説明

接触型懸架電極を有する気体励起装置及び気体励起方法

【課題】ダスト付着やたわみの発生、又は保持壁面での沿面放電の発生を防止すると共に、比較的少量の低温プラズマやオゾンを均一に発生可能な気体励起装置及び気体励起方法を提供する。
【解決手段】気体励起装置は、交流電源と接続する少なくとも一対の電極を備え、一方がハウジング内の所定位置に張力を利用して配置される懸架電極11であり、もう一方がハウジング内の保持壁面に端部を埋め込まれて所定位置に配置される埋込電極61であり、埋込電極の電極部61Xが全体として線状又は平面状の放電部を有し、埋込電極の電極部と対向する懸架電極の電極部が、埋込電極の電極部との距離が周期的に近接する放電部を有し、各一対の懸架電極と埋込電極とが少なくとも1層の絶縁体層61Yを介してそれらの外表面を相互に接触させて配置されている。気体励起方法は、懸架電極と埋込電極の電極対を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触型懸架電極を有する気体励起装置及び気体励起方法に関する。
【背景技術】
【0002】
交流高圧放電条件下に気体を誘導して気体分子を励起し、低温プラズマを発生させる気体励起装置としては種々の装置が知られている(例えば、特許文献1や特許文献2)。こうした従来公知の気体励起装置の代表的な態様を図4に示す。図4は、気体励起装置Pのハウジング1の側壁の一部を切り欠いて示す模式的斜視図である。前記気体励起装置Pは、被処理気体Gの流入用開口部2と処理済み気体Cの排出用開口部3とを備えた大略直方体状のハウジング1を有し、前記ハウジング1の内部には、多数の円筒状保護電極6を備えている。前記の円筒状保護電極6は、図5の模式的断面図に示すとおり、棒状電極6Xと、その棒状電極6Xの周囲を包囲する円筒状鞘体6Yとを含み、前記の円筒状鞘体6Yは、絶縁体材料からなる。更に、前記の円筒状保護電極6は、2系列の電極群6A,6Bに分かれており、それぞれ電線9A,9Bに接続し、電線9A,9Bは交流電源9と接続している。また、一般的には、一方の系列の電極群6Bに接続する電線9Bは、接地(アース)されている。なお、図5に示すとおり、ハウジング1の内部において最も外側に配置され、ハウジング1の内壁と対向する各保護電極6Bは、それぞれ、ハウジング1の内壁との間で放電が発生しないように、アースされる電線9Bに接続するのが好ましい。原理的にはハウジング1それ自体や、前記電極群6Bをアースする必要はないが、安全上の観点からそれらをアースするのが好ましい。
【0003】
図4及び図5は、従来の気体励起装置の代表的な態様における電極配置構造などを示す目的のために、構成を単純化し、例えば、電極群の数も極端に減少して図示している。実際には、気体励起装置内に大量の電極群を配設する必要があるため、例えば、図6に示すように、ある程度の個数の電極群をまとめて含む電極群ブロック体Qの形態とし、それらのブロック体Qの複数個を気体励起装置内に配設する。なお、図6に示す電極群ブロック体Qは、円筒状保護電極6、左側板8A、右側板8B、中央支持板8C、及びリード線9A,9Bを含み、各円筒状保護電極6は、前記左側板8Aと前記右側板8Bとの中間に配置される中央支持板8Cに設けた貫通孔を貫通することによって保持されていると共に、前記左側板8Aの内側及び前記右側板8Bの内側の各表面にそれぞれ設けた非貫通孔の内部に端部を装入されることによって保持されている。
【0004】
また、従来の気体励起装置において、保護電極群と保護電極群との間で放電を発生させる方式に代えて、保護電極群と露出電極群との間で放電を発生させる方式も知られている。ここで、露出電極とは、保護電極における円筒状鞘体を用いずに、棒状又は円筒状電極を露出させた電極である。保護電極群と露出電極群との組合せを用いる方式の電極群ブロック体Q’の構造を模式的に図7に示す。この電極群ブロック体Q’では、露出電極5の群と保護電極6の群との間で放電を発生させる。露出電極5は、棒状電極が露出しており、保護電極6は、棒状芯電極6Xと円筒状鞘体6Yとを含む。露出電極5の群と保護電極6の群は、それらの中央部で中央支持板7Cの貫通孔によって保持されると共に、両端を1次保持体7で固定した後に、それら両端を更に液状樹脂に浸漬させてから樹脂を固化することによって、保持壁面7A,7Bで固定されている。
【0005】
図7に示す電極群ブロック体Q’では、露出電極5と棒状芯電極6Xとの間の放電特性が均一に保たれる限り、露出電極5の全対向面と棒状芯電極6Xの全対向面との間で均一な放電発生が保証される。しかしながら、被処理気体にはダストが含まれているため、電極表面に付着することがある。図8に示すように、特に、露出電極5Dの表面にダストDが付着すると、ダスト付着点が他の露出電極表面よりも放電を起こしやすい部位となるために、放電が集中し、その部位の早期破損の原因になる。また、均一放電が阻害され、励起装置としての機能が低下する。
【0006】
