説明

採鉱車両およびそのエネルギー供給方法

本発明は採鉱車両およびそのエネルギー供給方法に関する。採鉱車両は、キャリッジ(3)と、キャリッジ(3)を移動させる駆動装置(4)と、少なくとも1つの採鉱作業装置(2)とを有する。採鉱車両(1)はさらに、採鉱車両(1)の主機能を作動させる少なくとも1つの電動機(28a)と、採鉱車両の補助機能を作動させる少なくとも1つの電動機(28b、28c、28d)とを有する。採鉱車両(1)はさらに、発電補助装置(26)を有する。必要な場合、発電補助装置(26)は、補助機能を作動させる電動機(28b、28c、28d)に必要な電力の少なくとも一部を供給する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は採鉱車両で関するものであり、これは、キャリッジと、キャリッジを移動させる駆動装置と、削岩機、ボルト打設装置、ショットクリート装置、スケーリング装置、注入装置、爆破孔装薬器、ローディング装置、測定装置のうちの少なくとも1つとしての採鉱作業装置と、採鉱車両の主機能を作動させる少なくとも1つの電動機と、採鉱車両の補助機能を作動させる少なくとも1つの電動機とを有する。
【0002】
本発明はさらに、採鉱車両のエネルギー供給方法に関するものであり、採鉱車両は、キャリッジと、キャリッジを移動させる駆動装置と、削岩機、ボルト打設装置、ショットクリート装置、スケーリング装置、注入装置、爆破孔装薬器、ローディング装置、測定装置のうちの少なくとも1つとしての採鉱作業装置と、採鉱車両の主機能を作動させる少なくとも1つの電動機と、採鉱車両の補助機能を作動させる少なくとも1つの電動機とを有する。
【0003】
鉱山では、削岩リグおよび他の採鉱車両を用い、事前に計画された作業現場で採鉱作業の作業サイクルに従って作業を遂行する。作業サイクルに従った掘削孔掘削などの必要な仕事を遂行した後、採鉱車両は次の作業現場へ移動し、新しい作業サイクルを開始する。地下鉱山ではとくに、採鉱車両が広く用いられるが、この場合、作業サイクルに従った作業についての移動用エネルギーは、鉱山の電源網からの電気である。それに対して、作業現場間の移動運転は、燃焼機関、代表的にはディーゼルエンジンを用いて得られる移動用エネルギーによって行なわれ、そのため電線等で移動運転を制約されることはない。しかし、燃焼機関からの排気ガスおよび騒音は鉱山で問題を生じる。さらに、燃焼機関は車両のキャリッジ上に多くのスペースを必要とし、また定期保守を必要とする。燃焼機関は表面が熱くなり、さらに車両および鉱山内で引火性燃料を貯蔵し取り扱う必要もあるので、鉱山の火災安全上も悪影響がある。
【0004】
鉱山の電源網に固定接続された採鉱車両も鉱山で使用される。そこで、これらの採鉱車両は電動機を有するが、代表的には定速度回転の電動機が用いられる。したがって、作業段階に必要な動力は液圧式構成部品によって調節することができ、電動機は、作業段階のエネルギー消費量で決まる電流および負荷電力を鉱山の電源網から得る。また、採鉱車両の動きは通常、電源網によって、または少なくともこれに接続されて採鉱車両内もしくは固定電源網で巻回されたケーブルによって拘束される。
【0005】
例えば、米国公報第7,053,568号には電池駆動式採鉱車両が開示されている。この公報にはとくに、1組の電池および伝動構成部品としての交流電動機の使用と配置が記載されている。電池に完全に依存するこのような採鉱車両の問題点は、電池搭載に起因する重量の増加である。また、電池の容量がかなり限定的であり、採鉱車両の電池は比較的頻繁に充電する必要がある。
【0006】
米国公報第5,293,947号は架線ブスバー系から給電を受ける採鉱車両を開示している。この採鉱車両もまた、採鉱車両が使用するエネルギーを採鉱車両における電源網から取るか、あるいは電池もしくはディーゼルエンジンなどの補助エネルギー源から取るかを選択するスイッチを有する。エネルギーを補助エネルギー源から取る場合、採鉱車両は電源網架線に接続しないで短距離移動させることができる。
【発明の簡単な説明】
【0007】
