説明

接続装置及び接続方法

【課題】演算処理装置の安全性を高く維持しつつ、演算処理装置と外部記憶装置とを接続させることができる接続装置を提供することにある。
【解決手段】外部記憶装置と、演算処理装置とを接続させる接続装置であって、外部記憶装置と接続可能な第1接続端子と、演算処理装置と接続可能な第2接続端子と、外部記憶装置の記憶領域の初期化処理を行う処理部と、第1接続端子と処理部とを接続させた状態と、第1接続端子と第2接続端子とを接続させた状態と切り替える切替部とを有し、切替部は、第1接続端子に接続された外部記憶装置の記憶領域が処理部により初期化されたことを検出したら、第1接続端子と第2接続端子とを接続させることで、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部記憶装置と演算処理装置とを接続させる接続装置及び接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(PC、Personal Computer)等の演算処理装置は、演算結果や、演算用のプログラムを記憶する記憶装置として、内部記憶装置を備えている。また、これらの演算処理装置は、必要に応じて着脱可能な外部記憶装置とも接続可能な構成とすることもできる。このように外部記憶装置と接続可能とすることで、演算処理装置に記憶されているデータを持ち運ぶことが可能となる。
【0003】
ここで、演算処理装置と外部記憶装置とは、接続されている状態を認識するため、また、接続状態を制御するために、接続装置を介して接続される。このような接続装置としては、例えば、特許文献1に、上位装置に対しては第1のインタフェースを介して接続され、ハードディスク装置に対しては第2のインタフェースを介して接続されるアダプタ装置であって、ハードディスク装置が接続されたことを検知したときは、上位装置に対しハードディスク装置をリムーバブルデバイスとして認識させる手段と、接続されたハードディスク装置にパスワードによるセキュリティのロックが設定されていることを検知すると、セキュリティのロックが解除されるまでの間、前記上位装置に対して、接続されたハードディスク装置をリムーバブルメディアが挿入されていないリムーバブルデバイスとして認識させる手段と、を具備するハードディスク装置接続用のアダプタ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−113988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、近年、演算処理装置からデータを不正に配信したり、演算処理装置を使用不能な状態にしたりするコンピュータウイルスが、インターネット等の種々の通信回線を介して、種々の演算処理装置に感染している。また、演算処理装置は、外部記憶装置にコンピュータウイルスが記憶されている状態で接続されると、外部記憶装置を介してコンピュータウイルスに感染する恐れがある。これに対して、演算処理装置では、ウイルス対策ソフトを駆動させることにより、ウイルスへの感染を予防することはできるが、完全に防ぐことは困難である。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、演算処理装置の安全性を高く維持しつつ、演算処理装置と外部記憶装置とを接続させることができる接続装置及び接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、外部記憶装置と、演算処理装置とを接続させる接続装置であって、前記外部記憶装置と接続可能な第1接続端子と、前記演算処理装置と接続可能な第2接続端子と、前記外部記憶装置の記憶領域の初期化処理を行う処理部と、前記第1接続端子を前記処理部と接続させた状態と、前記第1接続端子を前記第2接続端子とを接続させた状態と切り替える切替部とを有し、前記切替部は、前記第1接続端子に接続された前記外部記憶装置の記憶領域が前記処理部により初期化されたことを検出したら、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを接続させることを特徴とする。
【0008】
ここで、前記処理部は、前記第1接続端子に外部記憶装置が接続されたことを検出したら、前記外部記憶装置の記憶領域を初期化することが好ましい。
【0009】
また、前記処理部は、読み取り専用の記憶装置と揮発性記憶装置のみで構成される記憶部を有し、前記処理部は、前記切替部で前記第1接続端子と接続している状態から、前記第1接続端子と接続していない状態に切り替えられたら、再起動することが好ましい。
