接合面に複合構造体を有するかもしくは有しない3層もしくは2層の積層織物、または片面もしくは両面に起毛したパイルを有する織物を不透過性接合する方法
【課題】接合面に複合構造体を有するかもしくは有さない3層もしくは2層の積層織物、または織物の片面かもしくは両面に起毛したパイルを有する織物を不透過性接合する方法を提供する。
【解決手段】織物表面を過熱空気ジェットにより平坦化されたプラスチック状態に変性し、平滑で緻密な織物材料が形成される準備工程と溶接および封止工程とを含み、その織物準備工程には、焼灼工程、切断工程および接着剤適用工程の3つの操作工程が含まれる、不透過性接合する方法。
【解決手段】織物表面を過熱空気ジェットにより平坦化されたプラスチック状態に変性し、平滑で緻密な織物材料が形成される準備工程と溶接および封止工程とを含み、その織物準備工程には、焼灼工程、切断工程および接着剤適用工程の3つの操作工程が含まれる、不透過性接合する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層織物を不透過性接合する方法に関し、その積層織物は、内側に1つの膜と、接合面に1つの複合構造体もしくはいわゆるフリース−パイル面、または起毛したパイル織物もしくはいわゆる片面/両面フリース織物とを有する。
【背景技術】
【0002】
液体不透過性の織物を形成するために、テキスタイル材料をバリア膜のプライもしくは層で、被覆もしくは積層して作製した複合テキスタイル製品は、周知のものであり広く使用されている。
【0003】
前述のテキスタイル製品は「積層」織物と言われ、通常防護服またはその他の液体不透過性テキスタイル物品を作製するのに使用されている。
【0004】
積層織物は2つ以上の層を含み、その層の少なくとも1つはバリア膜層で構成される。
【0005】
図1は3層の積層織物(いわゆるソフトシェル織物)を示し、そのものは最も一般的に使用される積層織物であり、外側織物1と、内側の層を構成する、バリア膜層2と複合構造体3(いわゆるフリースパイル構造体)とを含む。
【0006】
織物1は種々の型のテキスタイルシートであり、そのものは複合テキスタイル材料を含んでいてもいなくてもよい。
【0007】
バリア膜2は、一方向に(その内側から外側へ)液体蒸散性の合成材料フィルムであり、かつ、その反対方向には液体不透過性である。
【0008】
内側層3,またはフリースパイル層である「テキスタイル構造体」用語は、種々の加工テキスタイル製品を表わすことを意図する(加工テキスタイル製品は、輪郭切削、切欠加工、リッジング(ridging)もしくは起毛(raising)等により加工されるものであり、またはフィラメント繊維構造体であって織物もしくは不織布、編物、ブラシ仕上げ、起毛、毛羽立て等の材料が挙げられる)。
【0009】
積層織物は現在のところ、衣類、被覆製品または裏打ち製品、その他の液体不透過性物品を作製するのに使用され、それらは液体蒸散性の特性を有する。
【0010】
上記製品は「ソフトシェル」製品と呼ばれ、それらには可撓性で柔軟な接合部と、製品の外側に高度な耐久性を有しかつ内側に良好な柔軟性を有する複合テキスタイル材料とが含まれ、所望の手触り感、着用性および快適性を提供するからである。
【0011】
上記の製品は通常、材料の除去および封止テープの適用を含む、非常に複雑な加工処理工程および方法で作製される。
【0012】
製品の外側面では液体不透過性であるが、その内側部から外側部にむかって液体蒸散性である積層テキスタイル製品は市場でよく知られている。
【0013】
更に、テキスタイル製品業界、および特に衣類製品業界では、2つ以上の上記積層テキスタイル材料の「パネル」または断片を接合し、接合部、結合部または縫合した連結部を形成する複合構造体であって良好な不透過性、可撓性および柔軟性特性を有するものを提供するために、信頼性が高く、効率的で安価な方法を利用する必要があることは知られている。
【0014】
一方、2つ、3つまたはそれ以上の織物層を含む積層織物であって、その内側層に複合テキスタイル構造体を有するものに関しては不透過性の接合部を作製するのに大変な困難に直面する。
【0015】
上記の困難には、種々の要因がある。
【0016】
第一には、液体がウィッキング作用または毛管現象作用によって上記のテキスタイル材料に侵入する。
【0017】
その上、液体の織物材料への浸透を、液状型または非液状型の接着性封止物質を前記織物材料の外側面に適用する事によって防止することは可能ではない。適用した場合織物材料の封止部領域のみにおいて十分な含浸を実現することが必要とされるからである。
【0018】
そのような操作工程は非常に困難なものであり、適用した場合織物製品に許容しがたい剛性をもたらしてしまう。
【0019】
実際にテキスタイル層に使用される個々の糸は、通常図2に模式的に示されるように複数のフィラメントを含み、それらフィラメント間には、ウィッキング作用、毛細管現象作用または漏出作用による吸収工程を含む通常の封止方法によって、液体を封止することができない隙間がもたらされる。
【0020】
実際のところ、従来の封止方法には3つの異なる加工工程が含まれ、それらは、織物材料を準備する工程、それらを接合する工程、および形成された接続部を封止する工程からなる。
【0021】
織物を準備する工程では、テキスタイル繊維を通過する液体の通路に関連する上記の開示を考えると、複合織物の封止領域において、不透過性部分を構成する防護性バリア層表面に至るまで複合テキスタイル材料の内側層を除去する必要がある。
【0022】
図3には、種々の削り出し機またはせん断機並びに研磨機、および方法によって実施され得る、削り出しまたはせん断加工処理が示される。
【0023】
織物断片を接合するために、上記に述べたように織物パネルが準備してあると、前記織物パネルは、縫合、超音波、高周波等の接合方法によって接合され、同時に接続部の面(複数)に不透過性防護バリア部分が露出したまま残される。
【0024】
織物パネルを接合する場合、次いで、接合部の領域の面(複数)の防護バリア部が自由に使えるようにされている部分に不透過性接着テープまたは細片を加熱貼合するテープ貼合機によってそれらを封止することが必要であり、これによって良好な不透過性特性を有する封止接続部が提供される。
【0025】
