説明

揚げ豆腐加工食品

【課題】製造時において繊細で面倒な作業を必要とせず、高齢者や子供でも無理なく食することができる揚げ豆腐加工食品を提供すること。
【解決手段】開口部10を有する揚げ豆腐1内に具2を入れた食材であって、開口部付近をリング状の蒟蒻3又は輪切りした竹輪により絞る態様で閉じてある。具2が入った揚げ豆腐1の胴部分に、具2の入っていない揚げ豆腐1の開口部10付近を巻き付け、リング状の蒟蒻3又は輪切りした竹輪により胴部と共に開口部付近を共絞めしてなる。リング状の蒟蒻3は冷凍耐性を有するものである。
【選択図面】図1

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、おでん等の煮込み料理に使用する揚げ豆腐加工食品(開口部から内部に具を入れる形式のもの)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
揚げ豆腐加工食品の一つである所謂巾着は、開口部を有する揚げ豆腐内に具を入れ、開口部付近を干瓢で縛り付けるようにして製造されている(例えば、特許文献1。)。前記の如く開口部付近を干瓢で縛り付けるのは、加熱調理時において内部の具等が膨張して外部に溢れでないようにするためである。
【0003】
したがって、鍋料理に巾着を使用した場合、巾着は大きく形を崩すことはなく、また、ともに調理されている具に対して見栄え等の悪影響を与えることはない。
【0004】
しかしながら、上記干瓢で開口部付近を縛り付けてなる巾着は、以下に示すような問題がある。
(1) 干瓢により巾着の開口部付近を縛りつけるという比較的困難な作業、及び干瓢の切取り作業等が必要である。
(2) 干瓢自体が丈夫な食材であり、それを縛った(結び固めた)部分は、噛む力が弱い高齢者や子供では噛み切ることが困難であり、干瓢を食べ残す者が多い。
【0005】
つまり、従来の巾着は、製造時おいて繊細で面倒な作業が必要であり、また、高齢者や子供にとっては無理なく食することができないという問題がある。
【0006】
なお、この種の問題は、巾着に限られず、開口部から内部に具を入れる形式の揚げ豆腐加工食品であれば同様に有している。
【特許文献1】特開平8−322499(従来の技術の欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本願発明は、製造時において繊細で面倒な作業を必要とせず、高齢者や子供でも無理なく食することができる揚げ豆腐加工食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(請求項1記載の発明)
この発明の揚げ豆腐加工食品は、開口部を有する揚げ豆腐内に具を入れた食材であって、開口部付近をリング状の蒟蒻又は輪切りした竹輪により絞める態様で閉じてある。
(請求項2記載の発明)
この発明の揚げ豆腐加工食品は、具が入った揚げ豆腐の胴部分に、具の入っていない揚げ豆腐の開口部付近を巻き付け、リング状の蒟蒻又は輪切りした竹輪により胴部と共に開口部付近を共絞めしてなる。
(請求項3記載の発明)
この発明の揚げ豆腐加工食品は、上記請求項1又は2記載の発明に関し、リング状の蒟蒻が、冷凍耐性を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の揚げ豆腐加工食品は、製造時において繊細で面倒な作業を必要とせず、高齢者や子供でも無理なく食することができる。
【0010】
この発明の揚げ豆腐加工食品の場合、以下に示す効果を奏する。
【0011】
(1)上述した如く、従来の揚げ豆腐加工食品では、干瓢により巾着の開口部付近等を縛りつけるという比較的困難な作業、及び干瓢の切取り作業等が必要である。
【0012】
これに対して、この発明の揚げ豆腐加工食品では、リング状の蒟蒻又は輪切りした竹輪を巾着の開口部付近に輪ゴムを掛ける態様で、巾着の開口部付近を縛ることができる。
【0013】
つまり、揚げ豆腐加工食品の製造時の作業のうち、揚げ豆腐加工食品の開口部付近を縛りつける作業が非常に簡単である。
(2) 上述した如く、従来の揚げ豆腐加工食品に使用されている干瓢は丈夫な食材であり、それを縛った(結び固めた)部分は、噛む力が弱い高齢者や子供では噛み切ることが困難であり、干瓢を食べ残す者が多い。
【0014】
これに対して、この発明の揚げ豆腐加工食品では、干瓢にかえてリング状の蒟蒻又は輪切りした竹輪により、揚げ豆腐加工食品の開口部付近等を締め付けるようにしており、噛み切ることが困難な食材は含まれていない。したがって、この発明の揚げ豆腐加工食品では、高齢者や子供でも無理なく食することができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下にこの発明の巾着を作成するための最良の形態として実施例について詳しく説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は巾着K(揚げ豆腐加工食品)の正面図、図2の(a)(b)は巾着Kの製造手順を示す説明図である。
(この巾着Kの構成等について)