本発明は、新方式の採鉱車両およびそのエネルギー供給方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の採鉱車両は、少なくとも1つの発電補助装置と制御装置とを含み、制御装置は、必要の際、補助機能を用いる電動機に必要な電力の少なくとも一部を供給するように発電補助装置を接続するように配設されていることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明の方法は、採鉱車両が少なくとも1つの発電補助装置を有し、これは、必要の際、補助機能を用いる電動機に必要な電力の少なくとも一部を供給するように接続されることを特徴とする。
【0010】
採鉱車両はそのエネルギー供給を鉱山の電源網から得る。採鉱車両は、キャリッジと、キャリッジを移動させる駆動装置と、少なくとも1つの採鉱作業装置を有する。採鉱車両はさらに、採鉱作業装置および/または駆動装置および/または採鉱車両の何らかのその他の装置を作動させる1台以上の電動機を有する。容量性アイドル電力を発電する少なくとも1つの装置を電動機の電源に並列に接続することができる。そこで、交流電動機で発電される誘導性アイドル電力を必要に応じて補償することができる。これは、給電網の送電能力の何らかの不足分を補うことができ、できる限り高い平均穿孔出力が得られることを意味する。採鉱車両は、主機能を作動させる少なくとも1台の電動機と、補助機能を作動させる少なくとも1台の電動機とを有する。採鉱車両はさらに、発電補助装置を有する。主機能を作動させる電動機の少なくともピーク負荷中に発電するこの補助装置は、補助機能を作動させる電動機に必要な電力の少なくとも一部を発電する。
【0011】
本方式は、例えば電動機に起因する何らかの負荷の変動が電源網にあっても、これを安定化させることができる。このようにして、ピーク負荷状態において、電源網から取り込む電流を従前より低く保つことができ、これによって採鉱車両の有効負荷が減少する。したがって、採鉱車両の給電ケーブルのサイズを採鉱車両のピーク電力によって決める必要がない。本システムは、例えば最大でも一定の設定された電力を電源網から取り込むように制御することができ、この限界値を超えると、必要な有効電力のピークを発電補助装置から給電する。さらに、必要の際、利用可能な全有効電力を発電補助装置から取り込み、その代わりに電源網から取り込む電力を調節することができ、または電源網が何らかの理由で利用不能な場合、必要な電力を発電補助装置から取ることができる。
【0012】
採鉱車両は、採鉱作業装置として、削岩機、ボルト打設機、ショットクリート装置、スケーリング装置、注入装置、爆破孔装薬器、ローディング装置、測定装置、または少量装薬掘削で用いられる穿孔、封止および推進剤投与装置のうちの1つ以上を含む。削岩機は、切羽穿孔装置、または作業孔穿孔用の装置、すなわち掘削孔を扇形に穿孔する長孔穿孔装置であってよい。採鉱作業装置は、未剥離岩盤の取扱いに用いるアクチュエータであり、与えられた作業サイクルに従って一連の複数の作業を行なう。典型的には、複数の類似の作業を1つの作業現場で採鉱作業装置によって行なう。これらの作業は、穿孔計画、装薬計画もしくは同様の採鉱計画などの掘削計画において設定してもよい。採鉱作業装置は通常、作業中に掘削作業装置を動かすブームに配設される。他方、採鉱作業装置は、その作業サイクル中、採鉱作業装置を支持する採鉱車両内の対応する支持体もしくは支持構体に配設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
次に、添付図面を参照して本発明のいくつかの実施例をさらに詳細に説明する。
【図1】採鉱車両、この場合は削岩リグの模式的側面図である。
【図2】採鉱車両のエネルギー供給装置の線図である。
【図3】採鉱車両の第2のエネルギー供給装置の線図である。
【図4】採鉱車両の第3のエネルギー供給装置の線図である。
【0014】
各図において、明瞭にするため本発明のいくつかの実施例を簡略化して示す。各図において同様の部分は同じ参照番号で示す。
