説明

接合板の製造方法

【課題】使用する原木として地球環境に易しい端材を使用するにも関わらず、反り、捩れ、曲がり等が発生しにくく、外形寸法が使用する端材の長さに制約されない任意の大きさの意匠的効果の高い接合板を低コストで製造する。
【解決手段】原木1から短冊状端材2を切り出し(S1、S2)、その側面同士を隣接して、各端材の一端部を他端部方向に順次ずらしつつ平面状に並べ、接着する端材接合工程(S3、S4)と、集成板を切断して短冊状原材を切り出す原材切り出し工程(S5)と、該短冊状原材を交互に反転して互いに接着し、表面に柾目又は板目模様が順次交互に斜交する集成板を製造する原材接合工程(S6)と、所望寸法に切り出す切断・加工工程(S8)とからなり、原木1の長さに制約されない任意の大きさ、面積を有する接合板を製造できることに特徴がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に柾目または板目を有する複数の木材片を接合して、実用的で意匠的効果の高い接合板を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば杉、檜、さわら等の木材片の表面に形成された柾目材を隣接する木材片の柾目材と一定角度になるように交互に接ぎ合わせた、いわゆる接合板(接ぎ合わせ板)は、木材自体の有する自然な風合いが日本人に好まれるとともに、その接合板表面に現れる交互に傾斜した柾目模様が木材地の有する赤味地と白味地とも相まって非常に優れた意匠的効果を発揮する。
【0003】
したがって、その用途は、家具、室内装飾材、文庫箱、宝石箱等の箱物、トレイ、ランチョンマット等のテーブルトップ製品物等の多岐に渡っている。
当該接合板の製造方法は、従来より、多くのものが提案されてきている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0004】
しかしながら、最近では、周知のように地球環境に易しい製品を製造することが求められており、接合板は、炭酸ガス吸収を担う森林木を材料とするため、特にその必要性が高い。
【0005】
したがって、あまり立ち木を伐採せずに、実用的で意匠的効果の高い接合板を低コストで製造することが求められている。
【0006】
また、接合板は、複数の木材片を組み合わせて接着材で接合するため、製造後の経年変化により、反り、捩れ、曲がり等が発生し易く、更に大きな外力が掛かると割れ、裂け等が発生し易いという問題点がある。
【0007】
したがって、接合板は、本来の意匠的効果の高い接合板を低コストで製造する必要があることは勿論、製造後においても使用に耐える一定の実用的強度を維持しつつ、経年変化により、反り、捩れ、曲がり、割れ、裂け等が生じない品質のものが求められる。
【0008】
これら強度および品質の観点から、従来の接合板は、その原材として「柾目材」を用いるのが主流であり、柾目材に比べて大量に発生する「板目材」は、所定の強度と上記反り等の品質不安の問題があるために、接合板の原材としては殆ど用いられてこなかった。
【0009】
しかしながら、柾目材を確保するには、その原木として木目が揃った高品質のものが必要であるから新たな森林伐採を必要とするに対し、例えば間伐材、構造材除去後の端材、リサイクル材等から発生する「柾目材」、特に「板目材」を接合板の原木として活用できると、新たな森林伐採を必要とせず、地球資源を温存することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平 7− 32307号公報
【特許文献2】特開平 7−137008号公報
【特許文献3】特開平10−230501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、使用する原木として地球環境に易しい柾目材、特に板目材からなる「端材」を使用するにも関わらず、反り、捩れ、曲がり等が発生しにくく、しかも製造可能な最大外形寸法が、使用する端材の長さに制約されない任意の大きさと、一定の実用的強度を有する意匠的効果の高い接合板を低コストで製造できる接合板の製造方法を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を達成するため、本発明に係る接合板の製造方法は、表面に繊維方向が傾斜した柾目模様を有する短冊状原材の側面同士を互いに接着して成る接合板の製造方法であって、
原木から複数本の短冊状端材を切り出し、その側面同士を隣接させつつ、各端材の一端部を該端材の他端部方向に順次ずらしつつ平面状に並べ、互いに接着することにより、一枚の集成板を製造する端材接合工程と、前記集成板を一定角度、かつ、一定幅で切断して、複数本の短冊状原材を切り出す短冊状原材切り出し工程と、該工程で切り出した複数本の短冊状原材を幅方向に互いに平行に引き揃えつつ平面状に並べ、隣接する短冊状原材を交互に反転して互いに接着することにより、表面に柾目模様が順次交互に斜交する一枚の集成板を製造する短冊状原材接合工程と、該工程で得られた集成板を所望の寸法又は形状に切り出す切断・加工工程とから成り、前記端材接合工程において前記短冊状端材を隣接させて平面状に並べる本数と、前記短冊状原材接合工程において前記短冊状原材を交互に反転させて平面状に並べる本数とを調整することにより、前記原木の長さに制約されない任意寸法又は面積の接合板の製造を可能にしたことを特徴とする(以下、「第一方法発明」という場合がある。)。
