説明

掘削装置

【課題】埋設物を損傷させることなく地山の掘削を容易に行い作業効率の向上を図る。
【解決手段】非接触掘削手段1と吸引搬送手段2とを備える。非接触掘削手段1は、噴流によって非接触で地山Gを崩すものであり、超音速空気を地山Gに向けた噴射部1Acから噴射する。吸引搬送手段2は、非接触掘削手段1で掘削した土砂を空気吸引によって搬送する。これにより、非接触掘削手段1の噴流によって非接触で地山Gを崩すのでケーブル(通信線や電力線)ガス管などの埋設が予想される地山Gの掘削や試掘作業において、埋設物を損傷させることなく容易に掘削できる。さらに松杭などの地中障害物が埋設されている地山Gでの掘削能率を向上できる。また掘削した土砂は、吸引搬送手段2によって空かさず吸引されて圧送されるので、障害物周辺の狭隘な条件下での掘削能率を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中障害物の存在や狭隘条件下での掘削および土砂搬送を行う掘削装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
松杭などの地中障害物が埋設されている場所や、狭隘な作業条件下での土砂の掘削作業は、通常の掘削作業で使用する機械では大きすぎて適用できないため、小型バックホウなどの小型機械しか使用することができない。しかし、小型機械であっても空頭制限や障害物により動作が制限されるため、制限のない一般の条件下での小型機械の作業と比較すると作業能率が大幅に低下することになる。このため、条件によっては、人力作業で掘削を行わなければならない。一方、上記箇所での掘削した土砂を搬送する際には、小型積込走行機械あるいはベルトコンベアなどの使用が一般的である。しかし、小型積込走行機械を使用する場合では、空頭制限があると積込に時間がかかり、さらに、障害物の存在や狭隘条件下では走行できないことがある。また、ベルトコンベアを使用する場合では、設置盛替に手間がかかる。
【0003】
従来では、上記のごとく地中障害物の存在や狭隘条件下での掘削および土砂搬送を行う掘削装置として、バックホウに掘削した土砂を搬送する後方移送装置を設けたものがある。この掘削装置は、後方位相装置によってバックホウにおける旋回→土砂積込(排土)→旋回の動作を省略する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、別の従来では、吸引ホースの先端部に吸引ダクトを設け、この吸引ダクトに沿って複数のブレーカを取り付けてあり、ブレーカの刃具を吸引ダクトの先端面よりも突出した掘削装置がある。この掘削装置は、ブレーカによって掘削した土砂を吸引ダクトで吸引する(例えば特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−119822号公報
【特許文献2】特開平10−102533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の掘削装置では、バックホウあるいはブレーカで直接地山を崩して掘削するものであるため、埋設物を損傷させるおそれがある。特に、通信線や電力線、ガス管などの埋設が予想される場所の掘削や、試掘作業では、埋設物を損傷させることなく掘削することが要求される。このため、バックホウあるいはブレーカなどを主体として掘削することはできず、結果的に作業員が手掘りで注意深く掘削する必要があるので作業能率が悪い。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、埋設物を損傷させることなく地山の掘削を容易に行い作業効率の向上を図ることができる掘削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る掘削装置は、噴流によって非接触で地山を崩す非接触掘削手段と、掘削した土砂を空気吸引によって搬送する吸引搬送手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に係る掘削装置は、上記請求項1において、前記非接触掘削手段は、空気噴流によって非接触で地山を崩す空気圧掘削手段からなることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に係る掘削装置は、上記請求項1において、前記非接触掘削