説明

排気浄化設備およびバーナ設備用のセラミックハニカム体、金属表面およびその他の触媒担体の触媒活性皮膜

本発明は、貴金属粉末予備皮膜によって長い寿命、低い感受性、広い温度利用範囲、長い寿命を可能とする表面およびハニカム体を触媒被覆するための装置の態様で述べられ、また無火炎触媒凝縮ボイラと熱式排気浄化設備の触媒後浄化とにおいて、そして燃料電池膜の皮膜として、応用するための方法の態様で述べられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は装置として活性皮膜、方法としてこの活性皮膜の使用方法を述べる。方法と装置が述べられる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1「窯炉の排気を触媒浄化するための小型設備」に炭化水素含有排気を触媒浄化するための装置が述べられている。
【0003】
薄板ケーシング内の触媒ハニカム体は電気加熱ロッドで予備加熱することによって、ハニカム体表面の炭化水素含有流通空気を反応させる状態にされ、これにより炭化水素が水蒸気および炭酸へと酸化され、こうして空気が浄化される。
【0004】
その際コバルト、セリウム、ランタンの諸成分から成る革新的触媒が使用され、この触媒は結晶生成によって高い活性を達成する。そのことから白金成分をかなり減らすことが可能となり、300〜600℃の温度範囲内で浄化作用が得られる。
【0005】
ところで、この発明が一連の欠点を有し、これらの欠点が新規な技術で克服されねばならないことが確認された。これらの欠点として、ウォッシュコートが600℃より高い温度に耐えられないため、反応温度範囲を僅かでも超過すると活性が失われ表面の触媒層の付着が弱くなり流速が高まると触媒層が剥離する。このため装置の構成は冷たい排ガスの導入のみを許容し、バーナ設備の後流装置に接続するには適していない。
【0006】
熱式排気浄化設備用にも利用されるバーナは、バーナ出力を低減した場合触媒設備の後置用にも適している。しかしさらにこれらのバーナは、特許文献1とは異なり、触媒層がかなり高い温度、流速および機械的応力に対する耐久性を有しなければならない。これは、特許文献1に開示された皮膜では可能でない。
【0007】
触媒技術において必要とされるより大きな表面積を与えるために不可欠な分子微細酸化アルミニウム、コンデア(Condea)の使用によって温度限界が課されている。
【0008】
この酸化アルミニウム成分は600℃においてその構造を失い、そのためその上にある触媒層が剥離する。高流速条件下、および、流れに沿って掃き出される微細粒子の衝撃下で同じことが起きる。
【0009】
これらの欠点によって、コバルト、セリウムおよびランタンから成る触媒の触媒皮膜もこの皮膜態様では適していない。それらは確かに特許文献1に述べられたような態様において白金に匹敵する触媒特性を有するが、しかし依然としてこの態様では白金と同様に熱式排気浄化設備における触媒的後反応には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第19800420号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、排ガスの有害物質を減らし、そのことから消費量減を帰結させ、同時に窒素酸化物やCO、炭化水素等の可燃性残留ガスの有害物質生産を最少にする目的で、触媒表面でのガス化ガスの中間冷却と無火炎触媒燃焼とで無火炎触媒ガス化を実現することによって排気浄化と2段階燃焼とを改善することである。基本的思想は、燃料の酸化反応が、安定した触媒表面上より低い温度で進行するように、また広い温度範囲にわたって均一に、かつ極端に僅かな含有量の残留物が残る程度まで完全に進行するように触媒を用いることができるならば、排気浄化特性と燃焼特性を著しく改善することが可能になるとの仮説から得られたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
意外なことに、上述した欠点をすべて取り除く方策がやはりあることが発見された。
この発明の鍵は、排気浄化・バーナ技術における新規な被覆技術と、そこから帰結する、こうして新規に被覆されたこれら触媒の新規な使用とにある。
【0013】
まったく意外なことに、粒径10μm未満の貴金属粉末で予備被覆し、次いでランタン、セリウムおよびコバルトから成る結晶を被覆することにより強固な下地、熱安定性および十分な表面積が与えられ、触媒反応が低い温度で始まることを可能にすることが明らかになった(図1)。金属粉末予備被覆を糖溶液で行うととりわけ有利であると実証された。
