説明

接点装置

【課題】小型化に適した構成の接点装置を提供する。
【解決手段】外部から回動操作される第1のコンタクトホルダ12と、第1のコンタクトホルダ13に対し同一軸に交差する第2のコンタクトホルダ13とを備え、回動操作に伴う所定の区間だけこれらが一体として連動する構成とする。これにより、固定接点である電極パターンを有効に又は集約して配置することができ、スイッチの小型化を容易にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接点装置に関し、特に外部からの回動操作により接点位置を切り換えて所望の接続状態を選択する接点装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接点装置として自動車等に用いられるイグニッションスイッチが知られている。イグニッションスイッチは、キーの回動操作に連動するコンタクトロータと、コンタクトロータの回動方向に沿って固定接点である電極パターンが配置された電極基板とを備え、コンタクトロータの回動位置に応じてその接点と電極との電気的接触が切り換えられることにより、所望の接続状態を選択するように構成されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−129624
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、イグニッションスイッチ等の接点装置においては、装置全体の小型化が求められている。しかし、例えばエンジンの始動モータのように比較的大電流を必要とする機器に対して電流を供給する場合には、接点抵抗や接点間の損失等を抑えるため接点面積を一定以上確保する必要があり、また隣接する電極への漏電や誘導等の影響も防止する必要性から、スイッチ全体を小型化することは困難であるとの課題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、小型化に適した構成の接点装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]上記目的を達成するために本発明の接点装置は、第1の接点を有し外部から回動操作される第1の回転体と、前記第1の接点に対し同一面上で移動可能な第2の接点を有する第2の回転体と、前記第1及び第2の接点と前記同一面上で摺接し当該接点の位置に応じて導通又は非導通を切り換える固定電極が配設された電極基板とを備え、前記第1及び第2の回転体は、回動操作に伴う所定の移動区間において相互に連動することを特徴とする。
【0007】
[2]また、前記第1及び第2の回転体は、同一軸周りに回動することを特徴とする前記[1]に記載の接点装置でもよい。
【0008】
[3]また、前記第1の接点は前記第1の回転体の両端部に一対設けられ、前記第2の接点は前記第2の回転体の両端部に一対設けられ、前記一対の第1の接点を結ぶ線と前記一対の第2の接点とを結ぶ線とが交差する位置関係にあることを特徴とする前記[2]に記載の接点装置でもよい。
【0009】
[4]また、前記第1の接点は前記第1の回転体の回動軸を中心に互いに所定の角度をなして一対設けられ、前記第2の接点は前記第2の回転体の回動軸を中心に互いに所定の角度をなして一対設けられ、前記一対の第1の接点と前記一対の第2の接点は前記回動軸に対して互いに反対側にあることを特徴とする前記[2]に記載の接点装置でもよい。
【0010】
[5]また、前記第1及び第2の回転体は、回動操作に伴う所定の移動区間において結合媒体を共有することにより移動方向において結合しこれらが一体にして連動することを特徴とする前記[1]乃至[4]のいずれかに記載の接点装置でもよい。
【0011】
[6]また、回動操作される第1の支持体と、前記第2の回転体を介して前記第1の支持体に連結し、かつ、前記第1の支持体と回動軸を同一とする第2の支持体とを更に備え、前記第1の回転体は、前記第1及び第2の支持体にそれぞれ設けた第1及び第2の軸にまたがって回動可能に支持され、前記第1の回転体の一端を支持する前記第2の軸を介して前記第2の回転体の一端が回動可能に支持されることを特徴とする前記[1]に記載の接点装置でもよい。
【0012】
[7]また、前記第1及び第2の支持体は、回動操作に伴う所定の移動区間において結合媒体を共有することにより移動方向において結合しこれらが一体にして連動することを特徴とする前記[6]に記載の接点装置でもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1の接点を有する第1の回転体と、第2の接点を有する第2の回転体とを回動操作に伴う所定の移動区間において相互に連動する構成としたので、電極基板の固定電極を従来よりも有効に又は集約して配設することができ、装置全体の小型化を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、第1の実施の形態によるイグニッションスイッチの構成を示す分解斜視図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態によるイグニッションスイッチの切換位置と接続状態の対応関係を示す表である。
【図3】図3は、第1の実施の形態によるイグニッションスイッチの電極基板を示す図であり、各接点位置での動作を説明するための図である。
【図4】図4は、第1の実施の形態によるイグニッションスイッチのS−S曲線に沿って展開した略断面図であり、各接点位置での動作を説明するための図である。
【図5】図5は、第2の実施の形態によるイグニッションスイッチの構成を示す分解斜視図である。
【図6】図6は、第2の実施の形態によるイグニッションスイッチの電極基板を示す図であり、各接点位置での動作を説明するための図である。
