説明

接着特性を有するポリマー組成物

(1)少なくとも1種の化合物(a)によってグラフト化された少なくとも1種のフルオロポリマー(A)であって、前記化合物(a)が、前記フルオロポリマーに接着特性を付与することができる少なくとも1つの官能基(f1)を含有するフルオロポリマー(A)と、(2)少なくとも1種の化合物(b)によってグラフト化された少なくとも1種のオレフィンポリマー(B)であって、前記化合物(b)が、前記オレフィンポリマーに接着特性を付与することができると共に、化合物(a)に含有される官能基(f1)と反応することができる少なくとも1つの官能基(f2)を含むオレフィンポリマー(B)と、(3)ポリエステルおよびポリアミドから選択される少なくとも1種のポリマー(C)とを含む接着特性を有するポリマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着特性を有するポリマー組成物に関する。本発明はまた、これらの組成物のある特定の構成成分に関する。本発明はさらに、これらの組成物を調製する方法に関する。本発明はまた、その層の1つが接着特性を有するポリマー組成物から構成されている多層構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特にエチレンとプロピレンとのポリマーといったポリオレフィンが、特に油および燃料といった液体炭化水素の輸送および保管用のパイプ、タンク、コンテナおよびレセプタクルの製造に用いられていることが知られている。しかしながら、これらの炭化水素に対するこれらのポリマーの耐薬品性および不透過性が、意図されるすべての用途について常に十分であるわけではない。この欠点を克服するために、他のポリマー製のバリア層が、輸送されまたは保管されるべき炭化水素とポリオレフィンとの間に介在される。この目的のために頻繁に用いられる、化学的に耐性であると共に不透過性であるポリマーは、フルオロポリマー、特にフッ化ビニルとフッ化ビニリデンとのポリマーおよびコポリマーである。
【0003】
これらのフルオロポリマーは一方で、ポリオレフィンに良好に接着しないという他の欠点を有する。従って、フルオロポリマーの接着特性を改善させる観点から、組成物の開発が行われてきている。
【0004】
それ故、その内容が参照により本明細書に援用される特許文献1には、そのフッ素含有炭化水素ベースの主鎖が接着特性を有する反応性官能基または極性官能基を含む化合物によりグラフトされている、接着特性を有するポリマーが記載されている。これらの官能基は、カルボキシル基、カルボン酸無水物残渣、エポキシ基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、エステル基、アミド基、アミノ基ならびに、シリルまたはシアノ基を含有する加水分解性基であり得る。しかしながら、これらのポリマーはポリオレフィンに十分には接着しない。
【0005】
(特許文献1)は、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基またはエポキシド基により変性されたフルオロ炭化水素ポリマーおよび上記のものとは異なるカルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基またはエポキシド基により変性されたα−オレフィンポリマーから構成されている、接触している、少なくとも2つの異なる接着剤の層を含む積層体に関する。これらの2つの異なる接着剤の層は、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンおよびナイロンを含む種々のポリマーから選択される材料から調製された基材層上に配置され得る。それ故、2つの異なる接着剤の層によりポリエチレンの層に接着されたポリフッ化ビニリデンの層を含む4層積層体が記載されている。この多層構造は、特に、2つの接着剤の層、従って、合計で4つの層から構成されているという欠点を有し、これは、工業規模での共押出しの最中に技術的問題をもたらし、3つの層に制限されており、従って、単一の接着剤層を有する場合には技術的により容易であることが予期される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第206689B号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、単一の接着剤層のみを含有する多重ポリマー層を有する構造を形成する目的では、フルオロ炭化水素熱可塑性ポリマー層および非適合性の熱可塑性ポリマー層に、それぞれ、一面および他面で十分に接着することが可能である接着剤の提供に問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、単一の接着性層の形態で、フルオロ炭化水素熱可塑性ポリマーと、非適合性の熱可塑性ポリマーとの強力な接着を可能とする組成物を提供することを目的とする。
【0009】
従って、本発明は、
(1)少なくとも1種の化合物(a)によってグラフト化された少なくとも1種のフルオロポリマー(A)であって、この化合物(a)が、前記フルオロポリマーに接着特性を付与することができる少なくとも1つの官能基(f1)を含有するフルオロポリマー(A)と、
(2)少なくとも1種の化合物(b)によってグラフト化された少なくとも1種のオレフィンポリマー(B)であって、化合物(b)が、前記オレフィンポリマーに接着特性を付与することができると共に、化合物(a)に含有される官能基(f1)と反応することができる少なくとも1つの官能基(f2)を含むオレフィンポリマー(B)と、
(3)ポリエステルおよびポリアミドから選択される少なくとも1種のポリマー(C)と
を含む接着特性を有するポリマー組成物に主に関する。
【0010】
ポリマーが一定の化合物によりグラフト化されている事実は、通例、この化合物の1つ以上の分子がこのポリマー鎖に沿った種々の位置でこれに化学的に結合していることを意味する。
【0011】
通例好ましい本発明の特定の一実施形態[実施形態(I)]においては、ポリマー(B)にグラフト化された化合物(b)の官能基(f2)の分量の一部が、ポリマー(A)にグラフト化された化合物(a)の官能基(f1)の分量の一部と反応し、これにより、ポリマー(B)がポリマー(A)に化学的に結合される。この実施形態によれば、化合物(a)の官能基(f1)の分量の一部と化合物(b)の官能基(f2)の分量の一部が未反応状態で残り、従って、ポリマー(A)およびポリマー(B)のそれぞれに接着特性を付与することができることが好ましい。最後に、さらにこの特定の実施形態によれば、ポリマー(A)にグラフト化された化合物(a)の官能基(f1)の分量の一部および/またはポリマー(B)にグラフト化された化合物(b)の官能基(f2)の分量の一部は、任意により、加えて、ポリマー(C)と反応していてもよい。
【0012】
本発明の他の実施形態[実施形態(II)]において、ポリマー(A)にグラフト化された化合物(a)の官能基(f1)の全分量およびポリマー(B)にグラフト化された化合物(b)の官能基(f2)の全分量は未反応状態である。本発明の実施形態の後者によるポリマー組成物は、前駆体組成物として、詳細に上述されているとおり、実施形態(I)による組成物の調製に有利に用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明によるポリマー組成物は、少なくとも1種のフルオロポリマー(A)を含む。「フルオロポリマー」という用語は、モノマー単位の50重量%超が少なくとも1種のフルオロモノマーに由来するポリマーを意味すると理解される。フルオロポリマーはホモポリマーであり得;これはまた、数々のフルオロモノマー同士により形成されるコポリマー、または、1種以上のフルオロモノマーと1種以上の非フッ素化モノマーとにより形成されるコポリマーであり得る。これらのコポリマーは、特に、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーであり得る。
【0014】
「フルオロモノマー」という用語は、少なくとも1つのフッ素原子を含むいずれかのモノマーを意味すると理解され;通例、これは、少なくとも1つのエチレン性不飽和を含む。フルオロモノマーの例としては、フッ素化ビニルモノマー、4−フルオロスチレンなどのフッ素化スチレンモノマー、トリフルオロエチルアクリレートなどのフッ素化(メタ)アクリルモノマーおよび2−フルオロブタジエンなどのフッ素化共役ジエンが挙げられ得る。フルオロモノマーは、好ましくは、フッ素化ビニルモノマーである。「フッ素化ビニルモノマー」という表記は、脂肪族であると共に、1つ以上のフッ素原子、および、任意により、さらに、唯一のヘテロ原子として、1つ以上の塩素原子を有するモノエチレン性不飽和フッ素化モノマーを表すとして理解される。フッ素化ビニルモノマーの例としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンなどの水素原子を含まないビニルモノマー、ならびにフッ化ビニル、トリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロペンなどの部分水素化フッ素化ビニルモノマーが挙げられ得、フッ化ビニリデンが特に挙げられ得る。
【0015】
「非フッ素化モノマー」という表記は、フッ素原子を含まないいずれかのモノマーを意味すると理解され;これは、通例、少なくとも1つのエチレン性不飽和を含む。非フッ素化モノマーの例は:例えばエチレンおよびプロピレンなどのα−モノオレフィン;スチレンおよび非フッ素化スチレン誘導体;例えば塩化ビニルおよび塩化ビニリデンなどの非フッ素化クロロモノマー;非フッ素化ビニルエーテル;例えばビニルアセテートなどの非フッ素化ビニルエステル;(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリルおよびアクリルアミドなどのニトリルおよびアミドである。
【0016】
