説明

接着剤組成物

【課題】耐熱性、耐薬品性、種々被着体の接着性、硬度、耐衝撃性などの機械的性質等にバランスがとれて優れた性能を発揮する接着剤組成物を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂、下記構造式のアミノ基含有アクリル単量体を含むアクリル単量体、


(ここで、R1は、水素原子またはメチル基、R2,R3は、水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基を表す。)および、特定のカンファーキノンを含む接着剤組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤組成物に関するものであり、機械的強度や耐熱性に優れ、構造接着剤としてきわめて有用な接着剤組成物である。
【背景技術】
【0002】
“にかわ”等で知られているとおり、接着剤は、太古の昔から身近な存在である。接着剤は、ポリ酢酸ビニル接着剤やゴム糊などのように、溶媒が蒸発することで接着機能を発揮するものから、エポキシ樹脂接着剤のように主剤と硬化剤を混合し、加熱等により三次元架橋を起こさせてより強い接着力や耐熱性、耐薬品性を発揮するものもある。一方で、エポキシ樹脂接着剤は硬く脆いという欠点を有している。
【0003】
エポキシ樹脂にニトリル(−ブタジエン共重合)ゴムを配合し硬く脆いエポキシ樹脂接着剤を強靱なものへと改善し、さらに耐熱性が向上するとされるエポキシ樹脂接着剤の改善技術が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1で提案されている技術は、当該業界ではCTBNエポキシ樹脂配合エポキシ樹脂接着剤などとして比較的ポピュラーな技術であり、確かにエポキシ樹脂接着剤の脆さが改善され、接着剤が強靱なものとなる。ところが、ゴム成分を配合することにより、エポキシ樹脂の硬化反応性が著しく遅くなり、これを回避するためには、さらに高温でのポストキュア工程が必要となり、接着作業性の悪化を招く。昨今では接着剤の低温短時間硬化が強く望まれているが、特許文献1に提案されている技術では、この要求に十分応えられない。また、高温での接着工程は、ガラス繊維、炭素繊維などで強化されたプラスチック(GFRP、CFRPなど)を接合する場合には、ひけやそりの原因となり好ましくない不具合を招く場合がある。一方、例えば80℃、30分程度の低温短時間の硬化条件では、十分な硬化性を示さず、多くの未反応物が残存し、これが溶剤、可塑剤となって硬化物は低ガラス転移温度(Tg)となり、耐熱性が悪化する。
【0004】
近年、接着をより低温短時間で行おうとする試みがなされている。この接着剤は、レドックス系の重合開始剤を用いるラジカル硬化型接着剤であり、第二世代接着剤(SGA)として広く知られるとおりである。
【0005】
SGAは、通常、塩素化ポリエチレンなどのゴム高分子をメタクリル酸メチルなどのアクリル単量体に分散または溶解し、さらにエチレングリコールジメタクリレートなどの架橋性モノマーを加え、レドックス重合開始剤で硬化される。レドックス重合開始剤は、例えば、過酸化ベンゾイル/N,N−ジメチル−p−トルイジンなどの有機過酸化物(酸化剤)とアミン化合物(還元剤)との組み合わせ、クメンヒドロペルオキシド/オクチル酸コバルトなどのヒドロペルオキシド化合物(酸化剤)と金属石鹸(還元剤)との組み合わせなどがよく知られており、一般に室温〜100℃でラジカル硬化反応を開始する硬化系として知られている。
【0006】
SGAは低温短時間硬化で、比較的良好な接着強度を示すことから航空機などに使用する構造接着剤として広く認知されている。欠点としては、アクリル単量体特有の悪臭が強いこと、硬化時の収縮が大きいこと、発熱量が大きくプラスチックなどに適用した場合ひけ等の影響で表面に欠陥が出やすいこと、酸素による硬化阻害の影響を受けやすく時として硬化が不十分となり接着不良を起こす場合があることなどが挙げられる。
【0007】
分子中に−OC(O)C(R)=CHを有するアクリルポリマーとレドックス系重合開始剤とからなる接着剤組成物が示されている(特許文献2参照)。特許文献2で提案されている技術はアクリル単量体の原子移動ラジカル重合に関するものであり、その応用として接着剤組成物が示されている。
【0008】
特許文献2で提案されている技術に示されているような柔軟なアクリルポリマーは、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のゴム弾性を有する高分子に比し、ポリマーの凝集力が小さい。したがって、柔軟なアクリルポリマーを主成分とする接着剤は、例えば引張り試験でだらだらと伸張するだけで応力は小さい。すなわち、接着剤の機械的強度が不足する。
【0009】
特許文献2で提案されている技術の実施例には、接着剤の接着力評価としてよく実施されるアルミニウム合金−アルミニウム合金のシングルラップ接着性試験結果が示されている。実施例に見られるとおり、剪断接着力が10MPa(剪断接着力の最大値は6.65MPa)を超えるものが見あたらず、構造接着剤としては、剪断接着力が小さい。
【0010】
カンファーキノンを用いた可視光硬化型レジンに関する紹介がなされている(非特許文献1参照)。
【0011】
紹介されている技術は、重合開始系として、カンファーキノンと1,3,5−トリメチルバルビツール酸との組み合わせ、カンファーキノンとチオバルビツール酸類との組み合わせに関するものである。これらはいずれも歯科技術に関するものであり、象牙質への接着力を高めるため使用されるものである。ただ残念ながら、紹介されている技術は、酸素による重合阻害を受け、硬化不良を起こしやすい。
【特許文献1】特開昭52−30837号公報
【特許文献2】特開2006−299257号公報
【非特許文献1】門磨義則、今井庸二、「チオバルビツール酸誘導体を用いた可視光線重合開始剤の研究」、歯科材料・器械(Journal of the Japanese Society for Dental Materials and Devices)、Vol.18,No.4(19890725),pp533-538.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、耐熱性、耐薬品性、種々被着体の接着性、硬度、耐衝撃性などの機械的性質等にバランスがとれて優れた性能を発揮する接着剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、エポキシ樹脂、下記構造式のアミノ基含有アクリル単量体を含むアクリル単量体、
【0014】
【化1】

