説明

接続構造体の製造方法及び接続構造体

【課題】導通信頼性を高めることができる接続構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】第1の接続対象部材2の上面2aの電極2bが設けられている領域に、導電性粒子5を含む第1のペーストを塗布し、第1のペースト層11を形成する工程と、第1の接続対象部材2の上面2aの電極2bが設けられていない領域に、導電性粒子を含まない第2のペーストを塗布し、第2のペースト層12を形成する工程と、第1,第2のペースト層11,12の上面11a,12aに、電極2b,4bが対向するように、第2の接続対象部材4を積層して、第1,第2のペースト層11,12を硬化させる工程とを備える接続構造体1の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極が上面に設けられた第1の接続対象部材と、電極が下面に設けられた第2の接続対象部材との電極間を、導電性粒子により電気的に接続する接続構造体の製造方法、並びに該接続構造体の製造方法により得られた接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な接続対象部材の電気的な接続に、導電性粒子を含む異方性導電ペーストが用いられている。
【0003】
上記異方性導電ペーストは、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、又は半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))等に用いられている。
【0004】
上記異方性導電ペーストにより、例えば、半導体チップの電極とガラス基板の電極とを電気的に接続して、接続構造体を作製する際には、ガラス基板上に上記異方性導電ペーストを塗布する。次に、半導体チップを積層して、加熱及び加圧する。これにより、異方性導電ペーストを硬化させて、かつ導電性粒子により電極間を電気的に接続する。
【0005】
上記の方法により接続構造体を作製した場合には、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子を配置できなかったり、接続されてはならない隣接する電極間が、複数の導電性粒子を介して電気的に接続されたりすることがある。このため、得られた接続構造体の導通信頼性が低いことがある。
【0006】
近年、電子部品の小型化に伴って、例えば、隣り合う電極間の間隔が10〜20μm程度に狭くされている。このため、接続されてはならない隣接する電極間が、複数の導電性粒子を介して電気的に接続されるという問題が多く生じている。
【0007】
上記異方性導電ペーストの一例として、下記の特許文献1には、導電性粒子の表面の導電層が絶縁性材料により被覆された被覆導電性粒子を含む異方性導電ペーストが開示されている。この被覆導電性粒子を含む異方性導電ペーストを用いた場合には、電極の接続の際の加圧により、被覆導電性粒子の導電層と電極との間の絶縁性材料が除去され、導電層が露出し、露出した導電層により上下の電極間が電気的に接続される。また、複数の被覆導電性粒子が接触したとしても、接触した被覆導電性粒子の導電層間には、絶縁性材料が存在する。このため隣接する電極間の電気的な接続を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−120990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の異方性導電ペーストを用いた場合には、電極の接続の際の加圧により、被覆導電性粒子の導電層と電極との間の絶縁性材料を充分に除去できずに、被覆導電性粒子により上下の電極間を電気的に接続できないことがある。さらに、異方性導電ペーストの調製の際の混練により、被覆導電性粒子の絶縁性材料が導電層から脱離して、導電層が露出することがある。このため、複数の被覆導電性粒子の露出した導電層が接触して、隣接する電極間が、複数の導電性粒子を介して電気的に接続されることがある。
【0010】
本発明の目的は、導通信頼性を高めることができる接続構造体の製造方法、並びに該接続構造体の製造方法により得られた接続構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の広い局面によれば、電極が上面の一部の領域に設けられている第1の接続対象部材と、電極が下面の一部の領域に設けられている第2の接続対象部材との電極間を、導電性粒子により電気的に接続する接続構造体の製造方法であって、上記第1の接続対象部材の上面の電極が設けられている領域に、導電性粒子を含む第1のペーストを塗布し、第1のペースト層を形成する工程と、上記第1の接続対象部材の上面の電極が設けられていない領域に、導電性粒子を含まない第2のペーストを塗布し、第2のペースト層を形成する工程と、上記第1,第2のペースト層の上面に、電極が対向するように上記第2の接続対象部材を積層して、上記第1,第2のペースト層を硬化させる工程とを備える、接続構造体の製造方法が提供される。
【0012】
本発明に係る接続構造体のある特定の局面では、上記第1,第2のペースト層を形成する工程において、上記第1のペーストを塗布しながら、上記第2のペーストを塗布する。
【0013】
