説明

接点ばね付シートおよびこれを用いたスイッチ装置

【課題】別のシート状の部材を上面部に貼り付けた場合にも機能の低下が起こりにくい接点ばね付シートおよびこれを用いたスイッチ装置を提供する。
【解決手段】ドーム状で押圧により反転動作可能な接点ばね111と接点ばね111を一方の面側に保持することができる保持シート112とを有する接点ばね付シート110の一方の面の裏側面である他方の面側には、所定の加工幅寸法で平行に複数本形成された第1凹部と、第1凹部と交差し所定の加工幅寸法で平行に複数本形成された第2凹部とを備えている。第1凹部は所定の加工幅寸法より小さい寸法である第1のピッチ分の間隔をあけて形成され、第2凹部は所定の加工幅寸法より大きい寸法である第2のピッチ分の間隔をあけて形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接点ばね付シートおよびこれを用いたスイッチ装置に関し、特に、接点ばね付シートの上部に別のシート状の部材を貼り付けた場合にも機能の低下を防止することができる接点ばね付シートおよびこれを用いたスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、携帯電話などの携帯可能な電子機器の操作部には、シートの下面側に複数の接点ばねを有した接点ばね付シート及びこれを用いたスイッチ装置が使われることが多い。接点ばね付シートは、使用者が操作したことを操作感触によって使用者に伝えやすいために使われている。
【0003】
実際に電子機器の操作部に使われる場合には、接点ばね付シートの上面側(接点ばねが保持されている面の裏面側)に、所定の位置を照光できる導光シートや接点ばね付シートを保護する為の保護シートなどが粘着剤により貼り付けられることが多い。
【0004】
しかし、本来導光シートや保護シートなどが貼り付いてはいけない部分まで張り付いてしまい、照光部の異常発光や操作感触の劣化などの機能の低下が発生することがあり、そのような機能の低下が起こらない接点ばね付シートおよびこれを用いたスイッチ装置が求められている。
【0005】
導光シートや保護シートなどを上面側に貼り付けたとしても過剰な貼り付きが発生せず機能の低下が発生しない接点ばね付シートおよびこれを用いたスイッチ装置としては、下記の特許文献1に記載の接点ばね付シートおよびこれを用いたスイッチ装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4477684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下、図12および図13を用いて、特許文献1に記載の接点ばね付シートおよびこれを用いたスイッチ装置について説明する。図12は、特許文献1に記載の接点ばね付シートおよびこれを用いたスイッチ装置の一実施形態を示した平面図であり、説明の為、蓋ケースは省略している。図13は、図12に示すスイッチ装置の要部断面図である。
【0008】
特許文献1に記載の接点ばね付シートおよびこれを用いたスイッチ装置は、図12および図13に示すように、光源LI及び複数の固定接点GCが配設された基板CBと、固定接点GCにそれぞれ接離可能な複数の可動接点MSと、可動接点MSを押圧可能な複数の操作キーKYと、複数の可動接点MSが一面に保持される可撓性シートCSと、照光部LLを有する可撓性導光板LGと、可動接点MSを個別に押圧可能な複数の押圧用突起PJと、を備えている。
可撓性シートCSは可動接点MSと固定接点GCとが対向する様に基板CB上に積層され、操作キーKYは可動接点MSを押圧可能な位置に配置されている。
可撓性導光板LGは可撓性シートCSの他面に積層され、光源LIに臨む側端面EFの一部は光源LIからの光が入射される入光部IN形成している。
可撓性シートCSの他面は平滑面FFとなっており、平滑面FFの可動接点MSに対応する位置には押圧用突起PJが配置されており、押圧用突起PJが配置された部分を除いた部分には微小な凹凸形状に形成された凹凸部RGを形成している。
【0009】
しかしながら、昨今、携帯電話などの携帯可能な電子機器の使用環境が多岐に広がり、上記特許文献1に記載の接点ばね付シートおよびこれを用いたスイッチ装置を用いても可撓性導光板の異常張り付きが起こり、機能の低下が発生するケースが増えてきている。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決して、別のシート状の部材を上面部に貼り付けた場合にも機能の低下が起こりにくい接点ばね付シートおよびこれを用いたスイッチ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の接点ばね付シートは、ドーム状で押圧により反転動作可能な接点ばねと、前記接点ばねを一方の面側に保持することができる保持シートとを有する接点ばね付シートにおいて、前記一方の面の裏側面である他方の面側には、所定の加工幅寸法で平行に複数本形成された第1凹部と、前記第1凹部と交差し前記所定の加工幅寸法で平行に複数本形成された第2凹部を備えており、前記第1凹部は前記所定の加工幅寸法より小さい寸法である第1のピッチ分の間隔をあけて形成され、前記第2凹部は前記所定の加工幅寸法より大きい寸法である第2のピッチ分の間隔をあけて形成されている、という特徴を有する。
【0012】
請求項2に記載の接点ばね付シートは、前記第2のピッチの寸法は前記第1のピッチの寸法の2倍である、という特徴を有する。
【0013】
請求項3に記載の接点ばね付シートは、ドーム状で押圧により反転動作可能な接点ばねと、前記接点ばねを一方の面側に保持することができる保持シートとを有する接点ばね付シートにおいて、前記一方の面の裏側面である他方の面側には、所定の加工幅寸法で平行に複数本形成された第1凹部と、前記第1凹部と交差し前記所定の加工幅寸法で平行に複数本形成された第2凹部を備えており、前記第1凹部は前記所定の加工幅寸法と同じ寸法である第1のピッチ分の間隔をあけて形成され、前記第2凹部は前記所定の加工幅寸法と同じ寸法である第2のピッチ分の間隔をあけて形成されている、という特徴を有する。
【0014】
