説明

排気装置及び塗装作業用装置

【課題】目詰まりが発生しにくい排気装置並びに、このような排気装置を用いた塗装作業用装置を提供する。
【解決手段】ターボファン2による吸引によって、空気流方向6に沿った空気の流れ、即ち第2の空気室4から第1の空気室3内へ入り、更に第1の空気室3から排気誘引管11を通って外へ排気される空気の流れが生じる。半筒体領域4Cに送られた汚染空気は反転して逆流し、内側部材4Aに沿って流れてきた汚染空気や飛散水10とぶつかりながら、半筒体領域4Cの近傍に位置すると共に第1の空気室3と繋がる開放口4Eを通って、内側部材4Aに沿って流れてきた汚染空気や飛散水10と共に、第1の空気室3内に送られる。第1の空気室3内に送られた汚染空気は、第1の空気室3内を上昇して、吸引部材3Aの側部の空間へ流れ込む際、空気の流れは、下降気流となり、空気が再び上昇して吸引口3Dへ流れ込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排気装置及び塗装作業用装置に関する。詳しくは、塗装作業等において発生する塗料や有害物質等の粉塵を集める、排気装置及び塗装作業用装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
塗装作業現場の周囲の環境の汚染防止及び環境衛生の保持、塗膜品質の確保等のために、塗装作業室内で被塗装物へ、例えばスプレー塗装を行い、塗装作業室内において被塗装物に塗着せずに空中に飛散する塗料ミストを含む汚染空気を、エアフィルタを通して排気ファンにより排気する塗装作業室が知られている。
【0003】
しかし、このような塗装作業室では、室内の空気をエアフィルタのみにより浄化するので、汚染物を充分に採取できていなかった。
【0004】
そこで、例えば特許文献1には、図4に示すような空気浄化装置が記載されている。即ち、特許文献1には、クリーンルーム用の繊維フィルタ102と、繊維フィルタ102の前面上部に配置された多数の噴霧ノズル105と、空気浄化室101の底部106に溜まった水を噴霧ノズル105へ循環させるポンプ108と、繊維フィルタ102の後部にあって流入する空気量を調整する調整カバー103とからなる、塗装ブース内の空気浄化装置が記載されている。噴霧ノズル105から放出された噴霧水は、傘状に展開して塵等の微粒子を吸着除去する。また、高速の空気流により噴霧水は渦流へと変化し、水フィルタとして機能する。そして、塗装ブースの床下空気排出経路内に、上記の空気浄化装置を配置する場合には大気汚染基準に充分適合した塗装ブース装置となる。
【0005】
【特許文献1】特開平11−309397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような噴霧水を用いる従来の装置では、水分を含んだ塗料ミストの粘着性が増すため、フィルタやパイプ内壁等に付着しやすくなり、早期に目詰まりが発生してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、目詰まりが発生しにくい排気装置並びに、このような排気装置を用いた塗装作業用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の排気装置は、空気を吸引する吸引手段と、該吸引手段の上流側に位置すると共に該吸引手段と連通する第1の空気室と、該第1の空気室の上流側に位置すると共に該第1の空気室と連通する第2の空気室とを備え、前記吸引手段と、前記第1の空気室と、前記第2の空気室とによって、空気が流れる気流通路が形成され、前記第2の空気室は、液体を受け入れる受液槽よりも下流側に位置すると共に、前記第2の空気室の気流通路の開口部が前記受液槽の液面に面しており、前記第2の空気室は、断面が半円弧形状の半筒体領域を有する。
【0009】
