説明

排熱利用給湯システム

【課題】 バイパス通路に滞留していた湯水を強制的に排出する。
【解決手段】 排熱を利用して作り出された湯を給湯場所に導くための給湯通路と、この給湯通路から分岐し当該分岐部分よりも下流側の給湯通路部分に接続するバイパス通路と、給湯通路の湯水をバイパス通路に迂回させて流すバイパス経路とバイパス通路に迂回させない直通経路とのうちの何れか一方側に給湯湯水の経路を切り換える切り換え手段21と、給湯通路の湯水の温度が予め定められた温度よりも低いときには給湯湯水の経路がバイパス経路となるように切り換え手段21を切り換え制御してバイパス通路の補助加熱部により給湯湯水の温度を高める補助加熱モード制御部52と、パージ開始条件が満たされている状態の下で給湯流水が検知されているときに給湯湯水の経路がバイパス経路となるように切り換え手段21を切り換え制御するバイパス通路パージ制御部57とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排熱を利用して給湯の湯を作り出す排熱利用給湯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5には排熱利用給湯システムの一構成例が簡略的なモデル図により示されている。この排熱利用給湯システム1は発電装置(例えば固定高分子型燃料電池(PEFC)等の燃料電池や、エンジン発電機など)2で発生した排熱を利用して湯を作り出して貯湯タンク3に貯湯し、この貯湯タンク3の湯を給湯するシステムである。この排熱利用給湯システム1においては、貯湯タンク3には、当該貯湯タンク3内に給水を導入する給水通路4と、貯湯タンク3の湯を導出するための給湯通路5とが設けられている。また、発電装置2と貯湯タンク3との間には、冷却水導入通路6と、排熱回収湯導入通路7とが配設されており、冷却水導入通路6は、貯湯タンク3内の水を発電装置2の冷却水として発電装置2側に導入する。その水は、発電装置2の発電時に生じる排熱によって例えば予め定められた設定温度(例えば60℃)まで加熱されて湯となり、この湯は、排熱回収湯導入通路7を通って貯湯タンク3に導かれ貯湯タンク3内に貯湯される。
【0003】
貯湯タンク3の底部側には、貯湯タンク3内の湯水を排出する排水通路8が接続され、この排水通路8には排水弁(例えば排水電磁弁)9が介設されている。また、貯湯タンク3の上方側には、圧力逃がし通路10が接続され、この圧力逃がし通路10には過圧逃がし弁11が介設されている。通常、貯湯タンク3内は、湯水によって満たされている。図5では、分かり易くするために、貯湯タンク3内において、湯が満たされている領域は斜線で示され、水で満たされている領域はドットで示されている。
【0004】
この排熱利用給湯システム1では、発電装置2が作動すると、貯湯タンク3の底部側に貯められている水が冷却水導入通路6を通して発電装置2に導入され、発電装置2の発電時の排熱で加熱されて湯となり、この湯が排熱回収湯導入通路7を通って貯湯タンク3の上部側から貯湯タンク3内に導入される。このような排熱回収動作が繰り返されることにより、貯湯タンク3の底部側の水が減少し、その分、貯湯タンク3に貯湯されている湯量が増加するので、貯湯タンク3内の水と湯の境界線が貯湯タンク3の底部側に移動していく。また、貯湯タンク3内の湯が給湯通路5側に供給されて、貯湯タンク3内の湯が減少すると、その減少した湯量分だけ、給水通路4から貯湯タンク3内に水が給水される。この場合には、貯湯タンク3内の水と湯の境界線が貯湯タンク3の上部側に移動していく。
【0005】
なお、貯湯タンク3内の湯が使用されない期間が長くなると、貯湯タンク3全体が湯で満たされてしまうことがある。この場合には、貯湯タンク3から発電装置2に水(冷却水)を供給することができず、発電装置2の冷却が行えなくなるので、例えば貯湯タンク3の湯が使用されて貯湯タンク3内に水が供給されるまで、発電装置2の発電動作は停止されて上記したような排熱回収動作も停止される。
【0006】
この排熱利用給湯システム1では、上記した構成に加えて、次に示すような構成も備えている。つまり、給湯通路5には湯水混合ユニット12が介設されており、この湯水混合ユニット12を介して給水分岐通路13が給湯通路5に接続されている。湯水混合ユニット12は、給湯通路5の開閉を行う開閉弁14と、貯湯タンク3側から給湯通路5を通って供給される湯量を開弁度によって制御する湯側比例弁15と、給水分岐通路13から供給される水の量を開弁度によって制御する水側比例弁16と、流量センサ17と、貯湯タンク3側から給湯通路5を通って供給されてきた湯の温度を検出する湯温検出センサ18と、貯湯タンク3側からの湯に給水分岐通路13側からの水が混合された後の湯温を検出する湯温検出センサ19とを有して構成されている。
【0007】
この湯水混合ユニット12では、湯温検出センサ19により検出される湯温が例えばリモコン等により予め定められた給湯の設定温度(例えば40℃)となるように、湯側比例弁15と水側比例弁16の各開弁度がそれぞれ制御される。これにより、湯側比例弁15と水側比例弁16の各開弁度により定まる湯水の混合割合でもって貯湯タンク3側の湯と給水分岐通路13側の水とが混合されて、設定温度の湯が作り出され、この湯が湯水混合ユニット12から給湯通路5を通って給湯場所に供給される。
【0008】