【発明の詳細な説明】
【0015】
図1は1台以上の採鉱作業装置2を装備した採鉱車両1の一例である削岩リグを示す。削岩リグは駆動装置4により移動可能なキャリッジ3を有する。駆動装置4は、1台以上の駆動用電動機5および1つ以上の伝動手段6を有し、駆動力を1つ以上の車輪7へ伝達する。駆動力伝動装置は、機械歯車系および機械伝動部材で構成してもよく、または、駆動力伝動装置は液圧式もしくは電気式でもよい。キャリッジ3上には1本以上のブーム8を配設してよく、ブームは採鉱作業装置2を装備してもよい。図1に示す実施例では、第1のブーム8aが穿孔用ブームであり、その最外端部には送りビーム10を有する削岩装置9があり、これに沿って削岩機11を送り装置12により動かすことができる。削岩機11は、工具14に衝撃パルスを生成するパーカッション装置13と、工具14をその長手方向軸を中心に回転させる回転装置15とを有してよい。削岩リグには、これらの穿孔用ブーム8aの何本かがあってもよい。一例として、ボルト打設装置16を有する第2のブーム8bを示し、これは、事前穿孔された掘削孔内にロックボルトを配設して掘削済の岩洞を支持できるものである。図1の実施例では、第3のブーム8cに測定装置17が装備され、穿孔した掘削孔を測定する。他の採鉱作業装置2は、封止材を岩盤へ送り込むのに用いる注入装置、ショットクリート加工装置、スケーリング装置、少量装薬掘削用の装置、および爆薬を装填する装置を含む。
【0016】
採鉱車両1は、鉱山18の掘削計画、もしくは事前に起案された同様の計画に従って作業現場19へ走行し、そこで採鉱作業装置2は作業サイクルに従って作業を遂行するが、その遂行には比較的長い時間を要する。例えば、削岩機の作業サイクルは、穿孔計画に規定された作業現場19での複数の掘削孔の穿孔作業を含むことがある。さらに、それぞれの掘削孔の穿孔は典型的には、カラーリング、本穿孔、延長ロッドおよびドリルビットの交換、ならびに穿孔後の延長ロッド装置の取外しなど、複数の作業段階から成る。作業現場19での穿孔作業サイクルの遂行には数時間かかり、場合によってはある作業シフト全体にわたることさえある。同様に、装薬、ボルト打設、測定および注入は、時間のかかる作業になることが多い。総じて、採鉱作業装置2を使用すれば、掘削孔の穿孔もしくは仕上げた孔の更なる加工をしなければならない。これはつまり、未剥離岩盤の取扱いを意味する。
【0017】
図1はさらに、鉱山18が電源網20を有することを示し、これは、固定配設され、または変更可能な回路で構成されることもある。電源網20は典型的には三相交流回路網である。採鉱車両1が作業現場19にある場合、その採鉱作業装置2、液圧系および必要な補助システムは、主として外部電源網から得られる電気エネルギーによって駆動される。採鉱車両1は、1本以上の接続ケーブル21で電源網20に接続してもよい。接続ケーブル21はリール22に配設されることがあり、電源網20の給電端子に接続可能な適切なコネクタ23を装備していることがある。または、リール22およびケーブル21を鉱山18内に配設してもよく、接続ケーブル21は採鉱車両1に接続される。採鉱車両1には接続装置25が装備され、これを通して、電源網20から送られる電気が採鉱車両1のさまざまな装置に接続される。接続装置25の構成および作動は図2ないし図4に関連してさらに詳細に説明する。
【0018】
採鉱車両1には少なくとも1つの発電補助装置26も装備されている。発電補助装置26は、容量性アイドル電力を発生する補償コンデンサ、または電池もしくはスーパーコンデンサ、もしくは容量性アイドル電力を発生する同様の要素でもよい。スーパーコンデンサは代表的にはコンデンサバッテリであり、複数の高容量低電圧コンデンサが直列に接続されている。スーパーコンデンサに関連して、代表的にはコンデンサモニタシステムがあるが、これは複数のコンデンサの温度および電圧の均一性をモニタする。
【0019】
