説明

揮発性成分を有する流体用の配管システム

【課題】生産が簡易であり、かつその使用による燃料蒸気の環境への放出が排除され若しくは少なくとも最小に制限される、揮発性成分を有する流体用の配管システムを提案する。
【解決手段】第1配管壁12により囲まれた流体配管2,3,4を備え、可塑性の中空形状で実現される配管システムは、さらに別の流体配管8を有する。該別の流体配管は、スカベンジング配管8として実現され、かつ上記スカベンジング配管をフラッシング又は吸引して、上記流体配管から発生した浸透物を輸送しかつ収集するスカベンジング装置に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第1態様によれば、請求項1の序文により、本発明は、揮発性成分を有する流体用の配管システムに関し、該システムは、分離した入口及び出口を有する少なくとも一つの流体配管を備え、該流体配管は、第1配管壁により囲まれ、及び、互いに接近し取り付けた配管システムの区間Aに渡り共同で延在し、一方、少なくとも第1配管壁により流体配管の全長に渡り互いに分離され、上記配管システムは、少なくとも区間Aに渡り可塑性の中空形状として実現され、及びさらに別の流体配管を備え、この別の流体配管は、第2配管壁により囲まれ、及び支持ウエブにより少なくとも部分的に互いに分離された一若しくは複数の配管チャンバーを備え、その全体は本質的に流体配管を囲み、並びに、中空形状の可塑性の上記第1、第2の配管壁及び支持ウエブは、同じポリマー材料にて実現される。
【0002】
第2態様によれば、本発明は、動力車、特に自動車の燃料容器又は燃料タンクと内燃機関又は原動機との間に位置するそれらの配管システムに関し、それらの流体配管は、流入配管、戻り配管及び通気配管を備えるグループから選択された少なくとも一つの配管を備える。第3態様によれば、本発明は、燃料タンクへ導かれる、及び/又は燃料タンクから離れる燃料配管システムとして実現される配管システムに関し、それらの流体配管は、輸送配管、充填配管、蛇口配管(tapping line)及び通気配管を備えるグループから選択された少なくとも一つの配管を備える。非常に一般的に、本発明による配管システムは、配管システムの壁を通過するしみこみが全ての場合において環境に達するのを防止されることから、特に、揮発性成分を有する環境に有害な、有毒な、又は可燃性の流体を輸送するのに適している。
【0003】
本発明は、ガソリンエンジン用の燃料配管システムの例に基づいて以下に説明される。この例は、ディーゼルエンジン又は燃料電池用の燃料配管システム、埋設された若しくは移動可能なタンク設備用の燃料輸送配管、爆発性のガス若しくは可燃性液体用の流体配管、及びその他同種のもののような、さらに別の例の代表として選択されるもので、本発明の権利範囲を狭めるものではない。
【0004】
自動車の現代の燃料噴射装置では、燃料つまりガソリン又はディーゼル燃料を、特別な噴射システムに必要な量で、燃料タンクから噴射バルブ若しくは噴射ポンプまでこの目的に必要な圧力で輸送するために燃料ポンプが使用される。現在の燃料ポンプは、通常、電気的に駆動され、一般的に燃料タンク内に位置する。
【0005】
ガソリンエンジン用の燃料配管システムは、現在、主に可塑性パイプを備える。そのような燃料配管システムにおける圧力は、ガソリンタンク内の燃料ポンプからエンジンへ導かれる流入配管で一般的に4.5バールまでであり、過剰な不使用の燃料をエンジンからガソリンタンクへ戻す戻り配管で一般的に0.5バールまでである。そのような流入配管の内径は、1〜1.5mmの肉厚で、およそ3〜12mmである。上記戻り配管の内径は、1.5〜2.0mmの肉厚で、およそ6〜18mmである。3〜6mmの直径、及び0.8〜1.5mmの肉厚を有する漏出収集配管も、かかる方法で実現可能である。