図4に折り重ね縫合により作製された接続部を示す。
【0026】
図5に単純縫合により作製された前記接続部を示す。
【0027】
図6に超音波または高周波切断加工で作製された接続部を示す。
【0028】
図4〜6では、参照番号1は外側織物、2は防護バリア、3は内側複合織物、そして4は不透過性接着テープまたは細片を示す。
【0029】
本明細書で明確に示すように、封止は接着テープを「未被覆の」不透過性防護バリアに適正に接着させることによって達成される。
【0030】
上記の接合方法および封止方法は、2層または3層以上の積層織物に不透過性接続部を形成するのに最も広く使用されているものであり、その方法では3つの方法工程、すなわち、準備工程、接合工程および封止工程を必ず必要とし、各工程は単一操作あるいは多重操作で実施する必要がある。
【0031】
特に削り出し操作は非常にデリケートな加工であり、この加工操作工程の間ではバリア膜が損傷されやすく、あるいはテキスタイル繊維が露出したまま残される可能性があるからであり、この場合では最終的な接続部は織物の可撓性および柔軟性に悪影響を与える大きな厚みを有する。
【0032】
加えて、上記接合方法は、縫合接続部において織物を貫通する穴(複数)をあけ、糸またはヤーンを用いてそれらを更に封止する必要がある追加工程が更に含まれる。
【0033】
その上、種々の機械および、ヤーンおよび不透過性接着テープのような追加の材料を使用する必要があり、これらは織物厚み、織物剛性および接続コストに対して望ましくない増加をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
従って、本発明の目標は、2層または3層の積層織物に不透過性の接続部を効率的にかつ安価に作製する方法を提供することであって、その織物は織物の内側接合部側に複合テキスタイル構造体を有する。
【0035】
上記の目標に沿った本発明の主目的は、封止操作または溶接操作のみで作製することができるそのような接合構造体を提供することであり、この操作では削り出し、材料除去、テープ貼り操作、および超音波または高周波縫合操作を用いない。
【0036】
本発明の別の目的は、防護性のまたは防護性でない衣服並びに、例えば靴、技術装置用部品および供給装備などの物品を安価で安全な方式で提供することであり、つまり審美的に快適な物品であって、良好な不透過性、手触り感および着用性並びに非常に小さな厚みを有するものを提供することである。
【0037】
本発明の更に別の目的は、そのような特別に設計された構造的特徴による織物構造体を提供することであり、その織物構造体は、作動中に非常に高信頼性であり安全である。
【課題を解決するための手段】
【0038】
本発明の一態様により、上記の目標および目的、並びに以降の記述でより明らかになる更なるその他の目的
は、本発明の不透過性接続部の作製方法によって達成され、その方法は特に3層の積層織物に使われ、積層織物は、接合部側に複合構造を有するいわゆるソフトシェル織物、または2層積層織物いわゆるハードシェル織物材料であり、または積層織物の片側もしくは両側に起毛したパイル、すなわち片面/両面フリース織物材料が含まれる。
【0039】
本発明の更なる特徴および利点は、下記の好適であるが排他的ではない本発明の実施形態の詳細な開示により更に明らかになり、その実施形態を添付図の実施例で説明するが、例示を意図するものであって限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】3層積層織物の断面図。
【図2】複数のフィラメントを含有する単一の糸を示す図。
【図3】削り出しまたは材料除去操作したものを示す図。
【図4】折り重ね縫合およびテープ貼りの接合操作によって作製された接続部を示す図。
【図5】単純縫合およびテープ貼りの操作によって作製された接続部を示す図。
【図6】超音波または高周波の切断およびテープ貼り操作によって作製された接続部を示す図。
【図7】本発明による焼灼工程を織物の7aは表側に、7bは裏側にかけたことを示す図。
【図8】本発明による傾斜切断の操作工程を織物の8aは表側に、8bは裏側にかけたことを示す図。
【図9】本発明による接着材料を貼合する更なる操作工程を織物の9aは表側に、9bは裏側に、9cは接着材料を突出している状態で貼合する更なる操作工程を織物の裏側にかけたことを示す図。
【図10】本発明による封止または溶接組立ての操作工程をかけたことを示す図。
【図11】本発明による溶接で実施された組立ての操作工程を示す図であって、本発明による突出している接着材料を更に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
上記の図の参照番号を参照して、本発明による接合または封止方法は、接合部作製工程に関しては2つだけの操作工程、すなわち織物材料を準備するための準備工程と、封止接合工程とを含み、織物の外側で目に見える方法で適用されるヤーンまたは封止接着テープ形態の追加材料を利用することはない。
【0042】
本発明の方法により、不透過性の防護性衣類および非常に広範囲のその他のテキスタイル製品であって、従来の作製方法では得ることができなかった技術的特徴を有するものが効率的に作製できる。
【0043】
織物準備工程には、3つの操作または加工処理である下位工程、すなわち焼灼工程、切削工程および接着剤貼合工程が含まれる。
【0044】
上記の3つの工程は特別に設計された機械によって実行でき、その機械は、上記3つの工程の全てを単一パスで、かつ逐次的方式で実施するように構成される。
【0045】
前記の機械を、そのレイアウトおよび稼働形態に関連して、縫付け機またはテープ貼り機に組み入れて、非常小さい空間で3つの上記操作工程を逐次的に実施できる。
【0046】
図7に示される焼灼工程は、第一の加工処理工程であり、局部的処理を200〜350℃に可変できる温度に過熱した1つ以上の空気ジェットで150〜250kPa(1.5〜2.5バール)の圧力をかけて実施することによってテキスタイル構造体の表面を変性するように設計されている。
【0047】
この加熱加工処理工程は、2層もしくは3層の複合積層織物の片面もしくは両面に対して実施でき、または平滑領域と起毛したパイル領域との両方、もしくは突出するパターンを含む表面を有する織物層に実施できる。
