説明

排熱回収装置

【課題】バルブの小さな排熱回収装置の提供。
【解決手段】合流部21は、バルブ軸23の近傍に形成され第2流路14からの排気ガスを部屋部22に導く連通口55を含み、バルブ50は、バルブ軸23に支持され第1流路13の下流端部13bを閉じる第1弁体52と、この第1弁体52から延ばされ連通口55を閉じる第2弁体53とからなり、これらの第1弁体52及び第2弁体53が、バルブ軸23を周方向に挟むよう配置され、第2弁体53は、バルブ軸23を中心とした円弧形状に形成されている。
【効果】第1弁体52に第2弁体53が取り付けられると共に、連通口55がバルブ軸23の近傍に形成されている。連通口55がバルブ軸23の近傍に形成されていることで、第1弁体52から延びる第2弁体53を小型化することができる。第2弁体53を小型化することで、バルブ50を小型化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスの熱で媒体を温める排熱回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関で発生した排気ガスの熱で、熱回収器内の媒体を温める排熱回収装置が知られている(例えば、特許文献1(図3)参照)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図8に示すように、排熱回収装置100は、排気ガスを導入する導入口101と、この導入口101から延びる第1流路102と、この第1流路102の上方で第1流路102を迂回するように延びる第2流路103と、この第2流路103の一部に設けられ排気ガスと媒体とで熱交換を行う熱交換器104と、第1流路102の下流端部102a近傍に設けられるバルブ軸105と、このバルブ軸105に支持されているバルブ106とからなる。
【0004】
バルブ106は、バルブ軸105に支持されている第1弁体107と、この第1弁体107の裏面から第2流路103の下流端部103aに向かって延びる第2弁体108とからなる。
【0005】
熱交換器104内を流れる媒体の温度が低い場合は、第1流路102の下流端部102aを第1弁体107で閉じる。第1流路102を閉じることで、想像線で示すように、第2流路103へ排気ガスを流す。排気ガスと熱交換器104内の媒体とで熱交換を行う。熱交換を行うことで、媒体が温められる。
媒体が十分に温まると、バルブ軸105を回転させ、第2弁体108で第2流路103の下流端部103aを閉じ、熱交換を終了する。
【0006】
ところで、このような排熱回収装置100のバルブ106によれば、第2弁体108で第2流路103を正確に閉じることができるよう、第2弁体108の先端から第2流路103の下流端部103aに向かってガイド部109を設ける必要がある。ガイド部109を設けることでバルブ106が大型化する。
【0007】
バルブの小さな排熱回収装置の提供が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−30569公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、バルブの小さな排熱回収装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、排気ガスが導入される導入口と、この導入口の下流に接続され導入された排気ガスを下流側の2つの流路に分岐する分岐部と、この分岐部に一端が接続され導入口の下流に向かって延びる第1流路と、この第1流路を迂回するように分岐部から下流に向かって延びる第2流路と、この第2流路に設けられ排気ガスの熱と内部に収納された媒体とで熱交換を行う熱交換器と、第2流路の下流端部から第1流路に向かって延びる合流部と、この合流部及び第1流路の下流端部が接続される部屋部と、この部屋部で支持されるバルブ軸と、このバルブ軸に支持され回動することで2つの流路を切り替えるバルブと、からなる排熱回収装置であって、
合流部は、バルブ軸の近傍に形成され第2流路からの排気ガスを部屋部に導く連通口を含み、
バルブは、バルブ軸に支持され第1流路の下流端部を閉じる第1弁体と、この第1弁体から延ばされ連通口を閉じる第2弁体とからなり、
これらの第1弁体及び第2弁体が、バルブ軸を周方向に挟むよう配置され、
第2弁体は、バルブ軸を中心とした円弧形状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、合流部は、部屋部から離れる方向に向かって膨出する膨出部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、第2弁体は、閉状態で連通口に対して所定の距離だけ離して設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、第2流路からの排気ガスを部屋部に導く連通口がバルブ軸の近傍に形成されると共に、第1弁体から延ばされる第2弁体で連通口を閉じる。即ち、バルブ軸に支持された第1弁体に第2弁体が取り付けられると共に、連通口がバルブ軸の近傍に形成されている。連通口がバルブ軸の近傍に形成されていることで、第1弁体から延びる第2弁体を小型化することができる。第2弁体を小型化することで、バルブを小型化することができる。