また、図7に示す電極群ブロック体Q’では、特に露出電極5が経年使用によって直線性を保持することが困難になり、例えば、図8の露出電極5Eのように、たわみが発生する。こうしたたわみが発生すると、それらの部分は、他の露出電極表面よりも放電を起こしやすい部位となるために、放電が集中し、その部位の早期破損の原因になる。また、均一放電が阻害され、励起装置としての機能が低下する。
【0007】
更に、図7に示す電極群ブロック体Q’において、特に、前記のダスト付着やたわみが発生しない場合であっても、保持壁面での沿面放電の発生という問題点があった。例えば、図8の露出電極5Fでは、保持壁面7A,7Bにおいて、露出電極5Fの埋込端部と保護電極6の埋込端部との間の壁面7D,7Eで沿面放電が発生し、同様に、中央支持板7Cにおいても、露出電極5Fの貫通口と露出電極5Fの貫通口と間の壁面7Fで沿面放電が発生する。保持壁面におけるこうした沿面放電は、保持壁面7A,7Bや中央支持板7Cの早期破損の原因になる。なお、こうした沿面放電は、ダスト付着露出電極5Dやたわみ発生露出電極5Eにおいても同様に発生する。従って、従来の気体励起装置、特に露出電極を用いる気体励起装置においては、前記問題点の解決が求められていた。
【0008】
これに対して、本発明者等は、前記問題点の解決手段として、張力を利用する懸架電極を既に提案しており、その1実施態様としてコイルバネ状電極を提案している(PCT/JP2006/310856;以下、「未公開先願特許文献1」と称する)。ここで、コイル状に巻いた電極を用いる放電技術それ自体は、従来から知られている。例えば、外周円筒電極と、その外周円筒電極の内側中心部に設けた丸棒状絶縁物に金属細線を巻き付けたスパイラル電極と、前記丸棒状絶縁物の中心に挿入した棒状中心電極とを備えたオゾン発生装置が知られている(特許文献3)。しかしながら、このオゾン発生装置で用いるスパイラル電極は、丸棒状絶縁物の外周表面に巻き付けて形成されており、スパイラル電極と、それに対向する外周円筒電極及び棒状中心電極との距離は一定であって変化することはなく、更に、スパイラル電極は、張力を利用して固定されるものではない。
【0009】
また、コイル状放電電極とプレート状対向電極とを有し、空気中の微生物を破壊又は不活性化させることができる殺菌装置が知られている(特許文献4)。しかしながら、この殺菌装置で用いるコイル状放電電極は、気体中の微生物が放電領域を通過する時間を長くする目的で用いるものであり、放電条件の均一化や沿面放電の低減、更には、張力の利用については全く触れていない。
【0010】
【特許文献1】特開平9−199261号公報
【特許文献2】米国特許第5,483,117号明細書
【特許文献3】特開2004−161509号公報
【特許文献4】特開2004−194875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記未公開先願特許文献1において本発明者等が開示した気体励起装置及び気体励起方法によれば、従来の気体励起装置、特に露出電極を用いる気体励起装置における前記問題点、例えば、ダスト付着やたわみの発生、あるいは沿面放電の発生という問題点を有効に解決することができる。特に、大型パチンコ店などの大型遊技施設店内において発生する紫煙含有汚染空気の浄化装置のように、大量の汚染空気を吸気口から装置内に吸引して処理し、再び施設内に戻す循環型浄化装置では、浄化装置内で比較的に大量の低温プラズマやオゾンを発生させる必要があるので、前記未公開先願特許文献1に記載の気体励起装置及び気体励起方法が非常に有効である。
【0012】
しかしながら、オフィースや駅構内の一角に設けた喫煙室用の浄化装置のように、比較的に狭い室内で発生する被処理空気を浄化装置内に吸引して処理し、再び喫煙室などの施設内に循環させる浄化装置の場合には、浄化装置内で大量の低温プラズマやオゾンを発生させて処理すると、むしろ被処理空気内で酸化が起きることがある。また、前記未公開先願特許文献1に記載の気体励起装置及び気体励起方法において、低温プラズマやオゾンの発生量を低下させるために、印加電圧を低下させると、種々の欠点が発生する。具体的には、放電が電極間の一部のみで発生し、放電を起こさない部分が現れるので、放電部分が点在することになる。また、点在する放電部分における放電の程度も、それぞれが異なり、不均一になる。しかも、放電部分においてフラッシングが発生し、放電自体が不安定化する。ちなみに、放電を起こさない部分が現れることは、使用されない部材やスペースが存在することを意味するので、このような無駄を省くために電極数を減少させて効率化を図ると、被処理空気が通過する空間が狭くなり、被処理空気を通過させる際の圧力損失が大きくなるため、送風エネルギーの増加を招く。
【0013】
従って、本発明の課題は、従来の気体励起装置、特に露出電極を用いる気体励起装置における前記問題点、例えば、ダスト付着やたわみの発生、あるいは保持壁面での沿面放電の発生という問題点を解決すると共に、前記未公開先願特許文献1に記載の気体励起装置及び気体励起方法において印加電圧を低下させる場合に発生する前記欠点を解消し、低い印加電圧の下でも、安定で均一な放電が可能な手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の課題は、本発明により、被処理気体の流入用開口部と処理済み気体の排出用開口部とを有するハウジング内に、交流電源と接続する少なくとも一対の電極を備える気体励起装置であって、