【0048】
第一の場合で、図7に示される前記焼灼工程は、織物構造体表面を十分に変性し、それにより前記表面を樹脂状態にまでに至らせ、かつ吸引によってそれらを部分的に除去し平滑化する。
【0049】
第二の場合(織物)では、パイルまたはフリースは、織物表面を平滑で緻密な織物材料を形成するように適用される。
【0050】
この操作工程では、過熱した空気ジェットは、処理されている織物表面を焼灼するために必要に応じて温度、流量および圧力を活用して関連領域だけに作用させる。
【0051】
前記焼灼工程によりテキスタイル層が変性され、緻密化され、テキスタイル層が溶接/封止操作に向けて準備され、こうして加工された織物表面は液体が織物を透過することを防止し、それによって接着剤は機械的強度の低いフィラメントではなくて良好な機械的引き裂き強度を有する丈夫な表面に適用されることになる。
【0052】
前記焼灼工程により織物厚さがさらに減少され、そのことは起毛したパイルまたはフリース織物に非常に有益である。織物の手触り感および着用特性が大幅に改善されるからである。
【0053】
図8に示される切断工程は焼灼工程の直後に実施され、織物上に傾斜切断を形成する様に設計され、その切断は織物の内側から外側に向かって、またはその逆方向に延びていてよく、かつ未処理加工の織物またはすでに焼灼された織物のどちらかに実施してよい。
【0054】
詳細には、その切断操作は、例えば積層材料、革状材料、人工皮革材料、スカイマテリアル(sky material)等の所望する任意の織物材料に実施してよい。
【0055】
この切断工程は、切断機を適正に調整することによって種々の織物厚さに適用可能であり、同時に切断角度を20〜45度に変更し、従って織物の切断長さも変更可能である。
【0056】
上記のことから、個別層または複数層の表面は、傾斜切断を形成することによって、直角切断に対して織物厚さおよび切断角度に依存する拡大された様式で外側に露出されることが明らかである。
【0057】
傾斜切断の別の効果は、直角切断の接続部を形成するための複雑な工程を無くする効果であり、これにより改善された着用性および手触り感を有する織物接続部を形成する。
【0058】
接着材料の貼合工程においては、機械によって、紙またはプラスチックの支持体に担持させた接着剤フィルムを織物に貼合する。
【0059】
このような貼合は、位置的に正確なものである必要があり、前記接着剤フィルムの融解が無い状態で織物に接着剤フィルムを転写できるように、120〜160℃の温度において加熱実施される。
【0060】
詳細には、接着剤フィルムは80〜200μmの厚さおよび8〜20mmの幅を有すであろうし、実施された切断に応じて織物の表側または裏側のいずれかに、任意の所望の位置および大きさで、未処理加工の織物およびすでに焼灼した織物のどちらかに適用してよい。
【0061】
図9aおよび9bに明確に示されたように、接着材料は切断部だけに配置するか、または切断部自体の内側部および外側部のどちらかで0〜5mmの距離にわたって突出させてよい(図9c参照)。
【0062】
これに関連して、目的とする織物および条件に適合する、種々の特性、組成および厚さを有した幾つかの接着剤フィルム、例えば着色フィルム、反射性フィルムおよび特注フィルムが公知であり、それらを使用してよいことを指摘する必要がある。
【0063】
開示したように、織物を準備する工程には、焼灼工程(工程A)、切断工程(工程B)および接着剤貼合(工程C)の3つがある。
【0064】
所望であれば、1つまたは2つの加工処理工程を任意に省くことが可能であり、これにより次のような操作工程の組合せ、A−B−C−AB−AC−BC−ABCが可能となる。
【0065】
更に、切断角度の変更によってその操作工程を種々の織物タイプおよび厚さに適合させることが可能であり、その上、意図する大きさの所望のフィルムを所望の位置に適用できるだけでなく、前記フィルムを織物から突出させるように実施することも可能である。
【0066】
上記操作工程の全ては、織物の加工処理機により、逐次的かつワンパス運転で前記3つの操作工程を1〜3m/分の加工処理速度で実行することによって実施できる。
【0067】
更に、本発明の方法によって作製できる接続部をもっと詳細な様式で開示する前に、織物の物理的・機械的・審美的特徴、並びに焼灼操作、傾斜切断操作、および接着剤貼合操作を以下に簡潔に開示する。
【0068】
上記工程は、全ての織物材料および所望であれば他の材料に対しても、全体的にまたは部分的に適用してよいが、詳細には、それら材料が1つまたは2つの外側表面を有する織物材料であって、それらの外側表面が起毛したパイルパターン、具体的にはパイル−フリース、カード、ビロード、不織布、嵩高等の織物材料を含むものに、不透過性または不透過性でない接続部を作製する際の問題を解決するように特別に設計されている。
【0069】
上記織物は、衣類を液体不透過性にするためのバリア膜またはバリアフィルムを有するか、または不透過性バリアフィルムを有さないかのいずれかの、2/3層の積層織物であってもよい。
【0070】
接着剤接合を上記の両方の場合で作製すると劣悪な機械的封止を得ることになる。理由は接着剤材料が織物表面層、すなわち起毛したパイル層に作用し、その結果接続部の機械的強度は、低強度の表面繊維のみに依存し、接着剤の結合した区域を拠り所としないようになるからである。
【0071】
その上、不透過性接合の形成操作においては、前述したように起毛したパイル層はウィッキング作用および毛細管現象作用によって液体を輸送することになる。
【0072】
前述のように、本発明には、加熱処理により実施される好都合な焼灼工程が含まれ、加熱処理は起毛したパイル織物の外側層を形成するテキスタイル繊維をプラスチック状態に至らせ、かつ焼灼する。その焼灼工程は、空気の流量、速度および温度を適切に制御することによって焼灼残渣を剥がし、かつ除去できる。
【0073】
この処理によって、テキスタイル繊維は構造を完全に変換し、かつ除去され、同時に織物厚さは減少され、液体通過を防止し高い引き裂き強度を与えるための接着剤接合操作に適応する高強度表面が形成される。
【0074】