【図7】図7は、第3の実施の形態によるイグニッションスイッチの構成を示す分解斜視図である。
【図8】図8は、第3の実施の形態によるイグニッションスイッチの電極基板を示す図であり、各接点位置での動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る接点装置の実施の形態としてイグニッションスイッチを説明する。
【0016】
[第1の実施の形態の説明]
図1は、本発明の第1の実施の形態によるイグニッションスイッチ1の分解斜視図である。
【0017】
このイグニッションスイッチ1は、スイッチボディ11と、第1のコンタクトホルダ12と、第2のコンタクトホルダ13と、トーションバネであるリターンスプリング14と、ターミナルベース15とを備えている。
【0018】
スイッチボディ11は、有底で略円筒状に形成され、円筒状の外周面の2箇所には、鉤部111a,111bを有する弾性片111が一体的に形成されている。弾性片111は、組み立てられたイグニッションスイッチ1のスイッチボディ11をロックボディ(図示せず)に挿入し、鉤部111a,111bがロックボディの内部で係合することによりイグニッションスイッチ1をロックボディに固定するために設けられる。
【0019】
スイッチボディ11の底部112には、回動軸Aに沿って当該底部112を貫通する円形の軸孔113と、軸孔113を中心とする同一半径円周上に所定深さの2つの穴114,115が所定の間隔を有して形成されている。
【0020】
各穴114,115には、コイルスプリング118,119と、穴114,115とほぼ同径のコンストリクタ116,117がそれぞれ挿入される。コンストリクタ116,117は、穴114,115の開口端の位置においては、圧縮されたコイルスプリング118,119の弾性力が作用して内方(図1においては上方)に付勢される。
【0021】
第1のコンタクトホルダ12は、円柱状の回動操作軸121と、回動操作軸121を中心として互いに相反する半径方向に直線状に延びる一対の腕部122,123とをそれぞれ有して一体的に形成した部材からなる。また、回動操作軸121と同軸に当該回動操作軸121よりも小径の支持軸124が形成されている。回動操作軸121の先端部には、シリンダ錠に連結するカムシャフト(図示せず)を係合させるための小判状の溝121a(図3参照)が形成されている。
【0022】
腕部122,123の上面には、それぞれコンタクト126,128を係合するための係合孔122a,123aが形成されている。コンタクト126,128は、導電性を有する金属製の部材からなり、スプリング127,129を介して係合孔122a,123aに係合させることにより、一定の押圧力が付与された状態でコンタクトホルダ12に装着される。
【0023】
第1のコンタクトホルダ12の腕部122,123の下面は、第2のコンタクトホルダ13の基板部131の上面と摺動可能とするために平坦に形成されている。また、一方の腕部123の下面には、後述するように略円錐状に陥没する溝孔125(図4参照)が形成されている。
【0024】
また、腕部122の外周面には穴122bが形成され、この穴122bにスプリング17及びボール18が挿入される。コンタクトホルダ12がスイッチボディ11に装着された状態では、スプリング17の押圧力によりボール18がスイッチボディ11の円筒状の内面に押し付けられ接触回転することにより、コンタクトホルダ12の回動を円滑している。また、コンタクトホルダ12の所定の切換位置では、ボール18の一部がスイッチボディ11の内面の嵌合穴(図示せず)に嵌合することにより、その切換位置での節度感(クリックフィーリング)を生じさせる節度機構をも構成している。なお、図示はしないが腕部123側にも同様の節度機構が備えられる。
【0025】
第2のコンタクトホルダ13は、中央の回動軸Aと中心が一致する円形の貫通孔134を有する略円板状の基板部131と、この基板部131の一面側(図1においては上面側)に回動軸Aを中心として互いに相反する半径方向に配設された一対の台部132,133とをそれぞれ有して一体的に形成した部材からなる。
【0026】
基板部131には、さらに、前述のスイッチボディ11の穴114,115に対応する半径位置に丸孔135が貫通して形成されている。なお、この丸孔135と穴114,115とは、それぞれボール16を遊嵌できる程度の直径で形成される。
【0027】
台部132,133の上面には、それぞれコンタクト136,138を係合するための係合孔132a,133aが形成されている。コンタクト136,138は、導電性を有する金属製の部材からなり、スプリング137,139を介して係合孔132a,133aに係合させることにより、一定の押圧力が付与された状態でコンタクトホルダ13に装着される。
【0028】
ターミナルベース15は、スイッチボディ11の開口部を閉塞する蓋としてのキャップ部151と、図示しないハーネスコネクタと接続するためのターミナル部152とを一体的に形成した部材である。
【0029】
キャップ部151の裏面には、電極基板155(図3参照)が設けられ、この電極基板155には、コンタクト128,126,138,136の摺接方向に沿って異なるパターンの固定接点である複数の電極が同心円周上に配置されている(図3参照)。ターミナル部152には、導電性を有する複数のターミナルピン153,153,153が設けられ、対応する電極と電気的に接続されている。
【0030】
キャップ部151の中央には軸受部154が形成されている。この軸受部154は、第1のコンタクトホルダ12の支持軸124を回動可能に軸受し安定した回動操作を得るために設けられている。
【0031】
[イグニッションスイッチ1の組み立て方法]
かかる構成部材を有するイグニッションスイッチ1は、次のようにして組み立てられる。