本発明に係る接続構造体は、本発明の接続構造体の製造方法により得られ、上記第1の接続対象部材と、上記第2の接続対象部材と、上記第1,第2の接続対象部材の間に配置されており、かつ上記第1,第2のペースト層が硬化した硬化物層とを備えており、上記第1,第2の接続対象部材間の電極が設けられた領域に、上記導電性粒子が配置されており、かつ上記第1,第2の接続対象部材間の電極が設けられていない領域に、上記導電性粒子が配置されていない。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る接続構造体の製造方法では、第1の接続対象部材の上面の電極が設けられている領域に導電性粒子を含む第1のペーストを塗布し、第1の接続対象部材の上面の電極が設けられていない領域に導電性粒子を含まない第2のペーストを塗布するので、得られた接続構造体の第1,第2の接続対象部材間の電極が設けられている領域に、導電性粒子を効率的に配置できる。このため、電極間の接続不良が生じ難い。さらに、第1,第2の接続対象部材間の電極が設けられていない領域に、導電性粒子が配置され難い。このため、接続されてはならない隣接する電極間が、複数の導電性粒子を介して電気的に接続され難い。このため、得られた接続構造体の導通信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る接続構造体の製造方法により得られた接続構造体を模式的に示す部分切欠正面断面図である。
【図2】図2(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る接続構造体の製造方法の各工程を説明するための部分切欠正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0017】
図1に、本発明の一実施形態に係る接続構造体の製造方法により得られた接続構造体を模式的に部分切欠正面断面図で示す。
【0018】
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材4と、第1,第2の接続対象部材2,4の間に配置された硬化物層3A,3Bとを備える。
【0019】
第1の接続対象部材2の上面2aの一部の領域に、電極2bが設けられている。第1の接続対象部材2の上面2aに、複数の電極2bが設けられている。第2の接続対象部材4の下面4aの一部の領域に、電極4bが設けられている。第2の接続対象部材4の下面4aに、複数の電極4bが設けられている。
【0020】
第1,第2の接続対象部材2,4間の電極2b,4bが設けられている領域に、硬化物層3Aが配置されている。電極2bと電極4bとは、硬化物層3Aを介して対向している。硬化物層3Aは導電性粒子5を含む。従って、第1,第2の接続対象部材2,4間の電極2b,4bが設けられている領域に、導電性粒子5が配置されている。接続されるべき上下の電極2b,4b間は、1つ又は複数の導電性粒子5により電気的に接続されている。
【0021】
第1,第2の接続対象部材2,4間の電極2b,4bが設けられていない領域に、硬化物層3Bが配置されている。硬化物層3Bは導電性粒子を含まない。従って、第1,第2の接続対象部材2,4間の電極2b,4bが設けられていない領域に、導電性粒子が配置されていない。接続されてはならない隣接する電極2b,2b間又は電極4b,4b間は、複数の導電性粒子を介して電気的に接続されていない。
【0022】
接続構造体1では、第1の接続対象部材2としてガラス基板が用いられており、第2の接続対象部材4として半導体チップが用いられている。第1,第2の接続対象部材2,4は、特に限定されない。第1,第2の接続対象部材2,4としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板及びガラス基板等の回路基板等が挙げられる。第1,第2の接続対象部材2,4はそれぞれ、電子部品又は回路基板であることが好ましい。
【0023】
図1に示す接続構造体1は、例えば、以下のようにして得ることができる。
【0024】
図2(a)に示すように、電極2bが上面2aの一部の領域に設けられた第1の接続対象部材2を用意する。次に、第1の接続対象部材2の上面2aの電極2bが設けられている領域に、複数の導電性粒子5を含む第1のペーストを塗布し、第1のペースト層11を形成する。電極2b上には、1つ又は複数の導電性粒子5が配置される。第1のペーストは、異方性導電ペーストである。
【0025】
さらに、第1の接続対象部材2の上面2aの電極2bが設けられていない領域に、導電性粒子を含まない第2のペーストを塗布し、第2のペースト層12を形成する。
【0026】
第1のペーストと第2のペーストとは、同時に塗布してもよく、時間をあけて塗布してもよい。第1のペーストを塗布した後に、第2のペーストを塗布してもよい。第2のペーストを塗布した後に、第1のペーストを塗布してもよい。導通信頼性をより一層高める観点からは、第1のペーストを塗布しながら、第2のペーストを塗布することが好ましい。第1のペーストと第2のペーストとを同時に塗布することが好ましい。第1のペーストを塗布しながら、第2のペーストを塗布することにより、作業効率を高めることができる。さらに、第1,第2のペーストの意図しない流動を抑制できる。このため、第1,第2の接続対象部材2,4間の電極2b,4bが設けられている領域に導電性粒子5が配置されやすくなり、かつ電極2b,4bが設けられていない領域に導電性粒子5が配置され難くなる。
【0027】
次に、電極4bが下面4aの一部の領域に設けられた第2の接続対象部材4を用意する。図2(b)に示すように、第1,第2のペースト層11,12の上面11a,12aに、第2の接続対象部材4を積層する。第1の接続対象部材2の上面2aの電極2bと、第2の接続対象部材4の下面4aの電極4bとが対向するように、第2の接続対象部材4を積層する。
【0028】
