説明

接触プローブおよび形状測定装置

【課題】被測定物表面に対する負荷が小さい接触プローブを提供する。
【解決手段】被測定物表面に当接する接触部312を先端に有する測定子310と、測定子310の変位を検出する検出センサと、測定子310の軸方向とは略直交して配置された弾性体のプレートであって測定子310の基端側を支持する支持プレート420と、測定子310を変位させるスタイラス変位手段440と、を備える。スタイラス変位手段440は、支持プレート420に応力を付与してそれぞれの点における支持プレート420の弾性変形量を変化させるアクチュエータ441〜443を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触プローブおよび形状測定装置に関する。例えば、接触プローブにより被測定物の形状を測定する形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被測定物表面を走査して被測定物の表面性状や立体的形状を測定する測定装置が知られ、例えば、粗さ測定機、輪郭形状測定機、真円度測定機、三次元測定機などが知られている。そして、接触部が被測定物表面に接触した際における接触部の微小変位に基づいて被測定物表面を検出する変位センサとして接触プローブが使用される(特許文献1)。
【0003】
図21に、接触プローブを利用した三次元測定機10の構成を示す。
三次元測定機10は、接触プローブ11と、この接触プローブ11を被測定物表面に沿って三次元的に移動させる駆動機構12と、を備えている。接触プローブ11は、図22に示されるように、先端に接触部14を有するスタイラス13と、スタイラス13の基端を支持するセンサ本体部15と、を備えている。センサ本体部15は、スタイラス13をxp、yp、zp方向の一定の範囲内で変位可能に支持するとともにスタイラス13の変位量を検出する。
【0004】
このような接触プローブによって被測定物表面を検出するにあたってはタッチ測定が例として挙げられる。
タッチ測定では、まず、駆動機構12によって接触プローブ11を移動させ、接触部14を被測定物表面の測定ポイントに当接させる。そして、接触部14を被測定物に押し込む方向に接触プローブ11を移動させていき、接触部14の変位として所定の押込量(基準押込量)が検出されたところで接触部14と被測定物表面との接触を検出する。接触部14と被測定物表面との接触を検出したところで、接触部14の座標をサンプリングして、被測定物表面の測定を実行する。接触部14の座標をサンプリングした後、タッチバック動作により接触プローブ11を被測定物から離間させ、あらためて接触部14を次の測定ポイントに当接させる。このようなタッチ測定を繰り返し実行して、被測定物表面を測定する。
【0005】
【特許文献1】特開2000−39302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、接触部14を被測定物表面に所定量押し込んだときに接触部14と被測定物表面との接触を検出するところ、駆動機構の慣性のためにオーバートラベルが生じ、所定量以上に接触部14を被測定物表面に押し込んでしまうことになる。
このようにオーバートラベルが生じて所定量以上に接触部14を被測定物表面に押し込み過ぎると、スタイラス13に大きな負荷がかかることはもちろん、被測定物表面を損傷させるという問題が生じる。
【0007】
さらに、測定精度を向上させるためには接触部14を微小にすることが必要であるが、接触部14を小さくすると単位面積あたりの圧力が大きくなってしまうので、被測定物表面の損傷が激しくなるという問題が生じる。
そのため、接触式の測定において、高精度の測定を行うとともに被測定物表面への負荷を小さくすることが困難であった。
【0008】
本発明の目的は、被測定物表面に対する負荷が小さい接触プローブおよび形状測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の接触プローブは、被測定物表面に当接する接触部を先端に有する測定子と、前記測定子の変位を検出する検出センサと、前記測定子の軸方向とは略直交して配置された弾性体のプレートであって前記測定子の基端側を支持する支持プレートと、前記測定子を変位させる測定子変位手段と、を備え、前記測定子変位手段は、直線上にない3点以上において前記支持プレートに応力を付与してそれぞれの点における前記支持プレートの弾性変形量を変化させる応力付与手段を備えることを特徴とする。
【0010】
このような構成において、測定子の接触部が被測定物表面に当接すると、被測定物表面から接触部に対して力が作用する。すると、測定子は弾性体である支持プレートにて支持されているので、被測定物表面から受ける力に応じた量だけ変位する。このとき、支持プレートは弾性体のプレートであって、測定子の軸方向とは略直交して配置された状態で測定子を支持しているので、支持プレートが上下動または任意の方向に傾斜することにより測定子の3次元的変位が許容される。被測定物表面との接触による測定子の変位は検出センサにて検出される。そして、例えば、測定子の変位が予め設定された所定量(基準押込量)に達したときに接触部と被測定物表面との接触が検知される。また、支持プレートに配備された応力付与手段が駆動すると、それぞれの点において支持プレートに応力が付与されて支持プレートがそれぞれの点で弾性変形される。
【0011】
ここで、支持プレートに対する応力は直線上にない3点以上に付与されるので、これら3点によって支持プレートの傾斜角が一義的に決定される。そして、測定子は支持プレートに支持されているところ、支持プレートの傾斜角とともに測定子が変位するので、支持プレートの傾斜角が応力付与手段からの応力調整で決定されることにより測定子の変位が一義に決定される。
【0012】
このような構成によれば、被測定物表面に当接した際の押圧力によって測定子が変位することの他に、測定子変位手段の駆動によっても測定子は変位可能である。
例えば、タッチ測定では、接触部を所定量まで押し込んだところで接触を検知し、接触検知の後、すぐにタッチバックするが、接触プローブと被測定物を相対移動させる駆動機構には慣性が働くために、すぐにタッチバック動作を実行できずに、接触プローブを基準量以上に被測定物表面に押し込みすぎてしまう恐れがある。
【0013】
この点、本発明においては、測定子変位手段を備えているので、接触プローブと被測定物とを相対移動させる駆動機構の動作に関係なく、測定子変位手段により測定子を被測定物表面から離間させる向きに変位させることができる。すると、被測定物表面に接触部を過剰に押し込むことがないので、測定の対象となる被測定物の表面を損傷することがない。
特に、測定精度を向上させるために接触部を微小する場合には単位面積あたりの接触圧が大きくなるので被測定物表面を損傷する危険が高くなるが、本発明によれば、所定量以上に接触部を被測定物表面に押し込むことがないので、微小な接触部によって高精度に測定し、かつ、被測定物表面の損傷を防止することができる。
【0014】
また、この接触プローブを倣い測定に使用する場合でも倣い測定の際に問題となる摩擦を軽減することができる。
例えば、接触部を被測定物表面に沿って倣い移動させる際に、所定の周期で押込量を減少させるように測定子変位手段を駆動させて接触部を変位させる。倣い測定において押込量を一定にして倣い測定をすると、接触部と被測定物表面との摩擦によって測定子に歪みが溜まることになるが、測定子変位手段によって測定子を微小に変位させて押込量を小さくすることにより押込圧を減少させることができる。すると、測定子にたまる歪みエネルギーを周期的に開放することができる。
【0015】
このように、本発明によれば、測定子を測定子変位手段によって変位させることができるので、接触部と被測定物表面との押込圧を所望のタイミングで減少させて被測定物表面あるいは測定子の損傷を防止することができる。
【0016】
また、測定子変位手段を構成する応力付与手段は、支持プレートの3点以上において応力を付与するので、支持プレートを任意の傾斜にすることができ、測定子を任意の方向へ変位させることができる。したがって、接触部が被測定物表面に接触する方向性に関係なく、接触部を被測定物表面から離間する方向に変位させることができる。
【0017】
なお、応力付与手段としては、トップ部が出没したりあるいは全体が伸縮するなどにより、支持プレートに押圧力を付与する構成とすることが例として挙げられる。