手段は、高圧水噴流によって非接触で地山を崩す高圧水掘削手段からなることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4に係る掘削装置は、上記請求項1において、前記非接触掘削手段は、空気噴流によって非接触で地山を崩す空気圧掘削手段と、高圧水噴流によって非接触で地山を崩す高圧水掘削手段とを共に備えてなることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項5に係る掘削装置は、上記請求項1〜4のいずれか一つにおいて、接触によって地山を崩す掘削爪を前記非接触掘削手段および前記吸引搬送手段と共に備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項6に係る掘削装置は、上記請求項1〜4のいずれか一つにおいて、接触によって地山を崩すオーガーを前記非接触掘削手段および前記吸引搬送手段と共に備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項7に係る掘削装置は、上記請求項1〜4のいずれか一つにおいて、前記吸引搬送手段の吸引口側に地山の掘削面を覆う被覆部材を有し、前記非接触掘削手段は前記被覆部材に噴射ノズルを内装して当該噴射ノズルを前記掘削面に対して接離可能に設けてあり、前記噴射ノズルを前記掘削面に近接したときに前記被覆部材を前記掘削面に対して押圧付勢する弾性部材を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項8に係る掘削装置は、上記請求項7において、前記非接触掘削手段の噴射ノズルを地山の掘削面に向けて旋回可能に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る掘削装置は、非接触掘削手段1の噴流によって非接触で地山を崩すことにより、ケーブル(通信線や電力線)、ガス管などの埋設が予想される地山の掘削や、試掘作業において、埋設物を損傷させることなく容易に掘削することができる。さらに、松杭などの地中障害物が埋設されている地山での掘削能率を向上することができる。
【0017】
また、掘削した土砂は、吸引搬送手段によって空かさず吸引されて圧送される。これにより、例えばフーチング下など、障害物周辺の狭隘な条件下での掘削能率を向上することができる。特に、掘削した土砂が空かさず回収されるため、非接触掘削手段での掘削に関して崩した土砂に邪魔されず噴流が確実に地山に当たるので、掘削能率を向上することができる。さらに、非接触掘削手段での掘削に関して崩した土砂に邪魔されず非接触掘削手段の移動が容易に行えるので掘削能率を向上することができる。
【0018】
非接触掘削手段としては、空気掘削手段あるいは高圧水掘削手段があり、それぞれを掘削条件に応じて選択的に用いることで掘削を容易に行うことができる。また、空気掘削手段と高圧水掘削手段とを共に用いることにより掘削力を組み合わせた相乗効果により掘削能率を高めることができる。
【0019】
また、非接触掘削手段および吸引搬送手段に加えて掘削刃を設けたことにより、地中障害物がない掘削のときに非接触掘削手段と掘削刃との掘削力を組み合わせた相乗効果によって掘削能率を高めることができる。
【0020】
また、非接触掘削手段および吸引搬送手段に加えてオーガーを設けたことにより、地中障害物がない掘削のときに非接触掘削手段とオーガーとの掘削力を組み合わせた相乗効果によって掘削能率を高めることができる。また、オーガーの機械的な掘削能力が高まるとともに、小型低出力なオーガー掘削装置の適用ができる。
【0021】
また、吸引搬送手段の吸引口側に地山の掘削面を覆う被覆部材を有し、非接触掘削手段の噴射ノズルを被覆部材に内装し、当該噴射ノズルを掘削面に対して接離可能に設け、噴射ノズルを掘削面に近接したときに弾性部材によって被覆部材を掘削面に対して押圧付勢する。これにより、被覆部材の内部において、掘削した土砂を周囲に飛散させることなく回収することができる。また、弾性部材によって被覆部材を地山の掘削面に押し付けるので掘削した土砂を効率よく回収することができる。さらに、非接触掘削手段の噴射ノズルと地山の掘削面との距離を変化させながら掘削を行うことができる。さらに、非接触掘削手段の噴射ノズルを地山の掘削面に向けて旋回可能に設けたことにより、広い範囲の掘削を効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る掘削装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
