説明

揮発性アミンを含まないポリウレタン水性分散体

革、紙、金属、織物およびプラスチックのためのコーティングを調製するのに有用である、揮発性アミンを含まないカルボキシル化されたアニオン性ポリウレタンの水性分散体を調製するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、革、紙、金属、織物およびプラスチックのためのコーティングを調製するのに有用である、揮発性アミンを含まないアニオン性ポリウレタンの水性分散体を調製するための方法に関する。
本発明の水性分散体のポリウレタンのアニオン性基は、カルボキシル基である。
【背景技術】
【0002】
アニオン性ポリウレタンの水性分散体は、長期間にわたり知られており、これらの液相の蒸発により得られるフィルムの高い化学的および機械的な耐性、ならびにこれらのエコ適合性(eco-compatibility)のために、種々の分野において用いられている。
【0003】
中和された形態にある酸性基の存在により、一般的に非イオン性基、例えばポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレン側鎖のポリウレタンにおける導入によってしばしば改善される特徴であるポリウレタンの水中での分散性および安定性が確実になる。
【0004】
これらの側鎖は、フィルムの化学的および機械的な耐性に負の影響を及ぼし、特に、これらは水中での膨潤を増大する。
アニオン性ポリウレタン分散体を調製するにあたり一般的に用いられる中和剤は、揮発性の第三級有機アミン類である。
【0005】
分散体中に揮発性アミンが存在することにより悪臭が発生し、フィルム形成の間にこれらが蒸発することにより毒物学的な、および環境上の問題が生じる。
さらに、揮発性アミン類を含む水性分散体から得られるフィルムは、微量のアミン類を包含し、特定の残留悪臭を維持する;特に知覚できる適用、例えば紙における適用において、この欠点は分散体を用いることを脅かしさえする可能性がある。
【0006】
水に分散したポリウレタンの酸性基の中和剤としてアルカリ性カチオンを用いる可能性は、時々文献中で一般的用語において論じられており、関連する欠点が明確に示されている。
例えば、EP 1153051では、無機アルカリを中和において用い、ポリウレタンがポリオキシエチレン鎖を含まない場合には、ポリウレタンが適用の間に凝固することが、報告されている。
【0007】
US 4,203,883およびUS 4,387,181において、過度に大量のアルカリ金属塩類を含むフィルムは、一般的に耐水性をほとんど有しないことが、報告されている。
US 4,501,852において、不揮発性の対イオンの量が増大するに伴って、フィルムの加水分解安定性もまた増加するが、膨張耐性(swelling resistance)は水の存在下で損なわれると、考えられている。
アルカリ性金属塩基で中和されたアニオン性ポリウレタンの水性分散体の調製は、文献においては実際に推奨されていない。
【0008】
水に分散したアニオン性ポリウレタンのカルボキシル基の中和におけるアルカリ金属カチオンの使用に明らかに関連する欠点にもかかわらず、中和剤がアルカリ金属カチオンであるアニオン性ポリウレタンの水性分散体を調製するための2つの異なる手順の記載が、文献中に見出された。
【0009】
Mobay Chem. Co.に譲渡されたUS 4,501,852において、3つの例(例V、XXIIおよびXXIV)には、鉱油中の60%水素化ナトリウムを加え、その後水中に分散させ、延長(extension)させることによる、無水環境中でカルボキシル基を含む3種のプレポリマーの中和が記載されている;鉱油中のアルカリ性水素化物を用いることにより、大規模操作における明白な欠点および水と混和性でない無極性有機溶媒を含む分散体を得ることに至る。
【0010】
US 4,501,852において、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩でも中和することが可能であると言われているという事実にもかかわらず、カルボキシル基を含むプレポリマーの中和は常に、揮発性アミンを用いて、無水環境において水素化ナトリウムを用いて、またはこれらの混合物を用いて行われる。
さらに、US 4,501,852には、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレン側鎖を含まないポリウレタンの水性分散体は、記載されていない。
【0011】
US 4,701,480(またMobay Chem. Co.に譲渡された)の手順において、中和はカルボキシル基に対してアルカリ性金属塩基を用いて直接行われず、カルボキシル基を先ず、揮発性有機塩基で中和し、その後0より高いpKaを有する酸のアルカリ性金属塩類を加えて、後に蒸留して除去することができる揮発性有機塩基を少なくとも部分的に置換する。
【0012】
揮発性アミンを含まない分散体を得るために用いられる場合のUS 4,701,480の手順は、多くの段階および生成物(加熱により、分散体は不安定になり得る)を変化させ得る最終的な蒸留段階を含み、また操作上の困難、例えば反応器壁上の沈着物、フィルムおよび泡形成が生じる;さらに、適正に希釈された形態ではない場合には、0より高いpKaを有する酸のアルカリ性金属塩類をカルボキシル化された分散体に加えることにより、分散体自体の不安定性および凝塊の生成が生じる。
【0013】
したがって、塩基およびこの結果最終生成物を希釈することが、必要である。
本出願人はここで、揮発性アミンを完全に含まない、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン側鎖を有しないアニオン性ポリウレタンの安定な水性分散体を調製するための手順、即ちいかなる段階においても金属水素化物または揮発性アミン類を用いることを伴わない手順を、見出した。
