説明

推定用多項式生成装置、入力パラメータ極性通知装置、推定装置および方法

【課題】分析用データを用いて推定用多項式を求め、推定用多項式を用いて状態量などの推定を行なう場合に、状態量推定の実体が完全に不明な状態を緩和する。
【解決手段】推定用多項式生成装置は、入力パラメータのデータとこれに対応する出力パラメータのデータとの組からなる分析用データを用いて、入力パラメータから出力パラメータを推定する推定用多項式を算出する推定用多項式算出部2と、分析用データを用いて1次の推定用多項式を算出する1次推定用多項式算出部3と、1次の推定用多項式における各入力パラメータの係数の正負に基づいて、入力パラメータが出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを入力パラメータ毎に判定する1次推定用多項式係数判定部4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、状態量などの出力パラメータを推定するための推定用多項式を算出する推定用多項式生成装置、例えば推定用多項式を用いた状態量推定の最中に入出力パラメータ間の関係の極性を通知する入力パラメータ極性通知装置、および推定用多項式を用いて状態量などを推定する推定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置、FPD(Flat Panel Display)製造装置、あるいは太陽電池製造装置における熱プロセスやプラズマプロセスでは、ウエハやガラスの表面温度(実体温度)などの重要な状態量を処理プロセスの実行中にオンラインで管理、制御したいという要求がある。しかしながら、ウエハやガラスの表面に温度センサを装着したまま処理を行なうことは困難である。
【0003】
そこで、処理プロセスの実行中に測定可能な箇所の温度と処理プロセスの実行中には測定不可能なウエハやガラスの表面温度(実体温度)との関係をオフラインで予め調査し、処理プロセスの実行時には測定可能な温度と予め把握した関係に基づき、ウエハやガラスの表面温度(実体温度)を推定することにより、重要な状態量をオンラインで管理、制御するようにしている。このような場合に、オフラインの調査で得られる測定可能な温度とウエハやガラスの表面温度(実体温度)の計測データ(分析用データ)に対して、多変量解析手法を適用することにより、測定可能な温度とウエハやガラスの表面温度の数値的関係を近似推定する多項式を求める手法(多項式による状態量推定)が広く実施されている(例えば特許文献1参照)。多変量解析手法を用いる場合、処理プロセスの実行中に測定可能な温度は、多項式の入力パラメータに位置付けられる。一方、推定対象であるウエハやガラスの表面温度(実体温度)は、多項式の出力パラメータに位置付けられる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−141999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
状態量推定の対象は、多くの場合、入力パラメータと出力パラメータとが単純な線形関係にはない。したがって、状態量推定の精度を向上させたい場合には、多変量解析により求める推定用多項式を高次化しなければならない。推定用多項式は多変量解析手法などにより算出されるが、入出力パラメータ間の関係が概略としてでもどのようになっているのかなどは、高次の多項式になればなるほど把握し難くなる。すなわち、推定用多項式を用いて状態量などを推定する場合、多くのケースで状態量推定の実体が完全に不明な状態になってしまうという問題点があった。
【0006】
推定用多項式を算出するオフラインの作業を専門的に実施するオペレータであれば、仮に入出力パラメータ間の関係が明らかであったとしても、算出された多項式を実体が不明なものとして扱わざるを得ないので、結果的に支障が発生しているとは言えない。しかしながら、推定用多項式を利用して例えばウエハやガラスの表面温度(実体温度)をオンラインで管理する立場のオペレータにとっては、状態量推定の実体が不明な状態の推定用多項式に対して自身の知見が介在できない状況が発生していることになる。すなわち、この場合は、オペレータの知見が介在できないという支障が発生していることになる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、分析用データを用いて推定用多項式を求め、推定用多項式を用いて状態量などの推定を行なう場合に、状態量推定の実体が完全に不明な状態を緩和することができる推定用多項式生成装置、入力パラメータ極性通知装置、推定装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の推定用多項式生成装置は、入力パラメータのデータとこれに対応する出力パラメータのデータとの組からなる分析用データを用いて、前記入力パラメータから前記出力パラメータを推定する推定用多項式を算出する推定用多項式算出手段と、この推定用多項式算出手段が算出した推定用多項式または前記分析用データから別途算出した推定用多項式に基づいて、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを入力パラメータ毎に判定する入力パラメータ極性判定手段と、この入力パラメータ極性判定手段の判定結果を出力する入力パラメータ極性出力手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の推定用多項式生成装置の1構成例において、前記入力パラメータ極性判定手段は、前記分析用データを用いて、前記入力パラメータから前記出力パラメータを推定する1次の推定用多項式を算出する1次推定用多項式算出手段と、この1次推定用多項式算出手段が算出した1次の推定用多項式における各入力パラメータの係数の正負に基づいて、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを入力パラメータ毎に判定する1次推定用多項式係数判定手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の推定用多項式生成装置の1構成例において、前記推定用多項式算出手段は、奇数次の前記推定用多項式を算出するものであり、前記入力パラメータ極性判定手段は、前記推定用多項式算出手段