関連する技術から既知の燃料配管システムは、ガソリンガス若しくはガソリン蒸気を除去若しくは収集し、及び、ガソリンを高々0.2バールの圧力で凝縮するための通気配管を追加で備える(("NONMETALLIC FUEL SYSTEM TUBING WITH ONE OR MORE LAYERS" in : PRELIMINARY COPY OF THE FINAL DRAFT OF THE STANDARD AS SUBMITTED FOR RECOGNITION AS AN AMERICAN NATIONAL STANDARD )米国国定標準として承認用に提出された標準の最終稿の事前コピー内の「一若しくは複数層を有する非金属燃料システム配管」、1996年11月版 参照)。そのような通気配管は、通常、少なくともガソリンタンクの通気システム、及び/又は再生配管を介して活性炭フィルタを、エンジンの吸気システムに接続する。自動車の内燃機関の吸気システムに接続された通気配管は、ガソリンタンクに蓄積された蒸気を集めて、それらを通気配管を通して、エンジンの吸気システム(エンジンが動いているとき)、あるいは一時的な貯蔵のため活性炭フィルタのどちらかに供給する。後者の場合は、特に乗り物が長い間使用されていないときに起こり、特に、例えば、日射により乗り物が暖められたとき、上記配管を通して燃料のしみこみが有利となる。乗り物が再び操作されるとき(つまり、エンジンが再び動くとき)、活性炭フィルタは、エンジンによって中へ吸引された新たな空気を用いて再生成される。同時に開放されたガソリン蒸気は、再生成配管を介して、それらが燃料/空気混合物と結合し燃焼のためエンジンに供給されるところのエンジンの吸気領域へ導かれる。
【0006】
本発明は、また、戻り配管を有しない内燃機関用の燃料配管システム、つまり燃料流入配管及び燃料蒸気用の通気配管のみを備えた燃料配管システムに関する。
【背景技術】
【0007】
引用した圧力値は、また、ほぼヨーロッパの会社によって維持され、流入配管が3.5バールの圧力で操作され、戻り配管及び通気配管が0.5バールの圧力で操作されえることが、ルノーの製品仕様書に開示されている(Nr. 34-04-892/-C; Normalisation Renault Automobiles, Service 65810, Section Normes et Cahiers des Charges, RENAULT 2000)
【0008】
燃料を導くためのこれらの可塑性パイプは、典型的には、特別な仕切り材料(例えば、フルオロポリマーで作られる)で作られた一つ若しくは複数の仕切り層を備え、上記材料は、この配管内を輸送される燃料のパイプ壁を通した浸透を制限し、いずれの燃料の環境への放出を制限する。関連する技術から分かった燃料配管システムの本質的な不利点は、使用される配管の複雑で多層の構造、及び時々高価なポリマーを有することである。さらに、ポリマー層の層間剥離を防ぐため、互いに異なる種類のポリマー層を(しばしば接着促進層を使用して)良好に接着する点に難しさがある。しかしながら、そのような仕切り層を使用するにもかかわらず、使用するパイプの壁を通しての燃料の浸透は、非常に僅かならいいが、パイプ壁を通して炭化水素分子の拡散が仕切りの可塑性材で常に発生することから、完全に防止することはできない。そのような燃料の浸透は、流入配管からとりわけ観察されることになっており、これに存在する多数バールの圧力により促進される。さらに、先に運転された乗り物のエンジンが切られたとき、乗り物の作動により生じるガソリンの循環が無くなり、局所的に高温が発生可能であることから、温度による浸透速度の増加が引き起こされる(「ホット浸透(hot soak)」状態)。
【0009】
ディーゼルエンジン用の「共通のレール(common rail)」噴射方式が知られている。1800バールまでのかなり高い圧力が、それの燃料配管システムの流入配管にて使用される。現在、2000バール以上への噴射圧力の増加がさらに作用されている。よって、EP1469188A1及びEP1150006A2は、上記「共通レール」噴射システムの噴射点を互いに、及び高圧力ポンプに接続する二重壁燃料配管を有するそのようなディーゼル機関噴射システムを開示する。この場合、金属で作られた内部高圧配管は、高圧ポンプから噴射ノズルまでディーゼル燃料を輸送する。高圧配管を囲む低圧配管は、これもまた金属で作られており、未使用の燃料を戻すために用いられ、上記高圧力配管が破裂したときに燃料の漏れが減るように手助けする。さらに、低圧配管は、高圧配管における漏れを示す不完全な圧力上昇のために監視される。