【0013】
この場合、前記原木は、間伐材、構造材除去後の端材、リサイクル材(以下、本発明では、これらの原材を総称して「端材」と称する。)であっても良い。
【0014】
また、前記原材切り出し工程において、集成板から短冊状原材を切り出す角度は、用途にも拠るが、該集成板を形成する柾目模様に対して25度〜60°の範囲に設定するのが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る接合板の製造方法は、表面に繊維方向が傾斜した板目模様を有する短冊状原材の側面同士を互いに接着して成る接合板の製造方法であって、原木から複数本の短冊状端材を切り出し、その側面同士を隣接させつつ、各端材の一端部を該端材の他端部方向に順次ずらしつつ平面状に並べ、互いに接着することにより、一枚の集成板を製造する端材接合工程と、前記集成板を一定角度、かつ、一定幅で切断して、複数本の短冊状原材を切り出す短冊状原材切り出し工程と、該工程で切り出した複数本の短冊状原材を幅方向に互いに平行に引き揃えつつ平面状に並べ、隣接する短冊状原材を交互に反転して互いに接着することにより、表面に板目模様が順次交互に斜交する一枚の集成板を製造する短冊状原材接合工程と、該工程で得られた集成板を所望の寸法又は形状に切り出す切断・加工工程とから成り、前記端材接合工程において前記短冊状端材を隣接させて平面状に並べる本数と、前記短冊状原材接合工程において前記短冊状原材を交互に反転させて平面状に並べる本数とを調整することにより、前記原木の長さに制約されない任意寸法又は面積の接合板の製造を可能にしたことを特徴とする(以下、「第二方法発明」という場合がある。)。
【0016】
当該第二方法発明の場合は、原材に柾目材を用いる前述の第一方法発明と異なり、板目材を用いる関係上、乾燥工程においては、前記切断・加工工程後の接合板を常温〜65℃の比較的低温度の領域範囲で、かつ、168時間(7日)以内で乾燥するのが好ましい。65℃を越え、また、急速な乾燥は、接合板の繊維間の破壊、表面の変色を招き、品質及び耐久性の点で問題が生じることになるからである。一方、常温未満の乾燥温度や168時間を超える乾燥時間では生産性に劣り、コスト面で経済的でない。低温乾燥機は、公知のものを用いることができる。
【0017】
なお、原木は、第一方法発明と同様、間伐材、構造材除去後の端材、リサイクル材を用いるのが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
請求項1および請求項4に係る接合板の製造方法によれば、従来の意匠効果の高い接合板が得られる事は勿論の事とし、更に、端材接合工程において短冊状端材を隣接させて平面状に並べる本数と、原材接合工程において短冊状原材を交互に反転させて平面状に並べる本数とを調整することにより、原木の長さに制約されない任意の大きさ、任意面積を有する接合板を製造する事ができる。
【0019】
したがって、使用する原木が柾目又は板目の端材であるにも関わらず、完成品の接合板の外形寸法が端材の長さに制約されない任意寸法又は任意面積を有する意匠効果の高い接合板を低コストで製造できる。
【0020】
請求項2及び請求項6に係る接合板の製造方法によれば、原木に、間伐材、構造材除去後の残存端材、リサイクル材から得られる柾目又は板目材を使用するので、原木確保のために新たな森林資源の伐採を必要としない。
【0021】
したがって、本発明の接合板の製造方法は、地球環境に優しい接合板の製造方法である。
【0022】
請求項3に係る接合板の製造方法によれば、接合用原材の切り出し工程において、接合用原板を端材の長手方向に対して切り出す角度を25度〜60°の範囲にするので、意匠効果が高いうえ、接合部からの割れ、反り、捩れ等の少ない、強度の高い接合板が得られる。
【0023】
請求項5に係る接合板の製造方法によれば、更に、請求項4に係る接合板の製造方法に乾燥工程を設け、前記切断・加工工程後の接合板を常温〜65℃の比較的低温度の領域範囲で、かつ、168時間(7日)以内で乾燥するので、より一層、接合部からの割れ、反り、捩れ等の少ない、強度の高い接合板が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る接合板の製造方法の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
なお、以下の説明においては、図1の全体工程図を中心に、原材として柾目材を用いる第一方法発明の場合を説明することとし、原材として板目材を用いる第二方法発明の場合については、製造方法の基本工程は第一方法発明と同様であるため、異なる工程部分のみその都度、説明することにする。また、「本発明」という用語で、特に断りの無い場合は第一及び第二方法発明の両方の発明を指すものとする。
【0026】
図1は、本発明に係る接合板の製造方法の全体工程図、図2乃至図5は、図1の全体工程中の要部工程を説明する詳細図である。
【0027】