が算出した推定用多項式における各入力パラメータの独立最高次の項の係数の正負に基づいて、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを入力パラメータ毎に判定する独立最高次係数判定手段を備えることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の推定用多項式生成装置の1構成例において、前記入力パラメータ極性判定手段は、前記推定用多項式算出手段が算出した推定用多項式において特定の入力パラメータ以外の各入力パラメータを想定される変動範囲内の代表値に固定して前記特定の入力パラメータを想定される最小値から最大値の間で変化させ、前記出力パラメータの変化を求めることを入力パラメータ毎に行う代表値周辺検証計算手段と、この代表値周辺検証計算手段で計算された、前記入力パラメータに対する前記出力パラメータの変化から、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを入力パラメータ毎に判定する代表値周辺増減判定手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の推定用多項式生成装置の1構成例において、前記入力パラメータ極性判定手段は、前記推定用多項式算出手段が算出した推定用多項式において前記出力パラメータを前記入力パラメータで偏微分した偏微分多項式を入力パラメータ毎に算出する偏微分多項式算出手段と、この偏微分多項式算出手段が算出した偏微分多項式の微分係数の正負の分布に基づいて、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを入力パラメータ毎に判定する微分係数分布判定手段とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の入力パラメータ極性通知装置は、推定用多項式生成装置から予め出力された判定結果を記憶する入力パラメータ極性記憶手段と、この入力パラメータ極性記憶手段に記憶されている判定結果に従って、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを通知する入力パラメータ極性通知手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の推定装置は、前記入力パラメータを取得する入力パラメータ値取得手段と、推定用多項式生成装置の推定用多項式算出手段が算出した推定用多項式を用い、前記入力パラメータ値取得手段が取得した入力パラメータから前記出力パラメータを推定する多項式推定演算手段と、推定用多項式生成装置から予め出力された判定結果を記憶する入力パラメータ極性記憶手段と、この入力パラメータ極性記憶手段に記憶されている判定結果に従って、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを通知する入力パラメータ極性通知手段とを備えることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の推定用多項式生成方法は、入力パラメータのデータとこれに対応する出力パラメータのデータとの組からなる分析用データを用いて、前記入力パラメータから前記出力パラメータを推定する推定用多項式を算出する推定用多項式算出手順と、この推定用多項式算出手順で算出した推定用多項式または前記分析用データから別途算出した推定用多項式に基づいて、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを入力パラメータ毎に判定する入力パラメータ極性判定手順と、この入力パラメータ極性判定手順の判定結果を出力する入力パラメータ極性出力手順とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の入力パラメータ極性通知方法は、入力パラメータ極性出力手順で出力された判定結果を記憶する入力パラメータ極性記憶手順と、この入力パラメータ極性記憶手順で記憶した判定結果に従って、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを通知する入力パラメータ極性通知手順とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の推定方法は、前記入力パラメータを取得する入力パラメータ値取得手順と、推定用多項式算出手順で算出された推定用多項式を用い、前記入力パラメータ値取得手順で取得した入力パラメータから前記出力パラメータを推定する多項式推定演算手順と、入力パラメータ極性出力手順で出力された判定結果を記憶する入力パラメータ極性記憶手順と、この入力パラメータ極性記憶手順で記憶した判定結果に従って、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを通知する入力パラメータ極性通知手順とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、推定用多項式算出手段が算出した推定用多項式または分析用データから別途算出した推定用多項式に基づいて判定を行う入力パラメータ極性判定手段を設けることにより、入力パラメータが出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを入力パラメータ毎に判定することができ、装置を使用する例えば半導体製造プロセスのオペレータなどのユーザに判定結果を通知することができる。その結果、状態量などの出力パラメータの推定の実体が完全に不明な状態を緩和することができ、ユーザは、自身の知見と推定用多項式による推定の傾向とが一致しているか否かを把握することができる。
【0013】
また、本発明では、推定用多項式生成装置の判定結果に従って、入力パラメータが出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを通知する入力パラメータ極性通知手段を設けることにより、入出力パラメータ間の関係の極性の判定結果を、例えば半導体製造プロセスのオペレータなどのユーザに通知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[発明の原理]
