説明

接続構造及びフロッグレッグアームロボット

【課題】揺動可能に接続される部材同士の組立て後の位置調節を可能とする。
【解決手段】相対的に揺動可能に接続される第1部材24と第2部材23との接続構造100であって、 上記第1部材24と上記第2部材23との間に配置される連結部材110と、上記第1部材24に固定されると共に上記連結部材110を上記第1部材24と上記第2部材23との揺動中心とされる第1軸L1回りに回転可能に支持する第1ベアリング120と、上記第2部材23に固定されると共に上記連結部材110を上記第1軸L1回りに対して平行に変位された第2軸L2回りに回転可能に支持する第2ベアリング130と、上記連結部材110を上記第2部材23に対して相対的に回転可能な状態と固定状態とに切替え可能な切替手段140とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相対的に揺動可能に接続される部材同士の接続構造及び該接続構造を有するフロッグレッグアームロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、フロッグレッグアームロボットは、一対のアーム部を備え、各アーム部が対称的に揺動されることによってアーム部に接続されたハンド部を直線方向に移動させている。そして、フロッグレッグアームロボットは、このような直線方向に移動されるハンド部にて搬送対象物を支持することによって搬送対象物を移動する。
【0003】
このようなフロッグレッグアームロボットにおいては、ハンド部を滑らかに移動させるために、一方のアーム部の中間に位置する回転軸からハンド部を経由して他方のアーム部の中間に位置する回転軸までの距離と、一方のアーム部の中間に位置する回転軸からハンド部と反対側を経由して他方のアーム部の中間に位置する回転軸までの距離とを等しく合致させる必要がある。
ところが、アームの製作誤差やたわみ等を完全に無くすことはできないため、組み立てた段階で、一方のアーム部の中間に位置する回転軸からハンド部を経由して他方のアーム部の中間に位置する回転軸までの距離と、一方のアーム部の中間に位置する回転軸からハンド部と反対側を経由して他方のアーム部の中間に位置する回転軸までの距離とを等しく合致させることは難しい。
【0004】
そこで、特許文献1には、ハンド部に、リニアガイドや弾性体を備える誤差補正機構を設置し、一方のアーム部の中間に位置する回転軸からハンド部を経由して他方のアーム部の中間に位置する回転軸までの距離と、一方のアーム部の中間に位置する回転軸からハンド部と反対側を経由して他方のアーム部の中間に位置する回転軸までの距離との誤差をリニアガイドの移動と弾性体の変形とで吸収する方法が提案されている。
【特許文献1】特開平11−216691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、ハンド部に対して誤差補正機構を設置した場合には、誤差補正機構が弾性体等を含むことからハンド部の剛性が低下し、ハンド部にて支持可能な重量が低下する。このためフロッグレッグアームロボットにおける可搬重量が低下する。また、ハンド部の重量増加にもなる。
このため、フロッグレッグアームロボットにおいては、組立て後に組立て部材の位置を調節することによって、一方のアーム部からハンド部に至る経路の距離と、他方のアーム部からハンド部に至る経路の距離とを調整する方法が望まれている。
【0006】
また、フロッグレッグアームロボットに限られず、揺動可能に接続される部材同士を備える装置においては、組立てた際の機械的な誤差に起因する不具合を防止するために、組立て後に、組立て部材の位置を調節する方法が望まれている。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、揺動可能に接続される部材同士の組立て後の位置調節が可能な接続構造、及び該接続構造を有するフロッグレッグアームロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の接続構造は、相対的に揺動可能に接続される第1部材と第2部材との接続構造であって、上記第1部材と上記第2部材との間に配置される連結部材と、上記第1部材に固定されると共に上記連結部材を上記第1部材と上記第2部材との揺動中心とされる第1軸回りに回転可能に支持する第1ベアリングと、上記第2部材に固定されると共に上記連結部材を上記第1軸回りに対して平行に変位された第2軸回りに回転可能に支持する第2ベアリングと、上記連結部材を上記第2部材に対して相対的に回転可能な状態と固定状態とに切替え可能な切替手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