【0015】
(ここで、R1は、水素原子またはメチル基、R2,R3は、水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基を表す。)
および、下記構造式のカンファーキノンを含む接着剤組成物に関するものである。
【0016】
【化2】

【発明の効果】
【0017】
本発明の接着剤組成物は、種々被着体を強靱な接着力で接合する。本発明の接着剤組成物は、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、鉄、アルミニウム、銅、チタン合金、ガラス繊維や炭素繊維で強化されたプラスチック等を被着体としたとき、強靱な接着力で接合する。
【0018】
さらに、本発明の接着剤組成物は、高張力鋼(High Tensile Steel)間の接着、高張力鋼と炭素繊維やガラス繊維で強化したプラスチック(CFRP、GFRP)間の接着、アルミニウム合金と炭素繊維やガラス繊維で強化したプラスチック(CFRP、GFRP)間の接着でも好適な接着剤として強靱な接着力を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、エポキシ樹脂、下記構造式のアミノ基含有アクリル単量体を含むアクリル単量体、
【0020】
【化3】

【0021】
(ここで、R1は、水素原子またはメチル基、R2,R3は、水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基を表す。)
および、下記構造式のカンファーキノンを含む接着剤組成物である。
【0022】
【化4】

【0023】
本発明の接着剤組成物で使用されるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ソルビトールポリグリシジルエーテル等が例示され(参考文献;「14705の化学商品」、化学工業日報社、pp1126-1135(2005))、これらのエポキシ樹脂は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
【0024】
本発明の接着剤組成物では、エポキシ樹脂は、アクリル単量体とエポキシ樹脂の合計量100重量部に対して、好ましくは40〜99重量%、より好ましくは、50〜98重量%、さらに好ましくは、55〜98重量%使用されるのが望ましい。エポキシ樹脂の使用量が40重量%未満の場合には、接着剤の強度が低下する傾向が見られる。エポキシ樹脂の使用量が99重量%を超える場合には、接着剤の強靱性が失われる傾向が見られ、耐衝撃性が低下して脆くなる傾向が見られる。
【0025】
本発明の接着剤組成物では、エポキシ樹脂として好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の使用が推奨され、例えば「jER828」、「jER1001」、「jER1004」(以上、ジャパンエポキシレジン社の製品)などが例示される。本発明では、好ましく使用されるビスフェノールA型エポキシ樹脂は、単独で使用しても、2種類以上の混合物として使用してもよい。
【0026】
本発明の接着剤組成物では、好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が使用されることにより、接着剤の被着体へのなじみ、浸透性が向上し、種々被着体に対するより強い接着強度が発揮される。
【0027】
本発明の接着剤組成物では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、本発明で使用されるエポキシ樹脂の合計量100重量部に対して、好ましくは、40〜100重量%、より好ましくは、50〜100重量%、さらに好ましくは、45〜100重量%使用されるのが望ましい。本発明の接着剤組成物では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の使用量が、40〜100重量%であると、接着剤の強靱性や耐熱性が良く、接着作業性がよい。
【0028】
また、本発明の接着剤組成物では、エポキシ樹脂として、好ましくは、下記構造式のテトラグリシジルメタキシレンジアミンである。上市されているものとして「TETRAD−X」(三菱ガス化学社の製品)などが例示される。本発明では、好ましく使用される下記構造式のテトラグリシジルメタキシレンジアミンは単独で使用しても、2種類以上の混合物として使用してもよい。
【0029】
【化5】