さらに、第2の接続対象部材4の積層の際に、第1,第2のペースト層11,12に光を照射又は加熱することにより、第1,第2のペースト層11,12を硬化させる。第1のペースト層が硬化した硬化物層3Aと、第2のペースト層が硬化した硬化物層3Bとを形成する。ただし、第2の接続対象部材4の積層の前に、第1,第2のペースト層11,12に光を照射又は加熱してもよい。さらに、第2の接続対象部材4の積層の後に、第1,第2のペースト層11,12に光を照射又は加熱してもよい。
【0029】
光の照射により第1,第2のペースト層11,12を硬化させる場合には、第1,第2のペースト層11,12を充分に硬化させるための光照射強度は、例えば、0.1〜200mW/cm程度である。
【0030】
光を照射する際に用いる光源は特に限定されない。該光源としては、例えば、波長420nm以下に充分な発光分布を有する光源等が挙げられる。また、光源の具体例としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、及びメタルハライドランプ等が挙げられる。
【0031】
加熱により第1,第2のペースト層11,12を硬化させる場合には、第1,第2のペースト層11,12を充分に硬化させるための加熱温度の好ましい下限は130℃、好ましい上限は250℃、より好ましい上限は200℃である。
【0032】
第1,第2のペースト層11,12を硬化させる際に、加圧することが好ましい。上記第1,第2のペーストを上記のように塗布することにより、上記加圧の際の圧力を低くすることができる。加圧によって電極2bと電極4bとで導電性粒子5を圧縮することにより、電極2b,4bと導電性粒子5との接触面積を大きくすることができる。このため、導通信頼性を高めることができる。
【0033】
第1,第2のペースト層11,12を硬化させることにより、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材4とが、硬化物層3A,3Bを介して接続される。また、電極2bと電極4bとが、導電性粒子5を介して電気的に接続される。このようにして、図1に示す接続構造体1を得ることができる。
【0034】
第1,第2のペースト層11,12を完全に硬化させる前に、例えば第2の接続対象部材4を積層する前に、第1,第2のペースト層11,12に光を照射又は加熱することにより、第1,第2のペースト層11,12が完全に硬化しないように、第1,第2のペースト層11,12の硬化を進行させてもよい。すなわち、第1,第2のペースト層11,12の硬化を進行させて、第1,第2のペースト層11,12をBステージ化して、Bステージ化された第1,第2のペースト層を形成してもよい。これにより、第1,第2のペースト層11,12及び該第1,第2のペースト層11に含まれている導電性粒子5が意図せずに流動するのを抑制できる。このため、電極2b,4b間に、導電性粒子5が配置されやすくなる。さらに、第1の接続対象部材2又は第2の接続対象部材4の外周面よりも側方の領域に、第1,第2のペースト層11,12が意図せずに流動するのを抑制できる。
【0035】
近年、第1,第2の接続対象部材2,4の隣接する電極2b,4b間の間隔dが小さくなっている。例えば、間隔dが10〜20μm程度であることがある。このような微細な配線が形成されていても、上記第1,第2のペーストを上記のように塗布して接続構造体1を作製することにより、隣接する電極2b,4b間が、複数の導電性粒子を介して電気的に接続され難くなる。このため、導通信頼性を高めることができる。
【0036】
また、上記第1,第2のペーストを上記のように塗布することにより、電極の高さが低くても、高い異方性を発揮でき、更にコストを低減できる。
【0037】
本発明に係る接続構造体の製造方法は、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、又は半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))等に使用できる。ただし、本発明に係る接続構造体の製造方法の使用は、上記用途に限定されない。
【0038】
以下、接続構造体を得る際に用いられる第1,第2のペーストの詳細を説明する。
【0039】
(第1,第2のペーストの詳細)
第1のペーストは、導電性粒子5を含む。第2のペーストは導電性粒子を含まない。第1のペーストは、硬化性化合物と、該硬化性化合物を硬化させるための化合物と、導電性粒子5とを含むことが好ましい。第2のペーストは、硬化性化合物と、該硬化性化合物を硬化させるための化合物とを含むことが好ましい。また上記硬化性化合物を硬化させるための化合物は、熱硬化剤及び光硬化開始剤の内の少なくとも一種であることが好ましい。
【0040】
また、第2のペーストは絶縁性を向上させる目的で絶縁粒子を含むことが好ましい。
【0041】
塗布前の第1,第2のペーストの25℃及び2.5rpmでの粘度はそれぞれ、5〜200Pa・sの範囲内であることが好ましい。この場合には、例えば第1の接続対象部材の上面に、第1,第2のペーストを塗布した後に、硬化前の第1,第2のペーストの流動をより一層抑制できる。さらに、電極と導電性粒子との間の樹脂成分を容易に取り除くことができ、電極と導電性粒子との接触面積を大きくすることができる。さらに、第1の接続対象部材の上面の凹部に、第1,第2のペーストを充分に充填させることができ、硬化後にボイドが生じ難くなる。また、第1のペースト中において導電性粒子が沈降し難くなり、導電性粒子の分散性を高めることができる。
【0042】
[導電性粒子]