このような特徴を有する本発明の接続構造によれば、切替手段によって連結部材を第2部材に対して回転可能な状態としている場合には、連結部材が第1軸と平行に変位された第2軸回りに回転可能となり、連結部材が第2軸回りに回転することによって第1軸が第2軸回りに移動される。
また、切替手段によって連結部材を第2部材に対して固定した場合には、連結部材は第2部材の揺動と完全に同期して回転される。
【0010】
また、本発明の接続構造においては、上記連結部材を上記第2軸回りに強制回転可能な連結部材回転手段を備えるという構成を採用する。
【0011】
また、本発明の接続構造においては、上記第1ベアリングと上記第2ベアリングとが、相対的に回転移動可能な内輪と外輪とを有する転がり軸受であり、上記内輪と上記外輪とのいずれか一方が上記連結部材に対して固定されているという構成を採用する。
【0012】
次に、本発明のフロッグレッグアームロボットは、本体部に対して基準平面に沿って揺動可能に接続される第1の上腕部及び第2の上腕部と、上記第1の上腕部に対して上記基準平面に沿って揺動可能に接続される第1の前腕部と、上記第2の上腕部に対して上記基準平面に沿って揺動可能に接続される第2の前腕部と、上記第1の前腕部及び上記第2の前腕部に対して上記基準平面に沿って揺動可能に接続されるハンド部と、を備えるフロッグレッグアームロボットであって、上記本体部と上記第1の上腕部との接続構造、上記本体部と上記第2の上腕部との接続構造、上記第1の上腕部と上記第1の前腕部との接続構造、上記第2の上腕部と上記第2の前腕部との接続構造、上記第1の前腕部と上記ハンド部との接続構造、及び、上記第2の前腕部と上記ハンド部との接続構造の少なくともいずれかの接続構造として、本発明の接続構造を用いることを特徴とする。
このような特徴を有する本発明のフロッグレッグアームロボットによれば、揺動可能に接続される部材同士の接続構造として本発明の接続構造が用いられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の接続構造によれば、切替手段によって連結部材を第2部材に対して回転可能な状態としている場合には、連結部材が第1軸と平行に変位された第2軸回りに回転可能となり、連結部材が第2軸回りに回転することによって第1軸が第2軸回りに移動される。ここで、第1軸は、第1部材と第2部材との揺動中心とされる。このため、連結部材を第2軸周りに回転することによって、第1部材と第2部材との揺動中心が変位させることが可能となる。
また、切替手段によって連結部材を第2部材に対して固定した場合には、連結部材は第2部材の揺動と完全に同期して回転される。このため、連結部材が同じく第2部材に固定された第2ベアリングと完全に同期して回転し、連結部材と第2ベアリングとが相対的に回転移動することがなくなる。この結果、連結部材が第2軸回りに回転することがなくなり、連結部材が第1軸回りのみに回転可能となり、第1軸が第2軸回りに移動することがなくなる。したがって、切替手段によって連結部材を第2部材に対して固定することによって、第1軸である第1部材と第2部材との揺動中心を固定することが可能となる。
このような特徴を有する本発明の接続構造によれば、切替手段によって連結部材を第2部材に対して回転可能な状態としている場合には、第1部材と第2部材との揺動中心を変位させることが可能となり、切替手段によって連結部材を第2部材に対して固定した場合には、第1部材と第2部材との揺動中心を固定することができきる。この結果揺動可能に接続される部材同士の組立て後の位置調節が可能となる。
【0014】
本発明のフロッグレッグアームロボットによれば、揺動可能に接続される部材同士の接続構造として本発明の接続構造が用いられる。このため、組立て後に揺動可能に接続される部材同士の位置調節が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係る接続構造及びフロッグレッグアームロボットの一実施形態について説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0016】
図1及び図2は、本実施形態におけるフロッグレッグアームロボットRの概略構成図であり、図1が平面図、図2が側面図である。
これらの図に示すように、フロッグレッグアームロボットRは、本体部1とアーム部2とハンド部3とを備えている。
【0017】
本体部1は、不図示の設置台上に旋回可能に設置されるものであり、アーム部2を揺動させることによってハンド部3を水平面(基準平面)に沿って前後に移動させるための駆動モータ5(51,52)が設置されている。
【0018】
アーム部2は、ハンド部3の移動方向に対して左右対称とされる一対のアーム部21,22によって構成されており、ハンド部3を直線方向に移動可能に支持する。なお、以下の説明においては、アーム部21を第1アーム部21と称し、アーム部22を第2アーム部22と称する。
【0019】