【0010】
流入配管と戻り配管が共同で二重パイプを形成し、高圧下の流入配管が戻り配管を形成する外部パイプ内で内部パイプとして再び配置されるところの燃料配管システムは、また、DE29610374から公知である。ここでは、外部パイプにて形成される戻り配管のみが燃料拡散から守られることになる。一方、このことは、流入配管は戻り配管により囲まれていることから、内部パイプにより形成される流入配管にとって必要ない。この目的のために、内部パイプ及び/又は外部パイプは、金属又は可塑性の形状を有してもよい。好ましくは可塑性で作られた外部パイプは、その内部で拡散バリアを有する。
【0011】
また、ルノーの製品仕様書から、ディーゼル燃料用の(エンジンに近接する方向に位置する高圧噴射ポンプまでの)流入配管、及び戻り配管も、0.5バールの圧力にて作動可能であることは公知である。一般的に、ディーゼル機関は、通気配管を有していない。
【0012】
流入配管、戻り配管、及び通気配管を備える内燃機関用の形式による燃料配管システムは、WO94/10491から公知である。この第1実施例は、流入配管及び戻り配管の両方を備え、かつそれらの配管により分割される部分を渡る通気配管を備えるワンピースの可塑性中空形状として実現された燃料配管システムを開示している。この実施例は、通気配管用に使用されるように多層の可塑性パイプを常に必要とするという不都合を有している。その結果、環境への燃料放出は低減可能である。第2実施例は、通気配管が、流入配管及び戻り配管の両方を、それらの配管により分割される部分の領域にて少なくともほぼ囲む、燃料配管システムを開示する。この実施例では、上記燃料配管システムは、少なくとも2つの部分にて生産されねばならず、かつ一方をもう一つに連続的に押し込まなければならず、多層化された可塑性パイプが通気配管用に使用されるという不都合を有している。
【0013】
動力車における燃料のような流体を輸送するための配管は、GB2290848Aから公知であり、この件では、2以上の同心の配管が、燃料タンクからエンジンまで、又、その逆方向に、燃料を輸送する。内部配管は、縦方向のウエブにより支持される。最も外側の配管は、燃料タンクからガスタンク内へ燃料の蒸気を導き、可塑性材料から押出成形された多数配管における全部の浸透性の大きな低減をもたらす。
【0014】
US6328074B1は、また、統合された漏出配管を有し、可塑性材料から押出成形された燃料配管を開示する。不活性ガスがこの漏出配管に送り込まれる。その結果、いかなる燃料蒸気の存在も末端のリーク検出器に案内され、そこで検出可能である。
【0015】
【特許文献1】EP1469188A1
【特許文献2】EP1150006A2
【特許文献3】DE29610374
【特許文献4】WO94/10491
【特許文献5】GB2290848A
【特許文献6】US6328074B1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、多層の可塑性パイプを使用することなく、生産が簡易であり、かつその使用による燃料蒸気の環境への放出が排除され若しくは少なくとも最小に制限される、揮発性成分を有する流体用の配管システムを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、揮発性成分を有する流体用の配管システムが提案されている独立請求項1の特徴による第1態様により達成される。それは、別個の入口及び出口を有する少なくとも一つの流体配管を備え、該流体配管は、第1配管壁によって囲まれ、互いに近接して取り付けられる配管システムの区間Aに渡り共同で延在し、一方、上記流体配管の全長に渡り少なくとも上記第1配管壁により互いから分離される。