説明

接合装置

【課題】電極端子の電気的な強固な接合を少ない部品点数で容易かつ確実に行う。
【解決手段】本発明の接合装置は、電極端子3、4とが重なり合った面3a、4aに当接させる、留め穴51が形成されている留め部材50と、面3a、4aにて重なりあっている電極端子3、4を留め穴51にて変形させ、電極端子3、4の重なり合った状態を保持する加圧力保持部材80とを有する。重なり合った状態で変形した電極端子3、4は留め穴51から抜けにくくなる。すなわち、電極端子3、4の電気的な接合が強固に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属薄板接合体を引き出し端子とする電気デバイスの端子同士を接合する接合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、モータ駆動用の電池を搭載する電気自動車やハイブリッド電気自動車(以下、単に「電気自動車等」という)の開発が急速に進められつつある。電気自動車等に搭載される電池には、操縦特性、一充電走行距離を向上させるため、当然ながら、軽量化が求められている。電池を軽量化するため、その外装体にアルミニウムなどの金属層と熱溶着性の樹脂層とを接着剤層を介して重ね合わせて薄いフィルムとなしたラミネート材を用いたフィルム外装電池が開発されている。ラミネート材は、一般に、アルミニウム等の薄い金属層の両表面を薄い樹脂層で被覆した構造をなしており、酸やアルカリに強く、かつ軽量で柔軟な性質を有するものである。
【0003】
電気自動車等を電池で駆動するには、複数の電池を接続して形成した組電池化する必要がある。電池の端子を接続する方法としては、従来、図16に示すように、一の電池の端子と他の電池の端子とを、ボルトおよびナットを用いて接合する方法、または、溶接、溶着等により接合するという方法が一般に採用されていた。
【0004】
図16(a)は、フィルム外装電池1200から延出した電極端子1201を接続すべき他のフィルム外装電池1200の電極端子1201と重ねあわせ、この重ねあわせた部分をさらに挟持板1202で挟み込んでからボルト1203およびナット1204により機械的に電極端子1201同士を締結することで電気的に接続する方法を示している。また、図16(b)は、重ねあわせられた電極端子1201同士を溶接1205にて接合している例を示している。
【0005】
このような接合方法を用いる場合、電極端子1201は図16および図17(b)に示すように、重ねあわせる他、図17(a)に示すように、電極端子1201同士を向かい合わせにしておき、この向かい合わせた部分をボルトおよびナットによる締結、あるいは溶接等にて接合される。
【0006】
また、上述のように構成された組電池から電圧を取り出すために図18に示すように、電極端子1201には端子付きハーネス1206が接合される。図18に示す端子付きハーネス1206はボルトおよびナットにより電極端子1201に締結される。
【0007】
しかしながら、電極端子同士をボルトおよびナットによって接合すると部品点数が多くなる他、接合に時間と手間を要する。また、溶接の場合も同様に時間と手間を要する。また、上述した構成の場合、電極端子同士の接合とは関係なく、別作業として電圧を取り出す端子を電極端子に取り付ける必要がある。
【0008】
特許文献1には、電極端子を固定装置により固定した組電池が開示されている。固定装置は、平面形状の固定ベース部の上に、略矢印形状を有する係合部材と、ダンピング材と、開口部が配置されてなるものである。この固定装置は、軸を中心に固定ベース部が折り曲げられると係合部材が開口部に挿入される。そして、一の薄型電池の正極端子と他の薄型電池の正極端子とが同方向となるように積層された2枚の薄型電池の端子を、対向して配置されたダンピング材で挟持し、さらに係合部材が開口部に係合されることにより、薄型電池が固定装置により組電池内部に固定される。この特許文献に開示されている組電池は、ボルトおよびナットによる接合に比べて接合に要する手間が省け、また、組電池からの電池の取り外しも容易な構成となっている。