ここで、第2の空気室は、液体を受け入れる受液槽よりも下流側に位置すると共に、第2の空気室の気流通路の開口部が受液槽の液面に面していることによって、気流通路を流れる空気によって受液槽の液面が第2の空気室の内部へ向けて波立ち、排気される空気例えば粉塵を含む汚染空気が、気流通路を流れる途中で、波立った受液槽の液体に必ず当たるので、受液槽の液体に当たった後の汚染空気に含まれる粉塵は、従来のような噴霧水を吹きかけられた汚染空気に含まれる粉塵に比べて粘着性を抑えることができる。
また、断面が半円弧形状の半筒体領域によって、受液槽の液体に当たって液体を含んだ汚染空気は半筒体領域において渦流となり、渦流の中心に未塗着の塗料等の粉塵を集めることができると共に微細気泡を生じさせて液体の腐敗を抑制することができる。
【0010】
また、本発明の排気装置において、第1の空気室は、吸引手段と連通する吸引部材と、吸引部材との間に空間を形成する外壁部材と、吸引部材の下部に形成された空間を塞ぐ仕切り部材とで構成される場合、仕切り部材によって吸引部材の下部の空間が塞がれているので、第2の空気室から流れてきた空気は吸引部材の下部の空間を流れずに、例えば吸引部材の上部の空間から吸引部材の側部の空間へ流れ込む際、空気の流れは、下降気流となって第1の空気室の下部を構成する外壁部材に当たり、その衝撃で空気に含まれる粉塵等は外壁部材に付着し、粉塵等が取除かれた空気が吸引部材へ流れていく。
【0011】
また、本発明の排気装置において、吸引部材の下部に吸引口が形成され、吸引口は、仕切り部材よりも下流に位置する場合、吸引部材の上部の空間を空気が流れる際、空気に含まれる液体が吸引部材に落ちても吸引口が下部に形成されているので吸引部材内に液体が入り込みにくく、更に、吸引口は、仕切り部材よりも下流に位置することによって、空気は吸引部材の側部の空間を通って上昇し、そして吸引部材の上部の空間を通った後、吸引部材の反対側の側部の空間を通って下降し、吸引部材の下部に形成された吸引口まで流れるというように吸引部材の周りを略一周するので、下降気流に勢いがつきやすい。
【0012】
また、本発明の排気装置が、第2の空気室の上流側に位置する受液槽と連通する水路と、水路の内部に配置されると共に回転可能に構成された網目部材とを備え、半筒体領域の一方の端部が他方の端部より下方に位置すると共に、下方に位置する端部に開口部が形成され、開口部は水路に面する場合、半筒体領域で生成した渦流によって渦流の中心に集められた粉塵は、半筒体領域内を液体と共に自然に流下して開口部から水路に放出され、水路に配置された網目部材によって粉塵は液体から分離され、分離された粉塵を網目部材の回転によって回収できる。
なお、ここで「開口部は水路に面する」とは、直接、開口部が水路に面する場合だけでなく、開口部に連結した導管等の口が水路に面する場合も含まれる。
【0013】
また、上記の目的を達成するために、本発明の塗装作業用装置は、底部と、該底部の上方に位置して該底部との間に液体が流れる流液空間を形成する格子状の床部材とを有する塗装作業室と、前記流液空間に通じると共に、液体を受け入れる受液槽と、該受液槽と連通する排気装置とを備え、該排気装置は、空気を吸引する吸引手段と、該吸引手段の上流側に位置すると共に該吸引手段と連通する第1の空気室と、該第1の空気室の上流側に位置すると共に該第1の空気室と連通する第2の空気室とを備え、前記吸引手段と、前記第1の空気室と、前記第2の空気室とによって、空気が流れる気流通路が形成され、前記第2の空気室は、前記受液槽よりも下流側に位置すると共に、前記第2の空気室の気流通路の開口部が前記受液槽の液面に面しており、前記第2の空気室は、断面が半円弧形状の半筒体領域を有する。
【0014】
ここで、塗装作業室の流液空間に通じる受液槽が、排気装置と連通することによって、塗装作業室における塗装作業によって発生した粉塵を含む汚染空気は、塗装作業室の底部に向けて流れ、排気装置の第2の空気室へ入り込む。
また、第2の空気室は、受液槽よりも下流側に位置すると共に、第2の空気室の気流通路の開口部が受液槽の液面に面していることによって、気流通路を流れる空気によって受液槽の液面が第2の空気室の内部へ向けて波立ち、排気される空気例えば粉塵を含む汚染空気が、気流通路を流れる途中で、波立った受液槽の液体に必ず当たるので、受液槽の液体に当たった後の汚染空気に含まれる粉塵は、従来のような噴霧水を吹きかけられた汚染空気に含まれる粉塵に比べて粘着性を抑えることができる。