上記配管システムは、少なくとも上記区間Aに渡り可塑性の中空形状として実現され、さらに別の流体配管を備える。該別の流体配管は、第2配管壁により囲まれ、かつその全体が本質的に上記流体配管を囲む、支持ウエブにより互いから少なくとも部分的に分離された、一つ若しくは複数の配管チャンバーを備える。さらに、可塑性中空形状の上記第1及び第2の配管壁、並びに上記支持ウエブは、同じポリマー材から実現される。本発明による上記配管システムは、上記別の流体配管(8)がスカベンジング・チャンバー(8’,8’’)を有するスカベンジング配管(8)として実現され、かつ、スカベンジング配管(8)をフラッシング又は吸引しそれにより流体配管から発生した浸透を集めて輸送するために実現されるスカベンジング装置に接続される、という点で区別される。
【0018】
本発明による配管システムの好ましい改良点、及び一層の発明的特徴は、従属クレームに帰着する。
【発明の効果】
【0019】
本発明による配管システムは、以下の有利な点を備える。
・ 浸透により流体配管壁を通して(例えば流入配管、戻り配管及び通気配管から)存在するガソリン蒸気は、連続的にスカベンジング配管に集められ、永続的に乗り物の燃料(エアレーション及び)通気システムに(動作状態に応じて、エンジンの吸気口又は活性炭フィルタに)供給される。
・ スカベンジング配管は、また、通気配管若しくは再生配管として使用することもできる。
・ 可塑性の中空形状のスカベンジング配管が、液体及び/又は気体で永続的にフラッシングされ、及び/又は部分的な真空による吸引されるならば、多層化された外側壁の必要性は無くなる。
・ 安全性を増すため、可塑性の中空形状の外側壁で、それはまた同時にスカベンジング配管を囲む第2配管壁である外側壁は、追加の仕切り層を設けることもできる。ガソリン蒸気の浸透は、液体ガソリンの浸透よりも多くないことから、最も外側の配管は、少ない複雑さで、及び/又は燃料の浸透に対して良好で、外側壁によりシールされてもよい。
・ 可塑性の中空形状の外側壁は、少なくとも部分的に波形状パイプとして実現してもよい。よって、上記形状の柔軟性は、規定の直径にて増加可能であり、かつ上記形状の横圧抵抗のような機械的性質が改善される。
・ 全ての配管は、一つの可塑性中空形状内に統合され、それは簡易に一つの配管として置くことができ、乗り物に取り付け可能とする。このことは、装着コスト及び接続エラーの可能性を減じ、さらに、取り付けられた部分の外観を改善する。
【0020】
下記では、本発明は、例示的な、模式的な図に基づいてより詳しく説明される。それは、本発明の範囲を単に明確にするものであり、上記範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、非常に模式的な例示にて、自動車における関連技術から既知の燃料配管システムを示し、本質的にWO94/10491の図1に相当する。揮発性成分を有する流体用の配管システム1’は、ここでは燃料配管システムとして実現され、該燃料配管システムは、それぞれが分離した入口10’及び出口11’を有する、流入配管2’、戻り配管3’及び通気配管4’の形態における少なくとも一つの流体配管を備える。それらの流体配管2’、3’、4’は、それぞれ第1配管壁により囲まれ、配管システム1’の区間Aに渡り多かれ少なかれ互いに近接して取り付けられ共同で延在する。しかし、それらは、流体配管2’、3’、4’の全長にわたり少なくとも第1配管壁により分離される。それらの流体配管2’、3’、4’が区間Aにて一つの構成部分内に組み合わせ可能であり、その結果、それらが配管システム1’の区間Aに渡り別のものに接近して延在するということは、WO94/10491にて既に認識されている。しかし、それらは、流体配管2’、3’、4’の全長にわたり少なくとも第1配管壁により互いから分離される。
【0022】