フルオロポリマーの例としては、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロエチレンまたはクロロトリフルオロエチレンのホモポリマー、および上に定義されているとおり、これらのフルオロモノマーが互いに形成するコポリマー、またはこれらのフルオロモノマーが少なくとも1種の他のフルオロモノマー(テトラフルオロエチレンまたはヘキサフルオロプロピレンなどの水素原子を含有しないフルオロモノマーを含む)と形成するコポリマーが特に挙げられ得る。このようなコポリマーおよびターポリマーの例としては、フッ化ビニリデンのコポリマーおよびターポリマー、ならびに、上に定義されているとおり、クロロトリフルオロエチレンと少なくとも1種の他のフルオロモノマー(テトラフルオロエチレンまたはヘキサフルオロプロピレンなどの水素原子を含有しないフルオロモノマーを含む)とのコポリマーおよびターポリマーが挙げられ得る。上述の少なくとも1種のフルオロモノマーと少なくとも1種の非フッ素化モノマーとのコポリマーおよびターポリマーもまた挙げられ得る。
【0017】
本発明による組成物中に存在するフルオロポリマー(A)は、好ましくは、フッ化ビニリデンポリマーから選択される。
【0018】
本発明の目的のために、フッ化ビニリデンポリマーは、フッ化ビニリデンに由来のモノマー単位を含むフルオロポリマー(すなわち、モノマー単位の50重量%超が少なくとも1種のフルオロモノマーに由来するポリマー)である。
【0019】
フッ化ビニリデンポリマーの例としては、特に、フッ化ビニリデンのホモポリマー、ならびに、フッ素化(他のエチレン性不飽和フルオロモノマーの例は、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンである)、または非フッ素化(エチレン性不飽和非フッ素化モノマーの例は、エチレンおよびプロピレンなどのα−モノオレフィン;スチレンおよび非フッ素化スチレン誘導体;塩化ビニルおよび塩化ビニリデンなどの非フッ素化クロロモノマー;非フッ素化ビニルエーテル;ビニルアセテートなどの非フッ素化ビニルエステル;非フッ素化(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミドおよびアクリロニトリルなどのニトリルおよびアミドである)の他のエチレン性不飽和モノマーとのそのコポリマーが挙げられ得る。
【0020】
フッ化ビニリデンポリマーは、好ましくは、フッ化ビニリデンに由来するモノマー単位を50重量%超で含有する。
【0021】
特に好ましいフッ化ビニリデンポリマーは、フッ化ビニリデンホモポリマーならびに、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンから選択されるフッ素化コモノマーを10〜20重量%で含有するフッ化ビニリデンのランダムコポリマーである。
【0022】
本発明によれば、フルオロポリマー(A)は、前記フルオロポリマーに接着特性を付与することができる少なくとも1つの官能基(f1)を含有する少なくとも1種の化合物(a)(以下に詳細に定義されると共に説明される)によるグラフト化によって官能化される。
【0023】
官能基(f1)は、フルオロポリマーが、このポリマーに通常は接着することは不可能である材料に対しても、接着力を発揮することが可能であるよう反応性または極性を有するいずれかの基であり得る。基(f1)は、一般に、ラジカル機構に関与しない少なくとも1つの反応性官能基を有する基から選択される。これは、通常、以下から選択される。
(f1.1)本明細書中以下においてより簡潔に「酸基」としても知られるカルボン酸に由来する基;これらの基が由来するカルボン酸はモノカルボン酸またはジカルボン酸であり得る;
(f1.2)同一の分子中の2つのカルボン酸基の縮合からもたらされ、本明細書中以下においてより簡潔に「無水物基」としても知られるカルボン酸無水物に由来する基;これらの基を有するカルボン酸無水物は、それら自体がモノカルボン酸またはジカルボン酸に由来していてもよい;
(f1.3)本明細書中以下においてより簡潔に「エステル基」としても知られるカルボン酸エステルに由来する基;
(f1.4)本明細書中以下においてより簡潔に「アミド基」としても知られるカルボン酸アミドに由来する基;
(f1.5)環式エーテル官能基を有する化合物に由来するエポキシ基;
(f1.6)本明細書中以下においてより簡潔に「アルコール基」としても知られるアルコールに由来する水酸化基;これらの基が由来するアルコールはモノアルコールまたはポリオールであり得る;
(f1.7)カルボニル基;
(f1.8)シリル基を含有する加水分解性基。
【0024】
すべてのこれらの基のうち、エポキシ基(f1.5)、アルコール基(f1.6)およびカルボニル基(f1.7)が好ましい。特に、ジオールから誘導されたエポキシ基およびアルコール基が好ましい。ジオールから誘導されたアルコール基が最良の結果をもたらす。
【0025】
上述のとおり、フルオロポリマー(A)の官能基化は、このポリマーに、少なくとも1つの官能基(f1)を含有する少なくとも1種の化合物(a)をグラフト化することにより実施される。本発明によれば、化合物(a)に含有される官能基(f1)は、同一の族または異なる族に属し得る。それ故、エポキシ基を含有する1つの化合物(a)および1つ以上のアルコール基を含有する他の化合物(a)の両方の使用は決して除外されず;同様に、エステル基と、例えばエポキシまたはアルコール基といった他の基との両方を含有する化合物(a)の使用は決して除外されない。
【0026】
フルオロポリマー(A)にグラフト化されることが可能であるよう、化合物(a)は、前記化合物(a)のこのポリマーへのグラフト化を可能とさせる少なくとも1種の基(g)も含有しなければならない。この基(g)は、一般に:
−ラジカルの付加または会合などのラジカル機構に関与することができる飽和または不飽和炭化水素ベースの基;
−求核反応に関与することができるアミノ基またはフェノール基;
−ペルオキシ基およびアゾ基などのフリーラジカルを容易に形成することができる基
から選択される。
【0027】
好ましくは、基(g)は、少なくとも1つのエチレン性炭素−炭素不飽和結合を有する有機基から、アミノ基から、およびペルオキシ基から選択される。例えば、ビニル、アリル、アクリロイルオキシアルキルおよびメタクリロイルオキシアルキル基などの少なくとも1つの末端(α,β)エチレン性炭素−炭素不飽和結合を有する有機基が基(g)として特に好ましい。アリル基が最良の結果をもたらす。
【0028】
少なくとも1つの末端(α,β)エチレン性炭素−炭素不飽和結合を有する少なくとも1つの有機基を基(g)として含有すると共に、少なくとも1つの酸または無水物基を官能基(f1)として含有する化合物(a)の例は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン−5,6−ジカルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水クロトン酸および無水シトラコン酸などの不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸である。特に入手容易性の理由のために無水マレイン酸が一般に好ましい。
【0029】
少なくとも1つの末端(α,β)エチレン性炭素−炭素不飽和結合を有する少なくとも1つの有機基を基(g)として含有すると共に少なくとも1つのエステル基を基(f1)として含有する化合物(a)の例は、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ジエチルフマレート、イタコン酸ジメチルおよびジエチルシトラコネートである。
【0030】
少なくとも1つの末端(α,β)エチレン性炭素−炭素不飽和結合を有する少なくとも1つの有機基を基(g)として含有すると共に少なくとも1つのアミド基を基(f1)として含有する化合物(a)の例はアクリルアミドおよびメタクリルアミドである。
【0031】
少なくとも1つの末端(α,β)エチレン性炭素−炭素不飽和結合を有する少なくとも1つの有機基を基(g)として含有すると共に少なくとも1つのエポキシ基を基(f1)として含有する化合物(a)の例はアリルグリシジルエーテルである。
【0032】
少なくとも1つの末端(α,β)エチレン性炭素−炭素不飽和結合を有する少なくとも1つの有機基を基(g)として含有すると共に少なくとも1つのアルコール基を基(f1)として含有する化合物(a)の例は、アリルアルコールおよび3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールである。
【0033】
少なくとも1つの末端(α,β)エチレン性炭素−炭素不飽和結合を有する少なくとも1つの有機基を基(g)として含有すると共に少なくとも1つのカルボニル基を基(f1)として含有する化合物(a)の例はヘテロ原子に結合しているビニル基またはアリル基を含有すると共に、その複素環がカルボニル結合を有する、N−ビニルピロリドンおよびN−ビニルカプロラクタムなどの有機複素環化合物である。
【0034】
少なくとも1つの末端(α,β)エチレン性炭素−炭素不飽和結合を有する少なくとも1つの有機基を基(g)として含有すると共にシリル基を含有する少なくとも1つの加水分解性基を基(f1)として含有する化合物(a)の例は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランおよびγ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランである。
【0035】
少なくとも1つの末端(α,β)エチレン性炭素−炭素不飽和結合を有する少なくとも1つの有機基を基(g)として含有すると共に異なる性質の少なくとも2つの官能基(f1)を含有する化合物(a)の例は:グリシジルアクリレートおよびメタクリレート(基(f1)としてのエステル基およびエポキシ基);ヒドロキシエチルアクリレートおよびメタクリレートおよびヒドロキシプロピルアクリレートおよびメタクリレート(基(f1)としてのエステル基およびアルコール基);N−メチロールメタクリルアミド(基(f1)としてのアルコール基およびアミド基)である。
【0036】
