説明

排泄物処理剤

【課題】本発明では、消臭効果の点で問題を改善し、あるいは、使用上の課題を解決した、新規な処理剤を提供することを目的とする。
【解決手段】吸水性ポリマー、バインダおよび酸性固形物質を含む塊状物と、消石灰、石灰石および重曹からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ性物質と、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースおよびアルギン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の増粘剤と、界面活性剤と、リン酸二水素ナトリウムと、クエン酸と、酸化亜鉛と、を含む、排泄物処理剤によって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物処理剤に関する。より詳しくは、糞尿などの排泄物の処理に用いられる排泄物処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、国民の生活水準の向上に伴い、健康および衛生に関する意識も高まっており、家庭や産業から発生する廃棄物の臭気の処理は必要不可欠なものになりつつある。たとえば、排便、排尿後のトイレやポータブルトイレから発する糞尿臭は不快で、効率よく消臭する方法が求められている。
【0003】
ポータブルトイレは、病院や家庭において、自ら排泄できるが便所に行くことができない病人や老人のベット側などの居室や病室内に置いて使用されることが多い。この場合、居室や病室内でポータブルトイレに排泄し、その排泄された糞尿を、看護している看護婦、付き添い人、家族などの看護人が処理をしていた。このような使用状況において、居室や病室内全体に糞尿臭が臭うことが問題となっている。
【0004】
このようなトイレやポータブルトイレの糞尿臭の消臭方法として、消臭効果のある薬剤を排泄後に添加する方法が知られている。使用する薬剤の形態として、液体タイプ、顆粒タイプ、錠剤タイプ、フォーム(泡)タイプ、シートタイプのものが市販されている。これらの中で、たとえば、液体タイプのものとしては、特許文献1のようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−125384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、このような従来の消臭効果のある薬剤においては、消臭効果の点で問題があることを認識した。また、従来においては認識されていない、使用上の課題が存在していることについて、認識した。よって、本発明では、消臭効果の点で問題を改善し、あるいは、使用上の課題を解決した、新規な排泄物処理剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、以下の発明を提供することによって解決される。
【0008】
(1)吸水性ポリマー、バインダおよび酸性固形物質を含む塊状物と、消石灰、石灰石および重曹からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ性物質と、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースおよびアルギン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の増粘剤と、界面活性剤と、リン酸二水素ナトリウムと、クエン酸と、酸化亜鉛と、を含む、排泄物処理剤。
【0009】
(2)水をさらに含む、(1)に記載の処理剤。
【0010】
(3)前記酸性固形物質が、クエン酸およびリン酸二水素ナトリウムからなる群より選択される1種以上である、(1)または(2)に記載の処理剤。
【0011】
(4)糞尿の処理に用いられる、(1)〜(3)のいずれか1に記載の処理剤。
【0012】
(5)吸水性ポリマー、バインダおよび酸性固形物質を含む塊状物と、消石灰、石灰石および重曹からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ性物質と、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースおよびアルギン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の増粘剤と、界面活性剤と、リン酸二水素ナトリウムと、クエン酸と、酸化亜鉛と、を含む排泄物処理剤を配置して、水を添加した後、排泄物を投入することを有する排泄物処理剤の使用方法。
【0013】
(6)吸水性ポリマー、バインダおよび酸性固形物質を含む塊状物と、消石灰、石灰石および重曹からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ性物質と、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースおよびアルギン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の増粘剤と、界面活性剤と、リン酸二水素ナトリウムと、クエン酸と、酸化亜鉛と、を含む排泄物処理剤と、水と、が予め配置されてなる、便器。
【0014】
(7)(1)〜(3)のいずれか1に記載の排泄物処理剤を含んで成形されてなる、糞尿の吸収性物品。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上記の発明によって、以下の効果を有する。
【0016】
(1)本発明の第1は、吸水性ポリマー、バインダおよび酸性固形物質を含む塊状物と、消石灰、石灰石および重曹からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ性物質と、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースおよびアルギン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の増粘剤と、界面活性剤と、リン酸二水素ナトリウムと、クエン酸と、酸化亜鉛と、を含む、排泄物処理剤である。本発明の第1の排泄物処理剤の構成であれば、攪拌等の操作を必要とせず、簡便にかつ効率的に被処理物(たとえば、糞、尿)を処理することが可能であり、悪臭を抑制することができる。本発明の第1においては、(塊状物に含有される)酸性固形物質と、リン酸二水素ナトリウムと、クエン酸と、が含まれているので、被処理物(たとえば、尿)中に含まれるアンモニア成分を中和し、悪臭を抑制することができる。また、本発明の第1においては、消石灰、石灰石および重曹からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ性物質と、酸化亜鉛と、が含まれているので、少なくとも1種の酸性固形物質だけでは取りきれない悪臭(たとえば、糞の腐敗によって生じる雑菌や硫化物などの悪臭)を抑制する。さらに、本発明の第1においては、増粘剤と界面活性剤とが含まれているので、排泄物処理剤の使用時に、増粘剤が被処理物(たとえば、糞)を被覆することで、被処理物の空気や液体との接触を抑制し、腐敗を抑制するため、結果として悪臭を抑制する。
【0017】
(2)また、本発明の第1の排泄物処理剤が、水をさらに含むことによって、増粘剤による粘性が生じる。この粘性により、排泄物処理剤が、被処理物(たとえば、糞、尿)を覆い、臭気の拡散を防ぐことができる。よって、悪臭をさらに抑制することができる。
【0018】
(3)また、本発明の第1の排泄物処理剤において、塊状物が酸性固形物質として、クエン酸および/またはリン酸二水素ナトリウムを含有することによって、排泄物処理剤の使用後に、被処理物(たとえば、尿)、または後に添加されてもよい水、との接触により、徐々にクエン酸および/またはリン酸二水素ナトリウムを放出(溶解)することができ、排泄が繰り返し行われた際であっても、その度に、被処理物(たとえば、尿)中に含まれるアンモニア成分を中和し、悪臭を抑制することができる。
【0019】
(4)また、本発明の第1の排泄物処理剤は、糞尿の処理に特に適している。
【0020】
(5)本発明の第2は、本発明の第1の排泄物処理剤の使用方法である。本発明の排泄物処理剤は、使用時に水を添加して使用される。水を添加することで、攪拌等の操作を必要とせず、簡便にかつ効率的に排泄物を処理することが可能であり、悪臭やガスの発生を長時間抑制することができる。
【0021】
(6)本発明の第3は、本発明の第1の排泄物処理剤と、水と、が予め配置されてなる、便器である。かかる構成によって、攪拌等の操作を必要とせず、簡便にかつ効率的に排泄物を処理することが可能であり、悪臭やガスの発生を抑制することができる。また、本発明の便器は、予め処理剤および水が配置されてなるので、排泄後、使用者は、自己(あるいは要介護者など)の糞尿を確認する必要はなく、使用者も快適に使用することができる。本発明の便器によれば、予め処理剤および水が配置されているので、排泄後は特に確認を要することなく、必要に応じて、そのまま簡易式便器を廃棄すれば足りるという効果も有する。
【0022】
(7)本発明の第4は、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の排泄物処理剤を含んで成形されてなる、排泄物(たとえば、糞、尿)の吸収性物品である。かかる構成によって、攪拌等の操作を必要とせず、簡便にかつ効率的に排泄物を処理することが可能であり、悪臭やガスの発生を抑制することができる。また、吸収性物品の中に存在する本発明の第1の排泄物処理剤が非常に優れた消臭性を有し、ドライ感が著しいことにより、装着している本人、介護の人々の負担を大きく低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
<本発明の第1>
(1)排泄物処理剤
本発明の第1は、吸水性ポリマー、バインダおよび酸性固形物質を含む塊状物と、消石灰、石灰石および重曹からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ性物質と、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースおよびアルギン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の増粘剤と、界面活性剤と、リン酸二水素ナトリウムと、クエン酸と、酸化亜鉛と、を含む、排泄物処理剤(以下、単に「処理剤」と称する場合もある。)である。
【0024】
また、本発明の排泄物処理剤は、使用時に水を含むことが好ましい。水を含むことによって、本発明の排泄物処理剤は、増粘剤により粘性を発揮する。さらに、界面活性剤が生じた気泡によりさらに排泄物処理剤は増粘する。排泄物処理剤が増粘することによって、被処理物が処理剤中に投入された際に、処理剤が被処理物を効果的に被覆することができる。処理剤に被処理物が投入されたときには、被処理物は、その投入の圧力と被処理物の重量により、処理剤の中に侵入し、処理剤に覆われる形態になると考えられる。このような形態であると、処理剤が粘性を有することにより、被処理物の生じる臭気を、大気中に放出するのを抑制することができる。さらには、被処理物が糞の場合は、糞の外側を覆うことによって、腐敗を防ぎ、臭気を抑制することができる。
【0025】
また、本発明において、アルカリ性物質として重曹が含まれると、水を添加することにより、重曹とリン酸二水素ナトリウムおよびクエン酸とが反応して発泡するため、増粘の効果が高くなり、また、被処理物が泡により長期間被覆され、好ましい。また、たとえば、アンモニアを多く含む尿(pHがアルカリとなる尿)(以下、「高臭気尿」とも称する。)が処理剤に投入されると、尿中のアンモニアがリン酸二水素ナトリウムおよびクエン酸と反応して気泡を生じる。このような気泡は、投入された被処理物に対して、被処理物全体を覆うようにして気泡を生じることができるため好ましい。
【0026】
本発明の排泄物処理剤において、吸水性ポリマー、バインダおよび酸性固形物質を含む塊状物を含む。塊状物は、バインダを含むことによって、吸水性ポリマー、バインダおよび酸性固形物質が固形化されてなる。すなわち、塊状物を構成する成分は、バインダによって相互に結着した状態で存在する。本発明において、塊状物を用いることで、排泄物処理剤の使用時に、塊状物に含まれる酸性固形物質が徐放され、排泄が繰り返し行われる場合であっても、その度に、被処理物(たとえば、尿)中に含まれるアンモニア成分を中和し、悪臭を抑制することができる。
【0027】
なお、消臭効果を顕著に発揮させるとの観点から、本発明の第1の排泄物処理剤によって処理された被処理物のpHを好ましくはpH5〜8、より好ましくはpH6〜7程度に制御させることが好ましい。このように制御することによって、特に塩基性成分(特に、アンモニア)に由来する悪臭を制御し易くなる。そのため、本発明の第1の排泄物処理剤は、処理剤中にリン酸二水素ナトリウムとクエン酸とを含み、さらに、処理剤の塊状物中に酸性固形物質とを含む。