このような湯水混合ユニット12が介設されている部分よりも下流側の給湯通路部分αにバイパス通路20の一端側が接続され、このバイパス通路20が接続されている部分αよりも下流側の給湯通路部分βにバイパス通路20の他端側が接続されている。バイパス通路20には、当該バイパス通路20の通水を加熱する補助加熱部22が介設されると共に、補助加熱部22により加熱された湯水の温度を検出する湯温検出センサ23が設けられている。また、給湯通路5とバイパス通路20との接続部分αには給湯経路切り換え手段21が設けられている。この給湯経路切り換え手段21は、給湯通路5の湯水をバイパス通路20に迂回させて流すバイパス経路とバイパス通路20に迂回させない直通経路とのうちの何れか一方側に給湯湯水の経路を切り換える構成を備えている。
【0009】
この排熱利用給湯システム1では、例えば給湯の使用量が非常に多くて貯湯タンク3に貯湯されている湯量が大幅に減少し、これに起因して、貯湯タンク3から給湯通路5に流れ出る湯の温度が低下し、このために、給湯場所に出湯する湯水の温度が設定温度よりも低くなる事態が発生することがある。このような場合には、この排熱利用給湯システム1では、次に示すような補助加熱モードの動作が行われる。例えば、湯温検出センサ19により検出される湯温が予めリモコン等により設定された設定温度よりも低いことが検知されたときには、給湯湯水の経路がバイパス経路となるように給湯経路切り換え手段21が切り換え制御される。これにより、給湯通路5の湯水が給湯経路切り換え手段21を介しバイパス通路20を迂回して流れ始めると、補助加熱部22の加熱動作が開始されて、バイパス通路20の通水は、補助加熱部22により加熱される。この補助加熱部22により加熱された湯の温度(つまり、湯温検出センサ23の検出湯温)が設定温度となるように、補助加熱部22の加熱量の制御が行われる。
【0010】
このような補助加熱モードの動作によって、貯湯タンク3から給湯通路5に流れ出る湯温の低下等に起因した給湯湯温の低下問題を防止することができる。
【0011】
【特許文献1】特開2003−120998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、補助加熱モードの運転は、非常事態を想定し当該非常事態に対処するためのモードであり、補助加熱モードの運転が終了してから次に補助加熱モードの運転を行うまでに、例えば、1ヶ月以上というような長い時間が経過することがある。このような場合には、補助加熱モードの運転終了によりバイパス通路20内に残留した湯水は、次の補助加熱モードの運転が開始されるまで、バイパス通路20内に滞留し続けることとなり、例えば、そのバイパス通路20内の滞留湯水の腐敗等が懸念される。
【0013】
この発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、バイパス通路に滞留している湯水を強制的に排出させてバイパス通路を清浄な状態に保つことができる排熱利用給湯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、この発明は次に示す構成をもって前記課題を解決するための手段としている。すなわち、この発明は、排熱を利用して湯を作り出して貯湯タンクに貯湯し当該貯湯タンクの湯を給湯する排熱利用給湯システムであって、貯湯タンクの湯を給湯場所に導くための給湯通路と、この給湯通路から分岐し当該分岐部分よりも下流側の給湯通路部分に接続するバイパス通路と、給湯通路の湯水をバイパス通路に迂回させて流すバイパス経路とバイパス通路に迂回させない直通経路とのうちの何れか一方側に給湯湯水の経路を切り換える給湯経路切り換え手段と、バイパス通路に介設されバイパス通路の通水を加熱する補助加熱部と、給湯通路を流れている湯水の温度が予め定められた温度よりも低いときには給湯湯水の経路がバイパス経路となるように給湯経路切り換え手段を切り換え制御してバイパス通路の補助加熱部により給湯湯水の温度を高める補助加熱モードの動作を制御する補助加熱モード制御部と、給湯の流水を検知する給湯検知部と、予め定められたパージ開始条件が満たされている状態の下で給湯の流水が検知されているときに補助加熱モードでないのにも拘わらず給湯湯水の経路がバイパス経路となるように給湯経路切り換え手段を切り換え制御してバイパス通路に滞留していた湯水を排出させるバイパス通路パージ制御部とが設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、バイパス通路パージ制御部が設けられ、このバイパス通路パージ制御部の制御動作によって、予め定められたパージ開始条件が満たされている状態の下で給湯の流水が検知されているときに補助加熱モードでないのにも拘わらず給湯湯水の経路がバイパス経路となるように給湯経路切り換え手段が切り換え制御され、これにより、バイパス通路に滞留していた湯水を排出させることができる。このため、補助加熱モードの運転が行われていない状態が継続されても、バイパス通路に滞留していた湯水が例えば定期的に排出されることとなり、これにより、バイパス通路の滞留湯水が腐敗する等の事態発生を回避することができる。
【0016】
また、バイパス通路パージ制御部が設けられると共に、バイパス通路の通水の有無を監視するバイパス通路通水有無監視部と、その監視情報を利用して、バイパス通路の通水停止を検知する度に通水停止時からの経過時間を計測するバイパス通水停止時間計測部と、バイパス通水停止時間計測部の計測時間を予め定められた滞留許容期限に比較してバイパス通水停止時間計測部の計測時間が滞留許容期限を越えたことを検知したときにパージ必要信号を出力するパージ要否判断部とが設けられ、バイパス通路パージ制御部は、パージ要否判断部によりパージ必要信号が出力されたときにパージ開始条件が満たされたと判断し当該判断以降に、給湯検知部が給湯の流水を検知しているときに給湯経路切り換え手段の切り換え制御を行ってバイパス通路の滞留湯水を排出させる構成を備えている場合には、補助加熱モードの運転が行われていない状態が継続されているときには、バイパス通路パージ制御部の制御動作によって、予め定めた時間間隔毎(例えば5日毎)にバイパス通路の滞留湯水の排出が行われてバイパス通路内が清浄化される。