自動車の内燃機関6’の吸気システム15’に接続される通気配管4’は、燃料容器5’内に蓄積された蒸気を集め、通気配管4’を通して蒸気を吸気システム15’(エンジン動作中)又は一時的な貯蔵(吸着)のための活性炭フィルタ41に案内する。乗り物の動作開始後及び動作中、活性炭フィルタ41は、エンジンによって取り入れられた新鮮な空気を用いて再生成される。同時に再び放出されたガソリン蒸気は、再生配管15’を介して、蒸気が燃料/空気と混ぜ合わされ燃焼のためエンジンに供給されるところの、エンジン6’の吸気領域に導かれる。したがって、通気配管4’又は通気システムは、燃料蒸気が通過して通気システム又は通気配管に到達する一つ若しくは複数の入口10’を有する。さらに、通気配管4’又は通気システムは、燃料蒸気が通過して環境に到達することなく通気システムを通り過ぎてもよい出口11’を有する。この場合、吸引ユニット15’の活性炭フィルタ14’又は通気配管4’の出口11’に位置する再生配管は、少なくとも一時的に燃料蒸気をトラップする(特にエンジン停止中)。
【0023】
図2は、自動車における本発明に係る典型的な燃料配管システムを示す図である。揮発性成分を有する流体用の配管システム1は、ここでは、それぞれが分離した入口10及び出口11を有する、流入配管2、戻り配管3及び通気配管4の形態における少なくとも一つの流体配管を備える燃料配管システムとして実現される。本質的に、燃料容器5に少なくとも部分的に位置する燃料ポンプ22と、再生成配管15との間の区間Aにおいて、流入配管2及び戻り配管3は、共同でかつ互いに近接して配置され延在する。流入配管2及び戻り配管3は、少なくとも第1配管壁12により、互いから分離される。しかしながら、スカベンジング配管8がそれら2つの流体配管2,3の周りに位置する(図5A,図5B参照)。このスカベンジング配管8は、それらの端部にて通気システム4に接続され、よって区間Aにおいて通気配管としてまた使用される。
【0024】
図3は、自動車における本発明による典型的な燃料パイプシステムの図を示す。揮発性成分を有する流体用の配管システム1は、ここでは、それぞれが分離した入口10及び出口11を有する、流入配管2、戻り配管3及び通気配管4の形態における少なくとも一つの流体配管を備える燃料配管システムとして実現される。本質的に、燃料容器5に少なくとも部分的に位置する燃料ポンプ22と、再生成配管15との間の区間Aにおいて、流入配管2、戻り配管3及び通気配管4は、共同でかつ互いに近接して配置され延在する。流体配管2、3、4は、少なくとも第1配管壁12により、互いから分離される。しかしながら、スカベンジング配管8がそれら3つの流体配管2,3、4の周りに位置する(図6から図9参照)。このスカベンジング配管8は、その他端にて活性炭フィルタ14’及び/又は自動車の再生成配管15に接続され、よって区間Aにおいて再生成配管としてまた使用される。
【0025】
図4は、最も簡単な、可塑性の中空形状として少なくとも区間Aに渡り実現され、かつ第2配管壁13により囲まれたスカベンジング配管8を備える、本発明による配管システム1の第1実施形態の断面を示す。このスカベンジング配管8は、ここでは、支持ウエブ7により互いから分離された2つのスカベンジング・チャンバー8’’、8’’’を備える。これらのスカベンジング・チャンバー8’’、8’’’の全体が本質的に流体配管2,3,4を囲む。支持ウエブ7の体積をスカベンジング配管8の容量に属するように見るならば、特に、(図4Aに示すように)第1配管壁12が支持ウエブ7から離れるならば、スカベンジング配管8は、完全に流体配管2、3,4を囲む。第1配管壁12から支持ウエブ7のこの分離は、可塑性の中空形状のより大きな柔軟性が必要である場合、例えば熱形成又は自動車に置かれるための場合に特に好まれる。可塑性の中空形状の長手方向軸に直線的に及び本質的に平行に延在する代わりに、製造動作が許すならば、支持ウエブは、螺旋状に延在することもできる。
【0026】