図1は本発明に係る掘削装置の実施例1の形態を示す側面図、図2は図1における掘削装置を示す斜視図、図3は図1における掘削装置を示す斜視図である。
【0024】
図1に示すように実施例1における掘削装置は、非接触掘削手段1と、吸引搬送手段2とを備え、これら非接触掘削手段1および吸引搬送手段2を小型バックホウ10に搭載したものである。
【0025】
非接触掘削手段1は、噴流によって非接触で地山Gを崩すものであって、空気掘削手段1Aからなる。空気掘削手段1Aは、コンプレッサーなどの空気圧発生部1Aaで圧縮空気を発生してホース1Abを介して超音速空気として噴射部1Acから噴射する。この空気掘削手段1Aは、噴射部1Acが小型バックホウ10のアーム10aの先端側に取り付けてある。すなわち、空気掘削手段1Aは、小型バックホウ10のアーム10aの先端を地山Gに向けることによって超音速の空気噴流を地山Gに向けて噴射して非接触で地山Gを崩す。なお、本実施例における空気掘削手段1Aの超音速空気としては、4〜5m3/分としてある。
【0026】
また、非接触掘削手段1は、高圧水掘削手段1Bからなる。高圧水掘削手段1Bは、高圧ポンプなどの高圧水発生部1Baで高圧水を発生してホース1Bbを介して噴射部1Bcから噴射する。この高圧水掘削手段1Bは、噴射部1Bcが小型バックホウ10のアーム10aの先端側に取り付けてある。すなわち、高圧水掘削手段1Bは、小型バックホウ10のアーム10aの先端を地山Gに向けることによって高圧水の噴流を地山Gに向けて噴射して非接触で地山Gを崩す。なお、本実施例における高圧水掘削手段1Bの高圧水としては、200kg/cm2、10リットル/分程度であり、この高圧水を連続または間欠的に噴射させる。
【0027】
さらに、非接触掘削手段1は、空気掘削手段1Aと高圧水掘削手段1Bとを共に備える構成であってもよい。
【0028】
吸引搬送手段2は、上記非接触掘削手段1で掘削した土砂を空気吸引によって搬送するものである。吸引搬送手段2は、例えば内形をテーパー状に形成したテーパー管2aの内部に垂直2方向より圧縮空気を送り込んで管内にジェット気流を生じさせることで吸引・圧送を行うものである。動力となる圧縮空気は、コンプレッサーなどから得られる。本実施例では、非接触掘削手段1としての空気掘削手段1Aにおける空気圧発生部1Aaからの圧縮空気を得ている。この吸引搬送手段2は、テーパー管2aの吸引口2aa側が小型バックホウ10のアーム10aの先端に取り付けてあり、圧送口2ab側が搬送ホース2bを介して回収部2cに接続してある。すなわち、吸引搬送手段2は、小型バックホウ10のアーム10aの先端を地山Gに向けることによって非接触掘削手段1で掘削した土砂を空気吸引によって搬送ホース2bを介して回収部2cに搬送する。なお、本実施例における吸引搬送手段2の吸引風量としては、例えばテーパー管2aの全長を280mmとし、吸引口2aa側の口径を0.25インチ、圧送口2ab側の口径を1.25インチとして、風量1.5m3/minの圧縮空気を送り込んだ場合に約1t/h以下の圧送能力が得られる。
【0029】
ところで、一般的な空気搬送機は、構造が複雑な上に空気を噴射する突起物が内部に配置されているため吸引した土砂が詰まりやすく、吸引または搬送のいずれかが主流になってしまう。本実施例の吸引搬送手段2は、圧縮空気によってジェット気流を生じるものであるため、テーパー管2aの内部に複雑な構造や突起物がなく、吸引から圧送までを直線処理することが可能であり圧力損失が少なく吸引圧送効率が高い。また、その他の空気搬送機としてバキューム吸引装置もあるが、バキューム吸引装置では土砂の回収用に真空容器が必要になる。さらに、バキューム吸引装置では粘性土砂などに対してホースが閉塞しやすいなどの問題がある。本実施例の吸引搬送手段2は、圧縮空気によってジェット気流を生じるものであるため、真空容器を必要とせず、ダンプの荷台などの開口した容器や地面に対して直接搬送した土砂を排出できる。さらに、本実施例の吸引搬送手段2は、土砂を空気圧送するため、弾力性に富む搬送ホース2bを使用することが可能である。弾力性に富む搬送ホース2bは、搬送物(エアー、土砂)の通過に伴い径方向に伸縮するため、搬送ホース2bの内面に土砂が付着して閉塞するおそれがない。また、弾力性に富む搬送ホース2bは、非常に軽量で設置撤去が容易である。