【0030】
本発明の接着剤組成物では、テトラグリシジルメタキシレンジアミンが使用されることにより、接着剤の耐熱性が向上し、本発明の目的であるアクリル単量体とのハイブリッドにおいて、アクリル単量体の硬化性を含め接着剤の硬化性が改善されて特に金属に対する接着力が向上する。
【0031】
本発明の接着剤組成物では、テトラグリシジルメタキシレンジアミンは、本発明で使用されるエポキシ樹脂の合計量100重量部に対して、好ましくは、0.2〜50重量%、より好ましくは、0.5〜45重量%、さらに好ましくは、2〜40重量%使用されるのが望ましい。本発明の接着剤組成物では、テトラグリシジルメタキシレンジアミンの使用量が、0.2〜50重量%であると、接着剤の強靱性や耐熱性がよく、接着剤のポットライフが適度にあるので、接着作業性がよい。
【0032】
本発明の接着剤組成物では、さらに好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とテトラグリシジルメタキシレンジアミンが併用される場合があり、接着剤の硬化性が向上し、強靱で耐熱性のよい接着剤が製造できる。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とテトラグリシジルメタキシレンジアミンが併用されることにより、アクリル単量体の重合硬化性がより向上し、アクリル単量体による接着剤の改質、性能向上効果、例えば、耐衝撃性や曲げ強度などの接着剤の改質、性能向上効果が顕著となる。
【0033】
本発明の接着剤組成物では、下記構造式のアミノ基含有アクリル単量体が使用され、
【0034】
【化6】

【0035】
(ここで、R1は、水素原子またはメチル基、R2,R3は、水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基を表す。)
アミノ基含有アクリル単量体としては、例えば、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチルなどが例示される。これらのアミノ基含有アクリル単量体は、単独で使用しても、2種類以上の混合物として使用してもよい。
【0036】
本発明の接着剤組成物では、アミノ基含有アクリル単量体は、好ましくは、アクリル単量体のラジカル重合を開始する機能、アクリル単量体がラジカル重合し生成されたアミノ基含有アクリル単量体が共重合されたアクリル樹脂とエポキシ樹脂とをグラフト化する機能、エポキシ樹脂の硬化反応を促進する機能を有する。本発明の接着剤組成物では、好ましくは、これらの機能が一丸となって作用し、接着剤の接着力、強靱性、耐熱性が向上する。さらに、アミノ基含有アクリル単量体は、好ましくは、アクリル樹脂中に共重合で組み込まれるため、接着剤の耐水性、耐薬品性が大きく向上する。
【0037】
本発明の接着剤組成物では、下記構造式のアミノ基含有アクリル単量体は、
【0038】
【化7】