請求項4に記載の接点ばね付シートは、ドーム状で押圧により反転動作可能な接点ばねと、前記接点ばねを一方の面側に保持することができる保持シートとを有する接点ばね付シートにおいて、前記一方の面の裏側面である他方の面側には、所定の加工幅寸法で平行に複数本形成された第1凹部と、前記第1凹部と交差し前記所定の加工幅寸法で平行に複数本形成された第2凹部を備えており、前記第1凹部は前記所定の加工幅寸法と同じ寸法である第1のピッチ分の間隔をあけて形成され、前記第2凹部は前記所定の加工幅寸法よりも大きい寸法である第2のピッチ分の間隔をあけて形成されている、という特徴を有する。
【0015】
請求項5に記載の接点ばね付シートは、ドーム状で押圧により反転動作可能な接点ばねと、前記接点ばねを一方の面側に保持することができる保持シートとを有する接点ばね付シートにおいて、前記一方の面の裏側面である他方の面側には、所定の加工幅寸法で平行に複数本形成された第1凹部と、前記第1凹部と交差し前記所定の加工幅寸法で平行に複数本形成された第2凹部を備えており、前記第1凹部は前記所定の加工幅寸法よりも小さい寸法である第1のピッチ分の間隔をあけて形成され、前記第2凹部は前記所定の加工幅寸法と同じ寸法である第2のピッチ分の間隔をあけて形成されている、という特徴を有する。
【0016】
請求項6に記載の接点ばね付シートは、ドーム状で押圧により反転動作可能な接点ばねと、前記接点ばねを一方の面側に保持することができる保持シートとを有する接点ばね付シートにおいて、前記一方の面の裏側面である他方の面側には、平行に複数形成された第1凹部と、前記第1凹部と交差して、平行に複数形成された第2凹部を備えており、隣り合う前記第1凹部により稜線が形成され、前記第2凹部により前記稜線が複数に分割されている、という特徴を有する。
【0017】
請求項7に記載の接点ばね付シートは、複数の前記第1凹部間の第1のピッチは、複数の前記第2凹部間の第2のピッチよりも狭いピッチである、という特徴を有する。
【0018】
請求項8に記載の接点ばね付シートは、前記第2のピッチは、前記第1のピッチの2倍のピッチである、という特徴を有する。
【0019】
請求項9に記載の接点ばね付シートは、ドーム状で押圧により反転動作可能な接点ばねと、前記接点ばねを一方の面側に保持することができる保持シートとを有する接点ばね付シートにおいて、前記一方の面の裏側面である他方の面側には、平行に複数形成された第1凹部と、前記第1凹部と交差して、平行に複数形成された第2凹部を備えており、複数の前記第1凹部の境界部分及び複数の前記第2凹部の境界部分の交点において複数の突起が形成されている、という特徴を有する。
【0020】
請求項10に記載の接点ばね付シートは、複数の前記第1凹部間の第1のピッチは、複数の前記第2凹部間の第2のピッチと同じピッチであり、前記複数の突起が等間隔で形成されている、という特徴を有する。
【0021】
請求項11に記載の接点ばね付シートは、前記請求項1ないし前記請求項10のいずれかに記載の接点ばね付シートにおいて、前記保持シートの他方の面側に可撓性を有する導光シートが配置されている、という特徴を有する。
【0022】
請求項12に記載のスイッチ装置は、前記請求項1ないし前記請求項11のいずれかに記載の接点ばね付シートと、前記接点ばね付シートが貼付され、前記接点ばねと離接される固定接点を有する基板とを備えた、という特徴を有する。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明によれば、保持シート上に導光シートなどのシート状の外部部材を積層する場合、隣り合う第1凹部と第1凹部との境目に形成された稜線を第2凹部によって分割し短くした複数の線でシート状の外部部材を支持するので、可撓性が高いシート状の外部部材でも過剰な貼りつきが発生することなく支持できる、という効果を奏する。
【0024】
請求項2の発明によれば、第1凹部および第2凹部を加工する時間を大幅に延ばすことなく、シート状の外部部材を支持し過剰な貼りつきを起こさない支持部分を形成できる、という効果を奏する。
【0025】
請求項3の発明によれば、保持シート上に導光シートなどのシート状の外部部材を積層する場合、第1凹部および第2凹部を設けることで形成される複数の略四角錐状の突起の先端部でシート状の外部部材を支持することで、可撓性が高いシート状の外部部材でも過剰な貼りつきが発生することなく支持できる、という効果を奏する。
【0026】
請求項4の発明によれば、保持シート上に導光シートなどのシート状の外部部材を積層する場合、隣り合う第1凹部と第1凹部との境目に形成された稜線を第2凹部によって分割し短くした複数の線でシート状の外部部材を支持するので、可撓性が高いシート状の外部部材でも過剰な貼りつきが発生することなく支持できる、という効果を奏する。
【0027】
請求項5の発明によれば、保持シート上に導光シートなどのシート状の外部部材を積層する場合、第1凹部および第2凹部を設けることで形成される複数の略四角錐状の突起の先端部でシート状の外部部材を支持することで、可撓性が高いシート状の外部部材でも過剰な貼りつきが発生することなく支持できる、という効果を奏する。
【0028】
請求項6の発明によれば、保持シート上に導光シートなどのシート状の外部部材を積層する場合、隣り合う第1凹部と第1凹部との境目に形成された稜線を第2凹部によって分割し短くした複数の線でシート状の外部部材を支持するので、可撓性が高いシート状の外部部材でも過剰な貼りつきが発生することなく支持できる、という効果を奏する。
【0029】
請求項7の発明によれば、第1凹部間の第1のピッチを第2凹部間の第2のピッチよりも狭いピッチとすることで隣り合う第1凹部と第1凹部との境目に形成された稜線を分割して短くした線を形成することができ、シート状の外部部材を短い線で支持するので、可撓性が高いシート状の外部部材でも過剰な貼りつきが発生することなく支持できる、という効果を奏する。
【0030】
請求項8の発明によれば、第1凹部および第2凹部を加工する時間を大幅に延ばすことなく、シート状の外部部材を支持し過剰な貼りつきを起こさない支持部分を形成できる、という効果を奏する。
【0031】