【0030】
上述したように本実施例の掘削装置は、小型バックホウ10に搭載してある。図1に示すように小型バックホウ10のアーム10aの先端には、掘削刃11が設けてある。図2に示すように掘削刃11は、吸引搬送手段2におけるテーパー管2aの吸引口2aa側が設けてある。この掘削刃11は、筒状体の先端部を鋭角に形成してあり、当該筒状体の先端部の開口11aを吸引搬送手段2の吸引口としてある。すなわち、掘削刃11は鋭角に形成した先端部が地山Gに接触することによって地山Gを崩す。そして、掘削して生じた土砂を、吸引搬送手段2によるジェット気流によって開口11aから吸引する。
【0031】
図2および図3に示すように掘削刃11の先端側には、上述した空気掘削手段1Aの噴射部1Acが噴射ノズル1Adを地山G側に向ける態様で取り付けてある。さらに、高圧水掘削手段1Bの噴射部1Bcは、噴射ノズル1Bdを地山G側に向ける態様で小型バックホウ10のアーム10aの先端に取り付けてある。なお、高圧水掘削手段1Bの噴射部1Bcは、空気掘削手段1Aの噴射部1Acと同様に掘削刃11の先端側に取り付けてあってもよい。すなわち、非接触掘削手段1による掘削と共に、掘削刃11による直接的な地山Gの掘削を行える。
【0032】
このように構成した実施例1における掘削装置は、非接触掘削手段1の噴流によって非接触で地山Gを崩すことにより、ケーブル(通信線や電力線)、ガス管などの埋設が予想される地山Gの掘削や、試掘作業において、埋設物を損傷させることなく容易に掘削することが可能になる。さらに、松杭などの地中障害物が埋設されている地山Gでの掘削能率を向上することが可能になる。特に、非接触掘削手段1としては、空気掘削手段1Aあるいは高圧水掘削手段1Bがあり、それぞれを掘削条件に応じて選択的に用いることで掘削を容易に行うことができる。また、空気掘削手段1Aと高圧水掘削手段1Bとを共に用いることにより掘削力を組み合わせた相乗効果により掘削能率を高めることが可能になる。
【0033】
また、掘削した土砂は、吸引搬送手段2によって空かさず吸引されて圧送される。これにより、例えばフーチング下など、障害物周辺の狭隘な条件下での掘削能率を向上することが可能になる。特に、掘削した土砂が空かさず回収されるため、非接触掘削手段1での掘削に関して崩した土砂に邪魔されず噴流が確実に地山Gに当たるので、掘削能率を向上することが可能になる。さらに、非接触掘削手段1での掘削に関して崩した土砂に邪魔されず噴射部1Ac,1Bcの移動が容易に行えるので掘削能率を向上することが可能になる。
【0034】
また、非接触掘削手段1および吸引搬送手段2に加えて掘削刃11を設けたことにより、地中障害物がない掘削のときに非接触掘削手段1と掘削刃11との掘削力を組み合わせた相乗効果によって掘削能率を高めることが可能になる。
【実施例2】
【0035】
図4は本発明に係る掘削装置の実施例2の形態を示す側面図、図5は図4におけるオーガーを示す側面図である。
【0036】
図4に示すように本実施例における掘削装置は、上述した実施例1と同様に非接触掘削手段1と吸引搬送手段2とを備え、これら非接触掘削手段1および吸引搬送手段2を小型バックホウ10に搭載したものである。なお、非接触掘削手段1および吸引搬送手段2の主構成については、実施例1と同様であるため同一の符号を付してその説明を省略する。
【0037】
図4に示すように小型バックホウ10のアーム10aの先端側にはオーガー12が設けてある。図5に示すようにオーガー12は、アーム10aに固定する基台12Aaに設けた油圧モータ12Abの出力軸に対してロータリージョイント12Acを介して連結してある。また、オーガー12は、基台12Aaに設けた軸受12Adに支持してある。これにより、オーガー12は、油圧モータ12Abの駆動によって回転する。このオーガー12は、先端に掘削刃12aを有したスクリュー型(あるいはスパイラル型)に構成してあり、その中心軸線に沿って先端に貫通する貫通穴12bを設けてある。また、オーガー12の先端には、非接触掘削手段1としての空気掘削手段1Aの噴射ノズル1Adが貫通穴12bに連通して設けてある。一方、ロータリージョイント12Acには、非接触掘削手段1としての空気掘削手段1Aのホース1Abが接続してあり、このホース1Abとオーガー12の貫通穴12bとを連通してある。さらに、ロータリージョイント12Acは、油圧モータ12Abの出力軸の回転に連れ周りしない態様で設けてある。