【0028】
また、本発明の排泄物処理剤は、処理剤中に塊状物を含むため、処理剤が容器(便器)に配置されると、塊状物が重量により底部に集まりやすい。したがって、他の成分、たとえば、増粘剤、界面活性剤等が、容器(便器)の上部に集まりやすい。そうした状態で、処理剤に水や尿を添加されると、処理剤が増粘するが、処理剤の上部が底部よりも粘性が高くなる傾向にある。そうすることによって、粘性の高い層が処理剤上部に存在し、さらに臭気の拡散を抑制する作用を有する。また、粘性の高い層が処理剤上部に存在するため、水や尿の添加により発生する気泡が処理剤内部に閉じ込められて、気泡の被処理物への被覆効果が高くなる。
【0029】
また、本発明の第1の排泄物処理剤の形状は、特に制限されない。たとえば、粉末と塊状物との混合物、微粉と塊状物との混合物、粒状物、フレークおよび粉末と塊状物との混合物など、どのような形状であってもよい。
【0030】
以下、構成要件について、詳説する。
【0031】
[塊状物]
本発明の第1の排泄物処理剤は、吸水性ポリマー、バインダおよび酸性固形物質を含む塊状物を含む。本発明において、塊状物の形状は特に制限されない。たとえば、球状、円柱状、中高状の円柱状、直方体状など、どのような形状であってもよい。ただし、処理剤の保存性の観点から、球状、円柱状、中高状の円柱状などが好ましく、作製上の観点から、円柱状、中高状の円柱状が好ましい。
【0032】
本発明において、塊状物の平均直径は、3〜100mmであることが好ましい。このような範囲であることによって、取り扱い性を向上させながら、被処理物との接触面積を増大させ、被処理物との反応効率を向上させ、上記した効果を奏することが容易となる。
【0033】
塊状物の平均直径は、より好ましくは6〜50mmであり、さらに好ましくは7〜20mmである。ここで、塊状物の平均直径とは、50粒の塊状物を任意に選択して、1粒ごと一番長い粒径を測定し、それらを相加平均した平均値を意味する。また、塊状物の平均厚さは、1〜30mmであることが好ましい。また、塊状物の平均厚さは、より好ましくは2〜15mmであり、さらに好ましくは4〜10mmである。かかる範囲であることによって、上記した効果を奏することが容易となる。ここで、塊状物の平均厚さとは、50粒の塊状物を任意に選択して、1粒ごと一番長い厚さを測定し、それらを相加平均した平均値を意味する。平均直径が、7〜20mmであり、平均厚さが、4〜10mmであると、被処理物と接触した際に、崩壊する速度が高くなり、また、かような処理剤を製造する観点でも容易であり、特に好ましい。なお、塊状物が、円柱状、中高状の円柱状、直方体状の形態であれば、長軸が平均直径となる。他方、短軸が、平均厚さとなる。また、塊状物の重量にも特に制限はないが、運搬性や取り扱い性を鑑みると、1粒当たりの重量は、好ましくは0.05〜30g程度であり、より好ましくは、0.2〜10g程度、さらに好ましくは0.3〜2g程度である。無論、この範囲外であってもよい。
【0034】
塊状物の含有量は、排泄物処理剤の総質量(100質量%;以下同じ)に対して、5〜90質量%程度、10〜80質量%程度、あるいは、15〜70質量である。
【0035】
以下、塊状物の構成要件について述べる。
【0036】
[吸水性ポリマー(吸水剤、高分子吸水剤とも称することがある)]
塊状物に含まれる吸水性ポリマー(吸水剤)は、本発明の排泄物処理剤の成分である消石灰、石灰石または重曹を補助する役割をする。つまり、たとえば、処理剤として、消石灰、石灰石または重曹だけを用いた場合、被処理物(たとえば糞尿中)の水分を吸収しきれず泥状となる場合がある。消石灰が湿ると、消石灰自身が独特の悪臭を放つ場合がある。また、糞尿が泥状のままであれば、糞尿が空気に触れ、糞尿の発酵・分解が進む虞がある。
【0037】
塊状物には、吸水性ポリマー(高分子吸水剤)が含まれるため、被処理物中の水分を吸収し固化することができる。被処理物に対して、吸水性ポリマーおよび消石灰、石灰石または重曹を加えると、被処理物が固化し、固化した被処理物の周囲を消石灰、石灰石または重曹が覆う形となり、微生物の発酵、分解活動を止めることができ、ひいては、上述した効果を有することができる。また、消石灰、石灰石または重曹の添加量を低減させることができ、消石灰、石灰石または重曹自身が発する悪臭をより低減させることができる。さらには、吸水性ポリマーが、水分に接触した際に膨潤するため、固化されている塊状物の崩壊の基点となる役目をする。
【0038】
本発明で用いられる吸水性ポリマーは、本発明の効果を奏するために悪影響を及ぼさない限り、特に制限はなく、公知の物質を使用することができる。その具体的な例としては、たとえば、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト重合体などのデンプン系吸水性ポリマー、セルロース−アクリロニトリルグラフト重合体、セルロース−スチレンスルホン酸グラフト共重合体などのセルロース系吸水性ポリマー、多糖類系吸水性ポリマー、コラーゲン等のたんぱく質系吸水性ポリマー、ポリビニルアルコール架橋重合体などのポリビニルアルコール系吸水性ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物、アクリル酸ナトリウム−ビニルアルコール共重合体などのアクリル系吸水性ポリマー、無水マレイン酸系吸水性ポリマー、ビニルピロリドン系吸水性ポリマー、ポリエチレングリコール・ジアクリレート架橋重合体などのポリエーテル系吸水性ポリマー等などが挙げられる。これら吸水性ポリマーは、単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これら吸水性ポリマーは、合成してもよいし市販品を用いてもよい。市販品の例としては、たとえば、アクアキープ(登録商標)SA(住友精化株式会社製)、アクアリック(登録商標)CA(株式会社日本触媒製)、サンフレッシュ、アクアパール(サンダイヤポリマー株式会社製)、ハイモサブHS−960(ハイモ株式会社製)などが挙げられる。これら吸水性ポリマーの中でも、アクアキープ(登録商標)SAがより好ましい。
【0039】
アクアキープ(登録商標)SA(住友精化株式会社製)の中でも、好ましくは、SA−50IIまたはSA60−Sであり、吸水力の観点では、SA60−Sが好ましい。また、コストの観点では、SA−50IIが好ましい。前記吸水性ポリマーの形状も特に制限されず、たとえば、粒状、粉末状、顆粒状、ペレット状等が例示できる。
【0040】
本発明において、塊状物に含まれる吸水性ポリマーの平均粒径にも特に制限はないが、好ましくは50〜1000μmであり、より好ましくは80〜850μmであり、さらに好ましくは100〜600μmである。
【0041】
吸水性ポリマーの含有量は、吸水性ポリマーの種類や形状、および被処理物に含まれる水分量などにより適宜調整可能であるが、塊状物の総質量に対して、1〜90質量%程度、5〜50質量%程度、あるいは、10〜48質量%程度であることが好ましい。かかる範囲であれば、吸水性ポリマーの効果を有意に得られ、未反応の吸水性ポリマーが残留せず、コスト的に有利である。
【0042】
[バインダ(結合剤)]
塊状物に含まれるバインダは、下記で説明する有機系バインダであっても、重曹などの無機系バインダであってもよい。しかし、結着性を鑑みると、好ましくは、塊状物に含まれるバインダは、セルロース系バインダ、高分子系バインダおよびデンプン系バインダからなる群から選択される少なくとも1種の有機系バインダであることが好ましく、特には、前記バインダが、セルロース系バインダであると好ましい。
【0043】
本発明において、塊状物は、吸水性ポリマー、バインダおよび酸性固形物質などの成分が固形化されている点に特徴を有する。塊状物は、吸水性ポリマー(吸水剤)および酸性固形物質などが含まれるが、かかる吸水性ポリマー(吸水剤)は、固形化時(圧縮時)にクッション的な役割になり打錠や圧縮が困難となる場合がある。
【0044】
しかしながら、塊状物は、バインダ(結合剤)を含むため、固形化、タブレット化、造粒化が容易となる。そして、バインダ(結合剤)が含まれるという形態によって、塊状物は、十分な強度を有する。その点、運搬性や取り扱い性の観点で好ましい。
【0045】
本発明において、塊状物に含まれるバインダは、従来公知の方法で合成しても、市販品を購入することによって準備してもよい。市販品としては、旭化成ケミカルズ社製のセロッサK2、PH−102、TG−101、ST−02、TG−101や、樋口商会社製PVPK−15、PVPK−30、PVPK−90(ポリビニルピロリドン)、日本製紙ケミカル社製のKCフロック(W−50S、W−50、W−100/100G、W−200/200G、W−250、W−300G、W−400G)などが好適に使用されるが、中でも、旭化成ケミカルズ社製のセロッサK2、セルロース系の日本製紙ケミカル社製のKCフロックは、形状が繊維状であるため、結合力・崩壊性の観点で、好ましい。また、日本製紙ケミカル社製のKCフロックと旭化成ケミカルズ社製のセロッサK2が、結着性の観点で非常に優れていることを、本発明者は見出している。特に、旭化成ケミカルズ社製のセロッサK2は、形状が粒状であり粒子が細かいので、結合力も高く、打錠機のホッパーからのフィードがスムーズである観点で非常に優れていることを、本発明者は見出している。
【0046】
本発明において、塊状物に含まれるバインダの平均粒径にも特に制限はないが、好ましくは1μm〜100μmであり、より好ましくは5μm〜70μmであり、さらに好ましくは20μm〜60μmである。
【0047】
バインダの含有量は、塊状物の総質量に対して、1〜80質量%程度、5〜70質量%程度、8〜65質量%程度、あるいは、20〜60質量%程度である。かかる範囲であると、粉状である酸性固形物質、吸水性ポリマーを塊状にし、使用時の粉塵飛散を防ぐ効果の観点で好ましい。バインダとしてたとえばセルロース系のバインダを使用した際に、バインダの量が増えると以下の効果がある。つまり、バインダ自体にも吸水性があり、崩壊の基点の役目をする吸水剤を補助する機能を発揮して、被処理物と接触した際に、崩壊の速度が上がる。また、バインダの量が減ると、コストを低く抑えることができ、容量が減る分、被処理物と接触する面積が上がり、反応性が向上する。
【0048】
[酸性固形物質]
本発明の塊状物は、酸性固形物質を含む。塊状物が、酸性固形物質を含むことによって、被処理物(たとえば、大便、小便)から発生しうるアンモニアを中和させることができる。さらには、本発明の排泄物処理剤を使用している際に、徐々に塊状物が崩壊していき、酸性固形物質を徐々に放出していくため、排泄を繰り返し行ったとしても、その度に、放出された酸性固形物質によりアンモニアを中和することができ、消臭効果の持続ができる。さらには、酸性固形物質は尿中のアンモニアと反応することで気泡を生じる。処理剤中に気泡が生じることで、処理剤が嵩高くなり、排泄物(たとえば、糞)を効果的に被覆することができる。よって、悪臭の抑制効果が高く、またその効果を維持することができる。上記でも述べたが、酸性固形物質を入れる際も相互に結着した状態で存在することになる。
【0049】
本発明で用いることができる酸性固形物質としては、特に制限されないが、温度−10〜60℃、好ましくは0〜50℃であり、圧力0.5〜1.2atm、好ましくは1atmの状態で、固体の形態で存在できる酸性物質であることが好ましい。酸性固形物質としては、無機酸またはその塩、有機酸またはその塩など、従来公知のいかなるものも使用することができる。酸性物質として液状の酸を採用する場合は、これをタルク、セルロース等に含浸させて用いることもできるが、固形酸(固形物質)を用いることが好ましい。
【0050】
かかる酸性固形物質のpHにも、酸性を示すものであれば特に制限はないが、人が肌にふれたときの腐食性を防止する観点から、pH1.5〜7未満が好ましく、pH2〜6がより好ましく、pH3.5〜5.5がさらに好ましい。
【0051】
なお、本明細書中に記載のpHは、(株)佐藤商事社製のPHレコーダーSDカード記録系型番PH−SDを用いて測定する値を意味するとする。かような範囲内のpHを有していれば、被処理物(たとえば、糞尿)に含まれる塩基性成分(たとえば、アンモニア)などと中和し、悪臭を効率的に抑制することができる。
【0052】
