接触検出装置、記録表示装置、及びプログラム
【課題】正接触と誤接触とを高精度に判定する接触検出装置、記録表示装置、及びプログラムを提供する。
【解決手段】特徴情報と上記ステップ114Aの処理で取得された誤接触特徴情報とを比較すると共に、特徴情報としての軌跡内の接触点の個数に対して付与されている重みと予め定められた重みとの比較も行い(ステップ114C)、特徴情報としての軌跡内の接触点の個数に付与された重みと予め定められた重みとが比較された結果として、特徴情報としての軌跡内の接触点の個数に対して付与されている重みが予め定められた重み未満であるか否かを判定し、肯定判定となった場合には、特徴情報と誤接触特徴情報とが比較された結果として、特徴情報が誤接触特徴情報に相当するか否かを判定する(ステップ114D)。
【解決手段】特徴情報と上記ステップ114Aの処理で取得された誤接触特徴情報とを比較すると共に、特徴情報としての軌跡内の接触点の個数に対して付与されている重みと予め定められた重みとの比較も行い(ステップ114C)、特徴情報としての軌跡内の接触点の個数に付与された重みと予め定められた重みとが比較された結果として、特徴情報としての軌跡内の接触点の個数に対して付与されている重みが予め定められた重み未満であるか否かを判定し、肯定判定となった場合には、特徴情報と誤接触特徴情報とが比較された結果として、特徴情報が誤接触特徴情報に相当するか否かを判定する(ステップ114D)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触検出装置、記録表示装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入力面の所定箇所を押圧された際に、その押圧位置に対応した座標データを順次取り込み、その取り込んだ座標データのうち、有効データのみを出力する座標入力装置において、所定条件下での手書き入力によって得られる座標データを一定のタイミングで取り込みつつ、それぞれ3個の座標データを順に用いて第2の座標データと第3の座標データ間の移動距離、及び第1の座標データと第2の座標データ間の直線軸と第2の座標データと第3の座標データ間の直線軸とがなす角度変化量を求めると共に、個々に求めた移動距離及び角度変化量の度数を累計し、これによって得られた累計度数を参照しつつ、予め規定された角度変化基準値とこれに対応する移動距離とを有効データ判定用のしきい値として設定する初期設定処理を行い、通常の入力操作時には、筆記直後に得られた最初の座標データとその直後に入力された2個の座標データとを用いて第1の座標データと第2の座標データ間の移動距離、及び第1の座標データと第2の座標データ間の直線軸と第2の座標データと第3の座標データ間の直線軸とがなす角度変化量をそれぞれ算出するとともに、その算出結果と初期設定処理によって設定された有効データ判定用のしきい値とを比較し、算出結果の少なくともいずれか一方がしきい値以内であるときに筆記直後の第1の座標データを有効データとして出力する入力データ処理を行うことを特徴とする座標入力装置のデータ処理方法が開示されている。
【0003】
特許文献2には、複数の画素にフォトセンサを有するタッチパネルと画像処理部とを有し、フォトセンサが、タッチパネルと対象物との接触画像を生成し、画像処理部が、接触画像の色情報から接触部分の面積を算出し、面積に基づいてタッチパネルへの入力及び非入力の判定を行う表示装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、表示装置と一体になったタブレットを備え、手書き入力枠にペンで手書き入力を行う手書きペン入力装置において、手書き入力枠を表示する手書き入力枠表示手段と、タブレットに入力された座標を認識する入力座標認識手段と、手書き入力枠毎に対応して設定される領域であって、ペンを持つ手がタブレットに接触するために行われる誤入力を無効とする入力無効領域を設定する入力無効領域設定手段と、を備え、入力無効領域に入力された座標データを無効とすることを特徴とする電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−110830号公報
【特許文献2】特開2011−70658号公報
【特許文献3】特開平9−44293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、正接触と誤接触とを高精度に判定する接触検出装置、記録表示装置、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の接触検出装置を、予め定められた被接触面に対して二次元状に対応付けられ、各々該被接触面に対する物体の接触を検出する複数の検出素子と、前記複数の検出素子の検出結果に基づいて、物体が前記被接触面に接触することによって描かれる軌跡の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段と、前記生成手段によって生成された特徴情報が、物体が前記被接触面に特定接触を行うことによって描かれる軌跡の特徴を示すと共に予め登録された特定接触特徴情報に相当するか否かを判定する判定手段と、を含んで構成した。
【0008】
請求項1に記載の接触検出装置を、請求項2に記載の発明のように、前記特定接触を、前記被接触面に対する正しい接触として予め定められた正接触又は前記被接触面に対する誤った接触として予め定められた誤接触としたものとした。
【0009】
請求項1又は請求項2に記載の接触検出装置を、請求項3に記載の発明のように、前記軌跡を識別する識別情報を該軌跡に対応付ける対応付け手段を更に含み、前記判定手段が、前記識別情報により識別される軌跡毎に、前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当するか否かを判定するものとした。
【0010】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の接触検出装置を、請求項4に記載の発明のように、前記判定手段の判定結果に基づいて前記被接触面に対する前記特定接触を表す前記軌跡を特定する特定手段を更に含んで構成したものとした。
【0011】
請求項4に記載の接触検出装置を、請求項5に記載の発明のように、前記特定手段が、予め定められた期間内に前記判定手段により、前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当すると判定された回数に基づいて、前記被接触面に対する前記特定接触を表す前記軌跡を特定するものとした。
【0012】
請求項5に記載の接触検出装置を、請求項6に記載の発明のように、前記特定手段が、前記予め定められた期間内に、前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当すると前記判定手段により判定された回数が前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当しないと前記判定手段により判定された回数よりも多い場合に、該予め定められた期間内の前記被接触面における前記軌跡を前記特定接触を表す軌跡として特定するものとした。
【0013】
請求項5又は請求項6に記載の接触検出装置を、請求項7に記載の発明のように、前記予め定められた期間を、物体が前記被接触面に接触してから該被接触面から離れるまでの期間としたものとした。
【0014】
請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の接触検出装置を、請求項8に記載の発明のように、前記特徴情報を、前記軌跡の大きさを表す大きさ情報、前記軌跡の大きさのばらつきの度合いを表す度合い情報、及び物体が前記被接触面に継続して接触している時間に基づいて導出された継続時間依拠情報の少なくとも1つとしたものとした。
【0015】
請求項8に記載の接触検出装置を、請求項9に記載の発明のように、前記大きさ情報を、前記軌跡の面積及び前記軌跡の長さの少なくとも1つを示す情報とし、前記度合い情報を、前記軌跡の面積の分散若しくは標準偏差を示す軌跡面積統計情報、及び前記軌跡の長さの分散若しくは標準偏差を示す軌跡長統計情報の少なくとも1つとし、前記継続時間依拠情報を、前記軌跡の個数を示す軌跡個数情報としたものとした。
【0016】
請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の接触検出装置を、請求項10に記載の発明のように、前記判定手段が、前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当するか否かを、前記特定接触特徴情報を含んで構成された決定木を用いて判定するものとした。
【0017】
請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の接触検出装置を、請求項11に記載の発明のように、前記軌跡に対して接触時間に応じた重みを付与する付与手段を更に含み、前記判定手段が、更に、前記付与手段によって付与された重みが予め定められた重み以上であるか否かを判定するものとした。
【0018】
一方、上記目的を達成するために、請求項12に記載の接触検出装置を、予め定められた被接触面に対して二次元状に対応付けられ、各々該被接触面に対する物体の接触を検出する複数の検出素子と、前記複数の検出素子の検出結果に基づいて、物体が前記被接触面に接触することによって描かれる軌跡の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段と、前記生成手段によって生成された特徴情報が、物体が前記被接触面に特定接触を行うことによって描かれる軌跡の特徴を示すと共に予め登録された特定接触特徴領域に含まれるか否かを判定する判定手段と、を含んで構成した。
【0019】
一方、上記目的を達成するために、請求項13に記載の記録表示装置を、請求項1〜請求項12の何れか1項に記載の接触検出装置と、前記接触検出装置が画面上に重ねて設けられ、該画面に前記接触検出装置での検出結果に応じた画像を表示する表示手段と、を含んで構成した。
【0020】
請求項13に記載の記録表示装置を、請求項14に記載の発明のように、 前記判定手段の判定結果に基づいて特定された軌跡に対応する位置に表示された画像を前記画面から消去する消去手段を更に含んで構成したものとした。
【0021】
一方、上記目的を達成するために、請求項15に記載のプログラムを、予め定められた被接触面に対して二次元状に対応付けられ、各々該被接触面に対する物体の接触を検出する複数の検出素子を含む接触検出装置を制御するコンピュータを、前記複数の検出素子の検出結果に基づいて、物体が前記被接触面に接触することによって描かれる軌跡の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段、及び、前記生成手段によって生成された特徴情報が、物体が前記被接触面に特定接触を行うことによって描かれる軌跡の特徴を示すと共に予め登録された特定接触特徴情報に相当するか否かを判定する判定手段として機能させるためのものとした。
【0022】
一方、上記目的を達成するために、請求項16に記載のプログラムを、予め定められた被接触面に対して二次元状に対応付けられ、各々該被接触面に対する物体の接触を検出する複数の検出素子を含む接触検出装置を制御するコンピュータを、前記複数の検出素子の検出結果に基づいて、物体が前記被接触面に接触することによって描かれる軌跡の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段、及び、前記生成手段によって生成された特徴情報が、物体が前記被接触面に特定接触を行うことによって描かれる軌跡の特徴を示すと共に予め登録された特定接触特徴領域に含まれるか否かを判定する判定手手段として機能させるためのものとした。
【発明の効果】
【0023】
請求項1、請求項12、請求項13、請求項15及び請求項16に係る発明によれば、被接触面に対して二次元状に対応付けられた複数の検出素子の検出結果に基づいて、物体が被接触面に接触してから被接触面から離れるまでの軌跡の特徴を示す特徴情報を生成し、生成された特徴情報により示される特徴が、予め登録された特定接触による軌跡の特徴に相当するか否かを判定する構成を有しない場合に比べ、正接触と誤接触とが高精度に判定される、という効果が得られる。
【0024】
請求項2に係る発明によれば、特定接触を、被接触面に対する正しい接触として予め定められた正接触又は被接触面に対する誤った接触として予め定められた誤接触とした構成を有しない場合に比べ、正接触と誤接触とがより一層高精度に判定される、という効果が得られる。
【0025】
請求項3に係る発明によれば、軌跡に識別情報を対応付け、識別情報により識別される軌跡毎に、特徴情報が特定接触特徴情報に相当するか否かを判定し、識別情報により識別される軌跡毎に、判定結果に基づいて被接触面に対する特定接触を表す軌跡を特定する構成を有しない場合に比べ、正接触を表す軌跡と誤接触を表す軌跡との識別性の向上に寄与する、という効果が得られる。
【0026】
請求項4に係る発明によれば、前記判定手段の判定結果に基づいて前記被接触面に対する前記特定接触を表す前記軌跡を特定する特定手段を更に含む構成を有しない場合に比べ、正接触と誤接触とが高精度に特定される、という効果が得られる。
【0027】
請求項5に係る発明によれば、予め定められた期間内に特徴情報が特定接触特徴情報に相当すると判定された回数に基づいて、被接触面に対する特定接触を表す軌跡を特定する構成を有しない場合に比べ、正接触と誤接触とがより一層高精度に特定される、という効果が得られる。
【0028】
請求項6に係る発明によれば、予め定められた期間内に特徴情報が特定接触特徴情報に相当すると判定された回数が、特徴情報が特定接触特徴情報に相当しないと判定された回数よりも多い場合に、予め定められた期間内の被接触面における軌跡を特定接触を表す軌跡として特定する構成を有しない場合に比べ、正接触と誤接触とがより一層高精度に特定される、という効果が得られる。
【0029】
請求項7に係る発明によれば、予め定められた期間を、物体が被接触面に接触してから被接触面から離れるまでの期間とする構成を有しない場合に比べ、効率的な処理の実現に寄与する、という効果が得られる。
【0030】
請求項8に係る発明によれば、特徴情報を、軌跡の大きさを表す大きさ情報、軌跡の大きさのばらつきの度合いを表す度合い情報、及び物体が被接触面に継続して接触している時間に基づいて導出された継続時間依拠情報の少なくとも1つとする構成を有しない場合に比べ、正接触と誤接触とがより一層高精度に判定される、という効果が得られる。
【0031】
請求項9に係る発明によれば、大きさ情報を、軌跡の面積及び軌跡の長さの少なくとも1つを示す情報とし、度合い情報を、軌跡の面積の分散若しくは標準偏差を示す軌跡面積統計情報、及び軌跡の長さの分散若しくは標準偏差を示す軌跡長統計情報の少なくとも1つとし、継続時間依拠情報を、軌跡の個数を示す軌跡個数情報とする構成を有しない場合に比べ、正接触と誤接触とがより一層高精度に判定される、という効果が得られる。
