説明

採血初流除去バッグ及び採血初流除去セット並びに血液バッグ

【課題】作業者が無理な体勢にならずに、迅速に血液をサンプリングすることができる採血初流除去バッグ及び採血初流除去セット並びに血液バッグを提供すること。
【解決手段】供血者より採取する初流血液を貯留するための採血初流除去バッグであって、バッグ本体21に初流血液の入口23と初流血液の出口24を形成し、バッグ本体21内部に、第1仕切部P1と第2仕切部P2と第3仕切部P3を形成し、これによりバッグ本体21内部を、血液溜S1と空気溜S2に区画するとともに、血液通路W1と空気通路W2を形成し、初流血液を空のバッグ本体21に貯留するとき、初流血液は、入口23、血液通路W1を経て、血液溜S1に貯留され、当該血液溜S1の空気は、空気溜S2へ収納される採血初流除去バッグB。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、初流血液を採取するとともに、検査用血液の採取を容易に行うことのできる採血初流除去バッグ及び採血初流除去セットに関する。
【背景技術】
【0002】
採血針から採取した血液を血液バッグに導入する際、供血者の穿刺位置をアルコール等で消毒を行うが、消毒を行なっても、皮膚や皮下に存在する細菌が採取した血液の中に混入することがある。
混入した細菌は、細菌の種類によっては、血液バッグを保存している間にも増殖し、細菌の増殖に気づくことなく輸血などに用いられると輸血された患者に感染症などを引き起こし、重篤な事態となるおそれもある。
そこで、採取された血液の細菌汚染防止を図ることができるように、特に採血時の初流の血液を除去するシステムが発明されるようになった。
【0003】
特許文献1には、献血手順の最初において、供血者と収集容器との間の無菌性を保ちながら、検査用血液が採取できるサンプリングシステムが記載されている。
略円形の内部チャンバ54に排出チューブ43を伸長し、排出チューブ43に連絡している出口ポート50には、液体サンプルバイアル70を保持するホルダー60が接続できるように形成されている。また、内部チャンバ54内で、入口ポート46近くまで伸長した排出チューブ43により、容器42からサンプリングバイアルに内部チャンバ54内部の血液等を引き出したとき、サンプリングバイアル内には空気が入らない構造となっている。
【0004】
特許文献2から特許文献5には、採取した採血初流を採取することができる容器連結体について記載されており、採血血液の細菌検査の精度と、細菌検査における作業性とを向上できるとともに、採血血液を使用する際の安全性を向上することができる旨が記載されている。
具体的には、例えば特許文献4において、チューブ15により接続された採血バッグ10と採血針152を有する採血器具1の、チューブ15の途中に形成した分岐コネクタ92にはチューブ91が接続され、その端部には血液を一時的に収納する血液バッグ20が接続されている。このバッグ20には、先端にサンプリングポート71が形成されているチューブ96が接続されている。採血器具1は、採取した初流血液をサンプリングポート71に接続した採血管へ、容易で安全に導入して細菌検査を行うことができるので、細菌検査の信頼性が高くなるというものである。
【0005】
また、特許文献6には、採血バッグ32内に仕切部40を形成することで血液成分の収納室42と血液成分の下層の流出路41に分画した血液バッグが記載されている。仕切部40が形成する通路39の上流近傍には、閉塞部材10、20、43が装着される。
仕切部40で血液バッグ内を分画することにより、遠心分離処理による上層・中間層・下層に分離後、各血液成分が互いに混入しない状態を維持しながら、中間層が血液バッグ32に残るように、上層は上部流出口39aから分離バッグ33へ、下層は閉塞部材10、20、43を破壊し、仕切部40により形成される流出路41を経て流出口39b、分離バッグ34へと分離排出させることができる。
【0006】
特許文献1の発明では、容器42内の血液を採取する際、排出チューブ43により、サンプリングシステムを逆さにしても空気を取り込みにくいが、排出チューブ43内部の空気をサンプリングバイアルに取り込むことを防止できない。また、排出チューブ43を介して血液を取り込むため、サンプリングバイアルには少量ずつしか血液を取り込めず、容器42からサンプリングバイアルへの血液採取作業が迅速に行うことができない。また、容器42内の血液を採取する際、サンプリングシステムを必ず逆さにしなければいけないという制限がある。
特許文献2から特許文献5の発明では、初流血液の除去、血液のサンプリングはでき得るものの、バッグの構成上、供血者からの採血時には、採血用器具が低位置にあるため、作業者が屈みこんだりしゃがんだりといった無理な体勢から、血液をサンプリングしなければならず、特に献血車などの狭い場所で、何度も同様の作業を行なうのは、非常に苦痛となる。
また、特許文献6の、バッグ31内に形成されている仕切部40は、分離した血液の流出口であり、閉塞部材10、20、43の装着を必要としている。
【0007】
【特許文献1】特表2003−505185号公報([特許請求の範囲]、[0026]、[0034])
【特許文献2】特開平10−84942号公報([特許請求の範囲]、図1)
【特許文献3】特開平11−197236号公報([特許請求の範囲]、図1)
【特許文献4】特開2001−17539号公報([0085]〜[0093]、図1)
【特許文献5】特開2005−279289号公報([0037]、図1)
【特許文献6】特許第3179208号公報([請求項3]、[0015]、[0016]、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、採血初流除去バッグに貯留した血液を真空採血管ホルダ等の外部への血液採取手段から真空採血管に採取する際、真空採血管内にどうしても空気を取り込んでしまう点、また空気を取り込まないようにするためには、血液バッグの構成上、採血時には採血初流除去システムが低位置にあることから、作業者が屈みこんだりしゃがんだりといった無理な体勢から血液をサンプリングしなければならない点、また、従来は初流血除去バッグに血液が規定量採血できたことをバッグにつけられた印と血液の液面が一致することによって確認していたが、誤差が大きく、採血に過不足が生じる場合がある点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明は、供血者より採取する初流血液を貯留するための採血初流除去バッグであって、