<原木準備工程S1>(図2(a)参照)
まず、第一ステップとして、図2(a)の斜視図に示すように、本第一方法発明の接合板の原材料となる所定長さLの原木1を準備する(S1)。
【0028】
本発明の製造方法で言う「原木」とは、図のような立ち木を伐採したものでも勿論差し支えないが、主として間伐材、構造材除去後の残存端材、リサイクル材(いずれも不図示)等の「端材」を用いる。
【0029】
これらの「端材」は、原木1に比べると、種々の木工製品の製造工程において発生した「二次材」、「三次材」とも言うべきものである。
【0030】
前述したように、本発明で用いる接合板の材料である原材は、端材であるから、その材質、長さはいずれも一定せず、接合板の材料としては使いにくいものであるが、意匠的効果を高めるために原木1から特に柾目材を切り出す。すなわち、図2(a)のように、柾目材の端材2a、2b・・・2eを原木1から切り出すべく、原木1の切断面に罫書き線Mを入れる。一方、第二方法発明の場合は、板目材が取れる位置に罫書き線Iを入れる。
【0031】
端材の原木1の種類としては、特に制限はないが、杉、檜、さわら等の柾目材が多く採れるものが好ましい。
【0032】
上述したとおり、本発明の製造方法においては原木1として、端材を用いるから、その「所定長さL」は、特に制限がなく、短いものでも良いことが発明の特徴であるが、本実施形態では以後の説明の便宜上、図の如く一応「一定長さL」に切断したものを用いることにする。
【0033】
<短冊状端材切出し工程S2>(図2(b)参照)
次に、図2(b)の斜視図に示すように、原木1から、幅W、長さLの短冊状の柾目板である端材2a、2b・・・2eを複数本(図では5本)切り出す(S2)。
それぞれの短冊状端材2a、2b・・・2eの表面には、図2(a)の原木1の罫書き位置に対応する柾目模様3、3・・・3が複数本現れている。
一方、図示は省略したが、板目材の端材を用いる場合は、板目の繊維模様が複数本現れる。
【0034】
<端材接合工程S3>(図3参照)
次に、図2(b)に示した複数本の短冊状端材2a、2b・・・2eをその相互の位置を変更しないで、つまり図2(b)に示した切り出し位置関係を保ったまま、図示しない工作台等の上に平面状に並べる。
【0035】
並べ方は、最上段に位置する短冊状端材2aから次の短冊状端材2bの右端が順次、変位長さeだけ左方向にずれるように並べることで、最下段の端材2eが図の左下に位置するように階段状に並べる(S3)。
【0036】
この場合、左方向へのずらし長さeをどれだけにするかは、完成した接合板10Cの柾目模様3に対する傾斜角度β(図5(b)参照)をほぼ決定付け、これによる接合板10Cの表面意匠が醸し出す意匠的効果に影響するから、予め設計しておいてから並べる。
【0037】
なお、ずらし方向を左方向にするか右方向にするかは、作業者の利き手がどちらにあるかに拠るものであり、左方向のみに限定されない事は言うまでもない。
【0038】
また、最下段の端材2nまで何枚の端材を並べるかは、後述の切断・加工工程(S8)でも言及するが、製造すべき接合板10C(図5(b)参照)の最終寸法のうち横寸法(同図のW2寸法)に影響するので、これも予め設計しておく。
【0039】
<端材接着工程S4>(図4(a)参照)
次に、各端材2a、2b・・・2eのそれぞれの側面に接着剤(不図示)を塗布し、圧締めしつつ接着することで、一枚の集成板10Aを製造する(S4)。
【0040】
接着剤としては、例えば木材用接着材として多用される酢酸ビニール系接着剤のほか、レゾルシノール系、ユリア系等も用いることができる。
【0041】
接着後に圧締めする方法としては、例えば高周波板接ぎを用い、端材2a、2b・・・2eの側面同士が互いに密着した集成板10Aを得る。
【0042】
<短冊状原材切出し工程S5>(図4(b)参照)
次に、図4(b)の平面図に示すように、前工程で製造した図4(a)の集成板10Aに対し、図の二点鎖線で示す位置、すなわち最上部の幅(端材2aの長手方向の幅)がWで、柾目模様3に対する傾斜角がβとなるように切断することで、複数本の短冊状原材5を得る(S5)。
【0043】
本工程においては、上記「短冊状端材2a、2b・・・2e」を並べて得た集成板10Aから、新たに別の短冊状の原材5を切り出すので、便宜上、当該短冊状の原材5を「短冊状原材5」と略称することにする。
【0044】
この傾斜角βは、図の木目模様3に対して25〜60°の範囲が好ましいが、その理由は、25度未満であると、原材料の無駄が多くなり60°を超えると小口接着の要素が大となり、接着強度が弱くなるからである。
【0045】
このような観点を考慮すると、傾斜角βは25〜60°の範囲内が好ましく、30〜45°の範囲内がより好ましい。
【0046】
また、切断幅Wは、最終的に製造すべき接合板の意匠、強度にも関係するので、これらを考慮して適宜決定する。この切断幅Wは、製造する接合板の用途にもよるが、25〜40mmの範囲内に設定するのが好ましい。
【0047】
以後、同様にして一枚の集成板10Aから複数本の短冊状原材5を切り出すが、何本の短冊状原材5を切り出すかは、後述する図5(b)の接合板10Cの完成寸法のうち縦寸法W1に影響するので、予め設計しておく。
