説明

接点材用銅基析出型合金板材およびその製造方法

【課題】電子機器などに用いられる多機能スイッチの操作性を改善し得る接点材用銅基析出型合金板材を提供する。
【解決手段】圧延方向の引張強さと、圧延方向となす角度が45°方向の引張強さと、圧延方向となす角度が90°方向の引張強さの3つの引張強さ間の各差の最大値が100MPa以下である接点材用銅基析出型合金板材。2〜4mass%Niおよび0.4〜1mass%Siを含有し、必要ならさらにMg、Sn、Zn、Crの群から選ばれる少なくとも1つを適量含有さる残部が銅と不可避不純物からなる銅基析出型合金板材。接点材用銅基析出型合金板材は、溶体化処理した銅合金板材に時効熱処理を施し、その後圧延率30%以下の冷間圧延を施し製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器などに用いられる多機能(多接点)スイッチのスイッチ操作性を改善し得る接点材用銅基析出型合金板材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機をはじめとする電子機器には操作用押しボタンスイッチ(テンキー)や多機能スイッチ(例えば、4方向スイッチ)が使用されるようになった(例えば、特許文献1参照)。このようなスイッチのバネ部材には、ステンレス鋼、リン青銅、黄銅、純銅などの圧延板をプレス打抜きしたものが用いられている。そして、信頼性を高めるためにAu、Ag、Pdなどのめっきが施されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−229783号公報
【特許文献2】特開2005−2400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のバネ材には、スイッチ操作時のストローク感(スイッチを押したという感覚)や、クリック時のソフトさが、スイッチ方向によって異なることがあり、スイッチの操作性が良くないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、電子機器などに用いられる多機能スイッチの操作性を改善し得る接点材用銅基析出型合金板材およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、前記問題を解決するために種々検討を行った。その結果、スイッチ方向によるストローク感などの差異は、圧延板に存在する機械的異方性が、バネ部材に絞り加工する際に増大し、その増大の程度は圧延板の機械的異方性が大きいほど大きくなることを知見し、この知見を基に、さらに検討を進めて、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち本発明は、
(1)圧延方向の引張強さと、圧延方向となす角度が45°方向の引張強さと、圧延方向となす角度が90°方向の引張強さの3つの引張強さ間の各差の最大値が100MPa以下であることを特徴とする接点材用銅基析出型合金板材、
(2)前記銅基析出型合金の導電率が30%IACS以上であることを特徴とする(1)記載の接点材用銅基析出型合金板材、
(3)前記銅基析出型合金の最表層にAg、Au、Pd、RuおよびRhからなる群から選ばれる貴金属またはその合金がめっきされていることを特徴とする(1)または(2)に記載の接点材用銅基析出型合金板材、
(4) 前記銅基析出型合金にCu、Ni、Fe若しくはCoまたはこれらの合金の少なくとも1つが下地めっきされていることを特徴とする(3)に記載の接点材用銅基析出型合金板材、
(5)前記下地めっきが少なくとも2層であることを特徴とする(4)に記載の接点材用銅基析出型合金板材、
(6)前記銅基析出型合金が2〜4mass%Niおよび0.4〜1mass%Siを含有し、残部が不可避不純物と銅からなることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の接点材用銅基析出型合金板材。
(7)前記銅基析出型合金が、さらに0.05〜0.2mass%Mg、0.1〜0.5mass%Sn、0.1〜1mass%Zn、0.05〜0.5mass%Crの群から選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする(6)に記載の接点材用銅基析出型合金板材、
