説明

排気ダクト

【課題】排気が吸気フードへショートサーキットせずして空調性能を良好に保持することができると共に、収まりが良好でしかも容易に施工し得るようにした排気ダクトを提供する。
【解決手段】排気ファンから吐出された排気をダクト本体内26aへ導入するための短管26cを備え、第一のガイド板29、第二のガイド板30を固設することにより、排気ファンからダクト本体26a内へ導入された排気Aeは、排気ダクト26上端の開口部26bから外部上方へ排出されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気が吸気フードへショートサーキットせずして空調性能を良好に保持することができると共に、収まりが良好でしかも容易に施工し得るようにした排気ダクトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
空調システムには、外部空調機を備えたものがあり、斯かる外部空調機の一例は図5〜図7に示されている。而して、外部空調機1のハウジング1a内は、仕切り板1bにより仕切られて室2,3が形成されている。
【0003】
室2の一端側に設けた吸気口4には、下端開口側から外気である新鮮な空気Aを吸気して室2内に導入し得るよう、吸気フード5が取付けられており、室2の他端側には、室2内を送給されて来た空気Aを図示してない空調機側へ送給するための給気口6が設けられている。
【0004】
室3の一端側(ハウジング1aの給気口6を設けた側と同一側)には、空調空間から還気されて空調機側へ循環しなかった還気Arの一部が排気として導入される還気口7が設けられ、室3の他端側(ハウジング1aの吸気口4を設けた側と同一側)には、ハウジング1aの側部に位置するよう、排気口8が設けられ、排気口8には、排気Aeを下方へ向けて排気するよう、排気フード9が設けられている。
【0005】
室2内には、例えば、空気Aの流れ方向上流側から下流側へ向けて、吸気口4部に取付けられた開度調整可能な空気流量調整ダンパ10と、布を巻取る方式で空気A中の塵埃を除去するためのオートロールフィルタ11と、予熱用の蒸気コイル12と、蒸気コイル12に繋がっている蒸気入口13a及び蒸気ドレン出口13bと、互いに近接配置された冷水コイル14及び温水コイル15と、蒸気加湿器16と、吐出口が給気口6に位置するようにした吸気ファン17とが配置されている。
【0006】
室3内には、例えば、還気Arの流れ方向上流側から下流側へ向けて、還気口7部に取付けられて開度調整可能な還気流量調整ダンパ18と、布を巻取る方式で還気Ar中の塵埃を除去するためのオートロールフィルタ19と、吐出口20aが排気口8部に位置して排気フード9に接続されるようにした排気ファン20とが配置されている。
【0007】
ハウジング1a内には、室2,3に跨って、蒸気コイル12よりも空気A流れ方向下流側に位置すると共に、排気ファン20よりも還気Ar流れ方向上流側に位置するようにした全熱交換器21が、図示してない駆動装置により回転駆動可能に配置されている。全熱交換器21は、空気Aと還気Arが有する顕熱と潜熱を同時に交換する空調用の熱交換器である。又、室2における空気Aの流れ方向と、室3における還気Arの流れ方向とは反対向きとなっている。図5中、31,32は仕切り板である。
【0008】
図5及び図6に示すように、吸気フード5の開口部5aと排気フード9の開口部9aは何れも吸気フード5、排気フード9の下端に設けられて下方に向き開口し、図7に示すように平面視で90度位相を異にして近接配置されている。而して、図5の22は吸気フード5の開口部5aに設けられた防鳥網であり、図6の23は、排気フード9の開口部9aに設けられた防鳥網である。
【0009】
空調について説明すると、冷房時に開口部5aから吸気フード5内に吸込まれた空気Aは、空気流量調整ダンパ10により流量調整されて室2内に導入され、オートロールフィルタ11において塵埃を除去された後、回転駆動されている全熱交換器21において、室3側の還気Arとの間で熱と水蒸気の授受が行なわれると共に、冷却されて除湿される。全熱交換器21において冷却され除湿された空気Aは、冷水コイル14において一次冷却されて相対湿度が上昇する。而して、冷却されて相対湿度が上昇した空気Aは、吸気ファン17により空調機側へ送給される。
【0010】
又、図示してない空調空間を冷房して排出されると共に、空調機へ循環されなかった一部の還気Arは、還気流量調整ダンパ18により流量を調整されて室3内に導入され、オートロールフィルタ19により塵埃を除去され、しかる後全熱交換器21へ送給され、全熱交換器21において室2側の空気Aとの間で熱と水蒸気の授受が行なわれ、加熱されると共に絶対湿度が上昇し、排気ファン20により排気Aeとして排気フード9の開口部9aから外部下方へ排出される。
【0011】
暖房時においても空気A、還気Arの流れは冷房時と同様であるが、室2へ導入された空気Aは、全熱交換器21において室3側の還気Arにより加熱されると共に、温水コイル15において加温される。又、室3へ導入された還気Arは全熱交換器21において、室2側の空気Aを加熱し、排気される。なお、予熱用の蒸気コイル12及び蒸気加湿器16は空調時に必要な場合に適宜使用される。
【0012】