前記電極対の一方の電極が、前記ハウジング内の所定位置に張力を利用して配置される懸架電極であり、
前記電極対のもう一方の電極が、前記ハウジング内の保持壁面に端部を埋め込まれて所定位置に配置される埋込電極であり、
前記埋込電極の電極部が、全体として線状又は平面状の放電部を有し、
前記埋込電極の電極部と対向する前記懸架電極の電極部が、前記埋込電極の電極部との距離が周期的に近接する放電部を有し、そして
各一対の懸架電極と埋込電極とが、少なくとも1層の絶縁体層を介して、それらの外表面を相互に接触させて配置されている
ことを特徴とする、前記気体励起装置によって解決することができる。
【0015】
本発明による気体励起装置の好ましい態様によれば、前記埋込電極の電極部に対して、前記放電部が均一に分布する。
本発明による気体励起装置の別の好ましい態様によれば、前記電極対が、保護電極と保護電極との組合せであるか又は保護電極と露出電極との組合せである。
本発明による気体励起装置の更に別の好ましい態様によれば、前記保護電極が、芯電極とそれを包囲する絶縁体外被層とを有する。
本発明による気体励起装置の更に別の好ましい態様によれば、前記懸架電極が、全体が付勢手段からなる懸架電極であるか、あるいは両端又は一端に設けた張力付与手段部分と非付勢手段部分とからなる懸架電極である。
本発明による気体励起装置の更に別の好ましい態様によれば、前記懸架電極が、その両端部において懸架手段を介して前記ハウジングの保持壁面に着脱自在に固定されている。
本発明による気体励起装置の更に別の好ましい態様によれば、前記懸架電極と連結する懸架手段の一方に張力調整手段を有する。
本発明による気体励起装置の更に別の好ましい態様によれば、前記電極対において、前記懸架電極及び前記埋込電極が前記交流電源と接続する端部が、相互に反対側の端部に位置し、前記懸架電極及び/又は前記埋込電極の非接続端部に、放電可能な電極部を含まない非放電領域を有する。
本発明による気体励起装置の更に別の好ましい態様によれば、前記懸架電極と前記埋込電極との接触部に耐久性材料を用いる。
【0016】
また、本発明は、被処理気体の流入用開口部と処理済み気体の排出用開口部とを有すると共に、交流電源と接続する少なくとも一対の電極を備えるハウジング内に被処理気体を通過させ、前記電極対間に交流電位を印加することにより、被処理気体を励起する方法であって、
前記電極対の一方の電極が、前記ハウジング内の所定位置に張力を利用して配置される懸架電極であり、
前記電極対のもう一方の電極が、前記ハウジング内の保持壁面に端部を埋め込まれて所定位置に配置される埋込電極であり、
前記埋込電極の電極部が、全体として線状又は平面状の放電部を有し、
前記埋込電極の電極部と対向する前記懸架電極の電極部が、前記埋込電極の電極部との距離が周期的に近接する放電部を有し、そして
各一対の懸架電極と埋込電極とが、少なくとも1層の絶縁体層を介して、それらの外表面を相互に接触させて配置されている
ことを特徴とする、気体の励起方法にも関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、各一対の懸架電極と埋込電極とが、少なくとも1層の絶縁体層を介してそれらの外表面を相互に接触させて配置されているので、低い印加電圧の下でも、その接触面において沿面放電を安定かつ均一に発生させることができる。なお、本発明において前記接触面で積極的に発生させる沿面放電を、接触面沿面放電と称することがある。これは、従来技術における保持壁面での望ましくない沿面放電などと区別するためである。
【0018】
また、本発明によれば、張力を利用する懸架電極を用いるので、たわみの発生を完全に防止することができると共に、前記懸架電極の端部に張力調整手段を取り付けることにより、経年使用による張力変化を補正することもできる。更に、懸架電極と埋込電極とを接触させるので、放電部位における電極間距離が不均一になることを危惧する必要がなくなる。
【0019】
張力を利用する前記懸架電極では、中央支持板を用いる必要がないので、仮に、対向電極である埋込電極を中央支持板で保持した場合であっても、中央支持板における壁面での沿面放電は発生しない。また、前記懸架電極を保持壁面端部で懸架する場合に、少なくとも一方の保持壁面端部で、絶縁体材料からなる懸架手段を使用することができるので、連結部における沿面放電の発生を一層有効に低減することができる。
【0020】
更に、前記懸架電極の電極部は、前記埋込電極の電極部との距離が周期的に近接する放電部を有するので、ダスト付着による影響は確率的に大幅に減少し、ダスト付着による影響を実質的に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明装置の代表的な実施態様を添付図面に沿って説明する。