多変量解析手法などによって得られる推定用多項式は、もともと複雑な多入力系を適用対象とするケースが多いので、状態量推定の実体が不明になる傾向はやむを得ない。ただし、オペレータの知見として、ある入力パラメータが出力パラメータに対して増加要素であるか減少要素であるか程度は予め理解されているケースは少なくない。
【0015】
このような事実から、発明者は、オペレータの知見と推定用多項式による状態量推定の傾向とが一致しているか否かをオペレータが把握できるように表示することで、状態量推定の実体が完全に不明な状態を緩和できることに着眼した。このような表示により、オペレータの知見との一致度を容易に確認できるので、実用上の安全面の改善に活用できることになる。例えば、ヒータによりウエハなどを加熱昇温させるプロセスの制御において、昇温量が大きいほどヒータを最大出力に維持すべき時間は長くなるはずである。例えば、100℃から200℃に昇温させるときにヒータ出力を100%に維持する時間が60秒であったとすると、100℃から300℃に昇温させるときにヒータ出力を100%に維持する時間は少なくとも60秒よりは長くなるはずである。
【0016】
本発明では、このように昇温量が大きくなると維持時間が長くなるというような関係を増加関係と呼ぶ。昇温量は維持時間に対して増加要素である。このような状況で、収集した分析用データを用いて推定用多項式を算出したときに、昇温量が大きくなると維持時間が短くなるという減少関係が得られたとすれば、この推定用多項式の算出に用いた分析用データに何らかの不備があったということである。推定用多項式による状態量推定の実体が不明な状態であれば、推定されるはずの関係と逆の関係が得られてしまうといった単純な矛盾すら見落とされることになりかねない。
【0017】
上記のように着眼すると、入力パラメータが出力パラメータに対して増加要素であるか減少要素であるかを、分析用データを用いて推定用多項式を求めるオフラインの段階で特定するのが得策である。この特定は入力パラメータに対する出力パラメータの増減の具合を厳密に定量化するということではないので、特定の入力パラメータと出力パラメータの入出力関係について増加関係なのか減少関係なのかということ(極性)を判定することのみを考えればよい。
【0018】
判定方法としては、下記のいくつかの方法が考えられる。第1の方法は、入力パラメータと出力パラメータの関係が増加関係なのか減少関係なのかということ(極性)を判定するために、分析用データを用いて1次の推定用多項式を算出して、各入力パラメータの係数の正負で極性を判定する方法である。この方法は、1次の多項式であれば、係数により極性が自動的に決定してしまうことに着眼した方法である。
【0019】
第2の方法は、分析用データを用いて奇数次の高次推定用多項式を算出して、各入力パラメータの独立最高次の項の係数の正負で極性を判定する方法である。ある入力パラメータのみに関する項のうち、最高次の項をその入力パラメータの独立最高次の項と呼ぶ。第2の方法は、高次の項であるほど、入力パラメータ空間の最小値付近と最大値付近における出力パラメータ値の大小関係について支配的になる確率が高いので、最高次の項の係数により極性を判定できる可能性が高いことに着眼した方法である。
【0020】
第3の方法は、分析用データを用いて高次の推定用多項式を算出して、注目する特定の入力パラメータ以外の各入力パラメータを変動範囲の代表値(中央値など)に固定し、注目する入力パラメータを想定される最小値から最大値の間にて特定間隔で変化させ、出力パラメータ値の変化により極性を判定する方法である。この方法は、多項式であれば、入力パラメータ空間内の任意の位置で出力パラメータ値を容易に算出できることに着眼した方法である。
【0021】
第4の方法は、分析用データを用いて高次の推定用多項式を算出して、出力パラメータを注目する特定の入力パラメータで偏微分し、微分係数の正負の分布により極性を判定する方法である。この方法は、推定用多項式であれば、偏微分した数式を自動で求めることが可能であることに着眼した方法である。
【0022】
判定方法自体は、第1〜第4の方法に限られるわけではない。極性の判定結果をオンラインの段階で、表示などによりオペレータに通知できるようにすれば、オペレータの知見と推定用多項式の傾向が一致しているか否かをオペレータが把握することができる。
【0023】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る推定用多項式生成装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態は、入力パラメータと出力パラメータの関係が増加関係なのか減少関係なのかということ(極性)を判定するために、分析用データを用いて1次の推定用多項式を算出して、各入力パラメータに付く係数の正負で極性を判定する第1の方法に基づくものである。
【0024】
図1の推定用多項式生成装置は、分析用データを用いて推定用多項式を求めるオフラインの段階で使用されるものであり、分析用データ記憶部1と、推定用多項式算出部2と、1次推定用多項式算出部3と、1次推定用多項式係数判定部4と、入力パラメータ極性出力部5とから成る。
【0025】
図1の推定用多項式生成装置の動作を図2のフローチャートを参照して説明する。ここでは、説明を簡単にするため、入力パラメータを2個と仮定する。入力パラメータX,Yと出力パラメータZの組み合わせ(X,Y,Z)が、A(0.0,0.0,48.0)、B(2.0,0.0,20.0)、C(4.0,0.0,0.0)、D(1.0,1.0,40.2)、E(3.0,1.0,28.2)、F(0.0,2.0,66.4)、G(2.0,2.0,38.4)、H(4.0,2.0,18.4)、I(0.0,3.0,69.9)、J(2.0,3.0,41.9)、K(4.0,3.0,21.9)、L(1.0,4.0,56.7)、M(3.0,4.0,44.7)、N(0.0,5.0,96.0)、O(2.0,5.0,68.0)、P(4.0,5.0,48.0)となっているA〜Pの16組の値が分析用データとして得られているものとする。分析用データ記憶部1は、これらの分析用データを予め記憶している。このときのA〜Pの16組の分析用データの分布を図3に示す。
【0026】