すべての化合物(a)のうち、エポキシ基、アルコール基およびカルボニル基、より特定的にはジオールから誘導されたアルコール基から選択される少なくとも1つの官能基(f1)を含有する化合物が好ましい。アリルグリシジルエーテル、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール、N−ビニルピロリドンおよびN−ビニルカプロラクタムが良好な結果をもたらす。最良の結果は、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールで得られた。
【0037】
化合物(a)のフルオロポリマー(A)へのグラフト化は、この目的のために公知であるいずれかの方法によって実施され得る。化合物(a)の化学的特性および物理的状態に応じて、このグラフト化は、固体状態で、溶液中に、懸濁液中に、水性媒体中にまたは有機溶剤中に実施され得る。このグラフト化はまた、例えば電子ビームまたはガンマ線による照射によっても実施され得る。
【0038】
化合物(a)のフルオロポリマー(A)へのグラフト化は、最も一般に、化合物とポリマーとの溶融ブレンドで実施される。これは、ニーダにおいてバッチモードで、または押出し機において連続的に行うことが可能である。
【0039】
化合物(a)をフルオロポリマー(A)にグラフト化させる反応は、少なくとも、化合物(a)の基(g)それ自体が、フリーラジカルを容易に形成することができるペルオキシ基およびアゾ基などの基ではない場合には、通常は、ラジカル発生剤により促進され、および開始される。ラジカル発生剤として、一般に、120〜350℃の分解温度を有すると共に、この温度帯における半減期が約1分である化合物が使用される。ラジカル発生剤は好ましくは有機過酸化物であり、特に過酸化アルキルまたは過酸化アリールである。これらのうち、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、ジクミルペルオキシド、ジ(t−ブチル)ペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、1,3−ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシンが挙げられ得る。2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンおよびジクミルペルオキシドが特に好ましい。
【0040】
化合物(a)のフルオロポリマー(A)へのグラフト化が押出し機において連続的に実施される場合、ラジカル発生剤および化合物(a)は、経時的に連続的に導入されると共に溶融物質中に良好に分散される限りにおいて、いずれの様式で導入されてもよい。ラジカル発生剤および化合物(a)は、溶融塊への例えば噴霧タイプの噴射器またはアトマイザーによる吹付け、あるいは注入により導入され得る。粉末フルオロポリマー(A)とのマスターバッチまたは充填材とのマスターバッチを介したラジカル発生剤および化合物(a)の導入もまた想定することが可能である。
【0041】
特に好ましい一実施形態によれば、化合物(a)はラジカル発生剤の前に導入される。
【0042】
「溶融塊における反応」という表記は、本発明の目的については、溶剤または希釈剤の実質的な不存在下での、フルオロポリマー(A)の融点に少なくとも等しい温度でのいずれかの反応を意味すると理解される。
【0043】
「押出し機」という用語は、少なくとも1つの供給ゾーンと、その吐出口での圧縮ゾーンに続く排出ゾーンとを含むいずれかの連続的な装置を意味すると理解され、圧縮ゾーンは、溶融塊を排出ゾーンを強制的に通過させる。さらに、造粒装置または押出された材料をその最終形状とする装置が排出ゾーンに続いてもよい。有利には、一軸スクリューまたは二軸スクリューの作動に基づく公知の押出し機が使用され、これは、共回転または逆回転様式(同一方向の回転または逆方向の回転)で協働し得る。
【0044】
好ましくは、本発明により用いられる押出し機は、1つの供給ゾーン、1つの材料溶融ゾーン、1つの均質化ゾーン、1つの反応ゾーン、任意により添加剤を導入する1つのゾーン、および1つの脱気ゾーンに続く1つの圧縮−排出ゾーンを連続的に含むよう配置される。これらのゾーンの各々はきわめて特定的な機能を有すると共に、きわめて特定的な温度である。
【0045】
供給ゾーンは、フルオロポリマー(A)を供給する役割を果たす。これは、通例、50℃以下の温度である。
【0046】
材料溶融ゾーンは材料を溶融する役割を果たす。
【0047】
均質化ゾーンは、溶融材料を均質化させる役割を果たす。
【0048】
反応ゾーンは、反応を実施する役割を果たす。
【0049】
溶融ゾーンおよび材料を均質化させるゾーンにおける温度は、通例、フルオロポリマー(A)の融点以上である。
【0050】
反応ゾーンにおける温度は、通例、ラジカル発生剤の半減期がこのゾーン中の材料の残留時間未満となる温度以上である。
【0051】
添加剤を導入するゾーンは、添加剤が押出し機に添加されるときに添加剤を導入する役割を果たす。このゾーンの温度は、一般に、材料の粘度および添加される添加剤の性質に応じる。
【0052】
圧縮−排出ゾーンは、材料を圧縮すると共に、材料を排出する役割を果たす。圧縮−排出ゾーンにおける温度は、一般に、排出されるべき材料の粘度に応じる。
【0053】
化合物(a)は、好ましくは、均質化ゾーンより前で押出し機に導入される。
【0054】
ラジカル発生剤は、好ましくは、押出し機の反応ゾーンに導入される。
【0055】
いずれのグラフト化法が用いられる場合でも、化合物(a)の量として表記されるポリマー(A)にグラフト化される化合物(a)の量は、ポリマー(A)の重量に対して、有利には、0.01重量%超、好ましくは0.05重量%または、より良くは0.1重量%である。しかも、この量は、有利には、5.0重量%以下、好ましくは3.0%およびより良くは2.0重量%である。計量は、通例、化学的経路(滴定)により実施される。
【0056】
本発明によるポリマー組成物に組み込まれたポリマー(A)が、基(g)として少なくとも1つのエチレン性炭素−炭素不飽和結合を有する少なくとも1つの有機基および、基(f1)として少なくとも2つのアルコール基を含有するを含有する少なくとも1種の化合物(a)によりグラフト化されたフルオロポリマーであった場合に、かなり顕著な接着特性および非常に高い熱安定性が観察された。本出願人によれば、このようなグラフト化されたフルオロポリマーは新規な生成物であり、従って、本発明の他の主題を構成し;これらは、本明細書中以下において「本発明によるグラフト化されたフルオロポリマー」と称されている。
【0057】
本発明によるグラフト化されたフルオロポリマーは、好ましくはフッ化ビニリデンポリマーである。特に好ましくは、これらは、50重量%超のフッ化ビニリデンに由来するモノマー単位を含有する。最も好ましくは、これらは、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンから選択される10〜20重量%のフッ素化コモノマーを含有する、フッ化ビニリデンのフッ化ビニリデンホモポリマーおよびランダムコポリマーから選択される。
【0058】
本発明によるグラフト化されたフルオロポリマーの化合物(a)の基(g)は、好ましくは、少なくとも1つの末端(α,β)エチレン性炭素−炭素不飽和結合を含有する有機基である。特に好ましくは、ビニル、アリル、アクリロイルオキシアルキルおよびメタクリロイルオキシアルキル基から選択される。最も好ましくは、アリル基である。
【0059】
本発明によるグラフト化されたフルオロポリマーの化合物(a)は、好ましくは4つ以下のアルコール基を含有する。特に好ましくは、3つ以下のアルコール基を含有する。最も好ましくは、2つのアルコール基をそれらのみで含有する。
【0060】
本発明によるグラフト化されたフルオロポリマーの化合物(a)は、好ましくは、脂肪族および脂環式化合物から選択される。特に好ましくは、脂肪族化合物から選択される。
【0061】
本発明によるグラフト化されたフルオロポリマーの化合物(a)は、好ましくは3つ以下のエチレン性炭素−炭素不飽和結合を含有する。特に好ましくは、2つ以下のエチレン性炭素−炭素不飽和結合を含有する。最も好ましくは、1つのエチレン性炭素−炭素不飽和結合を単独で含有する。
【0062】
良好な結果は、本発明によるグラフト化されたフルオロポリマーの化合物(a)がアルケンジオールである場合、特に、問題のグラフト化されたフルオロポリマーが、フッ化ビニリデンホモポリマーならびに、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンから選択されるフッ素化コモノマーを10〜20重量%で含有するフッ化ビニリデンのランダムコポリマーから選択される場合に得られた。
【0063】
優れた結果は、本発明によるフルオロポリマーの化合物(a)が3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールである場合、特に、問題のグラフト化されたフルオロポリマーが、フッ化ビニリデンホモポリマーならびに、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンから選択されるフッ素化コモノマーを10〜20重量%で含有するフッ化ビニリデンのランダムコポリマーから選択される場合に得られた。
【0064】
本発明によるポリマー組成物は少なくとも1種のオレフィンポリマー(B)を含む。本発明の目的のために、「オレフィンポリマー」という表記は、モノマー単位の50重量%超が少なくとも1種の直鎖オレフィンに由来するポリマーを意味すると理解される。
【0065】
オレフィンポリマー(B)のモノマー単位の好ましくは60重量%超、および特に好ましくは80重量%超が少なくとも1種の直鎖オレフィンに由来する。
【0066】
直鎖オレフィンの例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセンおよび1−ドデセンなどの2〜20個、好ましくは2〜12個の炭素原子を含有する直鎖α−モノオレフィンが挙げられ得る。好ましい直鎖α−モノオレフィンはエチレンおよびプロピレンである。
【0067】
オレフィンポリマー(B)は、特に、前述のオレフィンのホモポリマーならびに、好ましくは、これらのオレフィンのコポリマー、特にエチレンおよびプロピレンの、これら同士のまたは1種以上のコモノマーとのコポリマーから選択され得る。オレフィンポリマー(B)はまた、前述のオレフィンのホモポリマー同士のブレンド、これらのオレフィンのコポリマー同士のブレンドおよび前記ホモポリマーと前記コポリマーとのブレンドから選択され得る。