第1のペーストに含まれている導電性粒子として、例えば、電極間を電気的に接続できる従来公知の導電性粒子が用いられる。上記導電性粒子は、外表面に導電層を有する粒子であることが好ましい。上記導電性粒子は、導電層の表面に絶縁粒子が付着していたり、導電層の表面が絶縁層により被覆されていたりしてもよい。この場合には、電極の接続の際の加圧により、絶縁粒子又は絶縁層が取り除かれる。導電性粒子5を含む第1のペーストは電極2bが設けられていない領域には塗布されないので、電極2bが設けられていない領域には導電性粒子が配置され難い。このため、導電層の表面に絶縁粒子が付着している導電性粒子又は導電層の表面が絶縁層により被覆されている導電性粒子を用いなくてもよい。上記導電性粒子として、外表面に導電層を有する粒子を好適に用いることができる。なお、外表面に導電層を有する粒子には、粒子全体が導電層である金属粒子が含まれる。
【0043】
上記導電性粒子としては、例えば、有機粒子、無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子、もしくは金属粒子等の表面が導電層で被覆された導電性粒子、又は実質的に金属のみで構成される金属粒子等が挙げられる。上記導電層は特に限定されない。上記導電層としては、金層、銀層、銅層、ニッケル層、パラジウム層及び錫を含有する導電層等が挙げられる。上記導電性粒子は、はんだ粒子であってもよい。
【0044】
第1のペースト100重量%中、導電性粒子5の含有量は5〜50重量%であることが好ましい。導電性粒子5の含有量のより好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は30重量%である。導電性粒子5の含有量が上記好ましい下限を満たすと、電極2b,4b間に複数の導電性粒子5を容易に配置でき、さらに接続抵抗値を低くすることができる。導電性粒子5の含有量が上記好ましい上限を満たすと、コストを低減でき、電極間の間隔にばらつきが生じ難くなる。
【0045】
従来の異方性導電ペーストにおける導電性粒子の含有量を高くして、該異方性導電ペーストを接続対象部材の上面の全領域に塗布した場合には、接続されてはならない隣り合う電極間が複数の導電性粒子を介して接続されやすい。さらに、従来の異方性導電ペーストにおける導電性粒子の含有量を低くして、該異方性導電ペーストを接続対象部材の上面の全領域に塗布した場合には、接続対象部材されるべき上限の電極間を導電性粒子により接続できなかったり、接続抵抗値が高くなったりすることがある。
【0046】
これに対して、第1のペーストは、電極2bが設けられていない領域のみに塗布され、電極2bが設けられている領域には塗布されないので、導電性粒子5の含有量を高くすることができる。第1のペーストは電極2bが設けられている領域に塗布されないので、例えば、第1のペースト100重量%中の導電性粒子5の含有量が高くても、接続されてはならない隣り合う電極2b,2b間又は電極4b,4b間が電気的に接続され難い。従って、第1のペースト100重量%中の導電性粒子5の含有量を10重量%以上にすることができ、更に該含有量を20重量%以上にすることもできる。
【0047】
第2のペーストは導電性粒子を含まない。このような導電性粒子を含まないペーストは、安価である。第2のペーストを用いた場合には、導電性粒子5を含む第1のペーストの使用量が少なくなる。また、第1,第2のペーストを塗布する場合には、接続対象部材の上面の全領域に、導電性粒子を含む異方性導電ペーストのみを塗布する場合と比較して、電極2b,4bが設けられていない領域に配置される導電性粒子が少なくなる。このため、導電性粒子の使用量を低減でき、製造コストを低減できる。
【0048】
[硬化性化合物]
第1,第2のペーストに用いることができる硬化性化合物は、従来公知の硬化性化合物を用いることができ、特に限定されない。上記硬化性化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0049】
上記硬化性化合物としては、光及び熱硬化性化合物、光硬化性化合物、並びに熱硬化性化合物が挙げられる。上記光及び熱硬化性化合物は、光硬化性と熱硬化性とを有する。上記光硬化性化合物は、例えば光硬化性を有し、かつ熱硬化性を有しない。上記熱硬化性化合物は、例えば光硬化性を有さず、かつ熱硬化性を有する。上記光硬化性化合物は、光重合性化合物であることが好ましい。
【0050】
上記硬化性化合物は特に限定されない。上記硬化性化合物としては、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。上記(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0051】
上述した硬化性化合物以外の光硬化性化合物が含まれる場合には、該光硬化性化合物は、架橋性化合物であってもよく、非架橋性化合物であってもよい。
【0052】
上記架橋性化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0053】
上記非架橋性化合物の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0054】
さらに、上記光硬化性化合物として、(メタ)アクリル樹脂及び環状エーテル基含有樹脂等が好適に用いられる。
【0055】
上記(メタ)アクリル樹脂として、例えば、(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0056】
上記(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物は特に限定されない。該エステル化合物として、単官能のエステル化合物、二官能のエステル化合物及び三官能以上のエステル化合物のいずれも用いることができる。
【0057】
上記単官能のエステル化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジル(メタ)アクリレート、及び2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