図2に示す接続装置25において、作動制御部材はスイッチ27であり、これによって発電補助装置26が交流電動機28に並列に接続される。交流電動機28は好ましくは三相電動機である。交流電動機28は、例えば採鉱作業装置2を作動させることができる。代表的には、採鉱作業装置は複数の交流電動機を有し、この場合、例えば1台の交流電動機が駆動装置4を動かし、別の交流電動機28が補助駆動装置を作動させてもよく、例えば本装置内部のシステムの送水ポンプ系、圧搾空気コンプレッサ系、補助液圧系もしくは冷却系を交流電動機に接続してもよい。
【0020】
スイッチ27は交流電動機28の入力にLCLフィルタ29を介して接続されている。したがって、LCLフィルタ29は発電補助装置26と交流電動機の入力との間に接続されている。LCLフィルタ29は、図2に示すようにフィルタコイルLf1、Lf2とフィルタコンデンサCfとを有する。LCLフィルタはさらに制動抵抗Rdampを有する。
【0021】
LCLフィルタ29のインダクタンスに充電されたエネルギーは、例えば発電補助装置26のコンデンサもしくは1組の電池を充電するのに使用することができる。他方、LCLフィルタ29は電源網に現れる高周波を減衰させる。すなわち、スイッチ27により生じる電流および電圧の歪みを濾波する。
【0022】
交流電動機28の給電点における電流を電流計30で、また電圧を電圧計31で測定する。測定結果は制御装置32へ送信される。交流電動機28から取り込む電力は測定量から決まり、この測定値に基づいてスイッチ27を制御装置32により制御する。発電補助装置26だけがアイドル電力を補償する場合、スイッチ27は比較的単純でよくき、また発電補助装置26のエネルギー量も比較的小さくてよい。発電補助装置26は、例えばコンデンサでよい。スイッチ27は、例えばサイリスタスイッチでよい。発電補助装置26が有効電力を発電できる場合、すなわち発電補助装置が1組の電池もしくはスーパーコンデンサ、またはこれらの組合せである場合、スイッチ27は例えばインバータである。そこで、制御装置27はスイッチ27を制御して、必要に応じてアイドル電力を装置26から供給する。必要な場合、この1組の電池から有効電力を直接、給電AC電源網へ供給することができる。
【0023】
例えばスイッチ27がインバータである場合、DC/DCコンバータをスーパーコンデンサもしくは1組の電池とスイッチ27との間に配設してもよい。スーパーコンデンサもしくは1組の電池の典型的にはやや低い電圧は高いレベルまで増圧することができ、したがってインバータでは困難であった高電圧の増圧をインバータで行なう必要はない。
【0024】
鉱山の電源網20は採鉱車両の主要エネルギー源である。採鉱車両に高出力が必要な場合、採鉱車両には、鉱山の電源網20に加えて発電補助装置26からエネルギーを供給する。例えば、全出力で穿孔中は、上記装置26から追加エネルギーを得てもよい。制御装置32において一定の限界値を設定し、その後、追加の有効電力を取り込むことができる。したがって、発電補助装置26を使用すれば、電源網20から取り込んだ電力を一定のレベルに制限することができる。有効電力および/またはアイドル電力を取り込んで、各貨物車両もしくは輸送車両における最大エネルギー消費量のピークを平準化するのに使用ことができる。すなわち、これら車両が、例えば重い荷を積んで勾配を登る場合である。
【0025】
発電補助装置26と電源網20を併用する一概念は、電源網20の電圧が過負荷によっても確実に、電源網電圧の設定限界値、例えば公称電圧より5%を下回ることのないようにすることである。このようにして、電源網20における電圧変動を避けることができる。
【0026】
図2は変圧器33も示す。変圧器33を使用して、電源網20の電圧レベルを変換して採鉱車両の電気系統に適合させることができる。電源網20の電圧レベルが採鉱車両の電気系統にすでに適している場合、変圧器33は当然、必要ない。
【0027】
LCLフィルタ29において、コイルLf1は変圧器と入れ替えてもよい。この変圧器によって、電源網の電圧レベルとアイドル電力の補償装置を互いに適合させることができる。したがって変圧器の大きさは、例えば1組の電池の補償電力もしくは充電電力に従って決めてよい。
