説明

排水配管構造

【課題】建築物において火災の上階への延焼を防止しながら横枝管に可燃性の樹脂製管を使用することができる排水配管構造を提供する。
【解決手段】排水配管構造1は、床スラブ7の貫通孔8内に配置され上部が上階に突出し突出する部分に上部接続部および横枝管接続部10を有する耐火二層構造の排水管継手3と、上部接続部に接続される耐火二層管5と、横枝管接続部に接続されて上階で生じた排水を排水管継手に流入させるための可燃性樹脂製の横枝管4とで構成され、熱膨張性耐火材2が、横枝管、立て管、または上記接続部において管径方向外方への熱膨張が阻止された状態で設けられて、所定温度以上になると内方に膨張して管内流路を閉じまたは管内流路面積を減少させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンション等の集合住宅または事務所ビル等で各階において発生する排水を集合させ下階に送り出す排水配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばマンションでは、各階において最上階から下に向けて上階と下階との防火区画等である床スラブを貫通して排水立て配管が設けられており、各階で発生する生活排水は上から下に集められながら落下した後、ベンド管及び排水横主管を経て下水管に送り出される。
ところで、このような、建築物の防火区画を貫通する排水立て配管は、下階で発生した火災が排水立て配管を通して上階に延焼しないように、従来、床スラブを貫通して配管される排水管継手およびこれに接続される排水立て管をそれぞれ不燃性の材料で形成した排水立て配管としていた。不燃性の材料で排水立て配管を形成するのは火災が生じた場合に、所定時間は排水立て配管が燃え広がらない状態を維持するようにするためであり、不燃性の排水立て配管としては鋳鉄管、鋼管等の金属製の排水管が使用されていた。また、金属製排水管に代えて軽量で不燃性を有する耐火二層管が使用される場合もあり、その継手構造についても種々の方式が提案されている(特許文献1,2)。
【特許文献1】特開2001−107409号公報
【特許文献2】特開2005−282330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
金属製の排水管および耐火二層管は、不燃性であることからマンション等における排水配管として使用するのに適している。しかし、金属製の排水管および耐火二層管は運搬性および施工性(作業現場での加工性)に若干の難点がある。
一方、上水道および下水道に広く使用される硬質塩化ビニル樹脂製等の可燃性樹脂製の管(以下「樹脂製管」という)は、これらの不燃性の配管材に比べて軽量でありかつ施工性および価格の点で優れるが、樹脂製管を排水横枝管として用いた場合、火災が発生すると樹脂製管が燃え出し、例え床スラブを貫通する排水管継手および排水立て配管に耐火二層構造のものを用いた場合であっても、下層階で発生した火災の炎および煙等が上層階に達するのを防ぐことはできなかった。
【0004】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、マンション等の建築物における排水用配管において、横枝管として可燃性の樹脂製管を使用しても下層階で発生した火災の炎および煙等が上層階へ達するのを防止することが可能な排水配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明に係る排水配管構造は、建築物内における排水管継手および排水管で構成された排水配管構造であって、前記排水管継手は、床スラブの上階と下階とを貫通する貫通孔内にその上部が前記上階に突出しかつその下部が前記下階に突出するようにして配置され、内部流路を形成する可燃性材料からなる内部流路形成体および前記内部流路形成体の外面を覆う不燃性材料からなる耐火層形成体で形成され、前記上階に突出する部分には、上部接続部および横枝管接続部を有し、前記排水管は、可燃性材料からなる内管および前記内管の外周を覆う不燃性材料からなる外管で形成され前記上階よりも上層からの排水を前記排水管継手に流入させるために前記上部接続部に接続された立て管と、可燃性樹脂で形成され前記上階で生じた排水を前記排水管継手に流入させるために前記横枝管接続部に接続された横枝管と、からなり、前記横枝管接続部に、不燃性材料からなる筒状の防火材が流路の一部となるように、また内側が直接または間接的な流路となる略筒状の熱膨張性耐火材が前記防火材よりも前記横枝管側に設けられており、前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記横枝管接続部内の流路を閉じまたは流路の面積を減少させるように構成される。
【0006】
本発明に係る他の排水配管構造では、前記排水管継手は、床スラブの上階と下階とを貫通する貫通孔内にその上部が前記上階に突出しかつその下部が前記下階に突出するようにして配置され、内部流路を形成する可燃性材料からなる内部流路形成体および前記内部流路形成体の外面を覆う不燃性材料からなる耐火層形成体で形成され、前記上階に突出する部分に上部接続部および横枝管接続部を有し、前記排水管は、可燃性材料からなる内管および前記内管の外周を覆う不燃性材料からなる外管で形成され前記上階よりも上層からの排水を前記排水管継手に流入させるために前記上部接続部に接続された立て管と、可燃性樹脂で形成され前記上階で生じた排水を前記排水管継手に流入させるために前記横枝管接続部に接続された横枝管と、少なくとも外面が不燃性材料で形成され前記横枝管と前記横枝管接続部とを連結する横接続管と、からなり、前記横接続管内の流路の周囲に不燃性材料からなる防火材および熱膨張性耐火材が設けられており、前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記横接続管の流路を閉じまたは流路面積を減少させるように構成される。
【0007】
本発明に係る他の排水配管構造では、前記排水管継手は、床スラブの上階と下階とを貫通する貫通孔内にその上部が前記上階に突出しかつその下部が前記下階に突出するようにして配置され、内部流路を形成する可燃性材料からなる内部流路形成体および前記内部流路形成体の外面を覆う不燃性材料からなる耐火層形成体で形成され、前記上階に突出する部分に上部接続部および横枝管接続部を有し、前記排水管は、可燃性材料からなる内管および前記内管の外周を覆う不燃性材料からなる外管で形成され前記上階よりも上層からの排水を前記排水管継手に流入させるために前記上部接続部に接続された立て管と、可燃性樹脂で形成され前記上階で生じた排水を前記排水管継手に流入させるために前記横枝管接続部に接続された横枝管と、金属製材料で形成され前記横枝管と前記横枝管接続部とを連結する横接続管と、からなり、前記横接続管内の流路の周囲に熱膨張性耐火材が設けられており、前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記横接続管の流路を閉じまたは流路面積を減少させるように構成される。
【0008】
また、本発明に係る他の排水配管構造では、前記排水管継手は、床スラブの上階と下階とを貫通する貫通孔内にその上部が前記上階に突出しかつその下部が前記下階に突出するようにして配置され、内部流路を形成する可燃性材料からなる内部流路形成体および前記内部流路形成体の外面を覆う不燃性材料からなる耐火層形成体で形成され、前記上階に突出する部分に上部接続部および横枝管接続部を有し、前記排水管は、可燃性材料からなる内管および前記内管の外周を覆う不燃性材料からなる外管で形成され前記上階よりも上層からの排水を前記排水管継手に流入させるために前記上部接続部に接続された立て管と、可燃性樹脂で形成され前記上階で生じた排水を前記排水管継手に流入させるために前記横枝管接続部に接続された横枝管と、からなり、前記横枝管接続部の内側に当該流路径よりも長い距離にわたって熱膨張性耐火材が設けられており、前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記上部接続部の管内流路を閉じまたは管内流路面積を減少させるように構成される。