【0032】
先ず、第1のコンタクトホルダ12の係合孔122a,123aにスプリング127,129を介してコンタクト126,128を係合させ取り付ける。第2のコンタクトホルダ13についても、同様にスプリング137,139を介してコンタクト136,138を係合孔132a,133aに取り付ける。
【0033】
次に、第1のコンタクトホルダ12の回動操作軸121にリターンスプリング14を挿入し、この状態で第2のコンタクトホルダ13の貫通孔134に回動操作軸121を貫通させる。このとき、第1のコンタクトホルダ12の両端部にある一対のコンタクト126,128を結ぶ線と、第2のコンタクトホルダ13の両端部にある一対のコンタクト136,138とを結ぶ線とが、回動軸Aで交差する位置関係となる。
【0034】
また、第1のコンタクトホルダ12の腕部123の下面で塞がれる第2のコンタクトホルダ13の丸孔135内にボール16を介挿する。
【0035】
そして、スイッチボディ11の穴114,115に、コイルスプリング118,119と、コンストリクタ116,117をそれぞれ挿入した後、第1のコンタクトホルダ12の回動操作軸121の先端部分をスイッチボディ11の軸孔113に嵌合させて、第1及び第2のコンタクトホルダ12,13をスイッチボディ11に収容する。このとき、併せてコンタクトホルダ12の腕部122の穴122bにスプリング17及びボール18を介挿する。
【0036】
最後に、ターミナルベース15を、その軸受部154でコンタクトホルダ12の支持軸124を軸受しながら、かつ、そのキャップ部151でスイッチボディ11の開口部を閉塞するようにして、スイッチボディ11に嵌着する。
【0037】
[イグニッションスイッチ1の動作]
図2は、第1の実施の形態に係るイグニッションスイッチにおいて、切換位置と接点を介して電極パターンが接続される接続状態との対応関係を示す表である。本実施の形態では、キーによる回動操作に応じて、順次、<OFF(オフ)>,<ACC(アクセサリ)>,<ON(オン)>,<START(スタート)>の4つの切換位置のいずれかが選択される。なお、本明細書では以下、<OFF>から<START>位置へ回動操作する方向を「順方向」といい、<START>から<OFF>位置へ戻す方向を「逆方向」という。
【0038】
図2を参照し、イグニッションスイッチ1にあっては、<OFF>位置では、電極AM,AMに対していずれの電極も導通しない。<ACC>位置では、電極AMと電極Accとが導通する。<ON>位置では、電極AMと電極Acc及び電極iGとが導通し、電極AMと電極iGとが導通する。<START>位置では、電極AMと電極iGとが導通し、電極AMと電極iG及び電極STが導通する。このように切換位置に応じて接続状態が選択される。
【0039】
図3は、各接点位置におけるターミナルベース15の裏面側を示す図である。図3においてはスイッチ動作の理解を助けるため、コンタクトホルダ13の基板部131の表示を省略している。また、図4は、図1に示すS−S曲線に沿って展開した各切換位置における略断面図である。
【0040】
図3に示す電極基板155には、図2に示すスイッチ動作を可能とするように、コンタクト126,128,136,138の摺接方向に沿って同心円上2列に電極AM,Acc,iG,AM,iG,STのパターンが配置されている。また、<ACC>位置から<ON>位置の区間にあっては、結合媒体としてのボール16を第1及び第2のコンタクトホルダ12,13が共有することにより、第1及び第2のコンタクトホルダ12,13とが一体となって連動する。
【0041】
切換位置が<OFF>位置では、いずれの電極間も導通しない位置にコンタクト126,128,136,138が配置される(図3(a))。また、<OFF>位置では、第1のコンタクトホルダ12の腕部123の下面で第2のコンタクトホルダ13の丸孔135を塞ぐため、第1及び第2のコンタクトホルダ12,13はボール16を共有せず、第1のコンタクトホルダ12の回動によっては第2のコンタクトホルダ13が従動することはない(図4(a))。
【0042】
<OFF>位置から<ACC>位置へ第1のコンタクトホルダ12が回動操作されると、コンタクト128が電極AMと電極Accに接触し、これらの電極同士を導通させる(図3(b))。また、<ACC>位置では、スイッチボディ11の穴114の位置と、第1のコンタクトホルダ12の溝孔125及び第2のコンタクトホルダ13の丸孔135の位置が一致する。これにより、穴114にあるボール16がコイルスプリング118の付勢力により押し上げられ、ボール16の上半分が溝孔125に嵌合し、ボール16の下半分が丸孔135に嵌合する。したがって、第1及び第2のコンタクトホルダ12,13は、ボール16を介して回動方向に結合する(図4(b))。
【0043】
なお、第2のコンタクトホルダ13は、<ACC>位置において逆方向への回動が規制されているため、第1のコンタクトホルダ12が<ACC>位置から<OFF>位置に戻された場合には、前述の結合状態は解除される。
【0044】
第1のコンタクトホルダ12を更に<ACC>位置から<ON>位置に回動操作すると、第1のコンタクトホルダ12と第2のコンタクトホルダ13とが相互の位相変化なく一体となって連動する。そして、<ON>位置では、コンタクト128を介した電極AMと電極Accとの間の導通を維持しつつ、第2のコンタクトホルダ13のコンタクト138を介して電極AMと電極iGとが導通し、コンタクト136を介して電極AMと電極iGとが導通する(図3(c))。また、<ON>位置では、スイッチボディ11の穴115の位置と、第1のコンタクトホルダ12の溝孔125及び第2のコンタクトホルダ13の丸孔135の位置が一致するとともに、第2のコンタクトホルダ13の順方向への移動が規制される(図4(c))。