【0058】
上記2官能のエステル化合物しては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエンルジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジオールジ(メタ)アクリレート、及びポリブタジエンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0059】
上記3官能以上のエステル化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、及びトリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート等が挙げられる。
【0060】
上記(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートは特に限定されない。該エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られる。上記エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ基の(メタ)アクリロイル基への転化率がほぼ100%であるフルアクリル化された化合物であることが好ましい。
【0061】
上記イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られる上記ウレタン(メタ)アクリレートは特に限定されない。該ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、2つのイソシアネート基を有する化合物1当量に対して水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体2当量を、触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得られる。
【0062】
上記ウレタン(メタ)アクリレートを得るために用いられるイソシアネートとしては特に限定されず、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイオシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート及び1,6,10−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。上記イソシアネートとして、例えば、ポリオールと過剰のイソシアネートとの反応により得られる鎖延長されたイソシアネート化合物も使用できる。上記ポリオールとしては、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、(ポリ)プロピレングリコール、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール及びポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。
【0063】
上記ウレタン(メタ)アクリレートを得るために用いられる上記水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体として、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール又はポリエチレングリコール等の二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン又はグリセリン等の三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、並びにビスフェノールA変性エポキシアクリレート等のエポキシアクリレート等が挙げられる。
【0064】
上記光重合性化合物としての上記(メタ)アクリル樹脂は、ビスフェノール骨格を有することが好ましい。上記(メタ)アクリル樹脂の全骨格100重量%中の80重量%以上がビスフェノール骨格であることが好ましい。ビスフェノール骨格が80重量%未満であると、ガラス転移点(Tg)が低下するため、耐熱性及び耐水性が低下するおそれがある。
【0065】
上記光重合性化合物としての上記環状エーテル基含有樹脂としては特に限定されず、エポキシ基を有するエポキシ化合物、脂環式エポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物、オキセタン基を有するオキセタン化合物及びフラン化合物等が挙げられる。なかでも、反応速度を高くする観点からは、エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物又はオキセタン化合物が好適である。
【0066】
上記エポキシ化合物としては特に限定されず、例えば、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビフェニルノボラック型、トリスフェノールノボラック型及びジシクロペンタジエンノボラック型等のノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、2,2’−ジアリルビスフェノールA型、水添ビスフェノール型及びポリオキシプロピレンビスフェノールA型等のビスフェノール型エポキシ化合物、並びにグリシジルアミン等が挙げられる。
【0067】