推定用多項式算出部2は、分析用データ記憶部1に記憶されている分析用データに対して重回帰分析やSVR(Support Vector Regression )などの広義の多変量解析を行い、入力パラメータX,Yから出力パラメータZを推定する高次の推定用多項式を算出する(図2ステップS100)。図3に示した分析用データから得られる推定用多項式は例えば以下のようになる。
Z=−2.0X3+1.024Y3+13.0X2−7.04Y2−32.0X
+19.2Y+48.0 ・・・(1)
【0027】
式(1)により形成される曲面を図4、図5、図6に示す。図4は図3に示した分析用データの分布に推定用多項式により形成される曲面30を重ねた図であり、図5は曲面30のみを示した図である。図6はデータ点と曲面30の距離を示した図であるが、全てのデータ点が曲面30上にプロットされていることが分かる。つまり、式(1)によれば、入力パラメータX,Yから出力パラメータZを精度良く推定できることが分かる。
【0028】
図4〜図6のように図示すれば、入力パラメータX,Yと出力パラメータZの関係が増加関係なのか減少関係なのかということ(極性)を感覚的に判断できる可能性はある。しかしながら、感覚的に判断できるのは入力パラメータが2個に仮定されているからであり、入力パラメータ数がさらに増えると、図示すること自体が困難になる。
【0029】
一方、1次推定用多項式算出部3は、分析用データ記憶部1に記憶されている分析用データに対して多変量解析を行い、入力パラメータX,Yから出力パラメータZを推定する1次の推定用多項式を算出する(ステップS101)。図3に示した分析用データから得られる1次の推定用多項式は例えば以下のようになる。
Z=−11.0X+8.4Y+44.0 ・・・(2)
【0030】
推定用多項式算出部2と1次推定用多項式算出部3で用いる多変量解析手法が異なる点は、推定用多項式算出部2では推定用多項式の次数が限定されていないのに対し、1次推定用多項式算出部3では1次に限定されている点である。式(2)により形成される平面を図7、図8に示す。図7は推定用多項式により形成される平面60のみを示した図であり、図8はデータ点と平面60の距離を示した図である。推定用多項式を1次に限定したため、一部のデータ点が平面60から離れた位置に点在している。
【0031】
1次推定用多項式係数判定部4は、1次推定用多項式算出部3が算出した1次の推定用多項式における各入力パラメータの係数の正負から、入力パラメータと出力パラメータの関係が増加関係なのか減少関係なのかを入力パラメータ毎に判定する(ステップS102)。式(2)に示した1次の推定用多項式によれば、入力パラメータXの係数の符号は負なので、入力パラメータXは出力パラメータZの減少要素と判定でき、入力パラメータYの係数の符号は正なので、入力パラメータYは出力パラメータZの増加要素と判定できる。こうして、入力パラメータ毎に極性を判定することができる。
入力パラメータ極性出力部5は、1次推定用多項式係数判定部4の判定結果を出力する(ステップS103)。
【0032】
以上のように、本実施の形態によれば、1次推定用多項式算出部3と1次推定用多項式係数判定部4とを設けることにより、入力パラメータが出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを入力パラメータ毎に判定することができ、装置を使用する例えば半導体製造プロセスのオペレータなどのユーザに判定結果を通知することができる。その結果、状態量などの出力パラメータの推定の実体が完全に不明な状態を緩和することができ、オペレータは、自身の知見と推定用多項式による推定の傾向とが一致しているか否かを把握することができる。
【0033】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図9は本発明の第2の実施の形態に係る推定用多項式生成装置の構成を示すブロック図であり、図1と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態は、分析用データを用いて奇数次の高次推定用多項式を算出して、各入力パラメータの独立最高次の項の係数の正負で極性を判定する第2の方法に基づくものである。
【0034】
図9の推定用多項式生成装置は、分析用データを用いて推定用多項式を求めるオフラインの段階で使用されるものであり、分析用データ記憶部1と、推定用多項式算出部2aと、入力パラメータ極性出力部5と、独立最高次係数判定部6とから成る。
【0035】
図9の推定用多項式生成装置の動作を図10のフローチャートを参照して説明する。分析用データ記憶部1には、第1の実施の形態と同じA〜Pの16組の値が分析用データとして予め記憶されているものとする。
推定用多項式算出部2aは、分析用データ記憶部1に記憶されている分析用データに対して多変量解析を行い、奇数次の推定用多項式を算出する(図10ステップS200)。推定用多項式算出部2と推定用多項式算出部2aで用いる多変量解析手法が異なる点は、推定用多項式算出部2では推定用多項式の次数が限定されていないのに対し、推定用多項式算出部2aでは奇数次に限定されている点である。このとき得られる推定用多項式は、式(1)に示したとおりである。式(1)において、X3の項は入力パラメータXのみに関する独立最高次の項であり、Y3の項は入力パラメータYのみに関する独立最高次の項である。
【0036】
独立最高次係数判定部6は、推定用多項式算出部2aが算出した推定用多項式における各入力パラメータの独立最高次の項の係数の正負から、入力パラメータと出力パラメータの関係が増加関係なのか減少関係なのかを入力パラメータ毎に判定する(ステップS201)。式(1)に示した推定用多項式によれば、入力パラメータXの独立最高次の項X3に付く係数の符号は負なので、入力パラメータXは出力パラメータZの減少要素と判定でき、入力パラメータYの独立最高次の項Y3に付く係数の符号は正なので、入力パラメータYは出力パラメータZの増加要素と判定できる。こうして、入力パラメータ毎に極性を判定することができる。
入力パラメータ極性出力部5は、独立最高次係数判定部6の判定結果を出力する(ステップS202)。
【0037】
以上のようにして、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、推定用多項式にX3やY3の項がなく、XY2やX2Yの項があったとしても、XY2やX2Yの項は独立最高次の項には該当しない。その理由は、XY2やX2Yが複数の入力パラメータを含むからである。