【0017】
さらに、バイパス通路パージ制御部が設けられると共に、給湯の流水開始から流水停止までを1回とし当該回数を給湯使用回数としてカウントする給湯使用回数カウント部と、バイパス通路の通水の有無を監視するバイパス通路通水有無監視部と、その監視情報に基づいてバイパス通路の通水停止を検知する度に通水停止時からの給湯使用回数を監視し当該給湯使用回数が予め定められた滞留許容限界数に達したときにパージ必要信号を出力するパージ要否判断部とが設けられ、バイパス通路パージ制御部は、パージ要否判断部によりパージ必要信号が出力されたときにパージ開始条件が満たされたと判断し当該判断以降に、給湯検知部が給湯の流水を検知しているときに給湯経路切り換え手段の切り換え制御を行ってバイパス通路の滞留湯水を排出させる構成を備えている場合には、補助加熱モードの運転が行われていない状態が継続されているときに、バイパス通路パージ制御部の制御動作によって、予め定めた給湯使用回数毎(例えば50回毎)にバイパス通路の滞留湯水の排出を行うことができる。
【0018】
さらに、バイパス通路パージ制御部によるバイパス通路のパージ通水が開始されてからの経過時間を計測する時間計測手段が設けられ、バイパス通路パージ制御部は、その時間計測手段の計測時間に基づいてバイパス通路のパージ通水を開始させてから予め定められたパージ終了時間が経過したことを検知したときに、給湯湯水の経路がバイパス経路から直通経路に切り換わるように給湯経路切り換え手段を切り換え制御してバイパス通路の滞留湯水排出動作を終了させる構成を備えていることによって、次に示すような効果を得ることができる。つまり、バイパス通路パージ制御部によって給湯湯水の経路がバイパス経路に切り換わっているときは、本来なら給湯湯水の経路は直通経路であるべきなのにバイパス経路に切り換わっている状態であることから、給湯される湯温が設定の温度からずれ給湯湯温が変動することが懸念される。しかし、上記のようにバイパス通路のパージ通水を開始させてから予め定められたパージ終了時間(例えば1分半)が経過したときにバイパス通路の滞留湯水排出動作を終了させる構成とすることによって、バイパス通路の滞留湯水の排出に要する時間分だけバイパス通路のパージ通水を行わせ、バイパス通路の滞留湯水の排出完了後には速やかに給湯湯水の経路を本来の直通経路に切り換えることができる。これにより、バイパス通路パージ制御部によるバイパス通路のパージ通水に起因して給湯湯温が変動し易い状態の期間を短時間とすることができる。
【0019】
さらに、給湯通路は浴室に導かれて給湯通路の給湯は浴槽の湯張りに使用される構成を備え、湯張り開始を検知する湯張り検知部が設けられており、バイパス通路パージ制御部は、予め定められたパージ開始条件が満たされている状態の下で湯張りのための給湯使用のときにバイパス通路の滞留湯水を排出させる構成を備えることによって、次に示すような効果を得ることができる。つまり、上述したように、バイパス通路パージ制御部によるバイパス通路のパージ通水に起因して給湯湯温が変動し易い状態となるが、湯張りの給湯の湯は人の体に直接に当たることは殆ど無いために、バイパス通路のパージ通水によって給湯の湯温が変動しても、その湯温変動により湯の使用者に不快感を与えるという問題発生を抑制することができる。
【0020】
さらに、バイパス通路パージ制御部の動作情報に基づいてバイパス通路の滞留湯水排出中であることを検知しているときには、バイパス通路に湯水が流れていても補助加熱部によるバイパス通路の通水の加熱を阻止するパージ動作中補助加熱阻止部が設けられている構成を備えることによって、次に示すような効果を得ることができる。つまり、給湯通路の湯水は補助加熱部により加熱しなくともよい状態であるのにも拘わらず、バイパス通路パージ制御部によってバイパス通路に流されるので、このパージ通水のときに、バイパス通路の補助加熱部によりバイパス通路の通水が加熱されると、給湯される湯温が設定温度よりも高くなって、湯の使用者に不快感を与えてしまうことが心配される。これに対して、パージ動作中補助加熱阻止部を設けることによって、バイパス通路のパージ通水のときには補助加熱部によるバイパス通路の通水の加熱が阻止されるので、給湯通路の湯水が補助加熱部の加熱動作のために設定温度よりも高くなって湯の使用者に不快感を与えてしまうという問題を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、この発明に係る実施形態例を図面に基づいて説明する。
【0022】
図2には第1実施形態例の排熱利用給湯システムが簡略化された模式図により示されている。なお、この第1実施形態例の排熱利用給湯システムの説明において、図5に示される排熱利用給湯システムの構成部分と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0023】
この第1実施形態例の排熱利用給湯システム1には、給湯器25が設けられている。この給湯器25は燃焼室26を有し、燃焼室26の内部にはバーナ27が配設されている。また、給湯器25には、バーナ27の燃焼の給排気を行う燃焼ファン28と、バーナ27の燃焼熱により加熱される熱交換器29とが設けられている。バーナ27には、当該バーナ27に燃料ガスを供給する燃料供給管30が接続されており、その燃料供給管30には、開閉弁31(31a,31b)と比例弁32が介設されている。開閉弁31は、バーナ27への燃料ガスの供給と供給停止を制御するものであり、比例弁32は、バーナ27への燃料ガスの供給量を開弁量により制御するものである。