【0014】
加えて、第2弁体は、バルブ軸を中心とした円弧形状に形成されている。円弧形状に形成されていることで、連通口を開状態から閉状態まで切り替えるのに必要な回動範囲を小さくすることができる。回動範囲を小さくすることで、バルブが収納される部屋部の大きさを小さくすることができ、排熱回収装置の小型化することができる。
【0015】
請求項2に係る発明では、合流部は、部屋部から離れる方向に向かって膨出する膨出部が形成されている。膨出部が形成されることで、熱交換器を大型化することなく、熱回収時に排気ガスが流される流路面積を大きくすることができる。流路面積を大きくすることで排気ガスを円滑に流すことができ、熱交換器における熱の回収効率を高めることができる。
【0016】
請求項3に係る発明では、第2弁体は、閉状態で連通口に対して所定の距離だけ離して設けられている。即ち、第2弁体と連通口との間にわずかに隙間を開ける。隙間を開けることで、第2弁体と合流部との接触を防止する。第2弁体と合流部が接触する際の騒音の発生を防ぐことができる。騒音の発生を防ぐのに他の部材を用いる必要がなく、部品点数を削減することができる。
また、隙間を設けることで、合流部や第2弁体が排気ガスの熱で膨張しても、円滑にバルブを回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る排熱回収装置の斜視図である。
【図2】本発明に係る排熱回収装置の平面断面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図3の4部拡大図である。
【図5】本発明に係る合流部を説明する図である。
【図6】図4の6−6線断面図である。
【図7】本発明に係る排熱回収装置の作用を説明する図である。
【図8】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0019】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、排熱回収装置10は、排気ガスが導入される導入口11と、この導入口11が一体形成され導入された排気ガスを下流側の2つの流路に分岐する分岐部12と、この分岐部12に接続され導入口11の下流に向かって延びる第1流路13と、この第1流路13を迂回するように分岐部12から下流に向かって延びる第2流路14と、この第2流路14に設けられ排気ガスの熱と内部に収納された冷却水(媒体)とで熱交換を行う熱交換器15と、この熱交換器15の上面に向かって取り付けられ媒体(冷却水)を熱交換器15に導入する媒体導入部材16と、この媒体導入部材16に支持され媒体の温度で作動するサーモアクチュエータ17と、このサーモアクチュエータ17の側方に配置され熱交換器15内の媒体を排出する媒体排出管18と、第2流路14の下流端部から第1流路13に向かって延びる合流部21と、この合流部21及び第1流路13の下流端部が接続される部屋部22と、この部屋部22の一対の側壁22a,22aで支持されるバルブ軸23と、このバルブ軸23に接続されると共に部屋部22の側方に配置されバルブ軸23を付勢する付勢部材24とからなる。
【0020】
媒体導入部材16は、熱交換器15に取り付けられる支持部27と、この支持部27に支持され導入される媒体が流れる媒体導入管28とからなる。支持部27は、媒体導入管28を支持すると共に、サーモアクチュエータ17を支持する。支持部27を通過する媒体の温度でサーモアクチュエータ17が作動する。
【0021】
サーモアクチュエータ17の先端部17aが接触する付勢部材24は、矢印(1)で示すように、時計回り方向へ向かってバルブ軸23を付勢する。
排熱回収装置10の詳細について次図以降で説明する。
【0022】
図2に示すように、分岐部12は、底部31aに導入口11が形成された分岐側第1部材31(第1の部材)と、この分岐側第1部材31に重合わせて溶接される分岐側第2部材32(第2の部材)とからなる。
【0023】
分岐側第1部材31の底部31aには、分岐側第2部材32側へ向かってテーパ形状部31bが形成されている。テーパ形状部31bを形成することで、分岐部12の剛性を高められると共に、排気ガスを円滑に流すことができる。加えて、テーパ形状部31bを分岐側第2部材32に向かって形成することで、分岐部12をコンパクトにすることができる(α参照)。
【0024】
分岐側第2部材32には、導入口11の下流に対応する部位に形成され第1流路13の上流端部13aが接続される分岐側第1接続口34と、この分岐側第1接続口34と共に底部32aに形成され第2流路14が接続される分岐側第2接続口35とが形成される。
【0025】
分岐側第1接続口34は、分岐側第2部材32の底部32aから徐々に縮径するよう形成されている。