バッグ本体(21)に初流血液の入口(23)と初流血液の出口(24)を形成し、
バッグ本体(21)内部に、第1仕切部(P1)と第2仕切部(P2)と第3仕切部(P3)を形成し、
これによりバッグ本体(21)内部を、血液溜(S1)と空気溜(S2)に区画するとともに、血液通路(W1、W1´)と空気通路(W2)を形成し、
初流血液を空のバッグ本体(21)に貯留するとき、初流血液は、入口(23)、血液通路(W1、W1´)を経て、血液溜(S1)に貯留され、当該血液溜(S1)の空気は、空気溜(S2)へ収納される採血初流除去バッグ(B、BA、BA´、BB、BC、BD)を提供する。
[2]本発明は、供血者より採取する初流血液を貯留するための採血初流除去バッグであって、
バッグ本体(21)の上部に初流血液の入口(23)を形成し、バッグ本体(21)の下部に初流血液の出口(24)を形成し、
前記バッグ本体(21)内部に、第1仕切部(P1)と第2仕切部(P2)と第3仕切部(P3)を形成し、
前記第1仕切部(P1)は、バッグ本体(21)の略横方向または略斜め方向に形成し、
前記第2仕切部(P2)は、バッグ本体(21)の略縦方向に形成し、
前記第3仕切部(P3)は、バッグ本体(21)の略横方向または略斜め方向から略縦方向に形成し、
前記第1仕切部(P1)は、前記第2仕切部(P2)の下部から前記第3仕切部(P3)の略中間部から略下部のいずれかの間に亘って連続して形成し、
前記バッグ本体(21)内部を、血液溜(S1)と空気溜(S2)に区画し、
前記第2仕切部(P2)と前記バッグ本体(21)側部間に、上開放部(O1)、下開放部(O2)及び空気通路(W2)を形成し、
前記第3仕切部(P3)と前記バッグ本体(21)側部間に下開放部(O2´)及び血液通路(W1)を形成し、
前記空気通路(W2)は、前記上開放部(O1)と下開放部(O2)を経て、前記血液溜(S1)と前記空気溜(S2)と連通し、
前記血液通路(W1)は、前記初流血液の入口(23)と前記下部開放部(O2´)を経て、前記血液溜(S1)と連通している採血初流除去バッグ(BA、BA´、BD)を提供する。
[3]本発明は、初流血液を空のバッグ本体(21)の血液溜(S1)に貯留する時、血液溜(S1)内の空気は、前記下開放部(O2)、空気通路(W2)、上開放部(O1)を経て、前記空気溜(S2)へ収納される[2]に記載の採血初流除去バッグ(BA、BA´)を提供する。
[4]本発明は、供血者より採取する初流血液を貯留するための採血初流除去バッグであって、
バッグ本体(21)の上部に初流血液の入口(23)を形成し、バッグ本体(21)の下部に初流血液の出口(24)を形成し、
前記バッグ本体(21)内部に、第1仕切部(P1)と第2仕切部(P2)と第3仕切部(P3)を形成し、
前記第1仕切部(P1)は、バッグ本体(21)の略横方向または略斜め方向に形成し、
前記第2仕切部(P2)は、バッグ本体(21)の略縦方向に形成し、
前記第3仕切部(P3)は、バッグ本体(21)の略横方向または略斜め方向から略縦方向に形成し、
前記第1仕切部(P1)は、前記第2仕切部(P2)の下部から前記第3仕切部(P3)の略中間部から略下部のいずれかの間に亘って連続して形成し、
前記バッグ本体(21)内部を、血液溜(S1)と空気溜(S2)に区画し、
前記第2仕切部(P2)と前記バッグ本体(21)側部間に、上開放部(O1)、下開放部(O2)及び空気通路(W2)を形成し、
前記第3仕切部(P3)と前記バッグ本体(21)側部間に下開放部(O2´)及び血液通路(W1)を形成し、
前記空気通路(W2)は、前記上開放部(O1)と下開放部(O2)を経て、前記血液溜(S1)と前記空気溜(S2)と連通し、
前記血液通路(W1)は、記初流血液の入口(23)と前記下部開放部(O2´)を経て、前記血液溜(S1)と連通し、
前記第2仕切部(P2)の上部に空気の誘導部(R)を形成し、バッグ本体(21)の上部壁面(WD)の下部に空気の誘導壁面(WC)を形成した採血初流除去バッグ(BD)を提供する。
[5]本発明は、初流血液を空のバッグ本体(21)の血液溜(S1)に貯留する時、血液溜(S1)内の空気は、前記下開放部(O2)、空気通路(W2)、誘導部(R)、上開放部(O1)、誘導壁面(WC)を経て、前記空気溜(S2)へ収納される[4]に記載の採血初流除去バッグ(BD)を提供する。
[6]本発明は、供血者より採取する初流血液を貯留するための採血初流除去バッグであって、
バッグ本体(21)の上部に初流血液の入口(23)を形成し、バッグ本体(21)の下部に初流血液の出口(24)を形成し、
前記バッグ本体(21)内部に、第1仕切部(P1)と第2仕切部(P2)と第3仕切部(P3)を形成し、
前記第1仕切部(P1)と前記第2仕切部(P2)は、バッグ本体(21)の略縦方向に形成し、
前記第3仕切部(P3)は、バッグ本体(21)の略横方向または略斜め方向に形成し、
前記バッグ本体(21)内部を、血液溜(S1)と空気溜(S2)に区画し、
前記第1仕切部(P1)と前記第2仕切部(P2)の間に、上開放部(O1)と下開放部(O2)と空気通路(W2)を形成し、
前記第3仕切部(P3)と前記バッグ本体(21)の上側周辺部(R)の間に、下開放部(O2´)と血液通路(W2)を形成し、
前記空気通路(W2)は、前記上開放部(O1)と下開放部(O2)を経て、前記血液溜(S1)と前記空気溜(S2)と連通し、
前記血液通路(W1)は、前記初流血液の入口(23)と前記下開放部(O2´)を経て、前記血液溜(S1)と連通している採血初流除去バッグ(B)を提供する。
[7]本発明は、初流血液を空のバッグ本体(21)の血液溜(S1)に貯留する時、血液溜(S1)内の空気は、前記上開放部(O1)、空気通路(W2)、下開放部(O2)を経て、前記空気溜(S2)へ収納される[6]に記載の採血初流除去バッグ(B)を提供する。
[8]本発明は、前記空気通路(W2)の途中に、狭窄部(W2a)を形成するかまたは逆流防止弁を配置する[1]から[7]のいずれか1項に記載の採血初流除去バッグ(B、BA、BA´、BD)を提供する
[9]本発明は、供血者より採取する初流血液を貯留するための採血初流除去バッグであって、
バッグ本体(21)の上部に初流血液の入口(23)を形成し、バッグ本体(21)の下部に初流血液の出口(24)を形成し、