請求項9の発明によれば、保持シート上に導光シートなどのシート状の外部部材を積層する場合、第1凹部および第2凹部を設けることで形成される複数の突起の先端部でシート状の外部部材を支持することで、可撓性が高いシート状の外部部材でも過剰な貼りつきが発生することなく支持できる、という効果を奏する。
【0032】
請求項10の発明によれば、保持シート上に導光シートなどのシート状の外部部材を積層する場合、第1凹部および第2凹部を設けることで等間隔で形成される複数の山頂でシート状の外部部材を支持することで、可撓性が高いシート状の外部部材でも過剰な貼りつきが発生することなく支持できる、という効果を奏する。
【0033】
請求項11の発明によれば、前記請求項1ないし前記請求項10に記載のいずれか1つの接点ばね付シートに前記導光シートを積層することで前記接点ばね付シートを照光させることが可能となり、暗所でも操作しやすい接点ばね付シートを提供できる。
【0034】
請求項12の発明によれば、接点ばね付シートに積層されるシート状の外部部材が接点ばね付シートに過剰に貼りつくことを防ぐことが可能なスイッチ装置を容易に形成することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】スイッチ装置100(200、300、400)の一例を部分的に示した図である。
【図2】スイッチ装置100(200、300、400)の構成を示す分解斜視図である。
【図3】第1実施形態における第1凹部112dおよび第2凹部112eの加工位置を示した図である。
【図4】図3に示す断面の断面図である。
【図5】スイッチ装置100(200、300、400)の動作を示す図である。
【図6】第2実施形態における第1凹部112dおよび第2凹部112eの加工位置を示した図である。
【図7】図3に示す断面の断面図である。
【図8】第3実施形態における第1凹部112dおよび第2凹部112eの加工位置を示した図である。
【図9】図8に示す断面の断面図である。
【図10】第4実施形態における第1凹部112dおよび第2凹部112eの加工位置を示した図である。
【図11】図10に示す断面の断面図である。
【図12】特許文献1に記載の接点ばね付シートおよびこれを用いたスイッチ装置の一実施形態を示した平面図である。
【図13】図12に示すスイッチ装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[第1実施形態]
以下に第1実施形態における接点ばね付シートを用いたスイッチ装置100について、図1ないし図5を用いて説明する。
【0037】
図1はスイッチ装置100(200、300、400)の一例を部分的に示した図であり、図1(a)はスイッチ装置100(200、300、400)の一部を示す上面図であり、図1(b)は図1(a)の断面1Bを示す断面図である。なお、図1(a)には説明の都合上、導光シート114は記載していない。
【0038】
図2はスイッチ装置100(200、300、400)の構成を示す分解斜視図である。
【0039】
図3は、第1実施形態における第1凹部112dおよび第2凹部112eの加工位置を示した図である。なお、図3には説明の都合上、導光シート114は記載していない。
【0040】
図4は、図3に示す断面の断面図であり、図4(a)は断面4A−4Aを示す図であり、図4(b)は断面4B−4Bを示す図である。なお、図4(a)と図4(b)とには説明の都合上、導光シート114は記載していない。
【0041】
図5は、スイッチ装置100(200、300、400)の動作を示す図である。
【0042】
はじめに本実施形態におけるスイッチ装置100の構成部品について説明する。スイッチ装置100は、図1および図2に示すように、一方の面側に接点ばね111を保持し他方の面側に導光シート114が積層された接点ばね付シート110と、接点ばね111と離接される固定接点121を有する基板120と、を備えており、接点ばね111と固定接点121とが接離可能となるように接点ばね付シート110と基板120とが積層されている。
【0043】
接点ばね付シート110は、ドーム状で押圧により反転動作可能な接点ばね111と、接点ばね111を一方の面側に保持することができる保持シート112と、保持シート112を介して接点ばね111を押圧可能なプロジェクション113と、透光性を有し外部から光を導く導光シート114を有する。
【0044】
接点ばね111は、図1に示すように、弾性と導電性とを有した金属板からなり、プレス加工でドーム形状に形成されている。接点ばね111は、ドーム形状の頂点位置に当たる頂部111a側から押圧されると押圧された方向に弾性変形し、押圧から開放されると弾性により元の形状に戻る。
【0045】
接点ばね111は頂部111a側から見ると円形状をしているが、必要に応じて対向する両端部を切り落とし略矩形状としても良い。
【0046】
保持シート112は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate、ポリエチレンテレフタレート)等の透明な合成樹脂材料からなり、可撓性を有し2層に積層されたシート形状に形成されている。
【0047】
保持シート112の一方の面側には粘着剤が塗布された粘着層112aが形成されている。これにより、接点ばね111を粘着層112aに貼り付けることで接点ばね111を保持することが可能となる。また、保持シート112の一方の面側には、保持シート112が部分的に1層になり凹形状の接点ばね保持部112bが形成されており、接点ばね111は頂部111aと粘着層112aとが当接するように接点ばね保持部112b内に保持される。
【0048】
接点ばね保持部112bに保持された接点ばね111の頂部111aに対応する保持シート112の他方の面側には、球面状の受け皿部112cが形成されている。
【0049】
また、保持シート112の他方の面側にはプロジェクション113が他方の面側の表面に密着しやすくなるように易接着加工が施されているとともに、図1(a)に示すように、プロジェクション113が配置される受け皿部112cおよび受け皿部112cの周辺部を除く領域で所定の加工幅寸法PL(図4(a)参照、D2部寸法に相当)で平行に複数本形成された第1凹部112d(図4(a)参照)と、第1凹部112dと交差し所定の加工幅寸法PL(図4(b)参照、D4部寸法に相当)で平行に複数本形成された第2凹部112e(図4(b)参照)とが形成される凹部形成領域112fが設けられている。