また、断面が半円弧形状の半筒体領域によって、受液槽の液体に当たって液体を含んだ汚染空気は半筒体領域において渦流となり、渦流の中心に未塗着の塗料等の粉塵を集めることができると共に微細気泡を生じさせて液体の腐敗を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る排気装置は、目詰まりが発生しにくい。
本発明に係る塗装作業用装置は、目詰まりが発生しにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明の排気装置の一例を説明する概略図である。
本発明の排気装置1は、空気を吸引するターボファン(吸引手段の一例である。)2と、ターボファン2の上流側に位置すると共にターボファン2と排気誘引管11を介して連通する第1の空気室3と、第1の空気室3の上流側に位置すると共に第1の空気室3と連通する第2の空気室4とを備える。
また、ターボファン2と、第1の空気室3と、第2の空気室4とによって、空気流方向6へ空気が流れる気流通路が形成される。
更に、第2の空気室4は、図1に示すように、内側部材4Aと外側部材4Bによって円弧状に構成されている。また、第2の空気室4は、水(液体の一例である。)5を受け入れる受水槽(受液槽の一例である。)7よりも下流側に位置すると共に、第2の空気室4の気流通路の開口部が受水槽7の水面に面している。
また、第2の空気室4は、受水槽7の水面から離れた位置に、外側部材4Bの一部が丸められて構成された、断面が半円弧形状の半筒体領域4Cを有する。
また、第2の空気室4の気流通路の開口部付近には、円弧状の案内板8が取付けられており、これにより、汚染空気や水5が第2の空気室4内へ入りやすくなる。
【0017】
また、第1の空気室3は、ターボファン2と連通する円筒状の吸引部材3Aと、吸引部材3Aとの間に空間を形成する外壁部材3Bと、吸引部材3Aの下部に形成された空間を塞ぐ仕切り部材3Cとで構成される。
また、吸引部材3Aの下部に吸引口3Dが形成され、吸引口3Dは、仕切り部材3Cよりも下流に位置する。また、吸引部材3Aの吸引口3D付近には、吸引部材3Aの外壁面から下方に延伸して遮蔽板9が取付けられている。
【0018】
図2は、本発明の排気装置によって粉塵滓を回収する様子の一例を示す概略図である。
本発明の排気装置1は、第2の空気室4の上流側に位置する受水槽7の側壁に形成された連絡口4Gに接続して受水槽7と連通する水路12と、水路12を遮断するように水路12の内部に配置されると共に駆動モータ19によって回転方向20へ回転する構成とされた網目部材18とを備え、半筒体領域4Cの一方の端部が他方の端部より下方に位置すると共に、下方に位置する端部に開口部4Fが形成されており、開口部4Fは水路12に面している。また、網目部材18は、その一部を水路12の底部に置き、水5に浸水させている。
また、開口部4Fには導管13が連結されており、導管13は水路12に向けられ、導管13の先端には円板形状の開閉蓋14が取付けられている。また、開閉蓋14の開閉は、大気圧を利用する。
【0019】
次に、図1及び図2を参照して、粉塵回収の方法を説明する。
ターボファン2による吸引によって、空気流方向6に沿った空気の流れ、即ち第2の空気室4から第1の空気室3内へ入り、更に第1の空気室3から排気誘引管11を通って外へ排気される空気の流れが生じる。このような空気の流れに基づき、本発明の構成部材の位置関係が、「上流」「下流」という言葉で表現されている。
このような空気の流れにより、第2の空気室4に連通した領域内の空気例えば粉塵等を含む汚染空気が、第2の空気室4内に吸い込まれる。
【0020】
第2の空気室4内に吸い込まれた汚染空気は、第2の空気室4を通り第1の空気室3へと流れていくわけだが、第2の空気室4の上流側には受水槽7があり、図1に示すように第2の空気室4の気流通路の開口部が受水槽7の水面に面しているので、気流通路を流れる汚染空気によって受水槽7の水面が第2の空気室4の内部へ向けて波立ち、汚染空気が、気流通路を流れる途中で、受水槽7の波立った水5に隙間4Dにおいて必ず当たり、更に、波立った水5は汚染空気と共に激しく第2の空気室4の内部へ吸い上げられて飛散水10が生じる。