【0009】
本発明に係る他の排水配管構造では、前記排水管継手は、床スラブの上階と下階とを貫通する貫通孔内にその上部が前記上階に突出しかつその下部が前記下階に突出するようにして配置され、内部流路を形成する可燃性材料からなる内部流路形成体および前記内部流路形成体の外面を覆う不燃性材料からなる耐火層形成体で形成され、前記上階に突出する部分に上部接続部および横枝管接続部を有し、前記排水管は、可燃性材料からなる内管および前記内管の外周を覆う不燃性材料からなる外管で形成され前記上階よりも上層からの排水を前記排水管継手に流入させるために前記上部接続部に接続された立て管と、可燃性樹脂で形成され前記上階で生じた排水を前記排水管継手に流入させるために前記横枝管接続部に接続された横枝管と、からなり、前記上部接続部の内側に当該流路径よりも長い距離にわたって熱膨張性耐火材が設けられており、前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記上部接続部の管内流路を閉じまたは管内流路面積を減少させるように構成される。
【0010】
本発明に係る他の排水配管構造では、前記排水管継手は、床スラブの上階と下階とを貫通する貫通孔内にその上部が前記上階に突出しかつその下部が前記下階に突出するようにして配置され、内部流路を形成する可燃性材料からなる内部流路形成体および前記内部流路形成体の外面を覆う不燃性材料からなる耐火層形成体で形成され、前記上階に突出する部分に上部接続部および横枝管接続部を有し、前記排水管は、可燃性材料からなる内管および前記内管の外周を覆う不燃性材料からなる外管で形成され前記上階よりも上層からの排水を前記排水管継手に流入させるために前記上部接続部に接続された立て管と、可燃性樹脂で形成され前記上階で生じた排水を前記排水管継手に流入させるために前記横枝管接続部に接続された横枝管と、少なくとも外面が不燃性材料で形成され前記立て管と前記上部接続部とを連結する立て接続管と、からなり、前記立て接続管内の流路の周囲に不燃性材料からなる防火材および熱膨張性耐火材が設けられており、前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記横接続管の流路を閉じまたは流路面積を減少させるように構成される。
【0011】
本発明に係る他の排水配管構造では、前記排水管継手は、床スラブの上階と下階とを貫通する貫通孔内にその上部が前記上階に突出しかつその下部が前記下階に突出するようにして配置され、内部流路を形成する可燃性材料からなる内部流路形成体および前記内部流路形成体の外面を覆う不燃性材料からなる耐火層形成体で形成され、前記上階に突出する部分に上部接続部および横枝管接続部を有し、前記排水管は、可燃性材料からなる内管および前記内管の外周を覆う不燃性材料からなる外管で形成され前記上階よりも上層からの排水を前記排水管継手に流入させるために前記上部接続部に接続された立て管と、可燃性樹脂で形成され前記上階で生じた排水を前記排水管継手に流入させるために前記横枝管接続部に接続された横枝管と、少なくとも外面が金属製材料で形成され前記立て管と前記上部接続部とを連結する接続部材と、からなり、前記接続部材内の流路の周囲に熱膨張性耐火材が設けられており、前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記接続部材の流路を閉じまたは流路面積を減少させるように構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、マンション等の建築物における排水用配管において、横枝管に可燃性の樹脂製管を使用しても下層階で発生した火災の炎および煙等が上層階へ達するのを防止することが可能な排水配管構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[実施例1]
図1は本発明に係る排水配管構造1を示す図、図2は排水配管構造1に熱膨張性耐火材2が取り付けられた様子を示す正面部分断面図である。
図1および図2において、排水配管構造1は、排水管継手3、横枝管4、上部立て管5および横接続管6等を1単位として構成される。通常は、各階を区画する床スラブ7ごとに各階に排水配管構造1が設置され、各階の排水配管構造1がそれぞれ上下で連続するように接続されている。
【0014】
排水管継手3は、建築物の上階と下階とを区画する防火区画である床スラブ7を貫通する貫通孔8内に、上部を上階におよび下部を下階にそれぞれ突出させて固定されている。排水管継手3は、突出する上階で発生した排水(そのさらに上階がある場合はそのさらに上階で発生した排水を含む)を集めて下部立て管5dに流下させるためのものである。なお、貫通孔8は、床スラブ7に設けられた貫通する孔とその中に収容された排水管継手3との間にモルタル、セメントなどの不燃性充填材料が充填された状態における床スラブ7を貫通する孔をいうものとする。
【0015】
排水管継手3は、床スラブ7から上階に突出する部分に上部接続部9および横枝管接続部10を有し、床スラブ7から下階に突出する部分に下部接続部11を有する。排水管継手3は、硬質塩化ビニル樹脂製の内管12v,12hを繊維モルタルの外管13v,13hで被覆した耐火二層構造を有する。排水管継手3は、上部が略円柱であり下部が略円錐形の外観を有し、内部が上下方向に空洞の排水流路14となっている。なお、排水管継手3の構成物を内管12v,12hおよび外管13v,13hと称するが、これらは、単なる棒状の管ではなく排水管継手3の有する機能に応じた形状を有するものである。
【0016】
上部接続部9には、排水管継手3が突出する上階のさらに上階で発生する排水が流下する上部立て管5が接続されている。上部接続部9は、内管12vに設けられ上方に開口する立て管挿入孔15、およびこの内管12vの外周を被覆する外管13vからなる。
上部接続部9は、立て管挿入孔15に上部立て管5の内管5aが挿入されることにより上部立て管5に接続されている。立て管挿入孔15に挿入された上部立て管5の内管5aと立て管挿入孔15内周との間は、シール用のゴムリング16によりシールされている。なお、上部立て管5は、排水管継手3と同様に硬質塩化ビニル樹脂製の内管5aを繊維モルタルの外管5bで被覆した耐火二層管が使用されている。
【0017】
横枝管接続部10には、排水管継手3が突出する上階で発生する排水を集めて流す横枝管4が接続されている。横枝管接続部10は、内管12hが側方に開口し、開口する端近傍が、後述する横接続管6の挿入部17の外径よりも内径が若干大きな横管挿入孔18となっている。横枝管接続部10には、横管挿入孔18に横接続管6の挿入部17を挿入させて横接続管6が接続される。
下部接続部11には、排水管継手3に集められた排水を下方に送り出すための下部立て管5dが接続されている。ここで、下部立て管5dは、さらに下の排水配管構造1における上部立て管5に相当するものであり、硬質塩化ビニル樹脂製の内管5aを繊維モルタルの外管5bで被覆した耐火二層管が使用されている。下部接続部11は、上に説明した上部接続部と同様に、下方に向けて内管12dが開口し、内管12d内に下部立て管5dの内管5aが挿入されて、これらの間がシール用のゴムリング16によりシールされている。
【0018】