【特許文献1】特開2004−55348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された構成では固定装置を構成する部品点数が多いため、固定装置の用意に手間を要することとなる。また、ボルトおよびナットによる接合に比べて接合に要する手間が省けるとはいえ、軸を中心に固定ベース部を折り曲げ、さらに係合部材を開口部に係合する工程を要する。これらは製造コストの増大に繋がるものである。
【0010】
そこで本発明は、少ない部品点数で構成され、容易かつ確実なる電極端子の電気的な接合を可能とする接合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の接合装置は、電極端子が延出した電気デバイスの電極端子を電気的に接合する接合装置において、一の電気デバイスの電極端子と他の電気デバイスの電極端子とが重なり合った領域に当接し、少なくとも1つの貫通部が形成されている板部材と、重なり合った各電極端子を貫通部にて変形させ、各電極端子を重なり合った状態に保持する加圧力保持部材とを有する。
【0012】
上記の通り本発明の接合装置は、板部材と加圧力保持部材とのみからなる、部品点数の少ない簡単な構成である。また、加圧力保持部材は重なり合った電極端子を貫通部内で変形させ、この状態を保持する。これにより、重なり合った状態で変形した電極端子は貫通部から抜けにくくなる。すなわち、本発明の接合装置は電極端子の電気的な接合を強固に保持することができる。
【0013】
また、本発明の接合装置は、加圧力保持部材が、貫通部に位置する重なり合った電極端子を貫通部内へと押し込む第1の押圧部を有するものであってもよい。この場合、第1の押圧部によって電極端子を貫通部内へと押し込むだけで重なり合った電極端子を貫通部にて変形させ、電極端子の重なり合った状態を保持することができる。
【0014】
また、本発明の接合装置は、加圧力保持部材が、貫通部上に位置する重なり合った電極端子を第1の押圧部とは反対の方向から貫通部内へと押し込む第2の押圧部を有するものであってもよい。この場合、第2の押圧部が第1の押圧部とは反対方向から力を加えて電極端子を変形させるので、貫通部内における電極端子の変形の度合いが増し、電極端子の貫通部から、より抜けにくくすることができる。すなわち、電極端子の電気的な接合をより強固に保持することができる。
【0015】
また、本発明の接合装置は、加圧力保持部材が、板部材に当接し、かつ貫通部以外の領域の重なり合った電極端子を板部材へと押し付ける第3の押圧部を有するものであってもよい。この場合、第3の押圧部が重なり合った電極端子を板部材へと押し付けることで変形させて抜けにくくしている電極端子をさらに抜けにくくすることができる。すなわち、電極端子の電気的な接合をさらに強固に保持することができる。
【0016】
また、本発明の接合装置は、加圧力保持部材が、形状記憶合金からなるものであってもよく、特にこの場合、温度の上昇に伴い、変形させる力が増す特性を有すると好ましい。この場合、電気デバイスの発熱、あるいは電極端子を流れる電流により電極端子の温度が上昇することで、電極端子の電気的な接合をさらに強固に保持することができる。
【0017】
また、本発明の接合装置は、加圧力保持部材が、弾性を有する金属からなるものであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の接合装置によれば、電極端子の電気的な強固な接合を少ない部品点数で容易かつ確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1に本実施形態のフィルム外装電池の外観斜視図を示す。
【0020】
本実施形態のフィルム外装電池1は、不図示の正極側活電極、負極側活電極、および電解液を有する発電要素2と、アルミニウムなどの金属フィルムと熱融着性の樹脂フィルムとを重ね合わせて形成したラミネートフィルム7を熱融着部7aの4辺で熱融着して密封した構造を有している。
【0021】
フィルム外装電池1の発電要素2は、不図示のセパレータを介して積層された正極側活電極と負極側活電極とからなる積層型であってもよいし、あるいは、帯状の正極側活電極と負極側活電極とをセパレータを介して重ねこれを捲回した後、扁平状に圧縮することによって正極側活電極と負極側活電極とが交互に積層された構造の捲回型であってもよい。
【0022】