【0032】
請求項10に係る発明によれば、特徴情報が特定接触特徴情報に相当するか否かを、特定接触特徴情報を含んで構成された決定木を用いて判定する構成を有しない場合に比べ、接触と誤接触とがより一層高精度かつ容易に判定される、という効果が得られる。
【0033】
請求項11に係る発明によれば、軌跡に対して接触時間に応じた重みを付与し、付与された重みが予め定められた重み以上であるか否かを判定する構成を有しない場合に比べ、正接触と誤接触とがより一層高精度に判定される、という効果が得られる。
【0034】
請求項12に係る発明によれば、特定された軌跡に対応する位置に表示された画像を画面から消去する構成を有しない場合に比べ、画面に表示された情報の可読性が向上する、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施の形態に係る液晶ペンタブレットの外観を示す概略斜視図である。
【図2】実施の形態に係る記録表示装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る接触検出処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態に係る液晶ペンタブレットに描画される一単位の軌跡の規定方法を示す模式図である。
【図5】実施の形態に係る誤接触判定処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態に係る液晶ペンタブレットで用いられる決定木の構成要素としての軌跡の長さの分散及び接触面積の相関関係を示す図である。
【図7】実施の形態に係る液晶ペンタブレットで用いられる決定木の構成要素としての接触面積の分散及び軌跡の長さの分散の相関関係を示す図である。
【図8】実施の形態に係る液晶ペンタブレットで用いられる決定木の構成要素としての軌跡内の接触点の個数及び軌跡の長さの分散の相関関係を示す図である。
【図9】実施の形態に係る液晶ペンタブレットで用いられる決定木による判定方法の一例を示すコード図である。
【図10】実施の形態に係る液晶ペンタブレットにおいて誤接触による軌跡を消去する処理の一例を示す模式図である。
【図11】実施の形態に係る液晶ペンタブレットにおいて誤接触による軌跡を変色する処理の一例を示す模式図である。
【図12】実施の形態に係る液晶ペンタブレットにおいて複数の軌跡に対して並行して接触検出処理を実施する場合の経時的な概念を示す概念図である。
【図13】実施の形態に係る接触検出処理プログラムの処理の流れの変形例を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態に係る液晶ペンタブレットの誤接触判定処理で用いられるテーブルの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための実施の形態の一例について詳細に説明する。
【0037】
図1は、本実施の形態に係る液晶ペンタブレット10の外観を示す概略斜視図である。図1に示すように、液晶ペンタブレット10は、タッチパネル・ディスプレイ12を有する記録表示装置14、及びペン型の入力機器であるスタイラスペン16を含んで構成されている。
【0038】
図2は、本実施の形態に係る記録表示装置14の電気系の要部構成を示すブロック図である。図2に示すように、記録表示装置14は、タッチパネル・ディスプレイ12、システムコントローラ18、メモリ20及び制御部22を含んで構成されている。
【0039】
タッチパネル・ディスプレイ12は、タッチパネル12A及び液晶ディスプレイ(LCD)12Bを備えている。具体的には、LCD12B上に透過型のタッチパネル12Aが重ねられて構成されており、タッチパネル12Aはユーザによって触れられることによりユーザの指示を受け付け、LCD12Bは各種情報を表示面(画面)に表示する。
【0040】
本実施の形態に係るタッチパネル12Aは、静電容量の変化を捉えて接触及び非接触を検出する静電容量方式のタッチパネルであり、LCD12Bの画素の各々の位置に対応するようにタッチパネル12Aの所定面(例えば表面又は裏面)に対して二次元状(一例としてマトリクス状)に対応付けられて配置された複数の検出素子の一例である複数の静電容量素子(一例としてコンデンサ)24を有する。静電容量素子24では、スタイラスペン16、指、手などの物体が近付くと静電結合が起き、これによってタッチパネル12Aに対する物体の接触を検出する。なお、静電容量方式のタッチパネルは一例であり、電磁誘導方式のタッチパネル、赤外線方式のタッチパネル、表面弾性波方式のタッチパネル、抵抗膜方式のタッチパネルなどであっても良く、接触点が検出されるタッチパネルであれば如何なるものであっても良い。
【0041】
システムコントローラ18は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)を含んで構成されており、予め定められた制御プログラムを実行することにより記録表示装置14全体の動作を制御する。メモリ20は、RAM(Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)及び二次記憶部(例えばフラッシュメモリ)を含んで構成されている。RAMは、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる揮発性の記憶素子であり、ROMには、後述する誤接触特徴情報や各種プログラム、各種パラメータ、各種テーブル情報等が予め記憶されている。二次記憶部は、液晶ペンタブレット10の電源スイッチが切られても保持しなければならない各種情報を記憶する不揮発性の記憶媒体である。
【0042】
制御部22は、CPU(システムコントローラ18に含まれるCPUとは異なるCPU)を含んで構成されており、タッチパネル12A、LCD12B、システムコントローラ18、及びメモリ20に接続されている。従って、制御部22は、システムコントローラ18の指示下で、メモリ20から読み出した各種プログラムや各種パラメータ、各種テーブル情報等に基づいて、タッチパネル12Aに対するユーザの指示内容の把握と、メモリ20から読み出した情報(画像、文字、図柄、記号などを示す情報を含む)のLCD12Bへの表示と、タッチパネル12Aに対するユーザの指示内容に応じた各種情報(画像、文字、図柄、記号などを示す情報を含む)のLCD12Bへの表示と、を各々行う。
【0043】
上記のように構成された液晶ペンタブレット10では、タッチパネル12Aによって検出された接触によってタッチパネル12A上に軌跡(接触跡(ストローク))が描かれると、描かれた軌跡の構成要素である接触点を特定する座標情報(例えばタッチパネル12A上の予め定められた1点を原点とした場合の静電容量素子24の位置を特定する二次元座標を示す情報)がメモリ20の予め定められた記憶領域αに記憶され、記憶領域αに記憶された座標情報により特定される軌跡(タッチパネル12A上に描かれた軌跡に相当する軌跡)が制御部22によってLCD12Bの画面に表示される。
【0044】
ところで、タッチパネル12Aによって検出される接触は、液晶ペンタブレット10によって記録されるべき情報を入力するための接触(正接触)と液晶ペンタブレット10によって記録されるべきでない情報を誤入力してしまう接触(誤接触)とに大別される。
【0045】
しかし、従来は、正接触と誤接触とを高精度に区別する技術が存在していなかったため、誤接触であっても正接触として認識され、正接触であっても誤接触として認識される場合があった。そのため、LCD12Bの画面に意図しない情報が表示されたり、意図しない情報が非表示されたりすることがあった。
【0046】
そこで、本実施の形態に係る液晶ペンタブレット10では、タッチパネル12Aに対する物体の接触を検出すると共に誤接触を高精度に特定する接触検出処理を実行している。
【0047】
本実施の形態に係る液晶ペンタブレット10では、接触検出処理を実現するための各種処理がソフトウェア構成によって実現される。その一例としては、コンピュータを利用してプログラムを実行する形態が挙げられる。しかし、このようなソフトウェア構成による実現に限られるものではなく、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現しても良いことは言うまでもない。
【0048】
以下では、本実施の形態に係る液晶ペンタブレット10の制御部22が接触検出処理プログラムを実行することにより接触検出処理を実現する場合について説明する。この場合、接触検出処理プログラムをメモリ20のROM領域に予め記憶させておく形態や、記憶内容がコンピュータによって読み取られる記録媒体に記憶された状態で提供される形態、有線または無線による通信手段を介して配信される形態等を適用しても良い。
【0049】
図3は、本実施の形態に係る接触検出処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、錯綜を回避するために、接触検出処理プログラムが制御部22によって所定時間(ここでは一例として20ms)毎に実行される場合を例に挙げて説明する。また、ここでは、錯綜を回避するために、タッチパネル12Aに対するスタイラスペン16による接触を正接触とし、タッチパネル12Aに対するスタイラスペン16による接触以外の接触(例えば指や手などによる接触)を誤接触とする場合について説明する。また、本明細書中で使用する「軌跡」との文言は、タッチパネル12Aに対して物体が接触したときの一連の接触点を意味しており、タッチパネル12Aに対しての継続した接触により得られる二次元座標上で連続した複数の座標点の集合という概念の他、タッチパネル12Aの1点に対して接触したときの1つの接触点という概念も含まれる。また、ここで言う「継続」との概念には、「時系列的に連続」との概念に加え、「同時」との概念も含まれる。従って、タッチパネル12Aにおける二次元座標上で連続した複数の点の集合に対して物体が同時に接触した場合にはそれらの点は一単位の軌跡の構成要素として取り込まれる。
【0050】
図3のステップ100では、タッチパネル12Aに対する物体の接触を検出したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ102に移行する。なお、ステップ100の処理で検出された接触点は一単位の軌跡の構成要素とされる。例えば、本実施の形態では20ms毎に本接触検出処理プログラムを実行するので、図4に示すように、タッチパネル・ディスプレイ12に対して「Z」との文字を表示するためにタッチパネル12Aに対してスタイラスペン16によって「Z」との文字を一筆書きした場合、スタイラスペン16のペン先の接触は20ms間隔で検出される。図4に示す例では、「Z」との文字を描く間に5点の接触が検出される態様が模式的に示されているが、これらの点の各々が所定時間(20ms)間隔で検出される。また、ステップ100にて、複数の接触点が検出された場合はそれらの接触点は各々独立した一単位の軌跡の構成要素として取り扱われる。
【0051】
ステップ102では、上記ステップ100の処理で検出された接触点の位置を特定する座標情報を取得した後、ステップ104に移行する。ステップ104では、タッチパネル12Aに対する物体の非接触が検出された軌跡がないか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ106に移行する。つまり、本ステップ104では、今回の接触検出処理プログラムが実行される前からタッチパネル12Aに対しての継続した接触がある場合に、その接触が解除されていないか(タッチパネル12Aから物体が離れることによって軌跡が途切れていないか)否かを判定しており、肯定判定となった場合(今回の接触検出処理プログラムが実行される前からタッチパネル12Aに対しての継続した接触がなかった場合も含む)はステップ106に移行する。
【0052】
ステップ106では、今回の接触検出処理プログラムが実行されることにより新たな接触が検出されていないか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ108に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ110に移行する。ここで言う「新たな接触」が検出される状態(ステップ106が否定判定となる場合)とは、接触点の遷移速度が予め定められた遷移速度を超えた状態のことを意味し、例えば、初めてある接触点に物体が触れた場合は接触点の遷移速度が予め定められた遷移速度を超えた状態にあると言える。逆に、「新たな接触」が検出されない状態(ステップ106が肯定判定となる場合)とは、接触点の遷移速度が予め定められた遷移速度以下の状態のことを意味し、例えば、タッチパネル12Aに対する接触が継続している場合は予め定められた遷移速度以下の状態にあると言える。
【0053】
ステップ108では、上記ステップ100の処理で検出された接触によってタッチパネル12A上に描かれる軌跡に対して固有の識別情報の一例であるポインタIDを付与した後、ステップ110に移行する。この場合、例えば、上記ステップ100の処理によって初めて検出された接触により特定される軌跡に対して1つのポインタIDが付与され、上記ステップ100の処理によって初めて検出された接触により特定される軌跡が複数存在すれば軌跡毎に各々一意に定められたポインタIDが付与される。よって、タッチパネル12Aの複数の箇所に対して複数の物体が同時に接触した場合であっても個々の接触による各軌跡がポインタIDによって特定されることになる。
【0054】
ステップ110では、軌跡毎に付与されたポインタIDに対応させて時系列順に上記ステップ102の処理で取得された座標情報をメモリ20の記憶領域αに記憶する。例えば、座標情報とこの座標情報を取得した時刻を示す時刻情報とを対応させてポインタID単位で記憶領域αに記憶する。
【0055】
次のステップ112では、現時点で記憶領域αに記憶されている座標情報をポインタID毎に取得し、取得したポインタID毎の座標情報から、軌跡の特徴を示す特徴情報をポインタID毎に導出し、導出した特徴情報をポインタID毎に時系列順に記憶領域αに記憶する。特徴情報としては、例えば、現時点の軌跡の大きさを表す大きさ情報、現時点の軌跡の大きさのばらつきの度合いを表す度合い情報、及び現時点の軌跡が描かれるための接触の継続時間に基づいて導出された継続時間依拠情報が挙げられる。例えば、大きさ情報としては、現時点でタッチパネル12Aに含まれる接触点を構成要素としている軌跡の面積及び軌跡の長さ(ここでは一例として二次元座標から導出される接触点の移動距離)が挙げられ、度合い情報としては、現時点でタッチパネル12Aに含まれる接触点を構成要素としている軌跡の面積の分散及び軌跡の長さの分散が挙げられ、継続時間依拠情報としては、現時点でタッチパネル12Aに含まれる接触点を構成要素としている軌跡(1ストローク)内の接触点の個数が挙げられる。本実施の形態では、一例として、大きさ情報として軌跡の面積を適用し、度合い情報として軌跡の面積の分散及び軌跡の長さの分散を適用し、継続時間依拠情報として軌跡内の接触点の個数を適用している。なお、ここで言う軌跡内の接触点の個数には、1点に対する接触であっても20ms毎に1個としてカウントされる。また、軌跡の面積の分散及び軌跡の長さの分散については、スタイラスペン16による接触(正接触)の方がスタイラスペン16以外の物体(例えば指や手)による誤接触よりも大きい傾向にあることは発明者らによって既に検証済みである。これは正接触の移動量が誤接触の移動量よりも大きいことによるものと考えられる。