【0038】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図11は本発明の第3の実施の形態に係る推定用多項式生成装置の構成を示すブロック図であり、図1と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態は、分析用データを用いて高次の推定用多項式を算出して、注目する特定の入力パラメータ以外の各入力パラメータを変動範囲の代表値(中央値など)に固定し、注目する入力パラメータを想定される最小値から最大値の間にて特定間隔で変化させ、出力パラメータ値の変化により極性を判定する第3の方法に基づくものである。
【0039】
図11の推定用多項式生成装置は、分析用データを用いて推定用多項式を求めるオフラインの段階で使用されるものであり、分析用データ記憶部1と、推定用多項式算出部2と、入力パラメータ極性出力部5と、代表値周辺検証計算部7と、代表値周辺増減判定部8とから成る。
【0040】
図11の推定用多項式生成装置の動作を図12のフローチャートを参照して説明する。分析用データ記憶部1には、第1の実施の形態と同じA〜Pの16組の値が分析用データとして予め記憶されているものとする。
第1の実施の形態と同様に、推定用多項式算出部2は、分析用データ記憶部1に記憶されている分析用データに対して多変量解析を行い、高次の推定用多項式を算出する(図12ステップS300)。このとき得られる推定用多項式は、式(1)に示したとおりである。
【0041】
代表値周辺検証計算部7は、推定用多項式算出部2が算出した推定用多項式において、注目する特定の入力パラメータ以外の各入力パラメータを想定される変動範囲内の代表値(中央値など)に固定し、注目する入力パラメータを想定される最小値から最大値の間で変化させ、出力パラメータの変化を求める(ステップS301)。
【0042】
入力パラメータXに注目したとき、入力パラメータX以外の入力パラメータYの想定される変動範囲(最小値から最大値)をY=0.0からY=5.0とすると、中央値はY=2.5になる。そこで、代表値周辺検証計算部7は、Y=2.5に固定して、式(1)から出力パラメータZと入力パラメータXだけの次式を求める。
Z=−2.0X3+13.0X2−32.0X+68.0 ・・・(3)
【0043】
代表値周辺検証計算部7は、式(3)において入力パラメータXの想定される変動範囲(最小値から最大値)をX=0.0からX=4.0とし、変化幅をΔX=0.5として入力パラメータXを変化させると、入力パラメータXに対する出力パラメータZの計算結果および入力パラメータXの変化に対する出力パラメータZの変化量ΔZの計算結果(X,Z,ΔZ)として、(X=0.0,Z=68.0,ΔZ=0),(X=0.5,Z=55.0,ΔZ=−13.0),(X=1.0,Z=47.0,ΔZ=−8.0),(X=1.5,Z=42.5,ΔZ=−4.5),(X=2.0,Z=40.0,ΔZ=−2.5),(X=2.5,Z=38.0,ΔZ=−2.0),(X=3.0,Z=35.0,ΔZ=−3.0),(X=3.5,Z=29.5,ΔZ=−5.5),(X=4.0,Z=20.0,ΔZ=−9.5)を得る。この計算は、図13に示すように、式(1)により形成される曲面30上におけるY=2.5の線130上の点を検証していることを意味する。
【0044】
一方、入力パラメータYに注目したとき、入力パラメータY以外の入力パラメータXの想定される変動範囲(最小値から最大値)をX=0.0からX=4.0とすると、中央値はX=2.0になる。そこで、代表値周辺検証計算部7は、X=2.0に固定して、式(1)から出力パラメータZと入力パラメータYだけの次式を求める。
Z=1.024Y3−7.04Y2+19.2Y+20.0 ・・・(4)
【0045】
代表値周辺検証計算部7は、式(4)において入力パラメータYの想定される変動範囲(最小値から最大値)をY=0.0からY=5.0とし、変化幅をΔY=0.5として入力パラメータYを変化させると、入力パラメータYに対する出力パラメータZの計算結果および入力パラメータYの変化に対する出力パラメータZの変化量ΔZの計算結果(Y,Z,ΔZ)として、(Y=0.0,Z=20.0,ΔZ=0),(Y=0.5,Z=28.0,ΔZ=8.0),(Y=1.0,Z=33.2,ΔZ=5.2),(Y=1.5,Z=36.4,ΔZ=3.2),(Y=2.0,Z=38.4,ΔZ=2.0),(Y=2.5,Z=40.0,ΔZ=1.6),(Y=3.0,Z=41.9,ΔZ=1.9),(Y=3.5,Z=44.9,ΔZ=3.0),(Y=4.0,Z=49.7,ΔZ=4.8),(Y=4.5,Z=57.2,ΔZ=7.5),(Y=5.0,Z=68.0,ΔZ=10.8)を得る。この計算は、図14に示すように、式(1)により形成される曲面30上におけるX=2.0の線140上の点を検証していることを意味する。代表値周辺検証計算部7は、以上のような処理を推定用多項式算出部2が算出した推定用多項式の入力パラメータ毎に行う。
【0046】
代表値周辺増減判定部8は、代表値周辺検証計算部7で計算された、入力パラメータに対する出力パラメータの変化から、入力パラメータと出力パラメータの関係が増加関係なのか減少関係なのかを入力パラメータ毎に判定する(ステップS302)。入力パラメータXに注目したときの式(3)から計算された結果によると、入力パラメータXの増加に伴う出力パラメータZの減少回数(ΔZが負値になる回数)および減少量(ΔZの累積は−48.0)が多いので、入力パラメータXは出力パラメータZの減少要素と判定できる。また、入力パラメータYに注目したときの式(4)から計算された結果によると、入力パラメータYの増加に伴う出力パラメータZの増加回数(ΔZが正値になる回数)および増加量(ΔZの累積は48.0)が多いので、入力パラメータYは出力パラメータZの増加要素と判定できる。こうして、入力パラメータ毎に極性を判定することができる。
【0047】
入力パラメータ極性出力部5は、代表値周辺増減判定部8の判定結果を出力する(ステップS303)。
以上のようにして、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図15は本発明の第4の実施の形態に係る推定用多項式生成装置の構成を示すブロック図であり、図1と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態は、分析用データを用いて高次の推定用多項式を算出して、出力パラメータを注目する特定の入力パラメータで偏微分し、微分係数の正負の分布により極性を判定する第4の方法に基づくものである。