【0010】
また、初期化許可信号を入力する操作部をさらに有し、前記処理部は、前記操作部が操作され、前記初期化許可信号が入力されたら、前記記憶領域を初期化させることが好ましい。
【0011】
また、前記切替部は、接続状態を物理的に切り替える機構であり、前記第1接続端子を前記処理部と接続させた状態では、前記第1接続端子と第2接続端子とが物理的に切断され、かつ、前記処理部と第2接続端子とが物理的に切断された状態とし、前記第1接続端子を前記第2接続端子と接続させた状態では、前記第1接続端子と前記処理部とが物理的に切断され、前記第2接続端子と前記処理部とが物理的に切断された状態とすることが好ましい。
【0012】
また、前記演算処理装置の筐体の内部に配置されていることが好ましい。
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、外部記憶装置と、演算処理装置とを接続させる接続方法であって、前記外部記憶装置が接続されているかを判定する接続判定ステップと、前記外部記憶装置が接続されたと判定したら、前記外部記憶装置の記憶領域を初期化する初期化ステップと、前記初期化ステップで前記記憶領域の初期化が完了したと判定したら、前記外部記憶装置と前記演算処理装置との間でデータの送受信が可能な状態にする接続ステップとを有することを特徴する。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる接続装置及び接続方法は、演算処理装置の安全性を高く維持しつつ、演算処理装置と外部記憶装置とを接続させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の接続装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2−1】図2−1は、接続装置の外観の概略構成を示す正面図である。
【図2−2】図2−2は、接続装置の外観の概略構成を示す背面図である。
【図3】図3は、接続装置の動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の接続装置及び接続方法につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0017】
図1は、本発明の接続装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図である。また、図2−1は、接続装置の外観の概略構成を示す正面図であり、図2−2は、接続装置の外観の概略構成を示す背面図である。
【0018】
まず、図1は、接続装置10に加え、パーソナルコンピュータ(以下「PC」という。)6と、ハードディスクドライブ(以下「HDD」という。)8と、を示している。なお、PC6とHDD8とは、接続装置10を介して接続されている。
【0019】
PC(Personal Computer)6は、いわゆるパソコン等の演算処理装置であり、画像を表示するモニター、ユーザによる操作が入力されるマウスやキーボード、演算処理を行い種々のプログラムを実行する演算部等で構成されている。
【0020】
HDD(Hard Disk Drive)8は、記憶領域へのデータの書き込み、読み取り、消去が可能で、かつ他の機器に対して取り外し可能な、外部記憶装置(外部補助記憶装置)である。HDD8は、データを記憶する記憶領域が、電源が供給されない場合でも記憶している内容が消去されない不揮発性メモリで構成されている。
【0021】
接続装置10は、筐体11と、表示部12と、操作部14と、処理部16と、電源部18と、第1接続端子20と、第2接続端子22と、切替部24と、を有する。
【0022】
図1、図2−1及び図2−2に示すように、筐体11は、箱型の部材であり、表示部12、操作部14、処理部16、電源部18、第1接続端子20、第2接続端子22、切替部24の各部を収納している。
【0023】
また、図2−1に示すように、筐体11の第1面(正面となる面)には、表示部12を構成する電源表示LED40と、動作表示LED42と、HDD認識表示LED44と、BOX接続表示LED46と、PC接続表示LED48が配置されている。また、筐体11の第1面には、第1接続端子20と、操作部14の電源スイッチ50と、初期化スイッチ52も配置されている。さらに、図2−2に示すように、筐体11の第1面とは反対側の面(第2面、背面となる面)には、第2接続端子22と、電源部18の電源コネクタ54が配置されている。なお、各部の機能は、後述する。
【0024】