【0056】
また、本実施の形態では、上記ステップ112にて、ポインタIDに対してそのポインタIDにより特定される軌跡内の接触点の個数に応じた重みを付与している。具体的には、軌跡内の接触点の個数が多くなるほど大きさ重みを付与している。これは、軌跡内の接触点の個数が多くなるほど特徴情報を導出するために用いられる座標情報の数が増え、判定の精度が高いという検証済みの事実を前提した処理である。なお、軌跡内の接触点の個数が更新される毎に重みも更新される。本実施の形態では、一例として図14に示すテーブルを用いて重みを付与している。図14に示すテーブルによれば、軌跡内の接触点の個数が1〜39の場合に重みとして1.0が採用され、軌跡内の接触点の個数が40〜79の場合に重みとして1.2が採用され、軌跡内の接触点の個数が80〜119の場合に重みとして1.4が採用され、軌跡内の接触点の個数が120以上の場合に重みとして1.6が採用される。重みを付与する方法は、テーブルを用いた方法に限定されるものではなく、この他にも例えば重みを解とする演算式を用いる方法を適用しても良い。
【0057】
上記ステップ112の処理を実行した後、ステップ114に移行し、誤接触判定処理プログラムを実行する。図5には、誤接触判定処理プログラムの処理の流れの一例が示されている。同図に示されるように、ステップ114Aでは、メモリ20から、予め登録されている誤接触特徴情報を取得する。本実施の形態では、誤接触特徴情報として、タッチパネル12Aに対する物体の誤接触による軌跡の特徴を示すと共に予め登録された情報を適用しており、具体的には、一例として図6〜図8に示される第1〜第3誤接触領域情報が挙げられる。図6に示す例では、軌跡の長さの分散であって誤接触を表す分散の範囲と正接触を表す分散の範囲との境界を示す閾値(長さ分散閾値)と、軌跡の面積(接触面積)であって誤接触を表す面積の範囲と正接触を表す面積の範囲との境界を示す閾値(面積閾値)とで各々規定される誤接触領域を示す情報(第1誤接触領域情報)、正接触領域を示す情報(第1正接触領域情報)、及び誤接触か正接触かが判然とせずに更なる判定の余地が残されている領域を示す情報(第1未判定領域情報)が示されている。また、図7に示す例では、軌跡の面積の分散であって誤接触を表す分散の範囲と正接触を表す分散の範囲との境界を示す閾値(面積分散閾値)と長さ分散閾値とで各々規定される誤接触領域を示す情報(第2誤接触領域情報)、及び誤接触か正接触かが判然とせずに更なる判定の余地が残されている領域を示す情報(第2未判定領域情報)が示されている。更に、図8に示す例では、軌跡の個数であって誤接触を表す個数の範囲と正接触を表す個数の範囲との境界を示す閾値(個数閾値)と長さ分散閾値とで各々規定される誤接触領域を示す情報(第3誤接触領域情報)、及び正接触領域を示す情報(第2正接触領域情報)が示されている。
【0058】
次のステップ114Bでは、現時点でのタッチパネル12Aに対する物体の接触点が構成要素とされている軌跡に付与されたポインタIDのうち、判定処理対象とされる軌跡のポインタID(注目ポインタID)を取得した後、ステップ114Cに移行する。ステップ114Cでは、上記ステップ114Bの処理で取得された注目ポインタIDに対応する軌跡における本処理が未実行の1接触点分の特徴情報を取得し、取得した特徴情報と上記ステップ114Aの処理で取得された誤接触特徴情報とを比較する。また、ステップ114Cでは、特徴情報としての軌跡内の接触点の個数に対して付与されている重みと予め定められた重み(ここでは1.4)との比較も行う。
【0059】
次のステップ114Dでは、上記ステップ114Cの処理で特徴情報としての軌跡内の接触点の個数に付与された重みと予め定められた重みとが比較された結果として、特徴情報としての軌跡内の接触点の個数に対して付与されている重みが予め定められた重み未満であるか否かを判定し、ここで否定判定となった場合にはステップ114Fに移行し、肯定判定となった場合には、上記ステップ114Cの処理で特徴情報と誤接触特徴情報とが比較された結果として、特徴情報が誤接触特徴情報に相当するか否かを判定し、ここで肯定判定となった場合にはステップ114Eに移行する一方、否定判定となった場合にはステップ114Fに移行する。なお、本実施の形態では、ステップ114Dの処理には、重みの比較結果を判定する処理が含まれているが、この処理は無くても良い。この場合、誤接触判定処理に係る総処理時間が短くなる。しかし、誤接触であることをより高精度に判定するためには本実施の形態のステップ114Dで例示するように重みの比較結果を判定する処理を含めた方が良いので、本処理では重みに係る判定を含む処理を行う例を挙げている。
【0060】
ステップ114Dでは、誤接触特徴情報を含む決定木により特徴情報が誤接触特徴情報に相当するか否かを判定する。例えば、図6に示す軌跡の長さの分散と軌跡の面積との決定木、図7に示す軌跡の面積の分散と軌跡の長さの分散との決定木、及び図8に示す軌跡の個数と軌跡の長さの分散との決定木により特徴情報が誤接触特徴情報に相当するか否かを判定する。具体的には、上記ステップ114Cの処理で取得された特徴情報としての軌跡の長さの分散及び軌跡の面積が一例として図6に示す第1誤接触領域情報により示される領域に含まれるか否かを判定し、含まれる場合には特徴情報が誤接触情報に相当すると判定(ステップ114Dが肯定判定)し、誤接触情報に相当しないと判定された場合には特徴情報としての軌跡の長さの分散及び軌跡の面積が第1正接触領域情報により示される領域に含まれるか否かを判定し、含まれる場合には特徴情報が誤接触情報に相当しないと判定(ステップ114Dが否定判定)する。ここで、特徴情報が第1誤接触領域情報により示される領域及び第1正接触領域情報により示される領域の双方に含まれない場合には第1未判定領域情報により示される領域に含まれると判定し、上記ステップ114Cの処理で取得された特徴情報としての軌跡の面積の分散及び軌跡の長さの分散が一例として図7に示す第2誤接触領域情報により示される領域に含まれるか否かを判定し、含まれる場合には特徴情報が誤接触情報に相当すると判定(ステップ114Dが肯定判定)する。ここで、特徴情報が第2誤接触領域情報により示される領域に含まれない場合には第2未判定領域情報により示される領域に含まれると判定し、上記ステップ114Cの処理で取得された特徴情報としての軌跡の個数及び軌跡の長さの分散が一例として図8に示す第3誤接触領域情報により示される領域に含まれるか否かを判定し、含まれる場合には特徴情報が誤接触情報に相当すると判定(ステップ114Dが肯定判定)し、含まれない場合(第2正接触領域情報により示される領域に含まれる場合)には特徴情報が誤接触情報に相当しないと判定(ステップ114Dが否定判定)する。
【0061】
図9には、本実施の形態に係る液晶ペンタブレット10で採用している決定木によって一単位の軌跡について誤接触か否かを判定する手法の一例が示されている。なお、図9において、“size”とは、現時点でタッチパネル12Aに含まれる接触点を構成要素としている軌跡の面積を意味し、“points_stroke”とは、現時点でタッチパネル12Aに含まれる接触点を構成要素としている軌跡内の接触点の個数を意味し、“variance_length_trajectory”とは、現時点でタッチパネル12Aに含まれる接触点を構成要素としている軌跡の長さの分散を意味し、“variance_size”とは、現時点でタッチパネル12Aに含まれる接触点を構成要素としている軌跡の面積の分散を意味している。また、図9において、“pen”とは、スタイラスペン16による接触(正接触)を意味しており、“hand”とは、スタイラスペン16以外の例えば手や指による接触(誤接触)を意味している。
【0062】
本実施の形態に係る液晶ペンタブレット10では、一例として図9に示すように、決定木によって軌跡が誤接触によるものであるか否かの判定が行われると、最終的に、決定木の枝の末端にて、pen又はhandの結果が得られることになる。図9に示す例では、先ず、軌跡の面積が面積閾値S1以下であるか否かを判定し、次から枝分かれ的に各閾値を用いて判定を行っている。具体的には、S1以下であると判定された場合、軌跡の長さの分散が長さ分散閾値T1以下であるか否かを判定する。長さ分散閾値T1以下であると判定された場合、軌跡内の接触点の個数が個数閾値P1以下であるか否かを判定する。ここで、個数閾値P1以下であれば正接触と判定する。
【0063】
軌跡内の接触点の個数がP1以下でないと判定された場合、軌跡の長さの分散が長さ分散閾値T3以下であるか否かを判定する。ここで、長さ分散閾値T3以下であれば誤接触と判定する。
【0064】
軌跡の長さの分散が長さ分散閾値T3以下でなければ軌跡内の接触点の個数が個数閾値P2以下であるか否かを判定する。ここで、個数閾値P2以下であれば正接触と判定する。軌跡内の接触点の個数が個数閾値P2以下でなければ誤接触と判定する。
【0065】
一方、面積閾値S1以下であると判定された場合、軌跡の長さの分散が長さ分散閾値T1以下でなければ軌跡の面積の分散が面積分散閾値VS1以下であるか否かを判定する。ここで、面積分散閾値VS1以下であれば正接触と判定する。面積分散閾値VS1以下でなければ軌跡の長さの分散が長さ分散閾値T4以下であるか否かを判定する。ここで、長さ分散閾値T4以下であれば誤接触と判定し、T4以下でなければ正接触と判定する。
【0066】
一方、軌跡の面積が面積閾値S1以下でないと判定された場合、軌跡の長さの分散が長さ分散閾値T2以下であるか否かを判定する。長さ分散閾値T2以下であると判定された場合、軌跡内の接触点の個数が個数閾値P3以下であるか否かを判定する。P3以下であれば次に軌跡の面積が面積閾値S2以下であるか否かを判定し、面積閾値S2以下であれば次に軌跡内の接触点の個数が個数閾値P4以下であるか否かを判定する。ここで、個数閾値P4以下であれば正接触と判定し、個数閾値P4以下でなければ誤接触と判定する。軌跡の面積が面積閾値S2以下でなければ誤接触と判定する。軌跡内の接触点の個数が個数閾値P3以下でなければ誤接触と判定する。
【0067】
軌跡の長さの分散が長さ分散閾値T2以下でないと判定された場合、軌跡の面積が面積閾値S3以下であるか否かを判定する。面積閾値S3以下であれば正接触と判定し、面積閾値S3以下でなければ誤接触と判定する。
【0068】
ステップ114Eでは、注目ポインタIDにより特定される軌跡における判定対象とされた接触点単位でフラグを設定した後、ステップ114Fに移行する。なお、本実施の形態では、接触点単位で時刻情報及び座標情報が取得されるので、ステップ114Eの処理としては、判定対象とされた接触点に対応する時刻情報及び座標情報に1対1で対応するようにフラグを設定する形態例が挙げられる。
【0069】
ステップ114Fでは、上記ステップ114Bの処理で取得された注目ポインタIDにより特定される軌跡を構成している全接触点についての特徴情報と誤接触特徴情報とを比較したか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ114Cに戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ114Gに移行する。
【0070】
ステップ114Gでは、現時点で検出されている接触による軌跡に係るポインタIDが他に存在しているか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ114Bに戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ114Hに移行する。ステップ114Hでは、注目ポインタIDを取得した後、ステップ114Iに移行し、現時点で設定されているフラグの個数が、フラグが設定されていない接触点の個数を上回っているか否か(判定対象とされた軌跡を構成している接触点の個数の過半数を超えているか否か)を判定し、肯定判定となった場合にはステップ114Jに移行し、フラグの個数が全接触点の個数の過半数を超えていると判定された軌跡を特定するポインタIDに対して、誤接触により描かれた軌跡であることを示す誤接触情報を付与した後、ステップ114Kに移行する。
【0071】
一方、ステップ114Iにおいて否定判定となった場合にはステップ114Lに移行し、現時点で取得されている注目ポインタIDに誤接触情報が付与されているか否かを判定し、否定判定となった場合には本誤接触判定処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ114Mに移行し、注目ポインタIDから誤接触情報を消去した後、ステップ114Kに移行する。
【0072】
ステップ114Kでは、現時点で検出されている接触による軌跡に係るポインタIDが他に存在しているか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ114Hに戻る一方、肯定判定となった場合には本誤接触判定処理プログラムを終了する。
【0073】
一方、図3に示すステップ100及びステップ104において否定判定となった場合にはステップ116に移行する。ステップ116では、現時点で記憶領域αに記憶されているポインタIDのうち、誤接触情報が付与されたポインタIDが存在しているか否かを判定することにより誤接触を表す軌跡を特定している。本ステップ116において否定判定となった場合には本接触検出処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ118に移行する。ステップ118では、誤接触情報が付与されたポインタIDを取得し、取得したポインタIDにより特定される軌跡の位置に対応するLCD12Bの画面上の画像(例えば誤接触によってタッチパネル12Aに描かれた軌跡に相当する軌跡や、タッチパネル12Aに既に表示されている画面(例えばメニュー画面)に含まれるボタンを誤接触によって意図せず押してしまいボタンがONされた状態を示す画像)に対して所定処理を実施した後、本接触検出処理プログラムを終了する。なお、所定処理としては、例えば、図10に示すように、誤接触によってLCD12Bの画面に表示された画像を消去する処理や、図11に示すように誤接触によってLCD12Bの画面に表示された画像の色を特定の色(誤接触によって表示された画像であることを示す色として予め定められた色)に変色させる処理が挙げられる。また、誤接触によってLCD12Bの画面に表示された画像がタッチパネル12Aに描かれた軌跡に相当する軌跡であれば、その軌跡の太さや線種を変える処理が挙げられる。