【0045】
そして、第1のコンタクトホルダ12を<ON>位置から順方向へ回動操作すると、図1に示したリターンスプリング14が捩じられ、これにより回動操作に対抗する逆方向の戻り力が第1のコンタクトホルダ12に作用する。このとき、ボール16を介した第1及び第2のコンタクトホルダ12,13の結合状態が解除される(図4(d))。この戻り力に抗して第1のコンタクトホルダ12を更に<START>位置に回動すると、第1のコンタクトホルダ12のみが回動し、第2のコンタクトホルダ13のコンタクト138,136を介した電極iG,電極iGの導通が維持されるとともに、第1のコンタクトホルダ12のコンタクト128が電極Accから外れるため電極Accが非導通となる。さらに、コンタクト126が電極AMと電極STに接触するため、これらの電極同士が導通する(図3(d))。
【0046】
[第1の実施の形態の効果]
第1の実施の形態に係るイグニッションスイッチ1によれば、外部から回動操作される2つのコンタクトホルダ12,13にそれぞれコンタクト126,128,136,138を設けることで、スイッチの摺接面上で可動接点を分割し、かつ、全体の回動操作区間のうち一部の区間のみ第1のコンタクトホルダ12と第2のコンタクトホルダ13とを連動させる構成とした。これにより、例えば接続状態が変化しない回動操作区間では第2のコンタクトホルダ13を移動させないようにすることで、その区間で接触する固定電極を延長する必要がなくなる。したがって、スイッチ全体の小型化を容易にすることができる。
【0047】
また、複数のコンタクト126,128,136,138が連動して回動する区間と連動しない区間とに分けることで、固定電極を有効に配置でき又は短縮できることから、従来よりも回動操作角を小さく設計することができる。
【0048】
なお、第1のコンタクトホルダ12において各コンタクト126,128の回動軸Aからの距離をそれぞれ異なる距離にしてもよく、同様にコンタクトホルダ13においても各コンタクト136,138の回動軸Aからの距離をそれぞれ異なる距離にしてもよい。
【0049】
[第2の実施の形態の説明]
図5は、本発明の第2の実施の形態によるイグニッションスイッチ2の分解斜視図である。なお、図5において図1で示した第1の実施の形態と同一又は対応する構成部分については同一の符号を付し、また共通する説明については第1の実施の形態に拠るものとしてここでは省略する。
【0050】
このイグニッションスイッチ2は、スイッチボディ11と、第1のコンタクトホルダ22と、第2のコンタクトホルダ23と、トーションバネであるリターンスプリング14と、ターミナルベース15とを備えている。
【0051】
第1のコンタクトホルダ22は、円柱状の回動操作軸221と、回動操作軸221を中心とし約110度の角度をなして半径方向に延びる一対の腕部222,223とをそれぞれ有して一体的に形成した部材からなる。また、回動操作軸221と同軸に当該回動操作軸221よりも小径の支持軸224が形成されている。回動操作軸221の先端部には、シリンダ錠に連結するカムシャフト(図示せず)を係合させるための小判状の溝221a(図6参照)が形成されている。
【0052】
腕部222,223の上面には、それぞれコンタクト226,228を係合するための係合孔222a,223aが形成されている。コンタクト226,228は、導電性を有する金属製の部材からなり、スプリング227,229を介して係合孔222a,223aに係合させることにより、一定の押圧力が付与された状態でコンタクトホルダ22に装着される。
【0053】
第1のコンタクトホルダ22の腕部222,223の下面は、第2のコンタクトホルダ23の基板部231の上面と摺動可能とするために平坦に形成されている。また、一方の腕部222の下面には、略円錐状に陥没する溝孔(図示せず)が形成されている。
【0054】
また、腕部223の外周面には穴(図示せず)が形成され、この穴にスプリング17及びボール18が挿入される。コンタクトホルダ22がスイッチボディ11に装着された状態では、スプリング17の押圧力によりボール18がスイッチボディ11の円筒状の内面に押し付けられ接触回転することにより、コンタクトホルダ22の回動を円滑している。また、コンタクトホルダ22の所定の切換位置では、ボール18の一部がスイッチボディ11の内面の嵌合穴(図示せず)に嵌合することにより、その切換位置での節度感(クリックフィーリング)を生じさせる節度機構をも構成している。なお、腕部222側にも同様の節度機構が備えられる。
【0055】
第2のコンタクトホルダ23は、中央の回動軸Aと中心が一致する円形の貫通孔234を有する略円板状の基板部231と、この基板部231の一面側(図5においては上面側)に回動軸Aを中心に互いに約90度の角度をなす一対の台部232,233とをそれぞれ有して一体的に形成した部材からなる。
【0056】
基板部231には、さらに、スイッチボディ11の穴114,115に対応する半径位置に丸孔235が貫通して形成されている。なお、この丸孔235は、ボール16を遊嵌できる程度の直径で形成される。
【0057】
台部232,233の上面には、それぞれコンタクト236,238を係合するための係合孔232a,233aが形成されている。コンタクト236,238は、導電性を有する金属製の部材からなり、スプリング237,239を介して係合孔232a,233aに係合させることにより、一定の押圧力が付与された状態でコンタクトホルダ23に装着される。
【0058】
ターミナルベース15の裏面には、電極基板156(図6参照)が設けられ、この電極基板156には、コンタクト228,226,238,236の摺接方向に沿って異なるパターンの固定接点である複数の電極が同心円周上に配置されている(図6参照)。
【0059】