【0028】
本装置を使用すれば、電源網20が利用不能な場合でも、発電補助装置26から得られるエネルギーを使って穿孔作業もしくは他の作業を短時間に行なうことができる。さらに、電源網ケーブルが接続されている場合、電源網20を用いて採鉱車両を走行させることができ、また電源網を使用しない場合、発電補助装置26を用いて車両を走行させることができる。電源網が接続ケーブル21およびリール22ではなく、例えば採鉱車両1が集電器を通して接続される電源網をブスバー系の場合も、採鉱車両1は電源網20に接続することができる。
【0029】
本システムは、例えば最大でも一定の設定された最大電力を電源網20から取り込mむように制御することができ、この限界値を超えると、必要な電力の残りの部分は発電補助装置26から取り込む。したがってこの場合、通常は装置26から取り込む電力を調整する。さらに、使用可能な全電力を発電補助装置26から取り込むことができ、その代わりに電源網20から取り込む電力を調整することができ、または電源網20が何らかの理由で利用不能な場合は、必要な全電力を発電補助装置26から取ることができる。
【0030】
図3の方式において、電気は電源網20からDC中間回路34を通して交流電動機28へ供給される。発電補助装置26もDC中間回路34に接続されている。
【0031】
電源網20からの電気出力は整流器35に接続されている。整流器35は固定型またはパルス比制御型でよい。整流器35の直流側はDC中間回路34に、すなわち直流電圧中間回路に接続されている。DC中間回路34にはインバータ36aないし36cが接続され、直流を交流に変換し、交流電力を交流電動機28aないし28cへ供給する。
【0032】
複数のインバータ36aないし36cを同一のDC中間回路34に接続して使用する場合、インバータ36aないし36cに接続された電動機28aないし28cの供給電圧を任意に変えてよい。その際、インバータに接続された各電動機の回転速度も任意に調節することができる。そこで、1台、2台もしくはそれ以上のインバータ36aないし36cがあってよく、これは、1台、2台もしくはそれ以上の電動機があることを意味する。制御装置32は、必要ならば接続装置に、もしくはその外部に配設してもよい。
【0033】
図3の実施例では、交流電動機28aは採鉱作業装置2を駆動するよう配設されている。そこで交流電動機28bは、駆動装置4を作動させるように配設されている。交流電動機28cは、例えば送水ポンプ系、圧搾空気コンプレッサ系、補助液圧系を作動させることができる。各システムごとに、必要ならば自己の交流電動機を割り当てることもできる。
【0034】
そこで、発電補助装置26もDC中間回路34に接続されている。発電補助装置26はまた、DC中間回路34に直接接続することもできるが、好ましくは発電補助装置26は、少なくとも1つのDC/DCコンバータ37でDC中間回路34に接続する。DC/DCコンバータは発電補助装置26の電圧をDC中間回路34に適合するように変換する。さらにDC/DCコンバータ37は、発電補助装置26の充放電を行ない、作動制御要素として働く。DC/DCコンバータ37によって、さまざまな発電補助装置26を接続装置の中間回路34に適合させることができる。したがって、発電補助装置26の変更が容易であり、または複数の発電補助装置を並列に配することができ、これらは、DC/DCコンバータ37によればDC中間回路34に確実に適合する。複数のDC/DCコンバータ37を配してもよく、1つのDC/DCコンバータが故障した場合、他のDC/DCコンバータを利用して接続装置を駆動することができる。図3の実施例は、並列に接続された2台のDC/DCコンバータと、並列に接続された2つの発電補助装置26を示す。発電補助装置26の一方が故障した場合、これを運用から外すことができ、別の発電補助装置を利用して低い電力レベルで稼動を継続することができる。これによって採鉱車両の信頼性が増し、故障の際、他の採鉱通行に危険を与えることなく、採鉱車両を移動させて通路から外すことができる。この後、安全な場所で保守を行なうことができる。当然、3台以上のDC/DCコンバータおよび/または発電補助装置を並列に接続することができる。