【0074】
このように本実施の形態に係る液晶ペンタブレット10では、制御部22によって上記接触検出処理プログラムが実行されることで、タッチパネルに対する接触により描かれる軌跡が誤接触によるものであるか否かが容易かつ高精度に判定される。また、座標情報がポインタIDによって管理されているので、記憶領域αから誤接触によって描かれた軌跡に係る情報を消去して、正接触によって描かれた軌跡に係る情報(例えばポインタID及び座標情報)のみを記憶領域αに残すことにより、制御部22は正接触によって描かれた軌跡に係る情報に基づいてLCD12Bに軌跡を表示することになるので、誤接触による余計な軌跡(画像)が表示されずに可読性が良くなる上、ユーザはLCD12Bに表示された画像が誤接触によるものなのか正接触によるものなのかを気にする必要がなくなる。
【0075】
また、本実施の形態に係る液晶ペンタブレット10によれば、軌跡が複数存在する場合であってもそれらの軌跡の各々が誤接触によるものであるか否かが容易かつ高精度に判定される。例えば、図12に示すように、ポインタID1が付与された軌跡とポインタID2が付与された軌跡が存在する場合、各々の軌跡について独立(並行)して所定時間毎に誤接触であるか否かの判定が行われ、軌跡に対する接触が無くなった場合にポインタID1,2毎に独立して誤接触による軌跡が特定される。
【0076】
なお、上記実施の形態では、非接触が検出された場合(タッチパネル12Aに対する接触が解除された場合)に軌跡が誤接触によるものであるか否かの最終的な判定を下す場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、接触検出処理プログラムの1回の実行時間である所定時間(20ms)毎に軌跡が誤接触によるものであるか否かの最終的な判定を下しても良い。この場合、一例として図13に示すように誤接触判定処理を実行する毎に上記ステップ116,118の処理を実行すれば良い。この場合、上記実施の形態で説明した例に比べ、誤接触であるか否かの結論が迅速に得られる。よって、例えば誤入力が許されない重要なサイン(署名)を液晶ペンタブレット10により行う場合には即座に誤接触であることが判定されるので特に効果的である。なお、図13に示すフローチャートは、図3に示すフローチャートに比べ、ステップ104を除去した点、ステップ116,118をステップ114の後段に移設した点、及びステップ100の否定判定により接触検出処理プログラムが終了する点が異なっている。
また、図3に示すフローチャートの処理(接触検出処理)を適用するか、或いは図13に示すフローチャートの処理を適用するかを利用者に指定させるようにしても良い。これにより利便性が向上する。
【0077】
また、上記実施の形態では、所定時間として20msを例に挙げたが、これに限らず、他の時間であっても良く、この所定時間を利用者に指定させても良い。但し、所定時間として5msが適用された場合、20msの場合に比べ、所定時間(5ms)毎に上記接触検出処理プログラムを実行することが困難なため、非接触が検出されたときに、それまでに溜まったデータに基づいて軌跡が誤接触によるものであるか否かの最終的な判定を下すと良い。このように5ms毎に接触検出処理プログラムを実行する場合には次のルーチン(例えば、次の接触検出処理)が間に合わなくならないように次のルーチンで用いるデータ(例えば座標情報や特徴情報など)を先行のルーチンを実行している段階で溜めておく(準備しておく)ことが好ましい。
【0078】
また、上記実施の形態では、大きさ情報として軌跡の面積を適用し、度合い情報として軌跡の面積の分散及び軌跡の長さの分散を適用し、継続時間依拠情報として軌跡内の接触点の個数を適用した場合の形態例を挙げて説明したが、軌跡の面積に代えて軌跡の長さを適用し、軌跡の面積の分散に代えて軌跡の面積の標準偏差を適用し、軌跡の長さの分散に代えて軌跡の長さの標準偏差を適用し、軌跡内の接触点の個数に代えて接触の継続時間を適用しても良い。また、軌跡の面積及び長さについては、面積及び長さの最大値、最小値又は平均値を適用しても良い。
【0079】
また、上記実施の形態では、決定木を用いて誤接触であるか否かを判定する場合の形態例を挙げて説明したが、決定木に代えて、テンプレートマッチング法、k−最近傍識別法、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、隠れマルコフモデル又はブースティングなどを用いて判定を行うようにしても良い。但し、これらの場合も学習用に収集した特徴情報及び判定結果をフィードバックして再度学習用のデータとして用いることになる。
【0080】
また、上記実施の形態では、誤接触によってLCD12Bの画面に表示された画像に対して所定処理(消去や変色)を強制的に施す場合の形態例を挙げて説明したが、誤接触により表示された画像に対して所定処理を施すか否かの指示をユーザが事前に液晶ペンタブレット10に対して与えておき、所定処理を施さない指示が事前に与えられていた場合には誤接触により表示された画像に対して所定処理を施さず、所定処理を施す指示が事前に与えられていた場合には誤接触により表示された画像に対して所定処理を施すようにしても良い。なお、これらの指示は、タッチパネル・ディスプレイ12を介して与えても良いし、液晶ペンタブレット10に対して別途指示用のスイッチを設け、このスイッチをオン・オフすることによって与えるようにしても良い。また、有線若しくは無線通信を用いた遠隔操作により液晶ペンタブレット10に対して指示を与えるようにしても良い。
【0081】
また、上記実施の形態では、スタイラスペン16による接触を正接触として取り扱う場合の形態例を挙げて説明したが、これは説明の便宜上使用した一例であり、あくまでもタッチパネル12Aに対する接触から得られた特徴情報が予め登録されているデータ(例えば誤接触特徴情報)に相当しているか否かを判定することにより誤接触であるか否かを判定しているので、判定結果がタッチパネル12Aに接触する物体(指示体)の種類に依存しているわけではないことは言うまでもない。
【0082】
また、上記実施の形態では、ポインタIDにより特定される軌跡毎に誤接触による軌跡であるか否かを判定する場合の形態例を挙げて説明したが、予め定められた期間内に上述した多数決によって誤接触による軌跡であると判定された場合に、その期間内にタッチパネル12Aに描かれた軌跡を全て誤接触によるものであると判定するようにしても良い。
【0083】
また、上記実施の形態では、特徴情報が第1〜第3誤接触領域に含まれるか否かを判定することにより誤接触による軌跡であるか否かを判定するようにしたが、これに限らず、特徴情報が誤接触による軌跡の特徴を示す誤接触特徴情報として予め登録された情報に相当するか否かを判定することにより誤接触による軌跡であるか否かを判定しても良い。また、誤接触特徴情報は複数登録されていても良く、この場合、特徴情報が何れかの誤接触特徴情報に相当すれば誤接触による軌跡であると判定する形態例が挙げられる。
【0084】
また、上記実施の形態では、多数決によって誤接触による軌跡であるか否かを判定する場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、誤接触であると判定された接触点の個数として予め定められた個数以上であるか否かを判定することにより誤接触による軌跡であるか否かを判定しても良い。
【0085】
また、上記実施の形態では、タッチパネル12Aに対する誤接触を直接的に判定し、この判定結果に基づいて正接触と誤接触とを区別する場合の形態例を挙げて説明したが、これとは逆にタッチパネル12Aに対する正接触を直接的に判定し、この判定結果に基づいて正接触と誤接触とを区別しても良い。この場合、例えば、特徴情報が図8に示す第2正接触領域情報により示される領域に含まれるか否かを判定し、含まれると判定された場合にフラグを設定し、フラグの個数が全接触点の個数の過半数を超えているか否かを判定し、超えていると判定された場合にフラグの個数が全接触点の個数の過半数を超えていると判定された軌跡を特定するポインタIDに対して、正接触により描かれた軌跡であることを示す正接触情報を付与することにより、正接触による軌跡が特定され、これ以外の軌跡が誤接触による軌跡と特定される。なお、この場合もフラグの個数が全接触点の個数の過半数を超えているかを判定せずに所定時間(例えば20ms)毎に正接触であるか否かの最終的な結論を出すようにしても良いことは言うまでも無い。このように、特徴情報が、タッチパネル12Aに特定接触(タッチパネル12Aに対する正しい接触として予め定められた正接触又はタッチパネル12Aに対する誤った接触として予め定められた誤接触)を行うことによって描かれる軌跡の特徴を示すと共に予め登録された特定接触特徴情報(正接触特徴情報又は誤接触特徴情報)に相当するか否かを判定することにより正接触と誤接触とが高精度に判定される。
【符号の説明】
【0086】
10 液晶ペンタブレット
12 タッチパネル・ディスプレイ
12A タッチパネル
12B LCD
14 記録表示装置
22 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触検出装置、記録表示装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入力面の所定箇所を押圧された際に、その押圧位置に対応した座標データを順次取り込み、その取り込んだ座標データのうち、有効データのみを出力する座標入力装置において、所定条件下での手書き入力によって得られる座標データを一定のタイミングで取り込みつつ、それぞれ3個の座標データを順に用いて第2の座標データと第3の座標データ間の移動距離、及び第1の座標データと第2の座標データ間の直線軸と第2の座標データと第3の座標データ間の直線軸とがなす角度変化量を求めると共に、個々に求めた移動距離及び角度変化量の度数を累計し、これによって得られた累計度数を参照しつつ、予め規定された角度変化基準値とこれに対応する移動距離とを有効データ判定用のしきい値として設定する初期設定処理を行い、通常の入力操作時には、筆記直後に得られた最初の座標データとその直後に入力された2個の座標データとを用いて第1の座標データと第2の座標データ間の移動距離、及び第1の座標データと第2の座標データ間の直線軸と第2の座標データと第3の座標データ間の直線軸とがなす角度変化量をそれぞれ算出するとともに、その算出結果と初期設定処理によって設定された有効データ判定用のしきい値とを比較し、算出結果の少なくともいずれか一方がしきい値以内であるときに筆記直後の第1の座標データを有効データとして出力する入力データ処理を行うことを特徴とする座標入力装置のデータ処理方法が開示されている。
【0003】
特許文献2には、複数の画素にフォトセンサを有するタッチパネルと画像処理部とを有し、フォトセンサが、タッチパネルと対象物との接触画像を生成し、画像処理部が、接触画像の色情報から接触部分の面積を算出し、面積に基づいてタッチパネルへの入力及び非入力の判定を行う表示装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、表示装置と一体になったタブレットを備え、手書き入力枠にペンで手書き入力を行う手書きペン入力装置において、手書き入力枠を表示する手書き入力枠表示手段と、タブレットに入力された座標を認識する入力座標認識手段と、手書き入力枠毎に対応して設定される領域であって、ペンを持つ手がタブレットに接触するために行われる誤入力を無効とする入力無効領域を設定する入力無効領域設定手段と、を備え、入力無効領域に入力された座標データを無効とすることを特徴とする電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−110830号公報
【特許文献2】特開2011−70658号公報
【特許文献3】特開平9−44293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、正接触と誤接触とを高精度に判定する接触検出装置、記録表示装置、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の接触検出装置を、予め定められた被接触面に対して二次元状に対応付けられ、各々該被接触面に対する物体の接触を検出する複数の検出素子と、前記複数の検出素子の検出結果に基づいて、物体が前記被接触面に接触することによって描かれる軌跡の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段と、前記生成手段によって生成された特徴情報が、物体が前記被接触面に特定接触を行うことによって描かれる軌跡の特徴を示すと共に予め登録された特定接触特徴情報に相当するか否かを判定する判定手段と、を含んで構成した。
【0008】
請求項1に記載の接触検出装置を、請求項2に記載の発明のように、前記特定接触を、前記被接触面に対する正しい接触として予め定められた正接触又は前記被接触面に対する誤った接触として予め定められた誤接触としたものとした。
【0009】
請求項1又は請求項2に記載の接触検出装置を、請求項3に記載の発明のように、前記軌跡を識別する識別情報を該軌跡に対応付ける対応付け手段を更に含み、前記判定手段が、前記識別情報により識別される軌跡毎に、前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当するか否かを判定するものとした。
【0010】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の接触検出装置を、請求項4に記載の発明のように、前記判定手段の判定結果に基づいて前記被接触面に対する前記特定接触を表す前記軌跡を特定する特定手段を更に含んで構成したものとした。
【0011】
請求項4に記載の接触検出装置を、請求項5に記載の発明のように、前記特定手段が、予め定められた期間内に前記判定手段により、前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当すると判定された回数に基づいて、前記被接触面に対する前記特定接触を表す前記軌跡を特定するものとした。
【0012】
請求項5に記載の接触検出装置を、請求項6に記載の発明のように、前記特定手段が、前記予め定められた期間内に、前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当すると前記判定手段により判定された回数が前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当しないと前記判定手段により判定された回数よりも多い場合に、該予め定められた期間内の前記被接触面における前記軌跡を前記特定接触を表す軌跡として特定するものとした。
【0013】
請求項5又は請求項6に記載の接触検出装置を、請求項7に記載の発明のように、前記予め定められた期間を、物体が前記被接触面に接触してから該被接触面から離れるまでの期間としたものとした。