横枝管4は、設置された階のトイレ、洗面所および風呂場等で発生する排水を排水管継手3に送るためのものである。横枝管4は、排水の発生場所ごとに、または異なる発生場所の排水が途中で集合されて、1本または複数本が排水管継手3に接続される。排水配管構造1においては、横枝管4は横接続管6を介して排水管継手3に接続されている。横枝管4は硬質塩化ビニル樹脂で製作された円管を用いて形成されている。
上部立て管5は、さらに上階で発生する排水を、排水管継手3に流下させるためのものである。上部立て管5は、下端が排水管継手3の上部接続部9に接続され、上端が、1つ上階の床スラブ7uにおける貫通孔8uに取り付けられた排水管継手3uの下部接続部11uに接続されている。上部立て管5は、上に説明したとおり、硬質塩化ビニル樹脂製の内管5aを繊維モルタルの外管5bで被覆した耐火二層管である。
【0019】
横接続管6は、図2および図3を参照して、一端(排水管継手3側の端)に円筒状の挿入部17、一端側で挿入部17を嵌入し接着固定する円筒状の防火材支持部19、一端側で防火材支持部19を嵌入し接着固定する円筒状の膨張材支持部20、他端側(横枝管4側)で膨張材支持部20に嵌入され接着固定された円筒状の横枝管挿入部21、これらの外周を覆う耐火層22、防火材支持部19の内側に嵌め込まれた円筒状の防火材23、および膨張材支持部20の内側に嵌め込まれた円筒状の熱膨張性耐火材2からなる。
防火材23は、その内径および外径が挿入部17の内径および外径と略等しく、一端が挿入部17の端24に当接され、他端が防火材支持部19の端25と並ぶようにして、防火材支持部25の内側に嵌め込まれている。つまり、挿入部17の端24と防火材支持部19の端25との間隔は、防火材23の適切な長さによって決定される。防火材23の長さL1は、横枝管4が燃焼するときに横接続管6内に入り込む火炎の長さを考慮して決定され、通常は5cm以上とするのが好ましい。
【0020】
熱膨張性耐火材2は、防火材支持部19と横枝管挿入部21との間に嵌め込まれている。つまり、防火材支持部19と横枝管挿入部21との間隔は、熱膨張性耐火材2の適切な長さによって決定される。
熱膨張性耐火材2は、熱膨張黒鉛を含有するゴム系材料や樹脂製材料などからなり、温度が200℃以上になったときに熱膨張してその体積が5〜40倍に膨張するものが使用される。熱膨張性耐火材2は、接続される横枝管4の外径の40分の1以上の厚みを有し管軸方向の長さが3cm以上であることが好ましく、4cm以上とするのがより好ましい。
【0021】
このような熱膨張性耐火材2として、積水化学工業株式会社の商品「フィブロック」(登録商標)が市販されている。
この他に、温度120℃から熱膨張を開始し体積が4倍以上に膨張する因幡電機産業株式会社製の商品「熱膨張性耐熱シール材IP」、温度850℃で30分加熱後に発泡して4倍以上に膨張するニチアス株式会社製の商品「バーモフレックス」(登録商標)、および温度120℃で変性が開始され温度260℃で顕著に膨張し最終的に体積が4〜8倍になる株式会社古河テクノマテリアル製の商品「ヒートメル」(登録商標)等を熱膨張性耐火材2として使用できる。熱膨張性耐火材2は、上記したものに限られず、同等の機能を有する種々のものを使用することができる。
【0022】
横接続管6は、挿入部17が横枝管接続部10の横管挿入孔18に挿入され、横枝管挿入部21に横枝管4を挿入して、横枝管4と排水管継手3とを接続している。
挿入部17、防火材支持部19、膨張材支持部20および横枝管挿入部21は、硬質塩化ビニル樹脂製の管で形成され、耐火層22は繊維モルタルで形成される。また、防火材23は、耐火モルタル、鋼管、鋳鉄管等の不燃性材料により製作される。
排水配管構造1は、上部立て管5の上端部が、さらにその上階の排水配管構造1uにおける排水管継手3uの下部接続部11uに接続され、このような接続が上下に連続して建築物における配管システムを形成する。
【0023】
次に、排水配管構造1において、下階Fdで発生した火災が排水管継手3、上部立て管5および上階の排水管継手3uを介して上階Fuに延焼するのを防止する様子を説明する。
図3は熱膨張性耐火材2が機能したときの排水配管構造1の正面部分断面図である。
図1において、下階Fdで火災が発生し排水管継手3が設置された場所近辺に火炎が到達すると、横接続管6内に保持された熱膨張性耐火材2は、一部消失した横枝管4から浸入する熱気および火炎により加熱される。熱膨張性耐火材2は、200℃以上になると熱膨張する。熱膨張性耐火材2は、円筒状外周面が膨張材支持部20および耐火層22により規制されて管径方向外方への熱膨張が制限されているため内方に膨張し、横接続管6における管内流路面積を減少させ、熱膨張がさらに進むと図3に示されるように横接続管6の管内流路を閉じる。排水配管構造1では、このように横枝管4に可燃性の塩ビ管を使用しても、排水管継手3の内部と下階Fdとを遮断し、膨張した熱膨張性耐火材2は、排水管継手3の内部に煙や炎等が入り込むのを遮ることができる。したがって、床スラブ7の下階Fdで発生した炎や煙等が上部立て管5を経て上階Fuに流出することを妨げるとともに、火災が上階Fuへ延焼するのを防止することができる。
【0024】
図4は他の実施形態の横接続管6Bを用いた排水配管構造1Bの正面部分断面図である。
排水配管構造1Bは、横接続管6Bの他には排水管継手3Bの横枝管接続部10Bが排水配管構造1の排水管継手3における横枝管接続部10と異なるのみである。以下の説明および図4において排水配管構造1と同一の構成を有するものについては、排水配管構造1におけると同一の符号を付すものとする。
横枝管接続部10Bは、内管12Bhが外管13Bhよりも長く外方に延びている。
【0025】
横接続管6Bは、全体として略円筒に近い形状を有する。横接続管6Bの排水管継手3B側端部には、内管12Bhの外径よりも内径が大きな受け口型の挿入孔26Bが設けられている。横接続管6Bは、挿入孔26Bに内管12Bhが挿入されて、内管12Bhとの間にシール用のゴムリング16が嵌め込まれて横枝管接続部10Bに接続されている。
横接続管6Bの他方の端側は、横枝管4の外径よりも内径が大きな受け口型の横枝管挿入孔27Bとなっており、横接続管6Bは、横枝管挿入孔27Bに横枝管4を挿入して横枝管4を排水管継手3Bに接続している。横枝管挿入孔27Bに挿入された横枝管4と横枝管挿入孔27Bの内周との間にも、シール用のゴムリング16が設けられている。
【0026】
挿入孔26Bの最深部には、内方に突出し内径が略横枝管4の内径に等しい径小部28Bが設けられている。径小部28Bは、内管12Bhがそれ以上挿入されないように当接させて係止する。また、径小部28Bは、同時に横枝管4がそれ以上挿入されないように当接させて係止する。径小部28Bは、このように内管12Bhおよび横枝管4を当接させて係止することにより、排水が過度に両側のゴムリング16,16でシールする部分に流れ込むのを防止している。また、径小部28Bは、挿入孔26Bと横枝管挿入孔27Bとを区画するものでもある。
【0027】
横枝管挿入孔27Bには、径小部28Bとその開口端との間に内方に突出し内径が略横枝管4の外径に等しい径大部29Bが設けられている。
円筒状の熱膨張性耐火材2は、径小部28Bと径大部29Bとの間に保持されている。
横接続管6Bは、熱伝導率が高いねずみ鋳鉄または球状黒鉛鋳鉄等の金属製材料で製作される。
排水配管構造1Bでは、下階で火災が発生し横接続管6Bが設置された場所近辺に火炎が到達した場合、横接続管が火炎の熱により外周より加熱され、その内部に保持された熱膨張性耐火材2が所定の温度にまで加熱されると、熱膨張性耐火材2は、図4において波線で示されるように内方に膨張し、横接続管6Bにおける管内流路面積を激減させ、または管内流路を閉じる。このように横枝管に可燃性の樹脂製管を使用しても、膨張した熱膨張性耐火材2は排水管継手3Cと下階Fdとを遮断し、上部立て管5を経て上階Fuに炎や煙等が入り込むのを遮げるとともに、下階で発生した火災が上階に及ぶのを防止する。