このような構成としては圧電素子を積層した圧電アクチュエータの他、磁歪アクチュエータ、静電アクチュエータ、超音波アクチュエータなどが例として挙げられる。
あるいは応力付与手段としては、支持プレートの表裏面に伸縮量が制御可能な板材(あるいは薄膜)を貼設したバイモルフ型の構成であってもよい。
【0018】
以上に挙げた構成あれば、応答が速いので、所望のタイミングで測定子を被測定物表面から離間させるなどの動作を実行することができる。
例えば、接触プローブを被測定物に対して相対移動させる駆動機構では慣性の影響を受けるので急停止することは難しいが、応力付与手段の応答が速いことにより接触部が規定量以上に押し込まれる前に被測定物表面から接触部を離間させることができる。
したがって、被測定物表面および測定子が損傷することを確実に防止することができる。
【0019】
本発明では、前記支持プレートは、前記測定子の軸線が通る点を中心点とする円形であり、前記応力付与手段は、前記支持プレートの中心点を中心とする仮想円上において等間隔に配備されていることが好ましい。
【0020】
このような構成において、測定子の軸線が支持プレートの中心を通過しており、さらに、支持プレートは円形である。したがって、この支持プレートにて測定子を支持することにより異方性がなく、任意の方向で測定子を変位させた場合でも同一の応力に対する測定子の変位量を同じにすることができる。
また、応力付与手段は、支持プレートの中心点を中心とする仮想円上に等間隔に配置されているので、測定子を異方性なく任意の方向に変位させることができる。
【0021】
なお、検出センサは、光源と、光を受光して光電変換により受光量に応じた受光信号を出力する光センサと、前記光源から発射された光の前記光センサへの入射位置を前記測定子の変位に応じてシフトさせる光シフト手段と、を備えていることが好ましい。
光シフト手段は、支持プレートに貼設され支持プレートとともに一体となって傾斜する反射ミラーにて構成することができる。
【0022】
ここで、測定子のわずかな変位に対して光センサ上の光入射位置が大きく変化することが好ましく、例えば、測定子の軸線から支持プレートの可変部までの距離を短くすること、反射ミラー(光シフト手段)から光センサまでの距離を長くすること、さらには、光源から反射ミラー(光シフト手段)への光入射角を大きくすることが好ましい。
【0023】
測定子の軸線から支持プレートの可変部までの距離が小さければ、測定子の変位に対する支持プレートの角度変化が大きくなるので、測定子の微小変位を高感度に検出することができる。
また、反射ミラーから光センサまでの距離が長ければ、光てこのレバー比が大きくなるので、測定子の微小変位を高感度に検出できる。
【0024】
本発明の形状測定装置は、前記接触プローブと、前記接触プローブを被測定物に対して相対的に移動させて前記接触プローブを前記被測定物表面に対して当接または離間させる駆動機構と、前記駆動機構の駆動量を検出する駆動センサと、前記駆動機構および前記測定子変位手段を駆動制御する動作制御部と、前記検出センサおよび前記駆動センサによる検出値に基づいて前記被測定物表面の形状を解析する解析手段と、を具備し、前記動作制御部は、前記被測定物表面に当接した前記接触部が前記被測定物表面から受ける測定圧によって生じる前記接触部の変位が予め設定された基準押込量に達したときに前記被測定物表面と前記接触部との接触を検知する接触検知部と、前記接触検知部にて前記接触部と前記被測定物表面との接触が検知された際に前記測定子変位手段を駆動させて前記接触部と前記被測定物表面との接触圧が減少する方向に前記測定子を変位させるプローブ駆動制御部と、を備えることを特徴とする。
【0025】
このような構成において、駆動機構により接触プローブが被測定物に対して相対移動され、接触部が被測定物表面に当接する。そして、接触部が被測定物表面に押し込まれていき、接触部の変位が予め設定された基準押込量に達したとき、接触部が被測定物表面に当接したことが接触検知部によって検出される。
このように接触検知部によって接触部と被測定物表面との接触が検知されたときの駆動センサおよび検出センサの検出値がサンプリングされることにより被測定物表面の座標値が取得される。接触検知部にて接触部と被測定物表面との接触が検知されたところで次の測定ポイントに移るために駆動機構により接触プローブが被測定物表面からタッチバックされる。
【0026】
ただし、駆動機構の動作については、駆動機構自体の重量および接触プローブの重量のために慣性が働くので急激に動作方向を変えることはできず、接触プローブを被測定物表面に向けて引き続き移動させてしまうことになる。
ここで、接触検知部にて接触が検知されたところで、プローブ駆動制御部により測定子変位手段が駆動される。すると、測定子変位手段により接触部と被測定物表面との接触圧が減少する方向に向けて測定子が変位する。そして、駆動機構によるタッチバックの後、接触プローブが次の測定ポイントへ移動される。
【0027】
このような構成によれば、接触部と被測定物表面との接触が検知されたところで測定子変位手段によって被測定物表面から退避させる方向に向けて測定子が変位される。したがって、駆動機構が慣性の影響を受ける場合でも、接触部は被測定物表面に基準押込量以上に押し込まれることがない。よって、被測定物表面に接触部が過剰に押し込まれず、被測定物表面および測定子の損傷が防止される。
【0028】
なお、接触部と被測定物表面との接触圧が減少する方向に測定子を変位させるにあたって、接触部が被測定物表面から離間するまで接触部を被測定物表面から離間させてもよく、あるいは、接触部が被測定物表面から離間しない範囲内で接触圧が減少する方向に変位させてもよい。
【0029】
また、例えば、V溝内の一面を測定している場合に接触部を被測定物表面から退避動作させると、V溝の他面に接触部が当接してしまい、所定の退避動作が不能となる事態も想定される。このように退避動作中に異常が検出される場合には測定動作を停止することが望ましい。これにより、接触プローブの破損や測定不能に陥ることを回避することができる。
【0030】
本発明では、前記プローブ駆動制御部は、前記検出センサにて検出された接触部の変位に基づいて接触点における被測定物表面の法線方向を算出する法線ベクトル算出部と、前記法線ベクトル算出部にて算出された法線ベクトルの向きに前記接触部を変位させるために必要な各応力付与手段の駆動量を算出する分配量算出部と、前記分配量算出部にて算出された各応力付与手段の駆動量に応じて各応力付与手段を駆動させる応力付与駆動部と、を備えることが好ましい。
【0031】
このような構成において、接触部が被測定物表面に接触したことが検知された際にプローブ駆動制御部によって接触部と被測定物表面との接触圧が減少する方向へ測定子が変位されるところ、まず、法線ベクトル算出部によって接触点における被測定物表面の法線ベクトルが算出される。
ここで、接触部が被測定物表面に押し込まれて被測定物表面に押圧力を加えるところ、被測定物表面からの反力によって接触部は変位される。したがって、接触部の変位が(Δx、Δy、Δz)である場合、接触点における被測定物表面の法線方向のベクトルは(Δx、Δy、Δz)である。
【0032】
次に、この法線ベクトルの方向に接触部を変位させるために必要な各応力付与手段の駆動量が分配量算出部により算出される。そして、算出された各応力付与手段の駆動量に応じて応力付与駆動部から各応力付与手段に制御電圧等の制御信号が出力され、各応力付与手段が駆動される。すると、各応力付与手段の駆動によって支持プレートの各点の弾性変形量が変化されて支持プレートの傾斜角が変化する。支持プレートの傾斜角とともに測定子が変位して、接触部が被測定物表面の法線方向へ変位する。
【0033】
本発明の形状測定装置は、前記接触プローブと、前記接触プローブを被測定物表面に沿って相対移動させる駆動機構と、前記駆動機構の駆動量を検出する駆動センサと、前記駆動機構および前記測定子変位手段を駆動制御する動作制御部と、前記検出センサおよび前記駆動センサによる検出値に基づいて前記被測定物表面の形状を解析する解析手段と、を具備し、前記動作制御部は、前記測定子変位手段を駆動させて前記接触部を前記被測定物表面の法線方向に振動させるプローブ加振制御部を備えることを特徴とする。
【0034】