本発明で用いることができる酸性固形物質は、より具体的には、酢酸、クエン酸(食品添加物 pH:2.36)、イソクエン酸、リンゴ酸(食品添加物 pH:2.45)、酒石酸(食品添加物 pH:2.28)、乳酸、グルコン酸、コハク酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ニトリロ三酢酸、炭酸、サリチル酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、イノシン酸、グアニル酸、グルタミン酸、エリソルビン酸、ソルビン酸、ポリグルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フィチン酸、リン酸、ホスホン酸およびホウ酸からなる群から選択される、未中和の酸性成分(第1成分)(塩の形態ではない酸性成分)などであってもよい。
【0053】
また、クエン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フマル酸一ナトリウム、5'−イノシン酸ナトリウム、5'−グアニル酸ナトリウム、5'−グアニル酸二ナトリウム、グルタミン酸ソーダ、エリソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム(食品添加物(pH:4.3〜4.9)、工業用(pH:4.1〜4.9)(1%溶液)、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム(食品添加物(pH:4.4〜4.9)、工業用(pH:4.4〜4.9)(1%溶液)、ピロリン酸二水素二ナトリウム(食品添加物(pH:3.8〜4.5)、工業用(pH:3.8〜4.5)(1%溶液))、酸性トリポリリン酸アルミニウム工業用(pH:2.4〜2.8)(1%溶液))、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム(酸性ピロリン酸ナトリウム(食品添加物(pH:3.8〜4.5)(1%溶液))、ウルトラリン酸ナトリウム(食品添加物(pH:1.7〜1.9)、工業用(pH:1.7〜1.9)(1%溶液)、フマル酸一ナトリウム(食品添加物(pH:3.0〜4.0)(1%溶液))、硫酸バンド工業用(pH:3.0以上)(1%溶液))、スルファミン酸、ミョウバン工業用(pH:約3.5)(12水塩)および腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)(pH:3.0〜6.8)からなる群から選択される、中和の酸性成分(水に溶かすと酸性を示す塩)(第2成分)などであってもよい。
【0054】
中でも、リン酸二水素ナトリウム(pH:4.3〜4.9)、リン酸二水素カリウム(pH:4.4〜4.9)、ピロリン酸二水素二ナトリウム(pH:3.8〜4.5)、酸性トリポリリン酸アルミニウム(pH:2.4〜2.8)、フマル酸一ナトリウム(pH:3.0〜4.0)、ウルトラリン酸ナトリウム(pH:1.7〜1.9)、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム(pH:3.8〜4.5)または腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)(pH:3.0〜6.8)などが、吸水ポリマーの吸水力を減少させないとの観点から特に好ましい。
【0055】
特にリン酸二水素ナトリウムのような酸性固形成分を含ませると以下のような効果がある。すなわち、処理剤中で、消石灰の割合が増えると、アルカリ濃度が高くなり、アンモニアが発生しやすい環境となる場合もある。そのような場合、アンモニア由来の悪臭が発生する場合がある。よってアンモニアを中和し、かつ、消石灰の殺菌能力を保つための、リン酸二水素ナトリウムのような酸性固形成分を含ませることが特に好ましい。また、リン酸二水素ナトリウムのような第2成分は、吸水ポリマーの吸水力をあまり劣化させないという観点からしても好ましい。
【0056】
なお、酸性固形物質が第1成分のみからなる場合、たとえば、吸水性ポリマーとしてポリアクリル酸塩を使用した場合、ポリアクリル酸塩の「塩部分」を消費してしまい、吸水特性の観点から好ましくない場合がある。しかしながら、被処理物(たとえば、尿)のアンモニアを中和する効果は高いという点では好ましい。一方で、酸性固形物質が第2成分のみからなる場合、吸水特性の観点から好ましい。むろん、被処理物(たとえば、尿)のアンモニアを中和する効果も有意に高い。
【0057】
上記で列挙した具体的な酸性固形物質は、従来公知の方法を適宜参照し、あるいは、組み合わせて、合成してもよいし、市販品を購入して準備してもよい。市販品としては、大明化学工業(株)の硫酸バンド、ミョウバン、磐田化学工業(株)のクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、イタコン酸、スピクリスポール酸、築野食品工業(株)のフィチン酸、(株)日本触媒のコハク酸、フマル酸、無水マレイン酸、日本合成化学工業(株)の無水酢酸、扶桑化学工業(株)のグルコン酸、スルファミン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、フィチン酸、イタコン酸、フマル酸一ナトリウム、(株)伏見製薬所の安息香酸、安息香酸ナトリウム、高杉製薬株式会社のシュウ酸、硝酸、丸石製薬のサリチル酸、キリン協和フーズ(株)のイノシン酸、グルタミン酸、グルタミン酸、ダイセル化学工業(株)のソルビン酸、日本化学工業(株)のホスホン酸、旭化成ケミカルズ(株)のアジピン酸、三菱化学(株)のテレフタル酸、ナガセケムテックス(株)のニトリロ三酢酸、上野製薬株式会社のヒドロキシ安息香酸、ミテジマ化学工業のリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、酸性トリポリリン酸アルミニウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ウルトラリン酸ナトリウム、明京商事株式会社のフミンエース、株式会社アートレイ社製のモフミン(登録商標)、那須緑地株式会社製 天然腐植酸フミン酸、電気化学工業株式会社(デンカアヅミン株式会社)製のカオラン(登録商標)(pH=3.0)、アヅミン(登録商標)(pH=6.8)、アヅミン1号などがある。無論、これら以外の市販品を購入してもよい。
【0058】
酸性固形物質の大きさにも特に制限はないが、平均粒径が、100nm〜3mm程度、より好ましくは0.01〜1mm程度のものであることが、粉体の形態であると塊状にし易く、吸水性ポリマーの補助的役割をする観点で好ましい。無論、種類によって、あるいは、製造の便宜を考慮して、これらの範囲を逸脱するものであっても構わない。
【0059】
酸性固形物質の量(複数種であれば、複数種の合計質量)は、塊状物全体(100質量%)に対して、好ましくは、10〜95質量%、より好ましくは13〜70質量%、さらに好ましくは14〜50質量%である。かような範囲であれば、被処理物から発生しうるアンモニアなどの成分に作用する効率が上がり、処理剤としての脱臭機能が有意に向上する。
【0060】
なお、本発明において、塊状物は、吸水性ポリマーと、バインダと、酸性固形物質とを必須成分として含むが、その他の潤滑剤、ゼオライト、活性炭、脱臭剤などの後述する添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、含まれている場合、塊状物中、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.25〜30質量%、さらに好ましくは0.5〜20質量%程度含まれていてもよい。
【0061】
[アルカリ性物質]
本発明の排泄物処理剤は、消石灰、石灰石および重曹からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ性物質を含む。
【0062】
[消石灰]
本発明の第1の排泄物処理剤に含まれうる消石灰(Ca(OH)2)は、強アルカリであるため、糞尿処理の際(特に大便)の殺菌効果が大きい。また、口蹄疫や鳥インフルエンザなどに感染した動物や家畜あるいはその死骸、その動物や家畜が食べていた餌(植物など)、その動物や家畜が存在していた、または、存在している家畜舎、あるいは、その家畜舎付近の土壌や道路などを、殺菌、滅菌、消毒、消臭することなどに効果がある。これにより、有機物の発酵・分解が止まる。すると、殺菌、滅菌、消毒される。そして、臭気を低減させる効果を得ることができる。また、消石灰は、主に硫化物を吸着するため、この点からも消石灰を使用することによる臭気の低減効果が大きいと言える。
【0063】
消石灰の形状は、特に制限されず、例えば、粉粒状、ペレット状等が例示できるが、大便に対して消石灰を効果的に分散させるという観点から、粉粒状であることが好ましい。また、その平均粒径の下限にも特に制限されないが、例えば、10μm以上、より好ましくは50μm以上である、上限にも特に制限されないが、例えば、1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。つまり、10〜1000μmが好ましく、50〜300μmが好ましく、100〜150μmが好ましい。
【0064】
かかる範囲であると、取扱いが容易となり生産コストが低くなり、得られる処理剤と被処理物との接触面積が増加し、反応効率が向上し、処理時に塊状物が生じず、未反応物が残存しなくなる。必要に応じて、前記消石灰は、平均粒径が異なる2種以上の消石灰が組み合わせて使用されてもよい。なお、本発明において、かかる平均粒径は、100粒を任意に選択して、1粒ごと一番長い粒径を測定し、それらを相加平均した平均値を意味する。以下、本明細書中に記載の「平均粒径」は、同様の定義である。なお、所望の平均粒径とするためには、適宜、篩いなどにかければよい。
【0065】
本発明で用いられる消石灰は、疎水性の被覆剤で表面処理したものであってもよい。また、本発明で用いられる消石灰は、合成してもよいし市販品を用いてもよい。
【0066】
本発明の排泄物処理剤に、消石灰が含まれる場合、かかる消石灰の含有量は、排泄物処理剤の総質量(100質量%;以下同じ)に対して、5〜90質量%程度、10〜80質量%程度、あるいは、15〜70質量である。かかる範囲であれば、被処理物(例えば、糞尿)の処理の際し、臭気低減やガス発生の抑制の効果がより良好に得られる。
【0067】
[石灰石]
本発明の第1の排泄物処理剤に含まれうる、石灰石(炭酸カルシウム)は、組成式CaCO3で表されるカルシウムの炭酸塩である。石灰石は、アルカリ性であるため、消石灰と同様の効果がある。
【0068】
石灰石の形状は、特に制限されず、例えば、粉粒状、ペレット状等が例示できるが、大便に対して効果的に分散させるという観点から、粉粒状であることが好ましい。また、その平均粒径の下限にも特に制限されないが、例えば、10μm以上、より好ましくは50μm以上である、上限にも特に制限されないが、例えば、1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。つまり、10〜1000μmが好ましく、50〜300μmが好ましく、100〜150μmが好ましい。かかる範囲であると、取扱いが容易となり生産コストを低くすることができ、得られる処理剤と被処理物との接触面積が増加し、反応効率が向上する場合がある他、処理時に塊状物が生じず、未反応物が残存しない。必要に応じて、前記石灰石は、平均粒径が異なる2種以上の石灰石が組み合わせて使用されてもよい。
【0069】
本発明の排泄物処理剤に、石灰石が含まれる場合、かかる石灰石の含有量は、かかる石灰石の含有量は、排泄物処理剤の総質量(100質量%;以下同じ)に対して、5〜90質量%程度、10〜80質量%程度、あるいは、15〜70質量である。かかる範囲であれば、被処理物(例えば、糞尿)の処理の際し、臭気低減やガス発生の抑制の効果がより良好に得られる。
【0070】
石灰石を準備する方法としては、市販品を購入する方法が好ましく、例えば、宇部マテリアルズ社のタンカル、吉澤石灰工業株式会社の工業用タンカルなどが好ましい。
【0071】
[重曹]
本発明の第1の排泄物処理剤に含まれうる重曹(炭酸水素ナトリウム)は、組成式NaHCO3で表されるナトリウムの炭酸水素塩である。重曹は、アルカリ性であるため、消石灰と同様の効果がある。また、重曹は、処理剤に含まれるリン酸二水素ナトリウム、クエン酸と反応して気泡を発生する。本発明において、処理剤中に気泡が生じることで、処理剤が嵩高くなり、排泄物を効果的に被覆することができる。そのため、本発明の排泄物処理剤は、重曹を含むのが好ましい。
【0072】
重曹の形状は、特に制限されず、例えば、粉粒状、ペレット状等が例示できるが、大便に対して重曹を効果的に分散させるという観点から、粉粒状であることが好ましい。また、その平均粒径の下限にも特に制限されないが、例えば、10μm以上、より好ましくは50μm以上である、上限にも特に制限されないが、例えば、1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。つまり、10〜1000μmが好ましく、50〜300μmが好ましく、100〜150μmが好ましい。かかる範囲であると、取扱いが容易となり生産コストを低くすることができ、得られる処理剤と被処理物との接触面積が増加し、反応効率が向上する場合がある他、処理時に塊状物が生じず、未反応物が残存しない。また、効率的に気泡を生じることができる。必要に応じて、重曹は、平均粒径が異なる2種以上の重曹が組み合わせて使用されてもよい。