【0014】
さらに、本出願人は、本発明の手順から得られるアニオン性ポリウレタンの水性分散体を、適正に架橋された場合に、高い化学的および機械的な耐性を有するポリウレタンフィルムを調製するために用いることができることを検証した。
【0015】
本出願人が知る限り、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン側鎖を有せず、アニオン性基としてカルボキシル基を含む、アニオン性ポリウレタンの揮発性アミンを含まない安定な水性分散体は、文献中に記載されておらず、また当該分野から知られる方法を用いて得られない。
【発明の概要】
【0016】
発明の開示
本発明の基本的な目的は、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン側鎖を有しないアニオン性ポリウレタンの水性分散体を調製するための手順であって、以下の段階:a)2〜10重量%の−NCO基および10〜100meq(ミリ当量)のカルボキシル基を含むプレポリマーを、i)−COOH基を含む少なくとも1種のポリオール、ii)少なくとも1種の非イオン性ポリオール、iii)少なくとも1種の脂肪族または脂環式ポリイソシアネートを反応させることにより調製すること;b)5℃〜30℃の温度にて、水酸化アルカリ金属を含む水溶液中にプレポリマーを分散させ、水酸化アルカリ金属の量がプレポリマーのカルボキシル基の少なくとも60%を中和するのに十分であること;c)ポリアミンを加えることによってプレポリマーを延長し、温度を5〜40℃に維持し、アニオン性ポリウレタンの20〜50重量%の水性分散体を得ることを含む、前記手順である。
【0017】
本発明の他の目的は、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン側鎖を有せず、揮発性アミンを含まないアニオン性ポリウレタンの安定な20〜50重量%の水性分散体により表され、ここでポリウレタンは、2〜10重量%の−NCO基および10〜100meqのカルボキシル基をアルカリ金属カチオンの塩の形態で含み、i)−COOH基を含む少なくとも1種のポリオール、ii)少なくとも1種の非イオン性ポリオール、iii)少なくとも1種の脂肪族または脂環式ポリイソシアネートを反応させることにより得られるプレポリマーのポリアミンで延長することから得られる。
【0018】
本発明の手順は、ポリウレタンの架橋d)が続く場合には、水中で、および有機溶媒中で高い化学的および機械的な耐性を有するフィルムを発生する分散体を提供する。
【0019】
したがって、本発明の他の目的は、アミンを含まないポリウレタンフィルムを調製する方法であって、以下の段階:a)2〜10重量%の−NCO基および10〜100meqのカルボキシル基を含むプレポリマーを、i)−COOH基を含む少なくとも1種のポリオール、ii)少なくとも1種の非イオン性ポリオール、iii)少なくとも1種の脂肪族または脂環式ポリイソシアネートの反応により調製すること;b)5℃〜30℃の温度にて、水酸化アルカリ金属を含む水溶液中にプレポリマーを分散させ、水酸化アルカリ金属の量がプレポリマーのカルボキシル基の少なくとも60%を中和するのに十分であること;c)ポリアミンを加えることによってプレポリマーを延長し、温度を5〜40℃に維持し、アニオン性ポリウレタンの20〜50重量%の水性分散体を得ること;d)架橋剤を水性分散体に加えること;e)水性分散体を固体支持体、例えば革、ガラス、紙、プラスチック、織物または金属上に薄く塗布し、乾燥することを含む、前記方法である。
【0020】
詳細な説明
本発明の手順において使用可能な、カルボキシル基を含むポリオールは、比較的低い反応性を有するカルボキシル基を有するポリオール、例えばカルボキシルに対してアルファにおける炭素原子上に2つの置換基を有するカルボン酸、例えば2,2−ジメチロールアルカン酸などである。好ましくは、カルボキシル基を含むポリオールは、2,2−ジヒドロキシメチルプロパン酸である。
【0021】
本発明のアニオン性ポリウレタンを調製するのに有用な非イオン性ポリオールは、典型的にはポリアルキレンエーテルグリコール類またはポリエステルポリオール類である。
使用可能なポリアルキレンエーテルグリコールは、400〜4,000、より好ましくは1,000〜2,000の分子量を有するものである。
【0022】
ポリアルキレンエーテルグリコールの例は、これらに限定されずに、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールおよびこれらの混合物である。
【0023】
ポリオールはまた、末端水酸基を有するポリエステルであり得、ポリアルキレンエーテルグリコール類と組み合わせて、またはこの代わりに用いることができる。
かかるポリエステル類の例は、酸、エステル類またはハロゲン化アシルのグリコール類との反応から得られるものである。
【0024】
好適なグリコール類は、ポリアルキレングリコール類、例えばポリプロピレンまたはテトラメチレングリコール;置換メチレングリコール、例えば2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;環状グリコール類、例えばシクロヘキサンジオールおよび芳香族グリコール類であり;これらのグリコールを、脂肪族、脂環式もしくは芳香族ジカルボン酸類と、または低分子量アルコール類のアルキルエステル類と、またはエステル結合を形成することができる化合物と反応させて、比較的低分子量を有する、好ましくは70℃より低い融点およびポリアルキレンエーテルグリコール類について上記で引用したもののような分子量を有するポリマーを得る。
【0025】