このような構成において、接触プローブが駆動機構によって被測定物表面に沿って移動されることにより倣い測定が実行される。
この倣い測定にあたって、まず、プローブ加振制御部からの制御信号によって測定子変位手段が駆動され測定子が加振される。このとき、接触部の振動方向は被測定物表面の法線方向である。例えば、測定動作に先立って被測定物の輪郭データが予め設定入力されており、この輪郭データと倣い測定の測定経路とに基づいて各測定ポイントにおける被測定物表面の法線方向が予め算出され、この算出された法線方向に接触部が加振される。接触部が被測定物表面の法線方向に加振された状態で駆動機構により接触プローブが被測定物表面に沿って倣い移動される。すると、接触部が振動しているので、接触部が被測定物表面をタッピングしながら倣い移動する。接触部の振動を含めて接触部の変位は検出センサにて検出されているところ、接触部の振動の振幅が所定のレベルに抑えられたときに接触部と被測定物表面との接触を検知することが例として挙げられる。接触部の変位を検出センサで検出するとともに駆動機構の駆動量が駆動センサにて検出されることにより、測定データが得られる。この測定データに基づいて解析手段により被測定物の表面形状の解析が実行される。
【0035】
このような構成によれば、倣い測定にあたって接触部が被測定物表面をタッピングするので、接触部と被測定物表面との接触時間が短くなり、接触部と被測定物表面との摩擦を極めて小さくすることができる。
従来は、接触部を被測定物表面に所定量押し込んだ状態で倣い測定を行っていたために、接触部と被測定物表面との間に働く摩擦力が測定子および被測定物表面を損傷するとう問題が生じていた。
この点、本発明によれば、接触部と被測定物表面との摩擦が小さくなるので、測定によって被測定物表面が損傷することがない。
【0036】
また、測定子は支持プレートにより三次元的に任意の方向に変位可能に支持されているので、測定子変位手段の駆動によって接触部を三次元的に任意の方向に振動させることができる。したがって、どの方向から被測定物表面に接触する場合でも接触部を被測定物表面の法線方向に振動させながら倣い測定を行うことができる。また、このように倣い測定をタッピングによって実行するにあたり、測定子変位手段にて接触部を振動させるので、接触プローブを移動させる駆動機構の動作は従来の倣い測定と同様でよい。従って、倣い測定の動作指令としては従来と変わることがなく、非常に簡便である。
【0037】
なお、接触部を振動させる振動周波数については、接触プローブのあらゆる固有周波数を避けることが好ましい。接触プローブには各方向によってそれぞれ固有周波数が存在し、例えば、縦方向には測定子の振動の固有周波数が存在する。
接触部を三次元的に任意の方向で振動させる際に測定子の固有周波数を用いてしまうと、測定子が固有周波数で共鳴して、縦方向の振動も生じてしまうことになる。そのため、任意の方向に接触部を振動させて被測定物表面を正確にタッピングすることができなくなる。そこで、あらゆる方向の固有周波数を避けることにより、意図した方向にのみ接触部を振動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の形状測定装置に係る第1実施形態について図1〜図15を参照して説明する。
第1実施形態として、接触プローブ300を用いた形状測定装置としての測定システム100を図1に示す。
図2は、測定システム100のブロック図である。
【0039】
測定システム100は、接触プローブ300を移動させる三次元測定機200と、手動操作するジョイスティック111を有する操作部110と、三次元測定機200の動作を制御するモーションコントローラ(動作制御部)500と、モーションコントローラ500を介して三次元測定機200を動作させるとともに三次元測定機200によって取得した測定データを処理して被測定物Wの寸法や形状などを求めるホストコンピュータ600と、測定条件等を入力する入力手段120と、測定結果を出力する出力手段130と、を備えている。
【0040】
三次元測定機200は、接触プローブ300と、定盤210と、定盤210に立設されて接触プローブ300を三次元的に移動させる駆動機構220と、駆動機構220の駆動量を検出する駆動センサ230と、を備えている。
【0041】
接触プローブ300の構成について説明する。
図3は、接触プローブ300の構成を示す斜視図である。
図4は、接触プローブ300を垂直方向に切断した横断面図である。
なお、以下の説明のために図4の紙面上下方向にz軸をとり、紙面左右方向にx軸をとり、紙面垂直方向にy軸をとる。
【0042】
接触プローブ300は、被測定物表面Sに当接した際に接触圧によって変位する測定子310と、この測定子310を変位可能に支持するとともに測定子310の変位を検出するセンサ本体部400と、を備える。
【0043】
測定子310は、スタイラス311と、このスタイラス311の先端に設けられた接触部312と、を備える。
スタイラス311の基端がセンサ本体部400に取り付けられ、測定子310はセンサ本体部400から垂下する状態に支持されている。
なお、測定子310に変位がない基準状態においてスタイラス311の軸線に沿った方向を中心線方向Aと称する。
【0044】
センサ本体部400は、下端面が開口し内部に収納空間411を有する円筒形のハウジング部410と、ハウジング部410の下端側において測定子310の基端側を支持する支持プレート420と、測定子310の変位を検出する変位検出手段(検出センサ)430と、支持プレート420を変形させることによりスタイラス311を変位させるスタイラス変位手段(測定子変位手段)440と、を備える。
【0045】
ハウジング部410は、内部の収納空間411に支持プレート420と、変位検出手段430と、スタイラス変位手段440と、を備えている。
ハウジング部410の下端側には、開口を閉塞して内部への塵埃等の侵入を防止する可撓性のシート材412が配設されている。そして、このシート材412を挿通する状態で測定子310が配設されている。
【0046】
支持プレート420は、円形状の金属プレートであり、周端部がハウジング部410に固定されている。そして、支持プレート420の中心において補強板421を介して支持プレート420の下面側に測定子310が取付固定されている。
ここで、図5は、支持プレート420の上面図である。
支持プレート420は、3本の切込み線422を有し、3本の切込み線422は支持プレート420の中心C1を点対称の中心として対称に設けられている。各切込み線422は、円弧部423と、直線部424と、を有し、略くの字状に曲がっている。そして、3本の切込み線422が支持プレート420の中心C1を取り巻いて配置され、一の切込み線422の円弧部423の内側に他の切込み線422の直線部424が位置する。切込み線422の部分において支持プレート420が上下変位可能となり、測定子310がこの支持プレート420の中心に取り付けられることにより測定子310が揺動可能に支持される。
【0047】
変位検出手段430は、測定子310の変位に応じて変位する反射ミラー(光シフト手段)431と、反射ミラー431に向けて光を照射する照明光学系432と、反射ミラー431からの反射光を受光する光センサ433と、を備える。
反射ミラー431、照明光学系432および光センサ433は、中心線Aに沿って配列されている。
【0048】
反射ミラー431は、支持プレート420の上面側において支持プレート420の略中心に配設されている。測定子310が変位した際には支持プレート420の中心が測定子310とともに変位するので、反射ミラー431も測定子310の変位に応じて変位し、反射面の位置および角度が変化する。
【0049】
照明光学系432は、光を発射する2つの光源432A、432Bを備えている。2つの光源432A、432Bは、光センサ433を間にしてx方向に離間して配設されている。光源432A、432Bは、光を反射ミラー431に向けて発射し、かつ、測定子310の変位が無い基準状態において反射ミラー431で反射された光が光センサ433の中心に入射するように姿勢が調整される。
【0050】
図4中では、光源432A、432Bは、反射ミラー431に対して入射角θで光を入射させる。光源432A、432Bとしては、例えば、LEDを利用することができる。また、2つの光源432A、432Bは、互いに異なる周波数で振幅変調された変調光を発射する。