前記バッグ本体(21)内部に、第1仕切部(P1)と第2仕切部(P2)と第3仕切部(P3)を形成し、
前記第1仕切部(P1)と前記第2仕切部(P2)は、バッグ本体(21)の略横方向に交互に形成し、
前記第3仕切部(P3)は、バッグ本体(21)の略横方向または略斜め方向、略縦方向及び略横方向または略斜め方向に形成し、
前記バッグ本体(21)内部を、初流血液の入口(23)と空気溜(S2)に区画し、
前記第1仕切部(P1)と前記バッグ本体(21)の側部の間に、左開放部(O3)を形成し、前記第2仕切部(P2)と前記第3仕切部(P3)の間に、右開放部(O4)を形成し、
前記第3仕切部(P3)と前記バッグ本体(21)の側部の間に下開放部(O2´)を形成し、
前記第1仕切部(P1)と前記第2仕切部(P2)との間に、前記左開放部(O3)と右開放部(O4)を経て、前記初流血液の出口(24)と前記空気溜(S2)と連通する空気通路(W2)を形成し、
前記第3仕切部(P3)とバッグ本体(21)の上部、側部及び下部間に、前記初流血液の入口(23)と前記下開放部(O2´)を経て、前記初流血液の出口(24)と連通する血液通路(W1)を形成した採血初流除去バッグ(BB)を提供する。
[10]本発明は、前記血液通路(W1)が、実質的に血液溜(S1)として機能し、初流血液を空のバッグ本体(21)の血液溜(S1)に導入する時、血液溜(S1)内の空気は、前記下開放部(O2´)、空気通路(W2)、左開放部(O3)、右開放部(O4)を経て、前記空気溜(S2)へ収納される[9]に記載の採血初流除去バッグ(BB)を提供する。
[11]本発明は、供血者より採取する初流血液を貯留するための採血初流除去バッグであって、
バッグ本体(21)の上部に初流血液の入口(23)を形成し、当該初流血液の入口(23)の側部に初流血液の出口(24)を形成し、
前記バッグ本体(21)内部に、第1仕切部(P1)と第2仕切部(P2)と第3仕切部(P3)を形成し、
前記第1仕切部(P1)と前記第2仕切部(P2)は、バッグ本体(21)の略横方向に交互に形成し、
前記第3仕切部(P3)は、バッグ本体(21)の略横方向または略斜め方向に形成し、
前記バッグ本体(21)内部を、前記初流血液の入口(23)と空気溜(S2)に区画し、
前記第1仕切部(P1)と前記バッグ本体(21)の側部の間に、左開放部(O3)を形成し、前記第2仕切部(P2)と前記バッグ本体(21)の側部の間に右開放部(O4)を形成し、前記第3仕切部(P3)と前記バッグ本体(21)の上側部の間に下開放部(O2´)を形成し、
前記第1仕切部(P1)と前記第2仕切部(P2)との間に、前記左開放部(O3)と右開放部(O4)を経て、前記初流血液の入口(23)と前記空気溜(S2)と連通する血液通路(W1)を形成し、
前記第3仕切部(P3)とバッグ本体(21)の上部間に、前記初流血液の入口(23)と前記下開放部(O2´)と連通する血液通路(W1´)を形成した初流血除去バッグ(BC)を提供する。
[12]本発明は、前記血液通路(W1)が、実質的に血液溜(S1)として機能し、初流血液を空のバッグ本体(21)の血液溜(S1)に導入する時、血液溜(S1)内の空気は、前記下開放部(O2´)、血液通路(W1)、左開放部(O3)、右開放部(O4)を経て、前記空気溜(S2)へ収納される[11]に記載の採血初流除去バッグ(BC)を提供する。
[13]本発明は、前記血液溜(S1)または当該血液溜(S1)と実質的に同じ機能を有する血液通路(W1)の容積を、採取すべき血液の規定量と実質的に同じになるように形成した[1]から[12]のいずれか1項に記載の採血初流除去バッグ(B、BA、BA´、BB、BC、BD)を提供する。
[14]本発明は、[1]から[13]のいずれか1項に記載の採血初流除去バッグ(B、BA、BA´、BB、BC、BD)の初流血液の出口(24)に、外部容器への血液採取手段を形成した採血初流除去セット(1、1A、1A´、1B、1C、1D)を提供する。
[15]本発明は、血液を採取する親バッグ(4)と複数の子バッグ(5、6)からなる血液バッグ(2)において、
上流に採血針(8)を接続した採血チューブ(T1)の途中に配置された分岐管(13a)に、初流血液導入チューブ(T2)を接続し、当該初流血液導入チューブ(T2)の下流に[1]から[14]のいずれか1項に記載の採血初流除去セット(1、1A、1A´、1B、1C、1D)を接続した血液バッグ(2)を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の採血初流除去バッグ及び採血初流除去セットは、前記のように構成することにより、
(1)作業者が屈みこんだりといった、無理な体勢にならずに、採血初流除去バッグBから迅速に血液をサンプリングすることができる。
(2)バッグ本体21内に形成した空気通路W2により、初流採血時に空気溜S2に追いやられた空気が血液溜S1へと再び移動することはないので、真空採血管に血液を採取する場合に、採血初流除去バッグBを逆さにしても、真空採血管に空気を吸い込まない。
さらに、(3)採血初流除去バッグB内に採取すべき血液の規定量が採血できたことを容易に判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、採血初流除去セット1の概略図、図2は、血液バッグ2の概略図である。図3、図4、図5は、図1のその他の実施例を示す採血初流除去セット1A、1B、1Cの概略図である。
[採血初流除去セット1]
採血初流除去セット1は、採血時等に、供血者の初流血液を採血初流除去バッグBに採ることで、針穿刺部の皮膚や皮下に存在する細菌等の混入を防止するとともに、バッグB内に採取した初流血液を検査用の血液としても用いるためのものである。
この採血初流除去セット1は、採血初流除去バッグBと血液採取手段(例えば後述する採血管ホルダ22)とからなり、例えば図2の血液バッグ2において、採血チューブT1の途中に配置された分岐管13aに接続された初流血液導入チューブT2の下流(端部)に接続される。
【0012】
[採血初流除去バッグB]
採血初流除去バッグBには、供血者より採取した初流血液を貯留する。
採血初流除去バッグBのバッグ本体21の上部には、採取する初流血液をバッグ本体21内に取り込むための入口23が形成され、バッグ本体21の下部には、採取した血液を取り出すための出口24が形成されている。