【0024】
熱交換器29の入側には入側湯水通路33が接続され、熱交換器29の出側には出側湯水通路34が接続されている。入側湯水通路33には当該通路33の水流を検知する水流スイッチ48が設けられている。また、出側湯水通路34には熱交換器29から流れ出た湯水の温度を検出するための湯温検出センサ35が設けられている。さらに、熱交換器29の途中には過熱防止装置(サーモスタット)36が設けられている。
【0025】
入側湯水通路33の入側端部は給湯経路切り換え手段21に接続されている。給湯経路切り換え手段21には、導入通路37と直通通路38の各一端側もそれぞれ接続されている。直通通路38の他端側は出側湯水通路34に接続されている。導入通路37の他端側は、貯湯タンク3側から導かれた給湯通路5に接続されており、この導入通路37には、当該導入通路37の流量を検知する流量センサ39と、導入通路37の流量を開弁度により制御する流量制御手段40とが介設されている。
【0026】
給湯経路切り換え手段21は、貯湯タンク3側から導入通路37に供給された湯水を、入側湯水通路33側と、直通通路38側とのうちの何れか一方側に択一的に切り換えて通水させるためのものである。この給湯経路切り換え手段21の切り換え動作によって、貯湯タンク3側から給湯器25の導入通路37に供給された湯水は、給湯経路切り換え手段21を介し直通通路38と出側湯水通路34を順に通る直通経路でもって給湯器25内を流れて出湯する場合と、給湯経路切り換え手段21を介し入側湯水通路33と熱交換器29と出側湯水通路34を順に通るバイパス経路でもって給湯器25内を流れて出湯する場合とがある。
【0027】
つまり、この第1実施形態例では、給湯器25内の導入通路37と、直通通路38と、この直通通路38が接続されている部分よりも下流側の出側湯水通路34の部位とは給湯通路(5)を構成している。また、入側湯水通路33と、熱交換器29と、直通通路38が接続されている部分よりも上流側の出側湯水通路34の部位とは、バイパス通路20を構成している。さらに、バーナ27は補助加熱部を構成している。
【0028】
この第1実施形態例に示される給湯器25は多機能給湯器であり、暖房機能用構成部42および風呂追い焚き機能用構成部43も備えられている。出側湯水通路34には、直通通路38が接続されている部分よりも下流側の部位に、風呂行き通路44の一端側が接続されており、この風呂行き通路44の他端側は、風呂追い焚き機能用構成部43に接続されている。この給湯器25は、直通経路あるいはバイパス経路でもって給湯器25内を流れた湯を風呂行き通路44と風呂追い焚き機能用構成部43を通して浴槽(図示せず)に供給して湯張りを行うことができる構成となっている。換言すれば、風呂行き通路44と、風呂追い焚き機能用構成部43内の湯張りの湯を通水させる通路とは給湯通路の一部を構成しており、給湯通路は浴室に導かれ当該給湯通路の給湯は浴槽の湯張りに使用される構成となっている。
【0029】
なお、暖房機能用構成部42の構成と、風呂追い焚き機能用構成部43の構成とには、それぞれ、様々な構成があり、ここでは、それら構成のうちの何れの構成をも採用してよく、特に限定されるものではなく、その説明は省略する。
【0030】
さらに、排熱利用給湯システム1には、動作制御を行うための制御装置50と、リモコン46とが設けられている。リモコン46には、給湯の湯温を設定する給湯湯温設定手段や、湯張りの開始を指示するための湯張り開始指示ボタンなどが設けられている。図1には、第1実施形態例において特徴的な制御装置50の制御構成部分が抜き出されてブロック図により示されている。この第1実施形態例では、制御装置50は、バーナ燃焼制御部51と、補助加熱モード制御部52と、バイパス通路通水有無監視部53と、バイパス通水停止時間計測部54と、パージ要否判断部55と、湯張り検知部56と、バイパス通路パージ制御部57とを有して構成されている。
【0031】
補助加熱モード制御部52は、モード開始指示部60と、モード終了指示部61と、温度取り込み部62と、比較部63とを有して構成されている。この第1実施形態例では、流量センサ17,39のうちの一方又は両方が給湯の流水を検知する給湯検知部として機能する構成であり、温度取り込み部62は、その給湯検知部によって給湯の流水が検知されているとき(給湯通路5の流量が検知されているとき)には、湯温検出センサ19により検出されている給湯通路5の通水の湯温を時々刻々と検知する。
【0032】
比較部63は、温度取り込み部62により取り込まれた湯温検出センサ19の検出湯温T19を、リモコン46に予め設定されている給湯の設定温度Tsに比較し、検出湯温T19が給湯設定温度Tsよりも予め定められた許容範囲ΔS(例えば3℃)を越えて低下しているか否かを判断する。モード開始指示部60は、比較部63の比較結果に基づいて、検出湯温T19が給湯設定温度Tsよりも許容範囲を越えて低下(T19<(Ts−ΔS))していることを検知したときには、給湯通路5の通水をそのまま出湯すると、設定温度Tsよりも許容範囲ΔSを越えた低い温度の湯が供給されることになり、湯の使用者に湯温低下による不快感を与える虞があることから、補助加熱モードの動作が必要であると判断する。そして、モード開始指示部60は、給湯湯水の経路が直通経路(つまり、給湯経路切り換え手段21から直通経路38を通る経路)からバイパス経路(つまり、入側湯水通路33と熱交換器29と出側湯水通路34から成るバイパス通路20を通る経路)に切り換わるように給湯経路切り換え手段21を切り換え制御して補助加熱モードの動作(運転)を開始させる。