【0049】
図15の推定用多項式生成装置は、分析用データを用いて推定用多項式を求めるオフラインの段階で使用されるものであり、分析用データ記憶部1と、推定用多項式算出部2と、入力パラメータ極性出力部5と、偏微分多項式算出部9と、微分係数分布判定部10とから成る。
【0050】
図15の推定用多項式生成装置の動作を図16のフローチャートを参照して説明する。分析用データ記憶部1には、第1の実施の形態と同じA〜Pの16組の値が分析用データとして予め記憶されているものとする。
第1の実施の形態と同様に、推定用多項式算出部2は、分析用データ記憶部1に記憶されている分析用データに対して多変量解析を行い、高次の推定用多項式を算出する(図16ステップS400)。このとき得られる推定用多項式は、式(1)に示したとおりである。
【0051】
偏微分多項式算出部9は、推定用多項式算出部2が算出した推定用多項式において出力パラメータZを入力パラメータXで偏微分して以下のような式を得る(ステップS401)。
∂Z/∂X=−6.0X2+26.0X−32.0 ・・・(5)
【0052】
また、偏微分多項式算出部9は、推定用多項式算出部2が算出した推定用多項式において出力パラメータZを入力パラメータYで偏微分して以下のような式を得る(ステップS401)。
∂Z/∂Y=3.072Y2−14.08Y+19.2 ・・・(6)
偏微分多項式算出部9は、以上のような処理を推定用多項式算出部2が算出した推定用多項式の入力パラメータ毎に行う。
【0053】
微分係数分布判定部10は、偏微分多項式算出部9が算出した式の微分係数の正負の分布により、入力パラメータと出力パラメータの関係が増加関係なのか減少関係なのかを入力パラメータ毎に判定する(ステップS402)。
【0054】
入力パラメータXに注目したときに計算された式(5)は、入力パラメータYに依存しない式である。微分係数分布判定部10は、式(5)において入力パラメータXの想定される変動範囲(最小値から最大値)をX=0.0からX=4.0とし、変化幅をΔX=0.5として入力パラメータXを変化させると、入力パラメータXに対する偏微分∂Z/∂Xの計算結果(X,∂Z/∂X)として、(X=0.0,∂Z/∂X=−32.0),(X=0.5,∂Z/∂X=−20.5),(X=1.0,∂Z/∂X=−12.0),(X=1.5,∂Z/∂X=−6.5),(X=2.0,∂Z/∂X=−4.0),(X=2.5,∂Z/∂X=−4.5),(X=3.0,∂Z/∂X=−8.0),(X=3.5,∂Z/∂X=−14.5),(X=4.0,∂Z/∂X=−24.0)を得る。この計算結果より、∂Z/∂Xの平均値が−14.0なので、入力パラメータXは出力パラメータZの減少要素と判定できる。
【0055】
また、入力パラメータYに注目したときに計算された式(6)は、入力パラメータXに依存しない式である。微分係数分布判定部10は、式(6)において入力パラメータYの想定される変動範囲(最小値から最大値)をY=0.0からY=5.0とし、変化幅をΔY=0.5として入力パラメータYを変化させると、入力パラメータYに対する偏微分∂Z/∂Yの計算結果(Y,∂Z/∂Y)として、(Y=0.0,∂Z/∂Y=19.2),(Y=0.5,∂Z/∂Y=12.9),(Y=1.0,∂Z/∂Y=8.2),(Y=1.5,∂Z/∂Y=5.0),(Y=2.0,∂Z/∂Y=3.3),(Y=2.5,∂Z/∂Y=3.2),(Y=3.0,∂Z/∂Y=4.6),(Y=3.5,∂Z/∂Y=7.6),(Y=4.0,∂Z/∂Y=12.0),(Y=4.0,∂Z/∂Y=18.0),(Y=4.0,∂Z/∂Y=25.6)を得る。この計算結果より、∂Z/∂Yの平均値が10.9なので、入力パラメータYは出力パラメータZの増加要素と判定できる。こうして、入力パラメータ毎に極性を判定することができる。
【0056】
入力パラメータ極性出力部5は、微分係数分布判定部10の判定結果を出力する(ステップS403)。
以上のようにして、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。図17は本発明の第5の実施の形態に係る推定装置の構成を示すブロック図である。図17の推定装置は、オフラインの段階で求められた推定用多項式を用いて推定値を算出するオンラインの段階で使用されるものであり、推定用多項式記憶部11と、入力パラメータ値取得部12と、多項式推定演算部13と、推定値出力部14と、入力パラメータ極性記憶部15と、入力パラメータ極性通知部16とから成る。なお、推定装置は、第1〜第4の実施の形態のいずれかの推定用多項式生成装置を内部に有するものであってもよい。
【0058】
推定用多項式記憶部11は、第1〜第4の実施の形態のいずれかの推定用多項式算出部2,2aで予め算出された推定用多項式を記憶している。
入力パラメータ値取得部12は、例えば半導体製造装置の熱プロセスやプラズマプロセスなどのプロセスの実行中に温度センサ(不図示)から入力される温度などの入力パラメータX,Yの値を取得する。
【0059】
多項式推定演算部13は、推定用多項式記憶部11に記憶されている推定用多項式を用い、入力パラメータ値取得部12が取得した入力パラメータX,Yの値から出力パラメータZの値を推定する。多項式推定演算部13が推定した出力パラメータZの値は、推定値出力部14を通じて外部に出力される。多項式推定演算部13は、このような推定処理を例えば一定時間毎に行う。
【0060】
本実施の形態の本質的特徴部分は入力パラメータ極性記憶部15と入力パラメータ極性通知部16であり、これらは入力パラメータ極性通知装置を構成している。この入力パラメータ極性通知装置は、オンラインで推定用多項式を利用して状態量管理(推定値管理)を行なうオペレータに、各入力パラメータの極性を認識させることを目的とするものである。入力パラメータ極性通知装置は、図17に示したように推定装置の内部にあってもよいし、推定装置の外部にあってもよい。
【0061】
入力パラメータ極性記憶部15は、第1〜第4の実施の形態のいずれかの入力パラメータ極性出力部5から予め出力された判定結果を記憶している。