【0048】
<原材接合工程S6>(図5(a)参照)
次に、前工程で得られた複数本の短冊状原材5を、相互の配列順は変更しないで、表裏を交互に変えて(反転して)順次、密接させて並べる(S6)。
【0049】
この状態を示したのが、図5(a)の平面図であり、高さはW1で長さはL1(L1>h)となり、長さ方向の両側の外形形状は、短冊状原材5の表裏を交互に変えて並べるので図のとおりジグザク形状となる。
【0050】
なお、本図においては柾目模様3は、説明上、線の数を前工程の図よりも多く記載して強調してある(後述する図5(b)においても同様である。)。
【0051】
<原材接着工程S7>(図5(a)参照)
次に、前述の接着剤と圧締め機を用いることにより、外形寸法として縦W1が420mm、幅L1が240mmの一枚の集成板10Bを得る(S7)。
【0052】
得られた集成板10Bの表面の模様は、前工程で短冊状原材5がその表裏を交互に変えて密接して配列されているので、それぞれの隣接する短冊状原材5の柾目模様3の交差角βが25〜60°のいわゆる矢羽模様となる。
【0053】
ここで、後工程を経て得られた完成品の接合板が、長年の使用、経年変化等により、そり、曲げ、ひび割れ等に関しては、交差角βを適度なものに設定することにより格段に向上させる事ができる(詳細実施形態1参照)。
【0054】
<切断・加工工程S8>(図5(b)参照)
最後に、図5(b)の平面図に示すように、前工程で得られた集成板10Bの両耳を適当な工具によりカットすることで、縦寸法がW1で、幅寸法がW2の本発明の目的とする矩形状接合板10Cを得る(S8)。
【0055】
すなわち、発明の製造方法で得られカット後の矩形状接合板10Cは、縦方向の外形寸法W1が、図4(b)の短冊状原材5を何本平面状に並べるかに依存し、横方向の外形寸法W2が、端材接合工程S3において端材2a、2b・・・2nを何本並べるかに依存することとなる。
【0056】
また、図示は省略するが、外形を適宜好みの形状に加工した後、表面研磨を経て、透明ニス、ラッカー、漆塗り等をすることによりデザイン性及び装飾性を高め、更に、耐久性向上のための種々の後加工を施し、目的とする接合板を得る。図6は、上記矩形状接合板10Cから最終製品の一例として製造した盆10Dの斜視図である。
【0057】
以上より、本発明に係る接合板の製造方法は、得られた接合板10Cが従来の接合板が有する矢羽模様等のデザイン性及び装飾性に優れた意匠的効果を有することは勿論、特に 以下の優れた作用、効果を奏することができる。
【0058】
1.接合板の原材料となる図1(b)の短冊状端材2a、2b・・・2eは、立ち木等の原木1等の新たな森林資源の伐採を必要とせず、間伐材、リサイクル材、端材などから得たものを用いるから、格段に低コストで接合材を製造することができる。
また、本発明の製造方法は、上記端材を用いることで地球上の森林資源を無駄なく活用できるから、地球環境に大変優しい製造方法である。
【0059】
2.本発明の製造方法で得られる図5(b)の接合板10Cの外形寸法である縦寸法W1、幅寸法W2のうち、縦寸法W1は、短冊状端材2の長手方向と直交する方向への配列本数を増やすことでいくらでも所望の長さに設定することができる。つまり、原材1等の原材料の長さ如何に制限されず、短尺の端材からでも任意長さの大きな接合板を製造することができる。
【0060】
また、接合板の幅方向の外形寸法W2は、原材切り出し工程で得た短冊状原材5の幅方向への配列本数を増やすことによって、任意の寸法に容易に拡げることができる。また、当該短冊状原材5は、端材2a、2b・・・2eをその長手方向に並べて得られる図4(a)の集成板10Aから必要に応じて何本でも切り出すことができるから、同様に端材2a、2b・・・2eの長さには制限されない。
したがって、本発明に係る接合板の製造方法は、原木1の材質及び長さに影響されずに外形が所望寸法、面積の接合板を低コストで容易に製造することができる。
【0061】
3.本発明の製造工程中の原材接合工程(S6)において、柾目模様3に対する傾斜角度βを25〜60°の範囲内としたから、強度が格段に向上した接合板を製造することができる。
【0062】
本発明に係る接合板の製造方法の実施形態は以上の通りであるが、この実施形態はほんの一例に過ぎず、本発明は、かかる実施形態の製造方法に限定されないことは勿論である。
【0063】
したがって、本発明は、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変形、組み合わせが可能であり、これらの変形、組み合わせ例も本発明の範疇に含まれる。
【実施形態1】
【0064】
この実施形態1は、短冊状端材2a、2b・・・として柾目材を用いる第一方法発明の場合であり、具体的に以下のとおりとした。
【0065】
[接合板の製造]
まず、図2(a)の原木準備工程(S1)として、杉材で長さLが400mmの原木1を準備した。
【0066】
次に、図2(b)の短冊状端材切出し工程(S2)として、短冊状端材2a、2b・・・2nとして10枚を切り出し、その幅ωは35mm、厚さtは12mm、長さLは395mmとした。
【0067】