【0021】
また、第2の空気室4の内部へ吸い上げられた飛散水10と汚染空気は、第2の空気室4が内側部材4Aと外側部材4Bによって円弧状に構成されているので、遠心力によって飛散水10や汚染空気が外側部材4Bの方へ押しやられ、外側部材4Bに沿って飛散水10と汚染空気は半筒体領域4Cへ送られる。
また、求心力によって内側部材4Aの方へも飛散水10と汚染空気が押しやられ、内側部材4Aに沿って、第1の空気室3と繋がる開放口4Eを通って、飛散水10と汚染空気が第1の空気室3内に送られる。
【0022】
次に、飛散水10と共に汚染空気が半筒体領域4Cへ送られると、半筒体領域4Cにおいて飛散水10と汚染空気は回転撹拌されて渦流が生じ、回転の遠心力によって飛散水10は外側へ押しやられ、飛散水10に捕捉された粉塵は、発生する大量の微細気泡16と共に求心力で渦流の中心に凝集し、粉塵滓17が生成される。そして、大量の微細気泡16によって粉塵滓17は飛散水10において浮力により中心部に寄せられる。
また、半筒体領域4Cの一方の端部が他方の端部より下方に位置すると共に、下方に位置する端部に開口部4Fが形成されているので、飛散水10と粉塵滓17は自然に流下して開口部4Fから出て導管13内に流入し、導管13内に飛散水10と粉塵滓17がある程度溜まると、重みで開閉蓋14が開き、導管13内が空になると負圧で開閉蓋14は閉じる。開閉蓋14が開くと、飛散水10と粉塵滓17は、水路12へ排出される。
【0023】
また、水路12は、第2の空気室4の上流側に位置する受水槽7の側壁に形成された連絡口4Gに接続して受水槽7と連通しているので、水路12には水5が張られており、排出された飛散水10と粉塵滓17は、大量の微細気泡16と共に水5に合流し、粉塵滓17は大量の微細気泡16によって水5において浮上する。また、網目部材18を通過した水5を送水ポンプ(図示せず。)によって吸い上げているので、網目部材18へ向かう水5の流れが生じている。
また、網目部材18へ向かう水5の流れに乗って、浮上した粉塵滓17が網目部材18に至り、ベルトコンベアのように回転する網目部材18に粉塵滓17が乗り上げ、水5と粉塵滓17が分離されて粉塵滓17が回収される。
【0024】
一方、半筒体領域4Cに送られた汚染空気は反転して逆流し、内側部材4Aに沿って流れてきた汚染空気や飛散水10とぶつかりながら、より広い空間へ向かおうとするため、半筒体領域4Cの近傍に位置すると共に第1の空気室3と繋がる開放口4Eを通って、内側部材4Aに沿って流れてきた汚染空気や飛散水10と共に、第1の空気室3内に送られる。
そして、第1の空気室3内に送られた汚染空気は、吸引部材3Aの下部に形成された空間を仕切り部材3Cが塞いでいるので、第1の空気室3内を上昇して第1の空気室3の天井に向かい、吸引部材3Aの上部の空間を通って吸引部材3Aの側部の空間へ流れ込む際、空気の流れは、下降気流となって第1の空気室3の下部を構成する外壁部材(ここでは、第2の空気室4の外壁部材を共有している。)に当たり、その衝撃で汚染空気に含まれる粉塵等は外壁部材に付着し、粉塵等が取除かれた空気が再び上昇して吸引口3Dへ流れ込む。
この場合、仕切り部材3C付近に粉塵や飛散水10が堆積しやすいので、仕切り部材3C付近に、粉塵や飛散水10を水路12へ排出させる排出穴を形成してもよい。
なお、円筒状の吸引部材3Aの一端は、図1に示すように排気誘引管11に連通しており、他方の端部は、図示していないが外壁部材で塞がれている。
そして、吸引口3Dへ流れ込んだ空気は、排気誘引管11を通って屋外へ排気される。
【0025】