分岐側第1接続口34に接続される第1流路13は、円筒状の基部37と、この基部37の下流側で拡径される拡径部38とが一体形成されてなる。
【0026】
第2流路14は、熱交換器15によって形成される。即ち、熱交換器15は、分岐側第2接続口35に接続されるということができる。
熱交換器15は、本体としてのコアケース41と、このコアケース41に収納され内部に排気ガスが流される伝熱チューブ42と、この伝熱チューブ42の上流側端部を支持し分岐側第2接続口35に接続される上流側エンドプレート43と、伝熱チューブ42の下流側端部を支持し合流部21に接続される下流側エンドプレート44と、伝熱チューブ42内に設けられ排気ガスの接触面積を増加させるフィン45とからなる。
【0027】
伝熱チューブ42は、図面表裏方向に向かって複数設けられる。複数設けられる伝熱チューブ42のそれぞれにフィン45が設けられる。
排気ガスを伝熱チューブ42内に流すことで、伝熱チューブ42の外周に流される媒体(冷却水46)が温められる。即ち、排気ガスと媒体との間で熱交換が行われる。
【0028】
合流部21は、第1流路13の拡径部38が接続される合流側第1部材47と、この合流側第1部材47に重ねられ溶接される合流側第2部材48とからなる。
合流側第1部材47の底部47aには、第1流路13の拡径部38が嵌め込まれる開口部47bが開けられると共に、熱交換器15から離れる方向に突出する凸形状部47cとが形成される。凸形状部47cが形成されることで、合流部21の剛性が高められると共に、排気ガスを円滑に流すことができる。
【0029】
合流側第2部材48の底部48aには、熱交換器15の下流側エンドプレート44が接続される合流側接続口48bと、部屋部22から離れる方向に向かって膨出する膨出部48cが形成されている。
膨出部48cが形成されることで、熱交換器を大型化することなく、熱回収時に排気ガスが流される流路面積を大きくすることができる。流路面積を大きくすることで排気ガスを円滑に流すことができ、熱交換器15における熱の回収効率を高めることができる。
【0030】
膨出部48cの先端部48dは、第1流路13の外周面に溶接される。膨出部48cの先端部48dを第1流路13の外周面に溶接することで、第1流路13を強固に支持することができる。
【0031】
部屋部22には、第1流路13の下流端部13b及びバルブ50が収納されている。図に示す状態でバルブ50は、第1流路13の下流端部13bを閉じている。
バルブ50の詳細について詳細を次図で説明する。
【0032】
図3に示すように、バルブ50は、バルブ軸23にボルト51を介して取り付けられ第1流路13の下流端部13bを閉じる第1弁体52と、この第1弁体52の上部から延ばされる第2弁体53とからなる。第1弁体52及び第2弁体53は、バルブ軸23を周方向に挟むよう配置されている。
【0033】
合流部21は、バルブ軸23の近傍に形成され第2流路(図2、符号14)からの排気ガスを部屋部22に導く連通口55が形成されている。詳細は後述するが、第2弁体53は、回動することで連通口55を閉じる部材である。
【0034】
第1弁体52は、バルブ軸23に固定される固定部56と、この固定部56から第1流路13の下流端部13bに向かって延出される延出部57と、この延出部57の先端に設けられ第1流路13の下流端部13bを閉じる弁体58とからなる。
【0035】
延出部57の一部に、連通口55から排出される排気ガスの一部を流すための排気穴59が開けられている。排気穴59を開けることで、連通口55から排出される排気ガスを円滑に流すことができる。
【0036】
弁体58は、第1流路13の拡径部38の内周に取り付けられた着座部61に接触する。着座部61の厚さの分だけ第1流路13を拡径させる。着座部61の厚さの分だけ第1流路13を拡径させることで、着座部61を取り付けた場合であっても、基部37と同等の流路面積を確保することができる。
第2弁体53の詳細は次図で説明する。
【0037】
図4に示すように、第2弁体53は、第1弁体52の固定部56に固定される基部62と、この基部62から立ち上げられる立上げ部63と、この立上げ部63の先端から延び連通口55を閉じる弁体64とからなる。
【0038】
バルブ軸23の中心軸66を中心に、弁体64の外周面は、半径r1の円弧形状に形成される。加えて、バルブ軸23の中心軸66を中心に、連通口55が形成される部位の部屋部22側の面は、半径r2の円弧形状に形成される。
【0039】
ここで、r1<r2である。r1<r2とすることで、第2弁体53は合流部21に接触しない。即ち、第2弁体53を反時計回り方向に回転させ、連通口55を閉じた場合であっても、第2弁体53の外周面と連通口55との間には、所定の隙間が保たれる。詳細は後述する。
【0040】
バルブ軸23に支持された第1弁体52に第2弁体53が取り付けられると共に、連通口55がバルブ軸23の近傍に形成されている。連通口55がバルブ軸23の近傍に形成されていることで、第1弁体52から延びる第2弁体53を小型化することができる。第2弁体53を小型化することで、バルブ50を小型化することができる。