【0035】
図4の実施例では、交流電動機28aは採鉱作業装置の主機能を作動させる。削岩リグでは、この主機能とはその削岩機械でよい。さらに、同一の交流電動機28aで駆動装置を作動させるように配設してよい。また、2以上の主機能およびこれらを作動させる2台以上の交流電動機28aがあってもよい。
【0036】
交流電動機28bないし28dは採鉱車両の補助機能を作動させる。例えば、交流電動機28bは送水ポンプ系38を作動させ、また交流電動機28cは圧搾空気コンプレッサ系39を作動させ、同様に交流電動機28dは補助液圧システム40を作動させることができる。
【0037】
制御装置32は整流器、DC/DCコンバータおよびスイッチを制御する。制御装置32には、例えば負荷状態に関する測定情報が送信される。明瞭にするため、図4は制御装置32のスイッチK1ないしK9への接続線、または測定情報の制御装置32への送信線は示していない。
【0038】
通常の使用状態では、スイッチK1、K3、K4、K5およびK6は閉状態に制御される。KスイッチK2、K7、K8およびK9は開状態に制御される。すべての交流電動機28aないし28dには、ピーク負荷期間中を除いて、電源網20から給電することができる。主機能を作動させる交流電動機28aが高負荷のときは、補助装置26から有効電力がDC中間回路34へ供給される。このような場合、補助装置26は、補助機能を作動させる交流電動機28bないし28dに必要な電力の少なくとも一部を発電し、したがって電源網20は過剰な負荷を受けない。
【0039】
整流器35は作業サイクル中に補助装置26を充電することができる。作業サイクル中の充電は、採鉱作業装置2が全出力稼動を必要としない場合に、すなわち全出力穿孔の合間、例えば掘削孔やドリルロッド、穿孔現場を変えるときに行なわれる。
【0040】
補助装置20はアイドル電力の補償にも使用できる。他方、アイドル電力は整流器35により補償することもでき、そこで整流器にはアイドル電力の補償技術が装備されている。
【0041】
何らかの理由で電源網20が利用不能な場合、交流電動機28aは補助装置26によって給電することもできる。その時は、スイッチK1およびK2を開状態に、またスイッチK2は閉状態に制御する。さらに、整流器35はその時、当業者に明らかなやり方でインバータとして働く。
【0042】
図4の実施例では、交流電動機28bないし28dへ電源網20から給電する場合、それらの給電路にあるDC中間回路34を迂回することができる。その時、スイッチK4、K5およびK6は開に制御され、同様にスイッチK7、K8およびK9は閉に制御される。
【0043】
DC中間回路34には2つ以上の補助装置26を並列に接続することができる。さらに、DC中間回路34には2つ以上の補助装置26を直接、すなわちDC/DCコンバータ37なしに接続することができる。
【0044】
したがって、通常の状態では、主機能もしくは主機能を作動させる交流モー28aは、電源網20から直接、すなわちDC中間回路34を通さず給電される。故に、DC中間回路34の大きさは、補助機能を作動させる交流電動機28bないし28dと補助装置26の充電だけを考慮して決めることができる。したがってDC中間回路34の大きさは、採鉱車両の総出力に基づいて決める必要がない。
【0045】
添付図面では、電動機が交流電動機として示されているが、これに代わって直流電動機を使用することもできる。その場合、当業者に明らかなように、これらに給電するインバータは当然、必要なく、例えば電源網20が直流電源網であれば、直流電動機と電源網20の間に整流器が不要である。
【0046】
制御装置はソフトウエア製品を含んでもよく、これは、制御装置32で実行されると、本明細書に記載の動作の少なくとも一部を提供するように構成されている。ソフトウエア製品は、メモリスティック、メモリディスク、ハードディスク、情報ネットワークサーバ等などの記憶装置もしくは記憶媒体から制御装置にインストールしてもよく、制御装置コンピュータのプロセッサ等でソフトウエア製品を実行すれば、本明細書に記載の採鉱車両のエネルギー供給動作が行なわれる。