【0068】
コモノマーは、特に:
−上述の直鎖α−モノオレフィン;
−3−メチルブテン、4−メチルペンテンおよび5−メチルヘキセンなどの4〜12個の炭素原子を含有する分岐α−モノオレフィン;
−スチレン、α−メチルスチレンおよびオルト−メトキシスチレンなどのアリールビニルモノマー;
−ビニルアセテートなどのビニルエステル;
−塩化ビニルおよび塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニルおよびビニリデンモノマー;
−ビニルメチルエーテルおよびビニルイソブチルエーテルなどのビニルアルキルエーテル;
−アクリル酸およびメタクリル酸、メチルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミドおよびアクリロニトリルなどのアクリルモノマー;
−ブタジエン、イソプレンおよび1,3−ペンタジエンなどの共役ジエン;
−1,4−ペンタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンおよびビシクロ[2.2.1]オクタ−2,5−ジエンなどの非共役ジエン
から選択され得る。
【0069】
オレフィンポリマー(B)におけるコモノマーで形成された単位の含有重量は、有利には40重量%未満および好ましくは20重量%未満である。
【0070】
上記のとおり、「オレフィンポリマー(B)」という表記は、上述の個別のホモポリマーおよびコポリマーの両方、これらのホモポリマー同士のブレンド(i)、これらのオレフィンのコポリマー同士のブレンド(ii)および前記ホモポリマーと前記コポリマーとのブレンド(iii)を意味すると理解される。
【0071】
本発明による組成物の接着特性に関して、オレフィンポリマー(B)はオレフィンエラストマー(すなわち、エラストマー的特徴を有するポリオレフィン)であることが有利であり得る。オレフィンエラストマーは、一般に、ASTM D1566規格に定義されている種々の物理特性を満たす。
【0072】
好ましくは、オレフィンポリマー(B)は、−40℃未満のガラス転移温度を有する。
【0073】
その内容が参照により援用される米国特許第5001205A号明細書に要約されているとおり、これはまた、通例、以下の他の特徴の1つ以上を有する:
−好ましくは10以上のムーニー粘度(ASTM D 1646規格);
−好ましくは一定の値以上(本件においては10000)の重量平均分子量(M);
−好ましくは25%を超えない結晶化度。
【0074】
オレフィンポリマー(B)がコポリマーである場合、これは、エチレンおよびプロピレンから選択される少なくとも1つの第1の直鎖α−モノオレフィン、ならびに、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテンおよび1−オクテンなどの2〜12個の炭素原子を含有する直鎖α−モノオレフィンから選択される少なくとも1つの第1のものとは異なる第2のα−モノオレフィン、ならびに、3−メチルブテン、4−メチルペンテンおよび5−メチルヘキセンなどの4〜12個の炭素原子を含有する分岐α−モノオレフィンのコポリマーから選択されることが好ましい。第2のα−モノオレフィンは、好ましくは、エチレン、プロピレンおよびオクテンから選択される。任意により、これらのコポリマーはまた、ブタジエン、イソプレンあるいは1,3−ペンタジエンなどの少なくとも1種の共役ジエン、または1,4−ペンタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンあるいはビシクロ[2.2.1]オクタ−2,5−ジエンなどの少なくとも1種の非共役ジエンを含有し得る。
【0075】
オレフィンポリマー(B)中に存在する第1のおよび第2のα−モノオレフィンのそれぞれの比率は大きく異なり得る。これらは、好ましくは、オレフィンポリマー(B)がエラストマー的な特徴を示すよう選択される。それ故、オレフィンポリマー(B)は、普通、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも75重量%の第1のα−モノオレフィン、および少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%の第2のα−モノオレフィンを、オレフィンポリマー(B)の総重量に対して含む。オレフィンポリマー(B)の総重量に対して、オレフィンポリマー(B)中に存在する第1のα−モノオレフィンの量は、一般に95重量%以下、好ましくは85重量%以下であり、およびオレフィンポリマー(B)中に存在する第2のα−モノオレフィンの量は、一般に40%以下、好ましくは20重量%以下である。オレフィンポリマー(B)が共役または非共役ジエンを含有する場合、このジエンは、オレフィンポリマー(B)の総重量に対して、少なくとも0.5%、好ましくは少なくとも5重量%の量で存在する。オレフィンポリマー(B)中に存在する共役または非共役ジエンの量は、オレフィンポリマー(B)の総重量に対して、一般に25重量%以下、好ましくは15重量%以下である。
【0076】
オレフィンポリマー(B)として本発明による組成物に組み込まれるために特に好ましいオレフィンエラストマー(特に、後者が、接着されるべき層の1つがプロピレンに由来するモノマー単位中における富熱可塑性ポリマー層である多層構造を製造するために意図されるものである場合)は、70〜95重量%、好ましくは75〜90重量%のプロピレン、および5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%のエチレンを含有するオレフィンエラストマーである。一般的な様式でこの組成物に対応するオレフィンエラストマーは、例えばその内容が参照により本明細書に援用される、文献、米国特許第654088B号明細書および米国特許第5001205A号明細書に記載のプロセスに従って、メタロセンベースの錯体を含有する触媒系の存在下に調製され得る。
【0077】
当然の結果として、本発明による組成物が、接着されるべき層の1つがエチレンに由来するモノマー単位中における富熱可塑性ポリマー層である多層構造を製造するために意図されるものである場合、オレフィンポリマー(B)として本発明による組成物に組み込まれるために特に好ましいオレフィンエラストマーは、70〜95重量%、好ましくは75〜90重量%のエチレン、ならびにプロピレンおよびオクテンから選択される5〜30重量%、好ましくは10〜25%重量のモノマーを含有するオレフィンエラストマーである。これはまた、前述の触媒系の存在下に有利に調製され得る。
【0078】
本発明によるポリマー組成物の有利な一変形実施形態によれば、オレフィンポリマー(B)は、上述のものなどのオレフィンエラストマーと、前述のオレフィンのホモポリマーおよびこれらのオレフィンのコポリマーから選択される半結晶性、非エラストマー系オレフィンポリマーとのブレンドから構成され得る。この変形の実施のための前述のオレフィンのホモポリマーおよびコポリマーとしては:
エチレンのホモポリマー;
プロピレンのホモポリマー;
エチレンとプロピレン、1−ブテンおよび1−オクテンなどの3〜8個の炭素原子を含有する第2の直鎖α−モノオレフィンとのコポリマー;
プロピレンと、エチレンおよび1−ブテンなどの2〜8個の炭素原子を含有する他の直鎖α−モノオレフィンとのコポリマー
が挙げられ得る。
【0079】
前記コポリマーの場合、第2の直鎖α−モノオレフィンの含有量は、コポリマーの半結晶性性質を確実とするために、コポリマーの重量に対して、一般に10重量%未満、好ましくは8重量%未満、最も特定的には6重量%未満である。
【0080】
この変形の実施に関しては、オレフィンエラストマーと非エラストマー系オレフィンポリマーとを一緒にブレンドすることが一般に好ましく、過半量で存在するその構成成分であるオレフィンは同等の性質のものである。しかも、本変形実施形態によれば、このブレンドは、それ故、一般に、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%および最も特定的には少なくとも15%の非エラストマー系オレフィンポリマーを含有して形成される。一般に、このブレンドは、それ故、40重量%以下、好ましくは30重量%以下および最も特定的には25%以下の非エラストマー系オレフィンポリマーを含有して形成される。
【0081】
本発明によれば、オレフィンポリマー(B)は、少なくとも1つの官能基(f2)を含有する少なくとも1種の化合物(b)によりグラフト化されている。
【0082】
官能基(f2)が化合物(a)に含有される基(f1)と反応することができると共に接着特性をオレフィンポリマー(B)に付与することもできるという条件で、基(f2)およびこれを含有する化合物(b)は、一般に、上述の(f1)および化合物(a)のそれぞれに適用されるものと同一の定義および制限を満たす。換言すると:
−官能基(f1)の性質;
−この官能基(f1)を含有する化合物(a)の性質;
−前記化合物(a)のフルオロポリマー(A)へのグラフト化を可能とする基(g)の性質;
−化合物(a)がフルオロポリマー(A)にグラフト化されるプロセスおよびその好ましい実施形態;
に対して、上に明記され記載された全てが、官能基(f2)を含有する化合物(b)のオレフィンポリマー(B)へのグラフト化に準用的に適応されることが可能である。
【0083】
そうとは言え、グラフト化を介して官能基化されるための、オレフィンポリマー(B)の基(f2)は:
−(f2.1)カルボン酸に由来する基(「酸基」);
−(f2.2)同一の分子中の2つのカルボン酸基の縮合からもたらされるカルボン酸無水物に由来する基(「無水物基」)
から選択されることが好ましいことに留意すべきである。
【0084】