表示部12は、電源表示LED40と、動作表示LED42と、HDD認識表示LED44と、BOX接続表示LED46と、PC接続表示LED48とを有し、後述する処理部16の制御に基づいて、接続装置10の状態を表示する。なお、表示部12を構成する各LEDは、は、上述したように、筐体11の第1面に露出して配置されている。また、表示部12を構成する各LEDは、処理部16により点灯と消灯を切り替えられる。また、表示部12を構成する各LEDは、点灯と消灯により、接続装置10の状態を表現する。なお、表示部の各部の表示動作については、後ほど説明する。
【0025】
操作部14は、電源スイッチ50と、初期化スイッチ52とを有する。電源スイッチ50は、押下されることで、装置の起動指示または終了指示を処理部16に入力するスイッチである。初期化スイッチ52は、押下されることで、後述する初期化動作の開始指示を処理部16に入力するスイッチである。
【0026】
処理部16は、CPU(Central Processing Unit)30と、ROM(Read Only Memory)32と、RAM(Random Access Memory)34とで構成され、各部の動作を制御し、かつ、接続されたHDD8を初期化する機能を備える。処理部16は、BOXと表現することもできる。
【0027】
CPU30は、プログラムを実行処理する演算部である。CPU30は、ROM32から必要な情報を読み取りつつ、必要に応じて算出結果をRAM34に書き込むことで、プログラムを実行する。
【0028】
ROM32は、記録されている情報を読み出すことのみ可能なメモリ(記憶装置)、いわゆる読み出し専用メモリである。ROM32は、製造時に、予め必要なプログラムが記憶され、その後は、書き込み不可能な状態となっている。このようなROM32としては、集積回路の配線によって記憶領域を構成するマスクROMを用いることができる。
【0029】
RAM34は、書き込み、読み出しが可能な記憶装置である。また、RAM34は、電源の供給が停止すると記憶内容が消去される記憶装置、いわゆる、揮発性メモリである。
【0030】
処理部16は、以上のような構成であり、操作部14からの入力、また、検出した接続状態に基づいて、CPU30がROM32に記憶されているプログラムを読み出す。さらに、CPU30は、読み出したプログラムを処理し、必要な算出結果等をRAM34に記憶させ、必要に応じてRAM34から読み取ることで、プログラムを実行する。このように、プログラムを実行することで、各種処理を行い、表示部12の表示動作を処理し、さらに、HDD8を初期化する。また、後述する切替部24の動作も制御する。
【0031】
電源部18は、外部から供給される電力を取得し、各部に供給する部材であり、電源コネクタ54を有する。電源コネクタ54は、ACアダプタ、USB端子等であり、外部電源から電力を取得する。電源部18は、外部から供給された電力を処理部16、切替部24等に供給する。
【0032】
第1接続端子20は、HDD8と接続可能な端子を有し、切替部24と接続されている。第1接続端子20は、上述したようにHDD8と接続可能な端子が、筐体11の第1面に設けられている。第1接続端子20は、端子に接続されたHDD8と切替部24との間でデータの送受信が可能な状態にする。
【0033】
第2接続端子22は、PC6と接続可能な端子を有し、切替部24と接続されている。第2接続端子22は、上述したように、PC6と接続可能な端子が、筐体11の第2面に設けられている。第2接続端子22は、端子に接続されたPC6と切替部24との間でデータの送受信が可能な状態にする。
【0034】
切替部24は、第1接続端子20(その先に接続されているHDD8)を、処理部16と接続させるか、第2接続端子22(その先に接続されているPC6)と接続させるかを切り替える切替機構である。つまり、切替部24は、第1接続端子20と処理部16とを接続させてHDD8と処理部16との間でデータの送受信が可能な状態と、第1接続端子20と第2接続端子22とを接続させてHDD8とPC6との間でデータの送受信が可能な状態と切り替える機構である。
【0035】
また、切替部24は、第1接続端子20の接続先を物理的に切り替える手段である。つまり、切替部24は、回路を切り替えて、第1接続端子20と処理部16とを接続させている状態では、第1接続端子20と第2接続端子22とが物理的に切断され、かつ、処理部16と第2接続端子22とが物理的に切断された状態とし、第1接続端子20と第2接続端子22の間および処理部16と第2接続端子22との間でデータの送受信が不可能な状態とする。また、切替部24は、第1接続端子20と第2接続端子22とを接続させている状態では、第1接続端子20と処理部16とが物理的に切断され、かつ、第2接続端子22と処理部16とが物理的に切断された状態とし、第1接続端子20と処理部16の間および第2接続端子22と処理部16との間ではデータの送受信が不可能な状態とする。