外部空調機1においては、図8に示すような下向き60度の排気エルボ24が設けられることもある。図8中、25は排気エルボ24の下端に設けられた防鳥網である。
【0013】
又、外部空調機の吸気フードや排気フード、排気エルボを直接示す先行技術文献情報は見当たらないが、フードやダクトを示す参考先行技術文献情報としては特許文献1、2等がある。
【特許文献1】特開平7−233987号公報
【特許文献2】特開平9−14740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記外部空調機1においては、空気Aと還気Arの流れ方向が逆であるため、空気Aの吸気位置と、還気Arの排気位置は、外部空調機1におけるハウジング1aの長手方向同一側となる。このため、配置上、吸気フード5の吸気口である開口部5aが、床面に近い高さの低い位置に在る場合には、排気フード9の開口部9aから排出された排気Aeはショートサーキットして再び吸気フード5を経て室2内へ導入される虞があり、空調の性能を低下させる虞がある。これは、図8のような排気エルボ24を設けた場合も同様である。
【0015】
又、配置スペースが狭い場合は、排気エルボ24を使用する際に収まり条件が厳しく、更には、外部空調機1が大型で排気位置が高い場合には、排気エルボ24の施工を行い難い。
【0016】
本発明は、上述の実情に鑑み、排気が吸気フードへショートサーキットせずして空調性能を良好に保持することができると共に、収まりが良好でしかも容易に施工し得るようにした排気ダクトを提供することを目的としてなしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の排気ダクトは、上端部に排気用の開口部を有する縦型のダクト本体と、該ダクト本体の側部に設けられると共に排気ファン側へ向かい絞られて前記排気ファンの吐出口に接続され、且つ排気ファンから吐出された排気を前記ダクト本体内へ導入するための短管を備えたものである。
【0018】
又、本発明の排気ダクトにおいては、ダクト本体内上端部側に、ダクト本体の前後方向略中間部に位置してダクト本体の幅方向へ延在する縦壁状の第一のガイド板が固設されると共に、前記ダクト本体内における短管の上縁部近傍に、ダクト本体の幅方向へ延在する略水平帯板状の第二のガイド板が固設されている。
【0019】
更に、本発明の排気ダクトにおいては、第二のガイド板は、短管側から離反するに従い若干下り傾斜に形成されている。
【0020】
更に又、本発明の排気ダクトにおいては、第一のガイド板の下端は、短管から離反する側におけるダクト本体上端端部と排気ファンの吐出口側における短管絞り部終点下端を結んだ直線上に略位置し、又、第二のガイド板の先端は第一のガイド板の上端と排気ファンの吐出口側における短管絞り部終点下端を結んだ直線上に略位置している。
【0021】
更に又、本発明の排気ダクトにおいては、ダクト本体の底面は、短管から離反する側へ向けて下り傾斜に形成され、傾斜面の下端近傍には雨水排出手段が設けられている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の排気ダクトによれば、下記のごとき種々の優れた効果を奏し得る。
I)排気はダクト本体上端の開口部から外部上方へ排出されるため、外部空調機の吸気フードの開口部が床面近傍に位置する場合でも、排気がショートサーキットして再び吸気フードに吸込まれることがなく、従って、空調性能が阻害されることがない。
II)配置スペースが狭い場合でも、ダクト本体を縦型にすることにより容易に配置することができ、更には、外部空調機が大型で排気位置が高い場合でも、容易に施工を行なうことができる。
III)ダクト本体へ侵入した雨水等は、底面の傾斜面に沿い流下して水抜き短管から外部へ排出されると共に、ダクト本体内には、ガイド板が設けられているため、ダクト本体上端の開口部から入り込んだ雨水が排気ファンの吐出口側へ侵入することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1〜図4は本発明を実施する形態の一例であって、図中、図5〜図7に示すものと同一の符号を付した部分は同一のものを表わし、基本的な構成は排気部以外は図5〜図7に示す従来のものと略同様である。
【0024】
而して、本図示例の特長とするところは、平面視で吸気フード5に近接配置されて排気ファン20の吐出口20aに接続された排気ダクト26を縦向き配置し、排気Aeを吸気フード5側から離反するよう、外部上方へ向け排出し得るようにした点である。
【0025】
すなわち、排気ダクト26を形成する角形状のダクト本体26aの上端部には、図4に示すように、防鳥網27が設けられた開口部26bが形成されると共に、ダクト本体26aにおける排気ファン20側の側部には、排気ファン20の吐出口20aに向かって絞られた形状の短管26cが設けられ、短管26cの先端は、排気ファン20の吐出口20aに接続されている。
【0026】
又、排気ダクト26における短管26c部分の下面及びダクト本体26aの底面26dは、これらの部分に水が溜まらないよう、短管26c側から排気ファン20の吐出口20aとは反対側へ向かって下り傾斜に形成されており、底面26dの下端側先端部には、常時開の水抜き短管28が取付けられている。