【0038】
すなわち、非接触掘削手段1としての空気掘削手段1Aは、オーガー12に設けてあり、その噴射ノズル1Adをオーガー12の先端に有している。そして、空気掘削手段1Aは、小型バックホウ10のアーム10aの先端を地山Gに向けてオーガー12の先端を地山Gに向けることによって超音速の空気噴流を地山Gに向けて噴射して非接触で地山Gを崩す。
【0039】
図4に示すように吸引搬送手段2は、小型バックホウ10のアーム10aの先端側に設けてある。すなわち、吸引搬送手段2は、小型バックホウ10のアーム10aの先端を地山Gに向けることによって非接触掘削手段1で掘削した土砂を空気吸引によって搬送ホース2bを介して回収部2cに搬送する。
【0040】
このように構成した実施例2における掘削装置は、非接触掘削手段1の噴流によって非接触で地山Gを崩すことにより、ケーブル(通信線や電力線)、ガス管などの埋設が予想される地山Gの掘削や、試掘作業において、埋設物を損傷させることなく容易に掘削することが可能になる。さらに、松杭などの地中障害物が埋設されている地山Gでの掘削能率を向上することが可能になる。
【0041】
また、掘削した土砂は、吸引搬送手段2によって空かさず吸引されて圧送される。これにより、例えばフーチング下など、障害物周辺の狭隘な条件下での掘削能率を向上することが可能になる。特に、掘削した土砂が空かさず回収されるため、非接触掘削手段1での掘削に関して崩した土砂に邪魔されず噴流が確実に地山Gに当たるので、掘削能率を向上することが可能になる。さらに、非接触掘削手段1での掘削に関して崩した土砂に邪魔されず噴射部1Ac,1Bcの移動が容易に行えるので掘削能率を向上することが可能になる。
【0042】
また、非接触掘削手段1および吸引搬送手段2に加えてオーガー12を設けたことにより、地中障害物がない掘削のときに非接触掘削手段1とオーガー12との掘削力を組み合わせた相乗効果によって掘削能率を高めることが可能になる。また、オーガー12の機械的な掘削能力が高まるとともに、小型低出力なオーガー掘削装置の適用が可能になる。
【0043】
なお、上述した実施例2では、オーガー12に非接触掘削手段1として空気掘削手段1Aを設けた構成であるが、実施例1で説明した高圧水掘削手段1Bを設けてもよい。また、空気掘削手段1Aと高圧水掘削手段1Bとを共にオーガー12設けてもよい。このように構成することにより、空気掘削手段1Aおよび高圧水掘削手段1Bのそれぞれを掘削条件に応じて選択的に用いることで掘削を容易に行うことができる。また、空気掘削手段1Aと高圧水掘削手段1Bとを共に用いることにより掘削力を組み合わせた相乗効果により掘削能率を高めることが可能になる。
【実施例3】
【0044】
図6は本発明に係る掘削装置の実施例3の形態を示す側面図、図7は本発明に係る掘削装置の実施例3の形態を示す正面図、図8は本発明に係る掘削装置の実施例3の形態の動作を示す正面図である。
【0045】
図6に示すように本実施例における掘削装置は、上述した実施例1と同様に非接触掘削手段1と吸引搬送手段2とを備えている。そして、本実施例では、これら非接触掘削手段1および吸引搬送手段2を手持ち作業用の手持掘削機13に搭載したものである。なお、非接触掘削手段1および吸引搬送手段2の主構成については、実施例1と同様であるため同一の符号を付してその説明を省略する。
【0046】
図6および図7に示すように吸引搬送手段2は、その吸引口2aaを手持掘削機13の吸引部13Aに搬送ホース2dを介して接続してある。吸引部13Aは、筒状に形成してあり、一端の開口に搬送ホース2dを接続し、他端の開口を吸引口側としてある。すなわち、吸引部13Aの吸引口側が吸引搬送手段2の吸引口2aaに相当する。この吸引部13Aの吸引口側には、地山Gの掘削面を覆う被覆部材13Aaが設けてある。被覆部材13Aaは、地山Gに向けて末広がりに形成してある。
【0047】