本発明による傾斜切断は、織物および織物を形成する糸を調節可能に傾斜させるものであり、更に接着剤接続部を適正に接続し封止することを可能にし、同時に非常に改善された手触り感および着用性をもたらす。
【0075】
従って、本発明の不透過性接続部は、図10および11に示されるような繊維を焼灼したテキスタイルの突合封じを形成し、それらの図は突合封じ接続部を有するベベルド(beveled)接続部を例示する。
【0076】
開示したように、織物の準備工程では、接着フィルムは、接着剤フィルムの融解が無い状態で接着剤フィルムをその支持体から織物へと転写するように前記織物に加熱貼合され、この接着剤接合方法は、それ自体が市場で周知である、連続的な接着剤貼合機と、またはテープ貼り機およびカルーセル機(carousel machine)とのどちらかによって実行され、その機械は、接続部を、温度120〜180℃、圧力19.6〜49.0kPa(0.2〜0.5kg/cm2)、時間5〜15秒での処理を受けさせるように設計してある。
【0077】
開示したように、本発明の方法により、織物の片側または両側に起毛したパイルを有する従来の織物(片側/両側フリース織物)、および防護膜(ソフトシェル−ハードシェル)の織物材料を有する工業用多層織物の両方を接合することができる。
【0078】
第一の場合では最小の厚さおよび非常に柔軟な接続部が得られ、一方第二の場合では、その接続部は上記特徴に加えて、封止ヤーンおよび接着剤テープを使用しないで液体不透過性特性をも有することになる。
【0079】
本発明は意図する目標および目的を完全に達成すると分かった。
【0080】
実際に、本発明は、複合テキスタイル構造体(ソフト/ハードシェル)を有する2つ以上の積層織物パネルの間に、不透過性で高信頼性の封止接続部を与えるための新規な、改善した、かつ簡略化した方法を提供する。
【0081】
更に、本発明の方法により従来の起毛したパイル織物(キャメルパイル、起毛、ビロード、片面/両面フリース織物)を接合し、厚さが小さく継ぎ目のない接続部を提供できる。
【0082】
詳細には、本発明は、接続部が作製される接合部側に複合テキスタイル構造体を有する2層または3層の積層織物に不透過性接続部を、非常に単純かつ迅速な封止および溶接操作によって、材料除去、削り出し、テープ貼り、縫付けおよび超音波または高周波封止の操作を使用しないで、実用的かつ経済的に作製するという目的を達成する。
【0083】
開示したように、本発明は、防護性衣類、または、例えば靴、技術装置用部品および供給装備等の非防護性衣類のどちらをも非常に安価で安全な方法で作製することを可能にし、それによって非常に良好な手触り感および着用性、不透過性特徴並びに最小厚さを有する審美的に快適な物品を提供する。
【0084】
本発明の実施に際して、使用される材料、並びに付随する大きさおよび形状は、必要に応じて任意であってよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は積層織物を不透過性接合する方法に関し、その積層織物は、内側に1つの膜と、接合面に1つの複合構造体もしくはいわゆるフリース−パイル面、または起毛したパイル織物もしくはいわゆる片面/両面フリース織物とを有する。
【背景技術】
【0002】
液体不透過性の織物を形成するために、テキスタイル材料をバリア膜のプライもしくは層で、被覆もしくは積層して作製した複合テキスタイル製品は、周知のものであり広く使用されている。
【0003】
前述のテキスタイル製品は「積層」織物と言われ、通常防護服またはその他の液体不透過性テキスタイル物品を作製するのに使用されている。
【0004】
積層織物は2つ以上の層を含み、その層の少なくとも1つはバリア膜層で構成される。
【0005】
図1は3層の積層織物(いわゆるソフトシェル織物)を示し、そのものは最も一般的に使用される積層織物であり、外側織物1と、内側の層を構成する、バリア膜層2と複合構造体3(いわゆるフリースパイル構造体)とを含む。
【0006】
織物1は種々の型のテキスタイルシートであり、そのものは複合テキスタイル材料を含んでいてもいなくてもよい。
【0007】
バリア膜2は、一方向に(その内側から外側へ)液体蒸散性の合成材料フィルムであり、かつ、その反対方向には液体不透過性である。
【0008】
内側層3,またはフリースパイル層である「テキスタイル構造体」用語は、種々の加工テキスタイル製品を表わすことを意図する(加工テキスタイル製品は、輪郭切削、切欠加工、リッジング(ridging)もしくは起毛(raising)等により加工されるものであり、またはフィラメント繊維構造体であって織物もしくは不織布、編物、ブラシ仕上げ、起毛、毛羽立て等の材料が挙げられる)。
【0009】
積層織物は現在のところ、衣類、被覆製品または裏打ち製品、その他の液体不透過性物品を作製するのに使用され、それらは液体蒸散性の特性を有する。
【0010】
上記製品は「ソフトシェル」製品と呼ばれ、それらには可撓性で柔軟な接合部と、製品の外側に高度な耐久性を有しかつ内側に良好な柔軟性を有する複合テキスタイル材料とが含まれ、所望の手触り感、着用性および快適性を提供するからである。
【0011】
上記の製品は通常、材料の除去および封止テープの適用を含む、非常に複雑な加工処理工程および方法で作製される。
【0012】
製品の外側面では液体不透過性であるが、その内側部から外側部にむかって液体蒸散性である積層テキスタイル製品は市場でよく知られている。
【0013】
更に、テキスタイル製品業界、および特に衣類製品業界では、2つ以上の上記積層テキスタイル材料の「パネル」または断片を接合し、接合部、結合部または縫合した連結部を形成する複合構造体であって良好な不透過性、可撓性および柔軟性特性を有するものを提供するために、信頼性が高く、効率的で安価な方法を利用する必要があることは知られている。
【0014】
一方、2つ、3つまたはそれ以上の織物層を含む積層織物であって、その内側層に複合テキスタイル構造体を有するものに関しては不透過性の接合部を作製するのに大変な困難に直面する。
【0015】
上記の困難には、種々の要因がある。
【0016】
第一には、液体がウィッキング作用または毛管現象作用によって上記のテキスタイル材料に侵入する。
【0017】