図3および図4中において、例えば、−x側に配設された光源432Aから周波数faで振幅変調された変調光Saが発射され、+x側に配設された光源432Bから周波数fbで振幅変調された変調光Sbが発射される。(ただし、fa≠fb)
【0051】
光センサ433は、反射ミラー431からの光を受光して光電変換により受光信号を出力する。
図6は、光センサ433を受光面側から見た図である。
光センサ433は、x軸とy軸とに沿った分割線によって4分割されており、第1から第4受光部434〜437を備える。ここで、(+y、−x)の位置に配置される受光部を第1受光部434とし、(+y、+x)の位置に配置される第2受光部435とし、(−y、+x)の位置に配置される受光部を第3受光部436とし、(−y、−x)の位置に配置される受光部を第4受光部437とする。
【0052】
スタイラス変位手段440は、支持プレート420の下面側において、支持プレート420とハウジング部410の下端縁との間に配設された三つのアクチュエータ(応力付与手段)441〜443を備える。
アクチュエータ441〜443は、多数の圧電素子の薄板を積層して構成されており、電圧の印加によって高さが変わる。支持プレート420には3本の切込み線422が設けられ、一の切込み線422の円弧部423と他の切込み線422の直線部424との間で支持プレート420が変形するところ、各アクチュエータ441〜443は、円弧部423と直線部424とにて挟まれた狭領域の下面側に配設されている。支持プレート420の上面側から透視した図5を参照してアクチュエータの配設位置を説明すると、三つのアクチュエータ441〜443は、透視図(図5)において、支持プレート420の中心点C1を中心とする円の円周上に60度間隔で配設されている。
【0053】
ここで、+X軸から計った角度で表すと、60度位置と、−60度位置と、−180度位置にそれぞれアクチュエータ441〜443が配設されている。
なお、60度位置のアクチュエータを第1アクチュエータ441、−60度位置のアクチュエータを第2アクチュエータ442、−180度位置のアクチュエータを第3アクチュエータ443と称する。
アクチュエータ441〜443に電圧が印加された際にはアクチュエータ441〜443のトップ部が前記狭領域を押し上げて支持プレート420を変形させる。すると、支持プレート420にて支持された測定子310の角度が変化する。アクチュエータ441〜443は三つ設けられているので、それぞれのアクチュエータ441〜443に印加する電圧を制御することにより、支持プレート420の面の角度を任意の角度に変化させることができる。すなわち、3つのアクチュエータ441〜443によってスタイラス311の角度を任意の角度に変化させることができる。
【0054】
駆動機構220は、定盤210の両側端から定盤210に略垂直方向であるZm方向に高さを有するとともに定盤210の側端に沿ったYm軸方向へスライド可能に設けられた二本のビーム支持体221と、ビーム支持体221の上端に支持されてXm方向に長さを有するビーム222と、ビーム222にXm方向にスライド可能に設けられZm軸方向にガイドを有するコラム223と、コラム223内をZm軸方向にスライド可能に設けられ下端にて接触プローブ300を保持するスピンドル224と、を備えて構成されている。
【0055】
ここで、駆動機構220のXm軸方向、Ym軸方向、Zm軸方向によりマシン座標系が規定されている。
【0056】
駆動センサ230は、詳細には図示しないが、ビーム支持体221のYm方向への移動を検出するYm軸センサと、コラム223のXm方向への移動を検出するXm軸センサと、スピンドル224のZ方向への移動を検出するZm軸センサと、を備えている。
駆動センサ230による検出結果はモーションコントローラ500を経由してホストコンピュータ600に出力される。
【0057】
操作部110は、操作盤に揺動可能に設けられ接触プローブ300の移動を手動で操作する手動操作部材としてのジョイスティック111を備えている。
なお、特に図示しないが、操作部110は、ジョイスティック111の傾き角などジョイスティック111の操作を検出する検出部を備え、検出部からの信号はモーションコントローラ500に出力される。
【0058】
モーションコントローラ500は、ホストコンピュータ600および操作部からの指令に応じて駆動機構220を駆動制御する駆動制御部510と、駆動センサ230から出力されるパルス信号をカウントして駆動機構220の駆動量を計測する駆動カウンタ520と、接触プローブ300からの信号を処理して接触部312の変位量を算出するプローブ信号処理部530と、接触部312を被測定物表面Sの法線方向に変位させるプローブ駆動制御部540と、接触部312と被測定物表面Sとの接触を検知する接触検知部550と、を備える。
【0059】
駆動制御部510は、ホストコンピュータ600および操作部からの指令に基づいて駆動機構220に制御信号を出力し、駆動機構220を駆動させて接触部312を測定ポイントに当接させる。
駆動カウンタ520は、詳細に図示しないが、Ym軸センサからの出力を計数するYm軸カウンタと、Xm軸センサからの出力を計数するXm軸カウンタと、Zm軸センサからの出力を計数するZm軸カウンタと、を備える。
計測された駆動機構220の駆動量は、ホストコンピュータ600に出力される。
【0060】
プローブ信号処理部530について説明する。
図7は、プローブ信号処理部530の構成を示す図である。
プローブ信号処理部530は、各受光部434〜437から出力される受光信号から変調光Sa、Sbの信号をそれぞれ分離して取り出すバンドパスフィルタ部531と、変調光であるSa、Sbから元の信号であるfa、fbを復元する復調回路部532と、復調回路部532で復調された信号に基づいて接触部312の変位を算出する演算処理部533と、を備えている。
【0061】
4つの受光部434〜437に応じて、バンドパスフィルタ部531は4つ設けられ、各バンドパスフィルタ部531は、中心周波数がfaであるバンドパスフィルタ531Aと、中心周波数がfbであるバンドパスフィルタ531Bと、の二つのバンドパスフィルタを備えている。
同様に、4つのバンドパスフィルタ部531に応じて、復調回路部532は4つ設けられ、各復調回路部532は、変調光Saから元の信号faを復調する復調回路532Aと、変調光Sbから元の信号fbを復調する復調回路532Bと、を備えている。
復調回路としては、例えば、ピークホールド回路や平滑化回路などが例として挙げられる。
【0062】
これら4つの復調回路部532により、faとfbとの組み合わせで構成される信号組が4組得られる。演算処理部533は、4つの信号組に基づいて接触部312の変位を算出する。すなわち、演算処理部533は、4つの信号組から光センサ433上における2つの光束のそれぞれのシフト量を求めたうえで、2つの光束の変位量から接触部312の変位量を算出する。
【0063】
プローブ駆動制御部540は、プローブ信号処理部530にて算出された接触部312の変位に基づいて接触点における被測定物表面Sの法線方向を算出する法線ベクトル算出部541と、法線ベクトル算出部541にて算出された法線ベクトルの向きに接触部312を変位させるための各アクチュエータ441〜443の駆動量を算出する分配量算出部542と、アクチュエータ441〜443を駆動させて被測定物表面Sの法線方向へ接触部312を変位させるアクチュエータ駆動部(応力付与駆動部)543と、を備える。
【0064】
法線ベクトル算出部541は、接触部312と被測定物表面Sとが接触した際に接触部312の変位に基づいて被測定物表面Sの法線方向を算出する。
駆動機構220によって接触プローブ300が移動して接触部312が被測定物表面Sの測定ポイントに当接するところ、駆動機構220によって所定の押込量まで接触プローブ300の移動が継続される。接触部312が被測定物表面Sに当接した状態から接触プローブ300をさらに被測定物表面Sに押し込んでいくと、接触部312が接触プローブ300のセンサ本体部400に対して変位することになる。このときの接触部312の変位量はプローブ信号処理部530によって算出される。
ここで、接触部312が被測定物表面Sに押し込まれて被測定物表面Sに押圧力を加えるところ、被測定物表面Sからの反力によって接触部312は変位される。