前記ポリエステル類を調製するのに有用な酸は、例えばフタル酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸およびヘキサヒドロフタル酸、ならびにこれらのアルキルおよびハロゲン化誘導体である。
【0026】
水酸基末端ポリカプロラクトンを用いることもできる。
好ましくは、ポリイソシアネート類iii)は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネートまたはこれらの混合物である。
【0027】
一層好ましくは、プレポリマーを調製するにあたり、4,4’−メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)を用いる。
プレポリマーを、任意に、水混和性であり、プレポリマー官能基と反応性でない溶媒の存在下で、調製してもよい。
【0028】
使用可能な溶媒の中で、本発明者らは、脂肪族ケトン類、例えばアセトンおよびメチルエチルケトン、脂肪族アミド類、例えばN−メチルピロリドン(NMP)、N−エチルピロリドン(NEP)、グリコールエーテル類、例えばジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM)、脂肪族エステル類、例えばジプロピレングリコールジアセテート、環状または直鎖状脂肪族炭酸塩をあげ、これらの中で、本発明者らはプロピレンカーボネートをあげる。
【0029】
溶媒を、最小量で加えて、プレポリマーの、および分散体の粘度を調節する。
段階a)の終了時に、1種(または2種以上)の脂肪族または脂環式ポリイソシアネートiii)を加えることも、可能である;また、この場合において、段階c)の延長のために存在し、部分的にプレポリマーに、および部分的にポリイソシアネートに属する全部の−NCO遊離基は、2〜10重量%までに相当しなければならない;ポリイソシアネートを加えることにより、延長前のプレポリマーの、および分散体自体の粘度を調節することが可能になる。
【0030】
これは必須ではないが、界面活性剤、例えばエトキシル化脂肪アルコールの存在下で段階b)の分散を行うこと、およびプレポリマーのカルボキシル基の少なくとも80%を中和するのに十分な量のアルカリ金属水酸化物を用いることが好ましい。
【0031】
本発明を実現するために使用可能なアルカリ金属水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムである。最良の分散体は、熱安定性および粒度分布を考慮した場合に、水酸化ナトリウムを用いて、および水酸化リチウムを用いて得られ、後者がより好ましい。
【0032】
手順の段階c)において使用可能なポリアミンは、プレポリマーの−NCO基に対して反応性である少なくとも2つのアミノ基、即ち第一級または第二級アミノ基を有するアミンである。
段階c)において、ポリアミンの混合物を用いることが、可能である。
使用可能なポリアミンの例は、ヒドラジン、エチレンジアミン、ピペラジン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ジヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミンである。
【0033】
温度および段階c)の継続時間およびポリアミンの量を、プレポリマー中に存在する遊離の−NCO基を排出させるように決定する。
本発明の好ましい態様において、ポリアミンは、水和ヒドラジンまたは1,5−ペンタンジアミンである。
【0034】
本発明の手順から得られるアニオン性ポリウレタンの水性分散体は、安定である。即ち、これらは、180日間周囲温度にて、30日間50℃にて、および15日間65℃にて密閉容器中に維持した場合に、視覚可能な沈殿物を発生しない;これらは均一である。
さらに、これらは揮発性アミンを完全に含まない。
【0035】
本文章において、表現「揮発性アミン」で、本発明者らは、周囲温度から90℃まで変化する温度にて、無水フィルムが得られるまで起こるポリウレタンフィルム形成の間、第三アミン類および対応するアンモニウム塩がこれらの量の少なくとも90%蒸発することを意味する。
【0036】
本発明の手順から得られるアニオン性ポリウレタンの水性分散体は、20〜1,000mPa*s、好ましくは20〜500mPa*sを包含するブルックフィールド粘度を有する;これらは、無色であるかまたは白色を帯びており、透明であるかまたは乳白色の外見を有する。
本発明の分散体を乾燥させることによって得られるフィルムは、揮発性アミンを中和剤として用いた分散体からのフィルムのものに匹敵する機械的特性を有する。
【0037】
水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムを用いた本発明の分散体は、トリエチルアミンまたはジメチルエタノールアミンで中和した類似の分散体のものと同様の粒度分布および特質を有する。
さらに、水酸化リチウムからの分散体により、揮発性アミンから得られたものと同様の、水中でのブリスタリング特徴を有するフィルムが得られる。
【0038】
すでに述べたように、本発明の手順は、水分散可能なポリイソシアネートを用いて行うアニオン性ポリウレタン架橋段階d)によって完了される場合に、種々の分野において、特に革および紙の分野における使用に適するフィルムを提供する。
架橋の後に得られたフィルムは、実際に、極めて良好な加水分解抵抗および機械抵抗、紙、革および皮膚に対する良好な粘着力を有し、臭いを有しない。
【0039】