【0039】
(ここで、R1は、水素原子またはメチル基、R2,R3は、水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基を表す。)
本発明で使用されるアクリル単量体の合計量100重量部に対して、好ましくは、0.05〜20重量%、より好ましくは、0.2〜18重量%、さらに好ましくは、0.3〜12重量%使用されるのが望ましい。本発明の接着剤組成物では、アミノ基含有アクリル単量体の使用量が0.05重量%未満の場合には、アクリル単量体の重合速度が遅くなり、接着剤の機械的強度、接着力が低下する場合が見られる。また、アクリル単量体がアミノ基含有アクリル単量体を含み重合したアクリル樹脂とエポキシ樹脂との相溶性、グラフト化が不足する傾向が見られ、同様に接着剤の機械的強度が低下する場合がある。アミノ基含有アクリル単量体の使用量が20重量%を超える場合には、多すぎるアミノ基の存在でアクリル単量体の重合が阻害される傾向が見られ、重合率が上がりにくくなり、また低分子量化傾向が見られ、接着剤の強靱性が損なわれる場合が見られる。
【0040】
本発明の接着剤組成物で使用される下記構造式のアミノ基含有アクリル単量体
【0041】
【化8】

【0042】
(ここで、R1は、水素原子またはメチル基、R2,R3は、水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基を表す。)
以外のアクリル単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸イソボルニル、ジシクロペンテニルオキシアクリレート、ジシクロペンタニルオキシアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、アクリル酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−ブトキシエチル、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸エチルエチレンウレア、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸イソボルニル、ジシクロペンテニルオキシメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−ブトキシエチル、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、メタクリル酸エチルエチレンウレア、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸などが例示され、本発明では、これらのアクリル単量体は単独で使用しても、2種類以上の混合物として使用してもよい。
【0043】
本発明の接着剤組成物では、アクリル単量体として、好ましくは、下記構造式のアルコキシ基含有アクリル単量体
【0044】
【化9】

【0045】
(ここで、R1は、水素原子またはメチル基、R4は炭素原子数2〜4個のアルキル基、R5は炭素原子数1〜4個のアルキル基を表す。)
が使用されるのが望ましい。
【0046】
本発明の接着剤組成物では、アルコキシ基含有アクリル単量体としては、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−ブトキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−ブトキシエチルなどが例示され、本発明では、アルコキシ基含有アクリル単量体は、単独で使用しても、2種類以上の混合物として使用してもよい。
【0047】
本発明の接着剤組成物では、好ましくは、アルコキシ基含有アクリル単量体が使用されることにより、接着剤がより強靱になり、接着剤の伸び率が向上して耐衝撃性が向上する。
【0048】
本発明の接着剤組成物では、本発明で使用されるアクリル単量体の合計量100重量部に対して、本発明で好ましく使用されるアルコキシ基含有アクリル単量体は、好ましくは2〜50重量%、より好ましくは、8〜45重量%、さらに好ましくは8〜40重量%使用されるのが望ましい。本発明のエポキシ−アクリルハイブリッド接着剤組成物では、アルコキシ基含有アクリル単量体の使用量が2〜50重量の場合には、接着剤の強靱性があり、接着剤に急激に大きい力が作用した場合にも接着破壊を起きない。さらに、接着剤の耐水性がよく、電気陰性度のことなる金属同士の接着、炭素繊維強化プラスチックと金属(特にアルミニウム合金)との接着を行う際に、塩水などの電解質溶液中での接着力が悪化しない。
【0049】
本発明の接着剤組成物では、アクリル単量体が使用されることにより、好ましくは、エポキシ樹脂接着剤が、アクリル単量体の併用でハイブリッドされることにより、接着剤のガラス転移温度が低下することなく、接着剤の耐衝撃性、強靱性が向上する。
【0050】
また、本発明の接着剤組成物では、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、β−カルボキシエチルメタクリレートなどのカルボキシル基含有アクリル単量体の使用が推奨され、本発明で好ましく使用されるカルボキシル基含有アクリル単量体は単独で使用しても、2種類以上の混合物として使用してもよい。本発明で好ましく使用されるカルボキシル基含有アクリル単量体を使用することにより、好ましくは、エポキシ樹脂とアクリル樹脂との間でグラフト化が進行し、接着剤の強靱性、伸度が、より一層、改善、向上する。
【0051】
本発明の接着剤組成物では、本発明で好ましく使用されるカルボキシル基含有アクリル単量体は、本発明で使用されるアクリル単量体の合計量100重量部に対して、好ましくは、0.05〜20重量%、より好ましくは、0.1〜12重量%、さらに好ましくは、0.2〜8重量%使用されるのが望ましい。本発明のエポキシ−アクリルハイブリッド接着剤組成物では、本発明で好ましく使用されるカルボキシル基含有アクリル単量体の使用量が、0.05〜20重量%の場合、エポキシ樹脂とアクリル樹脂のエポキシ基を経由した一体化がバランスよく進み、接着剤の接着強度、伸度、耐衝撃性などにバランスがとれて良好な性能を発揮する。
【0052】
本発明の接着剤組成物では、下記構造式で示されるカンファーキノン(以下、CQとも言う)が使用され、
【0053】
【化10】