【0027】
ダクト本体26a内上端部には、ダクト本体26aの前後方向(排気ファン20における吐出口20aの軸線方向)略中間部に位置してダクト本体26aの幅方向へ延在する縦壁状のガイド板29が固設されると共に、ダクト本体26a内における短管26cの上縁部近傍には、短管26c側から離反するに従い若干下り傾斜で且つダクト本体26aの幅方向へ延在する略水平帯板状のガイド板30が固設されている。ガイド板30を短管26c側から離反するに従い若干下り傾斜にするのは、ガイド板30上面に水が溜まらないようにするためである。
【0028】
而して、ガイド板29の下端は、ダクト本体26aの短管26cを設けた側とは反対側における上端端部と、排気ファン20の吐出口20a側における短管26cの絞り部終点下端Pを結んだ直線L1上に略位置している。又、ガイド板30の先端とガイド板29の下端とは略同一高さ位置に在り、ガイド板29,30の間には、排気Aeが通過し得るよう空隙が形成されている。更に、ガイド板30の先端は、ガイド板29の上端と排気ファン20の吐出口20a側における短管26cの絞り部終点下端Pを結んだ直線L2上に略位置している。このようにするのは、上端の開口部26bからダクト本体26a内へ降った雨等が排気ファン20側へ侵入しないようにするためである。
【0029】
本図示例においても、空調時の空気Aや還気Arの流れは、図5〜図7に示す場合と同様であるが、排気Aeはダクト本体26aの開口部26bから上方へ排出されるため、吸気フード5の下端に在る開口部5aが床面近傍に位置する場合でも、排気Aeがショートサーキットして再び吸気フード5に吸込まれることがなく、従って、空調性能が阻害されることがない。
【0030】
又、配置スペースが狭い場合でも、ダクト本体26aを縦型にすることにより容易に配置することができ、更には、外部空調機1が大型で排気位置が高い場合でも、容易に施工を行なうことができる。
【0031】
ダクト本体26a内には、ガイド板29,30が設けられているため、開口部26bからダクト本体26a内へ侵入した雨水等は、ガイド板29,30によりガイドされ、底面26dに落下する。従って、雨水等が排気ファン20の吐出口20a側へ侵入することを防止することができる。ダクト本体26aの底面26dに落下した雨水等は、その傾斜面に沿い流下して水抜き短管28から外部へ排出される。
【0032】
なお、本発明の排気ダクトは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の排気ダクトが適用される外部空調機の概要を示す側断面図である。
【図2】図1のII−II方向矢視図である。
【図3】図1のIII−III方向矢視図である。
【図4】本発明の排気ダクトの詳細を示す縦断面図である。
【図5】従来の排気ダクトが適用される外部空調機の概要を示す側断面図である。
【図6】図5のVI−VI矢視図である。
【図7】図5のVII−VII矢視図である。
【図8】外部空調機に適用される従来の排気エルボの例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0034】
26 排気ダクト
26a ダクト本体
26b 開口部
26c 短管
26d 底面
28 水抜き短管(雨水排出手段)
29 ガイド板
30 ガイド板
L1 直線
L2 直線
Ar 排気
P 絞り部終点下端(短管絞り部終点下端)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に排気用の開口部を有する縦型のダクト本体と、該ダクト本体の側部に設けられると共に排気ファン側へ向かい絞られて前記排気ファンの吐出口に接続され、且つ排気ファンから吐出された排気を前記ダクト本体内へ導入するための短管を備えたことを特徴とする排気ダクト。
【請求項2】
ダクト本体内上端部側には、ダクト本体の前後方向略中間部に位置してダクト本体の幅方向へ延在する縦壁状の第一のガイド板が固設されると共に、前記ダクト本体内における短管の上縁部近傍には、ダクト本体の幅方向へ延在する略水平帯板状の第二のガイド板が固設されている請求項1記載の排気ダクト。
【請求項3】
第二のガイド板は、短管側から離反するに従い若干下り傾斜に形成されている請求項2記載の排気ダクト。
【請求項4】
第一のガイド板の下端は、短管から離反する側におけるダクト本体上端端部と排気ファンの吐出口側における短管絞り部終点下端を結んだ直線上に略位置し、又、第二のガイド板の先端は第一のガイド板の上端と排気ファンの吐出口側における短管絞り部終点下端を結んだ直線上に略位置している請求項2又は3記載の排気ダクト。
【請求項5】
ダクト本体の底面は、短管から離反する側へ向けて下り傾斜に形成され、傾斜面の下端近傍には雨水排出手段が設けられている請求項1乃至4の何れかに記載の排気ダクト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−242469(P2006−242469A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−58627(P2005−58627)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】