第1アーム部21は、上腕部23(第1の上腕部)と、前腕部24(第1の前腕部)とによって構成されている。
上腕部23は、本体部1に対して水平面に沿って揺動可能に接続されている。また、前腕部24は、上腕部23に対して水平面に沿って揺動可能に接続されている。
【0020】
第2アーム部22は、上腕部25(第2の上腕部)と、前腕部26(第2の前腕部)とによって構成されている。
上腕部25は、本体部1に対して水平面に沿って揺動可能に接続されている。また、前腕部26は、上腕部25に対して水平面に沿って揺動可能に接続されている。
【0021】
ハンド部3は、第1アーム部21の前腕部24と、第2アーム部22の前腕部26との各々に対して、水平面に沿って揺動可能に接続されている。
【0022】
続いて、本実施形態のフロッグレッグアームロボットRにおける、本体部1と上腕部23との接続構造、本体部1と上腕部25との接続構造、上腕部23と前腕部24との接続構造、上腕部25と前腕部26との接続構造、前腕部24とハンド部3との接続構造、及び前腕部26とハンド部3との接続構造について、図3を参照して説明する。
なお、各接続構造は、接続対象が異なるのみで、構成が同一であるため、図3においては、上腕部23と前腕部24との接続構造100のみを示し、以下の説明においても、上腕部23(第2部材)と前腕部24(第1部材)との接続構造100を主として説明する。
【0023】
図3に示すように、接続構造100は、連結部材110と、第1ベアリング120と、第2ベアリング130と、パワーロック140(切替手段)とを備えている。
【0024】
連結部材110は、上腕部23と前腕部24との間に配置されるものであり、第1ベアリング120の内輪122の内側に嵌め合わされる嵌合部111と、第1ベアリング120の内輪122と第2ベアリング130の内輪132との間に狭持され、内輪122及び内輪132に固定されるフランジ部112とを有しており、第1ベアリング120と第2ベアリング130との各々に接続しやすい形状を有している。
また、連結部材110は、下方に突出する突出部113を備えており、当該突出部113が中空とされた上腕部23の内部まで延在されている。
【0025】
第1ベアリング120は、外輪121と内輪122とが相対的に回転移動可能とされた、いわゆる転がり軸受であり、外輪121が環状の第1ベアリング座150を介して前腕部24に対して固定されている。また、第1ベアリング120の内輪122は、上述のように連結部材110のフランジ部112に対して固定されている。
そして、本実施形態の接続構造100において第1ベアリング120は、前腕部24と上腕部23との揺動中心とされる第1軸L1回りに連結部材110を回転可能に支持している。
なお、第1ベアリング120と、第1ベアリング座150及び連結部材110とは、例えばボルト等の締結手段によって固定される。
【0026】
第2ベアリング130は、外輪131と内輪132とが相対的に回転移動可能とされた、第1ベアリング120と同様の転がり軸受であり、外輪131が環状の第2ベアリング座160を介して上腕部23に対して固定されている。また、第2ベアリング130の内輪132は、上述のように連結部材110のフランジ部112に対して固定されている。
そして、本実施形態の接続構造100において第2ベアリング130は、上記第1軸L1と平行に変位された第2軸L2回りに連結部材110を回転可能に支持している。
なお、第2ベアリング130と、第2ベアリング座160及び連結部材110とは、例えばボルト等の締結手段によって固定される。
【0027】
パワーロック140は、上腕部23の内部に上腕部23に固定されて収容されており、連結部材110の突出部113と締結可能に構成されている。そして、このパワーロック140が突出部113と締結している場合には連結部材110が上腕部23に対して固定され、パワーロック140が突出部113と締結されていない場合には連結部材110が上腕部23に対して相対的に回転可能とされる。
【0028】
なお、図3に示すように、上腕部23には、内部に繋がる開口部23aが形成されており、作業者が、当該開口部23aを介してパワーロック140の調節及び連結部材110の回転を容易に行うことができるように構成されている。
【0029】
このような本実施形態における接続構造100によれば、パワーロック140によって連結部材110を上腕部23に対して回転可能な状態としている場合には、連結部材110が第1軸L1と平行に変位された第2軸L2回りに回転可能となり、連結部材110が第2軸L2回りに回転することによって、図4に示すように第1軸L1が第2軸L2回りに移動される。ここで、第1軸L1は、第1部材と第2部材との揺動中心である。このため、連結部材110を第2軸L2周りに回転することによって、上腕部23と前腕部24との揺動中心が変位させることが可能となる。
【0030】