【0033】
バーナ燃焼制御部51は、水流スイッチ48によってバイパス通路20の通水が検知され始めた以降に、燃料供給管30の開閉弁31(31a,31b)を開弁させ燃料供給管30を通して燃料ガスをバーナ27に供給し始め、また、燃焼ファン28の回転駆動を開始させて、バーナ27の燃焼を開始させる。また、バーナ燃焼制御部51は、バーナ27の燃焼中には、湯温検出センサ35により検出される湯温を時々刻々と取り込み、この取り込んだ検出湯温(つまり、出側湯水通路34の通水の湯温)が、リモコン46で予め設定されている給湯設定温度Tsとなるように、比例弁32の開弁度の制御を行う。これにより、燃料供給管30からバーナ27への燃料ガスの供給量が制御されてバーナ27の燃焼量が制御される。
【0034】
すなわち、この第1実施形態例では、補助加熱モード制御部52の制御動作によって給湯経路切り換え手段21の切り換え制御が成されて、給湯経路がバイパス経路に切り換わると、バイパス経路の通水により、バーナ燃焼制御部51の制御動作に基づいたバーナ27の燃焼が開始される。これにより、湯水混合ユニット12から流れ出た給湯湯水の温度が給湯設定温度Tsよりも許容範囲を越えて低下していても、バーナ27の燃焼によって加熱されることにより、給湯設定温度Tsまで高めることができて、給湯設定温度Tsの湯を給湯することができる。
【0035】
バーナ燃焼制御部51は、水流スイッチ48によってバイパス通路20の通水停止を検知したときには、開閉弁31を閉弁させてバーナ27の燃焼を停止させ、また、バーナ27の燃焼が停止してから例えば予め定められた排気排出期間を経過した後に、燃焼ファン28の回転駆動を停止させる。
【0036】
モード終了指示部61は、モード開始指示部60の動作情報に基づいて補助加熱モードの動作が開始されたことを検知した以降には、比較部63の比較結果を監視する。そして、モード終了指示部61は、比較部63の比較結果に基づいて、湯温検出センサ19の検出湯温T19が給湯設定温度Tsよりも許容範囲ΔSを越えて低下していない期間(T19≧(Ts−ΔS))が予め定めた期間連続していることを検知したときには、補助加熱モードの運転を行わなくとも、設定温度Tsの湯を給湯することができると判断して、給湯湯水の経路が直通経路となるように給湯経路切り換え手段21の切り換え制御して、補助加熱モードの運転を終了する。その給湯経路切り換え手段21の切り換え制御により、バイパス通路20の通水が停止するので、バーナ燃焼制御部51の制御動作によって、バーナ27の燃焼は停止される。
【0037】
また、モード終了指示部61は、給湯検知部(流量センサ17,39のうちの一方又は両方)の検知情報に基づいて、給湯通路5の給湯の流水停止を検知したときには、補助加熱モードの運転の終了であると判断して、給湯湯水の経路が直通経路となるように給湯経路切り換え手段21の切り換え制御して補助加熱モードの動作を終了させ、次の給湯運転に備える。
【0038】
バイパス通路通水有無監視部53は、水流スイッチ48を利用して、バイパス通路20の通水の有無を監視するものである。バイパス通水停止時間計測部54は、バイパス通路通水有無監視部53の監視情報に基づいて、バイパス通路20の通水が停止したことを検知する度に、内蔵のタイマ(図示せず)を駆動させて、バイパス通路20の通水が停止してからの経過時間tbpを計測する。
【0039】
パージ要否判断部55には予め滞留許容期限ts(例えば5日など)が与えられており、パージ要否判断部55は、バイパス通路通水有無監視部53の監視情報に基づいてバイパス通路20の通水停止を検知しているときには、バイパス通水停止時間計測部54から計測時間tbpを時々刻々と取り込み、この取り込んだ計測時間tbpを滞留許容期限tsに比較する。そして、パージ要否判断部55は、バイパス通水停止時間計測部54の計測時間tbpが滞留許容期限tsを越えたか否かを判断し、バイパス通水停止時間計測部54の計測時間tbpが滞留許容期限tsを越えた(tbp>ts)と判断したときに、バイパス通路20に湯水が滞留している期間がバイパス通路20のパージが必要な程に長くなったと判断し、パージ必要信号を出力する。
【0040】
制御装置50には、浴槽の湯張りや追い焚き等の風呂モードの運転を制御するための風呂モード運転制御部(図示せず)が設けられており、湯張り検知部56は、その風呂モード運転制御部の動作情報に基づいて、浴槽の湯張りが開始されたことを検知したときに、湯張り開始信号を出力する。
【0041】
バイパス通路パージ制御部57は、バイパス通路20に滞留している湯水を強制的に排出させるためのバイパス通路パージモードの運転動作を制御する構成を備えているものであり、当該バイパス通路パージ制御部57は、時間計測手段66と、パージ開始指示部67と、パージ終了指示部68とを有して構成されている。パージ開始指示部67は、パージ要否判断部55からパージ必要信号が出力されたことを検知したときにパージ開始条件が満たされたと判断する。そして、パージ開始指示部67は、その判断以降に最初に浴槽への湯張りが開始されることを湯張り検知部56からの情報に基づいて検知し、かつ、給湯検知部(流量センサ17,39の一方又は両方)により給湯の流水を検知したときに、バイパス通路パージモードの運転を開始すべく、給湯湯水の経路がバイパス経路となるように給湯経路切り換え手段21の切り換え制御を行う。これにより、補助加熱モードでないのにも拘わらず、バイパス通路20に給湯湯水が通水してバイパス通路20に滞留していた湯水が排出(パージ)される。このバイパス通路20の通水によって、バイパス通水停止時間計測部54のタイマの駆動は停止され、タイマがリセットされて、次のバイパス通路20の通水停止に備える。