ここで、本発明の排気装置が、空気を吸引する吸引手段と、吸引手段の上流側に位置すると共に吸引手段と連通する第1の空気室と、第1の空気室の上流側に位置すると共に第1の空気室と連通する第2の空気室とを備え、吸引手段と、第1の空気室と、第2の空気室とによって、空気が流れる気流通路が形成され、第2の空気室は、液体を受け入れる受液槽よりも下流側に位置すると共に、第2の空気室の気流通路の開口部が受液槽の液面に面しており、第2の空気室は、断面が半円弧形状の半筒体領域を有するのであれば、必ずしも第1の空気室は、吸引手段と連通する吸引部材と、吸引部材との間に空間を形成する外壁部材と、吸引部材の下部に形成された空間を塞ぐ仕切り部材とで構成されなくてもよいが、第1の空気室が、吸引手段と連通する吸引部材と、吸引部材との間に空間を形成する外壁部材と、吸引部材の下部に形成された空間を塞ぐ仕切り部材とで構成されていれば、仕切り部材によって吸引部材の下部の空間が塞がれているので、第2の空気室から流れてきた空気は吸引部材の下部の空間を流れずに、例えば吸引部材の上部の空間から吸引部材の側部の空間へ流れ込む際、空気の流れは、下降気流となって第1の空気室の下部を構成する外壁部材に当たり、その衝撃で空気に含まれる粉塵等は外壁部材に付着し、粉塵等が取除かれた空気が吸引部材へ流れていくので好ましい。
【0026】
また、本発明の排気装置が、空気を吸引する吸引手段と、吸引手段の上流側に位置すると共に吸引手段と連通する第1の空気室と、第1の空気室の上流側に位置すると共に第1の空気室と連通する第2の空気室とを備え、吸引手段と、第1の空気室と、第2の空気室とによって、空気が流れる気流通路が形成され、第2の空気室は、液体を受け入れる受液槽よりも下流側に位置すると共に、第2の空気室の気流通路の開口部が受液槽の液面に面しており、第2の空気室は、断面が半円弧形状の半筒体領域を有するのであれば、必ずしも吸引部材の下部に吸引口が形成されなくてもよく、吸引口は、仕切り部材よりも下流に位置しなくてもよいが、吸引部材の下部に吸引口が形成され、吸引口は、仕切り部材よりも下流に位置していれば、吸引部材の上部の空間を空気が流れる際、空気に含まれる液体が吸引部材に落ちても吸引口が下部に形成されているので吸引部材内に液体が入り込みにくく、また、吸引口は、仕切り部材よりも下流に位置することによって、空気は吸引部材の側部の空間を通って上昇し、そして吸引部材の上部の空間を通った後、吸引部材の反対側の側部の空間を通って下降し、吸引部材の下部に形成された吸引口まで流れるというように吸引部材の周りを略一周するので、下降気流に勢いがつきやすいため好ましい。
【0027】
また、本発明の排気装置が、空気を吸引する吸引手段と、吸引手段の上流側に位置すると共に吸引手段と連通する第1の空気室と、第1の空気室の上流側に位置すると共に第1の空気室と連通する第2の空気室とを備え、吸引手段と、第1の空気室と、第2の空気室とによって、空気が流れる気流通路が形成され、第2の空気室は、液体を受け入れる受液槽よりも下流側に位置すると共に、第2の空気室の気流通路の開口部が受液槽の液面に面しており、第2の空気室は、断面が半円弧形状の半筒体領域を有するのであれば、必ずしも第2の空気室の上流側に位置する受液槽と連通する水路と、水路の内部に配置されると共に回転可能に構成された網目部材とを備えなくてもよく、筒体領域の一方の端部が他方の端部より下方に位置すると共に、下方に位置する端部に開口部が形成されていなくてもよく、開口部は水路に面していなくてもよいが、本発明の排気装置が、第2の空気室の上流側に位置する受液槽と連通する水路と、水路の内部に配置されると共に回転可能に構成された網目部材とを備え、半筒体領域の一方の端部が他方の端部より下方に位置すると共に、下方に位置する端部に開口部が形成され、開口部は水路に面していれば、半筒体領域で生成した渦流によって渦流の中心に集められた粉塵は、半筒体領域内を液体と共に自然に流下して開口部から水路に放出され、水路に配置された網目部材によって粉塵は液体から分離され、分離された粉塵を網目部材の回転によって回収できるので、好ましい。
【0028】
図3は、本発明の塗装作業用装置の一例を示す概略図である。