また、パワーロック140によって連結部材110を上腕部23に対して固定した場合には、連結部材110は上腕部23の揺動と完全に同期して回転される。このため、連結部材110が同じく上腕部23に固定された第2ベアリング130と完全に同期して回転し、連結部材110と第2ベアリング130とが相対的に回転移動することがなくなる。この結果、連結部材110が第2軸L2回りに回転することがなくなり、連結部材110が第1軸L1回りのみに回転可能となり、第1軸L1が第2軸L2回りに移動することがなくなる。したがって、パワーロック140によって連結部材110を上腕部23に対して固定することによって、第1軸L1である上腕部23と前腕部24との揺動中心を固定することが可能となる。
【0031】
このような本実施形態における接続構造100によれば、パワーロック140によって連結部材110を上腕部23に対して回転可能な状態としている場合には、上腕部23と前腕部24との揺動中心を変位させることが可能となり、パワーロック140によって連結部材110を上腕部23に対して固定した場合には、上腕部23と前腕部24との揺動中心を固定することができる。この結果揺動可能に接続される部材同士の組立て後の位置調節が可能となる。
【0032】
また、本実施形態における接続構造100によれば、第1ベアリング120と第2ベアリング130とが転がり軸受であり、第1ベアリング120の内輪122及び第2ベアリング130の内輪132とが連結部材110に対して固定されている。
このような構成を採用することによって、上腕部23と前腕部24とが離間することが防止される。このため、例えばハンド部3にて重量物が支持されることによって、上腕部23と前腕部24とを離間する方向に大きなモーメントが作用した場合であっても、上腕部23と前腕部24とが離間することを防止することが可能となる。
【0033】
なお、本実施形態のフロッグレッグアームロボットRにおいては、本体部1及び上腕部23と、本体部1及び上腕部25と、上腕部25及び前腕部26と、前腕部24及びハンド部3と、前腕部26及びハンド部3とについても、上腕部23と前腕部24との接続構造100と同様の接続構造にて揺動可能に接続されている。
【0034】
このように構成されたフロッグレッグアームロボットRにおいては、図5に示すように、上腕部23の前腕部24側の回転軸(揺動中心)から本体部1側の回転軸(揺動中心)までの距離L11、上腕部25の前腕部26側の回転軸(揺動中心)から本体部1側の回転軸(揺動中心)までの距離L12、及び上腕部23の本体部1側の回転軸(揺動中心)から上腕部25の本体部1側の回転軸(揺動中心)までの距離L13との合算値が、前腕部24の上腕部23側の回転軸(揺動中心)からハンド部3側の回転軸(揺動中心)までの距離L21、前腕部26の上腕部25側の回転軸(揺動中心)からハンド部3側の回転軸(揺動中心)までの距離L22、及び前腕部24のハンド部3側の回転軸(揺動中心)から前腕部26のハンド部3側の回転軸(揺動中心)までの距離L23との合算値が等しくなることによって、いわゆる特異点姿勢(2つの姿勢に移行可能な姿勢)における振動を防止し、ハンド部3の滑らかな移動が実現される。
【0035】
そこで、本実施形態のフロッグレッグアームロボットRにおいては、一度フロッグレッグアームロボットRを組立てた後、各接続構造によって、上腕部23の前腕部24側の回転軸から本体部1側の回転軸までの距離L11、上腕部25の前腕部26側の回転軸から本体部1側の回転軸までの距離L12、前腕部24の上腕部23側の回転軸からハンド部3側の回転軸までの距離L21、前腕部26の上腕部25側の回転軸からハンド部3側の回転軸までの距離L22を変化させることができる。
したがって、距離L11、距離L12及び距離L13の合算値と、距離L21、距離L22及び距離L23の合算値が等しくなるように調節することが可能となる。このように本実施形態におけるフロッグレッグアームロボットRによれば、組立て後に揺動可能に接続される部材同士の位置調節が可能となる。
【0036】
なお、各接続構造のパワーロックを開放した状態(連結部材の突出部と締結していない状態)にて、駆動モータ5によってアーム部2を繰り返し揺動させることによって、各回転軸は、アーム部2が最も滑らかに動作可能となるように(すなわち、距離L11、距離L12及び距離L13の合算値と、距離L21、距離L22及び距離L23の合算値が等しくなるように)移動する。
このため、各接続構造のパワーロックを開放した状態で、駆動モータ5によってアーム部2を繰り返し揺動させ、アーム部2の動作が滑らかになった時点でパワーロックを固定することによって、容易に、距離L11、距離L12及び距離L13の合算値と、距離L21、距離L22及び距離L23の合算値が等しくなるように調節することが可能となる。
【0037】