官能基(f2)を含有する化合物(b)に関して、これは、好ましくは、少なくとも1つの末端(α,β)エチレン性炭素−炭素不飽和結合を有する少なくとも1つの有機基を、前記化合物(b)のオレフィンポリマー(B)へのグラフト化を可能とする基として含有する化合物から選択される。このような化合物の例は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン−5,6−ジカルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水クロトン酸および無水シトラコン酸などの、不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸およびその誘導体、ならびに、不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸の無水物である。無水マレイン酸が、入手容易性の理由のために特に好ましい。
【0085】
本発明の一変形(V1)によれば、化合物(b)中に存在する可能性がある酸基および/または無水物基は中和されない。
【0086】
本発明の他の変形(V2)によれば、化合物(b)中に存在する可能性がある酸基および/または無水物基は、少なくとも1種の中和剤により完全にまたは部分的に中和されている。この中和剤は、無機塩、有機塩、または有機塩および無機塩の混合物であり得る。
【0087】
(V2)によれば、無機塩は、アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、アルカリ金属のリン酸塩またはリン酸一水素塩であることが好ましい。炭酸ナトリウムが特に好ましい。
【0088】
(V2)によれば、有機塩は、特にアルカリ金属、アルカリ土類金属、元素周期律表の第IIIa族からの金属または遷移金属であり得る金属の、カルボン酸塩またはモノヒドロキシカルボン酸塩またはポリヒドロキシカルボン酸塩であることが好ましい。特に好ましくは、有機塩は、遷移金属のカルボン酸塩または、アルカリ金属のモノヒドロキシカルボン酸塩あるいはポリヒドロキシカルボン酸塩である。最も好ましくは、この有機塩は、ナトリウム乳酸塩および酢酸亜鉛から選択される。
【0089】
(V2)によれば、中和剤は、化合物(b)中に存在し得る酸基および/または無水物基(f2)のモル数に対して、好ましくは0.5モル当量を超える量で用いられる。しかも、(V2)によれば、中和剤は、化合物(b)中に存在し得る酸基および/または無水物基(f2)のモル数に対して、好ましくは3モル当量未満の量で用いられる。
【0090】
化合物(b)のオレフィンポリマー(B)へのグラフト化は、最も一般的に、化合物およびポリマーの溶融ブレンドで実施される。オレフィンポリマー(B)が、上に定義したブレンド(i)、(ii)または(iii)の1つ、および、特に、オレフィンエラストマーと半結晶性、非エラストマー系オレフィンポリマーとのブレンドから構成されている場合、ブレンドの構成成分の各々は、同等または異なる1種以上の化合物(b)によって個別にグラフト化され得る。好ましくは、化合物(b)のグラフト化は、前記予構成ブレンドで実施され得る。ニーダにおいてバッチモードで、または押出し機において連続的に実施することが可能である。このグラフト化法の操作特徴に関しては、化合物(a)のフルオロポリマー(A)へのグラフト化の既述部を参照のこと。
【0091】
いずれのグラフト化法が用いられる場合でも、化合物(b)の量として表記されるポリマー(B)にグラフト化された化合物(b)の量は、ポリマー(B)の重量に対して、有利には0.01重量%超、好ましくは0.02重量%または、より良くは、0.03重量%である。しかも、この量は、有利には、3.0重量%以下、好ましくは1.5%およびより良くは1.0重量%である。
【0092】
本発明によるポリマー組成物は、ポリエステルおよびポリアミドから選択される少なくとも1種のポリマー(C)を含む。
【0093】
「ポリエステル」という用語は、繰り返し単位の50重量%超、好ましくは90重量%超、および特に好ましくはすべてがフッ素原子を含まないと共に、少なくとも1つのエステル(−C(=O)−O−)基を含むポリマーを意味すると理解される。「繰り返し単位」という表記は、開環反応により反応された単一のモノマーおよび/または自己縮合反応により反応された単一のモノマーおよび/または縮合反応により互いに反応された2つの異なるモノマーに由来する繰り返し単位を意味すると理解されるべきである。
【0094】
ポリマー(C)として用いることが可能であるポリエステルは、特に、芳香族あるいは脂肪族ジカルボン酸、またはそのジメチルエステルと脂肪族ジオールとの、または脂肪族ヒドロキシ酸同士またはそのラクトンの溶融相での重縮合、任意によりこれに続く固体状態での後縮合からもたらされるいずれかの熱可塑性ポリエステルであり得る。
【0095】
これらのポリエステルを調製するために用いられることが可能であるジカルボン酸またはそのジメチルエステルの例は、テレフタル酸、ジメチルテレフタレート、メチルナフタレンジカルボン酸およびアジピン酸である。これらのポリエステルを調製するために用いられることが可能である脂肪族ジオールの例は、エチレングリコール、プロパン−1,3−ジオールおよびブタン−1,4−ジオールである。ポリエステルの例は、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンアジペートなどのポリアルキレンテレフタレートならびにこれらのコポリマーである。
【0096】
脂肪族ヒドロキシ酸の重縮合により得られる脂肪族ポリエステルもまた好適である。用いることが可能である脂肪族ヒドロキシ酸の例は、L−およびD−乳酸(およびこれらの2つの分子の縮合からもたらされる環状ラクチド)ならびにグリコール酸である。
【0097】
ラクトン環の開環により得られる脂肪族ポリエステルもまた好適である。このようなラクトン環を含有するモノマーの例は、ε−カプロラクトン、ピバロラクトン、エナントラクトンおよびカプリロラクトンである。
【0098】
「ポリアミド」という用語は、繰り返し単位の50重量%超、好ましくは90重量%超、および特に好ましくはすべてがフッ素原子を含まないと共に少なくとも1つのアミド(−C(=O)−NH−)基を含むポリマーを意味すると理解される。
【0099】
ポリマー(C)として用いることが可能であるポリアミドは、その数平均分子量が好ましくは5000超であるいずれかの溶融押出しポリアミドであり得る。これらのポリアミドのうち、4〜14個の炭素原子を含有する少なくとも1種の飽和ジカルボン酸と4〜14個の炭素原子を含有する第1級ジアミンとの等モル量の重縮合の生成物が挙げられ得る。これらのポリアミドの調製に用いることが可能であるジカルボン酸の例は、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン、マロン酸、ピメリン酸、イソフタル酸およびテレフタル酸である。これらのポリアミドの調製に用いることが可能である第1級ジアミンの例は、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンおよびオクタメチレンジアミンである。ポリアミドの例は、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ナイロン6,9)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6,10)、ポリヘキサメチレンドデカンアミド(ナイロン6,12)、ポリドデカメチレンドデカンアミド)(ナイロン12,12)およびこれらのコポリマーである。ラクタムおよびアミノ酸の重縮合生成物もまた用いることが可能である。これらの生成物のうち、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリカプロアミドおよびポリ(11−アミノウンデカンアミド)が挙げられ得る。
【0100】
ポリマー(C)は、好ましくは、脂肪族ポリエステルおよび脂肪族ポリアミドから選択される。
【0101】
「脂肪族ポリエステル」という表記は、繰り返し単位の50重量%超、好ましくは90重量%超、および特に好ましくはすべてが脂肪族であり、フッ素原子を含まず、少なくとも1つのエステル(−C(=O)−O−)基を含むポリマーを意味すると理解される。これらの繰り返し単位は、通例、脂肪族二酸(および/またはそのジメチルエステル)および脂肪族ジオールの縮合反応の生成物、および/または脂肪族ヒドロキシ酸の自己縮合反応の生成物および/またはラクトンの開環反応の生成物である。
【0102】
「脂肪族ポリアミド」という表記は、繰り返し単位の50重量%超、好ましくは90重量%超、および特に好ましくはすべてが脂肪族であり、フッ素原子を含まず、少なくとも1つのアミド(−C(=O)−NH−)基を含むポリマーを意味すると理解される。これらの繰り返し単位は、通例、脂肪族二酸(および/またはそのジメチルエステル)および脂肪族ジアミンの縮合反応の生成物、および/または脂肪族アミノ酸の自己縮合反応の生成物および/またはラクタムの開環反応の生成物である。
【0103】
特に好ましくは、ポリマー(C)は脂肪族ポリエステルである。
【0104】
特に好ましくは、ポリマー(C)は、繰り返し単位の50重量%超、好ましくは90重量%超、および特に好ましくはすべてが少なくとも1種のラクトンに由来している脂肪族ポリエステルである。
【0105】
最も好ましくは、ポリマー(C)は、ポリカプロラクトン、すなわち、繰り返し単位の50重量%超、好ましくは90重量%超、および特に好ましくはすべてがε−カプロラクトンに由来している脂肪族ポリエステルである。
【0106】
ポリマー(C)は、有利には、少なくとも10000、好ましくは少なくとも50000、および特に好ましくは少なくとも70000の数平均分子量を有する。しかも、ポリマー(C)の数平均分子量は、有利には、100000未満である。ポリマー(C)は、少なくとも10000、少なくとも50000、または少なくとも70000の重量平均分子量を有し得る。
【0107】
ポリマー(C)は未グラフト化であってもよく、またはグラフト化されていてもよい。
【0108】
本発明によるポリマー組成物の特定の一変形実施形態によれば、ポリマー(C)は、好ましくは接着特性を前記ポリマー(C)に付与することができる少なくとも1つの官能基(f3)を含有する少なくとも1種の化合物(c)によりグラフト化されている。しかも、官能基(f3)は、好ましくは、化合物(a)に含有されている官能基(f1)および/または化合物(b)に含有されている官能基(f2)と反応することができ;特に好ましくは、官能基(f3)は、化合物(a)に含有されている官能基(f1)と反応することができる。