【0042】
なお、この第1実施形態例では、バイパス通路パージモードの運転によってバイパス通路20に湯水が流れることにより、バーナ燃焼制御部51の制御動作によって、バーナ27の燃焼が開始される。バイパス通路20に流れ込んだ給湯湯水は、設定温度Ts又はほぼ設定温度Tsであることから、バーナ27の燃焼によって、給湯湯温が設定温度Tsよりも高くなってしまうが、バーナ燃焼制御部51の燃焼量制御によって、バーナ27の燃焼量は非常に小さく抑制されるか、あるいは、バーナ27の燃焼が停止するので、給湯湯温が設定温度Tsよりも許容範囲を越えて高くなってしまう事態をほぼ回避することができる。その上、この第1実施形態例では、湯張りの給湯のときに、バイパス通路20のパージ動作を行うので、そのパージ動作によってバイパス通路20を迂回して流れた湯が、人体に直接的に当たることは殆ど無く、給湯湯温の変動が気になることは殆ど無いと想定される。
【0043】
時間計測手段66はタイマにより構成されている。パージ終了指示部68は、パージ開始指示部67の動作情報に基づいて、バイパス通路パージモードの運転が開始されたことを検知したときに時間計測手段66を駆動させて当該時間計測手段66によってバイパス通路20のパージ通水が開始されてからの経過時間taを計測させる。パージ終了指示部68にはパージ終了時間tps(例えば1分半)が予め与えられている。このパージ終了時間tpsは、給湯経路切り換え手段21を通ってバイパス通路20に流れ込んでくる給湯湯水によって、バイパス通路20内に滞留していた湯水の全てを排出させるのに要する時間であり、実験やシミュレーションによって予め求められるものである。
【0044】
パージ終了指示部68は、時間計測手段66のタイマ駆動を開始させた以降には、時間計測手段66の計測時間taを時々刻々と取り込み、この取り込んだ計測時間taをパージ終了時間tpsに比較し、計測時間taがパージ終了時間tpsに達したか否かを判断する。そして、パージ終了指示部68は、時間計測手段66の計測時間taがパージ終了時間tpsに達したと判断したときに、バイパス通路パージモードの運転終了のタイミングであると判断する。そして、パージ終了指示部68は、給湯湯水の経路がバイパス経路から直通経路となるように給湯経路切り換え手段21の切り換え制御を行ってバイパス通路パージモードの運転(バイパス通路20の滞留湯水排出動作)を終了させる。また、パージ終了指示部68は、時間計測手段66のタイマ駆動を停止させ、タイマリセットして、次のタイマ駆動に備えさせる。
【0045】
この第1実施形態例では、補助加熱モードの運転が行われていない期間が長期に渡るときには、バイパス通路通水有無監視部53とバイパス通水停止時間計測部54とパージ要否判断部55とバイパス通路パージ制御部57のそれぞれの動作によって、予め定めた滞留許容期限を越えて最初に湯張りが行われる度に、バイパス通路20のパージが行われる。これにより、バイパス通路20に滞留している湯水の腐敗等の心配を無くすことができる。
【0046】
以下に、第2実施形態例を説明する。なお、この第2実施形態例の説明では、第1実施形態例と同一構成部部には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0047】
この第2実施形態例では、補助加熱モードの運転が行われていない状態が継続されているときには、予め定められた給湯使用回数毎に、バイパス通路20のパージ動作を行うための制御構成を備えている。すなわち、この第2実施形態例では、制御装置50には、第1実施形態例に示したバイパス通水停止時間計測部54に代えて、図3に示されるような給湯使用回数カウント部70が設けられている。
【0048】
給湯使用回数カウント部70はカウンターを内蔵しており、給湯検知部(流量センサ17,39のうちの一方又は両方)により給湯の流水開始と流水停止を検知し、給湯の流水開始から流水停止までを1回とし当該回数を給湯使用回数として内蔵のカウンターを利用してカウントする。
【0049】
パージ要否判断部55は、バイパス通路通水有無監視部53の監視情報に基づいてバイパス通路20の通水停止を検知すると、給湯使用回数カウント部70のカウンターをリセットする。また、パージ要否判断部55は、バイパス通路通水有無監視部53の監視情報に基づいてバイパス通路20の通水が停止していることを検知しているときには、給湯使用回数カウント部70のカウンターのカウント値Kcを予め定めたタイミング毎(例えば設定の時間間隔毎)に読み出す。パージ要否判断部55には、予め滞留許容限界数Ks(例えば50回)が与えられている。その滞留許容限界数Ksは、バイパス通路20の通水が停止してから、バイパス通路20のパージを行った方がよいと思われる時間が経過するまでの間に使用されると想定される給湯回数であり、実験等により求められ与えられている。
【0050】
パージ要否判断部55は、給湯使用回数カウント部70から読み出したカウント値Kc(つまり、給湯使用回数)を滞留許容限界数Ksに比較し、給湯使用回数Kcが滞留許容限界数Ksに達したか否かを判断する。そして、パージ要否判断部55は、給湯使用回数Kcが滞留許容限界数Ksに達した(Kc≧Ks)と判断したときには、バイパス通路20の滞留湯水を排出させるバイパス通路パージモードの運転を行う必要があると判断してパージ必要信号を出力する。