【0014】
請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の接触検出装置を、請求項8に記載の発明のように、前記特徴情報を、前記軌跡の大きさを表す大きさ情報、前記軌跡の大きさのばらつきの度合いを表す度合い情報、及び物体が前記被接触面に継続して接触している時間に基づいて導出された継続時間依拠情報の少なくとも1つとしたものとした。
【0015】
請求項8に記載の接触検出装置を、請求項9に記載の発明のように、前記大きさ情報を、前記軌跡の面積及び前記軌跡の長さの少なくとも1つを示す情報とし、前記度合い情報を、前記軌跡の面積の分散若しくは標準偏差を示す軌跡面積統計情報、及び前記軌跡の長さの分散若しくは標準偏差を示す軌跡長統計情報の少なくとも1つとし、前記継続時間依拠情報を、前記軌跡の個数を示す軌跡個数情報としたものとした。
【0016】
請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の接触検出装置を、請求項10に記載の発明のように、前記判定手段が、前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当するか否かを、前記特定接触特徴情報を含んで構成された決定木を用いて判定するものとした。
【0017】
請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の接触検出装置を、請求項11に記載の発明のように、前記軌跡に対して接触時間に応じた重みを付与する付与手段を更に含み、前記判定手段が、更に、前記付与手段によって付与された重みが予め定められた重み以上であるか否かを判定するものとした。
【0018】
一方、上記目的を達成するために、請求項12に記載の接触検出装置を、予め定められた被接触面に対して二次元状に対応付けられ、各々該被接触面に対する物体の接触を検出する複数の検出素子と、前記複数の検出素子の検出結果に基づいて、物体が前記被接触面に接触することによって描かれる軌跡の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段と、前記生成手段によって生成された特徴情報が、物体が前記被接触面に特定接触を行うことによって描かれる軌跡の特徴を示すと共に予め登録された特定接触特徴領域に含まれるか否かを判定する判定手段と、を含んで構成した。
【0019】
一方、上記目的を達成するために、請求項13に記載の記録表示装置を、請求項1〜請求項12の何れか1項に記載の接触検出装置と、前記接触検出装置が画面上に重ねて設けられ、該画面に前記接触検出装置での検出結果に応じた画像を表示する表示手段と、を含んで構成した。
【0020】
請求項13に記載の記録表示装置を、請求項14に記載の発明のように、 前記判定手段の判定結果に基づいて特定された軌跡に対応する位置に表示された画像を前記画面から消去する消去手段を更に含んで構成したものとした。
【0021】
一方、上記目的を達成するために、請求項15に記載のプログラムを、予め定められた被接触面に対して二次元状に対応付けられ、各々該被接触面に対する物体の接触を検出する複数の検出素子を含む接触検出装置を制御するコンピュータを、前記複数の検出素子の検出結果に基づいて、物体が前記被接触面に接触することによって描かれる軌跡の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段、及び、前記生成手段によって生成された特徴情報が、物体が前記被接触面に特定接触を行うことによって描かれる軌跡の特徴を示すと共に予め登録された特定接触特徴情報に相当するか否かを判定する判定手段として機能させるためのものとした。
【0022】
一方、上記目的を達成するために、請求項16に記載のプログラムを、予め定められた被接触面に対して二次元状に対応付けられ、各々該被接触面に対する物体の接触を検出する複数の検出素子を含む接触検出装置を制御するコンピュータを、前記複数の検出素子の検出結果に基づいて、物体が前記被接触面に接触することによって描かれる軌跡の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段、及び、前記生成手段によって生成された特徴情報が、物体が前記被接触面に特定接触を行うことによって描かれる軌跡の特徴を示すと共に予め登録された特定接触特徴領域に含まれるか否かを判定する判定手手段として機能させるためのものとした。
【発明の効果】
【0023】
請求項1、請求項12、請求項13、請求項15及び請求項16に係る発明によれば、被接触面に対して二次元状に対応付けられた複数の検出素子の検出結果に基づいて、物体が被接触面に接触してから被接触面から離れるまでの軌跡の特徴を示す特徴情報を生成し、生成された特徴情報により示される特徴が、予め登録された特定接触による軌跡の特徴に相当するか否かを判定する構成を有しない場合に比べ、正接触と誤接触とが高精度に判定される、という効果が得られる。
【0024】
請求項2に係る発明によれば、特定接触を、被接触面に対する正しい接触として予め定められた正接触又は被接触面に対する誤った接触として予め定められた誤接触とした構成を有しない場合に比べ、正接触と誤接触とがより一層高精度に判定される、という効果が得られる。
【0025】
請求項3に係る発明によれば、軌跡に識別情報を対応付け、識別情報により識別される軌跡毎に、特徴情報が特定接触特徴情報に相当するか否かを判定し、識別情報により識別される軌跡毎に、判定結果に基づいて被接触面に対する特定接触を表す軌跡を特定する構成を有しない場合に比べ、正接触を表す軌跡と誤接触を表す軌跡との識別性の向上に寄与する、という効果が得られる。
【0026】
請求項4に係る発明によれば、前記判定手段の判定結果に基づいて前記被接触面に対する前記特定接触を表す前記軌跡を特定する特定手段を更に含む構成を有しない場合に比べ、正接触と誤接触とが高精度に特定される、という効果が得られる。
【0027】
請求項5に係る発明によれば、予め定められた期間内に特徴情報が特定接触特徴情報に相当すると判定された回数に基づいて、被接触面に対する特定接触を表す軌跡を特定する構成を有しない場合に比べ、正接触と誤接触とがより一層高精度に特定される、という効果が得られる。
【0028】
請求項6に係る発明によれば、予め定められた期間内に特徴情報が特定接触特徴情報に相当すると判定された回数が、特徴情報が特定接触特徴情報に相当しないと判定された回数よりも多い場合に、予め定められた期間内の被接触面における軌跡を特定接触を表す軌跡として特定する構成を有しない場合に比べ、正接触と誤接触とがより一層高精度に特定される、という効果が得られる。
【0029】
請求項7に係る発明によれば、予め定められた期間を、物体が被接触面に接触してから被接触面から離れるまでの期間とする構成を有しない場合に比べ、効率的な処理の実現に寄与する、という効果が得られる。
【0030】
請求項8に係る発明によれば、特徴情報を、軌跡の大きさを表す大きさ情報、軌跡の大きさのばらつきの度合いを表す度合い情報、及び物体が被接触面に継続して接触している時間に基づいて導出された継続時間依拠情報の少なくとも1つとする構成を有しない場合に比べ、正接触と誤接触とがより一層高精度に判定される、という効果が得られる。
【0031】
請求項9に係る発明によれば、大きさ情報を、軌跡の面積及び軌跡の長さの少なくとも1つを示す情報とし、度合い情報を、軌跡の面積の分散若しくは標準偏差を示す軌跡面積統計情報、及び軌跡の長さの分散若しくは標準偏差を示す軌跡長統計情報の少なくとも1つとし、継続時間依拠情報を、軌跡の個数を示す軌跡個数情報とする構成を有しない場合に比べ、正接触と誤接触とがより一層高精度に判定される、という効果が得られる。
【0032】
請求項10に係る発明によれば、特徴情報が特定接触特徴情報に相当するか否かを、特定接触特徴情報を含んで構成された決定木を用いて判定する構成を有しない場合に比べ、接触と誤接触とがより一層高精度かつ容易に判定される、という効果が得られる。
【0033】
請求項11に係る発明によれば、軌跡に対して接触時間に応じた重みを付与し、付与された重みが予め定められた重み以上であるか否かを判定する構成を有しない場合に比べ、正接触と誤接触とがより一層高精度に判定される、という効果が得られる。
【0034】
請求項12に係る発明によれば、特定された軌跡に対応する位置に表示された画像を画面から消去する構成を有しない場合に比べ、画面に表示された情報の可読性が向上する、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施の形態に係る液晶ペンタブレットの外観を示す概略斜視図である。
【図2】実施の形態に係る記録表示装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る接触検出処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態に係る液晶ペンタブレットに描画される一単位の軌跡の規定方法を示す模式図である。
【図5】実施の形態に係る誤接触判定処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態に係る液晶ペンタブレットで用いられる決定木の構成要素としての軌跡の長さの分散及び接触面積の相関関係を示す図である。
【図7】実施の形態に係る液晶ペンタブレットで用いられる決定木の構成要素としての接触面積の分散及び軌跡の長さの分散の相関関係を示す図である。
【図8】実施の形態に係る液晶ペンタブレットで用いられる決定木の構成要素としての軌跡内の接触点の個数及び軌跡の長さの分散の相関関係を示す図である。
【図9】実施の形態に係る液晶ペンタブレットで用いられる決定木による判定方法の一例を示すコード図である。
【図10】実施の形態に係る液晶ペンタブレットにおいて誤接触による軌跡を消去する処理の一例を示す模式図である。
【図11】実施の形態に係る液晶ペンタブレットにおいて誤接触による軌跡を変色する処理の一例を示す模式図である。
【図12】実施の形態に係る液晶ペンタブレットにおいて複数の軌跡に対して並行して接触検出処理を実施する場合の経時的な概念を示す概念図である。
【図13】実施の形態に係る接触検出処理プログラムの処理の流れの変形例を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態に係る液晶ペンタブレットの誤接触判定処理で用いられるテーブルの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための実施の形態の一例について詳細に説明する。
【0037】
図1は、本実施の形態に係る液晶ペンタブレット10の外観を示す概略斜視図である。図1に示すように、液晶ペンタブレット10は、タッチパネル・ディスプレイ12を有する記録表示装置14、及びペン型の入力機器であるスタイラスペン16を含んで構成されている。
【0038】
図2は、本実施の形態に係る記録表示装置14の電気系の要部構成を示すブロック図である。図2に示すように、記録表示装置14は、タッチパネル・ディスプレイ12、システムコントローラ18、メモリ20及び制御部22を含んで構成されている。
【0039】
タッチパネル・ディスプレイ12は、タッチパネル12A及び液晶ディスプレイ(LCD)12Bを備えている。具体的には、LCD12B上に透過型のタッチパネル12Aが重ねられて構成されており、タッチパネル12Aはユーザによって触れられることによりユーザの指示を受け付け、LCD12Bは各種情報を表示面(画面)に表示する。
【0040】
本実施の形態に係るタッチパネル12Aは、静電容量の変化を捉えて接触及び非接触を検出する静電容量方式のタッチパネルであり、LCD12Bの画素の各々の位置に対応するようにタッチパネル12Aの所定面(例えば表面又は裏面)に対して二次元状(一例としてマトリクス状)に対応付けられて配置された複数の検出素子の一例である複数の静電容量素子(一例としてコンデンサ)24を有する。静電容量素子24では、スタイラスペン16、指、手などの物体が近付くと静電結合が起き、これによってタッチパネル12Aに対する物体の接触を検出する。なお、静電容量方式のタッチパネルは一例であり、電磁誘導方式のタッチパネル、赤外線方式のタッチパネル、表面弾性波方式のタッチパネル、抵抗膜方式のタッチパネルなどであっても良く、接触点が検出されるタッチパネルであれば如何なるものであっても良い。
【0041】
システムコントローラ18は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)を含んで構成されており、予め定められた制御プログラムを実行することにより記録表示装置14全体の動作を制御する。メモリ20は、RAM(Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)及び二次記憶部(例えばフラッシュメモリ)を含んで構成されている。RAMは、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる揮発性の記憶素子であり、ROMには、後述する誤接触特徴情報や各種プログラム、各種パラメータ、各種テーブル情報等が予め記憶されている。二次記憶部は、液晶ペンタブレット10の電源スイッチが切られても保持しなければならない各種情報を記憶する不揮発性の記憶媒体である。
【0042】
制御部22は、CPU(システムコントローラ18に含まれるCPUとは異なるCPU)を含んで構成されており、タッチパネル12A、LCD12B、システムコントローラ18、及びメモリ20に接続されている。従って、制御部22は、システムコントローラ18の指示下で、メモリ20から読み出した各種プログラムや各種パラメータ、各種テーブル情報等に基づいて、タッチパネル12Aに対するユーザの指示内容の把握と、メモリ20から読み出した情報(画像、文字、図柄、記号などを示す情報を含む)のLCD12Bへの表示と、タッチパネル12Aに対するユーザの指示内容に応じた各種情報(画像、文字、図柄、記号などを示す情報を含む)のLCD12Bへの表示と、を各々行う。
【0043】
上記のように構成された液晶ペンタブレット10では、タッチパネル12Aによって検出された接触によってタッチパネル12A上に軌跡(接触跡(ストローク))が描かれると、描かれた軌跡の構成要素である接触点を特定する座標情報(例えばタッチパネル12A上の予め定められた1点を原点とした場合の静電容量素子24の位置を特定する二次元座標を示す情報)がメモリ20の予め定められた記憶領域αに記憶され、記憶領域αに記憶された座標情報により特定される軌跡(タッチパネル12A上に描かれた軌跡に相当する軌跡)が制御部22によってLCD12Bの画面に表示される。
【0044】
ところで、タッチパネル12Aによって検出される接触は、液晶ペンタブレット10によって記録されるべき情報を入力するための接触(正接触)と液晶ペンタブレット10によって記録されるべきでない情報を誤入力してしまう接触(誤接触)とに大別される。
【0045】