図6および図7に示すように非接触掘削手段1としての空気掘削手段1Aは、長手管状に形成した噴射部1Acを有している。この噴射部1Acは、被覆部材13Aaに対して摺動可能に貫通してある。これにより、空気掘削手段1Aは、噴射ノズル1Adを被覆部材13Aaに内装しつつ、当該噴射ノズル1Adを地山Gの掘削面に対して接離可能に設けてある。また、噴射部1Acには、被覆部材13Aaの外部において弾性部材としてのコイルスプリング14が巻装してある。このコイルスプリング14は、噴射ノズル1Adを地山Gの掘削面から離間する方向に付勢している。なお、本実施例では、図7に示すように噴射部1Acが被覆部材13Aa内で2つに分岐して形成してあり、それぞれの端部に噴射ノズル1Adが設けてある。
【0048】
すなわち、空気掘削手段1Aは、図7に示すように被覆部材13Aaを地山Gの掘削面に当接しておき、空気掘削手段1Aの噴射ノズル1Adを地山Gに向けることによって超音速の空気噴流を地山Gに向けて噴射して非接触で地山Gを崩す。また、吸引搬送手段2は、被覆部材13Aaの内部において空気掘削手段1Aで掘削した土砂を空気吸引によって搬送ホース2bを介して回収部2cに搬送する。
【0049】
さらに、図8に示すように空気掘削手段1Aによる掘削が進行して地山Gの掘削面が下がった場合に、噴射部1Acをコイルスプリング14の付勢力に抗して下降させる。これにより、噴射ノズル1Adが下がった掘削面に近接するのでさらなる掘削を実施する。また、噴射ノズル1Adを掘削面に近接したとき、コイルスプリング14の付勢力によって被覆部材13Aaが掘削面に対して押圧付勢される。
【0050】
このように構成した実施例3における掘削装置は、非接触掘削手段1の噴流によって非接触で地山Gを崩すことにより、ケーブル(通信線や電力線)、ガス管などの埋設が予想される地山Gの掘削や、試掘作業において、埋設物を損傷させることなく容易に掘削することが可能になる。さらに、松杭などの地中障害物が埋設されている地山Gでの掘削能率を向上することが可能になる。
【0051】
また、掘削した土砂は、吸引搬送手段2によって空かさず吸引されて圧送される。これにより、例えばフーチング下など、障害物周辺の狭隘な条件下での掘削能率を向上することが可能になる。特に、掘削した土砂が空かさず回収されるため、非接触掘削手段1での掘削に関して崩した土砂に邪魔されず噴流が確実に地山Gに当たるので、掘削能率を向上することが可能になる。さらに、非接触掘削手段1での掘削に関して崩した土砂に邪魔されず噴射部1Ac,1Bcの移動が容易に行えるので掘削能率を向上することが可能になる。
【0052】
特に、実施例3における掘削装置は、吸引搬送手段2の吸引口側に地山の掘削面を覆う被覆部材13Aaを有している。そして、非接触掘削手段1としての空気掘削手段1Aの噴射ノズル1Adを被覆部材13Aaに内装し、この噴射ノズル1Adを掘削面に対して接離可能に設け、かつ、コイルスプリング14によって噴射ノズル1Adを掘削面に近接したときに被覆部材13Aaを掘削面に対して押圧付勢する。これにより、被覆部材13Aaの内部において、掘削した土砂を周囲に飛散させることなく回収することが可能になる。また、コイルスプリング14によって被覆部材13Aaを地山Gの掘削面に押し付けるので掘削した土砂を効率よく回収することが可能になる。さらに、空気掘削手段1Aの噴射ノズル1Adと地山Gの掘削面との距離を変化させながら掘削を行うことが可能になる。
【0053】
なお、上述した実施例3では、非接触掘削手段1として空気掘削手段1Aを設けた構成であるが、実施例1で説明した高圧水掘削手段1Bを設けてもよい。また、空気掘削手段1Aと高圧水掘削手段1Bとを共に設けてもよい。このように構成することにより、空気掘削手段1Aおよび高圧水掘削手段1Bのそれぞれを掘削条件に応じて選択的に用いることで掘削を容易に行うことができる。また、空気掘削手段1Aと高圧水掘削手段1Bとを共に用いることにより掘削力を組み合わせた相乗効果により掘削能率を高めることが可能になる。
【実施例4】
【0054】
図9は本発明に係る掘削装置の実施例4の形態を示す側面図である。図9に示すように本実施例における掘削装置は、上述した実施例3と同様に非接触掘削手段1と吸引搬送手段2とを備え、これら非接触掘削手段1および吸引搬送手段2を手持ち作業用の手持掘削機13に搭載したものである。なお、非接触掘削手段1、吸引搬送手段2および手持掘削機13の主構成については、実施例3と同様であるため同一の符号を付してその説明を省略する。
【0055】