【0028】
図5は他の実施形態の排水管継手3Cを用いた排水配管構造1Cの正面部分断面図である。
図5において、排水配管構造1Cは、排水管継手3C、横枝管4および上部立て管5等を1単位として構成される。排水管継手3Cにおける横枝管接続部10Cを除く上部接続部9、下部接続部11等、横枝管4および上部立て管5の構造、材質等は、排水配管構造1におけるものと略同じである。以下の説明および図5において排水配管構造1と同一の構成を有するものについては、排水配管構造1におけると同一の符号を付すものとする。
【0029】
横枝管接続部10Cは、排水管継手3Cの内部に続く内管12Ch、内管12Chの先端部に外嵌めされ接着固定された円筒状の防火材支持部19C、防火材支持部19Cの先端側(図5における右端側)に外嵌され接着固定された円筒状の膨張材支持部20C、膨張材支持部20Cの先端側(図5における右端側)に内嵌され接着固定された円筒状の横枝管挿入部21C、これらの外周を覆い排水管継手3Cの本体に続く外管13Ch、防火材支持部19Cの内側に嵌め込まれた円筒状の防火材23、および膨張材支持部20Cの内側に嵌め込まれた円筒状の熱膨張性耐火材2からなる。
【0030】
防火材23は、その内径および外径が内管12Chの内径および外径と略等しく、一端が内管12Chの先端に当接され、他端が防火材支持部19Cの先端と並ぶようにして、防火材支持部19Cに嵌入されている。防火材23の長さL2は、横枝管4が燃焼するときに横枝管接続部10C内に入り込む火炎の長さを考慮して決定され、通常は5cm以上とするのが好ましい。
熱膨張性耐火材2は、防火材支持部19Cと横枝管挿入部21Cとの間に嵌め込まれている。防火材支持部19Cと横枝管挿入部21Cとの間隔は、熱膨張性耐火材2の適切な長さによって決定される。
【0031】
排水配管構造1Cでは、下階で火災が発生し熱膨張性耐火材2が所定の温度にまで加熱されると、熱膨張性耐火材2は図5において波線で示されるように内方に膨張し、横枝管接続部10Cにおける管内流路面積を激減させ、または管内流路を閉じる。そして、この管内流路面積が激減しまたは管内流路が閉じられるまでの間、防火材23は火炎が内管12Chに達するのを防止する。排水配管構造1Cは、このような防火材23および熱膨張性耐火材2の働きによって、下階で発生した炎や煙等が上部立て管5を経て上階に流出することを妨げるとともに、下階で発生した火災が上階に及ぶのを防止する。
【0032】
図6は他の実施形態の排水管継手3Dを用いた排水配管構造1Dの正面部分断面図である。
図6において、排水配管構造1Dは、排水管継手3D、横枝管4および上部立て管5等を1単位として構成される。排水管継手3Dにおける横枝管接続部10Dを除く上部接続部9、下部接続部11等、横枝管4および上部立て管5の構造、材質等は、排水配管構造1におけるものと略同じである。以下の説明および図6において排水配管構造1と同一の構成を有するものについては、排水配管構造1におけると同一の符号を付すものとする。
【0033】
横枝管接続部10Dは、排水管継手3Dの内部に続く内管12Dh、内管12Dhの先端部に外嵌めされ接着固定された円筒状の膨張材支持部20D、膨張材支持部20Dの先端側(図6における右端側)に内嵌され接着固定された円筒状の横枝管挿入部21D、これらの外周を覆い排水管継手3Cの本体に続く外管13Dh、および膨張材支持部20Dの内側に嵌め込まれた円筒状の熱膨張性耐火材2からなる。
熱膨張性耐火材2は、内管12Dhと横枝管挿入部21Dとの間に嵌め込まれている。熱膨張性耐火材2は、その管軸方向(図6における左右方向)の長さが横枝管4の内径よりも大きい。すなわち、熱膨張性耐火材2の長さは、横枝管接続部の内側の流路径よりも長くするのが好ましい。
【0034】
排水配管構造1Dでは、下階で火災が発生し熱膨張性耐火材2が所定の温度にまで加熱されると、熱膨張性耐火材2は図6において波線で示されるように内方に膨張し、横枝管接続部10Dにおける管内流路面積を激減させ、または管内流路を閉じる。そのため、排水配管構造1Dは、下階で発生した火災が上階に及ぶのを防止することができる。
[実施例2]
図7は本発明に係る他の排水配管構造1Eを示す図、図8は排水配管構造1Eに熱膨張性耐火材2が取り付けられた様子を示す正面部分断面図である。
【0035】
図7および図8において、排水配管構造1Eは、排水管継手3E、横枝管4、上部立て管5、立て接続管31Eおよび接続部材32E等を1単位として構成される。
排水管継手3Eは、建築物の上階と下階とを区画する防火区画である床スラブ7を貫通する貫通孔8内に、上部を上階におよび下部を下階にそれぞれ突出させて固定されている。排水管継手3Eは、床スラブ7から上階に突出する部分に上部接続部9Eおよび横枝管接続部10Eを有し、床スラブ7から下階に突出する部分に下部接続部11を有する。排水管継手3Eは、排水管継手3と同様に硬質塩化ビニル樹脂製の内管を繊維モルタルの外管で被覆した耐火二層構造を有する。
【0036】
排水管継手3Eは、横枝管接続部10Eを除き、その構成は排水管継手3におけるものと略同一である。また、横枝管4および上部立て管5は、その構成および材質が先に説明した排水配管構造1における横枝管4および上部立て管5と略同一である。そこで、以下の説明および図7、図8における排水配管構造1Eについて、その構成が排水配管構造1におけるものと同一のものについては、排水配管構造1における符号と同一の符号を付すものとする。
上部接続部9Eは、上方に開口する立て管挿入孔15Eを形成する内管12Ev、およびこの内管12Evの外周を被覆する外管13Evからなる。上部接続部9Eの下端には、水平方向に突出して段を形成する環状の支持帯35Eが設けられている。その他の上部接続部9Eの各部における構成は、寸法が立て接続管31Eとの接続に適するように変更されている点を除き、排水管継手3における上部接続部9におけるものと略同じである。
【0037】
上部接続部9Eには、立て管挿入孔15Eに後に説明する立て接続管31Eの下部挿入部33Eが挿入されて立て接続管31Eが接続されている。なお、立て管挿入孔15Eには、内管12Evと下部挿入部33Eとの間をシールするシール用のゴムリング16が嵌め込まれている。
横枝管接続部10Eは、端部が受け口型に拡径された内管12Eh、および端部において内管12Ehの拡径に伴って拡径された外管13Ehからなる。
内管12Ehの拡径された部分は、内径が横枝管4の外径よりも大きな孔である横枝管挿入孔27Eを形成し、横枝管挿入孔27Eの底部は開口側に向く係止面30Eとなっている。内管12Ehの係止面30Eよりも排水管継手3E本体側における内径は、横枝管4の内径に略等しい。
【0038】
横枝管接続部10Eには、横枝管挿入孔27Eに、横枝管4をその先端が係止面30Eに当接するまで挿入させて、横枝管4が連結されている。内管12Ehの内面と横枝管の外面との間には、シール用のゴムリング16が嵌め込まれている。
立て接続管31Eは、下部挿入部33E、膨張材支持部20E、防火材支持部19E、耐火層22E、熱膨張性耐火材2および防火材23からなる。
下部挿入部33Eは、上部立て管5の内管5aの内径に略等しい内径を有する円筒の部分である。下部挿入部33Eは、上端でより内径が大きな円筒状の膨張材支持部20Eに連続する。下部挿入部33Eが膨張材支持部20Eに連続する部分の下方側面には、平らな当接面40Eが形成されている。
【0039】
膨張材支持部20Eは、その上端部で円筒状の防火材支持部19Eを内嵌している。