本発明の塗装作業用装置21は、傾斜した底部31と、底部31の上方に位置して底部31との間に水が流れる流水空間27を形成する格子状の床部材26とを有する塗装作業室22と、塗装作業室22と連通する本発明の排気装置1とを備える。また、流水空間27には受水槽7が通じており、受水槽7の下流側には排気装置1の第2の空気室4が位置して受水槽7と通じており、第2の空気室4の気流通路の開口部が受水槽7の水面に面している。
【0029】
塗装作業室22において、被塗装物29への例えばスプレー噴霧によって発生した粉塵を含む汚染空気は、本発明の排気装置1の第2の空気室4内に吸い込まれる。
また、スプレー噴霧によって発生した粉塵の中には、垂直壁30を伝って滝のように流れ落ちる循環水24に捕捉されて循環水24と共に受水槽7へ入る粉塵や、格子状の床部材26を通過して流水空間27内の水に捕捉されて受水槽7へ入る粉塵がある。
【0030】
ここで、循環水24は、網目部材18を通過して粉塵滓17が分離回収された水が送水ポンプによって塗装作業室22に送られてきたものである。また、循環水24は、垂直壁30の全幅にわたって垂直壁30に隣接して塗装作業室22の天井付近に設けられた天井側水樋23と、底部31の全幅にわたって塗装作業室22の底部31に設けられた底部側水桶28とに導入される。
天井側水樋23から溢れた循環水24が、垂直壁30を伝って滝のように流れ落ち、また、底部側水桶28は流水空間27と繋がっており、底部31の傾斜と循環水24の流れによって流水空間27内の水に流水方向25への流れが生じる。
【0031】
スプレー噴霧によって発生した粉塵を含む汚染空気も、スプレー噴霧によって発生した粉塵を捕捉した垂直壁30を伝って流れ落ちる循環水24も、格子状の床部材26を通過した粉塵を捕捉した流水空間27内の水も、本発明の排気装置1の第2の空気室4内に吸い込まれ、汚染空気や飛散水10として半筒体領域4Cへ送られる。
【0032】
以上のように、本発明の排気装置1の第2の空気室4は、受水槽7よりも下流側に位置すると共に、第2の空気室4の気流通路の開口部が受水槽7の水面に面しているので、気流通路を流れる空気によって受水槽7の水面が第2の空気室4の内部へ向けて波立ち、粉塵を含む汚染空気が、気流通路を流れる途中で、波立った受水槽7の水5に必ず当たるので、受水槽7の水5に当たった後の汚染空気に含まれる粉塵は、従来のような噴霧水を吹きかけられた汚染空気に含まれる粉塵に比べて粘着性を抑えることができ、よって目詰まりが発生しにくくなる。
【0033】
また、本発明の排気装置1の第1の空気室3は、ターボファン2と連通する円筒状の吸引部材3Aと、吸引部材3Aとの間に空間を形成する外壁部材3Bと、吸引部材3Aの下部に形成された空間を塞ぐ仕切り部材3Cとで構成されているので、第2の空気室4から流れてきた空気は吸引部材3Aの下部の空間を流れずに、吸引部材3Aの上部の空間から吸引部材の側部の空間へ流れ込む際、空気の流れは、下降気流となって第1の空気室3の下部を構成する外壁部材に当たり、その衝撃で空気に含まれる粉塵等は外壁部材に付着し、粉塵等が取除かれた空気を吸引部材3Aへ流すことができる。
【0034】
また、吸引部材3Aの下部に吸引口3Dが形成され、吸引口3Dは、仕切り部材3Cよりも下流に位置するので、吸引部材3Aの上部の空間を空気が流れる際、空気に含まれる水が吸引部材3Aに落ちても吸引口3Dが下部に形成されているので吸引部材3A内に水が入り込みにくく、更に、吸引口3Dは、仕切り部材3Cよりも下流に位置することによって、空気は吸引部材3Aの側部の空間を通って上昇し、そして吸引部材3Aの上部の空間を通った後、吸引部材3Aの反対側の側部の空間を通って下降し、吸引部材3Aの下部に形成された吸引口3Dまで流れるというように吸引部材3Aの周りを略一周するので、下降気流に勢いがつきやすい。
【0035】