したがって、接触部312の変位が(Δx、Δy、Δz)である場合、接触点における被測定物表面Sの法線方向はベクトル(Δx、Δy、Δz)であり、法線ベクトルNは次の式で表される。
【0065】
【数1】

【0066】
法線ベクトル算出部541にて算出された法線ベクトルNは分配量算出部542に出力される。
【0067】
分配量算出部542は、法線ベクトルNの方向に接触部312を変位させるのに必要な三つのアクチュエータ441〜443の駆動量をそれぞれ算出する。
三つのアクチュエータ441〜443は支持プレート420の下面に配設されており、それぞれのアクチュエータ441〜443が支持プレート420の狭領域を所定量だけ押し上げることにより支持プレート420の傾斜が所定角度に変化する。
支持プレート420の傾斜角度が変化するとスタイラス311の角度が変化するので、接触部312が所定の方向に変位することになる。すなわち、分配量算出部542は、法線ベクトルNの方向に接触部312が変位したときの支持プレート420の傾斜角度を算出したのち、算出された傾斜角度まで支持プレート420を傾斜させるのに必要な各アクチュエータ441〜443の駆動量をそれぞれ算出する。算出された各アクチュエータ441〜443の駆動量はアクチュエータ駆動部543に出力される。
【0068】
アクチュエータ駆動部543は、3つのアクチュエータ441〜443それぞれに制御電圧を印加してアクチュエータ441〜443を駆動する。
このとき、アクチュエータ駆動部543は、分配量算出部542にて算出された各駆動量に応じてそれぞれのアクチュエータ441〜443に所定電圧を印加する。
【0069】
接触検知部550は、プローブ信号処理部530から出力される接触部312の変位データをモニタし、接触部312の変位データが基準押込量に達したときに、接触部312と被測定物表面Sとの接触を検知する。接触検知部550は、接触部312と被測定物表面Sとの接触を検知したところで接触検知信号を生成し、この接触検知信号をプローブ駆動制御部540およびホストコンピュータ600に出力する。
【0070】
ホストコンピュータ600は、入力手段120によって設定入力される測定条件等を記憶するメモリ(記憶装置)610と、駆動カウンタ520およびプローブ信号処理部530からのデータをサンプリングするデータサンプリング部620と、設定された測定ポイントに接触プローブ300を移動させる移動方向および移動速度を指令する移動ベクトル指令部630と、被測定物Wの形状を解析する形状解析部640と、演算装置および記憶装置(ROM、RAM)を有し所定プログラムの実行やデータ処理等を行う中央処理部(CPU)650と、メモリ610、移動ベクトル指令部630、データサンプリング部620、形状解析部640および中央処理部650を接続するバス660と、を備えている。
【0071】
メモリ610は、入力手段120から設定入力される測定条件等を記憶し、被測定物Wの設計データなどによる輪郭データや、接触部312を被測定物Wに対して押し込む量Δr(基準押込量)や、測定ポイントなどを記憶する。
【0072】
データサンプリング部620は、駆動カウンタ520にてカウントされる駆動機構220の駆動量およびプローブ信号処理部530にて算出された接触部312の変位量をサンプリングする。データサンプリング部620は、接触部312の変位が所定押込量になったときに、駆動カウンタ520のカウント値およびプローブ信号処理部530による接触部312の変位をサンプリングする。すなわち、接触検知信号が生成されたことを合図として、駆動機構220の駆動量および接触部312の変位量をサンプリングする。
【0073】
移動ベクトル指令部630は、メモリ610に設定された輪郭データおよび測定ポイントに基づいて接触部312を測定ポイントに当接させる方向へ接触プローブ300を移動させるベクトル指令を生成する。
生成されたベクトル指令は、駆動制御部510に出力される。
また、移動ベクトル指令部630は、データサンプリングからの接触検知信号を受けて、次の測定ポイントに接触プローブ300を移動させる。
このとき、移動ベクトル指令部630は、接触部312を被測定物表面Sから離間させるタッチバック動作のベクトル指令を生成して接触部312を被測定物表面Sからタッチバックさせた後、続いて、接触プローブ300を次の測定ポイントに移動させるベクトル指令を生成する。
【0074】
形状解析部640は、データサンプリング部620にてサンプリングされたデータに基づいて被測定物表面Sの形状を解析する。
接触部312を所定の基準押込量だけ押し込んだ状態でデータをサンプリングしているところ、押込量および接触部312の半径分を被測定物表面Sの法線方向に補正することにより被測定物表面Sの位置が算出される。
【0075】
次に、第1実施形態の動作について説明する。
まず、接触プローブ300の測定子310が変位する際の動作について図8〜図13を参照して説明する。
【0076】
図8は、接触部312が+Z方向に変位した状態を示す図である。
接触部312に−Z方向から+Z方向に向けて応力が作用すると、測定子310が+Z方向に押し上げられる。すると、支持プレート420の切込みにおいて支持プレート420が上下変位し、測定子310の+Z方向への変位を許容する。あるいは、3つのアクチュエータ441〜443が総て等量だけ支持部の狭領域を押し上げると、支持プレート420の中央部が+Z方向に変位して、支持プレート420の中央部とともに測定子310が+Z方向に変位する。
そして、測定子310とともに支持プレート420の中心が+Z方向に変位することにより、反射ミラー431が+Z方向に変位する。
【0077】
各光源432A、Bから発射される光Sa、Sbは、反射ミラー431に入射した後、反射ミラー431により反射されるところ、反射ミラー431の+Z方向への変位によって反射位置が+Z方向に変位する。すると、反射ミラー431にて反射された光は、測定子310が基準位置に位置するときよりも、光源432Aからの光Saは−X側にシフトし、光源432Bからの光Sbは+X側にシフトする。このとき、光センサ433にて受光される光束を図9に示す。
【0078】
次に、接触部312がX方向に変位する場合について図10、図11を参照して説明する。
図10は、接触部312が+X方向に変位(揺動)した状態を示す図である。
接触部312に−X方向から+X方向に向けて応力が作用すると、測定子310が+X方向に揺動する。このとき、支持プレート420の切込みにおいて支持プレート420が+X方向では上方へ変位し、−X方向では下方に変位して支持プレート420が弾性変形することにより測定子310のX方向への変位が許容される。あるいは、第1アクチュエータ441および第2アクチュエータ442が駆動して支持プレート420を押し上げると、支持プレート420の中央部のうち+X側が上方に変位して支持プレート420の中央が傾斜し、測定子310が+X方向に変位する。そして、支持プレート420の弾性変形に伴って反射ミラー431が傾斜して反射面が−X方向側へ傾斜する。
【0079】
光源432A、Bから発射される光は、反射ミラー431に入射した後、反射ミラー431にて反射されているところ、反射ミラー431の−X方向への傾斜によって光の反射方向がーX方向に変位する。すると、反射ミラー431からの反射光は、測定子310が基準位置に位置するときよりも光センサ433上で−X側へシフトする(図11参照)。
【0080】
次に、接触部312がY方向に変位する場合について図12、図13を参照して説明する。
図12は、接触部312が+Y方向に変位した状態を示す図である。
接触部312に−Y方向から+Y方向に向けて応力が作用すると、測定子310が+Y方向に揺動する。このとき、支持プレート420の切込みにおいて支持プレート420が+Y方向では上方へ変位し、−Y方向では下方に変位して支持プレート420が弾性変形することにより測定子310の+Y方向への変位が許容される。あるいは、主として第1アクチュエータ441が駆動して支持プレート420を押し上げることにより、支持プレート420の+Y側が上方へ変位して支持プレート420の中央が傾斜し、測定子310が+Y方向へ変位する。そして、支持プレート420の弾性変形に伴って反射ミラー431が傾斜して反射面が−Y方向側へ傾斜する。
【0081】