しかし、従来は、正接触と誤接触とを高精度に区別する技術が存在していなかったため、誤接触であっても正接触として認識され、正接触であっても誤接触として認識される場合があった。そのため、LCD12Bの画面に意図しない情報が表示されたり、意図しない情報が非表示されたりすることがあった。
【0046】
そこで、本実施の形態に係る液晶ペンタブレット10では、タッチパネル12Aに対する物体の接触を検出すると共に誤接触を高精度に特定する接触検出処理を実行している。
【0047】
本実施の形態に係る液晶ペンタブレット10では、接触検出処理を実現するための各種処理がソフトウェア構成によって実現される。その一例としては、コンピュータを利用してプログラムを実行する形態が挙げられる。しかし、このようなソフトウェア構成による実現に限られるものではなく、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現しても良いことは言うまでもない。
【0048】
以下では、本実施の形態に係る液晶ペンタブレット10の制御部22が接触検出処理プログラムを実行することにより接触検出処理を実現する場合について説明する。この場合、接触検出処理プログラムをメモリ20のROM領域に予め記憶させておく形態や、記憶内容がコンピュータによって読み取られる記録媒体に記憶された状態で提供される形態、有線または無線による通信手段を介して配信される形態等を適用しても良い。
【0049】
図3は、本実施の形態に係る接触検出処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、錯綜を回避するために、接触検出処理プログラムが制御部22によって所定時間(ここでは一例として20ms)毎に実行される場合を例に挙げて説明する。また、ここでは、錯綜を回避するために、タッチパネル12Aに対するスタイラスペン16による接触を正接触とし、タッチパネル12Aに対するスタイラスペン16による接触以外の接触(例えば指や手などによる接触)を誤接触とする場合について説明する。また、本明細書中で使用する「軌跡」との文言は、タッチパネル12Aに対して物体が接触したときの一連の接触点を意味しており、タッチパネル12Aに対しての継続した接触により得られる二次元座標上で連続した複数の座標点の集合という概念の他、タッチパネル12Aの1点に対して接触したときの1つの接触点という概念も含まれる。また、ここで言う「継続」との概念には、「時系列的に連続」との概念に加え、「同時」との概念も含まれる。従って、タッチパネル12Aにおける二次元座標上で連続した複数の点の集合に対して物体が同時に接触した場合にはそれらの点は一単位の軌跡の構成要素として取り込まれる。
【0050】
図3のステップ100では、タッチパネル12Aに対する物体の接触を検出したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ102に移行する。なお、ステップ100の処理で検出された接触点は一単位の軌跡の構成要素とされる。例えば、本実施の形態では20ms毎に本接触検出処理プログラムを実行するので、図4に示すように、タッチパネル・ディスプレイ12に対して「Z」との文字を表示するためにタッチパネル12Aに対してスタイラスペン16によって「Z」との文字を一筆書きした場合、スタイラスペン16のペン先の接触は20ms間隔で検出される。図4に示す例では、「Z」との文字を描く間に5点の接触が検出される態様が模式的に示されているが、これらの点の各々が所定時間(20ms)間隔で検出される。また、ステップ100にて、複数の接触点が検出された場合はそれらの接触点は各々独立した一単位の軌跡の構成要素として取り扱われる。
【0051】
ステップ102では、上記ステップ100の処理で検出された接触点の位置を特定する座標情報を取得した後、ステップ104に移行する。ステップ104では、タッチパネル12Aに対する物体の非接触が検出された軌跡がないか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ106に移行する。つまり、本ステップ104では、今回の接触検出処理プログラムが実行される前からタッチパネル12Aに対しての継続した接触がある場合に、その接触が解除されていないか(タッチパネル12Aから物体が離れることによって軌跡が途切れていないか)否かを判定しており、肯定判定となった場合(今回の接触検出処理プログラムが実行される前からタッチパネル12Aに対しての継続した接触がなかった場合も含む)はステップ106に移行する。
【0052】
ステップ106では、今回の接触検出処理プログラムが実行されることにより新たな接触が検出されていないか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ108に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ110に移行する。ここで言う「新たな接触」が検出される状態(ステップ106が否定判定となる場合)とは、接触点の遷移速度が予め定められた遷移速度を超えた状態のことを意味し、例えば、初めてある接触点に物体が触れた場合は接触点の遷移速度が予め定められた遷移速度を超えた状態にあると言える。逆に、「新たな接触」が検出されない状態(ステップ106が肯定判定となる場合)とは、接触点の遷移速度が予め定められた遷移速度以下の状態のことを意味し、例えば、タッチパネル12Aに対する接触が継続している場合は予め定められた遷移速度以下の状態にあると言える。
【0053】
ステップ108では、上記ステップ100の処理で検出された接触によってタッチパネル12A上に描かれる軌跡に対して固有の識別情報の一例であるポインタIDを付与した後、ステップ110に移行する。この場合、例えば、上記ステップ100の処理によって初めて検出された接触により特定される軌跡に対して1つのポインタIDが付与され、上記ステップ100の処理によって初めて検出された接触により特定される軌跡が複数存在すれば軌跡毎に各々一意に定められたポインタIDが付与される。よって、タッチパネル12Aの複数の箇所に対して複数の物体が同時に接触した場合であっても個々の接触による各軌跡がポインタIDによって特定されることになる。
【0054】
ステップ110では、軌跡毎に付与されたポインタIDに対応させて時系列順に上記ステップ102の処理で取得された座標情報をメモリ20の記憶領域αに記憶する。例えば、座標情報とこの座標情報を取得した時刻を示す時刻情報とを対応させてポインタID単位で記憶領域αに記憶する。
【0055】
次のステップ112では、現時点で記憶領域αに記憶されている座標情報をポインタID毎に取得し、取得したポインタID毎の座標情報から、軌跡の特徴を示す特徴情報をポインタID毎に導出し、導出した特徴情報をポインタID毎に時系列順に記憶領域αに記憶する。特徴情報としては、例えば、現時点の軌跡の大きさを表す大きさ情報、現時点の軌跡の大きさのばらつきの度合いを表す度合い情報、及び現時点の軌跡が描かれるための接触の継続時間に基づいて導出された継続時間依拠情報が挙げられる。例えば、大きさ情報としては、現時点でタッチパネル12Aに含まれる接触点を構成要素としている軌跡の面積及び軌跡の長さ(ここでは一例として二次元座標から導出される接触点の移動距離)が挙げられ、度合い情報としては、現時点でタッチパネル12Aに含まれる接触点を構成要素としている軌跡の面積の分散及び軌跡の長さの分散が挙げられ、継続時間依拠情報としては、現時点でタッチパネル12Aに含まれる接触点を構成要素としている軌跡(1ストローク)内の接触点の個数が挙げられる。本実施の形態では、一例として、大きさ情報として軌跡の面積を適用し、度合い情報として軌跡の面積の分散及び軌跡の長さの分散を適用し、継続時間依拠情報として軌跡内の接触点の個数を適用している。なお、ここで言う軌跡内の接触点の個数には、1点に対する接触であっても20ms毎に1個としてカウントされる。また、軌跡の面積の分散及び軌跡の長さの分散については、スタイラスペン16による接触(正接触)の方がスタイラスペン16以外の物体(例えば指や手)による誤接触よりも大きい傾向にあることは発明者らによって既に検証済みである。これは正接触の移動量が誤接触の移動量よりも大きいことによるものと考えられる。
【0056】
また、本実施の形態では、上記ステップ112にて、ポインタIDに対してそのポインタIDにより特定される軌跡内の接触点の個数に応じた重みを付与している。具体的には、軌跡内の接触点の個数が多くなるほど大きさ重みを付与している。これは、軌跡内の接触点の個数が多くなるほど特徴情報を導出するために用いられる座標情報の数が増え、判定の精度が高いという検証済みの事実を前提した処理である。なお、軌跡内の接触点の個数が更新される毎に重みも更新される。本実施の形態では、一例として図14に示すテーブルを用いて重みを付与している。図14に示すテーブルによれば、軌跡内の接触点の個数が1〜39の場合に重みとして1.0が採用され、軌跡内の接触点の個数が40〜79の場合に重みとして1.2が採用され、軌跡内の接触点の個数が80〜119の場合に重みとして1.4が採用され、軌跡内の接触点の個数が120以上の場合に重みとして1.6が採用される。重みを付与する方法は、テーブルを用いた方法に限定されるものではなく、この他にも例えば重みを解とする演算式を用いる方法を適用しても良い。
【0057】
上記ステップ112の処理を実行した後、ステップ114に移行し、誤接触判定処理プログラムを実行する。図5には、誤接触判定処理プログラムの処理の流れの一例が示されている。同図に示されるように、ステップ114Aでは、メモリ20から、予め登録されている誤接触特徴情報を取得する。本実施の形態では、誤接触特徴情報として、タッチパネル12Aに対する物体の誤接触による軌跡の特徴を示すと共に予め登録された情報を適用しており、具体的には、一例として図6〜図8に示される第1〜第3誤接触領域情報が挙げられる。図6に示す例では、軌跡の長さの分散であって誤接触を表す分散の範囲と正接触を表す分散の範囲との境界を示す閾値(長さ分散閾値)と、軌跡の面積(接触面積)であって誤接触を表す面積の範囲と正接触を表す面積の範囲との境界を示す閾値(面積閾値)とで各々規定される誤接触領域を示す情報(第1誤接触領域情報)、正接触領域を示す情報(第1正接触領域情報)、及び誤接触か正接触かが判然とせずに更なる判定の余地が残されている領域を示す情報(第1未判定領域情報)が示されている。また、図7に示す例では、軌跡の面積の分散であって誤接触を表す分散の範囲と正接触を表す分散の範囲との境界を示す閾値(面積分散閾値)と長さ分散閾値とで各々規定される誤接触領域を示す情報(第2誤接触領域情報)、及び誤接触か正接触かが判然とせずに更なる判定の余地が残されている領域を示す情報(第2未判定領域情報)が示されている。更に、図8に示す例では、軌跡の個数であって誤接触を表す個数の範囲と正接触を表す個数の範囲との境界を示す閾値(個数閾値)と長さ分散閾値とで各々規定される誤接触領域を示す情報(第3誤接触領域情報)、及び正接触領域を示す情報(第2正接触領域情報)が示されている。
【0058】
次のステップ114Bでは、現時点でのタッチパネル12Aに対する物体の接触点が構成要素とされている軌跡に付与されたポインタIDのうち、判定処理対象とされる軌跡のポインタID(注目ポインタID)を取得した後、ステップ114Cに移行する。ステップ114Cでは、上記ステップ114Bの処理で取得された注目ポインタIDに対応する軌跡における本処理が未実行の1接触点分の特徴情報を取得し、取得した特徴情報と上記ステップ114Aの処理で取得された誤接触特徴情報とを比較する。また、ステップ114Cでは、特徴情報としての軌跡内の接触点の個数に対して付与されている重みと予め定められた重み(ここでは1.4)との比較も行う。
【0059】
次のステップ114Dでは、上記ステップ114Cの処理で特徴情報としての軌跡内の接触点の個数に付与された重みと予め定められた重みとが比較された結果として、特徴情報としての軌跡内の接触点の個数に対して付与されている重みが予め定められた重み未満であるか否かを判定し、ここで否定判定となった場合にはステップ114Fに移行し、肯定判定となった場合には、上記ステップ114Cの処理で特徴情報と誤接触特徴情報とが比較された結果として、特徴情報が誤接触特徴情報に相当するか否かを判定し、ここで肯定判定となった場合にはステップ114Eに移行する一方、否定判定となった場合にはステップ114Fに移行する。なお、本実施の形態では、ステップ114Dの処理には、重みの比較結果を判定する処理が含まれているが、この処理は無くても良い。この場合、誤接触判定処理に係る総処理時間が短くなる。しかし、誤接触であることをより高精度に判定するためには本実施の形態のステップ114Dで例示するように重みの比較結果を判定する処理を含めた方が良いので、本処理では重みに係る判定を含む処理を行う例を挙げている。
【0060】
ステップ114Dでは、誤接触特徴情報を含む決定木により特徴情報が誤接触特徴情報に相当するか否かを判定する。例えば、図6に示す軌跡の長さの分散と軌跡の面積との決定木、図7に示す軌跡の面積の分散と軌跡の長さの分散との決定木、及び図8に示す軌跡の個数と軌跡の長さの分散との決定木により特徴情報が誤接触特徴情報に相当するか否かを判定する。具体的には、上記ステップ114Cの処理で取得された特徴情報としての軌跡の長さの分散及び軌跡の面積が一例として図6に示す第1誤接触領域情報により示される領域に含まれるか否かを判定し、含まれる場合には特徴情報が誤接触情報に相当すると判定(ステップ114Dが肯定判定)し、誤接触情報に相当しないと判定された場合には特徴情報としての軌跡の長さの分散及び軌跡の面積が第1正接触領域情報により示される領域に含まれるか否かを判定し、含まれる場合には特徴情報が誤接触情報に相当しないと判定(ステップ114Dが否定判定)する。ここで、特徴情報が第1誤接触領域情報により示される領域及び第1正接触領域情報により示される領域の双方に含まれない場合には第1未判定領域情報により示される領域に含まれると判定し、上記ステップ114Cの処理で取得された特徴情報としての軌跡の面積の分散及び軌跡の長さの分散が一例として図7に示す第2誤接触領域情報により示される領域に含まれるか否かを判定し、含まれる場合には特徴情報が誤接触情報に相当すると判定(ステップ114Dが肯定判定)する。ここで、特徴情報が第2誤接触領域情報により示される領域に含まれない場合には第2未判定領域情報により示される領域に含まれると判定し、上記ステップ114Cの処理で取得された特徴情報としての軌跡の個数及び軌跡の長さの分散が一例として図8に示す第3誤接触領域情報により示される領域に含まれるか否かを判定し、含まれる場合には特徴情報が誤接触情報に相当すると判定(ステップ114Dが肯定判定)し、含まれない場合(第2正接触領域情報により示される領域に含まれる場合)には特徴情報が誤接触情報に相当しないと判定(ステップ114Dが否定判定)する。
【0061】