また、発電要素2としては、正極、負極および電解質を含むものであれば、通常の電池に用いられる任意の発電要素が適用可能である。一般的なリチウムイオン二次電池における発電要素は、リチウム・マンガン複合酸化物、コバルト酸リチウム等の正極活物質をアルミニウム箔などの両面に塗布した正極板と、リチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料を銅箔などの両面に塗布した負極板とを、セパレータを介して対向させ、それにリチウム塩を含む電解液を含浸させて形成される。発電要素2としては、この他に、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、リチウムメタル一次電池あるいは二次電池、リチウムポリマー電池等、他の種類の化学電池の発電要素が挙げられる。さらに、本発明は、電気二重層キャパシタなどのキャパシタや電解コンデンサなどに例示されるキャパシタ要素のような、電気エネルギを内部に蓄積し化学反応または物理反応でガスが発生しうる電気デバイス要素を外装フィルムで封止した電気デバイスにも適用可能である。
【0023】
フィルム外装電池1の短手方向の熱融着部7aからは、正極側活電極に接続された正極用電極端子3および負極側活電極に接続された負極用電極端子4がそれぞれ対向して延出している。正極用電極端子3としてはアルミニウムが多く用いられ、また、負極用電極端子4としては銅またはニッケルがその電気的特性により多く用いられている。以下、正極用電極端子3と負極用電極端子4とをまとめて単に電極と称呼する場合もある。
【0024】
次に、本実施形態の接合装置によって上述した構造の2つのフィルム外装電池1の電極どうしを接合する方法について図2〜図5を用いて説明する。図2は本発明の接合装置の一例の分解斜視図であり、図3は、図2に示す本発明の接合装置により電極を接合した状態における第1の押圧部および第2の押圧部と、留め穴との位置関係を示す図であり、図4は、図3に示すA−A線における断面図であり、また、図5は図4の一部拡大図である。
【0025】
まず、本実施形態の接合装置80の構成について説明する。
【0026】
本実施形態の接合装置80は、金属等の線材からなるクリップ形状の加圧力保持部材30と、留め穴51が形成された留め部材50とを有する。
【0027】
加圧力保持部材30は、1本の弾性を有する金属線材(通常のバネやクリップの作製に用いられる金属材)を曲げて形成されたものであり、把持部36で左右対称の形状をなしている。
【0028】
加圧力保持部材30は、線材の端部から第1の曲げ部34まで直線状に形成された第1の押圧部31と、第1の曲げ部34から第2の曲げ部35まで直線状に形成され、第1の押圧部31に略平行に形成された第3の押圧部33と、第2の曲げ部35から把持部36まで略直線状に形成され、第1の押圧部31および第3の押圧部33に略平行に形成された第2の押圧部32を有し、これら第1〜第3の押圧部31〜33、第1および第2の曲げ部34、35が把持部36を中心に対称にそれぞれ形成されている。すなわち、加圧力保持部材30の形状は、紙を重ねて保持するクリップが把持部36で繋がったような形状である。第1の押圧部31と第2の押圧部32との間隔は、第1の押圧部31と第3の押圧部33との間隔よりも狭く形成されている。
【0029】
留め部材50は、概ね第1の押圧部31と第2の押圧部32とに対応する位置であって、これらが概ね収まる寸法の留め穴51が形成された板材である。留め穴51は、対称に形成された第1の押圧部31および第2の押圧部32に応じて2つ形成されている。
【0030】
次に、接合装置80による電極に接合方法について説明する。
【0031】
まず、図2に示すように、正極用電極端子3および負極用電極端子4をコの字形状に折り曲げ、正極用電極端子3の面3aと、負極用電極端子4の面4aとを接触させておく。
【0032】
次に、面3aあるいは面4aのいずれかの面であって、電極同士が接触していない面に留め部材50を矢印A方向から重ね合わせる。図2においては、留め部材50は矢印A方向から面3a’に重ね合わせられる。
【0033】
