説明

排気弁

【課題】 水が流入口から弁室内に急激に流入してきても、漏水を生じないと共に弾性部材の損傷を防止する。
【解決手段】 下部に流入口4が開口し上部に流出口5が開口した弁室3を形成し、弁室3と流出口5の間に弁座6を形成し、弁室3内に弁室3内壁との間に流路を設けた有底のほぼ円筒形状で底壁に内外を連通する通孔11と第2通孔8を有するフロート受け10を配置し、フロート受け10内に球形のフロート12を自由状態で配し、フロート受け10の側壁10aと底壁10bを別体に形成して側壁10aを弁室3内に固定すると共に底壁10bをコイルバネ13で流入口4側に付勢して配置し、フロート受け10の底壁10bが流入口4側に変位したときに第2通孔8を閉口する開閉部材17を設け、流入口4から弁室3内に急激に流入する水の勢いでフロート受け10の底壁10bがコイルバネ13に抗して流出口5側に変位すると共に第2通孔8を開口する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管に水を送り込むときに開弁して配管内の空気を排気し、排気が終われば閉弁し、また配管系の圧力が低下して真空状態となったときに開弁して外部空気を導入することにより真空状態を破壊する排気弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排気弁は、例えば特許文献1に開示されている。これは、ケーシングで下部に流入口が開口し上部に流出口が開口した弁室を形成し、弁室と流出口の間に弁座を形成し、弁室内に弁室内壁との間に流路を設けた有底のほぼ円筒形状で底部に内外を連通する通孔を有するフロート受けを配し、フロート受け内にフロートを自由状態で配したものにおいて、フロート受けの底壁に内外を連通する第2通孔を設け、フロート受けを弾性部材で流入口側に付勢して配置すると共にフロート受けが流入口側に変位したときに第2通孔を閉口する開閉部材を設け、流入口から弁室内に急激に流入する水の勢いでフロート受けが弾性部材に抗して流出口側に変位すると共に第2通孔を開口するものである。この排気弁は、先ず配管に水を送り込むときにはフロート受けは弾性部材の付勢力により流入口側に付勢され開閉部材で第2通孔が閉口され、フロートは弁座から離座して降下しフロート受けの底壁に載った開弁状態である。これにより、弁室内に流入してくる配管内の空気を弁室内壁とフロート受けとの間の流路からフロート受け上端を通して及び通孔からフロート受け内を通して流出口に排気する。そして排気が終わって配管内の水が流入口から弁室内に緩やかに流入してくると、フロート受けは弾性部材の付勢力により流入口側に付勢され開閉部材で係止され第2通孔が閉口された状態を維持する。フロートは弁室内壁とフロート受けとの間の流路からフロート受け上端を通して及び通孔を通してフロート受け内に流入する水によって浮上して弁座に着座し閉弁する。これにより、水の漏出を防止する。また、配管内の水が流入口から弁室内に急激に流入してくると、フロート受けは水の勢いで弾性部材に抗して流出口側に変位してフロートを流出口側へ変位させると共に第2通孔が開口され、フロートは弁室内壁とフロート受けとの間の流路からフロート受け上端を通して及び通孔と第2通孔を通してフロート受け内に流入する水によって素早く浮上して弁座に着座し閉弁するので、漏水を生じることがない。配管系の圧力が低下して真空状態となったときにはフロートが弁座から離座して降下しフロート受けの底壁に載った開弁状態となる。これにより、弁室内に流入してくる外部空気をフロート受け上端から弁室内壁とフロート受けとの間の流路を通して及びフロート受け内から通孔を通して流入口から配管内に導入することにより真空状態を破壊する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−249231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の排気弁は、流入口から弁室内に急激に流入する水の勢いでフロート受け全体が弾性部材に抗して流出口側に変位するものであるので、フロート受けの重量により弾性部材が損傷し易いという問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、水が流入口から弁室内に急激に流入してきても、漏水を生じないと共に弾性部材の損傷を防止できる排気弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の排気弁は、ケーシングで下部に流入口が開口し上部に流出口が開口した弁室を形成し、弁室と流出口の間に弁座を形成し、弁室内に弁室内壁との間に流路を設けた有底のほぼ円筒形状で底部に内外を連通する通孔を有するフロート受けを配し、フロート受け内にフロートを自由状態で配し、フロート受けの底壁に内外を連通する第2通孔を設けたものにおいて、フロート受けの側壁と底壁を別体に形成して側壁を弁室内に固定すると共に底壁を弾性部材で流入口側に付勢して配置し、フロート受けの底壁が流入口側に変位したときに第2通孔を閉口する開閉部材を設け、流入口から弁室内に急激に流入する水の勢いでフロート受けの底壁が弾性部材に抗して流出口側に変位すると共に第2通孔を開口することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フロート受けの側壁と底壁を別体に形成して側壁を弁室内に固定すると共に底壁を弾性部材で流入口側に付勢して配置し、フロート受けの底壁が流入口側に変位したときに第2通孔を閉口する開閉部材を設け、流入口から弁室内に急激に流入する水の勢いでフロート受けの底壁が弾性部材に抗して流出口側に変位すると共に第2通孔を開口するものであるので、水が流入口から弁室内に急激に流入してきても、フロートがフロート受けの底壁の流出口側への変位に伴って流出口側へ変位すると共に通孔及び第2通孔を通してフロート受け内に流入する水により素早く浮上して弁座に着座し閉弁でき、漏水を生じないと共に弾性部材の損傷を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係わる排気弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。