図9には、本実施の形態に係る液晶ペンタブレット10で採用している決定木によって一単位の軌跡について誤接触か否かを判定する手法の一例が示されている。なお、図9において、“size”とは、現時点でタッチパネル12Aに含まれる接触点を構成要素としている軌跡の面積を意味し、“points_stroke”とは、現時点でタッチパネル12Aに含まれる接触点を構成要素としている軌跡内の接触点の個数を意味し、“variance_length_trajectory”とは、現時点でタッチパネル12Aに含まれる接触点を構成要素としている軌跡の長さの分散を意味し、“variance_size”とは、現時点でタッチパネル12Aに含まれる接触点を構成要素としている軌跡の面積の分散を意味している。また、図9において、“pen”とは、スタイラスペン16による接触(正接触)を意味しており、“hand”とは、スタイラスペン16以外の例えば手や指による接触(誤接触)を意味している。
【0062】
本実施の形態に係る液晶ペンタブレット10では、一例として図9に示すように、決定木によって軌跡が誤接触によるものであるか否かの判定が行われると、最終的に、決定木の枝の末端にて、pen又はhandの結果が得られることになる。図9に示す例では、先ず、軌跡の面積が面積閾値S1以下であるか否かを判定し、次から枝分かれ的に各閾値を用いて判定を行っている。具体的には、S1以下であると判定された場合、軌跡の長さの分散が長さ分散閾値T1以下であるか否かを判定する。長さ分散閾値T1以下であると判定された場合、軌跡内の接触点の個数が個数閾値P1以下であるか否かを判定する。ここで、個数閾値P1以下であれば正接触と判定する。
【0063】
軌跡内の接触点の個数がP1以下でないと判定された場合、軌跡の長さの分散が長さ分散閾値T3以下であるか否かを判定する。ここで、長さ分散閾値T3以下であれば誤接触と判定する。
【0064】
軌跡の長さの分散が長さ分散閾値T3以下でなければ軌跡内の接触点の個数が個数閾値P2以下であるか否かを判定する。ここで、個数閾値P2以下であれば正接触と判定する。軌跡内の接触点の個数が個数閾値P2以下でなければ誤接触と判定する。
【0065】
一方、面積閾値S1以下であると判定された場合、軌跡の長さの分散が長さ分散閾値T1以下でなければ軌跡の面積の分散が面積分散閾値VS1以下であるか否かを判定する。ここで、面積分散閾値VS1以下であれば正接触と判定する。面積分散閾値VS1以下でなければ軌跡の長さの分散が長さ分散閾値T4以下であるか否かを判定する。ここで、長さ分散閾値T4以下であれば誤接触と判定し、T4以下でなければ正接触と判定する。
【0066】
一方、軌跡の面積が面積閾値S1以下でないと判定された場合、軌跡の長さの分散が長さ分散閾値T2以下であるか否かを判定する。長さ分散閾値T2以下であると判定された場合、軌跡内の接触点の個数が個数閾値P3以下であるか否かを判定する。P3以下であれば次に軌跡の面積が面積閾値S2以下であるか否かを判定し、面積閾値S2以下であれば次に軌跡内の接触点の個数が個数閾値P4以下であるか否かを判定する。ここで、個数閾値P4以下であれば正接触と判定し、個数閾値P4以下でなければ誤接触と判定する。軌跡の面積が面積閾値S2以下でなければ誤接触と判定する。軌跡内の接触点の個数が個数閾値P3以下でなければ誤接触と判定する。
【0067】
軌跡の長さの分散が長さ分散閾値T2以下でないと判定された場合、軌跡の面積が面積閾値S3以下であるか否かを判定する。面積閾値S3以下であれば正接触と判定し、面積閾値S3以下でなければ誤接触と判定する。
【0068】
ステップ114Eでは、注目ポインタIDにより特定される軌跡における判定対象とされた接触点単位でフラグを設定した後、ステップ114Fに移行する。なお、本実施の形態では、接触点単位で時刻情報及び座標情報が取得されるので、ステップ114Eの処理としては、判定対象とされた接触点に対応する時刻情報及び座標情報に1対1で対応するようにフラグを設定する形態例が挙げられる。
【0069】
ステップ114Fでは、上記ステップ114Bの処理で取得された注目ポインタIDにより特定される軌跡を構成している全接触点についての特徴情報と誤接触特徴情報とを比較したか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ114Cに戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ114Gに移行する。
【0070】
ステップ114Gでは、現時点で検出されている接触による軌跡に係るポインタIDが他に存在しているか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ114Bに戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ114Hに移行する。ステップ114Hでは、注目ポインタIDを取得した後、ステップ114Iに移行し、現時点で設定されているフラグの個数が、フラグが設定されていない接触点の個数を上回っているか否か(判定対象とされた軌跡を構成している接触点の個数の過半数を超えているか否か)を判定し、肯定判定となった場合にはステップ114Jに移行し、フラグの個数が全接触点の個数の過半数を超えていると判定された軌跡を特定するポインタIDに対して、誤接触により描かれた軌跡であることを示す誤接触情報を付与した後、ステップ114Kに移行する。
【0071】
一方、ステップ114Iにおいて否定判定となった場合にはステップ114Lに移行し、現時点で取得されている注目ポインタIDに誤接触情報が付与されているか否かを判定し、否定判定となった場合には本誤接触判定処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ114Mに移行し、注目ポインタIDから誤接触情報を消去した後、ステップ114Kに移行する。
【0072】
ステップ114Kでは、現時点で検出されている接触による軌跡に係るポインタIDが他に存在しているか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ114Hに戻る一方、肯定判定となった場合には本誤接触判定処理プログラムを終了する。
【0073】
一方、図3に示すステップ100及びステップ104において否定判定となった場合にはステップ116に移行する。ステップ116では、現時点で記憶領域αに記憶されているポインタIDのうち、誤接触情報が付与されたポインタIDが存在しているか否かを判定することにより誤接触を表す軌跡を特定している。本ステップ116において否定判定となった場合には本接触検出処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ118に移行する。ステップ118では、誤接触情報が付与されたポインタIDを取得し、取得したポインタIDにより特定される軌跡の位置に対応するLCD12Bの画面上の画像(例えば誤接触によってタッチパネル12Aに描かれた軌跡に相当する軌跡や、タッチパネル12Aに既に表示されている画面(例えばメニュー画面)に含まれるボタンを誤接触によって意図せず押してしまいボタンがONされた状態を示す画像)に対して所定処理を実施した後、本接触検出処理プログラムを終了する。なお、所定処理としては、例えば、図10に示すように、誤接触によってLCD12Bの画面に表示された画像を消去する処理や、図11に示すように誤接触によってLCD12Bの画面に表示された画像の色を特定の色(誤接触によって表示された画像であることを示す色として予め定められた色)に変色させる処理が挙げられる。また、誤接触によってLCD12Bの画面に表示された画像がタッチパネル12Aに描かれた軌跡に相当する軌跡であれば、その軌跡の太さや線種を変える処理が挙げられる。
【0074】
このように本実施の形態に係る液晶ペンタブレット10では、制御部22によって上記接触検出処理プログラムが実行されることで、タッチパネルに対する接触により描かれる軌跡が誤接触によるものであるか否かが容易かつ高精度に判定される。また、座標情報がポインタIDによって管理されているので、記憶領域αから誤接触によって描かれた軌跡に係る情報を消去して、正接触によって描かれた軌跡に係る情報(例えばポインタID及び座標情報)のみを記憶領域αに残すことにより、制御部22は正接触によって描かれた軌跡に係る情報に基づいてLCD12Bに軌跡を表示することになるので、誤接触による余計な軌跡(画像)が表示されずに可読性が良くなる上、ユーザはLCD12Bに表示された画像が誤接触によるものなのか正接触によるものなのかを気にする必要がなくなる。
【0075】
また、本実施の形態に係る液晶ペンタブレット10によれば、軌跡が複数存在する場合であってもそれらの軌跡の各々が誤接触によるものであるか否かが容易かつ高精度に判定される。例えば、図12に示すように、ポインタID1が付与された軌跡とポインタID2が付与された軌跡が存在する場合、各々の軌跡について独立(並行)して所定時間毎に誤接触であるか否かの判定が行われ、軌跡に対する接触が無くなった場合にポインタID1,2毎に独立して誤接触による軌跡が特定される。
【0076】
なお、上記実施の形態では、非接触が検出された場合(タッチパネル12Aに対する接触が解除された場合)に軌跡が誤接触によるものであるか否かの最終的な判定を下す場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、接触検出処理プログラムの1回の実行時間である所定時間(20ms)毎に軌跡が誤接触によるものであるか否かの最終的な判定を下しても良い。この場合、一例として図13に示すように誤接触判定処理を実行する毎に上記ステップ116,118の処理を実行すれば良い。この場合、上記実施の形態で説明した例に比べ、誤接触であるか否かの結論が迅速に得られる。よって、例えば誤入力が許されない重要なサイン(署名)を液晶ペンタブレット10により行う場合には即座に誤接触であることが判定されるので特に効果的である。なお、図13に示すフローチャートは、図3に示すフローチャートに比べ、ステップ104を除去した点、ステップ116,118をステップ114の後段に移設した点、及びステップ100の否定判定により接触検出処理プログラムが終了する点が異なっている。
また、図3に示すフローチャートの処理(接触検出処理)を適用するか、或いは図13に示すフローチャートの処理を適用するかを利用者に指定させるようにしても良い。これにより利便性が向上する。
【0077】
また、上記実施の形態では、所定時間として20msを例に挙げたが、これに限らず、他の時間であっても良く、この所定時間を利用者に指定させても良い。但し、所定時間として5msが適用された場合、20msの場合に比べ、所定時間(5ms)毎に上記接触検出処理プログラムを実行することが困難なため、非接触が検出されたときに、それまでに溜まったデータに基づいて軌跡が誤接触によるものであるか否かの最終的な判定を下すと良い。このように5ms毎に接触検出処理プログラムを実行する場合には次のルーチン(例えば、次の接触検出処理)が間に合わなくならないように次のルーチンで用いるデータ(例えば座標情報や特徴情報など)を先行のルーチンを実行している段階で溜めておく(準備しておく)ことが好ましい。
【0078】
また、上記実施の形態では、大きさ情報として軌跡の面積を適用し、度合い情報として軌跡の面積の分散及び軌跡の長さの分散を適用し、継続時間依拠情報として軌跡内の接触点の個数を適用した場合の形態例を挙げて説明したが、軌跡の面積に代えて軌跡の長さを適用し、軌跡の面積の分散に代えて軌跡の面積の標準偏差を適用し、軌跡の長さの分散に代えて軌跡の長さの標準偏差を適用し、軌跡内の接触点の個数に代えて接触の継続時間を適用しても良い。また、軌跡の面積及び長さについては、面積及び長さの最大値、最小値又は平均値を適用しても良い。
【0079】
また、上記実施の形態では、決定木を用いて誤接触であるか否かを判定する場合の形態例を挙げて説明したが、決定木に代えて、テンプレートマッチング法、k−最近傍識別法、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、隠れマルコフモデル又はブースティングなどを用いて判定を行うようにしても良い。但し、これらの場合も学習用に収集した特徴情報及び判定結果をフィードバックして再度学習用のデータとして用いることになる。
【0080】
また、上記実施の形態では、誤接触によってLCD12Bの画面に表示された画像に対して所定処理(消去や変色)を強制的に施す場合の形態例を挙げて説明したが、誤接触により表示された画像に対して所定処理を施すか否かの指示をユーザが事前に液晶ペンタブレット10に対して与えておき、所定処理を施さない指示が事前に与えられていた場合には誤接触により表示された画像に対して所定処理を施さず、所定処理を施す指示が事前に与えられていた場合には誤接触により表示された画像に対して所定処理を施すようにしても良い。なお、これらの指示は、タッチパネル・ディスプレイ12を介して与えても良いし、液晶ペンタブレット10に対して別途指示用のスイッチを設け、このスイッチをオン・オフすることによって与えるようにしても良い。また、有線若しくは無線通信を用いた遠隔操作により液晶ペンタブレット10に対して指示を与えるようにしても良い。
【0081】
また、上記実施の形態では、スタイラスペン16による接触を正接触として取り扱う場合の形態例を挙げて説明したが、これは説明の便宜上使用した一例であり、あくまでもタッチパネル12Aに対する接触から得られた特徴情報が予め登録されているデータ(例えば誤接触特徴情報)に相当しているか否かを判定することにより誤接触であるか否かを判定しているので、判定結果がタッチパネル12Aに接触する物体(指示体)の種類に依存しているわけではないことは言うまでもない。
【0082】
また、上記実施の形態では、ポインタIDにより特定される軌跡毎に誤接触による軌跡であるか否かを判定する場合の形態例を挙げて説明したが、予め定められた期間内に上述した多数決によって誤接触による軌跡であると判定された場合に、その期間内にタッチパネル12Aに描かれた軌跡を全て誤接触によるものであると判定するようにしても良い。
【0083】
また、上記実施の形態では、特徴情報が第1〜第3誤接触領域に含まれるか否かを判定することにより誤接触による軌跡であるか否かを判定するようにしたが、これに限らず、特徴情報が誤接触による軌跡の特徴を示す誤接触特徴情報として予め登録された情報に相当するか否かを判定することにより誤接触による軌跡であるか否かを判定しても良い。また、誤接触特徴情報は複数登録されていても良く、この場合、特徴情報が何れかの誤接触特徴情報に相当すれば誤接触による軌跡であると判定する形態例が挙げられる。
【0084】
また、上記実施の形態では、多数決によって誤接触による軌跡であるか否かを判定する場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、誤接触であると判定された接触点の個数として予め定められた個数以上であるか否かを判定することにより誤接触による軌跡であるか否かを判定しても良い。