図1は、前記懸架電極として、全体が付勢手段からなる代表例であるコイルバネ状電極11を用いる場合の模式的説明図である。コイルバネ状電極11のコイルによって形成される円筒体の外側表面が、後述する保護電極61の円筒状外側表面と接触する。従って、コイルバネ状電極11のコイルは、1ターン毎に周期的に相当する所定位置で点状に保護電極61の円筒状外側表面と接触し、点状の接触点が、保護電極61の円筒状外側表面に軸線に平行な直線上に配置されることになる。図1には、こうして接触する3対のコイルバネ状電極11と保護電極61との組合せを示す。
【0022】
コイルバネ状電極11は、両端部11A,11Bに懸架用フック12A,12Bを備えている。これらの懸架用フック12A,12Bは、それぞれ、電極群を両端部で保持するための保持体21,22の壁面に設けた懸架用リング23A,23Bに掛け止めすることができる。なお、懸架手段としては、フックとリングとの組合せ以外にも、任意の手段を用いることができ、例えば、コイルバネ状電極11の両端部11A,11Bに懸架用リングを設け、保持体21,22の壁面に懸架用フックを設けることもできる。
【0023】
コイルバネ状電極11は、一方の端部12Aの側では電源と接続せず、もう一方の端部12Bの側で電源と接続する。例えば、電源と接続しない側の端部11Aでは、保持体21の貫通口に懸架用リング保持バー31を設け、一方の先端を保持体21の内側に突出させて懸架用リング23Aを備え、もう一方の端部に張力調整手段32を備えることができる。張力調整手段32は、例えば、懸架用リング保持バー31をその長さ方向にスライドさせる手段と、懸架用リング保持バー31を適当な位置で停止させることのできる係止手段とからなり、前記懸架用リング保持バー31の先端部に連結されている前記懸架用リング23Aを前進又は後退させることにより、コイルバネ状電極11の長さ方向の距離を変化させて張力を調製することができる。前記の懸架用リング保持バー31、その先端部に設ける懸架用リング23A及び張力調整手段32は、それぞれ絶縁性材料からなることが好ましい。
【0024】
電源と接続する側の端部11Bでは、導電性材料からなる懸架用リング保持バー33を、保持体22の貫通口に固定して設け、導電性材料からなる懸架用リング保持バー33は、導線34を介して電源(図示せず)と接続している。
【0025】
図1に示す本発明装置においては、前記懸架電極の対向電極として、保護電極61を用いる。この保護電極61の外側表面で、前記コイルバネ状電極11のコイルと、1ターン毎に周期的に接触している。保護電極61は、従来の気体励起装置に用いられている保護電極と同様に、棒状芯電極61Xと、その棒状芯電極61Xの周囲を包囲する円筒状鞘体61Yとを含み、前記の円筒状鞘体61Yは、絶縁体材料からなる。この保護電極61は、両端部を保持体21,22の壁面に埋設して保持されている。なお、本発明で用いる保持体は、樹脂製の充実体壁部だけでなく、ネット状壁部や編み物状壁部なども含まれる。従って、本明細書において「埋め込まれている」や、「埋設」、あるいは「埋込」は、固化樹脂体の中に埋め込まれている場合に限定されず、例えば、ネット体などの空隙部に保持されている場合も含まれる。しかしながら、張力を利用する固定は含まれない。
【0026】
保護電極61も、一方の端部61Aの側で電源と接続し、もう一方の端部61Bの側では電源と接続しない。ここで、図1に示すように、前記懸架電極11の端部11Aが電源と接続しない側の保持体21では、前記保護電極61の端部61Aを電源と接続させ、前記懸架電極11の端部11Bが電源と接続する側の保持体22では、前記保護電極61の端部61Bを電源と接続させない。なお、保護電極61の補助的保持手段として、中央支持板(図示せず:図7など参照)を用いることができる。しかしながら、保護電極の補助的保持として中央支持板を用いる場合でも、前記懸架電極はその中央保持板と接触させない。
【0027】
前記保護電極61において、電源と接続させる側の端部61Aでは、棒状芯電極61Xを保護電極61の端部61Aから外側へ突出させ、導線35を介して電源(図示せず)と接続させる。また、電源と接続させる側の端部61Aを保持する保持体21が、例えばネット体などからなる場合には、保持体21との接触面に絶縁性樹脂製リングを設けて、保持壁面での望ましくない沿面放電を低減するのが好ましい。一方、電源と接続させない側の端部61Bでは、円筒状鞘体6Yの内部に棒状芯電極61Xを設けない非放電領域62を設け、棒状芯電極61Xの端部と導線34との間隔を広げることが、保持壁面での望ましくない沿面放電を低減させる観点から好ましい。
【0028】
コイルバネ状電極11は、保持体21,22の壁面に対して内側に引き付ける方向に張力を付与するバネ(引っ張りバネ)である。従って、懸架状態での張力調整も簡単な操作で実施することができる。また、コイルバネ状電極11は、周期的にラセン状にターンして保護電極61の外側面と周期的に接触するので、前記コイルバネ状電極11と前記保護電極の棒状芯電極とは、円筒状鞘体6Yを介して両者の距離が近接する地点が周期的に形成される。そして、それらの周期的な接触近接地点を中心に接触面沿面放電が行われるので、集中放電の危険が回避され、全体としては均一な放電が可能になる。