耐火層22Eは、膨張材支持部20Eおよび防火材支持部19Eの外面を隙間なく覆っている。また、耐火層22Eは、その下端近傍の膨張材支持部20Eを覆う部分の外径が、上部接続部9Eにおける外管13Evの外径に略等しい。
熱膨張性耐火材2は、内径が内管5aの内径に略等しい円筒状であって、膨張材支持部20Eの内側に嵌め込まれている。
防火材23は、その内径が内管5aの内径に、その外径が防火材支持部19Eの内径に略等しく、防火材支持部19Eの内側に嵌め込まれて熱膨張性耐火材2と接している。
【0040】
防火材23の長さL3は、横接続管6における防火材23の長さL1に等しく、または立て接続管31Eが上下方向に設置されることを勘案してL1よりも長く設定される。なお、防火材支持部19Eは、防火材23を内側に嵌め込んだ状態で、上端近傍に上部立て管5の内管5aが挿入可能な程度に防火材23の長さL3よりも長くなっている。
下部挿入部33E、膨張材支持部20Eおよび防火材支持部19Eは、硬質塩化ビニル樹脂製の管で形成され、耐火層22Eは繊維モルタルで形成される。また、防火材23には、軽量な耐火モルタル、あるいは、鋼管、鋳鉄管等の不燃性材料が使用される。
【0041】
接続部材32Eは、円筒状の本体36E、蝶番37Eおよび固定部38E等からなる。
本体36Eは、その内径が上部接続部9Eにおける外管13Evの外径に略等しい円筒部39E、および円筒部39Eの内面から内方に突出する係止部40Eからなる。円筒部39Eは、支持帯35Eの段上側面41Eから上部接続部9Eの上端までの長さの略2倍の長さを有する。係止部40Eは、円筒部39Eの上下方向略中央の内面において内方に突出し、突出する端縁の径が下部挿入部の外径に略等しく、平らな上面および下面を有するリング状の板材で形成されている。
【0042】
本体36Eは、軸心を通る面で2分割され、分割部分の一方に蝶番37Eが設けられて、開閉自在となっている。分割部分の他方には、2分割されたそれぞれに板状の固定部38Eが設けられている。なお、2分割は、円筒部39Eと係止部40Eとが一体となった本体36Eについて行われている。
それぞれの固定部38Eには位置が共通するボルト孔42Eが複数設けられている。
図8を参照して、接続部材32Eは、上部接続部9Eの外周および立て接続管31Eの下部外周を取り巻いて本体36Eが閉じられ、ボルト孔42Eに貫通させたボルト43E,43E,43Eによりそれぞれの固定部38Eを一体化して上部接続部9Eおよび立て接続管31Eに取り付けられている。係止部40Eは、その下面が外管13Evに当接しその上面が耐火層22Eおよび当接面34Eを係止し、円筒部39Eは耐火層22Eを強固に保持している。また、接続部材32Eは、係止部40Eから外管13Evに過剰な荷重が加わらないように、本体36Eの下端が支持帯35Eに当接して支持されている。
【0043】
接続部材32Eは、変形しにくい金属、例えば鋼板により製作されている。
上部立て管5は、内管5aが防火材支持部19Eの上端側に挿入されて立て接続管31Eに連結され、立て接続管31Eを介して排水管継手3Eに排水を送出することができる。なお、接続部材32Eは上記の形態に限られることなく、単にモルタル等で接続部分を覆うことにより、その機能を代行させることもできる。
図9は熱膨張性耐火材2が機能したときの排水配管構造1Eの正面部分断面図である。
図9において、下階Fdで火災が発生し排水管継手3Eが設置された場所近辺に火炎が到達すると、立て接続管31E内に保持された熱膨張性耐火材2は、消失した横枝管4から浸入する熱気および火炎により加熱され熱膨張する。熱膨張性耐火材2は、円筒状外周面が膨張材支持部20Eおよび耐火層22Eにより規制されて管径方向外方への熱膨張が制限されているため内方に膨張し、立て接続管31Eにおける管内流路面積を減少させ、熱膨張がさらに進むと図9に示されるように立て接続管31Eの管内流路を閉じる。排水配管構造1Eでは、このように横枝管4に可燃性の塩ビ管を使用しても、上部立て管5の内部と下階Fdとを遮断し、膨張した熱膨張性耐火材2は、上部立て管5の内部に炎や煙等が入り込むのを遮ることができる。したがって、床スラブ7の下階Fdで発生した炎や煙等が上部立て管5を経て上階Fuに流出することを妨げるとともに、火災が上階Fuへ延焼するのを防止することができる。
【0044】
また、接続部材32Eは、内管12Evおよび下部挿入部33Eが火災により焼失したときに、上部立て管5が崩れないように排水管継手3Eと立て接続管31Eとをつなぎ止め、上部立て管5の内部に火炎が浸入するのを防止する。
[実施例3]
図10は本発明に係る他の排水配管構造1Fを示す図、図11は排水配管構造1Fに熱膨張性耐火材2が取り付けられた様子を示す正面部分断面図である。
図10および図11において、排水配管構造1Fは、排水管継手3F、横枝管4および上部立て管5等を1単位として構成される。
【0045】
排水管継手3Fは、床スラブ7から上階に突出する部分に上部接続部9Fおよび横枝管接続部10Eを有し、床スラブ7から下階に突出する部分に下部接続部11を有する。排水管継手3Fは、硬質塩化ビニル樹脂製の内管12Fvを繊維モルタルの外管13Fvで被覆した耐火二層構造を有する。排水配管構造1Fにおける各部構成は、排水管継手3の上部接続部9Fを除き、先に説明した排水配管構造1Eにおける各部構成と略同じである。排水配管構造1Fにおいて、その構成が排水配管構造1Eにおけるものと略同一のものについては、以下の説明および図10、図11において排水配管構造1Eにおけるものと同一の符号を付し説明を省略するものとする。
【0046】
上部接続部9Fは、上方に開口する立て管挿入孔15Fを形成する内管12Fv、およびこの内管12Fvの外周を被覆する外管13Fvからなる。立て管挿入孔15Fの内径は内管5aの外径よりも大きく、内管12Fvは、立て管挿入孔15Fの最深部(底部)で内管5aの内径と略等しくなっており、立て管挿入孔15Fとの内径の差が段となって内管5aを係止する係止面45Fが形成されている。
上部接続部9Fの下部には、熱膨張性耐火材2が内管12Fvの内側に流路の一部を構成するように設けられている。熱膨張性耐火材2は、排水管継手3Fの内側の可燃性樹脂材が燃えたときにその炎による上部立て管5への延焼を防止するために、上部立て管5の内径よりも長い上下方向の長さを有するものでなければならない。
【0047】
その他の上部接続部9Fの各部における構成は、寸法が熱膨張性耐火材を設けるのに適するように変更されている点を除き、排水管継手3における上部接続部9におけるものと略同じである。
上部接続部9Fは、立て管挿入孔15Fに上部立て管5の内管5aが挿入されて上部立て管5に接続されている。熱膨張性耐火材2の上部には、内管12Fvと上部立て管5の内管5aとの間をシールするシール用のゴムリング16が嵌め込まれている。
図12は熱膨張性耐火材2が機能したときの排水配管構造1Fの正面部分断面図である。
【0048】
図12において、下階Fdで火災が発生し排水管継手3Fが設置された場所近辺に火炎が到達すると、上部接続部9F内に保持された熱膨張性耐火材2は、消失した横枝管4から浸入する熱気および火炎により加熱され熱膨張する。熱膨張性耐火材2は、円筒状外周面が外管13Fvにより規制されて管径方向外方への熱膨張が制限されているため内方に膨張し、上部接続部9Fにおける管内流路面積を減少させ、熱膨張がさらに進むと図12に示されるように上部接続部9Fの管内流路を閉じる。このように排水配管構造1Fでは、耐火性を有する熱膨張性耐火材2を上下に長く設けてあるので、排水管継手3Fより炎が迫ってきても、下部より熱膨張が始まり上部立て管5に炎が燃え広がる前に管内流路を閉じることができる。したがって、床スラブ7の下階Fdで発生した炎や煙等が上部立て管5を経て上階Fuに流出することを妨げるとともに、火災が上階Fuへ延焼するのを防止することができる。