(8)前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の接点材用銅基析出型合金板材を製造する方法であって、溶体化処理した銅合金板材に時効熱処理を施すことを特徴とする接点材用銅基析出型合金板材の製造方法、
(9)前記時効熱処理を施した後、圧延率30%以下の冷間圧延を施すことを特徴とする(8)に記載の接点材用銅基析出型合金板材の製造方法、および
(10)前記時効熱処理を施した後、または前記圧延率30%以下の冷間圧延を施した後に、歪取り焼鈍を施すことを特徴とする(8)または(9)に記載の接点材用銅基析出型合金板材の製造方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の接点材用銅基析出型合金板材は、圧延方向の引張強さと、圧延方向となす角度が45°方向の引張強さと、圧延方向となす角度が90°方向の引張強さの3つの引張強さ間の各差の最大値を100MPa以下に規定したものなので、多機能スイッチの接点用バネ部材に用いたとき、ストローク感覚などのスイッチ方向による差異が小さくなりスイッチの操作性が優れる。
【0008】
本発明の接点材用銅基析出型合金板材は、導電率が30%IACS以上であり、接触電気抵抗値が小さく、多機能スイッチの接点用バネ部材(大型)として用いたとき、貴金属めっきが不要となり、コスト低減が図れる。
また、本発明の接点材用銅基析出型合金板材は、Au、Ag、Pd、Ru、Rhの貴金属めっきを最表層部に施すことにより接触電気抵抗値がより小さくなり導電の信頼性が向上する。さらに、NiやCuを下地めっきすることで貴金属めっき層の耐摩耗性、摺動性、密着性などが向上する。
【0009】
2〜4mass%Niおよび0.4〜1mass%Siを含有し、残部が銅と不可避不純物からなる銅合金板材は、導電性、バネ性、耐久性に優れるので、スイッチの小形化および薄肉化が計れる。さらに、前記銅合金にMg、Sn、Zn、Crの群から選ばれる少なくとも1つを適量含有させることにより強度などを向上させることができる。
【0010】
本発明の接点材用銅基析出型合金板材は、溶体化処理した銅合金板材に時効熱処理を施し、その後圧延率30%以下の圧延を施すことにより容易に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の接点材用に適した銅基析出型合金板材の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
本発明の銅基析出型合金板材は、圧延方向の引張強さと、圧延方向となす角度が45°方向の引張強さと、圧延方向となす角度が90°方向の引張強さの3つの引張強さ間の各差の最大値が100MPa以下である。このように規定する理由は、各差の最大値が100MPaを超えると絞り加工時に機械的異方性が著しく増大し、多機能スイッチにおいてスイッチの操作性が悪化するためである。前記各差の最大値は50MPa以下、特には30MPa以下が望ましい。
なお、前記3方向は圧延面に平行な面での方向である。
【0012】
従来のスイッチ(1方向スイッチ)は流れる電流が数mA程度の微弱電流であるが、接点面積が小さいため貴金属をめっきして信頼性の向上が計られてきた。
しかし、多機能スイッチは従来のスイッチに較べて大型(直径10mm以上)でスイッチの接点部の面積が大きいため、従来のスイッチに較べて材料の導電率が低くても貴金属めっきなしで使用できる。本発明の銅基析出型合金板材の場合は、導電率が30%IACS以上、好ましくは35%IACS以上あれば貴金属めっきなしでも使用できる。
【0013】
多機能スイッチの接点用バネ部材でも、その最表面にAu、Ag、Pd、Ru、Rhなどの貴金属またはこれらの合金のめっき層を設けて接触電気抵抗値を小さくし、導電の信頼性の向上を計るのが好ましい。その際、貴金属またはその合金のめっき層の耐摩耗性、摺動性、密着性などを高めるためにCu、Ni、Fe、Coまたはこれらの合金の少なくとも1つを下地めっきするのが良い。また、この下地めっきは1層に限らず、2層以上であってもよい。
【0014】