【0047】
本明細書に記載の方式はトンネルの掘削時にも使用することができる。トンネルは掘削円として掘削される。作業現場はトンネルの切羽であり、ここで掘削孔を穿孔し、装薬する。掘削円を掘削する前に削岩リグは、切羽から離れた安全地帯へ移動させる。発破後、爆破された岩石を除去した後、削岩リグは安全地帯からトンネルの切羽へ戻し、別の掘削円を掘削する。トンネルを掘削円として掘削することは、新たな掘削現場すなわち新たな作業現場が以前の掘削現場すなわち以前の作業現場からその掘削円の長さに相当する距離にあることを意味する。そこで移動運転は、以前の作業現場から安全地帯を径由して次の作業現場まで行なわれる。
【0048】
言及すべきは、本明細書において鉱山とは、地下鉱山および露天掘り鉱山を言うことである。さらに、本方法および本採鉱車両は、さまざまな岩石施設を掘削する場合などの請負作業現場で使用することができる。したがって、請負作業現場も鉱山の一種と考えてよい。請負作業現場では、移動可能キャリッジ上の集電装置など、外部電源網が変更可能であってよい。
【0049】
場合によっては、本明細書に記載の構成要件を他の構成要件と無関係に使用してもよい。他方、本明細書に記載の各構成要件を、必要に応じて組み合わせてさまざまな組合せを作ってもよい。そこで、例えば図4に示す装置の特徴および構成要件ならびに特性は、同じ参照番号を用いて図2および図3に記載のものと類似であってもよい。
【0050】
図面およびその関連説明は本発明の概念の図説のみを企図している。本発明はその細部を請求項の範囲内で変更することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリッジ(3)と、
該キャリッジ(3)を移動させる駆動装置(4)と、
削岩機、ボルト打設装置、ショットクリート装置、スケーリング装置、注入装置、爆破孔装薬器、ローディング装置、測定装置のうちの少なくとも1つとしての採鉱作業装置(2)と、
採鉱車両(1)の主機能を作動させる少なくとも1つの電動機(28a)と、
該採鉱車両(1)の補助機能を作動させる少なくとも1つの電動機(28b、28c、28d)とを含む採鉱車両において、
該採鉱車両(1)は、少なくとも1つの発電補助装置(26)と制御装置(32)とを含み、該制御装置は必要に応じて、前記発電補助装置(26)を接続して、前記補助機能を作動させる前記電動機(28b、28c、28d)に必要な電力の少なくとも一部を供給するように配設されていることを特徴とする採鉱車両。
【請求項2】
請求項1に記載の採鉱車両において、前記発電補助装置(26)は有効電力を発電することを特徴とする採鉱車両。
【請求項3】
請求項1または2に記載の採鉱車両において、前記発電補助装置(26)は、1組の電池、もしくはスーパーコンデンサ、もしくはこれらの組合せであることを特徴とする採鉱車両。
【請求項4】
前記請求項のいずれかに記載の採鉱車両において、少なくとも1つの電動機が交流電動機であることを特徴とする採鉱車両。
【請求項5】
請求項4に記載の採鉱車両において、該採鉱車両はDC中間回路(34)を含み、該中間回路には、鉱山の電源網(20)から電気を整流器(35)によって供給し、該採鉱車両は、該採鉱車両(1)の補助機能を作動させる前記交流電動機(28b、28c、28d)へ前記DC中間回路(34)の電気エネルギーを供給する少なくとも1つのインバータ(36a、36b、36c)を含み、その場合、前記発電補助装置(26)は前記DC中間回路(34)に接続されることを特徴とする採鉱車両。
【請求項6】
請求項5に記載の採鉱車両において、前記整流器(35)はアイドル電力を補償する手段を有することを特徴とする採鉱車両。
【請求項7】