【0041】
加えて、第2弁体53は、バルブ軸23を中心とした円弧形状に形成されている。円弧形状に形成されていることで、連通口55を開状態から閉状態まで切り替えるのに必要な回動範囲を小さくすることができる。回動範囲を小さくすることで、バルブ50が収納される部屋部22の大きさを小さくすることができ、排熱回収装置10を小型化することができる。
【0042】
想像線67で示すように、側面視で連通口55の一部は、第1流路13の下流端部13bに重なる。連通口55を第1流路13の下流端部13bに重なる位置、即ち第1流路13の下流端部13b近傍に設ける。第1流路13の下流端部13b近傍に近い位置に連通口55を設けることで、バルブ50の小型化を図ることができる。
【0043】
さらに、第2弁体53の先端部69が、バルブ軸23の中心軸66から連通口55の端部までを結んだ線71に重なる。これにより、少ない回動範囲で連通口55を閉じることができる。少ない回動範囲で連通口55を閉じることができることで、バルブ50の小型化を図ることができる。
【0044】
立上げ部63の長さによって、弁体64の外周面の半径r1を調整することができる。容易な手段で寸法の調整を図ることができる。
加えて、立上げ部63を形成することで、第2弁体53の剛性を高めることができる。剛性を高めることで、一度調整した寸法を保つことができる。調整した寸法が保たれることで、弁体64の外周面が合流部21に接触することを、確実に防止することができる。
部屋部22に接続される合流部21について詳細を次図で説明する。
【0045】
図5(a)に示すように、合流部21は、略L字形状の合流側第1部材47(第1の部材)と、略L字形状の合流側第2部材48(第2の部材)とからなる。
合流側第1部材47に開けられる連通口55は、略矩形を呈すると共に、開口部47bの内径は、第1流路の拡径部(図5(c)、符号38)の外径に等しい。
合流側第2部材48の先端部48dの内径は、第1流路の基部(図5(c)、符号37)の外径に等しい。
【0046】
合流部21の組立を行うには、まず、合流側第1部材47と合流側第2部材48とを重合わせる。
図5(b)に示すように、重合わせたら、重合わせ部72を溶接する。溶接することで、合流部21は組み立てられる。
【0047】
組み立て後は、図5(c)に示すように、第1流路13及び第2流路14(熱交換器15)が接続される。
図2に戻り、第1弁体52が第1流路13の下流端部13bを閉じている場合に、導入口11から排気ガスが導入されると、排気ガスは矢印(2)で示すように、分岐部12内を熱交換器15に向かって流れる。
【0048】
図5(c)に示すように、熱交換器15内を流れた排気ガスは、矢印(3)で示すように、合流部21へ流れる。矢印(4)で示すように、排気ガスは、合流部21内で第1流路13の外周に沿って流れ、連通口55から外部へ排出される。
連通口55から排出された排気ガスの流れについて詳細を次図で説明する。
【0049】
図6に示すように、連通口55から排出された排気ガスは、第2弁体53の側方(矢印(5))又は第2弁体53の上方(矢印(6))を通過する。
連通口55から排気ガスが排出されている際に、熱交換器(図2、符号15)で熱交換が行われている。熱交換器内の媒体が十分に温められると、熱交換を終了する。
【0050】
図1に示すように、熱交換器15内で熱交換を行うことで、媒体の温度が上昇する。媒体は循環されるので、媒体の温度が上昇することで、媒体導入部材16に導入される媒体の温度も上昇する。媒体の温度が上昇することで、媒体導入部材16に支持されるサーモアクチュエータ17が作動する。
媒体の温度が上昇すると、サーモアクチュエータ17の先端部17aは、付勢部材24の付勢する力に抗して前進する。前進することでバルブ軸23を反時計回りに回転させる。
このときのバルブ50の作用について次図で説明する。
【0051】
図7(a)に示すように、媒体の温度が上昇すると、バルブ軸23が反時計回りに回転する。バルブ軸23が回転することで、第1弁体52が開状態になると共に、第2弁体53が閉状態になる。第1弁体52が開くことで、排気ガスは第1流路13内を流れる。
【0052】
また、媒体の温度が低い場合であっても、排気ガスの流量が所定量を超えることで、排気ガスの力によって第1弁体52が開かれる。排気ガスの流量が多い場合は、排気ガスを第1流路13に流すことで、熱交換器(図1、符号15)に適量の排気ガスが流れるよう調節する。
【0053】
第2弁体53は、閉状態で連通口55に対して所定の距離だけ離して設けられている。隙間を開けることで、第2弁体53と合流部21との接触を防止する。第2弁体53と合流部21が接触する際の騒音の発生を防ぐことができる。騒音の発生を防ぐのに他の部材を用いる必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0054】
また、隙間を設けることで、合流部21や第2弁体53が排気ガスの熱で膨張しても、円滑にバルブ50を回動させることができる。