【0050】
なお、第1凹部112dおよび第2凹部112eとはレーザー加工で形成され、所定の加工幅寸法PLは加工に用いるレーザー光の幅寸法と同等である。
【0051】
また、第1凹部112dは第1のピッチP1分の間隔(図4(a)参照、D1部寸法に相当)をあけて形成され、第2凹部112eは第1のピッチP1より大きい寸法である第2のピッチP2分の間隔(図4(b)参照、D3部寸法に相当)をあけて形成されている。なお、第1凹部112dは所定の加工幅寸法PLより小さい寸法である第1のピッチP1分の間隔をあけて形成され、第2凹部112eは所定の加工幅寸法PLより大きい寸法である第2のピッチP2分の間隔をあけて形成されており、第2のピッチP2の寸法は第1のピッチP1の寸法の2倍である。
【0052】
第1凹部112dは、図3に示すように、第1のピッチP1の間隔(D1部寸法に相当)で想定した複数本の仮想直線L112dに沿ってレーザー光で加工される。そのとき、第1凹部112dは仮想直線L112dをまたいで所定の加工幅寸法PL(D2部寸法に相当)で形成される。
【0053】
また、第2凹部112eは、第1凹部112dと同様に、第2のピッチP2(D3部寸法に相当)で想定した複数本の仮想直線L112eに沿ってレーザー光で加工される。そのとき、第2凹部112eは仮想直線L112eをまたいで所定の加工幅寸法PL(D4部寸法に相当)で形成される。
【0054】
なお、図3において仮想直線L112dおよび仮想直線L112eを実線で標記しているが、説明上の都合によるものであり実在はしない。
【0055】
上記のように第1凹部112dを所定の加工幅寸法PLより小さい寸法である第1のピッチP1分の間隔をあけて形成することで、幅方向の端部(OL1部)はオーバーラップして加工され、図4(a)に示すように、その断面は他方の面から離れる方向に頂点を持って頂部PP1とする複数の略三角形の突起形状に形成される。
【0056】
第1凹部112dの幅方向の端部をオーバーラップして加工することで、他方の面に施された易接着加工がレーザー光により飛ばされることになり、他方の面に導光シート114が配置されるときには、易接着加工が作用することはないものとなっている。
【0057】
また、第1のピッチP1で加工される第1凹部112dと第2のピッチP2で加工される第2凹部112eとの交差部分はレーザー加工を2度行なっているため、第1凹部112dと第2凹部112eとの交差部分の深さは、第1凹部112dと第2凹部112eとの交差部分以外の深さの約2倍の深さとなる。そのため、表面の凹凸が増し導光シート114が貼り付きにくくなる方向に作用することとなる。しかし、説明内容を簡潔にするため、この重ね合わせの効果が生じないものとして説明することとした。
【0058】
また、第2凹部112eを第2のピッチP2分の間隔をあけて形成することで、図4(b)に示すように、その断面は他方の面から離れる方向に複数の略台形の突起形状に形成される。
【0059】
第1凹部112dおよび第2凹部112eを設けることで、凹部形成領域112fには頂部PP1が他方の面から離れる方向での頂点となっての略三角柱を寝かせた形状の複数の突起が形成され、導光シート114が他方の面側に配置されるときには導光シート114を複数の線で支持する。
【0060】
プロジェクション113は、図1(a)および図1(b)に示すように、例えば、可視光の透過性を有した紫外線硬化樹脂を受け皿部112c内に充填して硬化させ、保持シート112の他面から遠ざかる方向に球面状に突出して形成されている。受け皿部112cは、レーザー光による加工がされないため、表面の易接着加工が施されたままの状態になっているので、プロジェクション113が受け皿部112cの表面に密着することとなり、受け皿部112cから外れにくくなっている。
【0061】
導光シート114は、図1(b)に示すように、透光性を有した合成樹脂材からなり、シート状に形成されている。導光シート114の一方の面側には粘着剤が塗布された粘着層114aが形成され、粘着層114a側を保持シート112の他方の面側に向け、プロジェクション113を覆うように保持シート112に積層されている。
【0062】
また、導光シート114の他方の面側のプロジェクション113に対応する位置を含む領域には外部から導いてきた光を照射する加工が施されている。光を照射する加工としてはインクを塗布する、溝加工を施すなどあるが詳細な説明は割愛する。
【0063】
次に基板120について図2を用いて説明する。
【0064】
基板120は、例えば、フェノール樹脂等の積層板からなり、その上面側には複数の固定接点121が配置されている。固定接点121は、導電性を有する銀やカーボン等の印刷により形成されており、一対の中央接点121aと周辺接点121bとから構成されている。
【0065】
中央接点121aは円盤状に形成され、周辺接点121bは中央接点121aの周囲を囲むように円環状に形成されており、中央接点121aと周辺接点121bとの間に電気的な接続はない。
【0066】
次にスイッチ装置100の構造について説明する。
【0067】
スイッチ装置100は、接点ばね111がそれぞれ対応する固定接点121上に配置されるように接点ばね付シート110と基板120とを積層することで形成される。接点ばね付シート110と基板120とは、保持シート112の粘着層112aによって固定される。これにより、固定接点121上に配置された接点ばね111の外周端部と周辺接点121bとは常時電気的に接続され、スイッチ機構が形成される。
【0068】
次にスイッチ装置100の動作について図5を用いて説明する。
【0069】
スイッチ装置100は外部から押圧されていないとき、図5(a)に示すような状態にあり、接点ばね111と周辺接点121bとは電気的に接続されているが、接点ばね111と中央接点121aとは電気的な接続はない。スイッチ装置100が、図5(b)に示すように、外部から矢印P方向に押圧されると、プロジェクション113が押圧され、押圧されたプロジェクション113は保持シート112を介して接点ばね111の頂部111aを押圧し、接点ばね111は押圧された方向に変形する。その後、図5(c)に示すように、さらに矢印P方向に押圧されると、接点ばね111は中央接点121aと接触し、接点ばね111を介して中央接点121aと周辺接点121bとの間が電気的に接続される。