貴金属またはその合金のめっき層の厚さは0.001〜10μmが好ましく、AuまたはPdめっきは0.001〜3μm、Agめっきは0.1〜6μm、RuまたはRhめっきは0.005〜2μmが最適である。これより薄いとめっきの効果が得られず、これより厚いとコスト高になる。
下地めっき層の厚さは0.01〜2μmが好ましく、Ni、Cu共に0.1〜0.3μmが最適である。これより薄いと前述のめっきの効果が得られず、これより厚いとプレス加工や曲げ加工、絞り加工されたときに割れが発生するおそれが高くなる。
【0015】
銅基合金の場合は、大気中で表面に酸化膜が生成するため、BTA(ベンゾトリアゾール)などの酸化防止剤を1〜10nmの範囲で塗布することが望ましい。
【0016】
本発明の接点材用銅基析出型合金板材には、ベリリウム銅(C17200、C17530など)、チタン銅(C19900)、クロム銅、鉄添加銅合金(C19400)などが適用できるが、特に2〜4mass%Niおよび0.4〜1mass%Siを含有し、残部が銅と不可避不純物からなるコルソン合金は強度および導電性に優れ推奨される。前記コルソン合金において、NiとSiは金属間化合物として析出して強度を高める。
【0017】
前記コルソン合金に、さらに0.05〜0.2mass%Mg、0.1〜0.5mass%Sn、0.1〜1mass%Zn、0.05〜0.5mass%Crの群から選ばれる少なくとも1つを含有させることにより、強度をさらに向上させることができる。Crは銅中に析出して、Zn、Snは銅中に固溶して、Mgは銅中に析出または固溶して、それぞれ強度向上に寄与する。
前記Sn、Znは耐クリープ特性も向上させる。Mgは耐クリープ特性および熱間加工性も向上させ、Znはハンダ付け性やめっき層の密着性も向上させる。
【0018】
本発明の接点材用銅基析出型合金板材は、例えば、鋳造、鋳塊の均質化処理、熱間圧延、冷間圧延、溶体化処理、時効熱処理をこの順に施し、最後に圧延率30%以下の冷間圧延を施して製造される。
【0019】
本発明において、溶体化処理は、例えば、700〜925℃の温度範囲で5〜15秒間施し、その後直ちに10℃/秒以上の速度で冷却して行う。
時効熱処理は、例えば、420〜480℃で1〜3時間施し、その後直ちに10℃/秒以上の冷却速度で冷却して行う。
【0020】
本発明の銅基析出型合金板材は溶体化処理、時効熱処理の後、圧延率30%以下で最後の冷間圧延を施して製造されることが好ましい。銅合金板材の要求特性によっては、最後の冷間圧延を行う場合、圧延率は20%以下であることが好ましい。
さらに本発明においては、前記最後の冷間圧延後に歪取り焼鈍を行っても良い。歪取り焼鈍は、450〜550℃で0.5〜2時間、または600〜850℃で1〜30秒間施すのが適当である。
【0021】
本発明において、前記時効熱処理後の引張強さは600MPa以上が望ましい。600MPa未満では、その後の冷間圧延での圧延率を高くする必要があり、機械的異方性が大きくなる。因みにベリリウム銅、チタン銅、コルソン合金などの析出型銅合金は、時効熱処理後の強度が600MPa以上あり、圧延率30%以下の冷間圧延で所要の強度が得られ、かつ前記3方向の引張強さ間の各差の最大値を100MPa以下にできる。前記圧延率は、機械的異方性を小さくするために、20%以下、特には10%以下が望ましい。
【0022】
本発明において、多機能スイッチの接点用バネ部材として銅基析出型合金を使用する理由は、前記銅基析出型合金板材は、時効熱処理後において、高導電性なうえ、高強度のため、圧延率30%以下の圧延加工を施すことでばね部材に必要な強度が得られ、従って機械的異方性を小さくできるためである。
なお、純銅や銅基固溶型合金では、前記必要強度を得るために圧延率30%超の圧延加工が必要であり、その結果、機械的異方性が大きくなり多機能スイッチの操作性が悪化する。
【0023】
本発明において、最後の冷間圧延は板材の形状修復(矯正)の作用も果す。即ち、溶体化処理を700〜925℃の高温で連続焼鈍により施す場合、接点用材料は板厚が薄い(0.1mm程度以下)ため形状が崩れ易い。また時効熱処理は板材をコイル状に巻いてバッチ処理により施すため板材に巻き癖が付き易い。これらの形状不良は冷間圧延により矯正される。
【0024】