[イグニッションスイッチ2の組み立て方法]
かかる構成部材を有するイグニッションスイッチ2は、次のようにして組み立てられる。
【0060】
先ず、第1のコンタクトホルダ22の係合孔222a,223aにスプリング227,229を介してコンタクト226,228を係合させ取り付ける。第2のコンタクトホルダ23についても、同様にスプリング237,239を介してコンタクト236,238を係合孔232a,233aに取り付ける。
【0061】
次に、第1のコンタクトホルダ22の回動操作軸221にリターンスプリング14を挿入し、この状態で第2のコンタクトホルダ23の貫通孔234に回動操作軸221を貫通させる。このとき、第1のコンタクトホルダ22の一対のコンタクト226,228と、第2のコンタクトホルダ23の一対のコンタクト236,238とは、回動軸Aを挟んで互いに反対側に位置することとなる。
【0062】
また、第1のコンタクトホルダ22の腕部222の下面で塞がれる第2のコンタクトホルダ23の丸孔235内にボール16を介挿する。
【0063】
そして、スイッチボディ11の穴114,115に、コイルスプリング118,119と、コンストリクタ116,117をそれぞれ挿入した後、第1のコンタクトホルダ22の回動操作軸221の先端部分をスイッチボディ11の軸孔113に嵌合させて、第1及び第2のコンタクトホルダ22,23をスイッチボディ11に収容する。このとき、併せてコンタクトホルダ22の腕部223の穴(図示せず)にスプリング17及びボール18を介挿する。
【0064】
最後に、ターミナルベース15を、その軸受部154でコンタクトホルダ22の支持軸224を軸受しながら、かつ、そのキャップ部151でスイッチボディ11の開口部を閉塞するようにして、スイッチボディ11に嵌着する。
【0065】
[イグニッションスイッチ2の動作]
図6は、各接点位置におけるターミナルベース15の裏面側を示す図である。図6においては理解を助けるため、コンタクトホルダ23の基板部231の表示を省略している。
【0066】
電極基板156には、第1の実施の形態と同様に図2に示したスイッチ動作を可能とすべく、コンタクト226,228,236,238の摺接方向に沿って同心円上2列に電極AM,Acc,iG,AM,iG,STのパターンが配置されている。また、<ACC>位置から<ON>位置の区間にあっては、結合媒体としてのボール16を第1及び第2のコンタクトホルダ22,23が共有することにより、第1及び第2のコンタクトホルダ22,23が一体となって連動する。
【0067】
切換位置が<OFF>位置では、いずれの電極間も導通しない位置にコンタクト226,228,236,238が配置される(図6(a))。また、<OFF>位置では、第1のコンタクトホルダ22の腕部222の下面で第2のコンタクトホルダ23の丸孔235を塞ぐため、第1及び第2のコンタクトホルダ22,23はボール16を共有せず、第1のコンタクトホルダ22の回動によっては第2のコンタクトホルダ23が従動することはない。
【0068】
<OFF>位置から<ACC>位置へ第1のコンタクトホルダ22が回動操作されると、コンタクト226が電極AMと電極Accに接触し、これらの電極同士を導通させる(図6(b))。また、<ACC>位置では、ボール16を介して第1及び第2のコンタクトホルダ22,23が回動方向において結合する。
【0069】
なお、第2のコンタクトホルダ23は、<ACC>位置において逆方向への回動が規制されているため、第1のコンタクトホルダ22が<ACC>位置から<OFF>位置に戻された場合には、前述の結合状態は解除される。
【0070】
第1のコンタクトホルダ22を更に<ACC>位置から<ON>位置に回動操作すると、第1のコンタクトホルダ22と第2のコンタクトホルダ23とが相互の位相変化なく一体となって連動する。そして、<ON>位置では、コンタクト226を介した電極AMと電極Accとの間の導通を維持しつつ、第2のコンタクトホルダ23のコンタクト236を介して電極AMと電極iGとが導通し、コンタクト238を介して電極AMと電極iGとが導通する(図6(c))。また、<ON>位置では、スイッチボディ11の穴115の位置と第2のコンタクトホルダ23の丸孔235の位置が一致するとともに、第2のコンタクトホルダ23の順方向への移動が規制される。
【0071】
そして、第1のコンタクトホルダ22を<ON>位置から順方向へ回動操作すると、リターンスプリング14が捩じられ、これにより回動操作に対抗する逆方向の戻り力が第1のコンタクトホルダ22に作用する。このとき、ボール16を介した第1及び第2のコンタクトホルダ22,23の結合状態が解除される。この戻り力に抗して第1のコンタクトホルダ22を更に<START>位置に回動すると、第1のコンタクトホルダ22のみが回動し、第2のコンタクトホルダ23のコンタクト236,238を介した電極iG,電極iGの導通が維持されるとともに、第1のコンタクトホルダ22のコンタクト226が電極Accから外れるため電極Accが非導通となる。さらに、コンタクト228が電極AMと電極STに接触するため、これらの電極同士が導通する(図6(d))。
【0072】
[第2の実施の形態の効果]
第2の実施の形態に係るイグニッションスイッチ2によれば、外部から回動操作される2つのコンタクトホルダ22,23にそれぞれコンタクト226,228,236,238を設けることで、スイッチの摺接面上で可動接点を分割し、かつ、全体の回動操作区間のうち一部の区間のみ第1のコンタクトホルダ22と第2のコンタクトホルダ23とを連動させる構成とした。これにより、例えば接続状態が変化しない回動操作区間では第2のコンタクトホルダ23を移動させないようにすることで、その区間で接触する固定電極を延長する必要がなくなる。したがって、スイッチ全体の小型化を容易にすることができる。