バッグ本体21内部に、例えば熱溶着等の手段により、第1仕切部P1、第2仕切部P2および第3仕切部P3を形成している。
第1仕切部P1と第2仕切部P2は、バッグ本体21の略縦方向に形成し、第3仕切部P3は、バッグ本体21の略横方向または略斜め方向に形成している。このようにしてバッグ本体21内部を、血液溜S1と空気溜S2に区画している。「略横方向または略斜め方向」に形成するとは、単に横方向のみ、または斜め方向に形成しても良いし、図1に例示するように、全体が略S字状となるように、左側及び/又は右側に曲線状(直線状でもよい)の仕切部を上及び/又は下方向に形成してもよいことを意味する。
第1仕切部(P1)と第2仕切部(P2)の間に、上開放部(O1)と下開放部(O2)と空気通路(W2)を形成している。
第3仕切部(P3)とバッグ本体(21)の上側周辺部(R)(単に上側部という場合もある)の間に、下開放部(O2´)と血液通路(W2)を形成している。
空気通路(W2)は、上開放部(O1)と下開放部(O2)を経て、血液溜(S1)と空気溜(S2)と連通している。
血液通路(W1)は、初流血液の入口(23)と下開放部(O2´)を経て、血液溜(S1)と連通している。
初流血液を空のバッグ本体21の血液溜S1に貯留する時、血液は前記血液通路W1を通り血液溜S1に貯留する。血液通路W1は血液を確実に血液溜りに導き血液が空気より先に前記空気通路W2へ混入することを防止する。
血液溜S1内の空気は、前記上開放部O1、空気通路W2、下開放部O2を経て、前記空気溜S2へ収納される。
空気通路W2の幅は、2〜5mm程度に設定して形成するのが好ましい。また空気通路W2の途中の一部に狭窄部W2aを形成して、狭くすることにより、空気と血液の流体抵抗の差を利用して、空気は通りやすく血液は通りにくい構造にすることも好ましい。このときの狭くなった部分は通路の直径が0.5〜2mm程度が適当である。この部分は血液が規定量採血されたときに空気に続いて血液が通り抜ける位置に成形することが好ましい。また空気通路W2を一部狭くするかわりに逆流防止弁等(例えばあひるのくちばし弁等の一方向弁)を設けるのもよい。
これらの構造は血液が規定量に達したときに採血速度を低減させ血液の過量採取を防止する目的、及び一度空気溜S2へ移動させた空気が、真空採血管ホルダ22から真空採血管に採取する際などに逆流することを防止する目的で成形する。
【0013】
空気通路W2の幅が狭すぎると、血液を採取する際に、空気溜S2へと空気がスムーズに移動できない可能性があり、逆に空気通路W2があまり広すぎると、空気が確実に空気溜S2に移動できない、または一度空気溜S2へ移動させた空気が、真空採血管ホルダ22から真空採血管に採取する際などに逆流するおそれがあるため好ましくない。
さらに、上開放部O1(非溶着部分)についても、空気通路W2の幅の設定と同様の理由により、2〜5mm程度に設定するのが好ましい。
なお、下開放部O2(非溶着部分)は、血液溜S1に初流血液が流入する際、追いやられたバッグ本体21内の空気が溜まるスペース(空気溜S2)と連通しているので、空気が貯留可能なように上開放部O1(非溶着部分)よりも広く(大きく)形成するのが好ましい。
また空気溜S2を十分広く成形すると、採血時にバッグや空気による弾力が、流入する血液を押し戻そうとする力が働くことがなく採血量が不足する恐れが少なくなるため好ましい。
さらに血液溜S1の容積を、採取すべき血液の規定量と実質的に同じになるように製作・形成することにより、血液溜S1内に血液が満杯になったとき、血液が空気溜S2へとあふれる瞬間に、規定量に達したことを容易に確認できる。
【0014】
[外部容器への血液採取手段]
採血初流バッグB内に採取した血液を、検査等のために外部容器へ採取する手段として、バッグ本体21の出口24に、真空採血管ホルダ22またはコネクタ付きチューブ(チューブ先端にコネクタを接続したもの)を形成しても良い。要するに、外部容器に血液を採取することが可能であれば、何でも良い。
例えば血液を外部容器に採取する具体的な手段として、例えば、図1に示すような真空採血管ホルダ22を採用する場合、出口24に、初流血液の採取針25が装着され、採取針25の外周に真空採血管ホルダ22が装着される。採取針25はシース26で覆われる。
バッグ本体21の血液溜S1内に血液を採取後、真空採血管ホルダ22に真空採血管(図示せず)を差し込んで、バッグ本体21内の血液を真空採血管に回収する。
【0015】
[血液バッグ2]
血液バッグ2は、例えば図2に示すように、親バッグ4、採血初流除去セット1、血液フィルタ3、第1子バッグ5、第2子バッグ6及び赤血球保存液入バッグ7から構成される。
親バッグ4の上流には、採血チューブT1が接続されている。採血チューブT1には、先端(上流)からその途中にわたって、採血針8、分岐管13a及び流路閉塞手段12が接続・配置されている。分岐管13aには、初流血液導入チューブT2(途中にクランプ11を装着)を介して採血初流除去セット1が接続される。
流路閉塞手段12は、図1に例示するように採血チューブT1の内側に配置される連通ピース12(一部を破断して液体流路を開通するもの)でも良いし、図1に例示するように各チューブT1、T2、T3の外側に装着し、その開閉により液体流路を開通・閉塞できるクランプ11a、11b、11cでも良い。
さらに親バッグ4の下流には、連結チューブT3を介して血液フィルタ3及び第1子バッグ5を接続している。さらに第1子バッグ5は、連結チューブT4、分岐管13b、連結チューブT5、T6を介して、第2子バッグ6、赤血球保存液入バッグ7を接続している。
親バッグ4及び赤血球保存液入りバッグ7には、採血時または輸血保存時における血液の凝固の防止または保存のために、例えばACD液、CPD液、MAP液のような抗凝固剤または赤血球保存液を収納している。
【0016】
採血初流除去バッグB及び血液バッグ2のバッグ類を構成する材料として、例えばポリ塩化ビニル、ポリオレフィン等の可撓性合成樹脂が用いられる。
【0017】
[採血初流除去セット1(採血初流除去バッグB)の使用例]
(1)供給者より採血された初流血液は、供血者に穿刺した採血針8から分岐管13a、チューブTを経て、バッグ本体21の血液通路W1を通って血液溜S1に貯留される。血液が貯留されるに従い、バッグ本体21内の空気は血液に追いやられて、血液溜S1内の空気は、上開放部O1、空気通路W2、下開放部O2を経て、空気溜S2へ収納される。