【0014】
特殊鋼粉末‐金属合金が触媒皮膜用の理想的な耐摩耗性下地を提供することは従来知られていなかった(図2)。この触媒の適用範囲は600℃超から1000℃まで広がる。
【0015】
従来不可欠であった分子酸化アルミニウム(コンデア)から成る温度感受性表面積拡大体は完全に取り替えられ、もはや必要でない。
【0016】
圧縮空気を吹付け(>50m/s)ても、触媒の活性は低下しない。金属被覆触媒は、測定可能な活性損失なしに1100℃の温度ピークに耐えることができた(図3/線図2)。
【0017】
550℃の反復する連続負荷は、出力損失なしにこの新規な触媒によって許容される。
【0018】
触媒活性の完全喪失は>1200℃の温度になるまで観察されなかった。こうして本発明に係る皮膜はこの態様で熱式排気浄化設備後の後置用にも適しており、この態様でバーナ温度の低下によって50〜70%の燃料節約をもたらす。
【0019】
本発明に係る装置の1例はハニカム体の皮膜である。このハニカム体は200℃に加熱することによって乾燥され、冷却後、糖溶液と粒径<10μmの貴金属粉末との懸濁液に浸漬される。寸法150mm×150mm×150mmのハニカム体は500〜1000gの量の金属粉末を保持する。すなわち、触媒体積1リットル当り150〜300gの金属粉末がハニカム体の表面とその通路とに均一に分布される。
【0020】
ハニカム体は、次に炉において1〜3時間内に800〜1000℃に急速加熱することによって懸濁液とか焼して強固な皮膜とされる。ハニカム体の冷却後、ハニカム体はランタンセリウムコバルタイトとシュウ酸とから成る水性浴に浸漬される。
【0021】
ランタンセリウムコバルタイト結晶粉末のうち37〜185g/ハニカム体、つまり10〜50g/リットルの量が、水性溶液を介して被着される。含浸されたハニカム体は引き続き500〜800℃で焼成され、すると利用可能状態となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】二重に被覆された触媒1の画像である。
【図2】金属粉末のみで被覆され焼成されたハニカム体表面の拡大画像である。
【図3】完成触媒体の機能を示す画像である。
【図4】触媒皮膜の作動様式を示すグラフである。
【図5】工業的応用からの予備加熱温度、触媒入口温度、触媒内部温度のもう1つのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に示す図は、皮膜の画像と、炭化水素のCO、HOへの変換における触媒の作用図とを参照して本発明に係る方法および本発明に係る装置を示す。
【0024】
図1は二重に被覆された触媒1の画像である。特殊鋼皮膜2の不均一表面をはっきり認めることができる。ランタンセリウムコバルタイト結晶3を有する第2皮膜を不均一表面に認めることができる。被覆は、ピッチとも呼ばれるウエブ間隔4を有するハニカム構造体内で行われる。
【0025】
皮膜の製造を詳しく説明するために図2は同じ元素を有するハニカム体表面の拡大画像を示しており、表面は金属粉末のみで被覆され焼成されている。同じハニカム体であるので符号は同様に付けてある。結合剤のシュウ酸を有する水性溶液内でのランタンセリウムコバルタイト粉末の被着が第2被覆ステップとして役立つ。
【0026】
第2被覆の結果は、完成触媒体の機能を示す図3で明らかとなる。この触媒体に通されるガス中の炭化水素成分によって酸化反応に起因して火炎なしに温度上昇が生じ、この温度上昇は900℃において触媒体からの発光として明らかとなる。
【0027】
図4は触媒皮膜の作動様式を示す。符号T1は炭化水素空気混合物の入口温度である。
【0028】
符号T2は触媒入口温度である。符号T3はハニカム体内でさらに後方の温度である。この温度はセラミックの加熱が熱エネルギーの一部を奪い、従って温度が低下するので低くなる。符号T4は最も下の線図線の下方にある室温である。符号T5は温度目盛、符号T6は時間目盛である。
【0029】
図5は工業的応用からの他の寸法曲線を示す。ここでも符号は図4におけると同じである。符号T1は入口温度、符号T2は触媒入口の温度、符号T3は触媒内でさらに後方の温度、符号T4は工業設備の末端の温度である。符号T5は温度目盛、符号T6は時間目盛である。
【0030】
図4と図5から明らかとなるように、本発明に係る装置は著しく拡張された応用範囲を有する。1000℃超までの温度変動と触媒表面での5m/sまでのガス速度は活性損失なしに耐えることができ、触媒皮膜は前記と同様に機能する。
【0031】