【0070】
押圧を解除すると、接点ばね111は有したばね性により図5(a)に示すような元の形状に戻り、中央接点121aと周辺接点121bとの間の電気的な接続がなくなる。
【0071】
このように接点ばね111と中央接点121aとが接離可能に配置されることでスイッチ機構が構成され、スイッチ装置100として機能する。
【0072】
なお、本実施形態の接点ばね付シート110およびスイッチ装置100ではプロジェクション113を備えているが、プロジェクション113を取り除いても接点ばね付シート110およびスイッチ装置100として機能することは可能である。仮にプロジェクション113を備えない構造とする場合には、受け皿部112cを設けなくても良い。この場合には、保持シート112の他方の面は前面に渡って第1凹部112dおよび第2凹部112eがレーザー光で加工されるものとなる。
【0073】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0074】
本実施形態のスイッチ装置100では、保持シート112の他方の面側には、平行に複数本形成された第1凹部112dと、第1凹部112dと交差し平行に複数本形成された第2凹部112eを備えており、第1凹部112dは所定の加工幅寸法PLより小さい寸法である第1のピッチP1分の間隔をあけて形成され、第2凹部112eは所定の加工幅寸法PLより大きい寸法である第2のピッチP2分の間隔をあけて形成されている。
【0075】
これにより、保持シート112上に導光シート114を積層するとき、隣り合う第1凹部112dと第1凹部112dとの境目に形成された稜線を第2凹部112eによって分割して短くした複数の線(稜線の線分)で導光シート114を支持するので、可撓性が高い導光シート114でも過剰な貼りつきが発生することなく支持できる、という効果を奏する。
【0076】
本実施形態のスイッチ装置100では、複数の第1凹部112d間の第1のピッチP1は、複数の第2凹部112e間の第2のピッチP2よりも狭いピッチで形成されている。
【0077】
これにより、第1凹部112dと第1凹部112dとの境目に形成された稜線を分割して短くした線を形成することができ、導光シート114を短い線で支持するので、可撓性が高いシート状の外部部材でも過剰な貼りつきが発生することなく支持できる、という効果を奏する。
【0078】
また、本実施形態のスイッチ装置100では、第2のピッチP2は第1のピッチP1の2倍の寸法である。
【0079】
これにより、第1凹部112dおよび第2凹部112eを加工する時間を大幅に延ばすことなく、導光シート114を支持し過剰な貼りつきを起こさない支持部分を形成できる、という効果を奏する。
【0080】
また、本実施形態のスイッチ装置100では、接点ばね付シート110と、接点ばね付シート110が貼付され接点ばね111と離接される固定接点121を有する基板とを備えた構造としている。
【0081】
これにより、接点ばね付シートに積層されるシート状の外部部材が接点ばね付シートに過剰に貼りつくことを防ぐことが可能なスイッチ装置を容易に形成することができる、という効果を奏する。
【0082】
また、本実施形態のスイッチ装置100では、接点ばね付シート110には外部から光を導くことが可能な導光シート114が積層された構造としている。前記接点ばね付シートを照光させることが可能となり、暗所でも操作しやすい接点ばね付シートを提供できる。
【0083】
これにより、外部に設けた光源などから光を導くことができるようになり、暗所でも操作しやすいスイッチ装置を提供できる、という効果を奏する。
【0084】
[第2実施形態]
以下に第2実施形態における接点ばね付シート110を用いたスイッチ装置200について、図1、図6および図7を用いて説明する。
【0085】
図6は、第2実施形態における第1凹部112dおよび第2凹部112eの加工位置を示した図である。なお、図6には説明の都合上、導光シート114は記載していない。
【0086】
図7は、図6に示す断面の断面図であり、図7(a)は断面7A−7Aを示す図であり、図7(b)は断面7B−7Bを示す図である。なお、図7(a)と図7(b)とには説明の都合上、導光シート114は記載していない。
【0087】
本実施形態における接点ばね付シート110を用いたスイッチ装置200は、第1実施形態のスイッチ装置100と同様の構造をしており、第1のピッチP1の大きさと第2のピッチP2の大きさのみが異なる。したがって、以下では第1実施形態で用いた名称と符号を用いて説明し、第1実施形態で記した内容については説明を割愛する。
【0088】
スイッチ装置200は、図1および図2に示すスイッチ装置100と同様に、接点ばね付シート110と、基板120とを備えており、接点ばね111と固定接点121とが接離可能となるように接点ばね付シート110と基板120とが積層されている。
【0089】
接点ばね付シート110の他方の面側には、図1(a)に示すように、所定の加工幅寸法PLで平行に複数本形成された第1凹部112d(図6(a)参照)と、第1凹部112dと交差し所定の加工幅寸法PLで平行に複数本形成された第2凹部112e(図6(b)参照)とが形成される凹部形成領域112fが設けられている。
【0090】
第1凹部112dは所定の加工幅寸法PLと同じ寸法である第1のピッチP1分の間隔をあけて形成され、第2凹部112eは所定の加工幅寸法PLと同じ寸法である第2のピッチP2分の間隔をあけて形成されている。
【0091】
第1凹部112dは、図6に示すように、第1のピッチP1の間隔(D1部寸法に相当)で想定した複数本の仮想直線L112dに沿ってレーザー光で加工される。そのとき、第1凹部112dは仮想直線L112dをまたいで所定の加工幅寸法PL(D2部寸法に相当)で形成される。
【0092】
また、第2凹部112eは、第1凹部112dと同様に、第2のピッチP2(D3部寸法に相当)で想定した複数本の仮想直線L112eに沿ってレーザー光で加工される。そのとき、第2凹部112eは仮想直線L112eをまたいで所定の加工幅寸法PL(D4部寸法に相当)で形成される。