(2)初流血液の採取が規定量に達した時点で、クランプ11aを閉じ、採血初流除去バッグBへの血液の流れを遮断するとともに、連通ピース12を破断して、親バッグ4に血液を貯留する。
(3)一方、バッグ本体21の血液溜S1内に貯留した血液を、バッグ本体21の出口24に接続される真空採血管ホルダ22から真空採血管へと採取する。その際、作業者が、屈んだりしゃがみこんだりすることなく、立ち上がった楽な姿勢のまま、採血初流除去バッグBを逆さにして真空採血管への採取作業を行っても、空気溜S2へ収納された空気は、下開放部O2、空気通路W2、上開放部O1を経て、血液溜S1に再び空気が入り込むことはなく、したがって真空採血管へ空気が混入することもない。
【0018】
採血初流除去バッグBは、前記説明、図1に例示した形態のみに限定されない。要するに、空気通路W2の幅、第1仕切部P1の上開放部O1(非溶着部分)、第2仕切部P2の下開放部O2(非溶着部分)及び第3仕切部P3の下開放部O2´(非溶着部分)の大きさ(長さ、広さ)等は、初流血液を空のバッグ本体21の血液溜S1に貯留する時、血液溜S1内の空気が、上開放部O1、空気通路W2、下開放部O2を経て、空気溜S2へ収納され、血液を取り出す時も含めて、空気溜S2に収納された空気が、下開放部O2、空気通路W2、上開放部O1を経て血液溜S1内に逆流しない形態であれば何でも良い。
【0019】
図1に例示した採血初流除去バッグB(採血初流除去セット1)のその他の実施例について、以下に詳述する。
図3に例示した採血初流除去バッグBA(採血初流除去セット1A)は、バッグ本体21内部の第1仕切部P1は、バッグ本体21の略横方向または略斜め方向に形成し、第2仕切部P2は、バッグ本体21の略縦方向に形成し、第3仕切部P3は、バッグ本体21の略横方向または略斜め方向から略縦方向に形成している。
第1仕切部P1は、第2仕切部P2の下部から第3仕切部P3の略中間部に亘って連続して形成し、バッグ本体21内部を、血液溜S1と空気溜S2に区画している。
なお第1仕切部P1の下部(終点)は、第3仕切部P3の略中間部から略下部の間であればどの位置に形成しても良い。
第2仕切部(P2)とバッグ本体(21)側部間に、上開放部(O1)、下開放部(O2)及び空気通路(W2)を形成している。
第3仕切部(P3)とバッグ本体(21)側部間に下開放部(O2´)及び血液通路(W1)を形成している。
空気通路(W2)は、上開放部(O1)と下開放部(O2)を経て、血液溜(S1)と前記空気溜(S2)と連通している。
血液通路(W1)は、初流血液の入口(23)と前記下部開放部(O2´)を経て、前記血液溜(S1)と連通している。
初流血液を空のバッグ本体21の血液溜S1に貯留する時、血液溜S1内の空気は、下開放部O2、空気通路W2、上開放部O1を経て、前記空気溜S2へ収納される。
その他の形状・使用方法等は、図1に例示した採血初流除去バッグB(採血初流除去セット1)と実質的に同じであるから詳細な説明は省略する。
【0020】
図4に例示した採血初流除去バッグBB(採血初流除去セット1B)は、第1仕切部P1と第2仕切部P2は、バッグ本体21の略横方向に交互に形成し、第3仕切部P3は、バッグ本体21の略横方向または略斜め方向、略縦方向及び略横方向または略斜め方向に形成している。
バッグ本体21内部を、初流血液の入口23と空気溜S2に区画している。
第1仕切部P1とバッグ本体21の側部の間に、左開放部O3を形成し、第2仕切部P2と第3仕切部P3の間に、右開放部O4を形成し、第3仕切部P3とバッグ本体21の側部の間に下開放部O2´を形成している。
第1仕切部P1と第2仕切部P2との間に、左開放部O3と右開放部O4を経て初流血液の出口24と空気溜S2と連通する空気通路W2を形成している。
第3仕切部P3とバッグ本体21の上部、側部及び下部間に、初流血液の入口23と下開放部O2´を経て、初流血液の出口24と連通する血液通路W1を形成している。
血液通路W1が、実質的に血液溜S1として機能し、初流血液を空のバッグ本体21の血液溜S1に導入する時、血液溜S1内の空気は、下開放部O2´、空気通路W2、左開放部O3、右開放部O4を経て、空気溜S2へ収納される。
初流血液は、入口23から血液通路W1を通って、出口24から速やかに採取されるので、空気が混入する虞がなく、図1に例示した採血初流除去バッグB(採血初流除去セット1)のように、空気通路W2に、狭窄部W2a、逆流防止弁等は不要である。
さらに、採血初流除去バッグBBは、血液溜S1と実質的に同じ機能を有する血液通路W1の容積を、採取すべき血液の規定量と実質的に同じになるように設計・形成することにより、血液通路W1内に血液が満杯になったとき、血液が空気溜S2へとあふれる瞬間に、規定量に達したことを容易に確認できる。
その他の形状・使用方法等は、図1に例示した採血初流除去バッグB(採血初流除去セット1)と実質的に同じであるから詳細な説明は省略する。
【0021】
図5に例示した採血初流除去バッグBC(採血初流除去セット1C)は、バッグ本体21の上部に初流血液の入口23を形成し、当該初流血液の入口23の側部に初流血液の出口24を形成している。
バッグ本体21内部の第1仕切部P1と第2仕切部P2は、バッグ本体21の略横方向に交互に形成し、第3仕切部P3は、バッグ本体21の略横方向または略斜め方向に形成している。
バッグ本体21内部を、初流血液の入口23と空気溜S2に区画し、第1仕切部P1とバッグ本体21の側部の間に、左開放部O3を形成し、第2仕切部P2とバッグ本体21の側部の間に右開放部O4を形成し、第3仕切部P3とバッグ本体21の上側部の間に下開放部O2´を形成している。
第1仕切部P1と第2仕切部P2との間に、左開放部O3と右開放部O4を経て、初流血液の入口23と空気溜S2と連通する血液通路W1を形成している。
第3仕切部P3とバッグ本体21の上部間に、初流血液の入口23と下開放部O2´を経て、初流血液の入口23と連通する血液通路W1´を形成している。
血液通路W1が、実質的に血液溜S1、空気通路W2として機能し、初流血液を空のバッグ本体21の血液溜S1に導入する時、血液溜S1内の空気は、前記下開放部O2´、血液通路W1、左開放部O3、右開放部O4を経て、前記空気溜S2へ収納される。