【0085】
また、上記実施の形態では、タッチパネル12Aに対する誤接触を直接的に判定し、この判定結果に基づいて正接触と誤接触とを区別する場合の形態例を挙げて説明したが、これとは逆にタッチパネル12Aに対する正接触を直接的に判定し、この判定結果に基づいて正接触と誤接触とを区別しても良い。この場合、例えば、特徴情報が図8に示す第2正接触領域情報により示される領域に含まれるか否かを判定し、含まれると判定された場合にフラグを設定し、フラグの個数が全接触点の個数の過半数を超えているか否かを判定し、超えていると判定された場合にフラグの個数が全接触点の個数の過半数を超えていると判定された軌跡を特定するポインタIDに対して、正接触により描かれた軌跡であることを示す正接触情報を付与することにより、正接触による軌跡が特定され、これ以外の軌跡が誤接触による軌跡と特定される。なお、この場合もフラグの個数が全接触点の個数の過半数を超えているかを判定せずに所定時間(例えば20ms)毎に正接触であるか否かの最終的な結論を出すようにしても良いことは言うまでも無い。このように、特徴情報が、タッチパネル12Aに特定接触(タッチパネル12Aに対する正しい接触として予め定められた正接触又はタッチパネル12Aに対する誤った接触として予め定められた誤接触)を行うことによって描かれる軌跡の特徴を示すと共に予め登録された特定接触特徴情報(正接触特徴情報又は誤接触特徴情報)に相当するか否かを判定することにより正接触と誤接触とが高精度に判定される。
【符号の説明】
【0086】
10 液晶ペンタブレット
12 タッチパネル・ディスプレイ
12A タッチパネル
12B LCD
14 記録表示装置
22 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた被接触面に対して二次元状に対応付けられ、各々該被接触面に対する物体の接触を検出する複数の検出素子と、
前記複数の検出素子の検出結果に基づいて、物体が前記被接触面に接触することによって描かれる軌跡の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された特徴情報が、物体が前記被接触面に特定接触を行うことによって描かれる軌跡の特徴を示すと共に予め登録された特定接触特徴情報に相当するか否かを判定する判定手段と、
を含む接触検出装置。
【請求項2】
前記特定接触を、前記被接触面に対する正しい接触として予め定められた正接触又は前記被接触面に対する誤った接触として予め定められた誤接触とした請求項1に記載の接触検出装置。
【請求項3】
前記軌跡を識別する識別情報を該軌跡に対応付ける対応付け手段を更に含み、
前記判定手段は、前記識別情報により識別される軌跡毎に、前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当するか否かを判定する請求項1又は請求項2に記載の接触検出装置。
【請求項4】
前記判定手段の判定結果に基づいて前記被接触面に対する前記特定接触を表す前記軌跡を特定する特定手段を更に含む請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の接触検出装置。
【請求項5】
前記特定手段は、予め定められた期間内に前記判定手段により、前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当すると判定された回数に基づいて、前記被接触面に対する前記特定接触を表す前記軌跡を特定する請求項4に記載の接触検出装置。
【請求項6】
前記特定手段は、前記予め定められた期間内に、前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当すると前記判定手段により判定された回数が前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当しないと前記判定手段により判定された回数よりも多い場合に、該予め定められた期間内の前記被接触面における前記軌跡を前記特定接触を表す軌跡として特定する請求項5に記載の接触検出装置。
【請求項7】
前記予め定められた期間を、物体が前記被接触面に接触してから該被接触面から離れるまでの期間とした請求項5又は請求項6に記載の接触検出装置。
【請求項8】
前記特徴情報を、前記軌跡の大きさを表す大きさ情報、前記軌跡の大きさのばらつきの度合いを表す度合い情報、及び物体が前記被接触面に継続して接触している時間に基づいて導出された継続時間依拠情報の少なくとも1つとした請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の接触検出装置。
【請求項9】
前記大きさ情報を、前記軌跡の面積及び前記軌跡の長さの少なくとも1つを示す情報とし、
前記度合い情報を、前記軌跡の面積の分散若しくは標準偏差を示す軌跡面積統計情報、及び前記軌跡の長さの分散若しくは標準偏差を示す軌跡長統計情報の少なくとも1つとし、
前記継続時間依拠情報を、前記軌跡の個数を示す軌跡個数情報とした請求項8に記載の接触検出装置。
【請求項10】
前記判定手段は、前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当するか否かを、前記特定接触特徴情報を含んで構成された決定木を用いて判定する請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の接触検出装置。
【請求項11】
前記軌跡に対して接触時間に応じた重みを付与する付与手段を更に含み、
前記判定手段は、更に、前記付与手段によって付与された重みが予め定められた重み以上であるか否かを判定する請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の接触検出装置。
【請求項12】
予め定められた被接触面に対して二次元状に対応付けられ、各々該被接触面に対する物体の接触を検出する複数の検出素子と、
前記複数の検出素子の検出結果に基づいて、物体が前記被接触面に接触することによって描かれる軌跡の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された特徴情報が、物体が前記被接触面に特定接触を行うことによって描かれる軌跡の特徴を示すと共に予め登録された特定接触特徴領域に含まれるか否かを判定する判定手段と、
を含む接触検出装置。
【請求項13】
請求項1〜請求項12の何れか1項に記載の接触検出装置と、
前記接触検出装置が画面上に重ねて設けられ、該画面に前記接触検出装置での検出結果に応じた画像を表示する表示手段と、
を含む記録表示装置。
【請求項14】
前記判定手段の判定結果に基づいて特定された軌跡に対応する位置に表示された画像を前記画面から消去する消去手段を更に含む請求項13に記載の記録表示装置。
【請求項15】
予め定められた被接触面に対して二次元状に対応付けられ、各々該被接触面に対する物体の接触を検出する複数の検出素子を含む接触検出装置を制御するコンピュータを、
前記複数の検出素子の検出結果に基づいて、物体が前記被接触面に接触することによって描かれる軌跡の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段、
及び、前記生成手段によって生成された特徴情報が、物体が前記被接触面に特定接触を行うことによって描かれる軌跡の特徴を示すと共に予め登録された特定接触特徴情報に相当するか否かを判定する判定手段として機能させるためのプログラム。
【請求項16】
予め定められた被接触面に対して二次元状に対応付けられ、各々該被接触面に対する物体の接触を検出する複数の検出素子を含む接触検出装置を制御するコンピュータを、
前記複数の検出素子の検出結果に基づいて、物体が前記被接触面に接触することによって描かれる軌跡の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段、
及び、前記生成手段によって生成された特徴情報が、物体が前記被接触面に特定接触を行うことによって描かれる軌跡の特徴を示すと共に予め登録された特定接触特徴領域に含まれるか否かを判定する判定手段として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
予め定められた被接触面に対して二次元状に対応付けられ、各々該被接触面に対する物体の接触を検出する複数の検出素子と、
前記複数の検出素子の検出結果に基づいて、物体が前記被接触面に接触することによって描かれる軌跡の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された特徴情報が、物体が前記被接触面に特定接触を行うことによって描かれる軌跡の特徴を示すと共に予め登録された特定接触特徴情報に相当するか否かを判定する判定手段と、
を含む接触検出装置。
【請求項2】
前記特定接触を、前記被接触面に対する正しい接触として予め定められた正接触又は前記被接触面に対する誤った接触として予め定められた誤接触とした請求項1に記載の接触検出装置。
【請求項3】
前記軌跡を識別する識別情報を該軌跡に対応付ける対応付け手段を更に含み、
前記判定手段は、前記識別情報により識別される軌跡毎に、前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当するか否かを判定する請求項1又は請求項2に記載の接触検出装置。
【請求項4】
前記判定手段の判定結果に基づいて前記被接触面に対する前記特定接触を表す前記軌跡を特定する特定手段を更に含む請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の接触検出装置。
【請求項5】
前記特定手段は、予め定められた期間内に前記判定手段により、前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当すると判定された回数に基づいて、前記被接触面に対する前記特定接触を表す前記軌跡を特定する請求項4に記載の接触検出装置。
【請求項6】
前記特定手段は、前記予め定められた期間内に、前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当すると前記判定手段により判定された回数が前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当しないと前記判定手段により判定された回数よりも多い場合に、該予め定められた期間内の前記被接触面における前記軌跡を前記特定接触を表す軌跡として特定する請求項5に記載の接触検出装置。
【請求項7】
前記予め定められた期間を、物体が前記被接触面に接触してから該被接触面から離れるまでの期間とした請求項5又は請求項6に記載の接触検出装置。
【請求項8】
前記特徴情報を、前記軌跡の大きさを表す大きさ情報、前記軌跡の大きさのばらつきの度合いを表す度合い情報、及び物体が前記被接触面に継続して接触している時間に基づいて導出された継続時間依拠情報の少なくとも1つとした請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の接触検出装置。
【請求項9】
前記大きさ情報を、前記軌跡の面積及び前記軌跡の長さの少なくとも1つを示す情報とし、
前記度合い情報を、前記軌跡の面積の分散若しくは標準偏差を示す軌跡面積統計情報、及び前記軌跡の長さの分散若しくは標準偏差を示す軌跡長統計情報の少なくとも1つとし、
前記継続時間依拠情報を、前記軌跡の個数を示す軌跡個数情報とした請求項8に記載の接触検出装置。
【請求項10】
前記判定手段は、前記生成手段によって生成された特徴情報が前記特定接触特徴情報に相当するか否かを、前記特定接触特徴情報を含んで構成された決定木を用いて判定する請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の接触検出装置。
【請求項11】
前記軌跡に対して接触時間に応じた重みを付与する付与手段を更に含み、
前記判定手段は、更に、前記付与手段によって付与された重みが予め定められた重み以上であるか否かを判定する請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の接触検出装置。
【請求項12】
予め定められた被接触面に対して二次元状に対応付けられ、各々該被接触面に対する物体の接触を検出する複数の検出素子と、
前記複数の検出素子の検出結果に基づいて、物体が前記被接触面に接触することによって描かれる軌跡の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された特徴情報が、物体が前記被接触面に特定接触を行うことによって描かれる軌跡の特徴を示すと共に予め登録された特定接触特徴領域に含まれるか否かを判定する判定手段と、
を含む接触検出装置。
【請求項13】
請求項1〜請求項12の何れか1項に記載の接触検出装置と、
前記接触検出装置が画面上に重ねて設けられ、該画面に前記接触検出装置での検出結果に応じた画像を表示する表示手段と、
を含む記録表示装置。
【請求項14】
前記判定手段の判定結果に基づいて特定された軌跡に対応する位置に表示された画像を前記画面から消去する消去手段を更に含む請求項13に記載の記録表示装置。
【請求項15】
予め定められた被接触面に対して二次元状に対応付けられ、各々該被接触面に対する物体の接触を検出する複数の検出素子を含む接触検出装置を制御するコンピュータを、
前記複数の検出素子の検出結果に基づいて、物体が前記被接触面に接触することによって描かれる軌跡の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段、
及び、前記生成手段によって生成された特徴情報が、物体が前記被接触面に特定接触を行うことによって描かれる軌跡の特徴を示すと共に予め登録された特定接触特徴情報に相当するか否かを判定する判定手段として機能させるためのプログラム。
【請求項16】
予め定められた被接触面に対して二次元状に対応付けられ、各々該被接触面に対する物体の接触を検出する複数の検出素子を含む接触検出装置を制御するコンピュータを、
前記複数の検出素子の検出結果に基づいて、物体が前記被接触面に接触することによって描かれる軌跡の特徴を示す特徴情報を生成する生成手段、
及び、前記生成手段によって生成された特徴情報が、物体が前記被接触面に特定接触を行うことによって描かれる軌跡の特徴を示すと共に予め登録された特定接触特徴領域に含まれるか否かを判定する判定手段として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−84223(P2013−84223A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225202(P2011−225202)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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