【0073】
本発明の排泄物処理剤に、重曹が含まれる場合、かかる重曹の含有量は、排泄物処理剤の総質量に対して、5〜90質量%程度、10〜80質量%程度、あるいは、12〜70質量%程度である。かかる範囲であれば、被処理物(例えば、糞尿)の処理の際の臭気低減やガス発生の抑制の効果がより良好に得られる。
【0074】
[増粘剤]
本発明の排泄物処理剤は、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースおよびアルギン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の増粘剤を含む。
【0075】
[カルボキシビニルポリマー]
本発明の第1の排泄物処理剤に含まれうる、カルボキシビニルポリマーは、アクリル酸系の架橋共重合体である。また、このカルボキシビニルポリマーは、カルボキシビニルポリマー塩であってもよい。カルボキシビニルポリマーは、水との親和性が高く、弱酸性〜中性(pH6〜8)で水と混合することでゲル状の高粘度体となる増粘剤である。カルボキシビニルポリマーそのもの自体は、通常、酸性に傾いているが、本発明の処理剤が水と混合された際には、アルカリ性物質と中和され、処理剤のpH5〜8、より好ましくはpH6〜7程度となるため、処理剤にカルボキシビニルポリマーが含まれていると処理剤が増粘する。上記したように、本発明において、処理剤が増粘することで、悪臭の抑制効果が高く、さらに抑制効果を維持できる。
【0076】
カルボキシビニルポリマーは、アクリル酸系の架橋共重合体で、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸等の置換アクリル酸等のアクリル酸系モノマーの架橋ポリマーである。前記アクリル酸系モノマーは、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸であり、アクリル酸が最も好ましい。
【0077】
カルボキシビニルポリマーにおける架橋剤は、分子当たり2以上の炭素−炭素二重結合(アルケニルエーテル基)を有した多価アルコールのポリアルケニルポリエーテルが好ましく、具体的には、スクロースのアリルエーテル、ペンタエリトリトールのアリルエーテル等が挙げられる。
【0078】
カルボキシビニルポリマーは、市販品の中から自由に選択することが可能であるが、粘度の経時変化の少ない安定性の高いものを用いることが好ましい。
【0079】
カルボキシビニルポリマーの市販品としては、たとえば、AQUPEC(登録商標)HV−501[粘度:5400−11400mPa・s(0.5%)]、HV−504[粘度:26500−39500mPa・s(同)]、HV−505[粘度:45000−70000mPa・s(同)]、HV−501E[粘度:5400−11400mPa・s(同)]、HV−504E[粘度:26500−39500mPa・s(同)]、HV−505E[粘度:40000−70000mPa・s(同)]、HV−501ER[粘度:7000−14000mPa・s(同)]、HV−505ED[粘度:40000−60000mPa・s(同)](住友精化(株)製)、カーボポール980[粘度:16000−28000mPa・s(0.2%)]、981[粘度:4000−7500mPa・s(同)]、2984[粘度:2500−6500mPa・s(同)]、ETD2050[粘度:6000−14000mPa・s(同)]、Ultrez10[粘度:12000−29000mPa・s(同)](ループリゾール・アドバンスト・マテリアルズ社製)、ジュンロンPW−110[粘度:10000−20000mPa・s(0.2%中和、25℃)]、PW−111[粘度:3000−7000mPa・s(同)]、PW−150[粘度:15000−25000mPa・s(同)]、PW−302S[粘度:15000−25000mPa・s(同)]、PW−350S[粘度:1500−50000mPa・s(同)]、PW−500[粘度:20000−35000mPa・s(同)](日本純薬(株)製)、ハイビスワコー103[粘度:15000mPa・s(0.2%中和)]、104[粘度:26000mPa・s(同)]、105[粘度:4000mPa・s(同)](和光純薬工業(株)製)、カーボポール71G[粘度:4000−11000mPa・s(0.5wt%、pH7.5)]、971P[粘度:4000−11000mPa・s(同)]、981[粘度:4000−10000mPa・s(同)]、941[粘度:4000−10000mPa・s(同)]、934[粘度:30500−39400mPa・s(同)]、934P[粘度:29400−39400mPa・s(同)](B.F.Goodrich Chemical社製)や、カルボキシビニルポリマーカルシウム・カリウム塩であるユニセーフECT−203(日本油脂製)等をあげることができ、これらのなかでも、カーボポールシリーズ、AQUPEC(登録商標)シリーズ、ハイビスワコーシリーズ、が好ましく、AQUPEC(登録商標)HV−505がより好ましい。カルボキシビニルポリマーは、1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0080】
カルボキシビニルポリマーの含有量は、配合するカルボキシビニルポリマーの種類や、他の増粘剤との併用などにより適宜調整されうるが、処理剤全量(100質量%)に対して、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは2〜15質量%である。
【0081】
カルボキシビニルポリマーの形状は、特に制限されず、例えば、粉粒状、ペレット状等が例示できるが、水に対してカルボキシメチルセルロースを効果的に分散させるという観点から、粉粒状であることが好ましい。また、その平均粒径の下限にも特に制限されないが、例えば、10μm以上、より好ましくは50μm以上である、上限にも特に制限されないが、例えば、1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。つまり、10〜1000μmが好ましく、50〜300μmが好ましく、100〜150μmが好ましい。
【0082】
[カルボキシメチルセルロース]
本発明の第1の排泄物処理剤に含まれうるカルボキシメチルセルロースは、セルロースの誘導体であり、セルロースの骨格を構成するグルコノピラノースモノマーのヒロドキシ基の一部にカルボキシメチル基(−CH−COOH)を結合させたものである。また、このカルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロース塩であってもよい。カルボキシメチルセルロースは、水との親和性が高く、水と混合することでゲル状の高粘度体となる増粘剤である。そのため、本発明の処理剤が水と混合された際には、処理剤にカルボキシビニルポリマーが含まれていると処理剤が増粘する。上記したように、本発明において、処理剤が増粘することで、悪臭の抑制効果が高く、さらに抑制効果を維持できる。
【0083】
カルボキシメチルセルロースは、市販品の中から自由に選択することが可能であるが、粘度の経時変化の少ない安定性の高いものを用いることが好ましい。
【0084】
カルボキシメチルセルロースの市販品としては、たとえば、サンローズ(登録商標)F、A、P、S、B、MAC、SLDシリーズ(日本製紙ケミカル(株)製)が挙げられる。これらのうち、サンローズF350HC−4[粘度:2000−4000mPa・s(1%水溶液25℃)]、サンローズF−30MC[粘度:250−350mPa・s(1%水溶液25℃)]、サンローズF−150MC[平均分子量:20万、粘度:1200−1800mPa・s(1%水溶液25℃)]、サンローズF−300MC[平均分子量:30万、粘度:2500−3000mPa・s(同)]、サンローズF−600MC[粘度:6000−8000mPa・s(同)]、サンローズF−1000MC[平均分子量:42万、粘度:8000−12000mPa・s(同)]、サンローズF−1400MC[粘度:12000−15000mPa・s(同)](日本製紙社製)が好ましく用いられる。カルボキシメチルセルロースは、1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0085】
カルボキシメチルセルロースの含有量は、配合するカルボキシメチルセルロースの種類や、他の増粘剤との併用などにより適宜調整されうるが、処理剤全量(100質量%)に対して、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは2〜15質量%である。
【0086】
カルボキシメチルセルロースの形状は、特に制限されず、例えば、粉粒状、ペレット状等が例示できるが、水に対してカルボキシメチルセルロースを効果的に分散させるという観点から、粉粒状であることが好ましい。また、その平均粒径の下限にも特に制限されないが、例えば、10μm以上、より好ましくは50μm以上である、上限にも特に制限されないが、例えば、1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。つまり、10〜1000μmが好ましく、50〜300μmが好ましく、100〜150μmが好ましい。
【0087】
[アルギン酸塩]
本発明の第1の排泄物処理剤に含まれうるアルギン酸塩は、α−L−グルロン酸、β−D−マンヌロン酸がピラノース型で1,4−グリコシド結合で結合した構造を持っている。アルギン酸塩は、水との親和性が高く、水と混合することでゲル状の高粘度体となる増粘剤である。そのため、本発明の処理剤が水と混合された際には、処理剤にアルギン酸塩が含まれていると処理剤が増粘する。上記したように、本発明において、処理剤が増粘することで、悪臭の抑制効果が高く、さらに抑制効果を維持できる。
【0088】
本発明で用いられるアルギン酸塩としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸アンモニウムなどが挙げられ、これらのうち、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムが好ましく用いられる。アルギン酸ナトリウムが特に好ましい。
【0089】
本発明で用いられるアルギン酸塩としては、20℃において1%溶液の粘度を測定した際に粘度が1000mPa・s以下であるアルギン酸塩を使用することは好ましく、20℃において10%溶液の粘度が700mPa・s以下であるアルギン酸塩を使用することは更に好ましく、20℃において10%溶液の粘度が500mPa・s以下であるアルギン酸塩を使用することはさらに好ましい。なお、粘度の下限としては、特に制限されないが、被処理物を効果的に被覆するという観点から、20℃において1%溶液の粘度を測定した際に粘度が、好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは50mPa・s以上である。
【0090】
アルギン酸塩は、市販品の中から自由に選択することが可能であるが、粘度の経時変化の少ない安定性の高いものを用いることが好ましい。
【0091】
アルギン酸塩の市販品としては、たとえば、アルギテックスLL[粘度:30−60mPa・s(1%水溶液20℃)]、L[粘度:100−200mPa・s(同)]、M[粘度:300−400mPa・s(同)]、H[粘度:500−600mPa・s(同)]、キミカアルギンIシリーズ、キミカアルギンLUVシリーズ、キミカアルギンHigh−Gシリーズ、キミカアルギンHigh−Mシリーズ、キミカアルギンBシリーズ、キミカアルギンSKATシリーズ(キミカ社製)などが挙げられる。これらのうち、アルギテックスシリーズが好ましく用いられ、特に、アルギテックスMが好ましい。アルギン酸塩は、1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0092】
アルギン酸塩の含有量は、配合するアルギン酸塩の種類や、他の増粘剤との併用などにより適宜調整されうるが、処理剤全量(100質量%)に対して、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは2〜15質量%である。
【0093】
[界面活性剤]
本発明の排泄物処理剤は、界面活性剤を含む。界面活性剤を用いることで、処理剤に水や排泄物(たとえば、糞、尿)が投入された際に気泡が生じやすく、本発明の処理剤は、界面活性剤を含むことで、水を添加された際、さらに排泄物が投入された際に、処理剤中に気泡が生じ、さらには界面活性剤は、生じた気泡を成長させることができる。そして、生じた気泡により処理剤の粘性を増加させ、処理剤の嵩を増加させ、排泄物を効果的に被覆することができる。