[実施例4]
図13は本発明に係る他の排水配管構造1Gの正面部分断面図である。
【0049】
図13において、排水配管構造1Gは、排水管継手3G、横枝管4、上部立て管5および接続部材32G等を1単位として構成される。
排水管継手3G、横枝管4および上部立て管5は、排水配管構造1における排水管継手3、横枝管4および上部立て管5と略同一の構成を有するので、これらについては説明を省略する。また、接続部材32Gに関する以下の説明および図13において、排水配管構造1と同一の構成を有するものについては、排水配管構造1における符号と同一の符号を付すものとする。
【0050】
接続部材32Gは、本体36G、蝶番37Gおよび固定部38G等からなる。本体36Gは、下保持部46G、上保持部47G、下係止部48Gおよび上係止部49Gからなる。
下保持部46Gは、その内径が上部接続部9における外管13vの外径に略等しい円筒状の形状を有する。下保持部46Gは、内管5aの立て管挿入孔に挿入された長さと同じまたはそれよりも長い。
上保持部47Gは、その内径が上部立て管5における外管5bの外径に略等しい円筒状の形状を有し、その下端で下保持部46Gの上端に段を有して連続する。上保持部47Gは、下保持部46Gに近い長さを有する。
【0051】
下係止部48Gは、下保持部46Gと上保持部47Gとの内径および外径の差により生ずる段を含み、下保持部46Gと上保持部47Gとの境界から水平方向内方に突出してその端縁が上部立て管5における内管5aの外径に略等しい貫通孔を形成する、板状のリングである。上係止部49Gは、上保持部47Gの上下方向の略中間に設けられた、水平方向内方に突出してその端縁が内管5aの外径に略等しい貫通孔を形成する、板状のリングである。
本体36Gは、軸心を通る面で2分割され、下保持部46Gにおける分割部分の一方の相対する端部に蝶番37Gが設けられて、開閉自在となっている。下保持部46Gにおける分割部分の他方の相対するそれぞれの端部には、板状の固定部38Gが設けられている。なお、2分割は、下係止部48Gおよび上係止部49Gを含めて本体36G全体について行われている。
【0052】
それぞれの固定部38Gには位置が共通するボルト孔42Gが複数設けられている。
接続部材32Gは、下保持部46Gが上部接続部9の外周を、および上保持部47Gが上部立て管5の下部外周を取り巻いて本体36Gが閉じられ、ボルト孔42Gに貫通させたボルト43G,43G,43Gによりそれぞれの固定部38Gを一体化して上部接続部9および上部立て管5を接続している。下係止部48Gは、その下面が外管13vに当接して外管13vに支持されている。上係止部49Gは、外管5bをその上面に当接させて外管5bを支持している。下係止部48Gと上保持部49Gとの間における上保持部47Gと内管5aとの間には、熱膨張性耐火材2が収容されている。
【0053】
接続部材32Gは、メッキ鋼板、ステンレス鋼板などの熱伝導率が高くて変形しにくい金属製材料により製作されている。
上部立て管5の外管5bは、上保持部47Gの内側に嵌め入れられ、その下端が上係止部49Gの上面に係止されている。
図14は熱膨張性耐火材2が機能したときの排水配管構造1Gの正面部分断面図である。
図14において、下階で火災が発生し排水管継手3Gが設置された場所近辺に火炎が到達した場合、排水管継手3Gの内部に炎が入ってくる前に、接続部材32Gが外周面から火災の熱により加熱され、その内周に保持されている熱膨張性耐火材2も熱伝導により加熱される。熱膨張性耐火材2は、200℃以上になると、円筒状外周面が上保持部47Gにより規制されて管径方向外方への熱膨張が制限されているため内方に膨張し、上部立て管5における管内流路面積を減少させ、熱膨張がさらに進むと上部立て管5の管内流路を閉じる。排水配管構造1Gは、横枝管4に可燃性の塩ビ管を使用しても、上部立て管5の内部と下階とを遮断し、膨張した熱膨張性耐火材2は、上部立て管5の内部に炎や煙等が入り込むのを遮ることができる。そのため、床スラブ7の下階で発生した炎や煙等が上部立て管5を経て上階に流出することを妨げるとともに、火災が上階へ延焼するのを防止することができる。
【0054】
また、接続部材32Gは、上部接続部9の内管12vと上部立て管5の内管5aの下端とが火災により焼失したときに、上部立て管5が崩れないように排水管継手3Gと上部立て管5とをつなぎ止め、上部立て管5の内部に火炎が浸入するのを防止する。
[実施例5]
図15は本発明に係る他の排水配管構造1Hの正面部分断面図である。
図15において、排水配管構造1Hは、排水管継手3H、横枝管4、上部立て管5および接続部材32H等を1単位として構成される。
【0055】
排水管継手3H、横枝管4および上部立て管5は、排水配管構造1Gにおける排水管継手3G、横枝管4および上部立て管5と略同一の構成を有する。排水配管構造1Gにおけるものと同一の構成を有するものについては説明を省略する。また、接続部材32Hに関する以下の説明および図15において、排水配管構造1Gと同一の構成を有するものについては、排水配管構造1Gにおける符号と同一の符号を付すものとする。
接続部材32Hは、本体36H、蝶番37Gおよび固定部38G等からなる。
本体36Hは、下保持部46H、上保持部47H、下係止部48H、中係止部50Hおよび上係止部49Hからなる。下保持部46Hは、先に説明した排水配管構造1Gの接続部材32Gにおける下保持部46Gの構成と略同じである。
【0056】
上保持部47Hは、先に説明した上保持部47Gと同様に、その内径が上部立て管5における外管5bの外径に略等しい円筒状の形状を有し、その下端で下保持部46Hの上端に段を有して連続する。
下係止部48Hは、下保持部46Hと上保持部47Hとの内径および外径の差により生ずる段を含み、下保持部46Hと上保持部47Hとの境界から水平方向内方に突出してその端縁が上部立て管5における内管5aの外径に略等しい貫通孔を形成する、板状のリングである。
【0057】
中係止部50Hは、下係止部48Hの上方に、円筒状の熱膨張性耐火材2を収容可能な程度の間隔を有して設けられている。中係止部50Hは、水平方向内方に突出してその端縁が上部立て管5における内管5aの内径に略等しい貫通孔を形成する、板状のリングである。
上係止部49Hは、中係止部50Hの上方に設けられた、水平方向内方に突出してその端縁が内管5aの内径に略等しい貫通孔を形成する、板状のリングである。
本体36Hは、軸心を通る面で2分割され、上保持部47Hにおける分割部分の一方の相対する端部に蝶番37Gが設けられて、開閉自在となっている。上保持部47Hにおける分割部分の他方の相対する端部には、それぞれに板状の固定部38Gが設けられている。なお、2分割は、下係止部48H、中係止部50Hおよび上係止部49Hを含めて本体36H全体について行われている。
【0058】
それぞれの固定部38Gには位置が共通するボルト孔42Gが複数設けられている。
立て管挿入孔15には、内径および外径が上部立て管5の内管5aの内径および外径に等しい硬質塩化ビニル樹脂製の短管51Hが挿入されている。短管51Hは、上部接続部9の内管12vに設けられた上方を向く係止面52Hに係止されている。
下保持部46Hが上部接続部9の外周を、および上保持部47Hが上部立て管5の下部外周を取り巻いて本体36Hが閉じられ、ボルト孔42Gに貫通させたボルト43G,43G,43Gによりそれぞれの固定部38Gを一体化して上部接続部9および上部立て管5を接続している。下係止部48Hは、その下面が外管13vの上端に当接して外管13vに支持されている。上係止部49Hは、外管5bをその上面に当接させて外管5bを支持している。
【0059】