金属下地皮膜の放熱作用は触媒活性を極端に安定させるように作用する。白金やランタンセリウムコバルタイトと同じ活性物質は、本発明に係る皮膜なしではこのような温度に耐えることができず、既に400℃以下の温度において、高い温度での本発明に係る皮膜におけるよりも多く腐食され、またはそれと同様に腐食される。
【0032】
本方法は、被覆されたこのハニカム体の3つの利用例の説明によって説明される。
【0033】
凝縮ボイラが無火炎触媒燃焼室内に前後して点火器、金属ハニカムの態様のガス化触媒層、セラミックハニカムおよび/または金属編組、熱交換体1、ガス化ガスおよび二次空気用混合室、燃焼触媒層と後続の熱交換体を有する。
【0034】
この方法では、火炎は要求されない。凝縮ボイラの体積は火炎が要求されないことによって縮小される。この触媒燃焼の達成される排ガス値は火炎燃焼の排ガス値のごく僅かにすぎない。いいかえれば、触媒燃焼とは極端にクリーンである。
【0035】
本方法の他の実施例は熱式排気浄化法における触媒後浄化である。熱式排気浄化設備のためのバーナの後方にハニカム触媒層を配置することによって、350℃の平均温度に至るまで層が完全に活性であるので、熱式排気浄化設備はバーナ出力の僅かな部分にまで下げて運転することができる。450℃〜600℃の平均温度が最適である。
【0036】
熱式バーナ設備内で追加装備される触媒被覆ハニカムはセグメントとして挿入され、ハニカム体の隅でボルトによって固定される。円形横断面に裁断されたハニカムが外側に金属枠を有し、この金属枠はボルト結合によって枠を外管と一直線に並べて固定する。この外枠はハニカムの隅に取付けられたボルトを介して保持力(Halterung)を内側ハニカムに伝達する。
【0037】
皮膜の使用に関する本方法の第3応用例は燃料電池への応用である。燃料電池膜に被着される金属粉末層は、付着の他に表面積の拡大や電流導出の役目も果たす。
【0038】
ランタンセリウムコバルタイト層は白金皮膜に完全に取り替わるだけでなく、著しく長い耐用年数も可能とする。この寿命係数は、応用範囲と温度範囲とに応じて5〜100である。すなわち、層の活性はこの係数だけ長く維持される。
【0039】
バーナ技術、熱式排気浄化設備の追加装備および燃料電池の分野での被覆装置と応用方法についての特定の作動実施例が本発明を詳しく説明することになる。
【0040】
第1実施例では、熱出力18kWの出力を有する凝縮ボイラがボール分配ノズルを有し、このボール分配ノズルは圧縮空気で1.5kgの燃料油を、切欠きを備えて回転するボールを介して、12m/hの空気体積、つまり0.5のラムダで均一に分配し、図1のセラミックハニカム内で燃料ガスへと変換する。その際に火炎が発生することはなく、変換は図3に相応して本発明に係る表面で火炎なしに触媒で起きる。
【0041】
後続の熱交換体は水を貫流させ、熱をまず温水溜内で放出し、残留熱を加熱回路内で放出する。熱交換体内での熱放出によってガス化ガスは300℃以下の温度に冷却される。熱交換体はCO腐食に耐えられるように特殊鋼製である。
【0042】
後続の混合室はボイラの最後に熱交換体内で予熱される二次空気を接線方向で吹き込ませ、後続の混合器、ヅルツァー(Sulzer)社のベンチュリ混合器を備えており、この混合室内でほぼラムダ1.0の二次空気12m/hによってガス化ガス空気混合物が生成する。
【0043】
これにより排ガスは、窒素酸化物に関しても空気に関しても三元触媒を介して自動車におけるのと同様に低い値とすることができる。
【0044】
本発明に係る触媒の硫黄に対して一層抵抗力のある作用様式は一般的自動車触媒に比べて明確な長所となる。この触媒は、燃焼混合物の温度を800℃の最適温度とし、この最適温度は後続の熱交換体において熱を引き出し、ピーク需要時に加熱回路および温水の加熱を可能とする。
【0045】
第2応用例では、本発明に係るハニカム体による熱式排気浄化設備の追加装備が述べられる。このため熱式排気浄化設備は燃料、天然ガスまたは燃料油の供給を減らすことによって900℃の運転温度から500℃の運転温度に下げられる。円形燃焼室に触媒ハニカム体用の中間室が設けられる。
【0046】
この中間室はリング間隔155mmのハニカム保持リングから成り、完全円の4つの四分円と同じ4つのハニカム片が中間室に嵌め込まれる。ハニカム片はピッチ4mmのハニカム150×150×150mmの多孔質ハニカムセラミックから製造される。
【0047】