【0094】
本発明において、界面活性剤としては、常温(25℃)で固体形状のものが好ましく用いられる。本発明で用いられる界面活性剤は、たとえば、アニオン性界面活性剤としては、混合脂肪酸ナトリウム、硬化牛脂脂肪酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ヒマシ油カリウム等の脂肪酸塩(石鹸);ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸カリウム、ミリスチル硫酸トリエタノールアミン、ペンタデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸カリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩;ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類;アルカンスルホン酸塩類;直鎖または分岐のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸塩;アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩;アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩;アルキルリン酸カリウム等のアルキルリン酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩;アルキル硫酸エステル塩;脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキル(またはアルキルアリル)硫酸エステル塩;脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩;N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウムなどの脂肪酸タウリン塩;ミリストイルグルタミン酸ナトリウムやラウロイルメチルアラニンナトリウムなどのアミノ酸系界面活性剤;N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩;石油スルホン酸塩;硫酸化牛脂油;スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類;オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類;特殊反応型アニオン界面活性剤;特殊カルボン酸型界面活性剤;β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、特殊芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩等のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤;等がある。
【0095】
本発明で用いられる界面活性剤は、たとえば、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル);ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンジ脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;グリセリン脂肪酸エステル;ポリグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル;グリセリン脂肪酸部分エステル;ペンタエリスリトール脂肪酸エステル;ショ糖脂肪酸エステル;プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;エチレンジアミンのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー付加物;脂肪酸ジエタノールアミド類;N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類;ポリオキシエチレンアルキルアミン;アルキルアルカノールアミド;トリエタノールアミン脂肪酸エステル;トリアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
【0096】
本発明で用いられる界面活性剤は、たとえば、カチオン性界面活性剤としては、長鎖第1級アミン塩;ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジベヘニルジメチルアンモニウムクロライド等のジアルキルジメチルアンモニウム塩;ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等のアリールトリメチルアンモニウム塩;アルキルピリジニウム塩;ベンザルコニウムクロリド;ベンゼトニウムクロリド等が挙げられる。
【0097】
本発明で用いられる界面活性剤は、たとえば、両性界面活性剤としては、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩酸アルキルポリアミノエチルグリシンなどの両性系界面活性剤等が挙げられる。
【0098】
また、本発明では、2種以上の界面活性剤を併用してもよく、また、アニオン性、非イオン性、カチオン性を組合せてもよい。
【0099】
本発明の処理剤において、界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アミノ酸系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンジ脂肪酸エステル、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリドが好ましく、アルキル硫酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アミノ酸系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルがより好ましく、アルキル硫酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩が特に好ましい。
【0100】
本発明で用いられる界面活性剤は、市販品の中から自由に選択することが可能である。たとえば、本発明で用いられる界面活性剤の市販品としては、たとえば、アルスコープLN−90PW(東邦化学工業(株)社製)、パーソフトSF−T(日油(株)社製)などのアルキル硫酸塩;;ネオペレックスNo.6Fパウダー(花王(株)社製)、ニューコールシリーズ(日光ケミカル(株)社製)などの直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩;ノンサールLK−2、LK−5、MK−1、PK−1、LN−1、SN−1、PN−1N、TN−1(日油(株)社製)などの脂肪酸塩;アミソフトCS−11、LS−11、MK−11、GS−11P、LA−D、HA−P(味の素(株)社製)などの脂肪酸グルタミン酸塩のアミノ酸系界面活性剤;エマルゲン120、123P、130K、147、150(花王(株)社製)などのポリオキシアルキレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレンアルキルエーテル);などが挙げられる。
【0101】
本発明において、界面活性剤の含有量は、配合する界面活性剤の種類により適宜調整されうるが、処理剤全量(100質量%)に対して、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは2〜15質量%である。
【0102】
[リン酸二水素ナトリウム]
本発明の第1の排泄物処理剤は、リン酸二水素ナトリウムを含む。処理剤中で、消石灰の割合が増えると、アルカリ濃度が高くなり、アンモニアが発生しやすい環境となる場合もある。そのような場合、アンモニア由来の悪臭が発生する場合がある。よってアンモニアを中和し、かつ、消石灰の殺菌能力を保つために、リン酸二水素ナトリウムを含ませることで、処理剤をpH5〜8、より好ましくはpH6〜7程度と導き、処理された排泄物の悪臭を抑制することができる。また、当該リン酸二水素ナトリウムは、処理剤に水や排泄物が投入された際に、処理剤中の重曹や尿中のアンモニアなどのアルカリ成分と反応して、気泡を生じる作用がある。
【0103】
本発明において、リン酸二水素ナトリウムの含有量は、処理剤中の塊状物、重曹などの量により適宜調整され、特に制限されないが、処理剤全量(100質量%)に対して、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.2〜15質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%である。なお、当該リン酸二水素ナトリウムとは、塊状物に含まれうる酸性固形物質としてのリン酸二水素ナトリウムとは別に含有されるものである。
【0104】
[クエン酸]
本発明の第1の排泄物処理剤は、クエン酸を含む。当該クエン酸も酸性物質であるため、上記リン酸二水素ナトリウムと同様の働きをする。
【0105】
本発明において、クエン酸の含有量は、処理剤中の塊状物、重曹などの量により適宜調整され、特に制限されないが、処理剤全量(100質量%)に対して、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.2〜15質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%である。なお、当該クエン酸とは、塊状物に含まれうる酸性固形物質としてのクエン酸とは別に含有されるものである。
【0106】
また、本発明の処理剤において、塊状物にもリン酸二水素ナトリウムやクエン酸などの酸性固形物質が含有されるが、処理剤全量(100質量%)に対して、酸性固形物質と、塊状物中でないリン酸二水素ナトリウムおよびクエン酸との合計量は、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは13〜70質量%、さらに好ましくは14〜50質量%、特に好ましくは15〜40質量%である。
【0107】
[酸化亜鉛]
本発明の第1の排泄物処理剤は、酸化亜鉛を含む。酸化亜鉛は、ZnOで表される亜鉛の酸化物であり、アンモニア、硫化物などの臭いの成分を吸着して消臭、脱臭する効果を有する。
【0108】
酸化亜鉛としては、市販品の中から自由に選択することが可能である。たとえば、酸化亜鉛I種(ハクスイテック株式会社製)、酸化亜鉛II種(ハクスイテック株式会社製)などが挙げられる。
【0109】
本発明において、酸化亜鉛の含有量は、特に制限されないが、処理剤全量(100質量%)に対して、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.2〜15質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%である。
【0110】
[添加剤]
本発明の第1の排泄物処理剤は、上記成分以外に、添加剤を含んでもよい。本発明の第1の排泄物処理剤の添加剤としては、ゼオライト、活性炭、および潤滑剤からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、本発明において、塊状物が潤滑剤を含むのが好ましい。
【0111】
以下、添加剤の構成要件を詳説する。
【0112】
[ゼオライト]
本発明の第1の排泄物処理剤は、ゼオライトである添加剤をさらに含むとよい。「ゼオライト」とは沸石類と呼ばれる鉱物の総称で、天然のゼオライトは約40種類発見されている。ゼオライトが含まれると、被処理物(例えば、糞尿)に含まれるアンモニア成分を吸着し、消臭、脱臭に効果がある。ゼオライトを含むことによって、ゼオライトの細孔が、悪臭を取り込んで、悪臭を抑制することができる。本発明の処理剤に含まれるゼオライトは、処理剤中、塊状物として塊状物中に含まれていてもよい。
【0113】
本発明のゼオライトは、天然のものであっても、人工的なものであってもよいが、入手性の観点からは、人工的なものであることが好ましい。また、本発明のゼオライトは、水や窒素分子よりも少し大きい5.5〜8Å程度の極微小な空洞がトンネル状に構成されているモルデナイトと呼ばれるゼオライトであることが好ましい。
【0114】
市販品を購入する場合、新東北化学工業(株)社製の、ゼオライト2460、ゼオライト60、ゼオライトCPなどが好ましい。また、ゼオライトが塊状物中に含まれる場合、打錠機へのフィードの容易性の観点からして、ゼオライト60が好ましい。
【0115】