血液通路W1(血液溜S1)の容量を、初流血液の容量と実質的に同じとなるように形成・設計することにより、初流血液は入口23から血液通路W1を通って、第1仕切部P1の最下部まで収納され、空気溜S2まで到達しない。初流血液は、血液通路W1から、出口24を経て採取される。
採血初流除去バッグBCは、初流血液の入口3と出口24が、接近して配置されているので、空気が混入する虞がなく、図1に例示した採血初流除去バッグB(採血初流除去セット1)のように、血液通路W1に、狭窄部W2a、逆流防止弁等は不要である。
その他の形状・使用方法等は、図1、図4に例示した採血初流除去バッグB、BB(採血初流除去セット1、1B)と実質的に同じであるから詳細な説明は省略する。
【0022】
図6に例示した採血初流除去バッグBA´(採血初流除去セット1A´)は、図3に例示した採血初流除去バッグBA(採血初流除去セット1A)において、第1仕切部P1を、第2仕切部P2の下部から第3仕切部P3の略下部に亘って連続して形成したものである。換言すれば第3仕切部P3の第1仕切部P1との交差点より下部の部分を削除したものである。なお空気通路の狭窄部W2aは図示していないが必要であれば形成しても良い。
その他の形状等は、図3に例示した採血初流除去バッグBA(採血初流除去セット1A)と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
【0023】
[採血初流除去バッグBA´の使用例]
図6の採血初流除去バッグBA´の使用例方法の一例を図7を参照して説明する。
(A)から(B):初流血液を、入口23から血液通路W1、下開放部O2´を経て血液溜S1の中へ導入する。血液溜S1の空気は、下開放部O2、空気通路W2、上開放部O1を経て、空気溜S2の中へ導入される。
(C)から(D):さらに初流血液の導入を継続すると、初流血液は、下開放部O2、空気通路W2、上開放部O1を経て、空気溜S2の中へ一部導入される。
(E)から(F):採血初流除去バッグBA´を反転(倒立)させて、真空採血管ホルダ22の採取針25に真空採血管(図示せず)を装着し、初流血液を採取する。空気溜S2中の初流血液は、次第に(F)のように、上開放部O1、空気通路W2、下開放部O2を経て、血液溜S1に移動し、採取針25を経て真空採血管(図示せず)に採取される。空気溜S2の空気は、空気溜S2内に完全に封止込められ、上開放部O1、空気通路W2、下開放部O2を経て、血液溜S1に移動することはない。
【0024】
図8に例示した採血初流除去バッグBD(採血初流除去セット1D)は、図6に例示した採血初流除去バッグBA´(採血初流除去セット1A´)において、第2仕切部P2の上部に空気、初流血液を空気溜S2内に誘導する誘導部Rを形成している。
さらに詳述すれば、誘導部Rは空気溜S2方向に湾曲(カーブ)して形成されている。
さらに採血初流除去バッグBD(バッグ本体21)の上部壁面WDの下部に、空気、初流血液を空気溜S2内に誘導する誘導壁面WCを形成したものである。さらに詳述すれば、誘導壁面WCは、第3仕切部P3の上部に沿って、下方に傾斜して形成される。傾斜は図8に例示するように、(若干)湾曲(カーブ)させても良いし、ストレートでも良い。
また空気通路の狭窄部W2aは、省略されているが、必要であれば形成しても良い。
その他の形状等は、図6に例示した採血初流除去バッグBA´(採血初流除去セット1A´)と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
【0025】
[採血初流除去バッグBDの使用例]
図8の採血初流除去バッグBDの使用例方法の一例を図9を参照して説明する。
(A)から(B):初流血液を、入口23から血液通路W1、下開放部O2´を経て血液溜S1の中へ導入する。血液溜S1の空気は、下開放部O2、空気通路W2、上開放部O1を経て、空気溜S2の中へ導入される。
(C):さらに初流血液の導入を継続すると、初流血液は、下開放部O2、空気通路W2、誘導部R、上開放部O1、誘導壁面WCを経て、空気溜S2の中へ一部導入される。
(D)から(E):採血初流除去バッグBA´を反転(倒立)させて、真空採血管ホルダ22の採取針25に真空採血管(図示せず)を装着し、初流血液を採取する。当初は(D)のように、初流血液は、空気溜S2に一次的に導入されるが、次第に(F)のように、誘導壁面WC、上開放部O1、誘導部R、空気通路W2、下開放部O2を経て、血液溜S1に移動し、採取針25を経て真空採血管(図示せず)に採取される。空気溜S2の空気は、空気溜S2内に完全に封止込められ、誘導壁面WC、上開放部O1、誘導部R、空気通路W2、下開放部O2を経て、血液溜S1に移動することはない。
採血初流除去バッグBDでは、「誘導部R」を形成することにより、空気溜S2に至までの空気流路W2が長くなり、採血初流除去バッグBA´を反転(倒立)させたときに、空気溜S2に導入された血液を、毛管現象により血液溜S1方向へ吸い上げやすくなる。さらに「誘導壁面WC」を形成することにより、空気が「誘導壁面WC」に沿って、空気溜S2に入りやすくなる。
また上開放部O1も狭くなるので、空気溜S2に空気を閉じ込めやすくなる。
また反転(倒立)させたときに、入口23付近に残る血液が少なく、血液のロスを少なくすることができる。
また空気溜S2の容積を相対的に大きくできるので、血液中への空気の混入をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】採血初流除去セット1(採血初流除去バッグB)の概略図
【図2】血液バッグ2の概略図
【図3】図1のその他の実施例を示す採血初流除去セット1A(採血初流除去バッグBA)の概略図
【図4】図1のその他の実施例を示す採血初流除去セット1B(採血初流除去バッグBB)の概略図
【図5】図1のその他の実施例を示す採血初流除去セット1C(採血初流除去バッグBC)の概略図
【図6】図1のその他の実施例を示す採血初流除去セット1A´(採血初流除去バッグBA´)の概略図
【図7】図6の採血初流除去バッグBA´の使用方法の一例を示す概略図
【図8】図1のその他の実施例を示す採血初流除去セット1D(採血初流除去バッグBD)の概略図
【図9】図8の採血初流除去バッグBDの使用方法の一例を示す概略図
【符号の説明】
【0027】
1、1A、1A´、1B、1C、1D 採血初流除去セット
2 血液バッグ