その上、液体の織物材料への浸透を、液状型または非液状型の接着性封止物質を前記織物材料の外側面に適用する事によって防止することは可能ではない。適用した場合織物材料の封止部領域のみにおいて十分な含浸を実現することが必要とされるからである。
【0018】
そのような操作工程は非常に困難なものであり、適用した場合織物製品に許容しがたい剛性をもたらしてしまう。
【0019】
実際にテキスタイル層に使用される個々の糸は、通常図2に模式的に示されるように複数のフィラメントを含み、それらフィラメント間には、ウィッキング作用、毛細管現象作用または漏出作用による吸収工程を含む通常の封止方法によって、液体を封止することができない隙間がもたらされる。
【0020】
実際のところ、従来の封止方法には3つの異なる加工工程が含まれ、それらは、織物材料を準備する工程、それらを接合する工程、および形成された接続部を封止する工程からなる。
【0021】
織物を準備する工程では、テキスタイル繊維を通過する液体の通路に関連する上記の開示を考えると、複合織物の封止領域において、不透過性部分を構成する防護性バリア層表面に至るまで複合テキスタイル材料の内側層を除去する必要がある。
【0022】
図3には、種々の削り出し機またはせん断機並びに研磨機、および方法によって実施され得る、削り出しまたはせん断加工処理が示される。
【0023】
織物断片を接合するために、上記に述べたように織物パネルが準備してあると、前記織物パネルは、縫合、超音波、高周波等の接合方法によって接合され、同時に接続部の面(複数)に不透過性防護バリア部分が露出したまま残される。
【0024】
織物パネルを接合する場合、次いで、接合部の領域の面(複数)の防護バリア部が自由に使えるようにされている部分に不透過性接着テープまたは細片を加熱貼合するテープ貼合機によってそれらを封止することが必要であり、これによって良好な不透過性特性を有する封止接続部が提供される。
【0025】
図4に折り重ね縫合により作製された接続部を示す。
【0026】
図5に単純縫合により作製された前記接続部を示す。
【0027】
図6に超音波または高周波切断加工で作製された接続部を示す。
【0028】
図4〜6では、参照番号1は外側織物、2は防護バリア、3は内側複合織物、そして4は不透過性接着テープまたは細片を示す。
【0029】
本明細書で明確に示すように、封止は接着テープを「未被覆の」不透過性防護バリアに適正に接着させることによって達成される。
【0030】
上記の接合方法および封止方法は、2層または3層以上の積層織物に不透過性接続部を形成するのに最も広く使用されているものであり、その方法では3つの方法工程、すなわち、準備工程、接合工程および封止工程を必ず必要とし、各工程は単一操作あるいは多重操作で実施する必要がある。
【0031】
特に削り出し操作は非常にデリケートな加工であり、この加工操作工程の間ではバリア膜が損傷されやすく、あるいはテキスタイル繊維が露出したまま残される可能性があるからであり、この場合では最終的な接続部は織物の可撓性および柔軟性に悪影響を与える大きな厚みを有する。
【0032】
加えて、上記接合方法は、縫合接続部において織物を貫通する穴(複数)をあけ、糸またはヤーンを用いてそれらを更に封止する必要がある追加工程が更に含まれる。
【0033】
その上、種々の機械および、ヤーンおよび不透過性接着テープのような追加の材料を使用する必要があり、これらは織物厚み、織物剛性および接続コストに対して望ましくない増加をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
従って、本発明の目標は、2層または3層の積層織物に不透過性の接続部を効率的にかつ安価に作製する方法を提供することであって、その織物は織物の内側接合部側に複合テキスタイル構造体を有する。
【0035】
上記の目標に沿った本発明の主目的は、封止操作または溶接操作のみで作製することができるそのような接合構造体を提供することであり、この操作では削り出し、材料除去、テープ貼り操作、および超音波または高周波縫合操作を用いない。
【0036】
本発明の別の目的は、防護性のまたは防護性でない衣服並びに、例えば靴、技術装置用部品および供給装備などの物品を安価で安全な方式で提供することであり、つまり審美的に快適な物品であって、良好な不透過性、手触り感および着用性並びに非常に小さな厚みを有するものを提供することである。
【0037】
本発明の更に別の目的は、そのような特別に設計された構造的特徴による織物構造体を提供することであり、その織物構造体は、作動中に非常に高信頼性であり安全である。
【課題を解決するための手段】
【0038】
本発明の一態様により、上記の目標および目的、並びに以降の記述でより明らかになる更なるその他の目的
は、本発明の不透過性接続部の作製方法によって達成され、その方法は特に3層の積層織物に使われ、積層織物は、接合部側に複合構造を有するいわゆるソフトシェル織物、または2層積層織物いわゆるハードシェル織物材料であり、または積層織物の片側もしくは両側に起毛したパイル、すなわち片面/両面フリース織物材料が含まれる。
【0039】
本発明の更なる特徴および利点は、下記の好適であるが排他的ではない本発明の実施形態の詳細な開示により更に明らかになり、その実施形態を添付図の実施例で説明するが、例示を意図するものであって限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】3層積層織物の断面図。
【図2】複数のフィラメントを含有する単一の糸を示す図。
【図3】削り出しまたは材料除去操作したものを示す図。
【図4】折り重ね縫合およびテープ貼りの接合操作によって作製された接続部を示す図。
【図5】単純縫合およびテープ貼りの操作によって作製された接続部を示す図。
【図6】超音波または高周波の切断およびテープ貼り操作によって作製された接続部を示す図。
【図7】本発明による焼灼工程を織物の7aは表側に、7bは裏側にかけたことを示す図。
【図8】本発明による傾斜切断の操作工程を織物の8aは表側に、8bは裏側にかけたことを示す図。
【図9】本発明による接着材料を貼合する更なる操作工程を織物の9aは表側に、9bは裏側に、9cは接着材料を突出している状態で貼合する更なる操作工程を織物の裏側にかけたことを示す図。
【図10】本発明による封止または溶接組立ての操作工程をかけたことを示す図。