【0036】
次に、表示部12の各部の表示動作について説明する。電源表示LED40は、電源がONかOFFであるかを示す表示装置である。電源表示LED40は、電源がONの状態であれば、点灯され、OFFの状態であれば消灯される。次に、動作表示LED42は、処理部16が起動されているか(処理可能状態であるか)を示す表示装置である。動作表示LED42は、処理部16が処理可能状態であれば、点灯され、処理可能状態ではないときは、消灯される。
【0037】
次に、HDD認識表示LED44は、接続装置10にHDD8が接続されていることを認識しているか否かを示す表示装置である。HDD認識表示LED44は、接続装置10が第1接続端子20に接続されているHDD8を認識している状態であれば、点灯され、接続装置10が第1接続端子20に接続されているHDD8を認識していない状態であれば、消灯される。次に、BOX接続表示LED46は、切替部24により第1接続端子20と処理部16とが接続されている状態であるか否かを示す表示装置である。BOX接続表示LED46は、切替部24により第1接続端子20と処理部16とが接続されている状態であれば、点灯され、切替部24により第1接続端子20と処理部16とが接続されていない状態であれば、消灯される。次に、PC接続表示LED48は、切替部24により第1接続端子20と第2接続端子22とが接続されている状態であるか否かを示す表示装置である。PC接続表示LED48は、切替部24により第1接続端子20と第2接続端子22とが接続されている状態であれば、点灯され、第1接続端子20と第2接続端子22とが接続されていない状態であれば、消灯される。接続装置10は、以上のような構成である。
【0038】
次に、図3を用いて、接続装置10の動作を説明することで、本発明の接続方法について説明する。ここで、図3は、接続装置の動作を説明するためのフロー図である。まず、接続装置10は、電源がOFFの状態で、ステップS12として、ユーザの操作による電源スイッチ50の押下を検出したら、電源を投入、つまり電源をONする。具体的には、接続装置10は、電源部18を介して外部から取得した電力を各部に供給する。また、接続装置10は、電源がONの状態になったら、電源表示LED40を点灯させる。
【0039】
次に、接続装置10は、ステップS12で電源スイッチの押下を検出し、電源を投入したら、ステップS14として、システムを起動させる。つまり、接続装置10は、電力の供給が開始された処理部16のCPU30により演算を開始して、記憶されているプログラムの処理を開始する。また、接続装置10は、処理部16を起動させ処理が可能な状態になったら、動作表示LED42を点灯させる。なお、ステップS14でシステムが起動された状態の接続装置10は、切替部24により第1接続端子20と処理部16とが接続されている。
【0040】
接続装置10は、ステップS14でシステムを起動させたら、ステップS16として、BOX接続表示LED46を点灯させる。つまり、接続装置10は、切替部24により第1接続端子20と処理部16とが接続されている状態であることを表示するために、BOX接続表示LED46を点灯させる。
【0041】
接続装置10は、ステップS16でBOX接続表示LED46を点灯させたら、ステップS18として、HDD8が認識されるかを判定する。つまり、接続装置10は、第1接続端子20にHDD8が接続されているかを判定する。接続装置10は、ステップS18でHDD8を認識していない(No)と判定したら、ステップS18に進む。つまり、接続装置10は、HDD8を認識するまでステップS18の処理を繰り返す。
【0042】
接続装置10は、ステップS18でHDD8を認識している(Yes)と判定したら、ステップS20として、HDD認識表示LED44を点灯させる。つまり、HDD8を認識していることを表示するために、HDD認識表示LED44を点灯させる。
【0043】
接続装置10は、ステップS20でHDD認識表示LED44を点灯させたら、ステップS22として、初期化スイッチ52の押下を検出する。つまり、接続装置10は、HDD8が第1接続端子20に接続されていることを検出したら、初期化スイッチ52が押下されるまで、待機し、ステップS22として初期化スイッチ52が押されたことを検出したら、次の処理に進む。