本発明において、前記溶体化処理における板形状の崩れは、溶体化処理後の冷却速度を10〜200℃/秒とすることにより低減できる。また時効熱処理におけるコイルの巻き癖は、時効熱処理後の冷却速度を0.01〜1℃/秒とすることにより低減できる。従って、前記両処理後の冷却速度を制御することにより冷間圧延率を小さくできる。
板材の形状は溶体化処理と時効熱処理間に圧延率5%以下のスキンパスを入れることによってさらに整えることができる。
【実施例】
【0025】
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0026】
(実施例1)
表1に示す組成(残部はCuである)の銅合金を高周波溶解炉にて溶解し、これをDC(ダイレクト・キャスティング)法により厚さ30mm、幅100mm、長さ150mmの鋳塊に鋳造し、得られた鋳塊を1000℃の温度に1時間保持後、厚さ12mmに熱間圧延し、速やかに冷却した。次に、熱間圧延板の両面を各1.5mm切削して酸化皮膜を除去し、次いで厚さ0.15〜0.1mmに冷間圧延し、次いで825〜925℃の温度範囲で15秒間溶体化処理し、その後直ちに10℃/秒以上の冷却速度で冷却した。次に420〜480℃で1〜3時間の時効熱処理を施し、その後直ちに約1〜10℃/秒の冷却速度で冷却した。
次いで、表1に示す30%以下の種々の圧延率で冷間圧延して板厚0.06〜0.1mmの板材(供試材、No.1〜15)に仕上げた。なお、溶体化処理と時効熱処理の条件は合金組成に応じて適宜選定した。
【0027】
前記各供試材について引張強さおよび導電率を調べた。また前記供試材から接点用バネ部材を絞り加工により作製し、このバネ部材を用いて多機能スイッチ(4方向スイッチ)の可動片部分(直径30mmのドーム形状)を組み立て、ストローク感覚などのスイッチ操作性(スイッチ方向による差異)を、接点となる可動片上の4箇所(可動片の中心から10mmの円周上に90°間隔で配置)に荷重を加える方法で調べた。
この方法は、1Nの荷重、1mmのストロークの荷重変位測定器(アイコー社製 荷重変位精密測定器 MODEL−1605N)で接点となる4箇所を順番にそれぞれ3回押して各箇所における荷重の平均値をとり、以下の指標に基づいて評価した。
スイッチ操作性が極めて良好なもの(荷重平均値の最大値と最小値との差が10%以下)を「◎」、スイッチ操作性が良好なもの(荷重平均値の最大値と最小値との差が10%より大きく25%以下)を「○」、スイッチ操作性が不良なもの(荷重平均値の最大値と最小値との差が25%より大きいか、荷重を加えた後にバネ部材が元の形状に戻らない場合)を「×」と評価した。なおバネ部材には貴金属めっきは施さなかった。
【0028】
引張強さは、板材の圧延方向、圧延方向となす角度が45°方向、圧延方向となす角度が90°方向の3つの方向を引張方向とする引張試験片(JIS Z 2201−5号試験片)を切り出し、引張り速度10mm/分、ゲージ長50mmの条件で、JIS Z 2241に準じて引張試験を行った。各方向の引張強さを各3本づつ測定して平均値を算出し、3つの方向の引張強さ(平均値)間の各差の最大値を求めた。
【0029】
導電率は20℃(±0.5℃)に保たれた恒温槽中で四端子法により比抵抗を測定して導電率を算出した。なお、端子間距離は100mmとした。
【0030】
(実施例2)
表1に示す組成を有し、圧延率20%、15%の冷間圧延後に、歪取り焼鈍を650℃で3秒間施した他は、実施例1に記載と同じ方法により供試材(No.16、17)を得て、実施例1と同じ調査を行った。
【0031】
(実施例3)
ベリリウム銅またはチタン銅を用い、時効熱処理後の冷間圧延の圧延率を12%、15%とした他は、実施例1に記載と同じ方法により供試材(No.18、19)を得て、実施例1と同じ調査を行った。なお、これら合金は導電率が低かったのでバネ部材の接点部分にNiを0.3μm下地めっきし、その上にAuを0.04μmめっきした。
【0032】
(比較例1)
表1に示す組成を有し、時効熱処理後の冷間圧延の圧延率を30%超の表1に示す35%、40%とした他は、実施例1と同じ方法により供試材(No.比1〜比5)を得て、実施例1と同じ調査を行った。
【0033】
実施例1〜3および比較例1の調査結果を表1に示した。
【0034】
【表1】

【0035】