【0109】
官能基(f3)が、化合物(b)に含有されている基(f2)と反応することができる場合、基(f3)およびこれを含有する化合物(c)は、一般に、上述の、基(f1)および化合物(a)にそれぞれ適用されるものと同一の定義および制限を満たす。換言すると:
−官能基(f1)の性質;
−この官能基(f1)を含有する化合物(a)の性質;
−前記化合物(a)のフルオロポリマー(A)へのグラフト化を可能とする基(g)の性質;
−化合物(a)がフルオロポリマー(A)にグラフト化されるプロセスおよびその好ましい実施形態;
に対して、上に明記され記載された全てが、官能基(f3)を含有する化合物(c)のポリマー(C)へのグラフト化に準用的に適応されることが可能である。
【0110】
官能基(f3)が化合物(a)に含有されている基(f1)と反応することができる場合、基(f3)およびこれを含有する化合物(c)は、一般に、上述の、基(f2)および化合物(b)にそれぞれ適用されるものと同一の定義および制限を満たす。換言すると:
−官能基(f2)の性質;
−この官能基(f2)を含有する化合物(b)の性質;
−前記化合物(b)のオレフィンポリマー(B)へのグラフト化を可能とする基(g)の性質;
−化合物(b)がオレフィンポリマー(B)にグラフト化されるプロセスおよびその好ましい実施形態;
に対して、上に明記され記載された全てが、官能基(f3)を含有する化合物(c)のポリマー(C)へのグラフト化に準用的に適応されることが可能である。
【0111】
そうとは言え、グラフト化を介して官能基化されるためのポリマー(C)の基(f3)は:
−(f3.1)カルボン酸に由来する基(「酸基」);
−(f3.2)同一の分子中の2つのカルボン酸基の縮合からもたらされるカルボン酸無水物に由来する基(「無水物基」)
から選択されることが好ましいことに留意すべきである。
【0112】
官能基(f3)を含有する化合物(c)に関して、これは、好ましくは、少なくとも1つの末端(α,β)エチレン性炭素−炭素不飽和結合を有する少なくとも1つの有機基を、前記化合物(c)のポリマー(C)へのグラフト化を可能とする基として含有する化合物から選択される。このような化合物の例は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン−5,6−ジカルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水クロトン酸および無水シトラコン酸などの、不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸およびその誘導体、ならびに、不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸の無水物である。無水マレイン酸が、入手容易性の理由のために特に好ましい。
【0113】
化合物(c)のポリマー(C)へのグラフト化はまた、最も一般的には、化合物とポリマーとの溶融ブレンドで実施される。ニーダにおいてバッチモードで、または押出し機において連続的に実施することが可能である。このグラフト化法の実施特徴については、前述の化合物(a)のフルオロポリマー(A)へのグラフト化の説明を参照のこと。
【0114】
いずれのグラフト化法が用いられる場合でも、化合物(c)の量として表記されるポリマー(C)にグラフト化された化合物(c)の量は、ポリマー(C)の重量に対して、有利には、0.01重量%超、好ましくは0.02重量%または、より良くは、0.03重量%である。しかも、この量は、有利には、3.0重量%以下、好ましくは1.5%およびより良くは1.0重量%である。
【0115】
そのグラフト化形態でのフルオロポリマー(A)と、そのグラフト化形態でのオレフィンポリマー(B)とが本発明による組成物中に存在するそれぞれの比率は、前記フルオロポリマーおよび前記オレフィンポリマーにそれぞれグラフト化された化合物(a)および化合物(b)のそれぞれの量に応じて大きく異なり得る。普通、これらは、フルオロポリマー(A)対オレフィンポリマー(B)の重量比[(A)/(B)]が、10/90〜90/10であるような比率である。好ましくは、重量比[(A)/(B)]は、35/65〜65/35である。最良の結果は、本発明による組成物におけるフルオロポリマー(A)の重量が、オレフィンポリマー(B)の重量を少なくとも約25%〜50%以下で超える場合、すなわち、重量比[(A)/(B)]が約55/45〜約60/40に等しいときに得られた。
【0116】
本発明によるポリマー組成物中に存在するポリマー(C)の量は、一般に、フルオロポリマー(A)およびオレフィンポリマー(B)の量を超えない。普通、ポリマー(C)は本発明によるポリマー組成物中に、この組成物の総重量に対して、5〜35重量%の量、好ましくは10〜30重量%の量、最も特定的には18〜28重量%の量で存在する。
【0117】
最も好ましくは、本発明によるポリマー組成物は、35〜45重量%のフルオロポリマー(A)、30〜40重量%のオレフィンポリマー(B)および20〜30%のポリマー(C)を含む。
【0118】
本発明によるポリマー組成物はまた、例えば、酸掃去剤、滑剤、有機または無機着色剤、成核剤、充填材、安定化剤および難燃剤などの熱可塑性ポリマー用の1種以上の慣例的な添加剤を含み得る。
【0119】
本発明によるポリマー組成物は、いずれかの公知の方法により調製され得る。有利には、それらの構成成分(A)、(B)および(C)を確実に混和する方法が選択されることとなる。有利には、化合物(a)の官能基(f1)と化合物(b)の官能基(f2)との少なくとも部分的な反応をも許容する方法が選択されるであろう。好ましくは、化合物(a)の官能基(f1)と化合物(b)の官能基(f2)と、任意選択の、化合物(c)の官能基(f3)との少なくとも部分的な反応をも許容する方法が選択されるであろう。
【0120】
従って、本発明の他の態様は、上述のとおり、組成物を製造する方法に関し、この方法によれば、フルオロポリマー(A)、オレフィンポリマー(B)およびポリマー(C)は溶融塊として混合される。本発明による方法においては、フルオロポリマー(A)、オレフィンポリマー(B)およびポリマー(C)を溶融塊として反応させることがさらに好ましい。
【0121】
それ故、例えば、本発明による方法において、ポリマー(A)、(B)および(C)は、先ず、ドラムミキサなどのこの目的のために好適ないずれかの装置において、必要な比率で乾燥予混合され得る。このように得られた予混合物は、次いで、化合物(a)のフルオロポリマー(A)へのグラフト化に関して、ニーダなどのバッチ装置においてバッチモードで、あるいは上述の押出し機などの連続的装置において溶融される。溶融されることが意図される予混合物はまた、マスターバッチ技術により製造されることが可能である。ニーダまたは押出し機に、乾燥予混合せずに個別に計量されたポリマー(A)、(B)および(C)を供給することもまた可能である。特に、構成成分(B)がオレフィンエラストマーである場合、ポリマー(A)、(B)および(C)に、数重量パーセント、一般に1〜20%、好ましくは2〜10重量%の例えば低密度ポリエチレンであり得る「加工助剤」を添加することが有利であることが証明され得る。しかも、特に無水マレイン酸といった官能基(f3.2)を含有する化合物(c)によりグラフト化されたポリカプロラクトンのポリマー(C)としての使用もまた、本発明によるポリマー組成物の生産を促進し得る。一旦ポリマー(A)、(B)および(C)が溶融されたら、これらの構成成分の混合が、この目的に好適であるいずれかの装置において、実施または継続される。有利には、これを行うために、すでに溶融作業に用いられたものと同一のバッチ装置(例えばニーダ)または連続的装置(例えば押出し機)が用いられる。最後に、構成成分(A)、(B)および(C)の溶融配合を継続している最中に、またはこれを終了した後に、構成成分(A)、(B)および(C)は、溶融塊として、これらの同一の装置において反応されることが好ましい。
【0122】
当業者は、少数の事前の所定の実験により、混合装置、溶融装置および反応装置の一般的な作業条件を容易に判定し得る。押出し機の場合には、特に、溶融ゾーン、均質化ゾーンおよび反応ゾーンの温度は、一般に、140〜270℃、好ましくは170〜240℃で制御され;ダイ中の圧力は、一般に、200bar未満、好ましくは100bar、およびより好ましくは50barであり;スクリューの回転速度は、一般に、50〜2000rpm、好ましくは200〜1000rpmである。しかも、オレフィンエラストマーと半結晶性、非エラストマー系オレフィンポリマーとのブレンドのポリマー(B)としての使用は、この場合、良好に形成された均一な寸法の顆粒をもたらすことが観察される。
【0123】
本発明による組成物の接着特性は、本発明の他の主題を構成する、多層構造の製造に良好に用いられ得る。これらは、その層の1つが接着特性を有するポリマー組成物から構成されている多層構造である。これらの構造は、種々の無機材料および有機材料の両方から構成され得る少なくとも1つの他の層を含有する。この他の層の組成物に組み込まれ得る無機材料としては、例えばアルミニウムおよび鋼鉄などの金属および金属合金が挙げられ得る。この他の層の組成物に組み込まれ得る有機材料としては、熱可塑性ポリマーが挙げられ得る。この他の層の組成物に組み込まれ得る熱可塑性ポリマーの例は、フルオロポリマー(A)の族に属するフッ素を含有するポリマーおよびオレフィンポリマー(B)に存在するものと同等の性質のオレフィンを含有するポリマーである。
【0124】
本発明の本態様による特定の多層構造は、X/Y/Z構造を有する三層構造体であり、ここで、上に定義されているとおり、中央層Yは本発明の接着特性を有するポリマー組成物から構成され、ならびに、層XおよびZは熱可塑性ポリマーから構成されている。好ましい多層構造は、X/Y/Z構造を有する三層構造体であり、ここで、中央層Yは本発明による接着特性を有するポリマー組成物から構成されており、層Xはオレフィンポリマー(B)に存在するものと同等の性質のオレフィンに基づくポリマーから構成されており、層Zはフルオロポリマー(A)の定義に該当するポリマーから構成されている。