【0029】
また、コイルバネ状電極11は、保持体21,22の両壁面間に着脱自在に懸架することができ、その懸架操作も極めて簡単である。懸架操作が簡単であることから、定期的な交換を前提にして気体励起装置を製造することが可能になり、例えば、コイルバネ状電極の線径を細くして、放電適性を向上させることができる。
【0030】
更に、従来技術と比較して、電極間距離を一定に維持する制御を行う必要が実質的になくなるため、電極保持体の寸法堅牢性への要求レベルが低下し、従って、従来技術で使用していた樹脂製保持壁を利用する必要がなくなる。そのため、装置の軽量化を実現することができる。
【0031】
全体が付勢手段からなる懸架電極としては、前記コイルバネ状電極、すなわち、線状バネ材料(例えば、ピアノ線)をコイル状(又はラセン状)に巻回して形成された引っ張りバネ電極の他に、例えば、帯状(又は長尺状)のバネ用材料(例えば、バネ鋼)をコイル状(又はラセン状)に巻回して形成された引っ張りバネの電極(以下、帯状体巻回電極と称する)を挙げることができる。この帯状体巻回電極においても、帯状長尺体が、周期的にラセン状にターンするので、保護電極の棒状芯電極との距離が近接する接触地点が周期的に形成され、それらの接触近接地点の分布が均一になるので、集中放電の危険が回避され、全体としては均一な接触面沿面放電が可能になる。
【0032】
図2は、本発明で用いることのできる懸架電極の別の実施態様(すなわち、両端又は一端に設けた張力付与手段部分と非付勢手段部分とからなる懸架電極)を模式的に示す説明図である。
この実施態様では、懸架電極の電極部としてネジ状電極13を用いる。ネジ状電極13のネジ山13Tによって形成される円筒体の外側表面が、後述する保護電極61の円筒状外側表面と接触する。従って、ネジ状電極13のネジ山13Tは、1ターン毎に周期的に相当する所定位置で点状に保護電極61の円筒状外側表面と接触し、点状の接触点が、保護電極61の円筒状外側表面に軸線に平行な直線上に配置されることになる。
【0033】
ネジ状電極13の両端部13A,13Bには、好ましくはネジ状電極13の中心軸の位置に、バネ連結用リング14A,14Bを備え、それぞれ張力付与手段としてのバネ部15,15の端部に設けたバネ連結用フック15A,15Aと着脱自在に連結される。更に、バネ部15,15は、もう一方の端部に、懸架用フック12A,12Bを備えている。これらの懸架用フック12A,12Bは、それぞれ、電極群を両端部で保持するための保持体21,22の壁面に設けた懸架用リング23A,23Bに着脱自在に掛け止めすることができる。
【0034】
前記ネジ状電極13も、一方の端部13Aの側では電源と接続せず、もう一方の端部13Bの側で電源と接続する。電源と接続しない側の端部13Aでは、前記バネ部15を介して、保持体21の貫通口に設けた懸架用リング保持バー31の懸架用リング23Aと連結し、前記懸架用リング保持バー31の先端部に設けた張力調整手段32によって張力を調製することができる。前記の懸架用リング保持バー31、その先端部に設ける懸架用リング23A及び張力調整手段32は、それぞれ絶縁性材料からなることが好ましい。
【0035】
電源と接続する側の端部13Bでは、導電性材料からなるバネ部15、導電性懸架用リング23B、及び導電性懸架用リング保持バー33を介して、電源(図示せず)と接続している。なお、前記懸架用リング保持バー33は、保持体22の貫通口に固定して設けられている。
【0036】
図2に示す態様の懸架電極の場合も、対向電極として用いる保護電極は、その一方の端部側で電源と接続し、もう一方の端部側では電源と接続しない。前記ネジ状電極13の電源非接続側端部の保持体21に、保護電極の電源接続側端部を設け、前記ネジ状電極13の電源接続側端部の保持体22に、保護電極の電源非接続側端部を設けるのが、保持壁面での望ましくない沿面放電を低減させる観点から好ましい。また、保護電極の補助的保持として中央支持板を用いる場合でも、前記ネジ状電極13はその中央保持板と接触させないことが、保持壁面での望ましくない沿面放電を低減させる観点から好ましい。更に、保護電極の電源非接続側端部では、棒状芯電極を設けない非放電領域を設けることが、望ましくない沿面放電を低減させる観点から好ましい。
【0037】
前記ネジ状電極13の両端に連結される前記バネ部15は、いずれも引き付ける方向に付勢するバネ(引っ張りバネ)であり、従って、前記ネジ状電極13を保持体21,22の壁面に対して内側に引き付ける方向に張力を付与する。また、懸架状態での張力調整も簡単な操作で実施することができる。前記ネジ状電極13は、ネジ山13Tが周期的にラセン状にターンして保護電極の外側面と周期的に接触するので、前記ネジ状電極13のネジ山13Tと前記保護電極の棒状芯電極とは、円筒状鞘体6Yを介して両者の距離が近接する地点が周期的に形成される。そして、それらの周期的な接触近接地点を中心に接触面沿面放電が行われるので、集中放電の危険が回避され、全体としては均一な放電が可能になる。また、懸架操作も極めて簡単であるため、前記コイルバネ状電極と同様の利点を有している。