本発明のゼオライトの平均粒径にも特に制限はないが、0.05〜1.5mm程度が好ましく、より好ましくは、0.1〜1.2mm程度である。
【0116】
本発明で用いられるゼオライトとしては、SiO2(酸化ケイ素)、Al23(酸化アルミニウム)、CaO(酸化カルシウム)、Na2O(酸化ナトリウム)、K2O(酸化カリウム)、Fe23(酸化鉄)、MgO(酸化マグネシウム)、付着水(H2O)、結合水(H2O)、その他が、それぞれ、70.5質量%、11.3質量%、2.6質量%、1.6質量%、1.3質量%、0.7質量%、0.1質量%、8.0質量%、3.9質量%程度含まれるものなどが挙げられるが、無論、かかる組成に限定されることはなく、それぞれの成分が0.1〜2割程度前後して、合計が100%になるように調製されたものを用いてもよい。なお、本発明において、例えば、K[AlSi26]などのゼオライトを用いてもよい。
【0117】
ゼオライトを使用する場合の使用量は、ゼオライトの種類や形状、および被処理物(例えば、糞尿)中に含まれる成分などにより適宜調整可能であるが、処理剤の総質量に対して、0.1〜50質量%程度、1〜30質量%、あるいは、2〜20質量%程度の範囲であることがさらに好ましい。かかる範囲であると、悪臭を抑制する効果がより高くなり、コスト的にも経済的である。
【0118】
[活性炭]
活性炭は、上記の消石灰が放つことがある悪臭を抑制する観点から添加されると好ましい。また、活性炭は、糞尿処理中に発生する悪臭を抑制する働きをも有する。本発明の処理剤に含まれる活性炭は、処理剤中、塊状物として塊状物中に含まれていてもよい。
【0119】
本発明で用いられる活性炭は、特に制限されない。活性炭の具体的な例としては、例えば、木炭、コークス、ヤシガラ、天然繊維、ポリアクリロニトリル、レーヨン、フェノール樹脂などの合成樹脂、ピッチなどを原料として用い、公知の方法で得られた活性炭が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、前記活性炭は、合成してもよいし市販品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、活性炭GYアルカリ用、活性炭GX酸性用(以上、東洋紡株式会社製)、またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0120】
さらに、消石灰と活性炭とが予め混合されている市販品、例えば、ゾルバリット(宇部マテリアルズ株式会社製)を用いて、本発明の処理剤の消石灰成分および活性炭成分としてもよい。これら活性炭の中でも、悪臭物質の吸着の観点で、ゾルバリットがより好ましい。
【0121】
前記活性炭の形状も特に制限されず、例えば、粒状、粉末状、顆粒状、ペレット状、マカロニ状、繊維状、ハニカム状等が例示できる。
【0122】
活性炭を使用する場合の使用量は、活性炭の種類や形状、および被処理物(例えば、糞尿)中に含まれる成分などにより適宜調整可能であるが、処理剤の総質量に対して、0.1〜20質量%程度、0.4〜15質量%程度、あるいは、0.3〜10質量%程度である。かかる範囲であると、悪臭を抑制する効果がより高くなり、コスト的にも経済的である。
【0123】
[潤滑剤]
本発明の第1の排泄物処理剤は、潤滑剤を含んでいてもよい。また、本発明において、潤滑剤は、塊状物中に含まれるのが好ましい。塊状物に潤滑剤を含むことで、塊状物を作製する際に、特に、打錠機の臼へのフィードをスムーズにすることができる。潤滑剤の種類としては、従来公知のものを適宜選択して、あるいは、組み合わせて使用することができる。例えば、ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル系、二酸化ケイ素などのケイ素系、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウムなどが使われ、エステル系、ケイ素系、ステアリン酸カルシウムが好ましい。潤滑剤の含有量は、本発明の処理剤の総量に対して、0.05〜20質量%程度、あるいは、0.1〜17質量%程度であることが好ましい。また、潤滑剤の含有量は、本発明の塊状物の総量に対して、0.5〜20質量%程度、あるいは、0.8〜17質量%程度であることが好ましい。かかる範囲であると、原料のフィード、崩壊性を高める。かかる範囲であると、原料のフィード、崩壊性を高める。
【0124】
[その他の添加剤]
本発明の処理剤は、本発明において悪影響を及ぼさない限り、その他の添加剤をさらに含有していてもよい。かかる添加剤の例としては、臭気対策の観点から、香料、消臭剤、または脱臭剤;アルコール等の親水性有機化合物;糞尿中の水分含有量を制御するという観点から、シリカゲル、無水硫酸ナトリウム等の乾燥剤;殺菌・脱臭の観点から、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素含有化合物;糞尿処理時のアルカリ性条件を補完する観点から、水酸化ナトリウム等の第1族元素の水酸化物等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で使用してもよいし2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0125】
前記香料の例としては、例えば、レモンオイル、レモングラス、シナモン油、ラベンダー油、ベチパー等が挙げられる。
【0126】
また、処理剤を糞尿に添加する際に用いられうる、後述の水溶性樹脂からなる包袋、水溶紙からなる包袋、または水解性不織布からなる包袋も、本発明の処理剤の添加剤として含有されうる。
【0127】
かようなその他の添加剤は、含まれたとしても、本発明の第1の塊状処理剤の総量に対して、0.1〜10質量%程度、あるいは1〜3質量%程度である。
【0128】
[本発明の第1の排泄物処理剤の作製方法]
本発明の第1の排泄物処理剤は、まず、塊状物を作製し、得られた塊状物と、上記した他の成分とを混合することで作製することができる。
【0129】
まず、塊状物の作製方法について述べる。
【0130】
本発明の塊状物は、上記した塊状物の組成を、混合し、所望の大きさあるいは重量になるように、圧縮することによって、作製することができる。この際、混合する方法は、各成分を一度に混合してもよいし、各成分を順次混合してもよい。
【0131】
以下、本発明の塊状物の作製方法を好ましいいくつかの実施形態に分けて説明する。無論、下記の方法には制限されない。
【0132】
[卓上式手動の打錠機で固化]
卓上式手動の打錠機(杵と臼はそれぞれ一つ)で固化するために、まず、杵には、固化をする各成分を手でスプーンにて入れる。この際、フィードの難しさは考える必要はない。その後、手動(油圧)にてレバーを下して圧力をかけて、各成分を固化させることによって、塊状物を作製する。なお、卓上式手動の打錠機の利点は、かなりの時間、滞留させて圧力をかけるので固まりにくい組み合わせであっても固化できるというところである。なお、例えば口径の小さい杵(直径7mm:上下円版型)を用いた場合、口径が小さい方が面積当たりにより高い圧力がかかるので固化しにくいものでも固まる傾向がある。一方で、例えば口径の大きい杵(直径15mm:上下平版型)を用いる場合、口径が大きい方が面積当たりに小さい圧力になるので固化しにくいものには不利になるが、口径の大きい分、杵へのフィードは有利になり、生産性は向上する。
【0133】
[連続式の打錠機]
また、連続式の打錠機は、直打式であってもなくてもよいが、前処理の手間(例えば、造粒工程;本発明では、吸水性ポリマーが使用されるため乾式が好ましい)を省くことができるという点で生産性が向上する直打式を採用することも好ましい。ただ、塊状物の成分の粒子径が小さい場合、そのような微粉のものをフィードしやすくするために潤沢剤を入れることが好ましい。一方で、前処理を行う場合は、例えば、ローラーコンパクターを用いて大きな圧力をかけて圧延して微粉を造粒したものにバインダ(結合剤)を混合したものを打錠することによって、本発明の塊状物を作製してもよい。大量生産を鑑みると、例えば、株式会社畑鐵工所製の打錠機(型式AP18−SSなど)を使用することが好ましい。この際の杵臼の直径は、13mm程度であり、杵立数は、18本程度である。かかる打錠機を使用すれば、原料を所望の割合となるように調製し、混合し、打錠機のホッパーに混合した原料を入れ、打錠機で回転式に打錠をしていくだけで生産が可能であり、好ましい。
【0134】
また、連続式の回転型打錠機で、本発明の塊状物を作製してもよい。具体的には、各成分(例えば、吸水性ポリマー、バインダ、酸性固形物質、潤沢剤)を混合し混合物を作製し、連続打錠機のホッパーに混合物を入れて打錠を行う。杵の形状は、例えば、上下円版型であってもよい。
【0135】
このように、本発明の塊状物を作製するための固形化のため方法には、特に制限はない。上記のように、打錠、ローラーコンパクター、湿式の圧縮(圧縮対象の原体を水で湿らせ、圧縮)を適宜組み合わせて、適用すればよい。なお、本発明の塊状物は、吸水性ポリマーを含むため、吸水性ポリマーを混合する前の段階、バインダ、酸性固形物質などの添加剤との混合物を湿式で造粒し、その後、吸水性ポリマーと混合する方法もよい。また、連続式の回転型打錠機で、本発明の第1の塊状処理剤を作製してもよい。具体的には、各成分を混合し混合物を作製し、連続打錠機のホッパーに混合物を入れて打錠を行う。杵の形状は、例えば、上下円版型であってもよい。
【0136】
以上のようにして得られた塊状物を、消石灰、石灰石および重曹からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ性物質と、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースおよびアルギン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の増粘剤と、界面活性剤と、リン酸二水素ナトリウムと、クエン酸と、酸化亜鉛と、それぞれ、所望の重量になるように添加し、混合することによって、作製することができる。この際、混合する方法は、各成分を一度に混合してもよいし、各成分を順次混合してもよい。
【0137】
[本発明の第1の排泄物処理剤の用途]
本発明の第1の排泄物処理剤の用途は特に制限されない。例えば、糞尿、有機性汚泥、動植物、家畜、家畜舎または土壌の処理に用いられうる。本発明の第1の排泄物処理剤が、糞尿処理剤、有機性汚泥処理剤、動植物処理剤、家畜処理剤、家畜舎処理剤または土壌処理剤として使用されることによって、様々な効果を奏する。具体的には、本発明の第1の排泄物処理剤が、糞尿処理剤に含まれることによって、本発明の処理剤は、悪臭を防ぐため、取り扱い性が向上する。具体的には、糞尿の処理は、災害用トイレ、渋滞用トイレ(渋滞時に車内で使用するトイレ)、工事現場等の仮設トイレ、ペット用トイレ(猫砂や犬のトイレ)、海外での水洗インフラのない地域での応用などがある。
【0138】
また、本発明の第1の排泄物処理剤は、ポータブルトイレ等に好適に用いられうる。本発明の第1の排泄物処理剤を前もって敷いておき、さらに水を添加しておき、予め処理剤が配置されてなるので、その上から排尿または排便をすることで、排泄後、使用者は、自己(あるいは要介護者など)の糞尿を確認する必要はなく、使用者も快適に使用することができる。
【0139】
なお、本発明の第1の排泄物処理剤が、糞尿処理に用いられる場合、かかる糞尿は、人糞尿のみならず、例えば、牛糞尿、豚糞尿、鶏糞尿等の畜糞尿等も包含する。また、前記糞尿は、大便単独でもよいし、小便単独でもよいし、大便と小便との混合物であってもよい。大便単独の場合、水分を多く含むことが好ましい。また、有機性汚泥の処理は、汚染された河川の処理、外食店舗から排出される食品残さ、感染症患者の嘔吐物の処理、血液の処理等の用途に好適に用いられうる。
【0140】
動植物、家畜、家畜舎または土壌の処理は、具体的には、口蹄疫や鳥インフルエンザなどの感染症に感染した動物、家畜、それらの餌、それらの家畜、家畜舎または土壌の処理に適用可能である。また、消毒剤、殺菌剤、滅菌剤、消臭剤の用途としても使用が可能である。
【0141】
さらに、本発明の第1の排泄物処理剤は、尿と糞とが混合した排泄物であっても効果的に脱臭・消臭することができるものである。すなわち、本発明において、酸性成分と、アルカリ性成分と、さらに増粘成分と、界面活性剤と、が組み合わさって、処理剤中に気泡を生じ、処理剤を増粘させることで、排泄物を効果的に被覆することができ、臭気の拡散を防ぐことができる。たとえば、糞は、時間経過に伴い、雑菌等が繁殖して臭いの元となりうるが、本発明の処理剤は、糞を効果的に被覆することで、雑菌等の繁殖を抑制し、さらに臭いの拡散を抑制することができる。また、尿は、アンモニアを含んでいるため、放置しておくと、アンモニア臭を発生するが、本発明の処理剤は、処理剤中をpH5〜8、より好ましくはpH6〜7程度なるように設計され、アンモニアが中和されるため、臭いを抑制することができる。さらには、処理剤中、粘性の高い層が上層にあるため、当該層により外気への臭いの拡散が抑制される。また、塊状物が、徐々に酸性固形物質を徐放するため、排泄物を繰り返し投入した際であっても、その度に、徐放された酸性固形物質によりアンモニアが中和され、また、酸性固形物質とアンモニアとの反応で気泡が生じ、処理剤の粘性が増加し、処理剤の被覆効果を継続することができる。