図9に示すように非接触掘削手段1としての空気掘削手段1Aは、長手管状に形成した噴射部1Acを有している。この噴射部1Acは、被覆部材13Aaに対して摺動可能に貫通してある。これにより、空気掘削手段1Aは、噴射ノズル1Adを被覆部材13Aaに内装しつつ、当該噴射ノズル1Adを地山Gの掘削面に対して接離可能に設けてある。また、噴射部1Acには、被覆部材13Aaの外部において弾性部材としてのコイルスプリング14が巻装してある。このコイルスプリング14は、噴射ノズル1Adを地山Gの掘削面から離間する方向に付勢している。
【0056】
また、被覆部材13Aa内に設けた噴射ノズル1Adは、噴射部1Acに対してロータリージョイント15を介して回転可能に設けてある。これにより、噴射ノズル1Adは、超音速の空気噴流を地山Gに向けて噴射するときの空気の噴射反力により旋回する。
【0057】
すなわち、空気掘削手段1Aは、図9(a)に示すように被覆部材13Aaを地山Gの掘削面に当接しておき、空気掘削手段1Aの噴射ノズル1Adを地山Gに向けることによって超音速の空気噴流を地山Gに向けて噴射して非接触で地山Gを崩す。このとき、噴射ノズル1Adが地山の掘削面に向けて旋回する。また、吸引搬送手段2は、被覆部材13Aaの内部において空気掘削手段1Aで掘削した土砂を空気吸引によって搬送ホース2bを介して回収部2cに搬送する。
【0058】
さらに、図9(b)に示すように空気掘削手段1Aによる掘削が進行して地山Gの掘削面が下がった場合に、噴射部1Acをコイルスプリング14の付勢力に抗して下降させる。これにより、噴射ノズル1Adが下がった掘削面に近接するのでさらなる掘削を実施する。また、噴射ノズル1Adを掘削面に近接したとき、コイルスプリング14の付勢力によって被覆部材13Aaが掘削面に対して押圧付勢される。
【0059】
このように構成した実施例4における掘削装置は、非接触掘削手段1の噴流によって非接触で地山Gを崩すことにより、ケーブル(通信線や電力線)、ガス管などの埋設が予想される地山Gの掘削や、試掘作業において、埋設物を損傷させることなく容易に掘削することが可能になる。さらに、松杭などの地中障害物が埋設されている地山Gでの掘削能率を向上することが可能になる。
【0060】
また、掘削した土砂は、吸引搬送手段2によって空かさず吸引されて圧送される。これにより、例えばフーチング下など、障害物周辺の狭隘な条件下での掘削能率を向上することが可能になる。特に、掘削した土砂が空かさず回収されるため、非接触掘削手段1での掘削に関して崩した土砂に邪魔されず噴流が確実に地山Gに当たるので、掘削能率を向上することが可能になる。さらに、非接触掘削手段1での掘削に関して崩した土砂に邪魔されず噴射部1Ac,1Bcの移動が容易に行えるので掘削能率を向上することが可能になる。
【0061】
特に、実施例4における掘削装置は、吸引搬送手段2の吸引口側に地山の掘削面を覆う被覆部材13Aaを有している。そして、非接触掘削手段1としての空気掘削手段1Aの噴射ノズル1Adを被覆部材13Aaに内装し、この噴射ノズル1Adを掘削面に対して接離可能に設け、かつ、コイルスプリング14によって噴射ノズル1Adを掘削面に近接したときに被覆部材13Aaを掘削面に対して押圧付勢する。これにより、被覆部材13Aaの内部において、掘削した土砂を周囲に飛散させることなく回収することが可能になる。また、コイルスプリング14によって被覆部材13Aaを地山Gの掘削面に押し付けるので掘削した土砂を効率よく回収することが可能になる。さらに、空気掘削手段1Aの噴射ノズル1Adと地山Gの掘削面との距離を変化させながら掘削を行うことが可能になる。
【0062】
さらに、実施例4における掘削装置は、空気掘削手段1Aの噴射ノズル1Adを地山Gの掘削面に向けて旋回可能に設けてある。これにより、広い範囲の掘削を効率よく行うことが可能になる。
【0063】