【0038】
図2に示す前記ネジ状電極13において、その両端部13A,13Bに設けるバネ部15,15のいずれか一方を省略し、一方の端部13Aにバネ部15を設け、もう一方の端部13Bにはバネ部を設けないか、あるいは一方の端部13Aにバネ部15を設けず、もう一方の端部13Bにバネ部を設けることもできる。バネ部を設けない端部では、バネ連結用リング14A,14Bあるいは懸架用リング23A,23Bのいずれか一方を連結用フックに代えることによって、両者を直接に連結することができる。
【0039】
図3は、本発明で用いることのできる懸架電極の更に別の実施態様を模式的に示す説明図である。
この実施態様では、懸架電極の電極部として波板状電極17を用いる。この波板状電極17は、対向して用いる保護電極が平板状芯電極を有している場合に効果的である。波板状電極17において周期的に相互に平行に突出する帯状突出部17Tの頂上部によって形成される平面が、保護電極の平板状外側表面と接触する。従って、波板状電極17の帯状突出部17Tは、1周期毎に相当する所定位置で線状に保護電極の平板状外側表面と接触し、相互に平行な線状の接触点が、保護電極の平板状外側表面に配置されることになる。
【0040】
前記波板状電極17の両端部17A,17Bには、バネ連結用リング14A,14Bを備え、それぞれ張力付与手段としてのバネ部15,15の端部に設けたバネ連結用フック15A,15Aと着脱自在に連結される。更に、バネ部15,15は、もう一方の端部に、懸架用フック12A,12Bを備えている。これらの懸架用フック12A,12Bは、それぞれ、電極群を両端部で保持するための保持体21,22の壁面に設けた懸架用リング23A,23Bに着脱自在に掛け止めすることができる。
【0041】
前記波板状電極17も、一方の端部17Aの側では電源と接続せず、もう一方の端部17Bの側で電源と接続する。電源と接続しない側の端部17Aでは、前記バネ部15を介して、保持体21の貫通口に設けた懸架用リング保持バー31の懸架用リング23Aと連結し、前記懸架用リング保持バー31の先端部に設けた張力調整手段32によって張力を調製することができる。前記の懸架用リング保持バー31、その先端部に設ける懸架用リング23A及び張力調整手段32は、それぞれ絶縁性材料からなることが好ましい。
【0042】
電源と接続する側の端部17Bでは、導電性材料からなるバネ部15、導電性懸架用リング23B、及び導電性懸架用リング保持バー33を介して、電源(図示せず)と接続している。なお、前記懸架用リング保持バー33は、保持体22の貫通口に固定して設けられている。
【0043】
図3に示す態様の懸架電極の場合も、対向電極として用いる保護電極は、その一方の端部側で電源と接続し、もう一方の端部側では電源と接続しない。前記波板状電極17の電源非接続側端部の保持体21に、保護電極の電源接続側端部を設け、前記波板状電極17の電源接続側端部の保持体22に、保護電極の電源非接続側端部を設けるのが、保持壁面での望ましくない沿面放電を低減する観点から好ましい。また、保護電極の補助的保持として中央支持板を用いる場合でも、前記波板状電極17はその中央保持板と接触させないことが、望ましくない沿面放電を低減する観点から好ましい。更に、保護電極の電源非接続側端部では、棒状芯電極を設けない非放電領域を設けることが、望ましくない沿面放電を低減する観点から好ましい。
【0044】
前記波板状電極17の両端に連結される前記バネ部15は、いずれも引き付ける方向に付勢するバネ(引っ張りバネ)であり、従って、前記波板状電極17を保持体21,22の壁面に対して内側に引き付ける方向に張力を付与する。前記波板状電極17は、懸架状態での張力調整も簡単な操作で実施することができる。前記波板状電極17は、帯状突出部17Tが周期的に現れるので、前記保護電極の平板状芯電極との距離が近接する接触地点が周期的に形成される。そして、それらの周期的な接触近接地点を中心に接触面沿面放電が行われるので、集中放電の危険が回避され、全体としては均一な放電が可能になる。また、懸架操作も極めて簡単であるため、前記コイルバネ状電極と同様の利点を有している。
【0045】
図3に示す前記波板状電極17においても、その両端部17A,17Bに設けるバネ部15,15のいずれか一方を省略し、一方の端部17Aにバネ部15を設け、もう一方の端部17Bにはバネ部を設けないか、あるいは一方の端部17Aにバネ部15を設けず、もう一方の端部17Bにバネ部を設けることもできる。バネ部を設けない端部では、バネ連結用リング14A,14Bあるいは懸架用リング23A,23Bのいずれか一方を連結用フックに代えることによって、両者を直接に連結することができる。また、図3に示す前記波板状電極17においては、いずれか一方の端部17A,17Bにバネ部15を設けないことによって、前記波板状電極17の回転運動を有効に防止ないし軽減することができる。あるいは、前記波板状電極17の各端部17A,17Bに、幅方向に平行に複数(例えば、2つ)のバネ連結用リング14A,14Bを設け、保持体21,22の各壁面に平行に設けた複数の懸架用リング23A,23Bとの間を、複数の平行なバネ部15,15によって懸架することによって、対向して用いる保護電極の平板状芯電極との平行な接触状態を容易に維持することができる。