【0073】
また、複数のコンタクト226,228,236,238が連動して回動する区間と連動しない区間とに分けることで、固定電極を有効に配置でき又は短縮できることから、従来よりも小さく回動操作角を設計することができる。
【0074】
また、第1のコンタクトホルダ22の腕部222,223のなす角度を調節することにより、それぞれの切換位置における回動位置が定まることから、キー操作による回動角及び回動範囲を任意の値に設計することができる。
【0075】
なお、第1のコンタクトホルダ22において各コンタクト226,228の回動軸Aからの距離をそれぞれ異なる距離にしてもよく、同様にコンタクトホルダ23においても各コンタクト236,238の回動軸Aからの距離をそれぞれ異なる距離にしてもよい。
【0076】
[第3の実施の形態の説明]
図7は、本発明の第3の実施の形態によるイグニッションスイッチ3の分解斜視図である。なお、図7において図1で示した第1の実施の形態と同一又は対応する構成部分については同一の符号を付し、また共通する説明については第1の実施の形態に拠るものとしてここでは省略する。
【0077】
このイグニッションスイッチ3は、スイッチボディ11と、第1のコンタクトロータ32と、第2のコンタクトロータ33と、第1のコンタクトホルダ34と、第2のコンタクトホルダ35と、インシュレータ36と、トーションバネであるリターンスプリング14と、ターミナルベース15とを備えている。
【0078】
第1のコンタクトロータ32は、平坦な円板状のベースプレート321と、ベースプレート321の外周部分の3箇所に放射状に延び上部に突起を有するコンタクト322,323,324とを一体的に形成した導電性を有する金属部材からなる。ベースプレート321の中央には貫通孔325が形成され、コンタクト323の近傍に丸孔326が形成され、貫通孔325を中心に丸孔326とは反対側に長孔327が形成されている。
【0079】
第2のコンタクトロータ33は、平坦な略三角形状のベースプレート331と、ベースプレート331の3箇所の頂角部分で上方に折れるコンタクト332,333,334とを一体的に形成した導電性を有する金属部材からなる。ベースプレート331の中央には貫通孔335が形成され、コンタクト332の近傍及びコンタクト334の近傍に丸孔338,337がそれぞれ形成され、貫通孔335を中心に丸孔338とは反対側に長孔339が形成されている。
【0080】
第1のコンタクトホルダ34は、回動操作軸341aと、回動操作軸341aと同軸の支持軸341bと、回動操作軸341aを基点に扇状に延びる扇状部342と、扇状部342の外周近傍一端部において支持軸341bに平行して上方に植設される長軸346と、扇状部342の外周近傍他端部において支持軸341bに平行して上方に植設される短軸348とをそれぞれ有して一体的に形成した部材からなる。
【0081】
扇状部342の下面は、第2のコンタクトホルダ35の基板部351の上面と摺動可能とするために平坦に形成され、また略円錐状に陥没する溝孔(図示せず)が形成されている。
【0082】
また、扇状部342の外周面には穴(図示せず)が形成され、この穴にスプリング17及びボール18が挿入される。第1のコンタクトホルダ34がスイッチボディ11に装着された状態では、スプリング17の押圧力によりボール18がスイッチボディ11の円筒状の内面に押し付けられ接触回転することにより、コンタクトホルダ34の回動を円滑している。また、コンタクトホルダ34の所定の切換位置では、ボール18の一部がスイッチボディ11の内面の嵌合穴(図示せず)に嵌合することにより、その切換位置での節度感(クリックフィーリング)を生じさせる節度機構をも構成している。
【0083】
第2のコンタクトホルダ35は、中央の回動軸Aと中心が一致する円形の貫通孔352を有する略円板状の基板部351と、この基板部351の一部を平面視扇状の肉厚部分としてなる扇状台部353と、扇状台部353の外周近傍一端部において回動軸Aに平行して上方に植設される共通軸357と、扇状台部353の外周近傍他端部において回動軸Aに平行して上方に植設されるリンク軸359とをそれぞれ有して一体的に形成した部材からなる。
【0084】
基板部351には、さらに、スイッチボディ11の穴114,115に対応する半径位置に丸孔355が貫通して形成されている。なお、この丸孔355は、ボール16を遊嵌できる程度の直径で形成される。
【0085】
インシュレータ36は、平坦な絶縁材からなり、第1のコンタクトローラ32の丸孔326に対応する丸孔366と、長孔327に対応する長孔367と、第2のコンタクトローラ33の丸孔338に対応する丸孔368と、長孔339に対応する長孔369とがそれぞれ貫通して形成されている。
【0086】
ターミナルベース15の裏面には、電極基板が設けられ、この電極基板には、同一円周方向に沿って異なるパターンの固定接点である複数の電極が配置されている(図8参照)。
【0087】
[イグニッションスイッチ3の組み立て方法]
かかる構成部材を有するイグニッションスイッチ3は、次のようにして組み立てられる。
【0088】
先ず、第1のコンタクトホルダ34の回動操作軸341aにリターンスプリング14を挿入し、この状態で第2のコンタクトホルダ35の貫通孔352に回動操作軸341aを貫通させる。同時に、第1のコンタクトホルダ34の扇状部342の下面で塞がれる第2のコンタクトホルダ35の丸孔355内にボール16を介挿する。
【0089】
次に、第1のコンタクトホルダ34の短軸348にスプリング54を挿入し、第2のコンタクトホルダ35のリンク軸359にスプリング53を挿入する。そして、第2のコンタクトローラ33の貫通孔335に第1のコンタクトホルダ34の支持軸341bを貫通させながら丸孔338に短軸348を貫通させる。同時に、丸孔337に第2のコンタクトホルダ35の共通軸357を貫通させるとともに、長孔339にリンク軸359を貫通させる。こうして、第2のコンタクトローラ33を第1及び第2のコンタクトホルダ34,35に取り付ける。