【0051】
この第2実施形態例では、上記した構成以外の構成は第1実施形態例と同様であり、バイパス通路パージ制御部57は、パージ要否判断部55からパージ必要信号が出力された以降に最初に湯張りの給湯が行われるときに、給湯湯水の経路がバイパス経路となるように給湯経路切り換え手段21を切り換え制御してバイパス通路パージモードの運転を開始させる。また、バイパス通路パージ制御部57は、バイパス通路パージモードの運転開始から設定のパージ終了時間が経過したことを検知したときに、給湯湯水の経路がバイパス経路から直通経路となるように給湯経路切り換え手段21を切り換え制御してバイパス通路パージモードの運転を終了させる。
【0052】
なお、この第2実施形態例では、パージ要否判断部55は、バイパス通路20の通水停止を検知したときに給湯使用回数カウント部70のカウンターをリセットし、バイパス通路20の通水が停止しているときには、給湯使用回数カウント部70のカウンターから読み出したカウント値をそのまま滞留許容限界数に比較していたが、例えば、パージ要否判断部55は次に示すような構成としてもよい。つまり、パージ要否判断部55は、バイパス通路20の通水停止を検知したときに、給湯使用回数カウント部70のカウンターのカウント値を読み出し当該読み出した値を初期値として保存する。そして、パージ要否判断部55は、バイパス通路20の通水停止中には、給湯使用回数カウント部70のカウンターからカウント値を読み出す度に、その読み出したカウント値から初期値を差し引いた値を滞留許容限界数に比較し、その算出値が滞留許容限界数に達したことを検知したときにパージ必要信号を出力する。パージ要否判断部55を、このような構成としてもよい。
【0053】
以下に、第3実施形態例を説明する。なお、この第3実施形態例の説明において、第1や第2の各実施形態例と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0054】
この第3実施形態例では、第1や第2の各実施形態例の構成に加えて、図4に示されるようなパージ動作中補助加熱阻止部72が設けられている。このパージ動作中補助加熱阻止部72は、バイパス通路パージ制御部57の動作情報を取り込み、バイパス通路パージ制御部57によってバイパス通路パージモードの運転中であることを検知しているときには、燃焼阻止信号をバーナ燃焼制御部51に向けて出力する。バーナ燃焼制御部51は、その燃焼阻止信号を受けているときには、水流スイッチ48によりバイパス通路20の通水を検知しても、バーナ27の燃焼制御動作は行わない。上記以外の構成は、第1又は第2の各実施形態例と同様である。
【0055】
なお、この発明は第1〜第3の各実施形態例の形態に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、第1〜第3の各実施形態例では、湯張り検知部56が設けられており、この湯張り検知部56の検知情報に基づいて、バイパス通路パージ制御部57は、パージ要否判断部55からパージ必要信号が出力された以降に最初に湯張りが開始されたときにバイパス通路パージモードの運転を開始する構成であったが、バイパス通路パージモードの運転は湯張りの運転中に必ず行わなければならないものではなく、湯張りだけでなく他の給湯運転のときにもバイパス通路パージモードの運転が行われることがある構成としてもよい。例えば、バイパス通路パージ制御部57は、パージ要否判断部55からパージ必要信号が出力された以降に最初に給湯検知部(流量センサ17,39のうちの一方又は両方)により給湯の開始を検知したときにバイパス通路パージモードの運転を開始させる構成としてもよい。
【0056】
また、バイパス通路パージ制御部57は、パージ必要信号が出力された以降に最初に給湯が開始されたことを検知したときにバイパス通路パージモードの運転を開始する構成であったが、例えば、第1実施形態例の構成では、バイパス通路20の通水が停止してからの経過時間tbpが設定の滞留許容期限tsを越えたときにパージ要否判断部55からパージ必要信号が出力される構成であるので、給湯運転中にパージ必要信号が出力されることもある。このような場合には、バイパス通路パージ制御部57は、パージ必要信号が出力されたときに直ちに給湯運転の途中からバイパス通路パージモードの運転を開始させる構成としてもよい。
【0057】
さらに、給湯器25には風呂機能と暖房機能が設けられた多機能給湯器であったが、暖房機能が設けられていなくともよいし、風呂機能と暖房機能の両方共に設けられていない給湯単機能の給湯器であってもよい。さらにまた、第1〜第3の各実施形態例では、バイパス通路20の通水を加熱する補助加熱部として、燃料ガスを燃焼するバーナが設けられていたが、補助加熱部は、燃料ガス以外の例えば電気等を利用してバイパス通路20の通水を加熱する構成を備えていてもよい。さらに、冷却水として発電装置2に導入された水を発電装置2の排熱で加熱して湯を作り出し当該湯を貯湯タンク3内に貯湯する構成例を示したが、例えば、発電装置2から発生する排気ガスの熱(排熱)によって加熱して作り出した湯を貯湯タンク3内に貯湯する構成としてもよい。また、発電装置2の排熱ではなく、例えば、エンジンでコンプレッサーを駆動する構成を持つ冷暖房装置等の発電装置以外の装置の排熱を利用して湯を作り出し当該湯を貯湯タンク3内に貯湯する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第1実施形態例の排熱利用給湯システムにおいて特有な制御構成例を説明するためのブロック図である。