光源432A、Bから発射される光は、反射ミラー431に入射した後、反射ミラー431にて反射されているところ、反射ミラー431の−Y方向への傾斜によって光の反射方向がーY方向に変位する。すると、反射ミラー431からの反射光は、測定子310が基準位置に位置するときよりも光センサ433上で−Y側へシフトする(図13参照)。
【0082】
次に、接触部312に任意の方向から応力が作用した場合、あるいは、第1から第3アクチュエータ441〜443がそれぞれ所定量駆動して、接触部312が3次元的に任意の方向へ変位した場合ついて考察する。
接触部312が3次元的に変位する際の支持プレート420の弾性変形にともなって反射ミラー431が上下動および傾斜する。すると、光源432A、Bから発射される光Sa、Sbが反射ミラー431にて反射され、光センサ433上における光Sa、Sbの入射点がそれぞれ変位する。このとき、光Saの変位(ΔXa、ΔYa)、光Sbの変位(ΔXb、ΔYb)について次の式が成り立つ。
【0083】
ここで、光センサ433上における光Saのシフト量を(ΔXa、ΔYa)、光Sbのシフト量を(ΔXb、ΔYb)とする。また、光源432A、432Bから反射ミラー431への光の入射角をθとする。基準状態(接触部312の変位が無い状態)においてスタイラス311から反射ミラー上の光反射位置までの距離をLa、光センサ433から反射ミラー431までの垂直距離をLとする。
反射ミラー431のZ方向への変位をdzとする。そして、反射ミラー431(あるいは接触部312)のx軸回りの回転角をθx、反射ミラー431(あるいは接触部312)のy軸回りの回転角をθyとする。
【0084】
【数2】

【0085】
【数3】

【0086】
【数4】

【0087】
【数5】

【0088】
また、スタイラス311の長さをLsとするとき、接触部312の座標(x、y、z)と反射ミラー431の姿勢および位置(θy、θx、dz)との間には次の関係が成り立つ。
【0089】
【数6】

【0090】
【数7】

【0091】
【数8】

【0092】
以上の式をまとめると次のようになる。
【0093】
【数9】

【0094】
【数10】

【0095】
【数11】

【0096】
【数12】

【0097】
以上の(式9)から(式12)の連立方程式により、接触部312の変位量(x、y、z)が求められる。
【0098】
また、接触部312の変位を(x、y、z)とするときの反射ミラー431の上下変位量および傾斜角については幾何学的に算出できる。
そして、反射ミラー431を所定量だけ上下動および傾斜させるのに必要な各アクチュエータ441〜443の駆動量は幾何学的に算出できるので、接触部312を(x、y、z)だけ変位させるのに必要な各アクチュエータ441〜443の駆動量を算出することができる。
【0099】
次に、図14のフローチャートおよび図15の動作例を参照して、第1実施形態により被測定物をタッチ測定する動作について説明する。
まず、被測定物をタッチ測定するにあたり、ST100において、測定条件を入力する。例えばキーボード等の入力手段120によって測定条件を入力し、入力された条件はメモリ610に記憶される。測定条件としては、被測定物の形状データや、接触を検知するための基準押込量、および、測定ポイントなどが例として挙げられる。
【0100】
次に、ST110において、移動ベクトル指令部630により移動ベクトル指令の生成が行われ、生成された移動ベクトル指令は、駆動制御部510に出力される。移動ベクトル指令部630は、メモリ610に設定された被測定物の形状データおよび測定ポイントに基づいて接触プローブ300を測定ポイントに移動させる移動ベクトルを生成する。
【0101】
移動ベクトル指令を受けて、ST120において、駆動制御部510により駆動機構220の駆動制御が行われ、駆動機構220により接触プローブ300が移動される(図15(A)参照)。
移動ベクトル指令に基づいた駆動機構220の駆動により、接触プローブ300が測定ポイントに移動して、接触部312が測定ポイントに当接される(図15(B)参照)。そして、接触部312が測定ポイントに押し込まれていく(図15(C)参照)。
【0102】
ST120において接触部312が測定ポイントに押し込まれるとき、接触部312が被測定物表面Sからの反力によって、図8、図10および図12にて説明したように、接触部312が変位する。このとき、図8から図13を参照して説明したように、センサ部からの受光信号がプローブ信号処理部530にて処理されることにより、接触部312の変位が算出される。
算出された接触部312の変位は、接触検知部550に出力される。
【0103】
接触検知部550において、接触部312の変位をモニタし、メモリ610に設定された基準押し込み量と接触部312の変位量とが対比される。そして、接触部312の変位量が基準押込量に達したところで、ST130において、接触部312と被測定物表面Sとの接触が検知される。接触部312と被測定物表面Sとの接触を検知したところで接触検知部550は、接触検知信号を生成する。
接触検知信号は、プローブ駆動制御部540および移動ベクトル指令部630に出力される。
【0104】
接触検知信号を受けて、ST140において、データサンプリング部620は駆動カウンタ520にてカウントされる駆動機構220の駆動量と、プローブ信号処理部530にて算出された接触部312の変位量と、をサンプリングする。
データサンプリング部620にてサンプリングされたデータは、形状解析部640に送られる。
【0105】
また、データサンプリング部620にて生成された接触検知信号は、プローブ駆動制御部540に送られる。接触検知信号を受けて、プローブ駆動制御部540により接触部312の退避動作(ST150〜ST180)が実行される。
まず、ST150において、法線ベクトル算出部541により、接触点における被測定物表面Sの法線ベクトルが算出される。
法線ベクトルは式(1)によって算出される。
算出された法線ベクトルNは、分配量算出部542に出力される。
【0106】
ST160において、算出された法線ベクトルNに基づいて分配量算出部542により三つのアクチュエータ441〜443のそれぞれの駆動量が算出される。
すなわち、接触部312を法線ベクトルNの方向へ移動させるために必要な各アクチュエータ441〜443の駆動量が算出される。算出された各アクチュエータ441〜443の駆動量は、アクチュエータ駆動部543に出力される。
【0107】
ST170において、アクチュエータ駆動部543は、分配量算出部542にて算出された各駆動量に応じてそれぞれのアクチュエータ441〜443に所定電圧を印加する。すると、ST180において、接触部312の退避動作が行われる(図15(D)参照)。すなわち、アクチュエータ駆動部543により各アクチュエータ441〜443に制御電圧が印加されると、各アクチュエータ441〜443が所定量駆動され、支持プレート420の傾斜が所定角度に変化する。
支持プレート420の傾斜とともにスタイラス311の角度が変化し、接触部312が法線ベクトルNの方向に変位する。
【0108】
また、接触検知信号を受けて、ST180においてタッチバック動作が実行される。すなわち、接触検知信号が移動ベクトル指令部630に出力されるところ、接触検知信号を受けて移動ベクトル指令部630によりタッチバック動作のベクトル指令が生成される。そして、このタッチバック動作のベクトル指令に基づいて駆動制御部510により駆動機構220が駆動制御されて接触プローブ300が接触点から離間する方向へ移動される(図15(E)参照)。
【0109】
タッチバック動作が終了したところで、ST200において、メモリ610に設定されたすべての測定ポイントが測定されているか判断される。総ての測定ポイントの測定が終了している場合(ST200:YES)、サンプリングされたデータに基づいて形状解析部640により被測定物の形状解析が行われる。
また、ST200において、総ての測定ポイントが測定されていない場合(ST200:NO)、次の測定ポイントへの移動が開始される(ST220)。
そして、総ての測定ポイントについて測定が終了するまでST110〜ST200が繰り返し実行される。
【0110】
このような第1実施形態によれば次の効果を奏することができる。