【0046】
本発明による気体励起装置において、懸架電極と埋込電極との電気対は、保護電極と保護電極との組合せであるか又は保護電極と露出電極との組合せであることができる。図1〜3に示すように、懸架電極として露出電極を用い、埋込電極として保護電極を用いるのが好ましい。また、懸架電極と埋込電極とをいずれも保護電極とすることもできる。懸架電極を保護電極とする場合は、例えば、コイルバネ状電極、ネジ状電極、又は波板状電極を絶縁体材料で被覆して絶縁体外被層とすることができる。絶縁体外被層は、例えば、ガラス質ウワグスリで前記電極表面を被覆し、焼成して形成することができる。
【0047】
本発明による気体励起装置において、保護電極は、その芯電極として、棒状、円柱状、円筒状、又は平板状であることができる。また、芯電極の周囲を包囲する絶縁体外被層は、例えば、ガラス質ウワグスリで前記電極表面を被覆し、焼成して形成した前記被覆層が好ましい。すなわち、保護電極の芯電極と絶縁体外被層との間に空気層を存在させず、両者を密着させることが好ましい。しかしながら、保護電極は、例えば、中空ガラス管とその中に設けた芯電極とからなることもできる。本発明において、懸架電極と埋込電極との接触部には、耐久性の優れた材料(例えば、雲母)を用いるのが好ましい。優れた耐久性を有する材料を接触部のみに設けるか、あるいは保護電極の絶縁体外被層として設けることができる。
【0048】
なお、前記懸架電極は、全体が付勢手段からなる懸架電極として、前記コイルバネ状電極又は前記帯状体巻回電極を挙げることができる。また、両端又は一端に設けた張力付与手段部分と非付勢手段部分とからなる懸架電極としては、前記ネジ状電極又は前記波板状電極に限定されず、例えば、多数の球体(楕球体を含む)を直線状に連結して形成した球体連結体を電極部とする球体連結体電極、あるいは、連結用貫通口を有する多数の球体(楕球体を含む)をヒモに通して形成した球体連結体を電極部とする球体連結体電極、円柱状中心軸の周囲表面にラセン状に1又は複数の綱状体を撚り合わせたワイヤーロープを電極部とするワイヤーロープ状電極、円柱状中心軸の周囲表面に突出フランジ部を一定間隔に配置した円柱体を電極部とする突出フランジ電極、帯状(又は長尺状)の電極用材料を幅方向にねじって形成したネジリ体を電極部とするネジリ電極、あるいはチェーン又は鎖を電極部とするチェーン/鎖電極などを用いることができる。また、それらを組み合わせて用いることもできる。
【0049】
本発明の気体励起装置においては、前記懸架電極、及びその懸架電極の懸架手段や連結手段を除き、従来公知の気体励起装置(例えば、前記の特開平9−199261号公報又は米国特許第5,483,117号明細書に記載の装置)において使用されている各部品をそのまま使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、交流高圧放電条件下に気体を誘導して気体分子を励起し、低温プラズマを発生させるにより、例えば、脱臭装置や空気浄化装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】コイルバネ状電極を用いる場合の本発明装置の模式的説明図である。
【図2】ネジ状電極を用いる場合の本発明装置の模式的説明図である。
【図3】波板状電極を用いる場合の本発明装置の模式的説明図である。
【図4】従来の気体励起装置のハウジングの側壁の一部を切り欠いて示す模式的斜視図である。
【図5】図4に示す従来の気体処理装置の模式的断面図である。
【図6】従来の気体処理装置において使用されている電極群ブロック体の模式的斜視図である。
【図7】保護電極群と露出電極群との組合せを用いる従来の電極群ブロック体の模式的斜視図である。
【図8】図7の電極群ブロック体の問題点を示す模式的斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1・・・ハウジング;2・・・流入用開口部;3・・・排出用開口部;
5・・・露出電極;5D・・・ダスト付着露出電極;
5E・・・たわみ発生露出電極;5F・・・露出電極;6・・・円筒状保護電極;
6A,6B・・・電極群;6L・・・第1電極群;6H・・・第2電極群;
6X・・・棒状電極(金属電極棒);6Y・・・円筒状鞘体(ガラス製鞘体);
7・・・1次保持体;7A,7B・・・保持壁面;
7C・・・中央支持板;7D,7E,7F・・・壁面;8A・・・左側板;
8B・・・右側板;8C・・・中央支持板;9・・・交流電源;
9A,9B・・・電線;11・・・コイルバネ状電極;
11A,11B・・・コイルバネ状電極端部;