次に、図3の端材接合工程(S3)として、傾斜角αは、各端材2a、2b・・・2eの右肩部を繋ぐ線が各端材の柾目Cに対し、45°の範囲内になるように、5枚の端材2a、2b・・・2eを少しずつずらして並べた。
【0068】
次に、図4(a)の端材接着工程(S4)として、木材用接着材にピーアイボンド(オーシカ株式会社製造、型式EP11)を用い、接着後の圧締方法として高周波板接ぎ接着機を用い、端材2a、2b・・・2eの側面同士が互いに密着した集成板10Aを得た。集成板10Aの上下寸法hは、端材2a、2b・・・2eの5枚を継ぎ合わせることで、幅(W)35mm×10本=350mmとした。
【0069】
また、図4(b)の短冊状原材切出し工程(S5)では、短冊状原材5の幅Wは、35mm、長さL1は、440mm、傾斜角βは45°とした。
【0070】
そして、図5(a)の原材接合工程(S6)では、図のように複数本の短冊状原材5を並べてジグザグ状に配置し、図5(a)の原材接着工程(S7)では、前述の接着剤と圧締め機を用いることにより、外形寸法として縦W1が440mm、幅L1が240mmの一枚の集成板10Bを得た。
【0071】
最後に、図5(b)の切断・加工工程(S8)として、縦寸法W1が同様の440mmで、幅寸法W2が240mmの本発明の目的とする矩形状接合板10Cを得た。
【0072】
[強度試験]
上記の矩形状接合板10Cから、強度試験に供する試験片として、図7(a)〜図7(f)に示す6種類のものを切り出した。
このうち、図7(a)〜図7(c)に示すサンプルは、曲げ強度試験用のもの、図7(d)〜図7(f)に示すサンプルは、反り及びねじれ度合い試験用のものである。
【0073】
また、これらのうち図7(a)及び図7(d)のサンプルは繊維傾斜角βが0°である従来の比較例、図7(b)及び図7(e)のサンプルは繊維傾斜角βが30°、図7(c)及び図7(f)のサンプルは繊維傾斜角βが45°である本発明の実施例のものである。
【0074】
強度試験項目として、曲がり、反り、ねじれに対する強度を考えた理由は、地元産針葉樹は人工林の小径木が多く、製品にしたときには曲がり、反り、ねじれによる狂いも生じやすく、付加価値の高い製品造りには難しいところがあるため、その短所を少しでも解消出来ればと考えたからである。
【0075】
したがって、強度試験の試験項目、試験条件等を纏めると次の通りとなる。
【0076】
<試験項目>
1.曲げ強度試験:供試サンプルの繊維傾斜角βは3種類
(β=0°、30°、45°)
2.環境試験:歪(反り、ねじれ)度合い
【0077】
<供試サンプルの試験条件>
40℃、湿度(RH)30%、24時間 ⇒ 40℃、湿度(RH)90%、24時間を1サイクルとし、これを2サイクル繰り返す(つまり試験時間は48時間)。
【0078】
それぞれ湿度を変更する時に反りの度合いをレーザー変歪測定装置(メーカー:メカトロニクス株式会社)で測定する。
【0079】
<測定回数>
初期値の測定も含め、各試検体を各3回試験する。
【0080】
・恒温恒湿機による耐侯試験 160℃/8h×48時間
・レーザー変歪測定装置による変位測定期待する結果(Aとの比較)
【0081】
<試験結果>
1.試験片Aは、長手方向には強いが、短い方には反り易いし、弱い。これに反し、試験片B(斜坑角度:45°)は、長手方向には弱いが短い方には反り難い。そして、試験片C(斜坑角度:30°)は、試験片Bよりも長手方向に強い。
【0082】
2.傾斜角度βについては、傾斜角度βが45°以上であると、長手方向に弱く、30°以下であると原材料の無駄が出やすい。
【0083】
このように、第一方法発明によって得られる接合板は、使用する原木として地球環境に易しい柾目材(または板目材)からなる「端材」を使用するにも関わらず、反り、捩れ、曲がり等が発生しにくく、しかも製造可能な最大外形寸法が使用する端材の長さに制約されない任意の大きさと、一定の実用的強度を有する意匠的効果の高い接合板を低コストで製造できる作用効果を有する。
【実施形態2】
【0084】
実施形態2は、端材として杉板の板目材を用い、これを上記第二方法発明によって接合板を製作した例である。
【0085】
この実施形態2では、端材2a・・・として板目材を用いた接合板が実際に実用に供することができるかどうかを見極めるために、柾目材の端材2a・・・用いて上記第一方法発明によって製作した接合板と、本実施形態の板目材の端材2a・・・用いて上記第二方法発明によって製作した接合板とで比較試験を行なった。
【0086】
比較試験項目としては、実施形態1と同じ「曲げ強度試験」と、反り、ねじれを変位として捉えて評価する「環境試験」である。
[曲げ強度試験]
まず、図9及び図10を参照しながら、曲げ強度試験について説明する。
【0087】
<原木準備工程>
第二方法発明では、特に原木1から切り出した短冊状端材2a・・・前の原材(図1の工程S1とS2間における原材)を、65℃の乾燥温度で、乾燥時間が168時間の低温乾燥をした。
【0088】
<試験用接合板の製作>
端材として杉材の柾目材を用い、これを前述の第一方法発明で、また、板目材を第二方法発明により適当な外形寸法の接合板を作成した。
【0089】