硬化性をより一層高める観点からは、上記環状エーテル基含有樹脂は、エポキシ基の(メタ)アクリロイル基への添加率が20%以上である部分(メタ)アクリル化化合物(以下、部分アクリレート化エポキシ樹脂ともいう)であることが好ましい。該部分アクリレート化エポキシ樹脂は、(メタ)アクリル酸と2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂のエポキシ基の一部とを(メタ)アクリル酸エステル化した化合物である。上記転化率のより好ましい下限は40%、好ましい上限は80%、より好ましい上限は60%である。
【0068】
上記部分アクリレート化エポキシ樹脂は、例えば、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られる。
【0069】
硬化性をより一層高める観点からは、上記環状エーテル基含有樹脂は、1分子中にエポキシ基又はオキセタン基等の環状エーテル基を2以上有することが好ましい。
【0070】
[光硬化開始剤]
上記光硬化開始剤は、従来公知の光硬化開始剤を用いることができ特に限定されない。上記光硬化開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記光硬化開始剤は、光重合開始剤であることが好ましい。
【0071】
上記光硬化開始剤としては、特に限定されず、アセトフェノン光硬化開始剤、ケタール光硬化開始剤、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナート等が挙げられる。
【0072】
上記アセトフェノン光硬化開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ケタール光硬化開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
【0073】
上記光重合開始剤の他の具体例としては、ベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、ベンゾイルイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及びチオキサントン等が挙げられる。
【0074】
上記硬化性化合物の合計100重量部に対して、上記熱硬化剤及び光硬化開始剤の内の少なくとも一種の合計の含有量の好ましい下限は0.05重量部、より好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は100重量部、より好ましい上限は60重量部である。上記熱硬化剤及び光硬化開始剤の内の少なくとも一種の含有量が上記好ましい下限及び上限を満たすと、第1,第2のペーストを充分に硬化させることができる。
【0075】
また、上記光硬化開始剤の含有量は特に限定されない。上記硬化性化合物の合計100重量部に対して、上記光硬化開始剤の含有量の好ましい下限は0.05重量部、より好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は2重量部、より好ましい上限は1重量部である。上記光硬化開始剤の含有量が上記好ましい下限及び上限を満たすと、第1,第2のペーストを効率的に光硬化させることができる。
【0076】
(熱硬化剤)
上記熱硬化剤は、従来公知の熱硬化剤を用いることができ特に限定されない。上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤及び酸無水物等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0077】
第1,第2のペーストを低温でより一層速やかに硬化させることができるので、上記熱硬化剤は、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤であることが好ましい。また、第1,第2のペーストの保存安定性を高めることができるので、潜在性の硬化剤が好ましい。該潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
【0078】
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
【0079】
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパン トリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトール テトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトール ヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
【0080】
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
【0081】
また、上記硬化性化合物の合計100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量の好ましい下限は1重量部、より好ましい下限は5重量部、好ましい上限は100重量部、より好ましい上限は60重量部である。上記熱硬化剤の含有量が上記好ましい下限及び上限を満たすと、第1,第2のペーストを充分に熱硬化させることができる。
【0082】
[他の成分]
第1,第2のペーストはそれぞれ、溶剤を含有していてもよい。該溶剤の使用により、第1,第2のペーストの粘度を容易に調整できる。さらに、例えば、上記硬化性化合物が固形である場合に、固形の硬化性化合物に溶剤を添加し、溶解させることにより、硬化性化合物の分散性を高めることができる。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、メチルセロソルブ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等が挙げられる。