本発明の手順の段階d)において架橋剤として使用可能である水分散可能なポリイソシアネートは、3以上のイソシアネート官能性を有し、水分散性がポリオキシエチレン側鎖またはイオン性基によるポリイソシアネートである;任意に、水分散可能なポリイソシアネートを、段階d)において、水に可溶である有機溶媒、例えばN−メチルピロリドン(NMP)、N−エチルピロリドン(NEP)、グリコールエーテル類、例えばジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM)、脂肪族エステル類、例えばジプロピレングリコールジアセテート、環状または直鎖状脂肪族炭酸塩(これらの中で、本発明者らはプロピレンカーボネートをあげる)で希釈された形態で、用いる。
【0040】
加えられる架橋剤の量は、分散固形分に対して1〜10重量%の範囲内であり得る。
好ましくは、添加後30〜360分で周囲温度にて本発明の水性分散体を架橋する、水分散可能なポリイソシアネートを用いる。
したがって、本発明の段階e)を、ポリウレタンに対する架橋剤の反応性に依存して、架橋剤を加えた後30〜360分以内に行う。
【0041】

以下の例において、以下の化合物を用いる:
ポリオール1=ポリカプロラクトンジオール、830g/molの分子量を有する;
ポリオール2=ポリプロピレンエーテルグリコール、4,000g/molの分子量を有する;
ポリオール3=ポリプロピレンエーテルグリコール、2,000g/molの分子量を有する;
ポリオール4=ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,000g/molの分子量を有する;
ポリオール5=2,2−ジメチロールプロピオン酸;
界面活性剤1=8モルのエトキシル化C10〜C16直鎖状アルコール;
ポリイソシアネート1=4,4’−メチレン−ビス−(4−シクロヘキシルイソシアネート)。
ポリイソシアネート2=イソホロンジイソシアネート;
【0042】
例I(比較例)
トリエチルアミンを含む水性ポリウレタン分散体の調製。
内部温度計、攪拌機および冷却器を備えた反応容器に、窒素雰囲気下で、および室温にて、223.7g(538.98meq)のポリオール1(40℃にて供給した)、47.2g(704.203meq)のポリオール5および105.0gのN−エチルピロリドンを充填した。混合物を40℃に加熱し、30分にわたり撹拌した。325.7g(2486.366meq)のポリイソシアネート1を、撹拌しながら均一な混合物に加え、これを次に、60℃にて30分間維持した。尚存在する遊離の−NCO基の滴定による決定により7.45重量%の計算値(標準的な方法ASTM D2572による他の例におけるのと同様に本例において決定された数値)が得られるまで、反応温度を95℃に到達させ、約1時間維持した。
【0043】
プレポリマー(プレポリマーA)を70℃に冷却し、次に32.0g(316.890mmol)のトリエチルアミンをこれに加え(COO当量に対するトリエチルアミン当量=90%);10分後に65℃にて、600gの中和されたプレポリマーを、18℃にて冷却し、10.9gの界面活性剤1を含む1000.3gの水中に、激しく撹拌しながら10分で分散させた。ヒドラジン水和物の24.36%水溶液106.0gを、15分で滴加した。延長段階の間、36℃の最高温度に達した。30分間撹拌した後に、2240cm−1におけるIRスペクトル中の−NCOピークは、消失した。
【0044】
得られた分散体を、蒸留水で30%の固形分に調整し、これは安定であり、微粉化した、透明な外見を有する。
【0045】
例II〜IV
プレポリマーA(例Iに記載したように合成した)からのアルカリ金属水酸化物を用いた揮発性アミンを含まない水性ポリウレタン分散体の調製。
例II
18℃に冷却し、11.67gの界面活性剤1および15.2gの水酸化カリウム(COO当量に対する水酸化物当量=90%)を含む1088.8gの脱塩水中に、65℃に冷却した600gのプレポリマーAを、激しく撹拌しながら14分で分散させる。
【0046】
ヒドラジン水和物の24.36%水溶液110.6gを、14分で加え、延長段階の間に32℃の最高温度に達する。30分間撹拌した後に、2240cm−1におけるIRスペクトル中の−NCOピークは、消失する。
得られた分散体を、蒸留水で30%の固形分に調整し、これは安定であり、微粉化した、乳白色の外見を有する。
【0047】
例III
18℃に冷却し、11.6gの界面活性剤1および10.8gの水酸化ナトリウム(COO当量に対する水酸化物当量=90%)を含む1080.7gの脱塩水中に、65℃に冷却した600gのプレポリマーAを、激しく撹拌しながら14分で分散させる。
【0048】
ヒドラジン水和物の24.36%水溶液110.6gを、14分で加え、延長段階の間に31℃の最高温度に達する。30分間撹拌した後に、2240cm−1におけるIRスペクトル中の−NCOピークは、消失する。
得られた分散体を、蒸留水で30%の固形分に調整し、これは安定であり、微粉化した、透明な外見を有する。
【0049】
例IV
18℃に冷却し、11.5gの界面活性剤1および11.4gの水酸化リチウム(COO当量に対する水酸化物当量=90%)を含む1067.5gの脱塩水中に、65℃に冷却した600gのプレポリマーAを、激しく撹拌しながら14分で分散させる。
【0050】
ヒドラジン水和物の24.36%水溶液110.6gを、14分で加え、延長段階の間に32℃の最高温度に達する。30分間撹拌した後に、2240cm−1におけるIRスペクトル中の−NCOピークは、消失する。
得られた分散体を、蒸留水で30%の固形分に調整し、これは安定であり、微粉化した、透明な外見を有する。
【0051】
例V
ポリイソシアネート2から得られるプレポリマー(プレポリマーB)の中和剤として水酸化リチウムを用いた水性アニオン性ポリウレタン分散体の調製。