また、本発明の排気装置1は、第2の空気室4の上流側に位置する受水槽7の側壁に形成された連絡口4Gに接続して受水槽7と連通する水路12と、水路12を遮断するように水路12の内部に配置されると共に駆動モータ19によって回転方向20へ回転する構成とされた網目部材18とを備え、半筒体領域4Cの一方の端部が他方の端部より下方に位置すると共に、下方に位置する端部に開口部4Fが形成されており、開口部4Fは水路12に面しているので、半筒体領域で生成した渦流によって渦流の中心に集められた粉塵(粉塵滓17)は、半筒体領域4C内を水(飛散水10)と共に自然に流下して開口部4Fから水路に放出され、水路12に配置された網目部材18によって粉塵滓17は水から分離され、分離された粉塵滓17を網目部材18の回転によって回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の排気装置の一例を説明する概略図である。
【図2】本発明の排気装置によって粉塵滓を回収する様子の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の塗装作業用装置の一例を示す概略図である。
【図4】従来の空気浄化装置を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0037】
1 排気装置
2 ターボファン
3 第1の空気室
3A 吸引部材
3B 外壁部材
3C 仕切り部材
3D 吸引口
4 第2の空気室
4A 内側部材
4B 外側部材
4C 半筒体領域
4D 隙間
4E 開放口
4F 開口部
4G 連絡口
5 水
6 空気流方向
7 受水槽
8 案内板
9 遮蔽板
10 飛散水
11 排気誘引管
12 水路
13 導管
14 開閉蓋
16 微細気泡
17 粉塵滓
18 網目部材
19 駆動モータ
20 回転方向
21 塗装作業用装置
22 塗装作業室
23 天井側水樋
24 循環水
25 流水方向
26 格子状の床部材
27 流水空間
28 底部側水桶
29 被塗装物
30 垂直壁
31 底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を吸引する吸引手段と、
該吸引手段の上流側に位置すると共に該吸引手段と連通する第1の空気室と、
該第1の空気室の上流側に位置すると共に該第1の空気室と連通する第2の空気室とを備え、
前記吸引手段と、前記第1の空気室と、前記第2の空気室とによって、空気が流れる気流通路が形成され、
前記第2の空気室は、液体を受け入れる受液槽よりも下流側に位置すると共に、前記第2の空気室の気流通路の開口部が前記受液槽の液面に面しており、
前記第2の空気室は、断面が半円弧形状の半筒体領域を有する
排気装置。
【請求項2】
前記第1の空気室は、前記吸引手段と連通する吸引部材と、
該吸引部材との間に空間を形成する外壁部材と、
前記吸引部材の下部に形成された空間を塞ぐ仕切り部材とで構成される
請求項1に記載の排気装置。
【請求項3】
前記吸引部材の下部に吸引口が形成され、
該吸引口は、前記仕切り部材よりも下流に位置する
請求項2に記載の排気装置。
【請求項4】
前記第2の空気室の上流側に位置する前記受液槽と連通する水路と、
該水路の内部に配置されると共に回転可能に構成された網目部材とを備え、
前記半筒体領域の一方の端部が他方の端部より下方に位置すると共に、下方に位置する端部に開口部が形成され、
該開口部は前記水路に面する
請求項1〜3のいずれか1つに記載の排気装置。
【請求項5】
底部と、該底部の上方に位置して該底部との間に液体が流れる流液空間を形成する格子状の床部材とを有する塗装作業室と、
前記流液空間に通じると共に、液体を受け入れる受液槽と、
該受液槽と連通する排気装置とを備え、
該排気装置は、
空気を吸引する吸引手段と、
該吸引手段の上流側に位置すると共に該吸引手段と連通する第1の空気室と、
該第1の空気室の上流側に位置すると共に該第1の空気室と連通する第2の空気室とを備え、
前記吸引手段と、前記第1の空気室と、前記第2の空気室とによって、空気が流れる気流通路が形成され、
前記第2の空気室は、前記受液槽よりも下流側に位置すると共に、前記第2の空気室の気流通路の開口部が前記受液槽の液面に面しており、
前記第2の空気室は、断面が半円弧形状の半筒体領域を有する
塗装作業用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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