下係止部46Hと中係止部50Hとの間には円筒状の熱膨張性耐火材2が収容されている。中係止部50と上係止部49Hとの間には円筒状に形成された防火材23が収容されている。防火材23は、耐火性を有する軽量な材料で形成された円筒状物、例えば、いずれも厚みがなく径が大きく異なるためにその間隙が大きな2重の鋼管の上端同士を同心となるように密閉したものが使用される。
上部立て管5は、上保持部47Hの内側に嵌め入れられ、その下端が上係止部49Hの上面に係止されて、接続部材32Hを介して上部接続部9に接続されている。
【0060】
接続部材32Hは、メッキ鋼板、ステンレス鋼板などの熱伝導率が高くて変形しにくい金属製材料により製作されている。
図16は熱膨張性耐火材2が機能したときの排水配管構造1Hの正面部分断面図である。
図16において、下階で火災が発生し排水管継手3Hが設置された場所近辺に火炎が到達した場合、接続部材32Hが火災の熱により加熱され、その内周に保持されている熱膨張性耐火材2も熱伝導により加熱される。熱膨張性耐火材2は、200℃以上になると、円筒状外周面が上保持部47Hより規制されて管径方向外方への熱膨張が制限されているため内方に膨張し、接続部材32H内における管内流路面積を減少させ、熱膨張がさらに進むと接続部材32H内の流路を閉じる。この際、内周に設けられている塩ビ製の短管51Hが充分に熱膨張する前に燃え始めた場合であっても、その上部には防火材23が設けられているので、上部立て管5へ燃え広がることはない。すなわち、排水配管構造1Hは、横枝管4に可燃性の塩ビ管を使用しても、上部立て管5の内部と下階とを遮断し、膨張した熱膨張性耐火材2は、上部立て管5の内部に炎や煙等が入り込むのを遮ることができる。そのため、床スラブ7の下階で発生した炎や煙等が上部立て管5を経て上階に流出することを妨げるとともに、火災が上階へ延焼するのを防止することができる。
【0061】
また、接続部材32Hは、上部接続部9の内管12vが火災により焼失したときに、排水管継手3Gと上部立て管5とをつなぎ止めておくことができ、上部立て管5の内部に火炎が浸入するのを防止する。
上述の実施形態において、排水管継手3,3B〜3Hの横枝管接続部10,10Bと横接続管6,6Bとの接続、横枝管接続部10Cと横枝管4との接続、上部接続部9Eと立て接続管31E、上部接続部9,9Fと上部立て管5の接続、および下部接続部11と下部立て管5dとの接続に、上記以外の他の公知の接続方法、例えば硬質塩化ビニル管の接着接合などのような方法を用いて排水配管構造1,1B〜1Hを構成することができる。
【0062】
また、横枝管4および耐火二層管である上部立て管5の内管5aに硬質塩化ビニル樹脂以外の他の樹脂、例えばポリエチレン樹脂またはABS樹脂等で製作された可燃性の樹脂製管を使用してもよい。耐火二層管の外管5bに繊維モルタル以外の耐火材を使用してもよい。横枝管4、上部立て管5および下部立て管5dの任意のものについて遮音効果または保温効果を有する材料、例えばガラス繊維等で被覆することができる。
熱膨張性耐火材2は、シート状のものが使用されるときは、矩形状に裁断され筒状に丸めて取り付けられるが、厚みょ有するものをより小さな矩形状に裁断し、防火材23の内周、上部接続部9Fの内周等に連続的にまたは間欠的に配置してもよい。
【0063】
排水配管構造1,1B〜1Hは、排水管継手3,3B〜3Hに上端だけではなく上部の側方にも上部立て管5を接続させ、または上部立て管5との間にT字形の接続部材を介在させて、複数の上部立て管5を接続することができる。排水管継手3,3B〜3Hの上部側方に複数の横枝管接続部を設けて2以上の横枝管4を接続させることができる。
その他、排水配管構造、および排水配管構造の各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、マンション等の集合住宅または事務所ビル等で各階において発生する排水を集合させ下階に送り出す排水配管構造に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は本発明に係る排水配管構造を示す図である。
【図2】図2は排水配管構造に熱膨張性耐火材が取り付けられた様子を示す正面部分断面図である。
【図3】図3は熱膨張性耐火材が機能したときの排水配管構造の正面部分断面図である。
【図4】図4は他の実施形態の横接続管を用いた排水配管構造の正面部分断面図である。
【図5】図5は他の実施形態の排水管継手を用いた排水配管構造の正面部分断面図である。
【図6】図6は他の実施形態の排水管継手を用いた排水配管構造の正面部分断面図である。
【図7】図7は本発明に係る他の排水配管構造を示す図である。
【図8】図8は排水配管構造に熱膨張性耐火材が取り付けられた様子を示す正面部分断面図である。
【図9】図9は熱膨張性耐火材が機能したときの排水配管構造の正面部分断面図である。
【図10】図10は本発明に係る他の排水配管構造を示す図である。
【図11】図11は排水配管構造に熱膨張性耐火材が取り付けられた様子を示す正面部分断面図である。
【図12】図12は熱膨張性耐火材が機能したときの排水配管構造の正面部分断面図である。
【図13】図13は本発明に係る他の排水配管構造の正面部分断面図である。
【図14】図14は熱膨張性耐火材が機能したときの排水配管構造の正面部分断面図である。
【図15】図15は本発明に係る他の排水配管構造の正面部分断面図である。
【図16】図16は熱膨張性耐火材が機能したときの排水配管構造の正面部分断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1,1B〜1H 排水配管構造
2 熱膨張性耐火材
3,3B〜3H 排水管継手
4 横枝管
5 立て管(上部立て管)
5a (立て管の)内管
5b (立て管の)外管
6,6B 横接続管
7 床スラブ
8 貫通孔
9,9E,9F 上部接続部
10,10B,10C,10D,10E,10F 横枝管接続部
12v,12Ev,12h,12Bh,12Ch,12Dh,12Eh 内部流路形成体(内管)
13,13v,13Bh、13Ch,13Dh,13Eh 耐火層形成体
14 内部流路(排水流路)
19C 内部流路形成体(防火材支持部)
20C,20D 内部流路形成体(膨張材支持部)
21C,21D 内部流路形成体(横枝管挿入部)
23 防火材
31E 立て接続管
Fu 上階
Fd 下階

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物内における排水管継手および排水管で構成された排水配管構造であって、
前記排水管継手は、
床スラブの上階と下階とを貫通する貫通孔内にその上部が前記上階に突出しかつその下部が前記下階に突出するようにして配置され、
内部流路を形成する可燃性材料からなる内部流路形成体および前記内部流路形成体の外面を覆う不燃性材料からなる耐火層形成体で形成され、
前記上階に突出する部分には、上部接続部および横枝管接続部を有し、
前記排水管は、
可燃性材料からなる内管および前記内管の外周を覆う不燃性材料からなる外管で形成され前記上階よりも上層からの排水を前記排水管継手に流入させるために前記上部接続部に接続された立て管と、
可燃性樹脂で形成され前記上階で生じた排水を前記排水管継手に流入させるために前記横枝管接続部に接続された横枝管と、からなり、
前記横枝管接続部に、不燃性材料からなる筒状の防火材が流路の一部となるように、また内側が直接または間接的な流路となる略筒状の熱膨張性耐火材が前記防火材よりも前記横枝管側に設けられており、
前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記横枝管接続部内の流路を閉じまたは流路の面積を減少させるように構成された
ことを特徴とする排水配管構造。
【請求項2】
建築物内における排水管継手および排水管で構成された排水配管構造であって、