内部温度計、攪拌機および冷却器を備えた反応容器に、窒素雰囲気下で、および室温にて、245.2g(590.829meq)のポリオール1(40℃にて供給した)、51.2g(763.755meq)のポリオール5および100.0gのN−エチルピロリドンを充填した。混合物を40℃に加熱し、30分にわたり撹拌した。271.0g(2438.255meq)のポリイソシアネート2を、撹拌しながら均一な混合物に加え、これを次に、60℃にて30分間加熱した。尚存在する遊離の−NCO基の滴定による決定により6.85重量%の計算値が得られるまで、反応温度を100℃に到達させ、約1時間維持した。
【0052】
プレポリマー(プレポリマーB)を、65℃に冷却した。
18℃に冷却し、9.6gの界面活性剤1および10.8gの水酸化リチウム(COO当量に対する水酸化物当量=90%)を含む893.2gの脱塩水中に、65℃に冷却した500gのプレポリマーBを、激しく撹拌しながら14分で分散させる。
【0053】
ヒドラジン水和物の24.36%水溶液84.7gを、14分で加え、延長段階の間に33℃の最高温度に達する。30分間撹拌した後に、2240cm−1におけるIRスペクトル中の−NCOピークは、消失する。
得られた分散体を、蒸留水で30%の固形分に調整し、これは安定であり、微粉化した、透明な外見を有する。
【0054】
例VI(比較例)
内部温度計、攪拌機および冷却器を備えた反応容器に、窒素雰囲気下で、および室温にて、317.6g(635.718meq)のポリオール4(40℃にて供給した)、42.7g(635.7meq)のポリオール5、0.212gの75%水性リン酸および100.0gのN−メチルピロリドンを充填した。混合物を40℃に加熱し、30分にわたり撹拌した。333g(2542.870meq)のポリイソシアネート1を、撹拌しながら均一な混合物に加え、これを次に、60℃にて30分間加熱した。尚存在する遊離の−NCO基の滴定による決定により6.73重量%の計算値が得られるまで、反応温度を95℃に到達させ、約1時間維持した。
【0055】
70℃に冷却し、28.9g(286.070mmol)のトリエチルアミンを、撹拌しながらこの中に加える(COO当量に対するトリエチルアミン当量=90%);温度を65℃にて10分間保持した後に、650gのプレポリマーCを、18℃に冷却した820.5gの脱塩水中に、得られたプレポリマー(プレポリマーC)を、激しく撹拌しながら10分で分散させる。
【0056】
ヒドラジン水和物の24.36%水溶液104.7gを、10分で滴加し、延長段階の間に35℃の最高温度に達する。30分間撹拌した後に、2240cm−1におけるIRスペクトル中の−NCOピークは、消失し、4.74gのBYK(登録商標)346(Byk Chemieからの52%のポリエーテルで変性したジメチルポリシロキサン)を加えて、基材の湿潤性を改善する。
得られた分散体を、蒸留水で36%の固形分に調整し、これは安定であり、微粉化した、透明な外見を有する。
【0057】
例VII〜IX
プレポリマーC(例VIに記載したように合成した)からのアルカリ金属水酸化物を用いた水性アニオン性ポリウレタン分散体の調製。
例VII
18℃に冷却し、13.1gの水酸化カリウム(COO当量に対する水酸化物当量=90%)を含む883.5gの脱塩水中に、67℃に冷却した650gのプレポリマーCを、激しく撹拌しながら10分で分散させる。
【0058】
ヒドラジン水和物の24.36%水溶液108.4gを、14分で加え、延長段階の間に29℃の最高温度に達する。30分間撹拌した後に、2240cm−1におけるIRスペクトル中の−NCOピークは消失し、4.98gのBYK(登録商標)346を加える。
得られた分散体を、蒸留水で36%の固形分に調整し、これは安定であり、微粉化した、乳白色の外見を有する。
【0059】
例VIII
18℃に冷却し、9.3gの水酸化ナトリウム(COO当量に対する水酸化物当量=90%)を含む878.0gの脱塩水中に、67℃に冷却した650gのプレポリマーCを、激しく撹拌しながら10分で分散させる。
【0060】
ヒドラジン水和物の24.36%水溶液108.4gを、14分で加え、延長段階の間に30℃の最高温度に達する。30分間撹拌した後に、2240cm−1におけるIRスペクトル中の−NCOピークは消失し、4.980gのBYK(登録商標)346を加える。
得られた分散体を、蒸留水で36%の固形分に調整し、これは安定であり、微粉化した、透明な外見を有する。
【0061】
例IX
18℃に冷却し、9.8gの水酸化リチウム(COO当量に対する水酸化物当量=90%)を含む868.3gの脱塩水中に、67℃に冷却した650gのプレポリマーCを、激しく撹拌しながら10分で分散させる。
【0062】
ヒドラジン水和物の24.36%水溶液108.4gを、14分で加え、延長段階の間に30℃の最高温度に達する。30分間撹拌した後に、2240cm−1におけるIRスペクトル中の−NCOピークは消失し、4.980gのBYK(登録商標)346を加える。
得られた分散体を、蒸留水で36%の固形分に調整し、これは安定であり、微粉化した、透明な外見を有する。
【0063】
例X(比較例)
内部温度計、攪拌機および冷却器を備えた反応容器に、窒素雰囲気下で、および室温にて、442.6g(442.604meq)のポリオール3、30.9g(461.505meq)のポリオール5および50.0gのN−メチルピロリドンを充填した。混合物を40℃に加熱し、30分にわたり撹拌した。213.2g(1627.397meq)のポリイソシアネート1を、撹拌しながら均一な混合物に加え、これを次に、60℃にて30分間加熱した。尚存在する遊離の−NCO基の滴定による決定により4.12重量%の計算値が得られるまで、反応温度を100℃に到達させ、2時間維持した。
【0064】
65℃に冷却した650gの得られたプレポリマー(プレポリマーD)を、15.9gのN,N−ジメチルエタノールアミン(COO当量に対するアミン当量=95%)を含む951.6gの水中で、18℃にて10分で激しく撹拌しながら分散させる;