B、BA、BA´、BB、BC、BD 採血初流除去バッグ
3 血液フィルタ
4 親バッグ
5 第1子バッグ
6 第2子バッグ
7 赤血球保存液入バッグ
8 採血針
10 針カバー
11a、11b、11c クランプ
12 連通ピース
13a、13b 分岐管
21 バッグ本体
22 真空採血管ホルダ
23 (初流血液の)入口
24 (初流血液の)出口
25 (初流血液の)採取針
26 シース
S1 血液溜
S2 空気溜
P1 第1仕切部
P2 第2仕切部
P3 第3仕切部
O1 上開放部
O2、O2´ 下開放部
O3 左開放部
O4 右開放部
R バッグ周辺部
W1 血液通路
W1´ 血液通路
W2 空気通路
W2a (空気通路の)狭窄部
WC (空気の)誘導壁面
R (空気の)誘導部
T1 採血チューブ
T2 初流血液導入チューブ
T3、T4、T5、T6 連結チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供血者より採取する初流血液を貯留するための採血初流除去バッグであって、
バッグ本体(21)に初流血液の入口(23)と初流血液の出口(24)を形成し、
バッグ本体(21)内部に、第1仕切部(P1)と第2仕切部(P2)と第3仕切部(P3)を形成し、
これによりバッグ本体(21)内部を、血液溜(S1)と空気溜(S2)に区画するとともに、血液通路(W1、W1´)と空気通路(W2)を形成し、
初流血液を空のバッグ本体(21)に貯留するとき、初流血液は、入口(23)、血液通路(W1、W1´)を経て、血液溜(S1)に貯留され、当該血液溜(S1)の空気は、空気溜(S2)へ収納されることを特徴とする採血初流除去バッグ(B、BA、BA´、BB、BC、BD)。
【請求項2】
供血者より採取する初流血液を貯留するための採血初流除去バッグであって、
バッグ本体(21)の上部に初流血液の入口(23)を形成し、バッグ本体(21)の下部に初流血液の出口(24)を形成し、
前記バッグ本体(21)内部に、第1仕切部(P1)と第2仕切部(P2)と第3仕切部(P3)を形成し、
前記第1仕切部(P1)は、バッグ本体(21)の略横方向または略斜め方向に形成し、
前記第2仕切部(P2)は、バッグ本体(21)の略縦方向に形成し、
前記第3仕切部(P3)は、バッグ本体(21)の略横方向または略斜め方向から略縦方向に形成し、
前記第1仕切部(P1)は、前記第2仕切部(P2)の下部から前記第3仕切部(P3)の略中間部から略下部のいずれかの間に亘って連続して形成し、
前記バッグ本体(21)内部を、血液溜(S1)と空気溜(S2)に区画し、
前記第2仕切部(P2)と前記バッグ本体(21)側部間に、上開放部(O1)、下開放部(O2)及び空気通路(W2)を形成し、
前記第3仕切部(P3)と前記バッグ本体(21)側部間に下開放部(O2´)及び血液通路(W1)を形成し、
前記空気通路(W2)は、前記上開放部(O1)と下開放部(O2)を経て、前記血液溜(S1)と前記空気溜(S2)と連通し、
前記血液通路(W1)は、前記初流血液の入口(23)と前記下部開放部(O2´)を経て、前記血液溜(S1)と連通していること特徴とする採血初流除去バッグ(BA、BA´、BD)。
【請求項3】
初流血液を空のバッグ本体(21)の血液溜(S1)に貯留する時、血液溜(S1)内の空気は、前記下開放部(O2)、空気通路(W2)、上開放部(O1)を経て、前記空気溜(S2)へ収納されることを特徴とする請求項2に記載の採血初流除去バッグ(BA、BA´)。
【請求項4】
供血者より採取する初流血液を貯留するための採血初流除去バッグであって、
バッグ本体(21)の上部に初流血液の入口(23)を形成し、バッグ本体(21)の下部に初流血液の出口(24)を形成し、
前記バッグ本体(21)内部に、第1仕切部(P1)と第2仕切部(P2)と第3仕切部(P3)を形成し、
前記第1仕切部(P1)は、バッグ本体(21)の略横方向または略斜め方向に形成し、
前記第2仕切部(P2)は、バッグ本体(21)の略縦方向に形成し、
前記第3仕切部(P3)は、バッグ本体(21)の略横方向または略斜め方向から略縦方向に形成し、
前記第1仕切部(P1)は、前記第2仕切部(P2)の下部から前記第3仕切部(P3)の略中間部から略下部のいずれかの間に亘って連続して形成し、
前記バッグ本体(21)内部を、血液溜(S1)と空気溜(S2)に区画し、
前記第2仕切部(P2)と前記バッグ本体(21)側部間に、上開放部(O1)、下開放部(O2)及び空気通路(W2)を形成し、
前記第3仕切部(P3)と前記バッグ本体(21)側部間に下開放部(O2´)及び血液通路(W1)を形成し、
前記空気通路(W2)は、前記上開放部(O1)と下開放部(O2)を経て、前記血液溜(S1)と前記空気溜(S2)と連通し、
前記血液通路(W1)は、記初流血液の入口(23)と前記下部開放部(O2´)を経て、前記血液溜(S1)と連通し、
前記第2仕切部(P2)の上部に空気の誘導部(R)を形成し、バッグ本体(21)の上部壁面(WD)の下部に空気の誘導壁面(WC)を形成した、ことを特徴とする採血初流除去バッグ(BD)。
【請求項5】
初流血液を空のバッグ本体(21)の血液溜(S1)に貯留する時、血液溜(S1)内の空気は、前記下開放部(O2)、空気通路(W2)、誘導部(R)、上開放部(O1)、誘導壁面(WC)を経て、前記空気溜(S2)へ収納されることを特徴とする請求項4に記載の採血初流除去バッグ(BD)。
【請求項6】
供血者より採取する初流血液を貯留するための採血初流除去バッグであって、
バッグ本体(21)の上部に初流血液の入口(23)を形成し、バッグ本体(21)の下部に初流血液の出口(24)を形成し、
前記バッグ本体(21)内部に、第1仕切部(P1)と第2仕切部(P2)と第3仕切部(P3)を形成し、
前記第1仕切部(P1)と前記第2仕切部(P2)は、バッグ本体(21)の略縦方向に形成し、
前記第3仕切部(P3)は、バッグ本体(21)の略横方向または略斜め方向に形成し、
前記バッグ本体(21)内部を、血液溜(S1)と空気溜(S2)に区画し、
前記第1仕切部(P1)と前記第2仕切部(P2)の間に、上開放部(O1)と下開放部(O2)と空気通路(W2)を形成し、
前記第3仕切部(P3)と前記バッグ本体(21)の上側周辺部(R)の間に、下開放部(O2´)と血液通路(W2)を形成し、
前記空気通路(W2)は、前記上開放部(O1)と下開放部(O2)を経て、前記血液溜(S1)と前記空気溜(S2)と連通し、
