサー本体11の他端部側を閉塞するカバー15とを備えている。
【0014】
本実施形態では、センサー本体11とノズル14とは、互いに同心的に配置されている。さらに、図示はしないが、ノズル14の基端にはエアーコンプレッサーが接続されており、このエアコンプレッサーによってエアーがノズル14に供給されるようになっている。
【0015】
さらに、本実施形態では、センサー本体11に形成されたガス入口12が排気管5と導入管16で連通され、センサー本体11に形成されたガス出口13が導入管16の連通部16aよりも排気ガス下流側の排気管5と戻り管17で連通されている。
【0016】
より詳しくは、本実施形態では、導入管16の一端(排気ガス導入部;排気管5への導入管16の連通部16a)は排ガス後処理装置7よりも排気ガス下流側の排気管5に接続され、導入管16の他端はセンサー本体11(ガス入口12)に接続されている。また、戻り管17の一端はセンサー本体11(ガス出口13)に接続され、戻り管17の他端(排気ガス戻り部;排気管5への戻り管17の連通部17a)は導入管16の連通部16aよりも排気ガス下流側の排気管5に接続されている。
【0017】
本実施形態の作用を説明する。
【0018】
本実施形態では、排気センサー10のセンサー本体11をエンジン1の排気管5外部に配置しているので、排気センサー10(センサー本体11)が排気管5内部の排気ガス流れを妨げない。排気センサー10が排気管5内部の排気ガス流れを妨げないので、排気センサー10の取り付けによるエンジン1の背圧の上昇を起こさず、エンジン1の燃費悪化を招くことはない。
【0019】
また、本実施形態では、ガス入口12が排気管5と導入管16で連通され、ガス出口13が導入管16の連通部16aよりも排気ガス下流側の排気管5と戻り管17で連通されているので、導入管16の連通部16aと戻り管17の連通部17aとの間の圧力差により、排気ガスがガス入口12からセンサー本体11内部に取り込まれた後にガス出口13から排出され、排気ガスがスムースに排気管5内部へ戻る。
【0020】
なお、特許文献1(国際公開第2009/109688号)の図1に示される排気センサーでは、排気センサーを排気管内部に配置するため、排気センサーが排気ガス流れの妨げとなる。また、特許文献1の図3に示される排気センサーでは、電極(29)とイオントラップ(9)とが同心円上でなく、軸方向に配置されているため、排気センサーのサイズが大きくなってしまう。本発明は、電極(29)とイオントラップ(9)とを同心円上に配置する排気センサー(特許文献1の図1のタイプ)を、排気管外部に配置するものである。
【0021】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず他の様々な実施形態を採ることが可能である。
【0022】
例えば、上記実施形態では、排気ガス導入部(排気管5への導入管16の連通部16a)、排気ガス戻り部(排気管5への戻り管17の連通部17a)を排ガス後処理装置7よりも排気ガス下流側の排気管5に配置しているが、排気センサー10の特性によっては、図2に示すように、排気ガス導入部(排気管5への導入管16の連通部16a)、排気ガス戻り部(排気管5への戻り管17の連通部17a)を排ガス後処理装置7よりも排気ガス上流側の排気管5に配置できる。
【0023】
また、効率的に排気ガスをセンサー本体11内部に導入すると共に排気ガスをセンサー本体11内部から排出するために、図3に示すように、排気ガス導入部(排気管5への導入管16の連通部16a)にガイド18を設けても良い。
【0024】
また、効率的に排気ガスをセンサー本体11内部に導入すると共に排気ガスをセンサー本体11内部から排出するために、排気ガス戻り部(排気管5への戻り管17の連通部17a)を排気ガス導入部(排気管5への導入管16の連通部16a)との圧力差がより大きい個所に配置しても良い。その一例として、図4に示すように、排気ガス導入部(排気管5への導入管16の連通部16a)を排ガス後処理装置7よりも排気ガス上流側の排気管5に配置し、排気ガス戻り部(排気管5への戻り管17の連通部17a)を排ガス後処理装置7よりも排気ガス下流側の排気管5に配置することが考えられる。
【0025】
また、図5に示すように、導入管16と戻り管17のいずれか一方または双方(より詳しくは、導入管16の連通部16aと戻り管17の連通部17aのいずれか一方または双方)にバルブ(開閉バルブ)19を設ければ、センシングに必要なときだけ、排気ガスを排気センサー10内部(センサー本体11内部)に取り込むことができる。図示例では、バルブ19を導入管16と戻り管17との双方に設けている。
【0026】
さらに、排気センサー10は、PMセンサーに限定はされず、PM以外の排気ガス成分を測定するセンサーであっても良い。
【符号の説明】
【0027】
1 エンジン
2 吸気管
3 エアクリーナー
4 ターボコンプレッサー
5 排気管(テールパイプ)
6 タービン
7 排ガス後処理装置
10 排気センサー
11 センサー本体
12 ガス入口
13 ガス出口
16 導入管
16a 導入管の連通部
17 戻り管
17a 戻り管の連通部
19 開閉バルブ(バルブ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス成分の測定を行う排気センサーにおいて、
エンジンの排気管外部に配置される筒状のセンサー本体と、該センサー本体の一端部に形成されたガス入口と、前記センサー本体の他端部に形成されたガス出口とを備え、
前記ガス入口が前記排気管と導入管で連通され、前記ガス出口が前記導入管の連通部よりも排気ガス下流側の前記排気管と戻り管で連通され、
前記導入管の連通部と前記戻り管の連通部との圧力差により、排気ガスが前記ガス入口から前記センサー本体内部に取り込まれた後に前記ガス出口から排出されるように構成したことを特徴とする排気センサー。
【請求項2】
前記導入管と前記戻り管のいずれか一方または双方に開閉バルブを設けた請求項1に記載の排気センサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−226313(P2011−226313A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94340(P2010−94340)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】