入力パラメータ極性通知部16は、入力パラメータ極性記憶部15に記憶されている判定結果に従って、入力パラメータが出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを入力パラメータ毎にオペレータに通知する。
【0062】
図18は入力パラメータの極性の通知方法の例を示す図であり、入力パラメータ極性通知部16が表示する画面の例を示す図である。図18に示す画面180では、推定用多項式記憶部11と入力パラメータ値取得部12と多項式推定演算部13と推定値出力部14とからなる構成を、入力パラメータX,Yから出力パラメータZを推定するファンクションブロック181として表現している。このとき、入力パラメータ極性通知部16は、入力パラメータが出力パラメータの増加要素であれば、当該入力パラメータ名の後ろに「(+)」と表示し、入力パラメータが出力パラメータの減少要素であれば、当該入力パラメータ名の後ろに「(−)」と表示する。図18の例では、入力パラメータXが減少要素、入力パラメータYが増加要素として表示されている。
【0063】
こうして、本実施の形態では、入力パラメータが出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを入力パラメータ毎に通知することができる。オペレータは、入力パラメータの極性を知ることにより、自身の知見と推定用多項式による状態量推定の傾向とが一致しているか否かを把握することができる。なお、通知方法は、図18に示した方法に限るものではない。
【0064】
第1〜第5の実施の形態で説明した推定用多項式生成装置と入力パラメータ極性通知装置と推定装置の各々は、それぞれCPU、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。推定用多項式生成装置と入力パラメータ極性通知装置と推定装置のCPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って第1〜第5の実施の形態で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、推定用多項式を用いて状態量などを推定する技術に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る推定用多項式生成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る推定用多項式生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態における分析用データの分布の1例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態において3次の推定用多項式により形成される曲面を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態において3次の推定用多項式により形成される曲面を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態において3次の推定用多項式により形成される曲面を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態において1次の推定用多項式により形成される平面を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態において1次の推定用多項式により形成される平面を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る推定用多項式生成装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る推定用多項式生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る推定用多項式生成装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る推定用多項式生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施の形態における代表値周辺検証計算部の動作を説明するための図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態における代表値周辺検証計算部の動作を説明するための図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態に係る推定用多項式生成装置の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第4の実施の形態に係る推定用多項式生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第5の実施の形態に係る推定装置の構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の第5の実施の形態における入力パラメータの極性の通知方法の例を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1…分析用データ記憶部、2,2a…推定用多項式算出部、3…1次推定用多項式算出部、4…1次推定用多項式係数判定部、5…入力パラメータ極性出力部、6…独立最高次係数判定部、7…代表値周辺検証計算部、8…代表値周辺増減判定部、9…偏微分多項式算出部、10…微分係数分布判定部、11…推定用多項式記憶部、12…入力パラメータ値取得部、13…多項式推定演算部、14…推定値出力部、15…入力パラメータ極性記憶部、16…入力パラメータ極性通知部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力パラメータのデータとこれに対応する出力パラメータのデータとの組からなる分析用データを用いて、前記入力パラメータから前記出力パラメータを推定する推定用多項式を算出する推定用多項式算出手段と、
この推定用多項式算出手段が算出した推定用多項式または前記分析用データから別途算出した推定用多項式に基づいて、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを入力パラメータ毎に判定する入力パラメータ極性判定手段と、