【0125】
これらの多層構造は、この目的のために公知であると共に各層の構成材料の性質に適合するいずれかのプロセスにより製造され得る。これらの層の組み立ては、例えば、構成層の相互の接着あるいはホットプレス成形により、その層または他の層の構成材料の粉末あるいは溶液での固体層のコーティングにより実施され得;または、特にこれらの層の構成材料が熱可塑性ポリマーである場合には、共押出しにより、共押出し−ブロー成形により、共射出成形および共射出成形−成形(coinjection moulding−moulding)により実施され得る。
【0126】
共押出しは、X/Y/Z構造を有する三層構造体の製造に特に好適であり、ここで、中央層Yは本発明による接着特性を有するポリマー組成物から構成されており、層Xは、エチレンおよび/またはプロピレンから誘導される特にホモポリマーまたはコポリマーといった、オレフィンポリマー(B)に存在するものと同等の性質のオレフィンベースのポリマーから構成されており、および層Zは、フッ化ビニリデンから誘導される特にホモポリマーまたはコポリマーといった、フルオロポリマー(A)の定義に関連するポリマーから構成されている。この共押出しは、例えば、3台の押出し機、好ましくは3台の一軸押出し機において、供給ブロックを介してシートダイに供給することにより、または、好ましくは三層チューブ押出ダイに供給することにより実施され得る。
【0127】
このように製造されるX/Y/Z構造を有する三層構造は、シートおよびフィルムの最終形態で生産され得る。
【0128】
このように製造されるX/Y/Z構造を有する三層構造はまた、特にタンクといった中空体、ボトル、コンテナ、チューブおよびパイプの最終形態で生産され得る。そして、層Xは、好ましくは、中空体の外側(凸状)層を構成し、一方、層Zは、中空体の内側(凹状)層を構成する。特にチューブ、導管およびタンクといった中空体は、特に油および燃料といった液体炭化水素の輸送および/または保管のために有利に用いられる。
【0129】
以下の実施例は本発明を例示することを意図するが、しかしながら、その範囲を限定することは意図されない。
【実施例】
【0130】
実施例1
50rpmで回転するブラベンダープラスティコーダ(Brabender Plasticorder)PL 2000ニーダ中に:
(A)メルトフローインデックスMFI2.16kg/230℃(ASTM 1238規格、8/2ダイ)が8g/10分であると共に、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールの分子によりグラフト化された、85重量%のフッ化ビニリデンおよび15重量%のヘキサフルオロプロピレンを含有するランダムコポリマー(このグラフト化されたコポリマーは、その供給ゾーンを170℃に加熱すると共に押出し成形ダイを220℃に加熱したクレックストラル(Clextral)モデルBC21共回転二軸押出し機において、1kgの押出コポリマー当たり、12gの3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールおよび4gの2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(DHBP)をラジカル発生剤として用いることにより得た);
(B)メルトフローインデックスMFI2.16kg/230℃(ASTM 1238規格、8/2ダイ)が2.3g/10分であり、ムーニー粘度(ASTM D 1646規格)が25であり(エクソンモービルケミカル(Exxon Mobil Chemical)により、ビスタマックス(Vistamaxx)(登録商標)VM1100の商品名で市販されている製品)、および従来どおり押出し機において、発生剤としてのDHBPの存在下に無水マレイン酸によりグラフト化した、80重量%のプロピレンおよび20重量%のエチレンを含有するオレフィンエラストマー;
(C)80000の数平均分子量を有すると共にメルトフローインデックスMFI2.16kg/160℃(ASTM1238、8/2ダイ)が3g/10分であるポリカプロラクトン(ソルヴェイ(Solvay)製のカパ(Capa)(登録商標)6800の商品名で市販されている製品)
を200℃の温度で一緒に混合することによりポリマー組成物を調製した。
【0131】
構成成分(A)はポリマー組成物の45重量%に相当し、構成成分(B)は30重量%に相当し、および構成成分(C)は25重量%に相当する。
【0132】
その金型がテフロン(Teflon)(登録商標)非粘着性フィルムで被覆された180mm×180mm×2mmの鋼板から構成されているワーナー&フライデラー(Werner & Pfleiderer)油圧プレスにおいて、その中央層が上述のとおり調製したポリマー組成物から構成されており、上層がイネオス(Ineos)によりエルテックス(ELTEX)(登録商標)P KS409の商品名で販売されているランダムプロピレン/エチレンコポリマー(メルトフローインデックスMFI2.16kg/230℃(ASTM 1238規格、8/2ダイ):5g/10分)から構成されており、および下層が上記(A)に記載のフルオロポリマーから構成されているが、グラフト化されていない、三層構造体を製造した。
【0133】
三層構造体を形成するために、プレスを大気圧で10分間保持し、次いで、50barで2分間保持し;次いで、プレスを20bar、周囲温度で5分間保持した。
【0134】
手による剥離試験は、最大の引張力でも得られた三層構造体の構成層を分離させることは不可能であることを示した。
【0135】
実施例2R
この実施例は、比較のために記載されている。
【0136】
ポリマー組成物の調製にポリカプロラクトン(C)を用いなかったことを除いて実施例1を再現した。剥離試験の最中に、フルオロポリマーから構成される下層は三層構造体から容易に分離した。
【0137】
実施例3R
この実施例は、比較のために記載されている。
【0138】
ポリマー組成物の構成成分(A)および(B)をグラフト化しなかったことを除いて実施例1を再現した。剥離試験の最中に、フルオロポリマーから構成される下層は三層構造体から容易に分離した。
【0139】
実施例4R
この実施例は、比較のために記載されている。
【0140】
ポリマー組成物の構成成分(B)をグラフト化しなかったことを除いて実施例1を再現した。剥離試験の最中に、フルオロポリマーから構成される下層は三層構造体から容易に分離した。
【0141】
実施例5
本明細書中に既述のオレフィンエラストマー(B)を、メルトフローインデックスMFI2.16kg/190℃(ASTM 1238規格、8/2ダイ)が6.3g/10分であると共にムーニー粘度(ASTM D 1646規格)が8であり(エクソンモービルケミカル(Exxon Mobil Chemical)によりエグザクト(Exact)(登録商標)5371の商品名で販売されている製品)、慣習的に押出し機において、ラジカル発生剤としてDHBPの存在下に無水マレイン酸によりグラフト化されたエラストマー系エチレン/オクテンコポリマーで置き換えたことを除いて、実施例1にあるとおりポリマー組成物を調製した。
【0142】
次いで、上層が、密度が0.944であると共にメルトフローインデックスMFI2.16kg/190℃(ASTM 1238規格、8/2ダイ)が3.5g/10分である高密度エチレンホモポリマー(イネオス(Ineos)により、エルテックス(ELTEX)(登録商標)A4040の商品名で販売されている製品)から構成されていたことを除いて、三層構造体を実施例1にあるとおり製造した。
【0143】
手による剥離試験は、得られた三層構造体の構成層を分離することは不可能であったことを示した。
【0144】
実施例6
本明細書中に既述のポリカプロラクトン(C)を、慣習的に押出し機において、ラジカル発生剤としてDHBPの存在下に無水マレイン酸でグラフト化することにより変性したことを除いて、実施例1にあるとおりポリマー組成物を調製した。それ故、グラフト化されたポリカプロラクトンは、11g/10分のメルトフローインデックスMFI2.16kg/190℃(ASTM 1238規格、8/2ダイ)を有すると共に、3.6g/kgのグラフト化無水マレイン酸含有量を有していた。
【0145】
本組成物の接着性を試験するために、実施例1における(A)に記載のフルオロポリマー(グラフト化されていない)に基づくロッド(j1)、同一の実施例に記載のランダムプロピレン/エチレンコポリマーのロッド(j3)および上に定義したポリマー組成物のロッド(j2)を、細管レオメターにおいて製造した。これらのロッドをアセトンで洗浄し、次いで、その上にテフロン(Teflon)(登録商標)非粘着性フィルムで被覆された隣接する溝が形成されたアルミニウムプレート上に、互いの接触が確実となるよう対((j1)と(j3)、次いで(j2)と(j3))で並置した。次いで、アルミニウムプレートを200℃で10分間オーブン中に置き、次いで、周囲温度に冷却した。手による剥離試験は、ロッド(j1)および(j3)を分離することは不可能であり、ならびにロッド(j2)をロッド(j3)から分離することは困難であることを示した。
【0146】
実施例7
本明細書中に既述のオレフィンエラストマー(B)を、50重量%のオレフィンエラストマーと、96重量%のプロピレンおよび4重量%のエチレンを含有し、メルトフローインデックスMFI1.2kg/190℃(ASTM 1238規格、8/1ダイ)が5g/10分であると共に、5g/kgの無水マレイン酸でグラフト化されている、50重量%のコポリマー(ソルヴェイ(Solvay)により商品名プリエックス(Priex)(登録商標)25095で販売されている製品)とを含有するブレンドにより置き換えたことを除いて、実施例1にあるとおりポリマー組成物を調製した。
【0147】
次いで、三層構造体を実施例1にあるとおり製造した。この構造体に対して実施した手による剥離試験は、その構成層を分離することはきわめて困難であることを示した。
【0148】
実施例8