【図11】本発明による溶接で実施された組立ての操作工程を示す図であって、本発明による突出している接着材料を更に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
上記の図の参照番号を参照して、本発明による接合または封止方法は、接合部作製工程に関しては2つだけの操作工程、すなわち織物材料を準備するための準備工程と、封止接合工程とを含み、織物の外側で目に見える方法で適用されるヤーンまたは封止接着テープ形態の追加材料を利用することはない。
【0042】
本発明の方法により、不透過性の防護性衣類および非常に広範囲のその他のテキスタイル製品であって、従来の作製方法では得ることができなかった技術的特徴を有するものが効率的に作製できる。
【0043】
織物準備工程には、3つの操作または加工処理である下位工程、すなわち焼灼工程、切削工程および接着剤貼合工程が含まれる。
【0044】
上記の3つの工程は特別に設計された機械によって実行でき、その機械は、上記3つの工程の全てを単一パスで、かつ逐次的方式で実施するように構成される。
【0045】
前記の機械を、そのレイアウトおよび稼働形態に関連して、縫付け機またはテープ貼り機に組み入れて、非常小さい空間で3つの上記操作工程を逐次的に実施できる。
【0046】
図7に示される焼灼工程は、第一の加工処理工程であり、局部的処理を200〜350℃に可変できる温度に過熱した1つ以上の空気ジェットで150〜250kPa(1.5〜2.5バール)の圧力をかけて実施することによってテキスタイル構造体の表面を変性するように設計されている。
【0047】
この加熱加工処理工程は、2層もしくは3層の複合積層織物の片面もしくは両面に対して実施でき、または平滑領域と起毛したパイル領域との両方、もしくは突出するパターンを含む表面を有する織物層に実施できる。
【0048】
第一の場合で、図7に示される前記焼灼工程は、織物構造体表面を十分に変性し、それにより前記表面を樹脂状態にまでに至らせ、かつ吸引によってそれらを部分的に除去し平滑化する。
【0049】
第二の場合(織物)では、パイルまたはフリースは、織物表面を平滑で緻密な織物材料を形成するように適用される。
【0050】
この操作工程では、過熱した空気ジェットは、処理されている織物表面を焼灼するために必要に応じて温度、流量および圧力を活用して関連領域だけに作用させる。
【0051】
前記焼灼工程によりテキスタイル層が変性され、緻密化され、テキスタイル層が溶接/封止操作に向けて準備され、こうして加工された織物表面は液体が織物を透過することを防止し、それによって接着剤は機械的強度の低いフィラメントではなくて良好な機械的引き裂き強度を有する丈夫な表面に適用されることになる。
【0052】
前記焼灼工程により織物厚さがさらに減少され、そのことは起毛したパイルまたはフリース織物に非常に有益である。織物の手触り感および着用特性が大幅に改善されるからである。
【0053】
図8に示される切断工程は焼灼工程の直後に実施され、織物上に傾斜切断を形成する様に設計され、その切断は織物の内側から外側に向かって、またはその逆方向に延びていてよく、かつ未処理加工の織物またはすでに焼灼された織物のどちらかに実施してよい。
【0054】
詳細には、その切断操作は、例えば積層材料、革状材料、人工皮革材料、スカイマテリアル(sky material)等の所望する任意の織物材料に実施してよい。
【0055】
この切断工程は、切断機を適正に調整することによって種々の織物厚さに適用可能であり、同時に切断角度を20〜45度に変更し、従って織物の切断長さも変更可能である。
【0056】
上記のことから、個別層または複数層の表面は、傾斜切断を形成することによって、直角切断に対して織物厚さおよび切断角度に依存する拡大された様式で外側に露出されることが明らかである。
【0057】
傾斜切断の別の効果は、直角切断の接続部を形成するための複雑な工程を無くする効果であり、これにより改善された着用性および手触り感を有する織物接続部を形成する。
【0058】
接着材料の貼合工程においては、機械によって、紙またはプラスチックの支持体に担持させた接着剤フィルムを織物に貼合する。
【0059】
このような貼合は、位置的に正確なものである必要があり、前記接着剤フィルムの融解が無い状態で織物に接着剤フィルムを転写できるように、120〜160℃の温度において加熱実施される。
【0060】
詳細には、接着剤フィルムは80〜200μmの厚さおよび8〜20mmの幅を有すであろうし、実施された切断に応じて織物の表側または裏側のいずれかに、任意の所望の位置および大きさで、未処理加工の織物およびすでに焼灼した織物のどちらかに適用してよい。
【0061】
図9aおよび9bに明確に示されたように、接着材料は切断部だけに配置するか、または切断部自体の内側部および外側部のどちらかで0〜5mmの距離にわたって突出させてよい(図9c参照)。
【0062】
これに関連して、目的とする織物および条件に適合する、種々の特性、組成および厚さを有した幾つかの接着剤フィルム、例えば着色フィルム、反射性フィルムおよび特注フィルムが公知であり、それらを使用してよいことを指摘する必要がある。
【0063】
開示したように、織物を準備する工程には、焼灼工程(工程A)、切断工程(工程B)および接着剤貼合(工程C)の3つがある。
【0064】
所望であれば、1つまたは2つの加工処理工程を任意に省くことが可能であり、これにより次のような操作工程の組合せ、A−B−C−AB−AC−BC−ABCが可能となる。
【0065】
更に、切断角度の変更によってその操作工程を種々の織物タイプおよび厚さに適合させることが可能であり、その上、意図する大きさの所望のフィルムを所望の位置に適用できるだけでなく、前記フィルムを織物から突出させるように実施することも可能である。
【0066】
上記操作工程の全ては、織物の加工処理機により、逐次的かつワンパス運転で前記3つの操作工程を1〜3m/分の加工処理速度で実行することによって実施できる。
【0067】
更に、本発明の方法によって作製できる接続部をもっと詳細な様式で開示する前に、織物の物理的・機械的・審美的特徴、並びに焼灼操作、傾斜切断操作、および接着剤貼合操作を以下に簡潔に開示する。
【0068】