【0093】
なお、図6において仮想直線L112dおよび仮想直線L112eを実線で標記しているが、説明上の都合によるものであり実在はしない。
【0094】
上記のように第1凹部112dを所定の加工幅寸法PLより小さい寸法である第1のピッチP1分の間隔をあけて形成することで、図7(a)に示すように、その断面は他方の面から離れる方向に頂点を頂部PP2とする複数の略三角形の突起形状に形成される。
【0095】
また、第2凹部112eを第2のピッチP2分の間隔をあけて形成することで、図7(b)に示すように、その断面は他方の面から離れる方向に頂点を頂部PP2とする複数の略三角形の突起形状に形成される。
【0096】
第1凹部112dおよび第2凹部112eを設けることで、接点ばね付シート110の他方の面側には第1凹部112dと第2凹部112eによる頂部PP2が交差する箇所において略四角錐状の突起が形成され、導光シート114が他方の面側に配置されるときには導光シート114を複数の点で支持する。
【0097】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0098】
本実施形態のスイッチ装置200では、保持シート112の他方の面側には、平行に複数本形成された第1凹部112dと、第1凹部112dと交差し平行に複数本形成された第2凹部112eを備えており、第1凹部112dは所定の加工幅寸法PLと同じ寸法である第1のピッチP1分の間隔をあけて形成され、第2凹部112eは所定の加工幅寸法PLと同じ寸法である第2のピッチP2分の間隔をあけて形成されている。
【0099】
これにより、保持シート112上に導光シート114を積層する場合、第1凹部112dおよび第2凹部112eを設けることで形成される複数の略四角錐状の突起の先端部で導光シート114を支持することで、可撓性が高い導光シート114でも過剰な貼りつきが発生することなく支持できる、という効果を奏する。
【0100】
[第3実施形態]
以下に第3実施形態における接点ばね付シートを用いたスイッチ装置300について、図1、図8および図9を用いて説明する。
【0101】
図8は、第1実施形態における第1凹部112dおよび第2凹部112eの加工位置を示した図である。なお、図8には説明の都合上、導光シート114は記載していない。
【0102】
図9は、図3に示す断面の断面図であり、図9(a)は断面9A−9Aを示す図であり、図9(b)は断面9B−9Bを示す図である。なお、図9(a)と図9(b)とには説明の都合上、導光シート114は記載していない。
【0103】
本実施形態における接点ばね付シート110を用いたスイッチ装置300は、スイッチ装置100と同様の構造をしており、第1のピッチP1の大きさと第2のピッチP2の大きさのみが異なる。したがって、以下では第1実施形態で用いた名称と符号を用いて説明し、第1実施形態で記した内容については説明を割愛する。
【0104】
スイッチ装置300は、スイッチ装置100と同様に、図1に示すように、接点ばね付シート110と、基板120とを備えており、接点ばね111と固定接点121とが接離可能となるように接点ばね付シート110と基板120とが積層されている。
【0105】
接点ばね付シート110の他方の面側には、図1(a)に示すように、所定の加工幅寸法PLで平行に複数本形成された第1凹部112d(図9(a)参照)と、第1凹部112dと交差し所定の加工幅寸法PLで平行に複数本形成された第2凹部112e(図9(b)参照)とが形成される凹部形成領域112fが設けられている。
【0106】
第1凹部112dは所定の加工幅寸法PLと同じ寸法である第1のピッチP1分の間隔をあけて形成され、第2凹部112eは所定の加工幅寸法PLよりも大きな寸法である第2のピッチP2分の間隔をあけて形成されている。
【0107】
第1凹部112dは、図8に示すように、第1のピッチP1の間隔(D1部寸法に相当)で想定した複数本の仮想直線L112dに沿ってレーザー光で加工される。そのとき、第1凹部112dは仮想直線L112dをまたいで所定の加工幅寸法PL(D2部寸法に相当)で形成される。
【0108】
また、第2凹部112eは、第1凹部112dと同様に、第2のピッチP2(D3部寸法に相当)で想定した複数本の仮想直線L112eに沿ってレーザー光で加工される。そのとき、第2凹部112eは仮想直線L112eをまたいで所定の加工幅寸法PL(D4部寸法に相当)で形成される。
【0109】
なお、図8において仮想直線L112dおよび仮想直線L112eを実線で標記しているが、説明上の都合によるものであり実在はしない。
【0110】
上記のように第1凹部112dを所定の加工幅寸法PLより小さい寸法である第1のピッチP1分の間隔をあけて形成することで、図9(a)に示すように、その断面は他方の面から離れる方向に頂点を頂部PP3とする複数の略三角形の突起形状に形成される。
【0111】
また、第2凹部112eを第2のピッチP2分の間隔をあけて形成することで、図9(b)に示すように、その断面は他方の面から離れる方向に複数の略台形の突起形状に形成される。
【0112】
第1凹部112dおよび第2凹部112eを設けることで、凹部形成領域112fには略三角柱を寝かせた形状の複数の突起が形成され、導光シート114が他方の面側に配置されるときには導光シート114を複数の線で支持する。
【0113】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0114】
本実施形態のスイッチ装置300では、保持シート112の他方の面側には、平行に複数本形成された第1凹部112dと、第1凹部112dと交差し平行に複数本形成された第2凹部112eを備えており、第1凹部112dは所定の加工幅寸法PLと同じ寸法である第1のピッチP1分の間隔をあけて形成され、第2凹部112eは所定の加工幅寸法PLよりも大きい寸法である第2のピッチP2分の間隔をあけて形成されている。
【0115】