(1)スタイラス変位手段440を備えているので、被測定物表面Sに当接した際の押圧力によって測定子310が変位することの他に、アクチュエータ441〜443の駆動によっても測定子310を変位させることができる。したがって、接触プローブ300と被測定物とを相対移動させる駆動機構220の動作に関係なく、スタイラス変位手段440により測定子310を被測定物表面Sから離間させる向きに変位させることができる。よって、被測定物表面Sに接触部312を過剰に押し込むことがないので、測定の対象となる被測定物の表面を損傷することがない。
【0111】
(2)アクチュエータ441〜443は、支持プレート420の3点において応力を付与するので、支持プレート420を任意の傾斜にすることができ、測定子310を任意の方向へ変位させることができる。したがって、接触部312が被測定物表面Sに接触する方向性に関係なく、接触部312を被測定物表面Sに対して離間する方向に変位させることができる。
【0112】
(3)アクチュエータ441〜443は応答が速いので、所望のタイミングで測定子310を被測定物表面Sから離間させることができる。駆動機構220では慣性の影響を受けるので急停止することは難しいのに対し、アクチュエータ441〜443の応答が速いことにより接触部312が規定量以上に押し込まれる前に被測定物表面Sから接触部312を離間させることができる。したがって、被測定物表面Sおよび測定子310が損傷することを確実に防止することができる。
【0113】
(4)測定子310の軸線が支持プレート420の中心を通過しており、さらに、支持プレート420は円形であるので、この支持プレート420にて測定子310を支持することにより測定子310に異方性を与えることがなく、任意の方向から測定子310を変位させた場合でも同一の応力に対する測定子310の変位量を同じにすることができる。また、アクチュエータ441〜443は、支持プレート420の中心点を中心とする仮想円上に等間隔に配置されているので、測定子310を異方性なく任意の方向に変位させることができる。
【0114】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図16、図17を参照して説明する。
第2実施形態の基本的構成は第1実施形態と同じであるが、第2実施形態においては倣い測定を行う点に違いがある。
図16は、第2実施形態の構成を示すブロック図である。
図16において、モーションコントローラ500は、プローブ加振制御部560を備え、ホストコンピュータ600は倣いベクトル指令部670を備えている。
【0115】
プローブ加振制御部560は、接触プローブ300の各アクチュエータ441〜443に制御電圧を印加してアクチュエータ441〜443を駆動させ、接触部312を振動させる。
このとき、接触部312は被測定物表面Sを倣い測定するところ、接触部312の振動方向は倣い測定の際に接触部312が被測定物表面Sに接触する接触点における被測定物表面Sの法線方向である。
ここで、接触検知部550は、所定の基準押込量だけ接触部312が押し込まれたときに接触部312と被測定物表面Sとの接触を検知するところ、プローブ加振制御部560による接触部312の振動の振幅は、基準押込量よりも大きい。
接触部312の振動周波数については、接触プローブ300を構成するあらゆる固有周波数を避けた振動周波数とする。
また、被測定物表面Sの法線方向は、メモリ610に設定入力された被測定物の輪郭データに基づいて形状解析部640によって算出され、プローブ加振制御部560に出力される。
【0116】
倣いベクトル指令部670は、メモリ610に設定入力された被測定物の輪郭データおよび倣い測定の測定経路に基づいて接触プローブ300を被測定物表面Sに沿って倣い移動させる倣いベクトルを生成する。生成された倣いベクトルは駆動制御部510に出力される。
【0117】
このような構成を備える第2実施形態によって被測定物表面Sを倣い測定する動作について図17を参照して説明する。
図17は、接触プローブ300によって被測定物表面Sを倣い測定する様子を示す図である。
図17に示されるように、接触プローブ300が被測定物表面Sに沿って移動されていく。
なお、接触プローブ300を被測定物表面Sに沿って倣い移動させる倣いベクトルは倣いベクトル指令部670から駆動制御部510に出力され、倣いベクトル指令に基づいて駆動機構220が駆動制御される。
接触プローブ300が被測定物表面Sを倣い移動する際に、プローブ加振制御部560からの制御信号によって各アクチュエータ441〜443が駆動され測定子310が加振される。測定子310が加振されるところ、接触部312の振動方向は被測定物表面Sの法線方向である。すなわち、例えば、図17中の(B)においては、被測定物表面Sの法線方向がスタイラス311の軸方向であるので、測定子310はスタイラス311の軸方向に加振される。これに対して、例えば、図17中の(C)においては、被測定物表面Sが傾斜しており、被測定物表面Sの法線方向がスタイラス311に交差する方向であるが、被測定物表面Sの法線方向に接触部312が加振される。
【0118】
このように接触部312が加振された状態で被測定物表面Sを倣い走査するとき、接触部312と被測定物表面Sとの接触によって接触部312の振動が所定量以上おさえられたところで接触部312と被測定物表面Sとの接触が接触検知部550にて検知される。そして、接触検知部550において接触部312と被測定物表面Sとの接触が検知されたところで駆動カウンタ520およびプローブ信号処理部530で算出された駆動機構220の駆動量および接触部312の変位がサンプリングされる。このデータのサンプリングはデータサンプリング部620により行われる。予め設定された倣い測定の経路がすべて測定されると、サンプリングされたデータが形状解析部640に送られ、形状解析部640により被測定物表面Sの形状解析が行われる。
【0119】
このような構成を備える第2実施形態によれば、次の効果を奏することができる。
(5)倣い測定にあたって接触部312が被測定物表面Sをタッピングするので、接触部312と被測定物表面Sとの接触時間が短くなり、接触部312と被測定物表面Sとの摩擦を極めて小さくすることができる。そして、接触部312と被測定物表面Sとの摩擦が小さくなるので、測定によって被測定物表面Sが損傷することがない。
【0120】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、上記第1実施形態においてスタイラス変位手段440は、支持プレート420とハウジング部410の下端縁との間に配設された三つのアクチュエータ441〜443である場合を例にして説明したが、例えば、図18および図19に示されるように、支持プレート420の表裏面に伸縮量が異なる板材(あるいは薄膜)を貼設したバイモルフ型の構成であってもよい。このようなバイモルフ型のアクチュエータ441〜443は、支持プレート420の表裏に膜状の素子444を蒸着することによって形成することができる。そして、図19に示されるように、表裏の膜素子444にぞれぞれ電圧を印加することにより表裏からの応力によって支持プレート420を弾性変形させることができる。
【0121】
第1実施形態においては、タッチ測定において接触部312と被測定物表面Sとの接触が検知された際にスタイラス変位手段440によって接触部312を被測定物表面Sから離間させる方向へ移動させる場合について説明したが、このときスタイラス変位手段440による接触部312の変位量については1μm以下といった微小量でもよく、接触部312が被測定物表面Sから完全に離間するほどに接触部312を変位させなくてもよい。
例えば、図20に示すように、図20(A)の状態で接触部312と被測定物表面Sとの接触を検知した後、図20(B)にて接触部312を被測定物表面Sから退避動作させるとき、接触部312が被測定物表面Sから離間するほど大きく接触部312を退避させずに、図20(C)に示されるように接触部312と被測定物表面Sとの接触が保たれる範囲内で接触部312を退避動作させてもよい。この場合でも、接触部312と被測定物表面Sとの接触圧は減少するので、測定子310および被測定物表面Sの損傷を防止することができる。
【0122】
また、上記第2実施形態において、接触部312の振動振幅は、基準押込量よりも大きいとしたが、接触部312の振動振幅は基準押込量よりも小さくてもよい。