【0044】
接続装置10は、ステップS22で、初期化スイッチ52の押下を検出したら、ステップS24として、フォーマット処理を行う。具体的には、処理部16により初期化プログラムを実行させ、HDD8の記憶領域を初期化する。接続装置10は、処理部16によりHDD8の記憶領域に記憶されているデータを消去することで、HDD8の記憶領域には、基本的にデータが記憶されていない状態となる。なお、HDD8の記憶領域のうち、書き込みや消去が不可能な領域のデータはそのままの状態で維持される。なお、書き込みや消去が不可能な領域のデータとしては、HDD8の識別番号や、HDD8の容量情報等の消去してしまうと、記憶媒体としての機能を実行できなくなる情報が例示される。
【0045】
接続装置10は、ステップS24で、HDD8のフォーマット処理を行ったら、ステップS26として、接続切替処理を行う。つまり、接続装置10は、切替部24を操作し、第1接続端子20と処理部16とが接続されている状態から、第1接続端子20と第2接続端子22とが接続されている状態に切り替える。切替部24の接続状態を切り替えることで、HDD8とPC6との間でデータの送受信が可能となる。
【0046】
接続装置10は、ステップS26で接続を切り替えたら、ステップS28として、PC接続表示LED48を点灯させる。つまり、切替部24により第1接続端子20と第2接続端子22とが接続されている状態を示すために、PC接続表示LED48を点灯させる。なお、切替部24を切り替えることで、第1接続端子20と処理部16とが接続していない状態となるので、BOX接続表示LED46は、消灯される。
【0047】
その後、接続装置10は、ステップS30として、PC処理を行う。具体的には、接続装置10を介して、PC6とHDD8との間でデータを送受信させる。つまり、PC6から送られる指示、データをHDD8に送る。
【0048】
接続装置10は、ステップS30でPC処理が終了したら、ステップS32として、HDD8の取り外しが検出されたかを判定する。つまり、接続装置10は、PC6によるHDD8への処理が終了したら、第1接続端子20から、HDD8が取り外されたかを判定する。なお、PC6による処理が終了したかの判定は、PC6から送られる信号により判定すればよい。
【0049】
接続装置10は、ステップS32でHDD8が取り外された(Yes)と判定したら、ステップS33として、システムを再起動させる。つまり、接続装置10は、HDD8が取り外されたら、処理部16への電源の供給を一度停止させ、処理部16を再起動させる。処理部16は、再起動されることで、RAM34に一時的に記憶されたデータが消去される。また、接続装置10は、ステップS33の処理中に、HDD認識表示LED44と、動作表示LED42を消灯させる。さらに、接続装置10は、切替部24を第1接続端子20と処理部16とを接続させる状態に切り替える。接続装置10は、ステップS33でシステムを再起動させ、表示部12の表示と切替部24の接続状態とを切り替えたら、ステップS16に進み、上記処理を繰り返す。
【0050】
また、接続装置10は、ステップS32でHDD8の取り外しを検出していない(No)、つまり、HDD8が第1接続端子20に接続された状態であると判定したら、ステップS34として、電源OFFかを判定する。つまり、接続装置10は、電源OFFの指示が入力されたか、例えば電源スイッチ50が押下されたかを判定する。接続装置10は、ステップS34で電源OFFではない(No)、つまり、電源をOFFにする動作が入力されていないと判定したら、ステップS32に進み、HDD8が取り外されたかを判定する。つまり、接続装置10は、電源OFFの指示が入力されるか、HDD8が取り外されるまで、ステップS32とステップS34の動作を繰り返す。
【0051】
また、接続装置10は、ステップS34で電源OFFである(Yes)、つまり、電源スイッチ50が操作され、電源OFFの指示が入力されたと判定したら、ステップS36として、電源OFF処理を行い、処理を終了する。つまり、表示部12、処理部16等への電力供給を終了する。
【0052】