【0065】
ヒドラジン水和物の24.36%水溶液59.6gを、10分で滴加し、延長段階の間に35℃の最高温度に達する。30分間撹拌した後に、2240cm−1におけるIRスペクトル中の−NCOピークは消失し、1.630gのBYK(登録商標)346を加える。
得られた分散体を、蒸留水で35%の固形分に調整し、これは安定であり、微粉化した、乳白色の外見を有する。
【0066】
例XI〜XIII
プレポリマーD(例Xに記載したように合成した)からのアルカリ金属水酸化物を用いた水性アニオン性ポリウレタン分散体の調製。
例XI
18℃に冷却し、10.84gの水酸化カリウム(COO当量に対する水酸化物当量=95%)を含む1057.1gの脱塩水中に、65℃に冷却した650gのプレポリマーDを、激しく撹拌しながら10分で分散させる。
【0067】
ヒドラジン水和物の24.36%水溶液65.2gを、10分で加え、延長段階の間に34℃の最高温度に達する。30分間撹拌した後に、2240cm−1におけるIRスペクトル中の−NCOピークは消失し、1.780gのBYK(登録商標)346を加える。
得られた分散体を、蒸留水で35%の固形分に調整し、これは安定であり、微粉化した、乳白色の外見を有する。
【0068】
例XII
18℃に冷却し、7.73gの水酸化ナトリウム(COO当量に対する水酸化物当量=95%)を含む1051.9gの脱塩水中に、65℃に冷却した650gのプレポリマーDを、激しく撹拌しながら10分で分散させる。
【0069】
ヒドラジン水和物の24.36%水溶液65.2gを、10分で加え、延長段階の間に34℃の最高温度に達する。30分間撹拌した後に、2240cm−1におけるIRスペクトル中の−NCOピークは消失し、1.780gのBYK(登録商標)346を加える。
得られた分散体を、蒸留水で35%の固形分に調整し、これは安定であり、微粉化した、透明な外見を有する。
【0070】
例XIII
18℃に冷却し、8.12gの水酸化リチウム(COO当量に対する水酸化物当量=95%)を含む1043.3gの脱塩水中に、65℃に冷却した650gのプレポリマーDを、激しく撹拌しながら10分で分散させる。
【0071】
ヒドラジン水和物の24.36%水溶液65.2gを、10分で加え、延長段階の間に35℃の最高温度に達する。30分間撹拌した後に、2240cm−1におけるIRスペクトル中の−NCOピークは消失し、1.780gのBYK(登録商標)346を加える。
得られた分散体を、蒸留水で35%の固形分に調整し、これは安定であり、微粉化した、透明な外見を有する。
【0072】
例XIV
遊離のポリイソシアネートを加え、水酸化リチウムで中和されたプレポリマーから得られる水性ポリウレタン分散体の調製。
内部温度計、攪拌機および冷却器を備えた反応容器に、窒素雰囲気下で、および室温にて、264.8g(264.807meq)のポリオール3、24.0g(357.496meq)のポリオール5および250.0gのN−エチルピロリドンを充填した。混合物を40℃に加熱し、30分にわたり撹拌した。146.8g(1120.130meq)のポリイソシアネート1を、撹拌しながら均一な混合物に加え、これを次に、60℃にて30分間加熱した。尚存在する遊離の−NCO基の滴定による決定により4.54重量%の計算値が得られるまで、反応温度を100℃に到達させ、約1時間維持した。
【0073】
プレポリマーを80℃に冷却し、13.8g(124.464meq)のポリイソシアネート2を、撹拌しながら加える。尚存在する遊離の−NCO基の決定により、約5.51重量%の計算値が得られた。
18℃に冷却し、5.88gの水酸化リチウム(COO当量に対する水酸化物当量=93%)を含む594.0gの脱塩水中に、70℃に冷却した400gの得られた中和されたプレポリマー(プレポリマーE)を、10分で分散させた。
【0074】
ヒドラジン水和物の24.36%水溶液51.9gを、10分で加え、延長段階の間に28℃の最高温度に達した。
30分間撹拌した後に、2240cm−1におけるIRスペクトル中のNCO−ピークは、消失する。
得られた分散体を、蒸留水で37%の固形分に調整し、これは安定であり、微粉化した、透明な外見を有する。
【0075】
例XV(比較例)
トリエチルアミンを含む水性ポリウレタン分散体の調製。
内部温度計、攪拌機および冷却器を備えた反応容器に、窒素雰囲気下で、および室温にて、133.1g(133.030meq)のポリオール3、266.2g(133.090meq)のポリオール2、35.7g(563.355meq)のポリオール5および72.0gのN−メチルピロリドンを充填した。
混合物を40℃に加熱し、30分にわたり撹拌し、209.2g(1597.069meq)のポリイソシアネート1を、撹拌しながら均一な混合物に加え、これを次に、60℃にて30分間加熱した。尚存在する遊離の−NCO基の滴定による決定により4.69重量%の値が得られるまで、反応温度を95℃に到達させ、約2時間維持した。
【0076】
75℃に冷却した得られたプレポリマー(プレポリマーF)に、24.2g(239.555mmol)のトリエチルアミンを加えた(COO当量に対するトリエチルアミン当量=90%);10分後に、および70℃にて、400gのプレポリマーを、18℃にて冷却した522.5gの水中に、激しく撹拌しながら10分で分散させた。
【0077】
ヒドラジン水和物の24.36%水溶液44.9gを、15分で加え、延長段階の間に33℃の最高温度に達した。30分間撹拌した後に、2240cm−1におけるIRスペクトル中の−NCOピークは、消失する。
得られた分散体は、37%の固体量を有し、安定であり、微粉化した、透明な外見を有する。
【0078】
例XVI(比較)