【0083】
第1,第2のペーストの硬化物の接着力を高めることができるので、第1,第2のペーストは、接着力調整剤を含有することが好ましい。接着力をより一層高める観点からは、上記接着力調整剤は、シランカップリング剤であることが好ましい。
【0084】
第1,第2のペーストは、フィラーを含有することが好ましい。該フィラーの使用により、第1,第2のペーストの硬化物の潜熱膨張を抑制できる。上記フィラーは特に限定されない。上記フィラーとしては、シリカ、窒化アルミニウム及びアルミナ等が挙げられる。上記フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0085】
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0086】
(実施例1)
(1)第1のペーストの調製
熱硬化性化合物としてのエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「JER828」)100重量部と、熱硬化剤としてエポキシ樹脂硬化剤(ジャパンエポキシレジン社製「ST13」)50重量部と、平均粒子径3μmの導電性粒子とを、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、配合物を得た。
【0087】
なお、用いた上記導電性粒子は、ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面にニッケルめっき層が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に金めっき層が形成されている金属層を有する導電性粒子である。
【0088】
得られた配合物を、ナイロン製ろ紙(孔径10μm)を用いてろ過することにより、導電性粒子の含有量が15重量%である第1のペーストを得た。
【0089】
(2)第2のペーストの調製
熱硬化性化合物としてのエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「JER828」)100重量部と、熱硬化剤としてエポキシ樹脂硬化剤(ジャパンエポキシレジン社製「ST13」)50重量部とを、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより第2のペーストを得た。
【0090】
(3)接続構造体の作製
L/Sが30μm/30μmのITO電極パターンが上面に形成された透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが30μm/30μmの銅電極パターンが下面に形成された半導体チップを用意した。
【0091】
上記透明ガラス基板の上面の電極が設けられている領域に、ディスペンサーのシリンジから、得られた第1のペーストを塗布し、第1のペースト層を形成した。さらに、第1のペーストを塗布しながら、上記透明ガラス基板の上面の電極が設けられていない領域に、ディスペンサーのシリンジから、得られた第2のペーストを塗布し、第2のペースト層を形成した。すなわち、第1,第2のペーストを同時に塗布した。第1,第2のペースト層の平均厚みは、40μmであった。
【0092】
次に、第1,第2のペースト層の上面に上記半導体チップを、電極が対向するように積層した。その後、第1,第2のペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、10kg/cmの圧力をかけて、第1,第2のペースト層を185℃で硬化させて、接続構造体を得た。
【0093】
(実施例2)
第1のペーストの調製の際に、導電性粒子の添加量を変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子の含有量が30重量%である第1のペーストを得た。得られた第1のペーストと、実施例1で得られた第2のペーストとを用いたこと以外は実施例1と同様にして接続構造体を得た。
【0094】
(実施例3)
実施例1と同様にして、第1のペーストを得た。さらに、第2のペーストの調製の際に、シリカ粉末(日本グラスファイバー社製「MSS」)をペーストに対して10重量%添加したこと以外は実施例1と同様にして、第2のペーストを得た。得られた第1,第2のペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして接続構造体を得た。
【0095】
(実施例4)
第1のペーストの調製の際に、エポキシ樹脂硬化剤(ジャパンエポキシレジン社製「ST13」)をエポキシ樹脂硬化剤(ジャパンエポキシレジン社製「LV11」)に変更し、エポキシ樹脂硬化剤の粘度を下げたこと以外は実施例1と同様にして第1のペーストを得た。また、実施例1と同様にして第2のペーストを得た。得られた第1,第2のペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして接続構造体を得た。
【0096】
(実施例5)
(1)第1のペーストの調製
光硬化性化合物としてのシリコン樹脂(スリーボンド社製「ThreeBond3161」)と、光重合開始剤としてのアシルホスフィン(チバジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.5重量部と、実施例1で用意した導電性粒子とを、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、配合物を得た。
【0097】