【0142】
<本発明の第2>
本発明の第2は、本発明の第1の排泄物処理剤の使用方法である。本発明の排泄物処理剤は、吸水性ポリマー、バインダおよび酸性固形物質を含む塊状物と、消石灰、石灰石および重曹からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ性物質と、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースおよびアルギン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の増粘剤と、アルキル硫酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩および脂肪酸塩からなる群より選択される少なくとも1種以上の界面活性剤と、リン酸二水素ナトリウムと、クエン酸と、酸化亜鉛と、を含む排泄物処理剤を配置して、水を添加した後、排泄物の処理に使用される。
【0143】
本発明の処理剤は、水を添加されることで、処理剤中で以下の現象が生じると推測される。なお、以下の推察により、本発明は限定されない。
【0144】
本発明の処理剤は、水を添加されると、酸性成分と、アルカリ性成分(たとえば、重曹)とが反応して処理剤中に気泡が生じ、さらに界面活性剤が気泡を増大させ、増粘剤が水に分散(溶解)して増粘する。よって、気泡と粘性とが生じることで、排泄物を効果的に被覆することができ、臭気の拡散を防ぐことができる。すなわち、本発明の排泄物処理剤は、水を添加することで、酸性成分と、アルカリ性成分と、さらに増粘成分と、界面活性剤と、が組み合わさって作用し、排泄物が投入された際に効果的に消臭することができる。
【0145】
<本発明の第3>
本発明の第3は、本発明の第1の排泄物処理剤と水とが予め配置されてなる、便器である。本発明の第3の便器は、本発明の第1の排泄物処理剤と水とを含んでいるので、本発明の第1の排泄物処理剤の効果を有する。ここで、特には、本発明の第3の便器は、本発明の第1の排泄物処理剤に予め水が添加されていることで、取り扱い性の観点から非常に好ましい。無論、本発明の第3の便器が、水を含まずに配置されていても、本発明に含まれる。
【0146】
本発明の第1の排泄物処理剤が糞尿処理に用いられる場合、第1の排泄物処理剤の使用量は、被処理物(例えば、糞尿)100質量部に対し、10〜200質量部の範囲であることが好ましく、20〜100質量部の範囲であることがより好ましく、30〜60質量部であることがさらに好ましい。処理剤の使用量が、10質量部未満である場合には、糞尿と消石灰との接触面積が減少するため、糞尿が空気に触れ、糞尿の発酵・分解が進む虞がある。一方、100質量部を超える場合には、処理後の残渣が多くなり、処理後の廃棄物が多くなる場合がある。また、コストが高くなる場合がある。よって、本発明の第3の便器に、本発明の第1の排泄物処理剤を予め配置する場合は、上記の範囲の量で配置することが好ましい。
【0147】
また、本発明の第1の排泄物処理剤と水とが便器に配置される場合、水の使用量は、便器(容器)の容積1Lに対して、好ましくは0.1〜800g、より好ましくは1〜500g、さらに好ましくは10〜400g、特に好ましくは20〜350g、もっとも好ましくは30〜300gである。水の使用量が、0.1g/L未満である場合には、糞尿と消石灰との接触面積が減少するため、糞尿が空気に触れ、糞尿の発酵・分解が進む虞がある。一方、800g/Lを超える場合には、処理後の残渣が多くなり、処理後の廃棄物が多くなる場合がある。また、コストが高くなる場合がある。また、他の水の使用量の基準としては、処理剤の高さが、便器(容器)の高さに対して、好ましくは0.1〜60%、より好ましくは0.5〜50%、さらに好ましくは1〜30%の高さになるように水を添加するのが好適である。
【0148】
よって、本発明の第3の便器に、本発明の第1の排泄物処理剤と水とを予め配置する場合は、上記の範囲の量で配置することが好ましい。
【0149】
本発明の第3の便器には、取り扱いの容易性等の観点から、例えば、糞尿を受ける部分に、表面が撥水処理されたシートや内面が撥水処理された袋などに本発明の第1の排泄物処理剤と、水と、を配置しておくことが好ましく、そこに、糞尿を添加することによって、廃棄する際にも非常に容易となる。なお、糞尿臭には、大きく分けて、大便臭とアンモニア臭がある。大便臭は、有機的な臭気であり、アンモニア臭は無機的な臭気である。アンモニア臭は、無機臭であり、排泄後、表面が撥水処理されたシートを縛れば拡散しにくい臭気である。しかし、大便臭は、ガスが検体自体から発生するので表面が撥水処理されたシート(例えば、ビニール袋)内の内圧を高め、ビニール袋を縛っても漏れて拡散する傾向にある。従来知られている糞尿処理剤であると、脱臭効果が低いため、糞尿臭(特に、大便臭)を抑制することが困難であった。本発明によれば、本発明の第1の排泄物処理剤、本発明の第2の排泄物処理剤の使用方法、本発明の第3の便器が提供され、攪拌等の操作を必要とせず、簡便にかつ効率的に尿等を処理することが可能であり、殺菌等を行うことができるため、悪臭やガスの発生を抑制することができ、例えば、被災地のトイレ事情を著しく改善することができ、衛生面においての非常に好適である。
【0150】
上記のように、本発明の第1の排泄物処理剤は、ポータブルトイレ等に前もって敷いておき、さらに水を添加しておき、その上から排尿または排便をすることができる。そうすると、酸性物質とアルカリ性物質と界面活性剤と増粘剤との相互作用により、処理剤が粘性を有し、排尿または排便の勢いで、消石灰などの粉塵が舞い上がらない。すると、中に含まれている腐食性を有する強アルカリである消石灰が舞い上がらないため、人体の繊細部分に飛び散ることなく、健康面からみても好ましい。
【0151】
また、本発明の便器は、予め処理剤が配置されてなるので、排泄後、使用者は、自己(あるいは要介護者など)の糞尿を確認する必要はなく、使用者も快適に使用することができる。それに対して、従来の処理剤は、排泄をした後、自分で(あるいは介護者などが)糞尿に、処理剤を振り掛ける必要があり、使用者(あるいは介護者など)は不快になることがあった。しかし、本発明の便器によれば、予め処理剤が配置されているので、排泄後は特に確認を要することなく、必要に応じて、そのまま便器を廃棄すれば足りるという効果も有する。
【0152】
<本発明の第4>
本発明の第4は、本発明の第1の本発明の第1の排泄物処理剤を含んで成形されてなる、吸収性物品である。本発明の第4にかかる吸収性物品は、上記した本発明の第1の排泄物処理剤、液透過性を有する表面シート、液不透過性を有する背面シートを備えると好ましい。
【0153】
本発明にかかる吸収性物品の製造方法は、特に限定されないが、例えば、本発明の第1の排泄物処理剤を、液透過性を有する基材(表面シート)と液不透過性を有する基材(背面シート)でサンドイッチして、必要に応じて、弾性部材、拡散層、粘着テープ等を装備することで、吸収性物品、例えば、大人用紙オムツや生理用ナプキンとすればよい。
【0154】
本発明の第1の排泄物処理剤は、吸収性物品に消臭機能を付与でき、長時間にわたり、優れた消臭性能と吸収特性を示すものである。
【0155】
このような吸収性物品としては、具体的には、近年成長の著しい大人用紙オムツをはじめ、子供用オムツや生理用ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料等が挙げられ、それらに特に限定されるものではない。吸収性物品の中に存在する本発明の第1の排泄物処理剤が非常に優れた消臭性を有し、ドライ感が著しいことにより、装着している本人、介護の人々の負担を大きく低減することができる。
【0156】
吸収性物品に含まれる、本発明の第1の排泄物処理剤の量は、用途に応じて適宜調整すればよいが、衛生材料等の場合、その中に、5〜50g、あるいは、10〜30g程度含ませることが好ましい。
【実施例】
【0157】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例により何ら制限されるものではない。
【0158】
本発明の処理剤の評価は以下のように行った。
【0159】
<糞尿の処理>
・尿:検体1(性別:男、年齢:97歳の尿)
・大便:検体2(性別:男、年齢:40歳の大便)
・臭気実験の条件:温度30℃、相対湿度55%
<臭気の評価>
尿由来のアンモニア臭、大便由来の腐敗臭について、6段階の官能評価を行った。また、臭気の評価は、試験1を行って、試験2を行うまでの間(臭気確認1)、試験2から5時間経過後の臭気(臭気確認2)、試験2から24時間経過後の臭気(臭気確認3)の3回行った。なお、試験1および試験2は後述の実施例のように行った。
【0160】
(臭気レベル)
「0」:ほとんど臭気はなく、消臭されている。
【0161】
「1」:わずかに臭気はするが、消臭されている。
【0162】
「2」:臭気がするが不快でなく、消臭されている。
【0163】
「3」:臭気がして不快であるが、消臭されている。
【0164】
「4」:強い悪臭がして不快であるが、消臭されている。
【0165】
「5」:強い悪臭であり、消臭効果がない。
【0166】
(塊状物の作製)
クエン酸27.0g、リン酸二水素ナトリウム13.0g、吸水性ポリマーとしてアクアキープSA−60S 28.0g、セルロース系バインダとしてKCフロック(登録商標)KC W−300G 32.0g、およびカルシウムステアレート1.0gを、連続打錠機(株式会社畑鐵工所製)の臼に入れ、4kNの圧力をかけて打錠し、錠剤(塊状物)(平均直径:13mm、平均厚さ:5mm)を得た。なお、使用した杵は、直径13mmの上下平版型であった。得られた塊状物は、1粒約0.8gであった。
【0167】
得られた塊状物の錠剤は、完全な成形体を形成することができ、1ヶ月経過しても崩れず、手で押しても崩れない強度を有していた。取り扱い性は、非常に優れていた。
【0168】
(実施例1)
アロン化成(株)ポータブルトイレ安寿のバケツ容器(PP製10L、幅50cm×奥行55cm×高さ79cm)に、糞尿を受ける内面が撥水性を有するビニールをかぶせ、該ビニール上に、上記で得られた塊状物22g、カルボキシビニルポリマー(AQUPEC(登録商標)HV−505、住友精化(株)社製)8.0g、重曹15.0g、消石灰15.0g、ラウリル硫酸ナトリウム(アルスコープLN−9−PW、東邦化学工業(株)社製)5.0g、リン酸二水素ナトリウム3.0g、クエン酸2.0g、酸化亜鉛I種(ハクスイテック株式会社製)3.0gを添加し、排泄物処理剤を作製した。その後、該排泄物処理剤に、800gの水を添加した。水の添加後、気泡が生じ、処理剤が増粘した。
【0169】
水を添加して1時間経過後、処理剤中に尿300g、大便200gが投入された(試験1)。その後、さらに3時間経過後、尿200gが投入された(試験2)。
【0170】
試験1を行って、試験2を行うまでの間(臭気確認1)、臭気は全く感じられず、臭気レベルは、アンモニア臭0、腐敗臭0であった。試験2から5時間経過後の臭気(臭気確認2)は、若干の臭気が生じ、臭気レベルはアンモニア臭0、腐敗臭1であった。試験2から24時間経過後の臭気(臭気確認3)は、若干の臭気が生じ、臭気レベルはアンモニア臭1、腐敗臭2であった。
【0171】
(実施例2)
アロン化成(株)ポータブルトイレ安寿のバケツ容器(PP製10L、幅50cm×奥行55cm×高さ79cm)に、糞尿を受ける内面が撥水性を有するビニールをかぶせ、該ビニール上に、上記で得られた塊状物22g、カルボキシビニルポリマー(AQUPEC(登録商標)HV−505、住友精化(株)社製)8.0g、重曹17.0g、消石灰15.0g、ラウリル硫酸ナトリウム(アルスコープLN−9−PW、東邦化学工業(株)社製)5.0g、リン酸二水素ナトリウム3.0g、クエン酸2.0g、酸化亜鉛I種(ハクスイテック株式会社製)3.0gを添加し、排泄物処理剤を作製した。その後、該排泄物処理剤に、800gの水を添加した。水の添加後、気泡が生じ、処理剤が増粘した。
【0172】
水を添加して1時間経過後、処理剤中に尿300g、大便200gが投入された(試験1)。その後、さらに3時間経過後、尿200gが投入された(試験2)。
【0173】