【0054】
アクリル単量体の重合反応、硬化反応を開始、推進する作用がある。
【0055】
可視光線を吸収し活性化してアクリル単量体等の重合反応、硬化反応を開始する化合物としては、カンファーキノン、ベンジル、ジアセチル、アントラキノン、ベンゾインメチルエーテルなどがよく知られている。このうち、カンファーキノン(CQ)は、通常470nm程度の可視光線で活性化され、チオバルビツール酸、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどと組み合わせ可視光線硬化型レジンの重合開始系として使用される(非特許文献1参照)。
【0056】
これらの重合開始系は可視光線照射下では活性でアクリル単量体の重合を開始し、アクリル単量体の硬化物を与えるが、これらの重合開始系は可視光線が照射されない暗視野では活性化されずもはやアクリル単量体の重合は開始されず、アクリル単量体の硬化物が得られることはない。
【0057】
本発明のエポキシ樹脂、アミノ基含有アクリル単量体を含むアクリル単量体、カンファーキノン(CQ)を含む接着剤組成物は、可視光線の照射がなくても、すなわち暗視野でもアクリル単量体の重合が開始され、アクリル単量体の硬化物を与える。
【0058】
すなわち、本発明の接着剤組成物は、鉄、アルミニウム、銅、チタン合金といった可視光線を透過しない被着体であっても、接着剤の硬化反応がスムースに進行し、継続され、完結する。本発明の接着剤組成物は、比較的低温、短時間で、種々被着体に対する強靱な接着力が発現される。
【0059】
本発明の接着剤組成物では、カンファーキノン(CQ)は、本発明で使用されるアクリル単量体の合計量100重量部に対して、好ましくは、0.02〜20重量部、より好ましくは、0.5〜16重量部、さらに好ましくは、0.5〜12重量部使用するのが望ましい。本発明の接着剤組成物では、カンファーキノン(CQ)の使用量が0.02重量部未満の場合には、アクリル単量体の重合速度が遅くなりアクリル単量体が未反応で残りやすくなる傾向が見られる。この結果、接着剤そのものが未硬化状態となり、機械的強度、接着力が低下する場合がある。カンファーキノン(CQ)の使用量が20重量部を超える場合には、アクリル単量体の重合速度が速くなりすぎて、接着剤に硬化歪みが生じやすくなる傾向が見られ、接着力の低下を招く場合がある。
【0060】
本発明の接着剤組成物では、好ましくは、エポキシ樹脂の硬化剤を使用することができる。エポキシ樹脂の硬化剤としては、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、脂環式ポリアミン、ポリアミノアミド、アミン系硬化剤の混合物、第三アミン、アミン誘導体とホルムアルデヒドとの縮合体、脂肪酸と酸無水物、脂環式酸と酸無水物、芳香族酸と酸無水物、ハロゲン化酸と酸無水物、ヒドラジド誘導体、ジシアンジアミドとその誘導体、ボロンハライド錯体、有機金属錯体、オニウム塩類、ポリチオール、フェノールホルムアルデヒド縮合体、フェノールとその誘導体、水酸基を持つ他の化合物、イソシアネート、ケチミン、イミダゾールとその誘導体などが例示される(参考文献;「総説 エポキシ樹脂 第1巻 基礎編I」,エポキシ樹脂技術協会、pp117-209(2003.11))。これらのエポキシ樹脂の硬化剤は、単独で使用しても、もしくは2種類以上の混合物として使用してもよい。
【0061】
本発明の接着剤組成物では、これらのエポキシ樹脂の硬化剤は、例えばエポキシ樹脂のエポキシ当量とポリアミン化合物のアミン価から常法により算出される適性配合量で使用しても、例えば実験により求められた機械的強度や接着強度が最適化される配合量で配合してもよい。本発明の接着剤組成物では、これらのエポキシ樹脂硬化剤は、本発明で使用されるエポキシ樹脂の合計量100重量部に対して、概ね0.2〜50重量部配合されるのが望ましい。エポキシ樹脂硬化剤量がこの使用量範囲の時、接着剤の機械的強度や接着強度が最大化される場合が多く見られる。
【0062】
本発明の接着剤組成物では、エポキシ樹脂の硬化剤として、好ましくは、イミダゾール化合物の使用が推奨され、本発明で好ましく使用されるイミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどが例示される。本発明の接着剤組成物では、これらのイミダゾール化合物は単独で使用しても、2種類以上の混合物として使用してもよい。
【0063】
本発明の接着剤組成物では、硬化剤として好ましく使用されるイミダゾール化合物は、エポキシ樹脂の硬化触媒として作用し、硬化性がシャープでしかも硬化速度が速く、かつポットライフが長いという接着剤として望ましい作業性を有し、機械的強度の大きい、種々被着体に対して強い接着力を示す接着剤を製造するために有用である。
【0064】
本発明の接着剤組成物では、イミダゾール化合物は本発明で使用されるエポキシ樹脂の合計量100重量部に対して、好ましくは、2〜30重量部、より好ましくは、5〜25重量部、さらに好ましくは、5〜20重量部使用されるのが望ましい。本発明接着剤組成物では、イミダゾール化合物の使用量が、エポキシ樹脂の合計量100重量部に対して、2〜30重量部の場合には、エポキシ樹脂の硬化性がよく、接着剤の強靱性、接着力が低下しない。
【0065】
本発明の接着剤組成物では、さらに好ましくは、ポキシ樹脂の硬化剤として、望ましくは、下記構造式のフェノール化合物が使用され、
【0066】
【化11】