この入力パラメータ極性判定手段の判定結果を出力する入力パラメータ極性出力手段とを備えることを特徴とする推定用多項式生成装置。
【請求項2】
請求項1記載の推定用多項式生成装置において、
前記入力パラメータ極性判定手段は、
前記分析用データを用いて、前記入力パラメータから前記出力パラメータを推定する1次の推定用多項式を算出する1次推定用多項式算出手段と、
この1次推定用多項式算出手段が算出した1次の推定用多項式における各入力パラメータの係数の正負に基づいて、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを入力パラメータ毎に判定する1次推定用多項式係数判定手段とを備えることを特徴とする推定用多項式生成装置。
【請求項3】
請求項1記載の推定用多項式生成装置において、
前記推定用多項式算出手段は、奇数次の前記推定用多項式を算出するものであり、
前記入力パラメータ極性判定手段は、前記推定用多項式算出手段が算出した推定用多項式における各入力パラメータの独立最高次の項の係数の正負に基づいて、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを入力パラメータ毎に判定する独立最高次係数判定手段を備えることを特徴とする推定用多項式生成装置。
【請求項4】
請求項1記載の推定用多項式生成装置において、
前記入力パラメータ極性判定手段は、
前記推定用多項式算出手段が算出した推定用多項式において特定の入力パラメータ以外の各入力パラメータを想定される変動範囲内の代表値に固定して前記特定の入力パラメータを想定される最小値から最大値の間で変化させ、前記出力パラメータの変化を求めることを入力パラメータ毎に行う代表値周辺検証計算手段と、
この代表値周辺検証計算手段で計算された、前記入力パラメータに対する前記出力パラメータの変化から、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを入力パラメータ毎に判定する代表値周辺増減判定手段とを備えることを特徴とする推定用多項式生成装置。
【請求項5】
請求項1記載の推定用多項式生成装置において、
前記入力パラメータ極性判定手段は、
前記推定用多項式算出手段が算出した推定用多項式において前記出力パラメータを前記入力パラメータで偏微分した偏微分多項式を入力パラメータ毎に算出する偏微分多項式算出手段と、
この偏微分多項式算出手段が算出した偏微分多項式の微分係数の正負の分布に基づいて、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを入力パラメータ毎に判定する微分係数分布判定手段とを備えることを特徴とする推定用多項式生成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の推定用多項式生成装置から予め出力された判定結果を記憶する入力パラメータ極性記憶手段と、
この入力パラメータ極性記憶手段に記憶されている判定結果に従って、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを通知する入力パラメータ極性通知手段とを備えることを特徴とする入力パラメータ極性通知装置。
【請求項7】
前記入力パラメータを取得する入力パラメータ値取得手段と、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の推定用多項式生成装置の推定用多項式算出手段が算出した推定用多項式を用い、前記入力パラメータ値取得手段が取得した入力パラメータから前記出力パラメータを推定する多項式推定演算手段と、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の推定用多項式生成装置から予め出力された判定結果を記憶する入力パラメータ極性記憶手段と、
この入力パラメータ極性記憶手段に記憶されている判定結果に従って、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを通知する入力パラメータ極性通知手段とを備えることを特徴とする推定装置。
【請求項8】
入力パラメータのデータとこれに対応する出力パラメータのデータとの組からなる分析用データを用いて、前記入力パラメータから前記出力パラメータを推定する推定用多項式を算出する推定用多項式算出手順と、
この推定用多項式算出手順で算出した推定用多項式または前記分析用データから別途算出した推定用多項式に基づいて、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを入力パラメータ毎に判定する入力パラメータ極性判定手順と、
この入力パラメータ極性判定手順の判定結果を出力する入力パラメータ極性出力手順とを備えることを特徴とする推定用多項式生成方法。
【請求項9】
請求項8記載の入力パラメータ極性出力手順で出力された判定結果を記憶する入力パラメータ極性記憶手順と、
この入力パラメータ極性記憶手順で記憶した判定結果に従って、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを通知する入力パラメータ極性通知手順とを備えることを特徴とする入力パラメータ極性通知方法。
【請求項10】
前記入力パラメータを取得する入力パラメータ値取得手順と、
請求項8記載の推定用多項式算出手順で算出された推定用多項式を用い、前記入力パラメータ値取得手順で取得した入力パラメータから前記出力パラメータを推定する多項式推定演算手順と、
請求項8記載の入力パラメータ極性出力手順で出力された判定結果を記憶する入力パラメータ極性記憶手順と、
この入力パラメータ極性記憶手順で記憶した判定結果に従って、前記入力パラメータが前記出力パラメータの増加要素であるか減少要素であるかを通知する入力パラメータ極性通知手順とを備えることを特徴とする推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−146059(P2010−146059A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319395(P2008−319395)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】