図8は、上記第一及び第二方法発明により得られた接合板の平面図であり、原材の繊維方向により、次の三種類とした。
(a)通常の接ぎ合わせ
(b)45°斜坑接ぎ合わせ
(c)30°斜坑接ぎ合わせ
【0090】
<試験片の切り出し>
そして、上記二種類の接合板から、曲げ強度試験用試験片として、繊維方向に5枚(寸法:長さ400mm×幅60mm×厚さ10mm)、また、幅ハギ方向(繊維方向と直交する方向)5枚(寸法:長さ300mm×幅60mm×厚さ10mm)を切り出した。
【0091】
したがって、強度試験に供した試験片の本数は、繊維方向3種類(通常、45°、30°)×個々の試験片5枚×試験片の切断方向2種類(繊維方向、幅ハギ方向)×原材2種類(柾目材、板目材)=60本である(図10参照)。なお、ここで繊維方向が「通常」とは、前述の実施形態1でいう傾斜角度(斜坑角度に同じ。)が0°のものである。
【0092】
<試験方法>
図9は、第一及び第二方法発明によって得られた接合板の強度試験の概要を示すもので、このうち、図9(a)は、強度試験方法の模式図、図9(b)は、この強度試験により得られた折損荷重Pにより、曲げ強さ(N/mm)を求める式である。なお、図9(b)式中の「P」、「b」、「h」は、前述した試験片の「長さ400mm及び300mm」、「幅60mm」、「厚さ10mm」のことであり、「I」は断面二次モーメント(N/mm4)である。
【0093】
図10は、上記60本の試験片の曲げ強度の試験結果を纏めた表であり、試験片における斜坑方向((a)〜(c)参照)、接ぎ合わせ方向((1)、(2)/(3)、(4)参照)、及び、使用原材(柾目材、板目材)の違いによる曲げ強度への影響を表したものである。
【0094】
<曲げ試験結果>
この曲げ強度試験結果から言えることは、次の通りである。
1.「接ぎ合わせ方向」が繊維方向の場合(表(1)及び(2)参照)
「斜坑方向」の大小による影響は、柾目及び板目材共に、当然「通常」のものが最も曲げ強度が高く、30°→45°の順に弱くなり、45°においては、柾目材の通常に対する曲げ強度は、約32%(20.4/62.8)に、板目材では約19%(13.4/70.1)に低下する。しかし、この程度ならば、いずれも実用に供することができる。
【0095】
ここで注目すべきは、斜坑が「通常」の場合は、板目材の方が柾目材よりも曲げ強度が高い(70.1>62.8)領域があるが(表(2)(a)参照)、板目材の最も曲げ強度が低い「45°斜坑」(表(2)(b)参照)の場合の平均曲げ強度13.4(N/mm)を、柾目材の「45°斜坑」(表(1)(b)参照)の場合の平均曲げ強度20.4(N/mm)で除すると、13.4/20.4=0.66倍と急激に低下することである。
【0096】
この事実を解析すると、斜坑角度が「0°〜20°」の範囲であると、柾目材よりも板目材の方がより曲げ強度が高い接合板が得られることが分かった。
2.「接ぎ合わせ方向」が幅ハギ方向の場合(表(3)及び(4)参照)
これらの表の通り、斜坑方向及び原材が柾目、板目材の如何を問わず、平均曲げ強さの絶対値は、すべて5(N/mm)以下であり、これでは使用に耐えない。このように曲げ強度が低い結果となるのは、試験荷重Pに対し、端材間の接着部で剥離してしまうからである。
【0097】
[環境試験]
<試験片の準備>
今度は、幅が30mm、厚さが10mmで長さが400mmの10枚の短冊状端材2a・・・を幅方向に接ぎ合わせ、長さが400mm×幅300mm×厚さ10mmの外形寸法の環境試験片を、原材が柾目材、板目材の二種類、斜坑角度が0°、30°、45°の三種類について、第二方法発明により製作した。
【0098】
したがって、強度試験に供した試験片の本数は、繊維方向3種類(0°、45°、30°)×個々の試験片3枚×試験項目3種類(次項参照)×原材2種類(柾目材、板目材)=54枚である(図13〜18参照)。なお、繊維方向が「0°」とは、原材の繊維の斜坑がない状態のもので、前述の強度試験の「通常」と同じである。
【0099】
<試験項目>
環境試験項目としては、上記それぞれの試験片を40℃30%RH雰囲気下に24時間静置した後、40℃90%RH雰囲気下に24時間静置し、次の3時点における試験片を、図11に示す歪測定位置のA〜I点(9点)のそれぞれにおいて、歪状況(反り)をレーザー変歪測定装置(メーカー:メカトロニクス株式会社)で測定した。
【0100】
(a)環境試験前
(b)40℃90%RH雰囲気下で24時間静置時間後
(c)40℃30%RH雰囲気下で24時間静置時間後
上記試験片の歪状況の測定結果を部位別等に分類して示したのが、図13〜図18である。なお、これらのX、Y軸上の測定点9点は、上記図11の測定点A〜I点と対応している。
【0101】
<試験結果の評価方法>
図12は、図13〜図18中の「中央部の平均反り」を求める方法を示した図で、このうち図12(a)は、図12中の柾目0°No.1環境試験結果の表、図12(b)は、試験片のY軸方向の反りが無い場合の反り量の求め方の図、図12(c)は試験片のY軸方向の反り量の求め方の図である。
【0102】
すなわち、図12(a)において、Y軸=20mm地点において、両端の測定値0.00mmと−0.18mmを表に表し、中間のX軸=150mm地点の反り量を求めると、図12(b)より−0.09mmとなる。