【0055】
図1に戻り、熱交換器15内の気圧の変化等により、熱交換器15内の媒体の温度が所定の温度を超えて上昇することがある。温度が所定の温度を超えて高まることで、サーモアクチュエータ17内のワックスが所定の体積よりも膨張することがある。サーモアクチュエータ17内のワックスが所定の体積を超えて膨張することで、サーモアクチュエータ17の先端部17aは、所定の量を超えて前進しようとする。サーモアクチュエータ17の先端部17aが所定の量を超えて前進することを、オーバーリフト(過移動)という。
【0056】
オーバーリフトを防止するために、通常、サーモアクチュエータ17内に、オーバーリフト分を吸収するための、オーバーリフト吸収手段が設けられる。オーバーリフト吸収手段には、例えばコイルばねが用いられる。
【0057】
しかし、オーバーリフト吸収手段を搭載することで、サーモアクチュエータが大型化する。サーモアクチュエータが大型化すると、排熱回収装置も大型化する。
このため、本発明ではオーバーリフトを次図で説明する構成により吸収することとした。
【0058】
図7(b)に示すように、連通口55の下方且つ第1流路13の下流端部13bの上方のスペースをオーバーリフト吸収部74とした。即ち、オーバーリフト吸収部74は、連通口55と第1流路13の下流端部13bとの間に形成される。図7(a)に示す状態から、バルブ軸23が所定の量を超えて回転する場合がある。所定の量を超えて回転した場合に、図7(b)に示すように、オーバーリフト吸収部74で、オーバーリフト分を吸収する。
【0059】
部屋部22内のデッドスペースを用いてオーバーリフトを吸収するので、部屋部22を大型化させることなく、オーバーリフトを吸収できる。
一方、オーバーリフト吸収部74でオーバーリフトを吸収するので、サーモアクチュエータ(図1、符号17)にオーバーリフト吸収手段を設ける必要がない。オーバーリフト吸収手段を用いないことで、サーモアクチュエータを小型化することができる。
部屋部22の大型化を防止しつつ、サーモアクチュエータを小型化することができるので、排熱回収装置10を小型化することができる。
【0060】
尚、本発明にかかる排熱回収装置は、車両に適用したが、船舶等にも適用可能であり、これらのものに用途は限られない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の排熱回収装置は、四輪車に好適である。
【符号の説明】
【0062】
10…排熱回収装置、11…導入口、12…分岐部、13…第1流路、14…第2流路、15…熱交換器、21…合流部、22…部屋部、23…バルブ軸、48c…膨出部、50…バルブ、52…第1弁体、53…第2弁体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスが導入される導入口と、この導入口の下流に接続され導入された排気ガスを下流側の2つの流路に分岐する分岐部と、この分岐部に一端が接続され前記導入口の下流に向かって延びる第1流路と、この第1流路を迂回するように前記分岐部から下流に向かって延びる第2流路と、この第2流路に設けられ排気ガスの熱と内部に収納された媒体とで熱交換を行う熱交換器と、前記第2流路の下流端部から前記第1流路に向かって延びる合流部と、この合流部及び前記第1流路の下流端部が接続される部屋部と、この部屋部で支持されるバルブ軸と、このバルブ軸に支持され回動することで前記2つの流路を切り替えるバルブと、からなる排熱回収装置であって、
前記合流部は、前記バルブ軸の近傍に形成され前記第2流路からの排気ガスを前記部屋部に導く連通口を含み、
前記バルブは、前記バルブ軸に支持され前記第1流路の下流端部を閉じる第1弁体と、この第1弁体から延ばされ前記連通口を閉じる第2弁体とからなり、
これらの第1弁体及び前記第2弁体が、前記バルブ軸を周方向に挟むよう配置され、
前記第2弁体は、前記バルブ軸を中心とした円弧形状に形成されていることを特徴とする排熱回収装置。
【請求項2】
前記合流部は、前記部屋部から離れる方向に向かって膨出する膨出部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の排熱回収装置。
【請求項3】
前記第2弁体は、閉状態で前記連通口に対して所定の距離だけ離して設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の排熱回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−246835(P2012−246835A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119091(P2011−119091)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000138521)株式会社ユタカ技研 (134)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】