本体1に蓋2をボルトで締結して内部に弁室3を有するケーシングを形成する。本体1の下部に流入口4を形成し、蓋2の上部に流出口5を形成する。蓋2に弁座6を間に挟んで取付部材7をネジで固定する。本体1は弁室3の内壁に内側に突出した複数のリブ9を一体に有し、リブ9の内側に有底のほぼ円筒形状のフロート受け10を配置する。フロート受け10は側壁10aと底壁10bを別体に形成し、側壁10aをリブ9の段部に載せてスナップリング15で弁室3内に固定すると共に、底壁10bをスナップリング16との間に配置した弾性部材としてのコイルバネ13で流入口4側に付勢して開閉部材17に載せて配置する。フロート受け10の底壁10bはフロート受け10の内外を上下方向に連通する通孔11と第2通孔8を有する。各リブ9の間に弁室3内壁とフロート受け10との間の流路が形成される。フロート受け10内に球形のフロート12を自由状態で配置する。
【0010】
本体1は流入口4の内壁に内側に突出した複数のリブ18を介した取付部材19を一体に有する。取付部材19に開閉部材17をねじ結合し、ロックナット20で緩止めを行う。開閉部材17は上端の円板部17aがフロート受け10の底壁10bの第2通孔8を開閉する。フロート受け10の底壁10bは流入口4から弁室3内に空気が流入するときや水が緩やかに流入するときはコイルバネ13の付勢力により流入口4側に付勢され開閉部材17の円板部17aで係止され第2通孔8が閉口されているが、水が急激に流入するときは水の勢いでコイルバネ13に抗して流出口5側に変位しフロート12を弁座6に近付けると共に第2通孔8が開口される。
【0011】
上記実施例の排気弁の動作は下記の通りである。先ず配管に水を送り込むときにはフロート受け10の底壁10bはコイルバネ13の付勢力により流入口4側に付勢され開閉部材17に載り第2通孔8が開閉部材17で閉口されている。フロート12は弁座6から離座して降下しフロート受け10の底壁10bに載った開弁状態である。これにより、弁室3内に流入してくる配管内の空気をリブ9の間の流路からフロート受け10上端を通して及び通孔11からフロート受け10内を通して流出口5に排気する。
【0012】
そして排気が終わって配管内の水が流入口4から弁室3内に緩やかに流入してくると、フロート受け10の底壁10bはコイルバネ13の付勢力により流入口4側に付勢され開閉部材17に載り第2通孔8が開閉部材17で閉口された状態を維持する。フロート12はリブ9の間の流路からフロート受け10上端を通して及び通孔11を通してフロート受け10内に流入する水によって浮上して弁座6に着座し閉弁する。これにより、水の漏出を防止する。また、配管内の水が流入口4から弁室3内に急激に流入してくると、フロート受け10の底壁10bは水の勢いでコイルバネ13に抗して流出口5側に変位してフロート12を流出口5側へ変位させると共に第2通孔8が開口され、フロート12はリブ9の間の流路からフロート受け10上端を通して及び通孔11と第2通孔8を通してフロート受け10内に流入する水によって素早く浮上して弁座6に着座し閉弁するので、漏水を生じることがない。配管系の圧力が低下して真空状態となったときにはフロート12が弁座6から離座して降下しフロート受け10の底壁に載った開弁状態となる。これにより、弁室3内に流入してくる外部空気をフロート受け10上端からリブ9の間の流路を通して及びフロート受け10内から通孔11を通して流入口4から配管内に導入することにより真空状態を破壊する。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、配管に水を送り込むときに開弁して配管内の空気を排気し、排気が終われば閉弁し、また配管系の圧力が低下して真空状態となったときに開弁して外部空気を導入することにより真空状態を破壊する排気弁に利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 本体
2 蓋
3 弁室
4 流入口
5 流出口
6 弁座
8 第2通孔
9 リブ
10 フロート受け
10a 側壁
10b 底壁
11 通孔
12 フロート
13 コイルバネ
17 開閉部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングで下部に流入口が開口し上部に流出口が開口した弁室を形成し、弁室と流出口の間に弁座を形成し、弁室内に弁室内壁との間に流路を設けた有底のほぼ円筒形状で底部に内外を連通する通孔を有するフロート受けを配し、フロート受け内にフロートを自由状態で配し、フロート受けの底壁に内外を連通する第2通孔を設けたものにおいて、フロート受けの側壁と底壁を別体に形成して側壁を弁室内に固定すると共に底壁を弾性部材で流入口側に付勢して配置し、フロート受けの底壁が流入口側に変位したときに第2通孔を閉口する開閉部材を設け、流入口から弁室内に急激に流入する水の勢いでフロート受けの底壁が弾性部材に抗して流出口側に変位すると共に第2通孔を開口することを特徴とする排気弁。

【図1】
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