そして、このように構成されたフロッグレッグアームロボットRは、駆動モータ5の駆動によって、アーム部21,22が左右対称に同期して揺動することによって、ハンド部3を直線方向(図1の左右方向)に移動する。そして、このようなハンド部3の移動によって、ハンド部3に支持された搬送対象物が搬送される。
【0038】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0039】
図6は、本実施形態における接続構造100を示す断面図である。この図に示すように本実施形態における接続構造100では、連結部材110が上記突出部113を備えておらず、この連結部材110に対してモータ170(連結部材回転手段)が接続されている。また、本実施形態における接続構造100は、パワーロック140を備えておらず、モータ170にて連結部材110を上腕部23に対して回転可能な状態と固定状態とに切り替える。
【0040】
このような本実施形態における接続構造100によれば、モータ170にて連結部材110を強制回転させることによって、連結部材110を第2軸L2回りに回転させて揺動中心を変位させることが可能となる。
【0041】
なお、最適な揺動中心を探し出す方法としては、モータ170で揺動中心を変位させてから固定状態として駆動モータ5によってアーム部2を揺動させる作業を繰返し、駆動モータ5の駆動軸に作用するトルクが最も小さい位置(最もアーム部2が滑らかに移動する位置)を探し出す方法が考えられる。
【0042】
なお、連結部材110を上腕部23に対して固定してしまうと、モータ170を用いることがない。このため、連結部材110を上腕部23に対して固定する場合には、別の機構にて連結部材110と上腕部23とを固定し、モータ170を取り外しても良い。これによって、モータ170を再利用することが可能となる。
【0043】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本第3実施形態の説明においても、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0044】
図7は、本実施形態における接続構造100を示す断面図である。この図に示すように、本実施形態における接続構造100では、第2ベアリング130が第2ベアリング座160と一体とされた滑り軸受とされている。
【0045】
第2ベアリング130は、連結部材110が上腕部23と固定された後は、機能することがない。このため、第2ベアリング130と連結部材110とが摺動することによって磨耗する等の心配がない。したがって本実施形態の接続構造100のように、転がり軸受よりも安価な滑り軸受を用いても良い。
ただし、連結部材110が回転する際に、第2ベアリング130と連結部材110との位置ズレが生じないように、連結部材110は、第2ベアリング130の内側に嵌め合わされる嵌合部114を有している。
【0046】
また、第2ベアリング130として滑り軸受を用いた場合には、上腕部23と前腕部24との離間を防止するためには、第2ベアリング130と連結部材110を別途固定する必要がある。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る接続構造及びフロッグレッグアームロボットの好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0048】
また、上記実施形態においては、第1ベアリング120の内輪122及び第2ベアリング130の内輪132が連結部材110に固定されている構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第1ベアリング120の外輪121及び第2ベアリング130の外輪131が連結部材110に固定されるようにしても良い。
【0049】
また、上記実施形態においては、本発明の連結部材回転手段としてモータ170を用いる構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、連結部材回転手段として、例えば油圧シリンダ等の他のアクチュエータを用いても良い。
【0050】
また、上記実施形態においては、本発明の接続構造によって、フロッグレッグアームロボットRにおける、上腕部23及び前腕部24と、本体部1及び上腕部23と、本体部1及び上腕部25と、上腕部25及び前腕部26と、前腕部24及びハンド部3と、前腕部26及びハンド部3とを揺動可能に接続する構成について説明した。
しかしながら、本発明の接続構造はこれに限定されるものではなく、スカラーアームロボット等の揺動可能に接続される部材同士の接続に対して好適に用いることができる。
【0051】