なお、上述した実施例4では、非接触掘削手段1として空気掘削手段1Aを設けた構成であるが、実施例1で説明した高圧水掘削手段1Bを設けてもよい。また、空気掘削手段1Aと高圧水掘削手段1Bとを共に設けてもよい。このように構成することにより、空気掘削手段1Aおよび高圧水掘削手段1Bのそれぞれを掘削条件に応じて選択的に用いることで掘削を容易に行うことができる。また、空気掘削手段1Aと高圧水掘削手段1Bとを共に用いることにより掘削力を組み合わせた相乗効果により掘削能率を高めることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明に係る掘削装置は、地中障害物の存在や狭隘条件下での掘削および土砂搬送を行うことに有用であり、特に、埋設物を損傷させることなく地山の掘削を容易に行い作業効率の向上を図ることに適している。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る掘削装置の実施例1の形態を示す側面図である。
【図2】図1における掘削装置を示す斜視図である。
【図3】図1における掘削装置を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る掘削装置の実施例2の形態を示す側面図である。
【図5】図4におけるオーガーを示す側面図である。
【図6】本発明に係る掘削装置の実施例3の形態を示す側面図である。
【図7】本発明に係る掘削装置の実施例3の形態を示す正面図である。
【図8】本発明に係る掘削装置の実施例3の形態の動作を示す正面図である。
【図9】本発明に係る掘削装置の実施例4の形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 非接触掘削手段
1A 空気掘削手段
1Aa 空気圧発生部
1Ab ホース
1Ac 噴射部
1Ad 噴射ノズル
1B 高圧水掘削手段
1Ba 高圧水発生部
1Bb ホース
1Bc 噴射部
1Bd 噴射ノズル
2 吸引搬送手段
2a テーパー管
2aa 吸引口
2ab 圧送口
2b 搬送ホース
2c 回収部
2d 搬送ホース
10 小型バックホウ
10a アーム
11 掘削刃
11a 開口
12 オーガー
12a 掘削刃
12b 貫通穴
12Aa 基台
12Ab 油圧モータ
12Ac ロータリージョイント
12Ad 軸受
13 手持掘削機
13A 吸引部
13Aa 被覆部材
14 コイルスプリング
15 ロータリージョイント
G 地山


【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴流によって非接触で地山を崩す非接触掘削手段と、
掘削した土砂を空気吸引によって搬送する吸引搬送手段と
を備えたことを特徴とする掘削装置。
【請求項2】
前記非接触掘削手段は、空気噴流によって非接触で地山を崩す空気圧掘削手段からなることを特徴とする請求項1に記載の掘削装置。
【請求項3】
前記非接触掘削手段は、高圧水噴流によって非接触で地山を崩す高圧水掘削手段からなることを特徴とする請求項1に記載の掘削装置。
【請求項4】
前記非接触掘削手段は、空気噴流によって非接触で地山を崩す空気圧掘削手段と、高圧水噴流によって非接触で地山を崩す高圧水掘削手段とを共に備えてなることを特徴とする請求項1に記載の掘削装置。
【請求項5】
接触によって地山を崩す掘削爪を前記非接触掘削手段および前記吸引搬送手段と共に備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の掘削装置。
【請求項6】
接触によって地山を崩すオーガーを前記非接触掘削手段および前記吸引搬送手段と共に備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の掘削装置。
【請求項7】
前記吸引搬送手段の吸引口側に地山の掘削面を覆う被覆部材を有し、前記非接触掘削手段は前記被覆部材に噴射ノズルを内装して当該噴射ノズルを前記掘削面に対して接離可能に設けてあり、前記噴射ノズルを前記掘削面に近接したときに前記被覆部材を前記掘削面に対して押圧付勢する弾性部材を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の掘削装置。
【請求項8】
前記非接触掘削手段の噴射ノズルを地山の掘削面に向けて旋回可能に設けたことを特徴とする請求項7に記載の掘削装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−193912(P2006−193912A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−4106(P2005−4106)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】