このように、接続装置10は、処理部16により、HDD8の記憶領域を初期化(フォーマット)し、記憶領域のデータを消去した後、切替部24により、接続状態を切り替え、PC6とHDD8とを接続させることで、HDD8の記憶領域にウイルスが記憶されていたとしてもPC6がウイルスに感染することを抑制することができる。つまり、PC6には、記憶領域が初期化されたHDD8のみを接続可能とすることで、HDD8に記憶されているデータを介してPC6がウイルスに感染する恐れを低減することができる。これにより、PC6をより安全に駆動することが可能となる。これにより、接続装置10を用いることで、秘匿義務が高いデータを記憶させているPC6からデータを出力する場合も、PC6がウイルスに感染する可能性を非常に小さくしつつ、データを読み出すことができる。また、接続装置10を用いることで、通信回線ネットワークに接続されておらず、種々のソフトが最新の状態に更新されていないPC6からデータを取り出す場合も、高い安全性を維持したまま、データの取り出しを行うことが可能となる。
【0053】
また、切替部24を設け、処理部16とPC6とが直接接続されない構成とすることで、処理部16がウイルスに感染しても、そのウイルスがPC6に到達する恐れを低減することができる。また、処理部16がHDD8を初期化するまで、HDD8とPC6とが接続されないようにすることができる。これにより、種々の処理の実行中にHDD8からPC6にウイルスが侵入する恐れを低減することができる。
【0054】
また、切替部24を、物理的に接続状態を切り替える構成とすることで、接続が切り替えられるまでは、データの送受信が物理的に不可能な構成にすることができる。これにより、ウイルスの属性に関わらず、HDD8と処理部16が接続されている状態では、ウイルスがPC6に侵入することができないようにすることができる。
【0055】
また、上記実施形態では、切替部24として、接続先を物理的に切り替える手段を用いることで、データの送受信が物理的に不可能な構成にすることができ、ウイルスがPC6に侵入することをより確実に防止できるがこれに限定されない。切替部24は、接続先を切り替えることができればよく、第1接続端子20が接続する先を第2接続端子22と処理部16とに切り替えることができればよい。つまり、HDD8が接続する先を処理部16とPC6との間で切り替えることができればよい。例えば、切替部24は、HDD8が接続する先を処理部16とPC6とで電気的に切り替えてもよい。つまり、配線はHDD8と処理部16およびHDD8とPC6の両方と接続している状態で、HDD8と処理部16との間で情報の送受信が可能な状態と、HDD8とPC6のとの間で情報の送受信が可能な状態とを切り替えるようにしてもよい。
【0056】
なお、接続装置10は、処理部16がHDD8から情報の書き換えができない構成であるので、切替部24は、第1接続端子20と処理部16とを常時接続させ、第1接続端子20と第2接続端子22とが接続していない状態を第1接続端子20と処理部16とが接続した状態としてもよい。つまり、第1接続端子20と第2接続端子22とが接続している状態の際に、第1接続端子20と処理部16とが接続していてもよい。この場合でも、接続装置10は、切替部24が、第1接続端子20に接続されたHDD8の記憶領域が処理部16により初期化されたことを検出したら、第1接続端子20と第2接続端子22とを接続させることで、PC6にウイルスが侵入することを抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態のように、処理部16の書き込み可能な領域をRAM34とすることで、仮にRAM34がウイルスに感染しても、処理部16を再起動することで、RAM34に一時的に記憶されたウイルスを消去することができる。また、必要なプログラムを書き込み不可能なROM32に記憶させることで、ウイルスによりプログラムが書き換えられる可能性を抑制することができる。
【0058】
また、HDD8が取り外される毎に、処理部16を再起動することで、前のHDD8とのデータの送受信時にRAM34がウイルスに感染しても、そのウイルスを消去することができるため、他のHDD8をウイルスに感染させる恐れを低減することができる。
【0059】
ここで、ROM32に記憶させ、CPU30で実行するHDD8の初期化プログラムとしては、種々のプログラム(ソフトウェア、アプリケーションプログラム)を使用することができるが、独自のプログラムとすることが好ましい。つまり、市販のOS(Operating System)ソフトのプログラム以外のプログラムとすることが好ましい。このように処理部16で使用するプログラムを独自のプログラムとすることで、市販のソフトに対して作成されたウイルスに対する耐性を高くすることができる。これにより、接続装置10自体がウイルスに感染する可能性を低減することができる。
【0060】