上記工程は、全ての織物材料および所望であれば他の材料に対しても、全体的にまたは部分的に適用してよいが、詳細には、それら材料が1つまたは2つの外側表面を有する織物材料であって、それらの外側表面が起毛したパイルパターン、具体的にはパイル−フリース、カード、ビロード、不織布、嵩高等の織物材料を含むものに、不透過性または不透過性でない接続部を作製する際の問題を解決するように特別に設計されている。
【0069】
上記織物は、衣類を液体不透過性にするためのバリア膜またはバリアフィルムを有するか、または不透過性バリアフィルムを有さないかのいずれかの、2/3層の積層織物であってもよい。
【0070】
接着剤接合を上記の両方の場合で作製すると劣悪な機械的封止を得ることになる。理由は接着剤材料が織物表面層、すなわち起毛したパイル層に作用し、その結果接続部の機械的強度は、低強度の表面繊維のみに依存し、接着剤の結合した区域を拠り所としないようになるからである。
【0071】
その上、不透過性接合の形成操作においては、前述したように起毛したパイル層はウィッキング作用および毛細管現象作用によって液体を輸送することになる。
【0072】
前述のように、本発明には、加熱処理により実施される好都合な焼灼工程が含まれ、加熱処理は起毛したパイル織物の外側層を形成するテキスタイル繊維をプラスチック状態に至らせ、かつ焼灼する。その焼灼工程は、空気の流量、速度および温度を適切に制御することによって焼灼残渣を剥がし、かつ除去できる。
【0073】
この処理によって、テキスタイル繊維は構造を完全に変換し、かつ除去され、同時に織物厚さは減少され、液体通過を防止し高い引き裂き強度を与えるための接着剤接合操作に適応する高強度表面が形成される。
【0074】
本発明による傾斜切断は、織物および織物を形成する糸を調節可能に傾斜させるものであり、更に接着剤接続部を適正に接続し封止することを可能にし、同時に非常に改善された手触り感および着用性をもたらす。
【0075】
従って、本発明の不透過性接続部は、図10および11に示されるような繊維を焼灼したテキスタイルの突合封じを形成し、それらの図は突合封じ接続部を有するベベルド(beveled)接続部を例示する。
【0076】
開示したように、織物の準備工程では、接着フィルムは、接着剤フィルムの融解が無い状態で接着剤フィルムをその支持体から織物へと転写するように前記織物に加熱貼合され、この接着剤接合方法は、それ自体が市場で周知である、連続的な接着剤貼合機と、またはテープ貼り機およびカルーセル機(carousel machine)とのどちらかによって実行され、その機械は、接続部を、温度120〜180℃、圧力19.6〜49.0kPa(0.2〜0.5kg/cm2)、時間5〜15秒での処理を受けさせるように設計してある。
【0077】
開示したように、本発明の方法により、織物の片側または両側に起毛したパイルを有する従来の織物(片側/両側フリース織物)、および防護膜(ソフトシェル−ハードシェル)の織物材料を有する工業用多層織物の両方を接合することができる。
【0078】
第一の場合では最小の厚さおよび非常に柔軟な接続部が得られ、一方第二の場合では、その接続部は上記特徴に加えて、封止ヤーンおよび接着剤テープを使用しないで液体不透過性特性をも有することになる。
【0079】
本発明は意図する目標および目的を完全に達成すると分かった。
【0080】
実際に、本発明は、複合テキスタイル構造体(ソフト/ハードシェル)を有する2つ以上の積層織物パネルの間に、不透過性で高信頼性の封止接続部を与えるための新規な、改善した、かつ簡略化した方法を提供する。
【0081】
更に、本発明の方法により従来の起毛したパイル織物(キャメルパイル、起毛、ビロード、片面/両面フリース織物)を接合し、厚さが小さく継ぎ目のない接続部を提供できる。
【0082】
詳細には、本発明は、接続部が作製される接合部側に複合テキスタイル構造体を有する2層または3層の積層織物に不透過性接続部を、非常に単純かつ迅速な封止および溶接操作によって、材料除去、削り出し、テープ貼り、縫付けおよび超音波または高周波封止の操作を使用しないで、実用的かつ経済的に作製するという目的を達成する。
【0083】
開示したように、本発明は、防護性衣類、または、例えば靴、技術装置用部品および供給装備等の非防護性衣類のどちらをも非常に安価で安全な方法で作製することを可能にし、それによって非常に良好な手触り感および着用性、不透過性特徴並びに最小厚さを有する審美的に快適な物品を提供する。
【0084】
本発明の実施に際して、使用される材料、並びに付随する大きさおよび形状は、必要に応じて任意であってよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合面に複合テキスタイル構造体を有するかまたは有さない3層または2層の積層織物、またはその片面もしくは両面に起毛したパイルを有する織物を不透過性接合する方法であって、前記方法が、織物材料を準備する工程と前記準備した織物を溶接および封止によって接合する工程とを含み、前記織物の準備工程が、織物の焼灼工程と、織物の切断工程と、接着剤適用工程との3つの操作工程を含むことを特徴とする、不透過性接合する方法。
【請求項2】
前記焼灼工程が、織物表面の前記テキスタイル構造体を過熱空気ジェットにより実行される局部的処理によって変性し、前記焼灼工程が、パイルを有するかもしくは有さない2層もしくは3層の複合積層織物、または織物の片側もしくは両側に起毛したパイルを有する織物に実施され、前記焼灼工程が、前記織物繊維を平坦化されたプラスチック状態にし、かつ部分的に除去された状態に至らせることによって構造体の表面繊維を十分に変性し、前記表面パイルが焼灼工程によって除去されたことにより、平滑で緻密な織物材料が形成され、前記焼灼工程では1つ以上の過熱空気ジェットが焼灼温度および圧力において特定の織物区域だけに作用を引き起こし、前記焼灼工程が織物の内部層を侵さないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記切断工程が、前記焼灼工程の直後に実行され、かつ、織物の内側から織物の外側かまたはその反対方向に延びている、織物の傾斜切断を調節可能に実施する工程を含み、前記切断が、未加工織物かまたは既に焼灼した織物で行われ、前記織物が積層材料、革状材料、人工皮革材料、スカイマテリアル(sky