この巾着Kは、図1に示すように、揚げ豆腐1の内部空間に具2が収容されており、開口部10付近をリング状の蒟蒻3で絞める態様で閉じて成る。
【0017】
なお、上記した具2は揚げ豆腐1に入る食材なら何でもよいが、餅や所謂練物などが好ましい。
【0018】
また、リング状の蒟蒻3は、主成分である多糖類のグルコマンナンに水を吸収させ、粘度の高いコロイド状態を凝固させた物質である。
【0019】
「巾着Kの製造」
先ず、図2の(a)に示すように、揚げ豆腐1の内部に切り込みを入れて、開口部10を有する袋体を形成する。次に、開口部10から具2を揚げ豆腐1内に入れ、リング状の蒟蒻3(ある程度の弾性を有する)を二重にして揚げ豆腐1の開口部近傍を絞る態様で閉じると、巾着Kの製造は完了する
ここで、リング状の蒟蒻3又は輪切りした竹輪を巾着の開口部付近に輪ゴムを掛ける態様で、巾着の開口部付近を縛ることができる。したがって、その作業は熟練を要することなくだれでも簡単にできる。
【0020】
また、揚げ豆腐1の生地は軟弱であるが故に、弾性を有するリング状の蒟蒻3により適度な絞り具合にできる。
【0021】
「巾着Kの調理」
上記の方法で製造された巾着Kは、図1の形態のまま煮込まれる。
【0022】
上述した如く、リング状の蒟蒻3は、主成分である多糖類のグルコマンナンに水を吸収させ、粘度の高いコロイド状態を凝固させた物質である。よって、前記リング状の蒟蒻3は、弾性を持つ食材であると共に水中で煮沸すると縮む特性を持っており、このため、調理時においてリング状の蒟蒻3により揚げ豆腐1の開口部10付近の絞り力は増大し、具2が外部へ膨出することをより確実に阻止できる。
【0023】
したがって、具2が揚げ豆腐1の外部に漏れ出すことは無く、具2が煮込時に膨張する食材であったとしても、蒟蒻の弾性と煮込み時の収縮によって、揚げ豆腐1を破損することなく、調理することが可能となる。
【0024】
「巾着Kの試食」
上記のようにして、製造・調理した巾着Kを試食した。
【0025】
すると、従来の巾着の如き噛み切ることが困難な食材は含まれていないので、高齢者や子供でも無理なく全てを食することができることとなった。
【0026】
「巾着Kの保存」
巾着Kについて、調理前の保存を考慮に入れると、冷凍食品として用いるのが好ましい。ところが、通常の蒟蒻は冷凍すると蒟蒻内部に含有している水分が抜けてしまい、解凍すると痩せ細ってしまう為、使い物にならなくなるという欠点がある。したがって、リング状の蒟蒻としては、冷凍耐性蒟蒻(熱耐性として蒟蒻粉に澱粉等を混合したもの)を用いることが好ましい。
【0027】
冷凍耐性蒟蒻を使用することによって、巾着Kは冷凍食品として利用可能となり、冷凍状態の巾着Kをそのまま鍋等に入れ煮沸する行為のみで食せることができることとなる。
【実施例2】
【0028】
図3は太鼓型の揚げ豆腐加工食品の正面図である。
【0029】
この揚げ豆腐加工食品は、図3に示すように、具2が入った揚げ豆腐1の胴部分に、具2の入っていない揚げ豆腐1の開口部10付近を巻き付け、リング状の蒟蒻3により胴部と共に開口部10付近を共絞めしてなるものである。
【0030】
この揚げ豆腐加工食品についても、上記実施例1と同等の作用・効果を有していることが明らかである。
(他の実施の形態)
上記実施例では、開口部を閉じる材料としてリング状の蒟蒻3を使用したが、これを輪切りした竹輪(弾性を有している)に変えることができる。
【0031】
なお、上記竹輪は、魚肉に食塩を加えて磨り潰し、食塩やその他食材を加え、竹等の棒を使用して筒状に成形し、焼きを入れた魚肉練製品である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】巾着(揚げ豆腐加工食品)の正面図。
【図2】(a)(b)は巾着Kの製造手順を示す説明図。
【図3】太鼓型の揚げ豆腐加工食品の正面図。
【符号の説明】
【0033】
K 巾着
1 揚げ豆腐
10 開口部
2 具
3 リング状の蒟蒻

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する揚げ豆腐内に具を入れた食材であって、開口部付近をリング状の蒟蒻又は輪切りした竹輪により絞る態様で閉じてあることを特徴とする揚げ豆腐加工食品。
【請求項2】
具が入った揚げ豆腐の胴部分に、具の入っていない揚げ豆腐の開口部付近を巻き付け、リング状の蒟蒻又は輪切りした竹輪により胴部と共に開口部付近を共絞めしてなることを特徴とする揚げ豆腐加工食品。
【請求項3】
リング状の蒟蒻が、冷凍耐性を有するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の揚げ豆腐加工食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−166930(P2007−166930A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−365740(P2005−365740)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(505470096)
【Fターム(参考)】