前記排水管継手は、
床スラブの上階と下階とを貫通する貫通孔内にその上部が前記上階に突出しかつその下部が前記下階に突出するようにして配置され、
内部流路を形成する可燃性材料からなる内部流路形成体および前記内部流路形成体の外面を覆う不燃性材料からなる耐火層形成体で形成され、
前記上階に突出する部分に上部接続部および横枝管接続部を有し、
前記排水管は、
可燃性材料からなる内管および前記内管の外周を覆う不燃性材料からなる外管で形成され前記上階よりも上層からの排水を前記排水管継手に流入させるために前記上部接続部に接続された立て管と、
可燃性樹脂で形成され前記上階で生じた排水を前記排水管継手に流入させるために前記横枝管接続部に接続された横枝管と、
少なくとも外面が不燃性材料で形成され前記横枝管と前記横枝管接続部とを連結する横接続管と、からなり、
前記横接続管内の流路の周囲に不燃性材料からなる防火材および熱膨張性耐火材が設けられており、
前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記横接続管の流路を閉じまたは流路面積を減少させるように構成された
ことを特徴とする排水配管構造。
【請求項3】
建築物内における排水管継手および排水管で構成された排水配管構造であって、
前記排水管継手は、
床スラブの上階と下階とを貫通する貫通孔内にその上部が前記上階に突出しかつその下部が前記下階に突出するようにして配置され、
内部流路を形成する可燃性材料からなる内部流路形成体および前記内部流路形成体の外面を覆う不燃性材料からなる耐火層形成体で形成され、
前記上階に突出する部分に上部接続部および横枝管接続部を有し、
前記排水管は、
可燃性材料からなる内管および前記内管の外周を覆う不燃性材料からなる外管で形成され前記上階よりも上層からの排水を前記排水管継手に流入させるために前記上部接続部に接続された立て管と、
可燃性樹脂で形成され前記上階で生じた排水を前記排水管継手に流入させるために前記横枝管接続部に接続された横枝管と、
金属製材料で形成され前記横枝管と前記横枝管接続部とを連結する横接続管と、からなり、
前記横接続管内の流路の周囲に熱膨張性耐火材が設けられており、
前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記横接続管の流路を閉じまたは流路面積を減少させるように構成された
ことを特徴とする排水配管構造。
【請求項4】
建築物内における排水管継手および排水管で構成された排水配管構造であって、
前記排水管継手は、
床スラブの上階と下階とを貫通する貫通孔内にその上部が前記上階に突出しかつその下部が前記下階に突出するようにして配置され、
内部流路を形成する可燃性材料からなる内部流路形成体および前記内部流路形成体の外面を覆う不燃性材料からなる耐火層形成体で形成され、
前記上階に突出する部分に上部接続部および横枝管接続部を有し、
前記排水管は、
可燃性材料からなる内管および前記内管の外周を覆う不燃性材料からなる外管で形成され前記上階よりも上層からの排水を前記排水管継手に流入させるために前記上部接続部に接続された立て管と、
可燃性樹脂で形成され前記上階で生じた排水を前記排水管継手に流入させるために前記横枝管接続部に接続された横枝管と、からなり、
前記横枝管接続部の内側に当該流路径よりも長い距離にわたって熱膨張性耐火材が設けられており、
前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記上部接続部の管内流路を閉じまたは管内流路面積を減少させるように構成された
ことを特徴とする排水配管構造。
【請求項5】
建築物内における排水管継手および排水管で構成された排水配管構造であって、
前記排水管継手は、
床スラブの上階と下階とを貫通する貫通孔内にその上部が前記上階に突出しかつその下部が前記下階に突出するようにして配置され、
内部流路を形成する可燃性材料からなる内部流路形成体および前記内部流路形成体の外面を覆う不燃性材料からなる耐火層形成体で形成され、
前記上階に突出する部分に上部接続部および横枝管接続部を有し、
前記排水管は、
可燃性材料からなる内管および前記内管の外周を覆う不燃性材料からなる外管で形成され前記上階よりも上層からの排水を前記排水管継手に流入させるために前記上部接続部に接続された立て管と、
可燃性樹脂で形成され前記上階で生じた排水を前記排水管継手に流入させるために前記横枝管接続部に接続された横枝管と、からなり、
前記上部接続部の内側に当該流路径よりも長い距離にわたって熱膨張性耐火材が設けられており、
前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記上部接続部の管内流路を閉じまたは管内流路面積を減少させるように構成された
ことを特徴とする排水配管構造。
【請求項6】
建築物内における排水管継手および排水管で構成された排水配管構造であって、
前記排水管継手は、
床スラブの上階と下階とを貫通する貫通孔内にその上部が前記上階に突出しかつその下部が前記下階に突出するようにして配置され、
内部流路を形成する可燃性材料からなる内部流路形成体および前記内部流路形成体の外面を覆う不燃性材料からなる耐火層形成体で形成され、
前記上階に突出する部分に上部接続部および横枝管接続部を有し、
前記排水管は、
可燃性材料からなる内管および前記内管の外周を覆う不燃性材料からなる外管で形成され前記上階よりも上層からの排水を前記排水管継手に流入させるために前記上部接続部に接続された立て管と、
可燃性樹脂で形成され前記上階で生じた排水を前記排水管継手に流入させるために前記横枝管接続部に接続された横枝管と、
少なくとも外面が不燃性材料で形成され前記立て管と前記上部接続部とを連結する立て接続管と、からなり、
前記立て接続管内の流路の周囲に不燃性材料からなる防火材および熱膨張性耐火材が設けられており、
前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記横接続管の流路を閉じまたは流路面積を減少させるように構成された
ことを特徴とする排水配管構造。
【請求項7】
建築物内における排水管継手および排水管で構成された排水配管構造であって、
前記排水管継手は、
床スラブの上階と下階とを貫通する貫通孔内にその上部が前記上階に突出しかつその下部が前記下階に突出するようにして配置され、
内部流路を形成する可燃性材料からなる内部流路形成体および前記内部流路形成体の外面を覆う不燃性材料からなる耐火層形成体で形成され、
前記上階に突出する部分に上部接続部および横枝管接続部を有し、
前記排水管は、
可燃性材料からなる内管および前記内管の外周を覆う不燃性材料からなる外管で形成され前記上階よりも上層からの排水を前記排水管継手に流入させるために前記上部接続部に接続された立て管と、
可燃性樹脂で形成され前記上階で生じた排水を前記排水管継手に流入させるために前記横枝管接続部に接続された横枝管と、
少なくとも外面が金属製材料で形成され前記立て管と前記上部接続部とを連結する接続部材と、からなり、
前記接続部材内の流路の周囲に熱膨張性耐火材が設けられており、
前記熱膨張性耐火材が所定温度以上になると内方に膨張して前記接続部材の流路を閉じまたは流路面積を減少させるように構成された
ことを特徴とする排水配管構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−248530(P2008−248530A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89186(P2007−89186)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】