【0103】
しかし、実際のX軸=150mm地点の測定値は、−0.06mmであったから、X軸=150mm地点における反り量は、(−0.06mm)−(−0.09mm)=0.03mmである。
【0104】
上記の作業を全ての位置に適用した計算結果の一例を示すと、次ぎの通りとなる。
【0105】
柾目0°No.1 環境試験前
Y軸=380mm 反り量=0.06mm
Y軸=200mm 反り量=0.03mm
Y軸= 20mm 反り量=0.03mm
柾目0°No.2 環境試験前
Y軸=380mm 反り量=0.66mm
Y軸=200mm 反り量=0.78mm
Y軸= 20mm 反り量=0.63mm
柾目0°No.3 環境試験前
Y軸=380mm 反り量=0.60mm
Y軸=200mm 反り量=0.69mm
Y軸= 20mm 反り量=0.59mm
最後に、上記全ての反り量の単純平均値を求めると、0.45mmとなる。
【0106】
このようにして、全ての試験片のX軸=150mm地点における反り量を、それぞれの試験片の代表値として同様に計算し、次の0.99mm(40℃30%RH24時間後)、0.54mm(40℃90%RH24時間後)を求めたのである。
【0107】
なお、Y軸=200mm地点における反り量についても上記と同様に計算して評価しなかったのは、当該方向は繊維が平行になっている部分であるから、反り量はX軸=150mm地点の反り量よりも低いため、X軸=200mm地点における反り量を供試試験片の反り量の代表値として評価すれば十分だからである。
【0108】
以上の環境試験結果は、図13〜図18中の「中央部の平均反り」によると、概ね次のことが言える。
【0109】
1.「板目材の繊維斜坑(傾斜)角度」の影響
図16と図17で求めた平均反り量により、板目0°斜坑角よりも、板目30°斜坑角のものの方が平均反り量が少ない。また、図17と図18で求めた平均反り量により、板目30°の斜坑角よりも、板目45°斜坑角のものの方が平均反り量が少ない。
【0110】
すなわち、これらの図中の平均反り量は、斜坑角が0°、30°、45°のうちで45°のものが最も少ない。特に板目45°のものは、試験環境が40℃90%RH雰囲気、40℃30%RH雰囲気下と変更されているにもかかわらず、それらの平均反り量は、図18に記載の通り、0.14mm、0.15mm、0.15mmと試験片間のばらつきがない。
【0111】
2.「柾目材」と「板目材」間の反り量対比
そして、上記図18の板目45°の平均反り量0.14mm、0.15mm、0.15mmを、柾目45°の平均反り量0.10mm、0.12mm、0.08mm(図15)と比較すると、確かに柾目材の方が反り量は少ないが、そんなに遜色はない。よって、「板目材」の端材を用いた接合板は、例えば外気に24時間中触れ、苛酷な環境にさらさられる「玄関ドアー」や、「外壁」等の用途に使用することが向いているといえる。
【0112】
したがって、乾燥温度と乾燥時間を工夫すれば端材の板目材を接合板に用いることは、用途、使用環境等の使用条件によっては実用的に問題が無いことが分かった。
【0113】
このように、第二方法発明によって得られる接合板は、使用する原木として柾目材よりも、より一層地球環境に易しい板目材からなる「端材」を使用するにも関わらず、用途とその使用環境によっては、反り、捩れ、曲がり等が発生しにくく、しかも製造可能な最大外形寸法が使用する端材の長さに制約されない任意の大きさと、一定の実用的強度を有する意匠的効果の高い接合板を低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明に係る接合板の製造方法の全体工程図である。
【図2】図2(a)は、図1の全体工程図における柾目材と板目材を原材とする原木準備工程を説明する斜視図、図2(b)は、柾目材の短冊状端材切り出し工程を説明する斜視図である。
【図3】図1の全体工程図中の端材接合工程を説明する斜視図である。
【図4】図4(a)は、図1の全体工程図中の端材接着工程を説明する斜視図、図4(b)は、短冊状原材切り出し工程を説明する平面図である。
【図5】図5(a)は、図1の全体工程図中の原材接合工程を説明する平面図、図5(b)は、切断・加工工程を説明する平面図である。
【図6】第一方法発明を用いて製造した本発明に係る最終製品(盆)の一例の斜視図である。
【図7】第一方法発明を用いて製造した試験片の平面図であり、図7(a)〜図7(c)は、曲げ強度試験用のもの、図7(d)〜図7(f)は、反り及びねじれ度合い試験用のものである。
【図8】第二方法発明を用いて製造した強度試験用の試験片の平面図であり、図7(a)は、通常の接ぎ合わせのもの、図7(b)は、45°斜坑接ぎ合わせのもの、図7(c)は、30°斜坑接ぎ合わせのものである。
【図9】図8の試験片の強度試験の概要図であり、このうち図9(a)は、強度試験方法の模式図、図9(b)は、試験片の横断面図、図9(c)は、この強度試験により得られた折損荷重Pにより曲げ強さ(N/mm)を求める式である。
【図10】曲げ強度の試験結果を纏めた表である。
【図11】環境試験用試験片の平面上の歪測定位置を示す図である。