【0067】
(ここで、R6,R7,R8,R9,R10,R11は、水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基を表す。)
トリス(2,4,6−N,N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、トリス(2,4,6−N,N,N−ジエチルアミノメチル)フェノールなどが例示される。本発明の接着剤組成物では、フェノール化合物は単独で使用しても、2種類以上の混合物として使用してもよい。
【0068】
本発明の接着剤組成物では、フェノール化合物は、エポキシ樹脂の硬化速度を速める効果が見られ、硬化温度の引き下げと硬化時間の短縮が可能となり、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)やガラス繊維強化プラスチック(GFRP)などを被着体とした場合のひけやそりが解消され、残留応力の発生が押さえられて接着強度が向上する傾向が見られる。また、本発明では、フェノール化合物を適正量使用することにより、接着剤のガラス転移温度を向上する作用が見られ、耐熱性が改善される。
【0069】
本発明の接着剤組成物では、フェノール化合物は本発明で使用されるエポキシ樹脂の合計量100重量部に対して、好ましくは、0.02〜10重量部、より好ましくは、0.05〜8重量部、さらに好ましくは、0.1〜6重量部使用されるのが望ましい。
【0070】
さらに、本発明の接着剤組成物では、好ましくは下記構造式のバルビツール酸誘導体を使用することができ、
【0071】
【化12】

【0072】
(ここで、R12,R13,R14は、水素原子または炭素原子数1〜4個のアルキル基、X,Y,Zは酸素原子、硫黄原子、またはSHを表す。)
本発明で使用されるバルビツール酸誘導体としては、バルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1,3,5−トリメチル−2−チオバルビツール酸などが例示され、本発明では、バルビツール酸誘導体は、単独で使用しても、2種類以上の混合物として使用してもよい。
【0073】
本発明の接着剤組成物では、バルビツール酸誘導体は、本発明で使用されるアミノ基含有アクリル単量体の機能を補助してアクリル単量体のラジカル重合を開始する機能を有し、アクリル単量体の重合反応を加速し、比較的低温、短時間で未反応アクリル単量体が残存することなく硬化が完了する傾向が見られる。本発明では、バルビツール酸誘導体は本発明で使用されるアクリル単量体の合計量100重量部に対して、好ましくは0.05〜10重量部使用されるのが望ましく、硬化反応がスムースに進行し、接着強度が向上する傾向が見られる。
【0074】
本発明のエポキシ−アクリルハイブリッド接着剤組成物では、好ましくは下記構造式のヒンダードアミン化合物(以下、HALSとも言う)が使用され、
【0075】
【化13】