これにより、保持シート112上に導光シート114を積層する場合、隣り合う第1凹部112dと第1凹部112dとの境目に形成された稜線を第2凹部112eによって分割して短くした複数の線(稜線の線分)で導光シート114を支持するので、可撓性が高い導光シート114でも過剰な貼りつきが発生することなく支持できる、という効果を奏する。
【0116】
[第4実施形態]
以下に第3実施形態における接点ばね付シートを用いたスイッチ装置400について、図1、図10および図11を用いて説明する。
【0117】
図10は、第1実施形態における第1凹部112dおよび第2凹部112eの加工位置を示した図である。なお、図10には説明の都合上、導光シート114は記載していない。
【0118】
図11は、図10に示す断面の断面図であり、図11(a)は断面11A−11Aを示す図であり、図11(b)は断面11B−11Bを示す図である。なお、図11(a)と図11(b)とには説明の都合上、導光シート114は記載していない。
【0119】
本実施形態における接点ばね付シート110を用いたスイッチ装置400は、スイッチ装置100と同様の構造をしており、第1のピッチP1の大きさと第2のピッチP2の大きさのみが異なる。したがって、以下では第1実施形態で用いた名称と符号を用いて説明し、第1実施形態で記した内容については説明を割愛する。
【0120】
スイッチ装置400は、スイッチ装置100と同様に図1に示すように、接点ばね付シート110と、基板120とを備えており、接点ばね111と固定接点121とが接離可能となるように接点ばね付シート110と基板120とが積層されている。
【0121】
接点ばね付シート110の他方の面側には、図1(a)に示すように、所定の加工幅寸法PLで平行に複数本形成された第1凹部112d(図11(a)参照)と、第1凹部112dと交差し所定の加工幅寸法PLで平行に複数本形成された第2凹部112e(図11(b)参照)とが形成される凹部形成領域112fが設けられている。
【0122】
第1凹部112dは、図10に示すように、第1のピッチP1の間隔(D1部寸法に相当)で想定した複数本の仮想直線L112dに沿ってレーザー光で加工される。そのとき、第1凹部112dは仮想直線L112dをまたいで所定の加工幅寸法PL(D2部寸法に相当)で形成される。
【0123】
また、第2凹部112eは、第1凹部112dと同様に、第2のピッチP2(D3部寸法に相当)で想定した複数本の仮想直線L112eに沿ってレーザー光で加工される。そのとき、第2凹部112eは仮想直線L112eをまたいで所定の加工幅寸法PL(D4部寸法に相当)で形成される。
【0124】
なお、図10において仮想直線L112dおよび仮想直線L112eを実線で標記しているが、説明上の都合によるものであり実在はしない。
【0125】
上記のように第1凹部112dを所定の加工幅寸法PLより小さい寸法である第1のピッチP1分の間隔をあけて形成することで、幅方向の端部(OL1部)はオーバーラップして加工され、図12(a)に示すように、その断面は他方の面から離れる方向に頂点を頂部PP4とする複数の略三角形の突起形状に形成される。
【0126】
また、第2凹部112eを所定の加工幅寸法PLと同じ寸法である第2のピッチP2分の間隔をあけて形成することで、図12(b)に示すように、その断面は他方の面から離れる方向に頂点を頂部PP4とする複数の略三角形の突起形状に形成される。
【0127】
第1凹部112dおよび第2凹部112eを設けることで、凹部形成領域112fには第1凹部112dと第2凹部112eによる頂部PP4が交差する箇所において略四角錐状の突起が形成され、導光シート114が他方の面側に配置されるときには導光シート114を複数の点で支持する。
【0128】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0129】
本実施形態のスイッチ装置400では、保持シート112の他方の面側には、平行に複数本形成された第1凹部112dと、第1凹部112dと交差し平行に複数本形成された第2凹部112eを備えており、第1凹部112dは所定の加工幅寸法PLよりも小さい寸法である第1のピッチP1分の間隔をあけて形成され、第2凹部112eは所定の加工幅寸法PLと同じ寸法である第2のピッチP2分の間隔をあけて形成されている。
【0130】
これにより、保持シート112上に導光シート114を積層する場合、第1凹部112dおよび第2凹部112eを設けることで形成される複数の略四角錐状の突起の先端部で導光シート114を支持することで、可撓性が高い導光シート114でも過剰な貼りつきが発生することなく支持できる、という効果を奏する。
【0131】
以上のように、本発明の実施形態に係る接点ばね付シートおよびそれを用いたスイッチ装置を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0132】
(1)第1実施形態においては、第1のピッチP1を所定の加工幅寸法PLよりも小さい寸法とし、第2のピッチP2を所定の加工幅寸法PLよりも大きな寸法としたが、第1のピッチP1を所定の加工幅寸法PLよりも大きい寸法とし、第2のピッチP2を所定の加工幅寸法PLよりも小さい寸法としても同様の効果が得られる。
【0133】
(2)第3実施形態においては、第1のピッチP1を所定の加工幅寸法PLと同じ寸法とし、第2のピッチP2を所定の加工幅寸法PLよりも大きな寸法としたが、第1のピッチP1を所定の加工幅寸法PLよりも大きい寸法とし、第2のピッチP2を所定の加工幅寸法PLと同じ寸法としても同様の効果が得られる。
【0134】
(3)第4実施形態においては、第1のピッチP1を所定の加工幅寸法PLよりも小さい寸法とし、第2のピッチP2を所定の加工幅寸法PLと同じ寸法としたが、第1のピッチP1を所定の加工幅寸法PLと同じ寸法とし、第2のピッチP2を所定の加工幅寸法PLよりも小さい寸法としても同様の効果が得られる。
【0135】
(4)第1実施形態ないし第4実施形態においては、レーザー光を用いて第1凹部112dおよび第2凹部112eを加工しているが、熱プレスなどにより金型形状を保持シート112に転写する方法で加工しても良い。その際は、第1凹部112dの表面の形状および第2凹部112eの表面の形状は曲面に限定するものではなく、必要に応じて矩形状など任意の形状にしてもよい。
【0136】