面3a’に留め部材50を重ね合わせた状態で、続いて、接触させている電極の端部側から、正極用電極端子3の面3a、負極用電極端子4の面4a、および留め部材50を加圧力保持部材30にて挟み込む。すなわち、まず、加圧力保持部材30は、把持部36を留め部材50の面50a側にやや曲げ、かつ第3の押圧部33と第1の押圧部31とを負極用電極端子4の面4a側に曲げることで把持部36と第3の押圧部33と矢印C方向に開いておく。把持部36と第3の押圧部33との間であって矢印C方向に隙間をつくっておいた状態で加圧力保持部材30を矢印B方向へと押し込む。そして、第1の押圧部31と第2の押圧部32とが留め穴51の位置に到達するまで加圧力保持部材30を押し込む。接合装置80により電極を接合した状態における第1の押圧部31および第2の押圧部32と、留め穴51との位置関係を図3に示す。
【0034】
図4および図5に示すように、留め穴51の部分の面3aおよび面4aは、第1の押圧部31と第2の押圧部32の断面形状に沿って略S字形状に弾性変形あるいは塑性変形させられるとともに、留め穴51の縁に沿って変形する。さらには、把持部36および第3の押圧部33が加圧力保持部材30の弾性により電極の上記変形を保持する。
【0035】
つまり、第1の押圧部31は矢印a方向から重なり合った電極を留め穴51内に押し込むことで電極を変形させている。また、第2の押圧部32は矢印aとは反対方向の矢印b方向から電極を留め穴51内に押し込むことでこの変形の度合いを増している。このように電極を留め穴51内にて変形、すなわち、留め穴51から抜けにくい形状に変形させることで電極の電気的な接合を強固に保持することができる。さらには第3の押圧部33が電極を留め部材50に押し付けることで電極の電気的な接合はより強固に保持されることとなる。
【0036】
以上のように、本発明の接合装置によれば、正極用電極端子3と負極用電極端子4との電気的な接合を容易、かつ強固に行うことができる。すなわち、本発明の電極の接合は、線材を折り曲げるだけで形成可能な加圧力保持部材30と板部材に穴を形成しただけの留め部材50という簡単な構成の接合装置80を用いるだけである。また、接合方法も、いわゆるクリップ留めにて行うものであるので、特別な冶具等も必要がない。このように、簡単な構成、かつ簡単な方法でありながら、留め穴51部分にて電極を変形させることで電極が接合装置80から抜けにくくすることで、強固な接合を実現している。一方、本発明は溶接等による接合ではないため、電極同士の接合の解除も加圧力保持部材30を引き抜くだけでできる。もちろん、ネジ止めによる接合に比べても、電極同士の接合、解除は容易に行うことができる。
【0037】
なお、図2においては、正極用電極端子3および負極用電極端子4がコの字形状に折り曲げられた後に、加圧力保持部材30および留め部材50にて接合する状態が示されているが、まず面3a、4aを併せてL字形状に折り曲げて、この状態で接合してから、最終的にコの字形状に折り曲げるものであってもよい。
【0038】
以下に本発明の接合装置の他の例を説明する。
【0039】
図6(a)(b)(c)に示す加圧力保持部材130は把持部136の部分を角度αだけ開いたものである。これにより、加圧力保持部材130によるクリップ留めを行う際、加圧力保持部材130を開き易くすることができ、よって、電極の挟み込みがより容易になる。また、第1の押圧部131に段部131aを設けている。これにより、第1の押圧部131と第2の押圧部132の断面形状に沿わせて電極を略S字形状に変形させる、その程度をより多くすることができ、よって、より強固な接合が可能となる。
【0040】
図7(a)(b)に示す加圧力保持部材230は、把持部236が開いた形状であるとともに、第1の押圧部231の端部を把持部236が開く方向とは逆方向に折り曲げ、把持端231aを形成している。すなわち、加圧力保持部材230を開く際、把持部236および把持端231aを持って開くことで加圧力保持部材230の開きをより容易にしている。
【0041】
図8(a)(b)に示す加圧力保持部材330も1本の線材を折り曲げて形成されている。加圧力保持部材330の場合、第1の押圧部331と交差する方向となる交差挟み部335を形成するため複数箇所でU字形状に折り曲げている。加圧力保持部材330は第1の押圧部331等による電極の挟み込みに加えて交差挟み部335と留め部材50とによる電極の挟み込みがなされる。これにより、より強固な接合が可能となる。
【0042】