また、上記実施形態では、処理部16に書き込み可能なRAM34を用いたが、処理部16は、書き込み可能な記憶装置を設けない構成とすることが好ましい。つまり、演算機能(CPU30)と、書き込み不可能な記憶領域(ROM32)のみで構成することが好ましい。このように、書き込み可能な記憶装置を設けない構成、例えば回路のみの構成とすることで、接続装置10がウイルスに感染しないようにすることができる。
【0061】
なお、上記実施形態では、HDD8が取り外されていない場合のみ電源のOFFの指示が入力されたかを判定したが、本発明はこれに限定されない。電源OFFの指示が入力されているかの判定は、別の処理として行い、電源OFFの信号が入力された場合は、処理中であっても、電源をOFFするようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、電源部18が電源コネクタ54を介して電力を取得する構成としたが、第2接続端子22をUSB接続端子とし、USB接続端子を介してPC6から電力を取得する構成としてもよい。なお、この場合も、電力の供給配線と、データの送受信配線は、別にすることができるため、電源部18を介してのデータの送受信は行えないようにすることができる。
【0063】
また、上記実施形態では、電源スイッチ50及び初期化スイッチ52を、押されることを検出するスイッチ(つまりボタン型)としたが、本発明はこれに限定されず、スイッチの形状は特に限定されない。例えば、スライド型のスイッチとしてもよいし、引っ張ることで信号が入力されるスイッチとしてもよい。
【0064】
なお、上記実施形態では、装置構成を簡単にすることができ、また安価にすることができるため、表示装置をLED(発光素子)のみで構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、表示部12として液晶表示装置を用い、状態を文字や記号で表示するようにしてもよい。また、LED等の発光素子を用いる場合も、上記実施形態のように、点灯と消灯とを切り替えて、ON状態かOFF状態かを表示させることに限定されず、発光させる色を変化させてON状態とOFF状態とを表示させるようにしてもよい。
【0065】
なお、上記実施形態では、接続装置10が1つのHDD8及び1つのPC6と接続する構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、接続装置10に複数のHDD8を接続させるようにしてもよい。なお、この場合は、HDD8と接続する接続端子毎に切替部24を設けることで、初期化したHDD8のみをPC6と接続可能とすることができる。また、処理部16は、1つのHDD8を初期化させる毎に、再起動(一度電源を遮断する)ことが好ましい。処理部16を再起動することで、RAM34の記憶領域にウイルスが侵入していた場合も、削除することができ、HDD8から他のHDD8にウイルスを移動させることを抑制することができる。また、処理部16がウイルスによって、不適切な初期化動作を行う恐れを低減することができる。また、接続装置10は、複数のPC6と接続可能な構成としてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、接続装置10と、PC6とを別々の筐体として設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、接続装置10をPC6の筐体の内部に配置させてもよい。つまり、第1接続端子20は、外部に露出して、HDD8と接続可能な状態とし、第2接続端子22は、PC6の筐体の内部に内蔵され、PC6の制御部と連結した構成としてもよい。なお、接続装置10をPC6の内部に配置する場合も処理部16は、PC6の制御部と別々に設けることが好ましく、さらに、表示部12、操作部14の各部もPC6の各部とは別々に設けることが好ましい。
【0067】
また、上記実施形態では、外部記憶装置として、HDD(ハードディスクドライブ)8を用いた場合として説明したがこれに限定されず、種々の記憶装置を用いることができる。外部記憶装置としては、例えば、USBメモリ(Universal Serial Bus flash drive)や、メモリーカード等のUSB以外の端子で接続されるフラッシュメモリ(flash memory)、フロッピー(登録商標)ディスク、MO(Magneto-Optical disk)、CD−RW(Compact Disc-ReWritable)、磁気テープ等を入れ替え可能な状態で内蔵し、読み取りおよび書き込みが可能な記憶装置(デバイス)等を用いることもできる。なお、制御が簡単となり、処理が簡単となるため、外部記憶装置としては、記憶領域と制御部とが一体となったHDD(ハードディスクドライブ)やUSBメモリ(Universal Serial Bus flash drive)を用いることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明にかかる接続装置及び接続方法は、演算処理装置と、外部記憶装置との接続に用いるのに有用であり、特に、パーソナルコンピュータとハードディスクドライブとの接続に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0069】