請求項5または6に記載の採鉱車両において、前記整流器(35)は前記発電補助装置(26)を充電するように配設されていることを特徴とする採鉱車両。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれかに記載の採鉱車両において、該採鉱車両は、前記発電補助装置(26)とDC中間回路(34)との間にDC/DCコンバータ(37)を有して前記発電補助装置(26)の電圧レベルを適合させ、該発電補助装置(26)を接続して前記DC中間回路(34)へエネルギーを供給することを特徴とする採鉱車両。
【請求項9】
前記請求項のいずれかに記載の採鉱車両において、該採鉱車両は削岩リグであり、その場合、該採鉱車両(1)の主機能は少なくとも1つの削岩機から成り、該採鉱車両(1)の補助機能は、送水ポンプ系(38)、圧搾空気コンプレッサ系(39)および補助液圧系(40)のうちの1つ以上から成ることを特徴とする採鉱車両。
【請求項10】
キャリッジ(3)と、該キャリッジ(3)を移動させる駆動装置(4)と、削岩機、ボルト打設装置、ショットクリート装置、スケーリング装置、注入装置、爆破孔装薬器、ローディング装置、測定装置のうちの少なくとも1つとしての採鉱作業装置(2)と、採鉱車両(1)の主機能を作動させる少なくとも1つの電動機(28a)と、該採鉱車両(1)の補助機能を作動させる少なくとも1つの電動機(28b、28c、28d)とを含む採鉱車両(1)のエネルギー供給方法において、前記採鉱車両(1)は少なくとも1つの発電補助装置(26)を含み、該発電補助装置は必要に応じて、前記補助機能を作動させる電動機(28b、28c、28d)に必要な電力の少なくとも一部を供給するように接続されることを特徴とする採鉱車両のエネルギー供給方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記発電補助装置(26)から前記補助機能を作動させる電動機(28b、28、c28d)へ有効電力を供給することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の方法において、少なくとも1つの電動機が交流電動機であることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、前記採鉱車両(1)はDC中間回路(341)を含み、該中間回路には、鉱山の前記電源網(20)から電気を整流器(35)によって供給し、前記中間回路から前記採鉱車両(1)の補助機能を作動させる少なくとも1つの交流電動機(28b、28c、28d)へ電気を供給し、その場合、前記発電補助装置(26)は、必要に応じて電気エネルギーを前記DC中間回路(34)へ供給することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記採鉱車両(1)のアイドル電力を前記整流器(351)によって補償することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13または14に記載の方法において、前記整流器(35)によって前記発電補助装置(20)を充電することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13ないし15のいずれかに記載の方法において、DC/DCコンバータ(37)によって前記発電補助装置(26)の電圧レベルを前記DC中間回路(34)および前記発電補助装置(20)に適合させて、エネルギーを前記中間回路(34)へ供給することを特徴とする方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−515889(P2013−515889A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546477(P2012−546477)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【国際出願番号】PCT/FI2010/051088
【国際公開番号】WO2011/080393
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】