【図12】図13〜図18中の「中央部の平均反り」を求める方法を示した図で、このうち図12(a)は、図13中の柾目0°No.1環境試験結果の表、図12(b)は、試験片のY軸方向の反りが無い場合の反り量の求め方の図、図12(c)は試験片のY軸方向の反り量の求め方の図である。
【図13】原材に柾目材を用い、第一方法発明により得た斜坑0°の試験片の歪測定結果表である。
【図14】原材に柾目材を用い、第一方法発明により得た斜坑30°の試験片の歪測定結果表である。
【図15】原材に柾目材を用い、第一方法発明により得た斜坑45°の試験片の歪測定結果表である。
【図16】原材に板目材を用い、第二方法発明により得た斜坑0°の試験片の歪測定結果表である。
【図17】原材に板目材を用い、第二方法発明により得た斜坑30°の試験片の歪測定結果表である。
【図18】原材に板目材を用い、第二方法発明により得た斜坑45°の試験片の歪測定結果表である。
【符号の説明】
【0115】
1 原木1
2 短冊状端材
2a、2b・・・2e 短冊状端材
3 柾目模様
4A、4B 集成板
5 短冊状原材
10A、10B、10C 接合板
10D 盆(最終製品む)
L 原木の切断長さ
W1 縦寸法(仕上り寸法)
W2 横寸法(仕上り寸法)
α 短冊状端材の柾目模様3に対する傾斜角
β 短冊状原材の柾目3に対する傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に繊維方向が傾斜した柾目模様を有する短冊状原材の側面同士を互いに接着して成る接合板の製造方法であって、
原木から複数本の短冊状端材を切り出し、その側面同士を隣接させつつ、各端材の一端部を該端材の他端部方向に順次ずらしつつ平面状に並べ、互いに接着することにより、一枚の集成板を製造する端材接合工程と、
前記集成板を一定角度、かつ、一定幅で切断して、複数本の短冊状原材を切り出す短冊状原材切り出し工程と、
該工程で切り出した複数本の短冊状原材を幅方向に互いに平行に引き揃えつつ平面状に並べ、隣接する短冊状原材を交互に反転して互いに接着することにより、表面に柾目模様が順次交互に斜交する一枚の集成板を製造する短冊状原材接合工程と、
該工程で得られた集成板を所望の寸法又は形状に切り出す切断・加工工程とから成り、
前記端材接合工程において前記短冊状端材を隣接させて平面状に並べる本数と、前記短冊状原材接合工程において前記短冊状原材を交互に反転させて平面状に並べる本数とを調整することにより、
前記原木の長さに制約されない任意寸法又は面積の接合板の製造を可能にしたことを特徴とする接合板の製造方法。
【請求項2】
原木は、間伐材、構造材除去後の端材、リサイクル材であることを特徴とする請求項1に記載の接合板の製造方法。
【請求項3】
短冊状原材切り出し工程において、集成板から短冊状原材を切り出す角度は、該集成板を形成する柾目に対して、25度〜60°の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接合板の製造方法。
【請求項4】
表面に繊維方向が傾斜した板目模様を有する短冊状原材の側面同士を互いに接着して成る接合板の製造方法であって、
原木から複数本の短冊状端材を切り出し、その側面同士を隣接させつつ、各端材の一端部を該端材の他端部方向に順次ずらしつつ平面状に並べ、互いに接着することにより、一枚の集成板を製造する端材接合工程と、
前記集成板を一定角度、かつ、一定幅で切断して、複数本の短冊状原材を切り出す短冊状原材切り出し工程と、
該工程で切り出した複数本の短冊状原材を幅方向に互いに平行に引き揃えつつ平面状に並べ、隣接する短冊状原材を交互に反転して互いに接着することにより、表面に板目模様が順次交互に斜交する一枚の集成板を製造する短冊状原材接合工程と、
該工程で得られた集成板を所望の寸法又は形状に切り出す切断・加工工程とから成り、
前記端材接合工程において前記短冊状端材を隣接させて平面状に並べる本数と、前記短冊状原材接合工程において前記短冊状原材を交互に反転させて平面状に並べる本数とを調整することにより、
前記原木の長さに制約されない任意寸法又は面積の接合板の製造を可能にしたことを特徴とする接合板の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の接合板の製造方法において、
更に、乾燥工程を設け、前記切断・加工工程後の接合板を、常温〜65℃の低温度領域で、かつ、168時間以内で乾燥することを特徴とする接合板の製造方法。
【請求項6】
原木は、間伐材、構造材除去後の端材、リサイクル材であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の接合板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−245842(P2011−245842A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243573(P2010−243573)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(310001274)
【Fターム(参考)】