【図2】第1実施形態例の排熱利用給湯システムのシステム構成例を説明するためのモデル図である。
【図3】第2実施形態例において特有な制御構成例を説明するためのブロック構成図である。
【図4】第3実施形態例において特有な制御構成例を説明するためのブロック構成図である。
【図5】排熱利用給湯システムの一システム構成例を説明するためのモデル図である。
【符号の説明】
【0059】
1 排熱利用給湯システム
2 発電装置
3 貯湯タンク
5 給湯通路
20 バイパス通路
21 給湯経路切り換え手段
27 バーナ
50 制御装置
52 補助加熱モード制御部
53 バイパス通路通水有無監視部
54 バイパス通水停止時間計測部
55 パージ要否判断部
56 湯張り検知部
57 時間計測手段
70 給湯使用回数カウント部
72 パージ動作中補助加熱阻止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排熱を利用して湯を作り出して貯湯タンクに貯湯し当該貯湯タンクの湯を給湯する排熱利用給湯システムであって、貯湯タンクの湯を給湯場所に導くための給湯通路と、この給湯通路から分岐し当該分岐部分よりも下流側の給湯通路部分に接続するバイパス通路と、給湯通路の湯水をバイパス通路に迂回させて流すバイパス経路とバイパス通路に迂回させない直通経路とのうちの何れか一方側に給湯湯水の経路を切り換える給湯経路切り換え手段と、バイパス通路に介設されバイパス通路の通水を加熱する補助加熱部と、給湯通路を流れている湯水の温度が予め定められた温度よりも低いときには給湯湯水の経路がバイパス経路となるように給湯経路切り換え手段を切り換え制御してバイパス通路の補助加熱部により給湯湯水の温度を高める補助加熱モードの動作を制御する補助加熱モード制御部と、給湯の流水を検知する給湯検知部と、予め定められたパージ開始条件が満たされている状態の下で給湯の流水が検知されているときに補助加熱モードでないのにも拘わらず給湯湯水の経路がバイパス経路となるように給湯経路切り換え手段を切り換え制御してバイパス通路に滞留していた湯水を排出させるバイパス通路パージ制御部とが設けられていることを特徴とする排熱利用給湯システム。
【請求項2】
バイパス通路の通水の有無を監視するバイパス通路通水有無監視部と、その監視情報を利用して、バイパス通路の通水停止を検知する度に通水停止時からの経過時間を計測するバイパス通水停止時間計測部と、バイパス通水停止時間計測部の計測時間を予め定められた滞留許容期限に比較してバイパス通水停止時間計測部の計測時間が滞留許容期限を越えたことを検知したときにパージ必要信号を出力するパージ要否判断部とが設けられ、バイパス通路パージ制御部は、パージ要否判断部によりパージ必要信号が出力されたときにパージ開始条件が満たされたと判断し当該判断以降に、給湯検知部が給湯の流水を検知しているときに給湯経路切り換え手段の切り換え制御を行ってバイパス通路の滞留湯水を排出させることを特徴とする請求項1記載の排熱利用給湯システム。
【請求項3】
給湯の流水開始から流水停止までを1回とし当該回数を給湯使用回数としてカウントする給湯使用回数カウント部と、バイパス通路の通水の有無を監視するバイパス通路通水有無監視部と、その監視情報に基づいてバイパス通路の通水停止を検知する度に通水停止時からの給湯使用回数を監視し当該給湯使用回数が予め定められた滞留許容限界数に達したときにパージ必要信号を出力するパージ要否判断部とが設けられ、バイパス通路パージ制御部は、パージ要否判断部によりパージ必要信号が出力されたときにパージ開始条件が満たされたと判断し当該判断以降に、給湯検知部が給湯の流水を検知しているときに給湯経路切り換え手段の切り換え制御を行ってバイパス通路の滞留湯水を排出させることを特徴とする請求項1記載の排熱利用給湯システム。
【請求項4】
バイパス通路パージ制御部によるバイパス通路のパージ通水が開始されてからの経過時間を計測する時間計測手段が設けられ、バイパス通路パージ制御部は、その時間計測手段の計測時間に基づいてバイパス通路のパージ通水を開始させてから予め定められたパージ終了時間が経過したことを検知したときに、給湯湯水の経路がバイパス経路から直通経路に切り換わるように給湯経路切り換え手段を切り換え制御してバイパス通路の滞留湯水排出動作を終了させることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の排熱利用給湯システム。
【請求項5】
給湯通路は浴室に導かれて給湯通路の給湯は浴槽の湯張りに使用される構成を備え、湯張り開始を検知する湯張り検知部が設けられており、バイパス通路パージ制御部は、予め定められたパージ開始条件が満たされている状態の下で湯張りのための給湯のときにバイパス通路の滞留湯水を排出させることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の排熱利用給湯システム。
【請求項6】
バイパス通路パージ制御部の動作情報に基づいてバイパス通路の滞留湯水排出中であることを検知しているときには、バイパス通路に湯水が流れていても補助加熱部によるバイパス通路の通水の加熱を阻止するパージ動作中補助加熱阻止部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の排熱利用給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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