構成成分(A)を、85重量%のフッ化ビニリデンおよび15重量%のヘキサフルオロプロピレンを含有するランダムコポリマーを、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールの代わりにアリルグリシジルエーテルによりグラフト化したこと以外は実施例1と同様に調製した(このグラフト化されたコポリマーは、その供給ゾーンを170℃に加熱すると共に押出し成形ダイを220℃に加熱したクレックストラル(Clextral)モデルBC21共回転二軸押出し機において、1kgの押出コポリマー当たり、15gのアリルグリシジルエーテルおよび4gの2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(DHBP)をラジカル発生剤として用いることにより得た)。
【0149】
実施例1からの構成成分(A)(3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール(AOPD)−グラフト化PVDF)、実施例3Rからの構成成分(A)(未グラフト化PVDF)および本実施例8からの構成成分(A)(アリルグリシジルエーテル(AGE)−グラフト化PVDF)の熱安定性を熱重量分析により比較した。
【0150】
以下の結果を得た:
【0151】
【表1】

【0152】
実施例1からのポリマー(A)(AOPD−グラフト化PVDF)は、それ自体が実施例3Rからのポリマー(A)(未グラフト化PVDF)よりかなり熱安定性が高い実施例8からのポリマー(A)(AGE−グラフト化PVDF)より高い熱安定性を有していることが観察された。
【0153】
AOPD−グラフト化PVDFのこの優れた熱安定性は、本発明による接着性ポリマー組成物におけるこのポリマーの使用を特に魅力的とする利点の1つである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)少なくとも1種の化合物(a)によってグラフト化された少なくとも1種のフルオロポリマー(A)であって、この化合物(a)が、前記フルオロポリマーに接着特性を付与することができる少なくとも1つの官能基(f1)を含有するフルオロポリマー(A)と、
(2)少なくとも1種の化合物(b)によってグラフト化された少なくとも1種のオレフィンポリマー(B)であって、化合物(b)が、前記オレフィンポリマーに接着特性を付与することができると共に、化合物(a)に含有される官能基(f1)と反応することができる少なくとも1つの官能基(f2)を含有するオレフィンポリマー(B)と、
(3)ポリエステルおよびポリアミドから選択される少なくとも1種のポリマー(C)と
を含む接着特性を有するポリマー組成物。
【請求項2】
フルオロポリマー(A)がフッ化ビニリデンポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
化合物(a)が、少なくとも1つの末端(α,β)エチレン性炭素−炭素不飽和結合を有する少なくとも1つの有機基、ならびにアルコールに由来する水酸化基およびエポキシ基から選択される少なくとも1つの官能基(f1)を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
化合物(a)が3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールであることを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
オレフィンポリマー(B)がオレフィンエラストマーであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
オレフィンポリマー(B)が、オレフィンエラストマーと半結晶性非エラストマー系オレフィンポリマーとのブレンドであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
化合物(b)が、少なくとも1つの末端(α,β)エチレン性炭素−炭素不飽和結合を有する少なくとも1つの有機基、ならびにカルボン酸に由来する基およびカルボン酸無水物に由来する基から選択される少なくとも1つの官能基(f2)を含有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ポリマー(C)がグラフト化されていないことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ポリマー(C)が少なくとも1種の化合物(c)によりグラフト化されており、この化合物(c)が、化合物(a)中に含有される官能基(f1)と反応することができる少なくとも1つの官能基(f3)を含有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ポリマー(C)が脂肪族ポリエステルであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ポリマー(C)がポリカプロラクトンであることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ポリマー(C)が、少なくとも1つの末端(α,β)エチレン性炭素−炭素不飽和結合を有する少なくとも1つの有機基およびカルボン酸無水物に由来する少なくとも1つの官能基(f3)を含有する化合物(c)によりグラフト化されたポリカプロラクトンであることを特徴とする、請求項1から7および請求項9から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
フルオロポリマー(A)対オレフィンポリマー(B)の重量比が65/35〜35/65であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ポリマー(C)が、組成物の総重量に対して5〜35重量%の量で存在していることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ポリマー(B)にグラフト化された化合物(b)の官能基(f2)の分量の一部が、ポリマー(A)にグラフト化された化合物(a)の官能基(f1)の分量の一部と反応し、これにより、ポリマー(B)をポリマー(A)に化学的に結合することを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
ポリマー(A)にグラフト化された化合物(a)の官能基(f1)の全分量およびポリマー(B)にグラフト化された化合物(b)の官能基(f2)の全分量が未反応状態であることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも1つのエチレン性炭素−炭素不飽和結合を有する少なくとも1つの有機基(g)および少なくとも2つのアルコール基を含有する少なくとも1種の化合物(a)によってグラフト化されたフルオロポリマー。
【請求項18】
フッ化ビニリデンポリマーであることを特徴とする、請求項17に記載のポリマー。
【請求項19】
基(g)が、ビニル、アリル、アクリロイルオキシアルキルおよびメタクリロイルオキシアルキル基から選択されることを特徴とする、請求項17または18に記載のポリマー。
【請求項20】
化合物(a)が3つ以下のアルコール基を含有することを特徴とする、請求項17から19のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項21】
化合物(a)が、脂肪族化合物から選択されることを特徴とする、請求項17から20のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項22】
化合物(a)が、1つのおよび唯1つのエチレン性炭素−炭素不飽和結合を含有することを特徴とする、請求項17から21のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項23】
化合物(a)がアルケンジオールであることを特徴とする、請求項17から22のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項24】
化合物(a)が3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールであることを特徴とする、請求項23に記載のポリマー。
【請求項25】
フルオロポリマー(A)、オレフィンポリマー(B)およびポリマー(C)が溶融塊として混合される、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法。
【請求項26】
フルオロポリマー(A)、オレフィンポリマー(B)およびポリマー(C)が、溶融塊として混合されると共に反応される、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法。
【請求項27】
請求項1から16のいずれか一項に記載のポリマー組成物から構成された層、および少なくとも1つの他の層を含む多層構造。
【請求項28】
中央層Yが請求項1から16のいずれか一項に記載のポリマー組成物から構成され、層Xがオレフィンポリマーから構成され、および層Zがフルオロポリマーから構成されている、X/Y/Z構造を有する三層構造体であることを特徴とする、請求項27に記載の多層構造。
【請求項29】
タンク、ボトル、コンテナ、チューブおよびパイプから選択される中空体の最終形態に製造され、層Xが中空体の外側層を構成すると共に層Zが中空体の内側層を構成することを特徴とする、請求項28に記載の多層構造。
【請求項30】
液体炭化水素を輸送および/または保管するための請求項29に記載の多層構造の使用。

【公表番号】特表2009−541556(P2009−541556A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517161(P2009−517161)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056343
【国際公開番号】WO2008/000730
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) (252)
【Fターム(参考)】