ハニカム片は四分円の幾何学形状に裁断され、本発明により被覆され、ハニカム体の隅で両側ワッシャーとナットとを有するねじロッドによって互いに螺着される。これにより管でのリングの保持力はセラミック片の相互固定を介して最も内側のハニカム体にまで伝達され、ハニカム体は外側リングとねじロッドとを介して保持されるので複合体から押し出されることがない。
【0048】
触媒ディスクの作用は図3から読み取ることができる。限界値を確実に遵守するために第2ハニカム層が配置される。このハニカム層は触媒室内で第2外リングによって固着されている。両方の層の組立は触媒室内で管の両側から行われ、この管が引き続き燃焼室にフランジ接合される。触媒に対する火炎の放射作用を完全に防止するために、またこうして触媒層の長い寿命を保証するために、案内板を備えた放射ディスクが燃焼室の末端に配置される。
【0049】
第3実施例では、本発明により使用される触媒皮膜の燃料電池での使用が述べられる。ここでは本発明に係る皮膜は、金属粉末表面を通して膜への電流導出も極端に改善するので特別優れた作用を有する。
【0050】
アルミニウム繊維‐燃料電池膜が本発明に係る皮膜を両側に備えられ、燃料電池内で片側では燃料の水素、メタン、メタノール、エタノールおよび蒸気状炭化水素用に、反対側では空気用に利用される。炭化水素と本発明に係る皮膜との変換もしくはガス化に関する皮膜の潜在能力が付加的利点である。
【0051】
膜は150×150mmの寸法で製造され、被覆され、枠内で、均一に分布した相応するガス通路を備えられる。入口はそれぞれ選択的に燃料側および空気側に接続される。燃料プレートの配線は従来の燃料電池におけると同様に行われる。
【0052】
本発明に係る皮膜の作用は、触媒皮膜の導出時の電気抵抗低下のゆえに効率が著しく改善され、耐用寿命が本質的に長くなることにある。
【0053】
この皮膜は、元々白金皮膜用に設けられた燃料電池においても白金を必要としない。この皮膜は、本発明に係る皮膜の結晶安定性が白金フレーク皮膜に比べて高い結果、低い伝播抵抗とより低い被毒感受性と著しく長い耐用年数とで白金皮膜と同等に挙動する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化反応用に使用することのできるハニカム体および表面を触媒被覆するための装置であって、これらの表面が微細貴金属粉末の層で予備被覆され、次いで触媒活性物質で被覆される装置。
【請求項2】
前記貴金属粉末の被覆が、粒径10μm未満の貴金属粉末と糖溶液とで行われ、引き続きハニカム体が800〜1000℃で焼成されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記金属粉末で予備被覆され焼成された前記表面が、引き続きランタンセリウムコバルタイト結晶粉末とシュウ酸との水溶液で被覆されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
熱式排気浄化設備からの排ガスを触媒で後浄化するための方法であって、請求項1ないし3のいずれかに記載の装置により触媒被覆されたハニカム室またはハニカムリングが利用される方法。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の装置または皮膜を応用するための方法であって、金属粉末予備皮膜と触媒後皮膜とから製造されるハニカム体が熱式排気浄化設備後の構成要素として利用される方法。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれかに記載の装置または皮膜を応用するための方法であって、2層の触媒がガス化層とそれに続く熱交換体、二次空気吹込み部、燃焼層およびそれに続く熱交換体として利用される方法。
【請求項7】
請求項1ないし3のいずれかに記載の装置または皮膜を応用するための方法であって、本発明に係る層が燃料電池の分離膜に被着され、そこで水素反応層またはメタノール反応層として、また酸素層として利用される方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2011−521770(P2011−521770A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541687(P2010−541687)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/DE2008/000909
【国際公開番号】WO2009/086797
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(510188285)
【Fターム(参考)】