【0090】
第2のコンタクトローラ33を取り付けた後、リンク軸359、短軸348にスプリング51、スプリング52をそれぞれ挿入する。そして、インシュレータ36の貫通孔365に第1のコンタクトホルダ34の支持軸341bを貫通させながら、丸孔368に短軸348を嵌挿し、丸孔366に長軸346を貫通させるとともに、長孔369に第1のコンタクトホルダ35のリンク軸359を嵌挿し、同時に長孔367に共通軸357を貫通させる。こうして、インシュレータ36を第1及び第2のコンタクトホルダ34,35に取り付ける。
【0091】
そして、インシュレータ36を挟んで、第1のコンタクトローラ32の丸孔326に第1のコンタクトホルダ34の長軸346を貫通させるとともに、長孔327に第2のコンタクトホルダ35の共通軸357を貫通させる。こうして、第1のコンタクトローラ32を第1及び第2のコンタクトホルダ34,35に取り付ける。
【0092】
その後、スイッチボディ11の穴114,115に、コイルスプリング118,119と、コンストリクタ116,117をそれぞれ挿入した後、第1のコンタクトホルダ34の回動操作軸341aの先端部分をスイッチボディ11の軸孔113に嵌合させて、第1及び第2のコンタクトロータ32,33を含む一組の回転体をスイッチボディ11に収容する。このとき、併せてコンタクトホルダ34の穴(図示せず)にスプリング17及びボール18を介挿する。
【0093】
最後に、ターミナルベース15を、その軸受部154でコンタクトホルダ34の支持軸341bを軸受しながら、かつ、そのキャップ部151でスイッチボディ11の開口部を閉塞するようにして、スイッチボディ11に嵌着する。
【0094】
[イグニッションスイッチ3の動作]
図8は、各接点位置におけるターミナルベース15の裏面側の電極基板を示す図である。図8においてはスイッチ動作の理解を助けるため、第1及び第2のコンタクトロータ32,33を模式的に三角形の図で表示している。
【0095】
電極基板には、第1の実施の形態と同様に図2に示したスイッチ動作を可能とすべく、コンタクト322,323,324,332,333,334の回動方向に沿って同一円上に電極AM,Acc,iG,AM,iG,STのパターンが配置されている。
【0096】
切換位置が<OFF>位置では、いずれの電極間も導通しない位置にコンタクト322,323,324,332,333,334が配置される(図8(a))。なお、<OFF>位置において、コンタクト323は、コンタクトロータ32の端部がターミナルベース15の裏面の凸部157bに乗り上げることにより、電極AMには接触しない。
【0097】
<OFF>位置から<ACC>位置へ第1のコンタクトホルダ34が回動操作されると、長軸346を介してトルクが第1のコンタクトロータ32に作用するとともに、短軸348を介してトルクが第2のコンタクトロータ33にも作用する。第2のコンタクトロータ33の移動に伴いリンク軸359を介して第2のコンタクトロータ35を回動させ、その結果、共通軸357も回動する。すなわち、第1のコンタクトホルダ34への回動操作により、第1及び第2のコンタクトロータ32,33がその回動中心を変位させながら、連動して回動する。このとき、第1及び第2のコンタクトロータ32,33は、それぞれの回動中心が回動軸Aよりも外側にあるため、実際にキーを操作した操作角よりも大きい角度に増幅されて回動する。そして、<ACC>位置では、コンタクト322が電極AMに接触し、コンタクト323が電極Accに接触するため、これらの電極同士が導通する(図8(b))。なお、コンタクト324は、コンタクトロータ32の端部がターミナルベース15の裏面の凸部157aに乗り上げることにより、電極STには接触しない。また、<ACC>位置では、ボール16を介して第1及び第2のコンタクトホルダ34,35が回動方向において結合する。
【0098】
第1のコンタクトホルダ34を更に<ACC>位置から<ON>位置に回動操作すると、第1及び第2のコンタクトロータ32,33並びに第1及び第2のコンタクトホルダ34,35を含む一組の回転体が相互の位相変化なく一体となって回動する。そして、<ON>位置では、第1のコンタクトロータ32を介した電極AMと電極Accとの間の導通を維持しつつ、コンタクト324が電極iGに接触して電極AMと導通させる。また、第2のコンタクトロータ33のコンタクト332,334を介して電極AMと電極iGとが導通する(図8(c))。
【0099】
そして、第1のコンタクトホルダ34を<ON>位置から順方向へ回動操作すると、リターンスプリング14が捩じられ、これにより回動操作に対抗する逆方向の戻り力が第1のコンタクトホルダ34に作用する。このとき、ボール16を介した第1及び第2のコンタクトホルダ34,35の結合状態が解除される。そして、この区間では、第1のコンタクトホルダ34への回動操作に連動して、第1及び第2のコンタクトロータ32,33がその回動中心を変位させながら操作角よりも大きい角度に増幅されて回動する。そして、<ON>位置に至ると、第1のコンタクトロータ32のコンタクト322,324を介した電極AMと電極iGの導通と、第2のコンタクトロータ33のコンタクト332,334を介した電極AMと電極iGの導通とが維持されるとともに、コンタクト323が電極Accから外れるため電極Accが非導通となる。さらに、コンタクト333が電極STに接触し電極AMと導通する(図8(d))。
【0100】
[第3の実施の形態の効果]