このように基準押込量よりも小さい振幅で接触部312を振動させると、接触部312は被測定物表面Sから離間することなく接触を保つことになるが、接触圧は周期的に減少するので、測定子310および被測定物表面Sへの負荷を軽減することができる。
【0123】
上記第1実施形態において、スタイラス変位手段440を構成するアクチュエータ441〜443を用いて接触部312を被測定物表面Sから退避させるとしたが、さらにアクチュエータ441〜443をアクティブバンパーとして用いてもよい。測定子310は板バネである支持プレート420によって支持されているところ、支持プレート420および測定子310の重量と弾性定数によって決定される固有振動数で測定子310は振動することになる。
ここで、測定子310が固有振動数で振動しているときに、アクチュエータ441〜443を駆動させて測定子310の振動を相殺させるようにすれば、測定子310の振動が抑制されて光センサ上の受光位置が安定する。その結果、測定子変位の検出精度が向上する。測定子310の振動を相殺するにあたっては、支持プレート420および測定子310の固有振動数であって測定子310の振動からわずかに位相をずらしたタイミングでアクチュエータ441〜443を駆動させることが例として挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、接触プローブおよび形状測定装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】第1実施形態において、接触プローブを用いた形状測定装置としての測定システムを示す図。
【図2】第1実施形態において、測定システムの構成を示すブロック図。
【図3】第1実施形態において、接触プローブの構成を示す斜視図。
【図4】第1実施形態において、接触プローブを垂直方向に切断した横断面図。
【図5】第1実施形態において、支持プレートの上面図。
【図6】第1実施形態において、光センサを受光面側から見た図。
【図7】第1実施形態において、プローブ信号処理部の構成を示す図。
【図8】第1実施形態において、接触部が+Z方向に変位した状態を示す図。
【図9】接触部が+Z方向に変位した際に光センサにて受光される光束を示す図。
【図10】接触部が+X方向に変位(揺動)した状態を示す図。
【図11】接触部が+X方向に変位した際に光センサにて受光される光束を示す図。
【図12】接触部が+Y方向に変位した状態を示す図。
【図13】接触部が+Y方向に変位した際に光センサにて受光される光束を示す図。
【図14】第1実施形態において、測定動作の手順を示すフローチャート。
【図15】第1実施形態において、測定動作の様子を示す図。
【図16】第2実施形態の構成を示すブロック図。
【図17】第2実施形態において、接触プローブによって被測定物表面を倣い測定する様子を示す図。
【図18】スタイラス変位手段の変形例を示す図。
【図19】スタイラス変位手段の変形例を示す図。
【図20】接触部を退避動作させる際の変形例を示す図。
【図21】接触プローブを利用した三次元測定機の構成を示す図。
【図22】接触プローブの構成を示す図。
【符号の説明】
【0126】
10…三次元測定機、11…接触プローブ、12…駆動機構、13…スタイラス、14…接触部、15…センサ本体部、100…測定システム、110…操作部、111…ジョイスティック、120…入力手段、130…出力手段、200…三次元測定機、210…定盤、220…駆動機構、221…ビーム支持体、222…ビーム、223…コラム、224…スピンドル、230…駆動センサ、300…接触プローブ、310…測定子、311…スタイラス、312…接触部、400…センサ本体部、410…ハウジング部、411…収納空間、412…シート材、420…支持プレート、421…補強板、422…切込み線、423…円弧部、424…直線部
430…変位検出手段、431…反射ミラー、432A…光源、432B…光源、432…照明光学系、433…光センサ、434…第1受光部、435…第2受光部、436…第3受光部、437…第4受光部、440…スタイラス変位手段、441…第1アクチュエータ、442…第2アクチュエータ、443…第3アクチュエータ、444…素子、500…モーションコントローラ、510…駆動制御部、520…駆動カウンタ、530…プローブ信号処理部、531A…バンドパスフィルタ、531B…バンドパスフィルタ、531…バンドパスフィルタ部、532A…復調回路、532B…復調回路、532…復調回路部、533 演算処理部、540…プローブ駆動制御部、541…法線ベクトル算出部、542…分配量算出部、543…アクチュエータ駆動部、550…接触検知部、560…プローブ加振制御部、600…ホストコンピュータ、610…メモリ、620…データサンプリング部、630…移動ベクトル指令部、640…形状解析部、650…中央処理部、660…バス、670…倣いベクトル指令部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物表面に当接する接触部を先端に有する測定子と、
前記測定子の変位を検出する検出センサと、
前記測定子の軸方向とは略直交して配置された弾性体のプレートであって前記測定子の基端側を支持する支持プレートと、
前記測定子を変位させる測定子変位手段と、を備え、
前記測定子変位手段は、
直線上にない3点以上において前記支持プレートに応力を付与してそれぞれの点における前記支持プレートの弾性変形量を変化させる応力付与手段を備える
ことを特徴とする接触プローブ。
【請求項2】
請求項1に記載の接触プローブにおいて、
前記支持プレートは、前記測定子の軸線が通る点を中心点とする円形であり、
前記応力付与手段は、前記支持プレートの中心点を中心とする仮想円上において等間隔に配備されている
ことを特徴とする接触プローブ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の接触プローブと、
前記接触プローブを被測定物に対して相対的に移動させて前記接触プローブを前記被測定物表面に対して当接または離間させる駆動機構と、
前記駆動機構の駆動量を検出する駆動センサと、
前記駆動機構および前記測定子変位手段を駆動制御する動作制御部と、
前記検出センサおよび前記駆動センサによる検出値に基づいて前記被測定物表面の形状を解析する解析手段と、を具備し、
前記動作制御部は、
前記被測定物表面に当接した前記接触部が前記被測定物表面から受ける測定圧によって生じる前記接触部の変位が予め設定された基準押込量に達したときに前記被測定物表面と前記接触部との接触を検知する接触検知部と、
前記接触検知部にて前記接触部と前記被測定物表面との接触が検知された際に前記測定子変位手段を駆動させて前記接触部と前記被測定物表面との接触圧が減少する方向に前記測定子を変位させるプローブ駆動制御部と、を備える
ことを特徴とする形状測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の形状測定装置において、
前記プローブ駆動制御部は、
前記検出センサにて検出された接触部の変位に基づいて接触点における被測定物表面の法線方向を算出する法線ベクトル算出部と、
前記法線ベクトル算出部にて算出された法線ベクトルの向きに前記接触部を変位させるために必要な各応力付与手段の駆動量を算出する分配量算出部と、
前記分配量算出部にて算出された各応力付与手段の駆動量に応じて各応力付与手段を駆動させる応力付与駆動部と、を備える
ことを特徴とする形状測定装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の接触プローブと、
前記接触プローブを被測定物表面に沿って相対移動させる駆動機構と、
前記駆動機構の駆動量を検出する駆動センサと、
前記駆動機構および前記測定子変位手段を駆動制御する動作制御部と、
前記検出センサおよび前記駆動センサによる検出値に基づいて前記被測定物表面の形状を解析する解析手段と、を具備し、
前記動作制御部は、
前記測定子変位手段を駆動させて前記接触部を前記被測定物表面の法線方向に振動させるプローブ加振制御部を備える
ことを特徴とする形状測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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