試験1を行って、試験2を行うまでの間(臭気確認1)、臭気は全く感じられず、臭気レベルは、アンモニア臭0、腐敗臭0であった。試験2から5時間経過後の臭気(臭気確認2)は、若干の臭気が生じ、臭気レベルはアンモニア臭0、腐敗臭0であった。試験2から24時間経過後の臭気(臭気確認3)は、若干の臭気が生じ、臭気レベルはアンモニア臭1、腐敗臭1であった。
【0174】
(実施例3)
アロン化成(株)ポータブルトイレ安寿のバケツ容器(PP製10L、幅50cm×奥行55cm×高さ79cm)に、糞尿を受ける内面が撥水性を有するビニールをかぶせ、該ビニール上に、上記で得られた塊状物25g、カルボキシビニルポリマー(AQUPEC(登録商標)HV−505、住友精化(株)社製)7.0g、重曹17.0g、消石灰15.0g、ラウリル硫酸ナトリウム(アルスコープLN−9−PW、東邦化学工業(株)社製)5.0g、リン酸二水素ナトリウム2.0g、クエン酸1.0g、酸化亜鉛I種(ハクスイテック株式会社製)4.0gを添加し、排泄物処理剤を作製した。その後、該排泄物処理剤に、800gの水を添加した。水の添加後、気泡が生じ、処理剤が増粘した。
【0175】
水を添加して1時間経過後、処理剤中に尿300g、大便200gが投入された(試験1)。その後、さらに3時間経過後、尿200gが投入された(試験2)。
【0176】
試験1を行って、試験2を行うまでの間(臭気確認1)、臭気は全く感じられず、臭気レベルは、アンモニア臭0、腐敗臭0であった。試験2から5時間経過後の臭気(臭気確認2)は、若干の臭気が生じ、臭気レベルはアンモニア臭1、腐敗臭0であった。試験2から24時間経過後の臭気(臭気確認3)は、若干の臭気が生じ、臭気レベルはアンモニア臭2、腐敗臭0であった。
【0177】
(実施例4)
アロン化成(株)ポータブルトイレ安寿のバケツ容器(PP製10L、幅50cm×奥行55cm×高さ79cm)に、糞尿を受ける内面が撥水性を有するビニールをかぶせ、該ビニール上に、上記で得られた塊状物22g、カルボキシビニルポリマー(AQUPEC(登録商標)HV−505、住友精化(株)社製)7.0g、重曹17.0g、消石灰15.0g、ラウリル硫酸ナトリウム(アルスコープLN−9−PW、東邦化学工業(株)社製)5.0g、リン酸二水素ナトリウム3.0g、クエン酸2.0g、酸化亜鉛I種(ハクスイテック株式会社製)4.0gを添加し、排泄物処理剤を作製した。その後、該排泄物処理剤に、800gの水を添加した。水の添加後、気泡が生じ、処理剤が増粘した。
【0178】
水を添加して1時間経過後、処理剤中に尿300g、大便200gが投入された(試験1)。その後、さらに3時間経過後、尿200gが投入された(試験2)。
【0179】
試験1を行って、試験2を行うまでの間(臭気確認1)、臭気は全く感じられず、臭気レベルは、アンモニア臭0、腐敗臭0であった。試験2から5時間経過後の臭気(臭気確認2)は、若干の臭気が生じ、臭気レベルはアンモニア臭1、腐敗臭0であった。試験2から24時間経過後の臭気(臭気確認3)は、若干の臭気が生じ、臭気レベルはアンモニア臭2、腐敗臭0であった。
【0180】
(実施例5)
アロン化成(株)ポータブルトイレ安寿のバケツ容器(PP製10L、幅50cm×奥行55cm×高さ79cm)に、糞尿を受ける内面が撥水性を有するビニールをかぶせ、該ビニール上に、上記で得られた塊状物27g、カルボキシビニルポリマー(AQUPEC(登録商標)HV−505、住友精化(株)社製)7.0g、重曹17.0g、消石灰15.0g、ラウリル硫酸ナトリウム(アルスコープLN−9−PW、東邦化学工業(株)社製)5.0g、リン酸二水素ナトリウム3.0g、クエン酸1.0g、酸化亜鉛I種(ハクスイテック株式会社製)4.0gを添加し、排泄物処理剤を作製した。その後、該排泄物処理剤に、800gの水を添加した。水の添加後、気泡が生じ、処理剤が増粘した。
【0181】
水を添加して1時間経過後、処理剤中に尿300g、大便200gが投入された(試験1)。その後、さらに3時間経過後、尿200gが投入された(試験2)。
【0182】
試験1を行って、試験2を行うまでの間(臭気確認1)、臭気は全く感じられず、臭気レベルは、アンモニア臭0、腐敗臭0であった。試験2から5時間経過後の臭気(臭気確認2)は、若干の臭気が生じ、臭気レベルはアンモニア臭1、腐敗臭0であった。試験2から24時間経過後の臭気(臭気確認3)は、若干の臭気が生じ、臭気レベルはアンモニア臭1、腐敗臭0であった。
【0183】
(実施例6)
アロン化成(株)ポータブルトイレ安寿のバケツ容器(PP製10L、幅50cm×奥行55cm×高さ79cm)に、糞尿を受ける内面が撥水性を有するビニールをかぶせ、該ビニール上に、上記で得られた27g、カルボキシビニルポリマー(AQUPEC(登録商標)HV−505、住友精化(株)社製)7.0g、重曹11.0g、消石灰10.0g、ラウリル硫酸ナトリウム(アルスコープLN−9−PW、東邦化学工業(株)社製)5.0g、リン酸二水素ナトリウム3.0g、クエン酸1.0g、酸化亜鉛I種(ハクスイテック株式会社製)4.0gを添加し、排泄物処理剤を作製した。その後、該排泄物処理剤に、800gの水を添加した。水の添加後、気泡が生じ、処理剤が増粘した。
【0184】
水を添加して1時間経過後、処理剤中に尿300g、大便200gが投入された(試験1)。その後、さらに3時間経過後、尿200gが投入された(試験2)。
【0185】
試験1を行って、試験2を行うまでの間(臭気確認1)、臭気は全く感じられず、臭気レベルは、アンモニア臭0、腐敗臭0であった。試験2から5時間経過後の臭気(臭気確認2)は、若干の臭気が生じ、臭気レベルはアンモニア臭1、腐敗臭0であった。試験2から24時間経過後の臭気(臭気確認3)は、若干の臭気が生じ、臭気レベルはアンモニア臭1、腐敗臭0であった。
【0186】
(実施例7)
アロン化成(株)ポータブルトイレ安寿のバケツ容器(PP製10L、幅50cm×奥行55cm×高さ79cm)に、糞尿を受ける内面が撥水性を有するビニールをかぶせ、該ビニール上に、上記で得られた32.5g、カルボキシビニルポリマー(AQUPEC(登録商標)HV−505、住友精化(株)社製)7.0g、重曹11.0g、消石灰10.0g、ドデシルベンゼンスルホン酸塩(ネオペレックスNo.Fパウダー、花王(株)社製)5.0g、リン酸二水素ナトリウム3.0g、クエン酸1.0g、酸化亜鉛I種(ハクスイテック株式会社製)4.0gを添加し、排泄物処理剤を作製した。その後、該排泄物処理剤に、800gの水を添加した。水の添加後、気泡が生じ、処理剤が増粘した。
【0187】
水を添加して1時間経過後、処理剤中に尿300g、大便200gが投入された(試験1)。その後、さらに3時間経過後、尿200gが投入された(試験2)。
【0188】
試験1を行って、試験2を行うまでの間(臭気確認1)、臭気は全く感じられず、臭気レベルは、アンモニア臭0、腐敗臭0であった。試験2から5時間経過後の臭気(臭気確認2)は、若干の臭気が生じ、臭気レベルはアンモニア臭1、腐敗臭0であった。試験2から24時間経過後の臭気(臭気確認3)は、若干の臭気が生じ、臭気レベルはアンモニア臭1、腐敗臭2であった。
【0189】
(実施例8)
アロン化成(株)ポータブルトイレ安寿のバケツ容器(PP製10L、幅50cm×奥行55cm×高さ79cm)に、糞尿を受ける内面が撥水性を有するビニールをかぶせ、該ビニール上に、上記で得られた32.5g、カルボキシビニルポリマー(AQUPEC(登録商標)HV−505、住友精化(株)社製)7.0g、重曹11.0g、消石灰10.0g、ドデシルベンゼンスルホン酸塩(ネオペレックスNo.Fパウダー、花王(株)社製)5.0g、リン酸二水素ナトリウム3.0g、クエン酸1.0g、酸化亜鉛I種(ハクスイテック株式会社製)4.0g、ゼオライト(商品名:ゼオフィル60P、新東北化学工業(株))10.0gを添加し、排泄物処理剤を作製した。その後、該排泄物処理剤に、800gの水を添加した。水の添加後、気泡が生じ、処理剤が増粘した。
【0190】
水を添加して1時間経過後、処理剤中に尿300g、大便200gが投入された(試験1)。その後、さらに3時間経過後、尿200gが投入された(試験2)。
【0191】
試験1を行って、試験2を行うまでの間(臭気確認1)、臭気は全く感じられず、臭気レベルは、アンモニア臭0、腐敗臭0であった。試験2から5時間経過後の臭気(臭気確認2)は、若干の臭気が生じ、臭気レベルはアンモニア臭0、腐敗臭0であった。試験2から24時間経過後の臭気(臭気確認3)は、若干の臭気が生じ、臭気レベルはアンモニア臭0、腐敗臭1であった。
【0192】
(実施例9)
アロン化成(株)ポータブルトイレ安寿のバケツ容器(PP製10L、幅50cm×奥行55cm×高さ79cm)に、糞尿を受ける内面が撥水性を有するビニールをかぶせ、該ビニール上に、上記で得られた32.5g、カルボキシビニルポリマー(AQUPEC(登録商標)HV−505、住友精化(株)社製)7.0g、重曹11.0g、消石灰10.0g、ドデシルベンゼンスルホン酸塩(ネオペレックスNo.Fパウダー、花王(株)社製)5.0g、リン酸二水素ナトリウム3.0g、クエン酸1.0g、酸化亜鉛I種(ハクスイテック株式会社製)5.0g、ゼオライト(商品名:ゼオフィル60P、新東北化学工業(株))10.0gを添加し、排泄物処理剤を作製した。その後、該排泄物処理剤に、500gの水を添加した。水の添加後、気泡が生じ、処理剤が増粘した。
【0193】
水を添加して1時間経過後、処理剤中に尿300g、大便200gが投入された(試験1)。その後、さらに3時間経過後、尿200gが投入された(試験2)。
【0194】
試験1を行って、試験2を行うまでの間(臭気確認1)、臭気は全く感じられず、臭気レベルは、アンモニア臭0、腐敗臭0であった。試験2から5時間経過後の臭気(臭気確認2)は、若干の臭気が生じ、臭気レベルはアンモニア臭1、腐敗臭1であった。試験2から24時間経過後の臭気(臭気確認3)は、若干の臭気が生じ、臭気レベルはアンモニア臭1、腐敗臭2であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性ポリマー、バインダおよび酸性固形物質を含む塊状物と、
消石灰、石灰石および重曹からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ性物質と、
カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースおよびアルギン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の増粘剤と、
界面活性剤と、
リン酸二水素ナトリウムと、
クエン酸と、
酸化亜鉛と、
を含む、排泄物処理剤。
【請求項2】
水をさらに含む、請求項1に記載の処理剤。
【請求項3】
前記酸性固形物質が、クエン酸およびリン酸二水素ナトリウムからなる群より選択される1種以上である、請求項1または2に記載の処理剤。
【請求項4】
糞尿の処理に用いられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の処理剤。
【請求項5】
吸水性ポリマー、バインダおよび酸性固形物質を含む塊状物と、
消石灰、石灰石および重曹からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ性物質と、
カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースおよびアルギン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の増粘剤と、
界面活性剤と、
リン酸二水素ナトリウムと、
クエン酸と、
酸化亜鉛と、
を含む排泄物処理剤を配置して、水を添加した後、排泄物を投入することを有する排泄物処理剤の使用方法。
【請求項6】
吸水性ポリマー、バインダおよび酸性固形物質を含む塊状物と、
消石灰、石灰石および重曹からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ性物質と、
カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースおよびアルギン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の増粘剤と、
界面活性剤と、
リン酸二水素ナトリウムと、
クエン酸と、
酸化亜鉛と、
を含む排泄物処理剤と、水と、が予め配置されてなる、便器。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の処理剤を含んで成形されてなる、糞尿の吸収性物品。

【公開番号】特開2013−71107(P2013−71107A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214517(P2011−214517)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(506190360)
【Fターム(参考)】