また、フロッグレッグアームロボットRにおける、上腕部23及び前腕部24の接続構造と、本体部1及び上腕部23の接続構造と、本体部1及び上腕部25の製造構造と、上腕部25及び前腕部26の接続構造と、前腕部24及びハンド部3の接続構造と、前腕部26及びハンド部3の接続構造とが本発明の接続構造である構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、上記接続構造のいずれかの接続構造として本発明の接続構造を用いる構成を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態における接続構造を採用するフロッグレッグアームロボットの概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態における接続構造を採用するフロッグレッグアームロボットの概略構成を示す側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態における接続構造を示すフロッグレッグアームロボットの要部断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態における接続構造における第1軸の変位を示す模式図である。
【図5】本発明の第1実施形態における接続構造を採用するフロッグレッグアームロボットの調節方法を説明するための模式図である。
【図6】本発明の第2実施形態における接続構造を示すフロッグレッグアームロボットの要部断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態における接続構造を示すフロッグレッグアームロボットの要部断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1……本体部、2……アーム部、23……上腕部(第2部材,第1の上腕部)、24……前腕部(第1部材,第1の前腕部)、25……上腕部(第2の上腕部)、26……前腕部(第2の前腕部)、3……ハンド部、100……接続構造、110……連結部材、120……第1ベアリング、121……外輪、122……内輪、130……第2ベアリング、131……外輪、132……内輪、140……パワーロック(切替手段)、150……第1ベアリング座、160……第2ベアリング座、170……モータ(連結部材回転手段)、R……フロッグレッグアームロボット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に揺動可能に接続される第1部材と第2部材との接続構造であって、
前記第1部材と前記第2部材との間に配置される連結部材と、
前記第1部材に固定されると共に前記連結部材を前記第1部材と前記第2部材との揺動中心とされる第1軸回りに回転可能に支持する第1ベアリングと、
前記第2部材に固定されると共に前記連結部材を前記第1軸回りに対して平行に変位された第2軸回りに回転可能に支持する第2ベアリングと、
前記連結部材を前記第2部材に対して相対的に回転可能な状態と固定状態とに切替え可能な切替手段と
を備えることを特徴とする接続構造。
【請求項2】
前記連結部材を前記第2軸回りに強制回転可能な連結部材回転手段を備えることを特徴とする請求項1記載の接続構造。
【請求項3】
前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとが、相対的に回転移動可能な内輪と外輪とを有する転がり軸受であり、前記内輪と前記外輪とのいずれか一方が前記連結部材に対して固定されていることを特徴とする請求項1または2記載の接続構造。
【請求項4】
本体部に対して基準平面に沿って揺動可能に接続される第1の上腕部及び第2の上腕部と、
前記第1の上腕部に対して前記基準平面に沿って揺動可能に接続される第1の前腕部と、
前記第2の上腕部に対して前記基準平面に沿って揺動可能に接続される第2の前腕部と、
前記第1の前腕部及び前記第2の前腕部に対して前記基準平面に沿って揺動可能に接続されるハンド部と、
を備えるフロッグレッグアームロボットであって、
前記本体部と前記第1の上腕部との接続構造、前記本体部と前記第2の上腕部との接続構造、前記第1の上腕部と前記第1の前腕部との接続構造、前記第2の上腕部と前記第2の前腕部との接続構造、前記第1の前腕部と前記ハンド部との接続構造、及び、前記第2の前腕部と前記ハンド部との接続構造の少なくともいずれかの接続構造として、請求項1〜3いずれかに記載の接続構造を用いる
ことを特徴とするフロッグレッグアームロボット。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−274198(P2009−274198A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−130663(P2008−130663)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】