表1から明らかなように、本発明例(実施例1〜3)のものはいずれも3方向の最大強度差が100MPa以下であり、スイッチ操作性が良好であった。特に歪取り焼鈍を施した実施例2の供試材(No.16、17)は最大強度差が著しく小さくなり、スイッチ操作性が極めて優れた。また、実施例1、2の供試材(No.1〜17)は導電率が30%IACS以上あり、貴金属めっきを施さなくても接触不良を起こすようなことはなかった。
【0036】
これに対し、比較例の供試材(No.比1〜比5)はいずれも、3方向の強度差が100MPaを超えたため、部材を絞り加工する際にバネ部材の機械的異方性が増大し、スイッチ操作性が劣った。
【0037】
(実施例4)
基材をばね部材とし、その接点部分に、表2に示すように銅合金に近い側から下地層、中間層、最表層のめっきを施し(下地層、中間層が無い場合もある)、供試材(No.21〜35)を得た。その試供材について実施例1と同じ調査を行った。
なお、基材は表2に示す基材No.8、12、14であり、これは表1に示す供試材No.8、12、14に相当するものであり、実施例1に記載するのと同様に仕上げたものである。したがって、成分、時効処理後の圧延率、歪取焼鈍、圧延方向の強度および最大強度差は表1に記載と同じであるので、表2中には記載を省略した。
【0038】
【表2】

【0039】
本発明例である実施例4の供試材(No.21〜35)は、めっき層を施すことにより導電性が良好となり、スイッチ操作性も良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延方向の引張強さと、圧延方向となす角度が45°方向の引張強さと、圧延方向となす角度が90°方向の引張強さの3つの引張強さ間の各差の最大値が100MPa以下であることを特徴とする接点材用銅基析出型合金板材。
【請求項2】
前記銅基析出型合金の導電率が30%IACS以上であることを特徴とする請求項1記載の接点材用銅基析出型合金板材。
【請求項3】
前記銅基析出型合金の最表層にAg、Au、Pd、RuおよびRhからなる群から選ばれる貴金属またはその合金がめっきされていることを特徴とする請求項1または2に記載の接点材用銅基析出型合金板材。
【請求項4】
前記銅基析出型合金にCu、Ni、Fe若しくはCoまたはこれらの合金の少なくとも1つが下地めっきされていることを特徴とする請求項3に記載の接点材用銅基析出型合金板材。
【請求項5】
前記下地めっきが少なくとも2層であることを特徴とする請求項4に記載の接点材用銅基析出型合金板材。
【請求項6】
前記銅基析出型合金が2〜4mass%Niおよび0.4〜1mass%Siを含有し、残部が不可避不純物と銅からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の接点材用銅基析出型合金板材。
【請求項7】
前記銅基析出型合金が、さらに0.05〜0.2mass%Mg、0.1〜0.5mass%Sn、0.1〜1mass%Zn、0.05〜0.5mass%Crの群から選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする請求項6に記載の接点材用銅基析出型合金板材。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の接点材用銅基析出型合金板材を製造する方法であって、溶体化処理した銅合金板材に時効熱処理を施すことを特徴とする接点材用銅基析出型合金板材の製造方法。
【請求項9】
前記時効熱処理を施した後、圧延率30%以下の冷間圧延を施すことを特徴とする請求項8に記載の接点材用銅基析出型合金板材の製造方法。
【請求項10】
前記時効熱処理を施した後、または前記圧延率30%以下の冷間圧延を施した後に、歪取り焼鈍を施すことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の接点材用銅基析出型合金板材の製造方法。

【公開番号】特開2008−95186(P2008−95186A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237213(P2007−237213)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】