6 PC(パーソナルコンピュータ)
8 HDD(ハードディスクドライブ)
10 接続装置
11 筐体
12 表示部
14 操作部
16 処理部
18 電源部
20 第1接続端子
22 第2接続端子
24 切替部
30 CPU
32 ROM
34 RAM
40 電源表示LED
42 動作表示LED
44 HDD認識表示LED
46 BOX接続表示LED
48 PC接続表示LED
50 電源スイッチ
52 初期化スイッチ
54 電源コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部記憶装置と、演算処理装置とを接続させる接続装置であって、
前記外部記憶装置と接続可能な第1接続端子と、
前記演算処理装置と接続可能な第2接続端子と、
前記外部記憶装置の記憶領域の初期化処理を行う処理部と、
前記第1接続端子を前記処理部と接続させた状態と、前記第1接続端子を前記第2接続端子と接続させた状態とを切り替える切替部とを有し、
前記切替部は、前記第1接続端子に接続された前記外部記憶装置の記憶領域が前記処理部により初期化されたことを検出したら、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを接続させることを特徴とする接続装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記第1接続端子に外部記憶装置が接続されたことを検出したら、前記外部記憶装置の記憶領域を初期化することを特徴とする請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記処理部は、読み取り専用の記憶装置と揮発性記憶装置のみで構成される記憶部を有し、
前記処理部は、前記切替部で前記第1接続端子と接続している状態から、前記第1接続端子と接続していない状態に切り替えられたら、再起動することを特徴とする請求項1または2に記載の接続装置。
【請求項4】
初期化許可信号を入力する操作部をさらに有し、
前記処理部は、前記操作部が操作され、前記初期化許可信号が入力されたら、前記記憶領域を初期化させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項5】
前記切替部は、接続状態を物理的に切り替える機構であり、
前記第1接続端子を前記処理部と接続させた状態では、前記第1接続端子と第2接続端子とが物理的に切断され、かつ、前記処理部と第2接続端子とが物理的に切断された状態とし、
前記第1接続端子を前記第2接続端子と接続させた状態では、前記第1接続端子と前記処理部とが物理的に切断され、前記第2接続端子と前記処理部とが物理的に切断された状態とすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項6】
前記演算処理装置の筐体の内部に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項7】
外部記憶装置と、演算処理装置とを接続させる接続方法であって、
前記外部記憶装置が接続されているかを判定する接続判定ステップと、
前記外部記憶装置が接続されたと判定したら、前記外部記憶装置の記憶領域を初期化する初期化ステップと、
前記初期化ステップで前記記憶領域の初期化が完了したと判定したら、前記外部記憶装置と前記演算処理装置との間でデータの送受信が可能な状態にする接続ステップとを有することを特徴とする接続方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−8100(P2013−8100A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138765(P2011−138765)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(504409543)国立大学法人秋田大学 (210)
【出願人】(302048371)株式会社エクシオン (8)
【Fターム(参考)】