material)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記接着剤適用工程が、前記織物に紙またはプラスチック支持体に担持された接着剤フィルムを貼合する工程を含み、前記接着剤フィルムが前記接着剤フィルムを融解しないで前記織物に転写されるように焼灼され、前記接着剤フィルムが前記織物の表面かまたは裏面に配置され、前記織物が未処理であるかまたはすでに焼灼された織物であり、前記接着剤フィルムが前記傾斜切断部のみに配置されるかまたは前記傾斜切断部の内部および外部の両方において突出して配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記3つの工程が、ワンパス操作の中で逐次的に実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記接着剤フィルムが単一の封止用接着剤フィルムであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、熱封止工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、2層または3層のハード/ソフトシェル積層織物に、織物材料の除去、削り出し、縫付け並びに超音波およびテープ貼り操作を必要としないで不透過性接続部を形成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、縫付け操作を使用しないで、織物の片面または両面に起毛したパイル有する片側/両側フリース織物を提供する事を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、少なくとも1つの最小厚さのベベルド接続部を有するテキスタイル製品を提供することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項1】
接合面に複合テキスタイル構造体を有するかまたは有さない3層または2層の積層織物、またはその片面もしくは両面に起毛したパイルを有する織物を不透過性接合する方法であって、前記方法が、織物材料を準備する工程と前記準備した織物を溶接および封止によって接合する工程とを含み、前記織物の準備工程が、織物の焼灼工程と、織物の切断工程と、接着剤適用工程との3つの操作工程を含むことを特徴とする、不透過性接合する方法。
【請求項2】
前記焼灼工程が、織物表面の前記テキスタイル構造体を過熱空気ジェットにより実行される局部的処理によって変性し、前記焼灼工程が、パイルを有するかもしくは有さない2層もしくは3層の複合積層織物、または織物の片側もしくは両側に起毛したパイルを有する織物に実施され、前記焼灼工程が、前記織物繊維を平坦化されたプラスチック状態にし、かつ部分的に除去された状態に至らせることによって構造体の表面繊維を十分に変性し、前記表面パイルが焼灼工程によって除去されたことにより、平滑で緻密な織物材料が形成され、前記焼灼工程では1つ以上の過熱空気ジェットが焼灼温度および圧力において特定の織物区域だけに作用を引き起こし、前記焼灼工程が織物の内部層を侵さないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記切断工程が、前記焼灼工程の直後に実行され、かつ、織物の内側から織物の外側かまたはその反対方向に延びている、織物の傾斜切断を調節可能に実施する工程を含み、前記切断が、未加工織物かまたは既に焼灼した織物で行われ、前記織物が積層材料、革状材料、人工皮革材料、スカイマテリアル(sky material)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記接着剤適用工程が、前記織物に紙またはプラスチック支持体に担持された接着剤フィルムを貼合する工程を含み、前記接着剤フィルムが前記接着剤フィルムを融解しないで前記織物に転写されるように焼灼され、前記接着剤フィルムが前記織物の表面かまたは裏面に配置され、前記織物が未処理であるかまたはすでに焼灼された織物であり、前記接着剤フィルムが前記傾斜切断部のみに配置されるかまたは前記傾斜切断部の内部および外部の両方において突出して配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記3つの工程が、ワンパス操作の中で逐次的に実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記接着剤フィルムが単一の封止用接着剤フィルムであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、熱封止工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、2層または3層のハード/ソフトシェル積層織物に、織物材料の除去、削り出し、縫付け並びに超音波およびテープ貼り操作を必要としないで不透過性接続部を形成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、縫付け操作を使用しないで、織物の片面または両面に起毛したパイル有する片側/両側フリース織物を提供する事を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、少なくとも1つの最小厚さのベベルド接続部を有するテキスタイル製品を提供することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−161918(P2011−161918A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16828(P2011−16828)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(511026186)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(511026186)
【Fターム(参考)】
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