12A,12B・・・懸架用フック12A;13・・・ネジ状電極;
13A,13B・・・ネジ状電極端部13A;13T・・・ネジ山;
14A,14B・・・バネ連結用リング;15・・・バネ部;
15A・・・バネ連結用フック;17・・・波板状電極;
17A,17B・・・波板状電極端部;17T・・・帯状突出部;
21,22・・・保持体21;23A,23B・・・懸架用リング;
31・・・懸架用リング保持バー;32・・・張力調整手段;
33・・・懸架用リング保持バー;34,35・・・導線;
61・・・保護電極;61A,61B・・・保護電極端部;
61X・・・棒状芯電極;61Y・・・円筒状鞘体;62・・・非放電領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理気体の流入用開口部と処理済み気体の排出用開口部とを有するハウジング内に、交流電源と接続する少なくとも一対の電極を備える気体励起装置であって、
前記電極対の一方の電極が、前記ハウジング内の所定位置に張力を利用して配置される懸架電極であり、
前記電極対のもう一方の電極が、前記ハウジング内の保持壁面に端部を埋め込まれて所定位置に配置される埋込電極であり、
前記埋込電極の電極部が、全体として線状又は平面状の放電部を有し、
前記埋込電極の電極部と対向する前記懸架電極の電極部が、前記埋込電極の電極部との距離が周期的に近接する放電部を有し、そして
各一対の懸架電極と埋込電極とが、少なくとも1層の絶縁体層を介して、それらの外表面を相互に接触させて配置されている
ことを特徴とする、前記気体励起装置。
【請求項2】
前記埋込電極の電極部に対して、前記放電部が均一に分布する請求項1に記載の気体励起装置。
【請求項3】
前記電極対が、保護電極と保護電極との組合せであるか又は保護電極と露出電極との組合せである、請求項1又は2に記載の気体励起装置。
【請求項4】
前記保護電極が、芯電極とそれを包囲する絶縁体外被層とを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の気体励起装置。
【請求項5】
前記懸架電極が、全体が付勢手段からなる懸架電極であるか、あるいは両端又は一端に設けた張力付与手段部分と非付勢手段部分とからなる懸架電極である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の気体励起装置。
【請求項6】
前記懸架電極が、その両端部において懸架手段を介して前記ハウジングの保持壁面に着脱自在に固定されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の気体励起装置。
【請求項7】
前記懸架電極と連結する懸架手段の一方に張力調整手段を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の気体励起装置。
【請求項8】
前記電極対において、前記懸架電極及び前記埋込電極が前記交流電源と接続する端部が、相互に反対側の端部に位置し、前記懸架電極及び/又は前記埋込電極の非接続端部に、放電可能な電極部を含まない非放電領域を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の気体励起装置。
【請求項9】
前記懸架電極と前記埋込電極との接触部に耐久性材料を用いる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の気体励起装置。
【請求項10】
被処理気体の流入用開口部と処理済み気体の排出用開口部とを有すると共に、交流電源と接続する少なくとも一対の電極を備えるハウジング内に被処理気体を通過させ、前記電極対間に交流電位を印加することにより、被処理気体を励起する方法であって、
前記電極対の一方の電極が、前記ハウジング内の所定位置に張力を利用して配置される懸架電極であり、
前記電極対のもう一方の電極が、前記ハウジング内の保持壁面に端部を埋め込まれて所定位置に配置される埋込電極であり、
前記埋込電極の電極部が、全体として線状又は平面状の放電部を有し、
前記埋込電極の電極部と対向する前記懸架電極の電極部が、前記埋込電極の電極部との距離が周期的に近接する放電部を有し、そして
各一対の懸架電極と埋込電極とが、少なくとも1層の絶縁体層を介して、それらの外表面を相互に接触させて配置されている
ことを特徴とする、気体の励起方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−140567(P2008−140567A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322988(P2006−322988)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000227250)日鉄鉱業株式会社 (82)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【Fターム(参考)】