図9(a)(b)に示す加圧力保持部材430も1本の線材を折り曲げて形成されている。加圧力保持部材430は第1の押圧部431により留め穴51内の電極を押さえ込むことで電極を変形させる構成であり、端部に係合部440とこの係合部440が引っかかる係止部441とを有する。すなわち、加圧力保持部材430は、係合部440を係止部441に引っ掛けることで、その弾性により第1の押圧部431を留め穴51内方向へと押し付ける。そして、この押し付け力により留め穴51内の電極を押さえ込む。なお、係合部440を係止部441に引っ掛ける際にはU字部450を撓ませてから引っ掛ける。
【0043】
図10(a)(b)(c)に示す加圧力保持部材530は、係合部540を板部材で構成した点、係合部540を引っ掛ける際に曲げ部550の部分を中心にして第3の押圧部533を撓ませる(係合部540は図中矢印D方向に回動する)点で図9に示した加圧力保持部材430と異なるが、基本的構成は加圧力保持部材430である。
【0044】
以上、接合装置は加圧力保持部材が主に線材で構成されている例を示した。以下に、加圧力保持部材を板部材で構成した例について示す。
【0045】
図11〜図13に示す加圧力保持部材630は、一枚の板部材を折り曲げてなるものであり、曲げた部分である曲げ部650の間に通し孔640が形成されている。また、加圧力保持部材630は、その概ね中央部分には第1の押圧部631が形成されており、第1の押圧部631が形成された側の板に対して曲げ部650にて対面するように曲げられてなる第3の押圧部633を有する。第1の押圧部631は第3の押圧部633側に突出するようにして形成されている。また、加圧力保持部材630には、外部に電圧を取り出すための端子ネジ800を貫通させるための貫通穴670が第1の押圧部631を挟んだ曲げ部650の反対側に形成されている。
【0046】
なお、図11(a)(b)の接合装置は電極を挟み込んだ状態を示しており、図12は分解斜視図であり、図13は図11に示すB−B線における断面図である。
【0047】
図12に示すように、留め部材50および加圧力保持部材630からなる接合装置は、L字形状に折り曲げて重ね合わせた電極を留め部材50と加圧力保持部材630とで挟み込み、端子ネジ800ネジおよびナット801で締結する構成となっている。挟み込まれた電極は重ね合わせられた面3a、4aが第1の押圧部731にて留め穴51内に押し込まれる(図13参照)。端子ネジ800を締めこむことで留め穴51内での電極の変形は大きくなるとともに、板部材である留め部材50および加圧力保持部材630による挟み込みによって電極の接合は強固なものとなる。
【0048】
図14(a)(b)に示す加圧力保持部材730は、一枚の板部材を折り曲げてなるものの他の例であり、曲げた部分である曲げ部750の間に通し孔740が形成されている。第1の押圧部731が形成されている側の概ね中央に、緩やかな曲線からなる山形状に突出した撓み部760を設けている。第1の押圧部731はこの撓み部760の両側に、撓み部760と逆方向に突出して形成されている。また、第1の押圧部731が形成された側の板の端部はロールさせて係止部741を形成している。曲げ部750で繋がる第3の押圧部733となる板の端部には係止部741に係合する係合部740が形成されている。
【0049】
加圧力保持部材730は通し孔740から留め部材50を通し(図中矢印E方向)、撓み部760を大きく撓ませた後、係止部741を係合部740に係合させる。これにより、留め部材50の留め穴51内の電極を押さえ込む。なお、図11(b)では2つの第1の押圧部731が嵌りこむことができる長穴形状のものが1つ形成された例を示している。
【0050】
なお、以上説明した各接合装置は形状記憶合金で形成しておき、図15に示すような温度特性となるようにしておいてもよい。すなわち、接合装置の温度が上昇するにつれ電極同士を接合させる締結力が高くなるような形状に変化するようにしておく。なお、本発明においてはフィルム外装電池1の発電により電極の温度は上昇するので、この熱を用いて形状変化させることとなる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の接合装置によれば、簡単な構成にて電極同士の強固な接合を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に適用可能なフィルム外装電池の外観斜視図である。