第3の実施の形態に係るイグニッションスイッチ3によれば、外部から回動操作される第1及び第2のコンタクトロータ32,33にそれぞれ3個のコンタクト322,323,324,332,333,334を設けることで、スイッチの摺接面上で可動接点を分割する構成とした。また、2つのコンタクトホルダ32,33を互いに関連して連動させることにより、第1及び第2のコンタクトロータ32,33をその回動中心を変位させながら回動角度を増幅する構成とした。これにより、コンタクト322,323,324,332,333,334に摺接する固定電極を同一円周上に有効に又は集約して配置することができ、したがってスイッチの小型化を容易にすることができる。
【0101】
以上、本発明に好適な実施の形態を複数説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1,2,3…イグニッションスイッチ
11…スイッチボディ、12…第1のコンタクトホルダ、13…第2のコンタクトホルダ、14…リターンスプリング、15…ターミナルベース、16…ボール、17…スプリング、18…ボール
22…第1のコンタクトホルダ、23…第2のコンタクトホルダ
32…第1のコンタクトロータ、33…第2のコンタクトロータ、34…第1のコンタクトホルダ、35…第2のコンタクトホルダ、36…インシュレータ、51,52,53,54…スプリング
111…弾性片、112…底部、113…軸孔、114,115…穴、116,117…コンストリクタ、118,119…コイルスプリング
121…回動操作軸、121a…溝、122…腕部、122a…係合孔、122b…穴、123…腕部、123a…係合孔、124…支持軸、125…溝孔、126…コンタクト、127…スプリング、128…コンタクト、129…スプリング
131…基板部、132…台部、132a…係合孔、133…台部、133a…係合孔、134…貫通孔、135…丸孔、136…コンタクト、137…スプリング、138…コンタクト、139…スプリング
151…キャップ部、152…ターミナル部、153…ターミナルピン、154…軸受部、155,156…電極基板、157a,157b…凸部
221…回動操作軸、221a…溝、222,223…腕部、224…支持軸、226,228…コンタクト
231…基板部、232,233…台部、234…貫通孔、235…丸孔、236,238…コンタクト
321…ベースプレート、322,323,324…コンタクト、325…貫通孔、326…丸孔、327…長孔
331…ベースプレート、332,333,334…コンタクト、335…貫通孔、337,338…丸孔、339…長孔
341a…回動操作軸、341b…支持軸、342…扇状部、346…長軸、348…短軸
351…基板部、352…貫通孔、353…扇状台部、355…丸孔、357…共通軸、359…リンク軸
365…貫通孔、366…丸孔、367…長孔、368…丸孔
A…回動軸、AM,AM,iG,iG,ST…電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の接点を有し外部から回動操作される第1の回転体と、前記第1の接点に対し同一面上で移動可能な第2の接点を有する第2の回転体と、前記第1及び第2の接点と前記同一面上で摺接し当該接点の位置に応じて導通又は非導通を切り換える固定電極が配設された電極基板とを備え、
前記第1及び第2の回転体は、回動操作に伴う所定の移動区間において相互に連動することを特徴とする接点装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の回転体は、同一軸周りに回動することを特徴とする請求項1に記載の接点装置。
【請求項3】
前記第1の接点は前記第1の回転体の両端部に一対設けられ、前記第2の接点は前記第2の回転体の両端部に一対設けられ、前記一対の第1の接点を結ぶ線と前記一対の第2の接点とを結ぶ線とが交差する位置関係にあることを特徴とする請求項2に記載の接点装置。
【請求項4】
前記第1の接点は前記第1の回転体の回動軸を中心に互いに所定の角度をなして一対設けられ、前記第2の接点は前記第2の回転体の回動軸を中心に互いに所定の角度をなして一対設けられ、前記一対の第1の接点と前記一対の第2の接点は前記回動軸に対して互いに反対側にあることを特徴とする請求項2に記載の接点装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の回転体は、回動操作に伴う所定の移動区間において結合媒体を共有することにより移動方向において結合しこれらが一体にして連動することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の接点装置。
【請求項6】
回動操作される第1の支持体と、前記第2の回転体を介して前記第1の支持体に連結し、かつ、前記第1の支持体と回動軸を同一とする第2の支持体とを更に備え、
前記第1の回転体は、前記第1及び第2の支持体にそれぞれ設けた第1及び第2の軸にまたがって回動可能に支持され、
前記第1の回転体の一端を支持する前記第2の軸を介して前記第2の回転体の一端が回動可能に支持されることを特徴とする請求項1に記載の接点装置。
【請求項7】
前記第1及び第2の支持体は、回動操作に伴う所定の移動区間において結合媒体を共有することにより移動方向において結合しこれらが一体にして連動することを特徴とする請求項6に記載の接点装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−154826(P2011−154826A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14612(P2010−14612)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】