(5)第1実施形態ないし第4実施形態においては、保持シート112に導光シート114を積層する構造としているが、照光する必要がない場合には、例えば、スイッチ装置100(200、300、400)を保護するシート状の部品やスイッチ装置100(200、300、400)の諸機能などを示す意匠が表面に施された意匠シートなどを導光シート114の代わりに積層しても良い。その際にも導光シート114を積層した場合と同様に過剰な貼り付きが発生することを防止できる。
【符号の説明】
【0137】
100 スイッチ装置
110 接点ばね付シート
111 接点ばね
111a 頂部
112 保持シート
112a 粘着層
112b 接点ばね保持部
112c 受け皿部
112d 第1凹部
112e 第2凹部
112f 凹部形成領域
113 プロジェクション
114 導光シート
114a 粘着層
120 基板
121 固定接点
121a 中央接点
121b 周辺接点
130 導光シート
200 スイッチ装置
300 スイッチ装置
400 スイッチ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーム状で押圧により反転動作可能な接点ばねと、前記接点ばねを一方の面側に保持することができる保持シートとを有する接点ばね付シートにおいて、
前記一方の面の裏側面である他方の面側には、所定の加工幅寸法で平行に複数本形成された第1凹部と、前記第1凹部と交差し前記所定の加工幅寸法で平行に複数本形成された第2凹部を備えており、
前記第1凹部は前記所定の加工幅寸法より小さい寸法である第1のピッチ分の間隔をあけて形成され、
前記第2凹部は前記所定の加工幅寸法より大きい寸法である第2のピッチ分の間隔をあけて形成されていることを特徴とする接点ばね付シート。
【請求項2】
前記第2のピッチの寸法は前記第1のピッチの寸法の2倍であることを特徴とする請求項1に記載の接点ばね付シート。
【請求項3】
ドーム状で押圧により反転動作可能な接点ばねと、前記接点ばねを一方の面側に保持することができる保持シートとを有する接点ばね付シートにおいて、
前記一方の面の裏側面である他方の面側には、所定の加工幅寸法で平行に複数本形成された第1凹部と、前記第1凹部と交差し前記所定の加工幅寸法で平行に複数本形成された第2凹部を備えており、
前記第1凹部は前記所定の加工幅寸法と同じ寸法である第1のピッチ分の間隔をあけて形成され、
前記第2凹部は前記所定の加工幅寸法と同じ寸法である第2のピッチ分の間隔をあけて形成されていることを特徴とする接点ばね付シート。
【請求項4】
ドーム状で押圧により反転動作可能な接点ばねと、前記接点ばねを一方の面側に保持することができる保持シートとを有する接点ばね付シートにおいて、
前記一方の面の裏側面である他方の面側には、所定の加工幅寸法で平行に複数本形成された第1凹部と、前記第1凹部と交差し前記所定の加工幅寸法で平行に複数本形成された第2凹部を備えており、
前記第1凹部は前記所定の加工幅寸法と同じ寸法である第1のピッチ分の間隔をあけて形成され、
前記第2凹部は前記所定の加工幅寸法よりも大きい寸法である第2のピッチ分の間隔をあけて形成されていることを特徴とする接点ばね付シート。
【請求項5】
ドーム状で押圧により反転動作可能な接点ばねと、前記接点ばねを一方の面側に保持することができる保持シートとを有する接点ばね付シートにおいて、
前記一方の面の裏側面である他方の面側には、所定の加工幅寸法で平行に複数本形成された第1凹部と、前記第1凹部と交差し前記所定の加工幅寸法で平行に複数本形成された第2凹部を備えており、
前記第1凹部は前記所定の加工幅寸法よりも小さい寸法である第1のピッチ分の間隔をあけて形成され、
前記第2凹部は前記所定の加工幅寸法と同じ寸法である第2のピッチ分の間隔をあけて形成されていることを特徴とする接点ばね付シート。
【請求項6】
ドーム状で押圧により反転動作可能な接点ばねと、前記接点ばねを一方の面側に保持することができる保持シートとを有する接点ばね付シートにおいて、
前記一方の面の裏側面である他方の面側には、平行に複数形成された第1凹部と、前記第1凹部と交差して、平行に複数形成された第2凹部を備えており、
隣り合う前記第1凹部により稜線が形成され、
前記第2凹部により前記稜線が複数に分割されていることを特徴とする接点ばね付シート。
【請求項7】
複数の前記第1凹部間の第1のピッチは、複数の前記第2凹部間の第2のピッチよりも狭いピッチであることを特徴とする請求項6に記載の接点ばね付シート。
【請求項8】
前記第2のピッチの寸法は、前記第1のピッチの寸法の2倍であることを特徴とする請求項7に記載の接点ばね付シート。
【請求項9】
ドーム状で押圧により反転動作可能な接点ばねと、前記接点ばねを一方の面側に保持することができる保持シートとを有する接点ばね付シートにおいて、
前記一方の面の裏側面である他方の面側には、平行に複数形成された第1凹部と、前記第1凹部と交差して、平行に複数形成された第2凹部を備えており、
複数の前記第1凹部の境界部分及び複数の前記第2凹部の境界部分の交点において複数の突起が形成されていることを特徴とする接点ばね付シート。
【請求項10】
複数の前記第1凹部間の第1のピッチは、複数の前記第2凹部間の第2のピッチと同じピッチであり、前記複数の突起が等間隔で形成されていることを特徴とする請求項x4記載の接点ばね付シート。
【請求項11】
前記請求項1ないし前記請求項10のいずれかに記載の接点ばね付シートにおいて、前記保持シートの他方の面側に可撓性を有する導光シートが配置されていることを特徴とする接点ばね付シート。
【請求項12】
前記請求項1ないし前記請求項11のいずれかに記載の接点ばね付シートと、前記接点ばね付シートが貼付され、前記接点ばねと離接される固定接点を有する基板とを備えたことを特徴とするスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−234630(P2012−234630A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100349(P2011−100349)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】