【図2】本発明の接合装置の一例の分解斜視図である。
【図3】図2に示す本発明の接合装置により電極を接合した状態における第1の押圧部および第2の押圧部と、留め穴との位置関係を示す図である。
【図4】図3に示すA−A線における断面図である。
【図5】図4の一部拡大図である。
【図6】本発明の接合装置の他の例の三面図である。
【図7】本発明の接合装置の他の例の平面図および側面図である。
【図8】本発明の接合装置の他の例の平面図および側面図である。
【図9】本発明の接合装置の他の例の平面図および側面図である。
【図10】本発明の接合装置の他の例の側面図およびその一部の平面図および側面図である。
【図11】本発明の接合装置の他の例の平面図および側面図である。
【図12】本発明の接合装置の他の例の分解斜視図である。
【図13】図12に示すB−B線における断面図である。
【図14】本発明の接合装置の他の例の平面図および側面図である。
【図15】本発明の接合装置の温度特性の一例を示すグラフである。
【図16】フィルム外装電池における、電極端子の従来の接合方法の一例を示す図である。
【図17】フィルム外装電池における、電極端子の従来の接合方法の他の例を示す図である。
【図18】フィルム外装電池における、電極端子の従来の電圧の取り出し方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 フィルム外装電池
2 発電要素
3 正極用電極端子
3a、4a、50a 面
4 負極用電極端子
7 ラミネートフィルム
7a 熱融着部
30 加圧力保持部材
31 第1の押圧部
32 第2の押圧部
33 第3の押圧部
34 第1の曲げ部
35 第2の曲げ部
36 把持部
50 留め部材
51 留め穴
80 接合装置
440 係合部
441 係止部
131a 段部
231a 把持端
335 交差挟み部
450 U字部
630 加圧力保持部材
640 通し孔
650 曲げ部
670 貫通穴
760 撓み部
800 端子ネジ
801 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子が延出した電気デバイスの前記電極端子を電気的に接合する接合装置において、
一の前記電気デバイスの前記電極端子と他の前記電気デバイスの前記電極端子とが重なり合った領域に当接し、少なくとも1つの貫通部が形成されている板部材と、
前記重なり合った各電極端子を前記貫通部にて変形させ、前記各電極端子を前記重なり合った状態に保持する加圧力保持部材とを有することを特徴とする接合装置。
【請求項2】
前記加圧力保持部材が、前記貫通部に位置する前記重なり合った電極端子を前記貫通部内へと押し込む第1の押圧部を有する請求項1に記載の接合装置。
【請求項3】
前記加圧力保持部材が、前記貫通部上に位置する前記重なり合った電極端子を前記第1の押圧部とは反対の方向から前記貫通部内へと押し込む第2の押圧部を有する請求項2に記載の接合装置。
【請求項4】
前記加圧力保持部材が、前記板部材に当接し、かつ前記貫通部以外の領域の前記重なり合った電極端子を前記板部材へと押し付ける第3の押圧部を有する請求項2または3に記載の接合装置。
【請求項5】
前記加圧力保持部材が、形状記憶合金からなる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項6】
前記加圧力保持部材が形状記憶合金からなり、温度の上昇に伴い、変形させる力が増す特性を有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項7】
前記加圧力保持部材が、弾性を有する金属からなる請求項1ないし6のいずれか1項に記載の接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−172891(P2006−172891A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−363496(P2004−363496)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(302036862)NECラミリオンエナジー株式会社 (37)
【Fターム(参考)】