US 4,701,480に記載されている方法による、水酸化ナトリウムを含むポリウレタンの水性分散体の調製。
37%の固形分を有する400gの例XVにおいて得られた分散体400gに、1Mの水酸化ナトリウムを加えて、COO基を100%中和した(53.2gの1M溶液)。
【0079】
これらが沈着物の生成をもたらすため、一層濃縮された溶液を用いることは可能でない。
得られた試料(固形分32.6%)を、減圧(20mmHg)下で4時間、70℃に加熱して、揮発性アミンを除去した;蒸留の間、大量の泡およびフィルムが反応器壁上に発生する。
【0080】
冷却後、固形分を判断し、蒸留水で30%に調整した。
フィルムは、依然として不変である。
トリエチルアミン痕跡は、分散体中に残存する(0.16重量%、ガスクロマトグラフィー、CPSIL8CBカラムにより決定した)。
【0081】
適用試験
例I〜XVIにおいて得た分散体の外見、ブルックフィールド粘度(スピンドル2、6rpm、25℃)および粒度分布(Coulter N4 Plus、能力範囲3nm〜3ミクロンで測定した)を、表1に報告する。
これらのデータは、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを用いて得られた分散体が透明であり、トリエチルアミンで中和された類似する分散体のものに完全に匹敵する粒度分布を有することを、示す。
【0082】
【表1】

【0083】
例I(比較例)の分散体ならびに例II、IIIおよびIVから、厚さ500ミクロンのフィルムを調製して、蒸留水中に24時間浸漬した後のブリスタリング効果を測定した。
結果を表2に示し、以下の凡例を用いる:0=視覚可能なブリスタリングなし;1=わずかなブリスタリング;2=強度のブリスタリング。
【0084】
【表2】

【0085】
本発明の分散体から得られたフィルムの水およびエタノールに対する抵抗性を評価するために、厚さ1ミクロンのフィルムを、例I、III、IV、VII、VIII、IX、XI、XII、XIIIおよびXIVの分散体から調製し、これに、撹拌しながら、5%のFissativo 05、Lamberti SpAにより商品化されている水分散可能なポリイソシアネート架橋剤(固形分76%)および3%のブチルジグリコールエーテル補助溶剤。
【0086】
表3に報告したフィルムの耐薬品性を、乾燥後に(25℃にて24時間、続いて60℃にて24時間)、フィルム各試料により水中で、および水中52%エタノール中で破断するのに要した時間の長さを測定することにより決定した。
【0087】
【表3】

【0088】
さらに、例IおよびIVの分散体と例VIおよびIXの分散体とを、表4に記載した革仕上げ組成物においてこれらを用いることにより、および完成した革基材の水研ぎ耐性を測定することにより、比較した。水研ぎ耐性値を、VESLICRUB FASTENSS TESTER VESLIC(I.U.F./450 DIN 53339 ISO 11640による)を用いて決定し、表5に報告する。
【0089】
【表4】

【0090】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン側鎖を有しないアニオン性ポリウレタンの水性分散体を調製するための手順であって、以下の段階:a)2〜10重量%の−NCO基および10〜100meq(ミリ当量)のカルボキシル基を含むプレポリマーを、i)−COOH基を含む少なくとも1種のポリオール、ii)少なくとも1種の非イオン性ポリオール、iii)少なくとも1種の脂肪族または脂環式ポリイソシアネートを反応させることにより調製すること;b)5℃〜30℃の温度にて、水酸化アルカリ金属を含む水溶液中にプレポリマーを分散させ、水酸化アルカリ金属の量がプレポリマーのカルボキシル基の少なくとも60%を中和するのに十分であること;c)ポリアミンを加えることによってプレポリマーを延長し、温度を5〜40℃に維持し、分散体中のポリウレタンの最終濃度が20〜50重量%を包含することを含む、前記手順。
【請求項2】
ポリオールi)が2,2−ジメチロールアルカン酸であり、非イオン性ポリオールii)が、400〜4,000の分子量を有するポリアルキレンエーテルグリコールまたはポリエステルポリオールであり、ポリイソシアネートiii)が、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネートまたはこれらの混合物であり;水酸化アルカリ金属が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムおよびこれらの混合物から選択され、段階c)のポリアミンが、ヒドラジン、エチレンジアミン、ピペラジン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ジヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミンの中から選択される、請求項1に記載の手順。
【請求項3】
ポリオールi)が2,2−ジヒドロキシメチルプロパン酸であり、非イオン性ポリオールii)がポリカプロラクトンジオール、ポリプロピレングリコールエーテル、ポリテトラメチレングリコールエーテルまたはこれらの混合物であり、ポリイソシアネートiii)が、4,4’−メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)であり、水酸化アルカリ金属が、水酸化リチウムもしくは水酸化ナトリウムまたはこれらの混合物であり、段階c)のポリアミンが、水和ヒドラジンもしくは1,5−ペンタンジアミンまたはこれらの混合物である、請求項2に記載の手順。
【請求項4】
水酸化アルカリ金属が水酸化リチウムである、請求項1〜3のいずれかに記載の手順。
【請求項5】
ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン側鎖を有せず、揮発性アミンを含まず、20〜50重量%の固形分を有するアニオン性ポリウレタンの安定な水性分散体であって、ポリウレタンが、2〜10重量%の−NCO基および10〜100meqのカルボキシル基をアルカリ金属カチオンの塩の形態で含み、i)−COOH基を含む少なくとも1種のポリオール、ii)少なくとも1種の非イオン性ポリオール、iii)少なくとも1種の脂肪族または脂環式ポリイソシアネートを反応させることにより得られるプレポリマーのポリアミンで延長することから得られる、前記安定な水性分散体。
【請求項6】
カルボキシル基がLi、NaまたはKの塩の形態であり、ポリアミンが、ヒドラジン、エチレンジアミン、ピペラジン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ジヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミンから選択され、プレポリマーが、i)少なくとも1種の2,2−ジメチルアルカン酸、ii)400〜4,000の分子量を有する少なくとも1種のポリアルキレングリコールエーテルまたはポリエステルおよびiii)1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネートまたはこれらの混合物の反応によって得られる、請求項5に記載の安定な水性分散体。
【請求項7】
カルボキシル基がLiまたはNaの塩の形態であり、ポリアミンが、水和ヒドラジンもしくは1,5−ペンタンジアミンまたはこれらの混合物であり、プレポリマーが、i)2,2−ジヒドロキシメチルプロパン酸、ii)ポリカプロラクトンジオール、ポリプロピレングリコールエーテル、ポリテトラメチレングリコールまたはこれらの混合物およびiii)4,4’−メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)の反応によって得られる、請求項6に記載の安定な水性分散体。
【請求項8】
カルボキシル基が水酸化リチウムで中和されている、請求項5〜7のいずれかに記載の安定な水性分散体。
【請求項9】
アミンを含まないポリウレタンフィルムを調製する方法であって、以下の段階:a)2〜10重量%の−NCO基および10〜100meqのカルボキシル基を含むプレポリマーを、i)−COOH基を含む少なくとも1種のポリオール、ii)少なくとも1種の非イオン性ポリオール、iii)少なくとも1種の脂肪族または脂環式ポリイソシアネートの反応により調製すること;b)5℃〜30℃の温度にて、水酸化アルカリ金属を含む水溶液中にプレポリマーを分散させ、水酸化アルカリ金属の量がプレポリマーのカルボキシル基の少なくとも60%を中和するのに十分であること;c)ポリアミンを加えることによってプレポリマーを延長し、温度を5〜40℃に維持し、ポリウレタンの20〜50重量%の水性分散体を得ること;d)架橋剤を水性分散体に加えること;e)水性分散体を固体支持体、例えば革、ガラス、紙、プラスチック、織物または金属上に薄く塗布し、乾燥することを含む、前記方法。
【請求項10】
ポリオールi)が2,2−ジメチロールアルカン酸であり、非イオン性ポリオールii)が、400〜4,000の分子量を有するポリアルキレンエーテルグリコールまたはポリエステルポリオールであり、ポリイソシアネートiii)が、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネートまたはこれらの混合物であり;段階b)の水酸化アルカリ金属が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムおよびこれらの混合物から選択され、段階c)のポリアミンが、ヒドラジン、エチレンジアミン、ピペラジン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ジヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミンの中から選択され、段階d)の架橋剤が水分散可能なポリイソシアネートである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ポリオールi)が2,2−ジヒドロキシメチルプロパン酸であり、非イオン性ポリオールii)がポリカプロラクトンジオール、ポリプロピレングリコールエーテル、ポリテトラメチレングリコールエーテルまたはこれらの混合物であり、ポリイソシアネートiii)が、4,4’−メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)であり、水酸化アルカリ金属が、水酸化リチウムもしくは水酸化ナトリウムまたはこれらの混合物であり、段階c)のポリアミンが、水和ヒドラジンもしくは1,5−ペンタンジアミンまたはこれらの混合物である。請求項10に記載の方法。
【請求項12】
水酸化アルカリ金属が水酸化リチウムである、請求項9〜11のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2010−515797(P2010−515797A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545166(P2009−545166)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050134
【国際公開番号】WO2008/084041
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(501185604)ランベルティ ソシエタ ペル アチオニ (17)
【Fターム(参考)】