前記血液通路(W1)は、前記初流血液の入口(23)と前記下開放部(O2´)を経て、前記血液溜(S1)と連通していることを特徴とする採血初流除去バッグ(B)。
【請求項7】
初流血液を空のバッグ本体(21)の血液溜(S1)に貯留する時、血液溜(S1)内の空気は、前記上開放部(O1)、空気通路(W2)、下開放部(O2)を経て、前記空気溜(S2)へ収納されることを特徴とする請求項6に記載の採血初流除去バッグ(B)。
【請求項8】
前記空気通路(W2)の途中に、狭窄部(W2a)を形成するかまたは逆流防止弁を配置することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1の請求項に記載の採血初流除去バッグ(B、BA、BA´、BD)。
【請求項9】
供血者より採取する初流血液を貯留するための採血初流除去バッグであって、
バッグ本体(21)の上部に初流血液の入口(23)を形成し、バッグ本体(21)の下部に初流血液の出口(24)を形成し、
前記バッグ本体(21)内部に、第1仕切部(P1)と第2仕切部(P2)と第3仕切部(P3)を形成し、
前記第1仕切部(P1)と前記第2仕切部(P2)は、バッグ本体(21)の略横方向に交互に形成し、
前記第3仕切部(P3)は、バッグ本体(21)の略横方向または略斜め方向、略縦方向及び略横方向または略斜め方向に形成し、
前記バッグ本体(21)内部を、初流血液の入口(23)と空気溜(S2)に区画し、
前記第1仕切部(P1)と前記バッグ本体(21)の側部の間に、左開放部(O3)を形成し、前記第2仕切部(P2)と前記第3仕切部(P3)の間に、右開放部(O4)を形成し、
前記第3仕切部(P3)と前記バッグ本体(21)の側部の間に下開放部(O2´)を形成し、
前記第1仕切部(P1)と前記第2仕切部(P2)との間に、前記左開放部(O3)と右開放部(O4)を経て、前記初流血液の出口(24)と前記空気溜(S2)と連通する空気通路(W2)を形成し、
前記第3仕切部(P3)とバッグ本体(21)の上部、側部及び下部間に、前記初流血液の入口(23)と前記下開放部(O2´)を経て、前記初流血液の出口(24)と連通する血液通路(W1)を形成したことを特徴とする採血初流除去バッグ(BB)。
【請求項10】
前記血液通路(W1)が、実質的に血液溜(S1)として機能し、初流血液を空のバッグ本体(21)の血液溜(S1)に導入する時、血液溜(S1)内の空気は、前記下開放部(O2´)、空気通路(W2)、左開放部(O3)、右開放部(O4)を経て、前記空気溜(S2)へ収納されることを特徴とする請求項9に記載の採血初流除去バッグ(BB)。
【請求項11】
供血者より採取する初流血液を貯留するための採血初流除去バッグであって、
バッグ本体(21)の上部に初流血液の入口(23)を形成し、当該初流血液の入口(23)の側部に初流血液の出口(24)を形成し、
前記バッグ本体(21)内部に、第1仕切部(P1)と第2仕切部(P2)と第3仕切部(P3)を形成し、
前記第1仕切部(P1)と前記第2仕切部(P2)は、バッグ本体(21)の略横方向に交互に形成し、
前記第3仕切部(P3)は、バッグ本体(21)の略横方向または略斜め方向に形成し、
前記バッグ本体(21)内部を、前記初流血液の入口(23)と空気溜(S2)に区画し、
前記第1仕切部(P1)と前記バッグ本体(21)の側部の間に、左開放部(O3)を形成し、前記第2仕切部(P2)と前記バッグ本体(21)の側部の間に右開放部(O4)を形成し、前記第3仕切部(P3)と前記バッグ本体(21)の上側部の間に下開放部(O2´)を形成し、
前記第1仕切部(P1)と前記第2仕切部(P2)との間に、前記左開放部(O3)と右開放部(O4)を経て、前記初流血液の入口(23)と前記空気溜(S2)と連通する血液通路(W1)を形成し、
前記第3仕切部(P3)とバッグ本体(21)の上部間に、前記初流血液の入口(23)と前記下開放部(O2´)と連通する血液通路(W1´)を形成したことを特徴とする初流血除去バッグ(BC)。
【請求項12】
前記血液通路(W1)が、実質的に血液溜(S1)として機能し、初流血液を空のバッグ本体(21)の血液溜(S1)に導入する時、血液溜(S1)内の空気は、前記下開放部(O2´)、血液通路(W1)、左開放部(O3)、右開放部(O4)を経て、前記空気溜(S2)へ収納されることを特徴とする請求項11に記載の採血初流除去バッグ(BC)。
【請求項13】
前記血液溜(S1)または当該血液溜(S1)と実質的に同じ機能を有する血液通路(W1)の容積を、採取すべき血液の規定量と実質的に同じになるように形成したことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1の請求項に記載の採血初流除去バッグ(B、BA、BA´、BB、BC、BD)。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1の請求項に記載の採血初流除去バッグ(B、BA、BA´、BB、BC、BD)の初流血液の出口(24)に、外部容器への血液採取手段を形成したことを特徴とする採血初流除去セット(1、1A、1A´、1B、1C、1D)。
【請求項15】
血液を採取する親バッグ(4)と複数の子バッグ(5、6)からなる血液バッグ(2)において、
上流に採血針(8)を接続した採血チューブ(T1)の途中に配置された分岐管(13a)に、初流血液導入チューブ(T2)を接続し、当該初流血液導入チューブ(T2)の下流に請求項1から14のいずれか1の請求項に記載の採血初流除去セット(1、1A、1A´、1B、1C、1D)を接続したことを特徴とする血液バッグ(2)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−131962(P2008−131962A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316905(P2006−316905)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 研究集会名 第30回日本血液事業学会総会 主催者名 日本赤十字社(北海道赤十字血液センター) 開催日 平成18年10月6日
【出願人】(000200035)川澄化学工業株式会社 (103)
【Fターム(参考)】