【0076】
(ここで、R15は水素原子または炭素原子数1〜6個のアルキル基を表す。)
好ましく使用されるヒンダードアミン化合物(HALS)としては、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンなどが例示され、本発明では、ヒンダードアミン化合物(HALS)は、単独で使用しても、2種類以上の混合物として使用してもよい。
【0077】
本発明の接着剤組成物では、ヒンダードアミン化合物(HALS)として、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが好ましく使用され、接着剤の保存安定性、硬化性が改善される傾向が見られる。また、アクリル単量体の重合反応が酸素による重合阻害を受けがたくなり、接着剤の機械的強度、接着強度が向上する傾向が見られる。
【0078】
本発明の接着剤組成物では、ヒンダードアミン化合物(HALS)は、本発明で使用されるアクリル単量体の合計量100重量部に対して、好ましくは、0.02〜12重量部使用されるのが望ましく、接着剤の硬化性が改善されて接着剤の機械的強度、接着強度が向上する傾向が見られる。
【0079】
本発明の接着剤組成物では、好ましくは、一分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能アクリルモノマー、オリゴマーを使用することができ、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジメタクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、液状ポリブタジエンジ(メタ)アクリレートなどが例示され、これらの一分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能アクリルモノマー、オリゴマーは単独で使用しても、2種類以上の混合物として使用してもよい。
【0080】
一分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能アクリルモノマーとして、上市されているものとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジメタクリレート等のエポキシジ(メタ)クリレートの例としては、「NKエステル BPE−100」、「NKエステル BPE−200」(以上、新中村化学工業(株)の製品)、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレートなどの例としては、「アロニックスM−5700」、「アロニックスM−7100」(以上、東亞合成(株)の製品)、液状ポリブタジエンジメタクリレートの例としては、「NISSO PBD TE−2000」、「NISSO PBD TEA−2000」、「NISSO PBD TEAI−2000」(日本曹達(株)の製品)などが例示される。
【0081】
本発明のエポキシ−アクリルハイブリッド接着剤組成物では、一分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能アクリルモノマー、オリゴマーは、本発明で使用されるアクリル単量体と一分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能アクリルモノマー、オリゴマーの合計量を100重量部として、好ましくは、0.02〜20重量%使用されるのが望ましい。一分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能アクリルモノマー、オリゴマーの使用量がこの範囲であるとき、接着剤の保存安定性が良好な状態で維持され、接着剤の機械的強度、接着強度がバランスがとれ向上する傾向が見られる。
【0082】
本発明の接着剤組成物では、さらに、接着剤の粘性調節(レオロジーコントロール)や強度向上その他の目的のために、シリカ、カーボンブラック、モンモリロナイト、ガラス繊維などの各種フィラー、液状ポリブタジエン、両末端アクリル化液状ポリブタジエン、液状アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、液状両末端アクリル化アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、MBS樹脂などのポリマー、オリゴマー類を添加することも可能である。
【0083】
本発明の接着剤組成物は、接着剤を金属、プラスチック、ガラス、建材などの被着体に例えば接着剤厚みが50μm〜5mmとなるよう塗布した後、例えば室温〜150℃で例えば1〜60分、接着剤の硬化反応を行うことにより、良好な接着部材を製造することができる。
【実施例】
【0084】
以下に、本発明の一例を実施例によって説明する。なお、以下で説明する実施例中、接着剤の引張強度試験は、ASTM D638にしたがい23℃と80℃で行った。また、引張剪断強度試験は、ASTM D1002にしたがい、接着剤の厚みを200μmとして23℃で行った。試験用の被着体としてはアルミニウム合金(JIS A−2017P)を使用した。また、全ての接着剤は、被着体に塗布後100℃、30分間硬化させた。
【0085】
1.実施例および比較例で使用するエポキシ樹脂の製造例
表1の組成のエポキシ樹脂を均一になるまで混合し、実施例および比較例で使用するエポキシ樹脂を製造した。
【0086】
【表1】

【0087】
2.実施例および比較例で使用するアクリル単量体混合物の製造例
表2の組成でアクリル単量体、その他の原料を均一になるまで混合し、アクリル単量体混合物を製造した。なお、製造は23℃、遮光下で実施した。
【0088】
【表2】