得られた配合物を、ナイロン製ろ紙(孔径10μm)を用いてろ過することにより、導電性粒子の含有量が15重量%である第1のペーストを得た。
【0098】
(2)第2のペーストの調製
光硬化性化合物としてのシリコン樹脂(スリーボンド社製「ThreeBond3161」)と、光重合開始剤としてのアシルホスフィン(チバジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.5重量部とを、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより第2のペーストを得た。
【0099】
(3)接続構造体の作製
実施例1で用意した上記透明ガラス基板の上面の電極が設けられている領域に、ディスペンサーのシリンジから、得られた第1のペーストを塗布し、第1のペースト層を形成した。さらに、第1のペーストを塗布しながら、上記透明ガラス基板の上面の電極が設けられていない領域に、ディスペンサーのシリンジから、得られた第2のペーストを塗布し、第2のペースト層を形成した。すなわち、第1,第2のペーストを同時に塗布した。第1,第2のペースト層の平均厚みは、40μmであった。
【0100】
次に、第1,第2のペースト層の上面に、実施例1で用意した半導体チップを、電極が対向するように積層した。その後、第1,第2のペースト層にガラス基板側から紫外線照射ランプを用いて、365nmの紫外線を光照射強度が150mW/cmとなるように照射し、光重合によって第1,第2のペースト層を硬化させて、接続構造体を得た。
【0101】
(比較例1)
実施例1で用意した透明ガラス基板の上面の全領域に、ディスペンサーのシリンジから、実施例1で得られた第1のペーストを塗布し、第1のペースト層のみを形成した。第1のペースト層の平均厚みは、40μmであった。比較例1では、導電性粒子を含まない第2のペーストを用いなかった。
【0102】
次に、第1のペースト層の上面に、実施例1で用意した半導体チップを、電極が対向するように積層した。その後、第1のペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、10kg/cmの圧力をかけて、第1のペースト層を185℃で硬化させて、接続構造体を得た。
【0103】
(比較例2)
実施例1で用意した透明ガラス基板の上面の全領域に、ディスペンサーのシリンジから、実施例5で得られた第1のペーストを塗布し、第1のペースト層のみを形成した。第1のペースト層の平均厚みは、40μmであった。比較例1では、導電性粒子を含まない第2のペーストを用いなかった。
【0104】
次に、第1のペースト層の上面に、実施例1で用意した半導体チップを、電極が対向するように積層した。その後、第1のペースト層にガラス基板側から紫外線照射ランプを用いて、365nmの紫外線を光照射強度が150mW/cmとなるように照射し、光重合によってのペースト層を硬化させて、接続構造体を得た。
【0105】
(評価)
(1)粘度
回転式粘度計(英弘精機社製「レオストレス6000」)を用いて、25℃及び2.5rpmの条件で、得られた第1,第2のペーストの粘度を測定した。
【0106】
(2)リーク評価
得られた接続構造体を用いて、隣り合う電極20個においてリークが生じているか否かを、テスターで測定した。
【0107】
結果を下記の表1に示す。
【0108】
【表1】

【符号の説明】
【0109】
1…接続構造体
2…第1の接続対象部材
2a…上面
2b…電極
3A,3B…硬化物層
4…第2の接続対象部材
4a…下面
4b…電極
5…導電性粒子
11…第1のペースト層
11a…上面
12…第2のペースト層
12a…上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極が上面の一部の領域に設けられている第1の接続対象部材と、電極が下面の一部の領域に設けられている第2の接続対象部材との電極間を、導電性粒子により電気的に接続する接続構造体の製造方法であって、
前記第1の接続対象部材の上面の電極が設けられている領域に、導電性粒子を含む第1のペーストを塗布し、第1のペースト層を形成する工程と、
前記第1の接続対象部材の上面の電極が設けられていない領域に、導電性粒子を含まない第2のペーストを塗布し、第2のペースト層を形成する工程と、
前記第1,第2のペースト層の上面に、電極が対向するように前記第2の接続対象部材を積層して、前記第1,第2のペースト層を硬化させる工程とを備える、接続構造体の製造方法。
【請求項2】
前記第1,第2のペースト層を形成する工程において、
前記第1のペーストを塗布しながら、前記第2のペーストを塗布する、請求項1に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の接続構造体の製造方法により得られた接続構造体であって、
前記第1の接続対象部材と、
前記第2の接続対象部材と、
前記第1,第2の接続対象部材の間に配置されており、かつ前記第1,第2のペースト層が硬化した硬化物層とを備え、
前記第1,第2の接続対象部材間の電極が設けられた領域に、前記導電性粒子が配置されており、かつ前記第1,第2の接続対象部材間の電極が設けられていない領域に、前記導電性粒子が配置されていない、接続構造体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−82023(P2011−82023A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233447(P2009−233447)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】