【0089】
3.実施例および比較例で使用するエポキシ樹脂硬化剤の製造例
表3の組成で、イミダゾール化合物、フェノール化合物を均一な溶液になるまで攪拌混合しエポキシ樹脂硬化剤を製造した。
【0090】
【表3】

【0091】
実施例
表4の組成で実施例のエポキシ−アクリルハイブリッド接着剤組成物(接着剤1〜接着剤10)を製造した。製造方法は、エポキシ樹脂混合物にアクリル単量体混合物を均一になるよう混合し、これにエポキシ樹脂硬化剤を添加し均一になるまで攪拌、混合を行った。
【表4】

【0092】
比較例
表5の組成で比較例のエポキシ−アクリルハイブリッド接着剤組成物(接着剤11〜接着剤15)を製造した。製造方法は、エポキシ樹脂混合物にアクリル単量体混合物を均一になるよう混合し、これにエポキシ樹脂硬化剤を添加し均一になるまで攪拌、混合を行った。
【0093】
【表5】

【0094】
4.接着剤組成物の試験結果
表6に実施例および比較例で製造したエポキシ−アクリルハイブリッド接着剤組成物の試験結果を示した。
【0095】
【表6】

【0096】
7.試験結果のコメント
1)接着剤1は、強伸度、接着力ともにバランスのとれた性能を示している。
【0097】
2)接着剤2は、アクリル単量体として2−メトキシエチルアクリレートが使用されており、接着剤の伸び率が改善されている。
【0098】
3)接着剤3は、アクリル単量体にメタクリル酸が使用されており、接着剤の強度、接着力が向上している。
【0099】
4)接着剤4、5、6は、アクリル単量体にメタクリル酸、被着体への密着性を向上し、また、エポキシ基と反応し得るメタクリル酸2−ヒドロキシエチルが使用されており、硬化剤の種類を変えて性能を見たものである。いずれも良好な機械的性質、接着強度を示しているが、なかでも硬化剤に強度を向上する2−メチル−4−エチルイミダゾール、トリス−2,4,6−(ジメチルアミノメチル)フェノール、エポキシ樹脂の鎖延長を行うジプロピレングリコールジ(3−アミノプロピル)エーテルを併用した接着剤6は、卓越した性能を示した。
【0100】
5)接着剤7は、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂の基本樹脂であるjER828の重合度を高めたjER1001を使用したものである。接着剤の機械的性質、接着強度ともバランスのとれたものとなった。
【0101】
6)接着剤8は、1,3−ジメチルバルビツール酸が、接着剤9は、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが併用されたものである。接着剤8は、バランスのとれた接着剤となった。接着剤9は、高強度、高伸度、高接着力を示す良好な接着剤となった。また、接着剤の硬化性も優れたものであった。
【0102】
7)接着剤10は、アクリル単量体が20重量%使用されており、アクリル単量体による改質効果が顕著となって、および硬化剤の作用と相まって接着剤の強度、強靱性、接着力ともにきわめて優れたものとなった。
【0103】
8)接着剤11〜接着剤14は、アクリル単量体が硬化反応を起こさず、接着剤はアクリル単量体で膨潤した状態=未硬化状態となった。したがって、全ての試験を実施することができなかった。
【0104】
9)接着剤15は、いわゆるエポキシ樹脂接着剤の性能を示している。硬化速度が遅く、未反応エポキシ樹脂が残りやすいため、耐熱性が大きく低下し、構造接着剤としては問題であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂、下記構造式のアミノ基含有アクリル単量体を含むアクリル単量体、
【化1】

(ここで、R1は、水素原子またはメチル基、R2,R3は、水素原子または炭素原子数1〜3個のアルキル基を表す。)
および、下記構造式のカンファーキノンを含む接着剤組成物。
【化2】

【請求項2】
アクリル単量体として、下記構造式のアルコキシ基含有アクリル単量体を含む請求項1に記載の接着剤組成物。
【化3】

(ここで、R1は、水素原子またはメチル基、R4は、炭素原子数2〜4個のアルキル基、R5は、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表す。)
【請求項3】
接着剤組成物が、さらに、エポキシ樹脂の硬化剤を含むものである請求項1または2のいずれかに記載の接着剤組成物。

【公開番号】特開2009−84347(P2009−84347A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253705(P2007−253705)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000187046)東レ・ファインケミカル株式会社 (153)
【Fターム(参考)】