参照符号2、3、4は、ここでは、この流体配管が揮発性成分を有する任意の流体を輸送するため、即ち、例えば内燃機関用の燃料配管システムにおける流入配管、戻り配管、又は通気配管として使用可能であることを示している。この簡単な流体配管2、3、4は、また、燃料配管システムにおける輸送配管、充填配管、蛇口配管、又は通気配管として実現可能であるが、固定の(例えば、埋設され又は壁で囲まれた)又は可動な(例えばトラック又は鉄道車両に搭載された)タンク施設へ導く又は上記タンク施設から導くものとして実現される。この簡単な流体配管2,3,4は、常にスカベンジング配管8により囲まれ、その結果、流体配管2,3,4から生じる浸透は、吸引及び/又は清掃流体(scavenging fluid)を使用することで運び出すことができる。そのような清掃流体は、空気のような気体が使用可能である。もし可塑性の中空形状の特別な柔軟性が必要でない、又は安定性を増すことがさらに要求されるときには、可塑性の中空形状は、ワンピース(一部品)にて製造される(図4B参照)。
【0027】
もし浸透物が爆発性であれば、清掃流体は、液体(例えば水)又は化学的に不活性なガス(窒素ガスのような)も使用可能である。不活性でない清掃流体(例えば空気)を使用する場合、可塑性の中空形状内、又は少なくともスカベンジング配管内において、危険濃度(critical concentration)の発生を避けることは重要である。しかしながら、とりわけ、危険又は有害な濃度が環境へ達してはならない。以下には、異なる物質の爆発限界(explosive limits)の例を説明用に明記している。
【0028】
【表1】

【0029】
一般的に、爆発性の範囲が大きくなるほど、もちろん、その物質を扱うのがより危険になる。アセチレンは、ほぼいずれの濃度においても爆発性である(Flensburg-Tarup ボランティア消防局のホームページ「fire education」から)。
【0030】
スカベンジング配管8をフラッシング又は吸引し、流体配管から生じた浸透物を運び去り収集するための装置は、スカベンジング配管8の出口11に接続される部分的な真空源、又はスカベンジング配管8の入口10に接続される超過圧源であるのが好ましい。そのような部分的な真空源は、例えば真空ポンプ(又は、自動車におけるエンジンの空気取入れシステム)であってもよい。例えば、圧力ポンプ又は圧縮ガスボトルが超過圧源として使用可能である。もしそのような可塑性の中空形状が自動車に使用されたならば、スカベンジング配管8の入口10は、吸収ユニット14(例えば活性炭フィルタ)に接続することができる。吸収ユニット14は、浸透物の蒸気をトラップするために、スカベンジング配管8、例えばエンジンの吸気システムに案内する再生成配管、の出口11に位置する吸引ユニット15を少なくとも一時的にバイパスし、及び/又は緩衝する。
【0031】
可塑性の中空形状のスカベンジング配管8は、一部の真空への接続により一時的に吸引され、及び/又は、液体及び/又は気体を使用して一時的にフラッシングされるのが特に好ましい。そのような簡単な配管にて輸送される流体は、特に表1に引用された流体でもよく、しかし、加熱オイル及び他の燃料、若しくはディーゼルオイル又は他の燃料もまた輸送可能である。ガソリン、ディーゼル、エタノール、メタノール、メタン及び水素のグループから選択された流体エネルギーキャリアーが好ましい。動力車において、ポンプ、通気装置、等のような追加装置が、エンジンが停止したときスカベンジング配管に存在する気体及び/又は蒸気を移動するために設けることができる。
【0032】
図5は、第2実施形態による、本発明に係る配管システムの流入及び戻り配管による断面を示す。これは、揮発性成分を有する流体用の配管システム1であり、該配管システムは、それぞれが分離した入口10及び出口11を有する、(ここでは流入配管、戻り配管2,3の)少なくとも一つの流体配管を備える。それらの流体配管2,3は、第1配管壁12により囲まれ、かつ互いに近接配置されて、配管システム1の区間Aに渡り共同で延在する。2つの流体配管2,3は、それらの全長にわたり少なくとも第1配管壁12により互いから分離される。2つの流体配管2,3は、中間壁21により包まれる。断面は、配管システム1が可塑性の中空形状として少なくとも区間Aに渡り実現され、かつ中間壁21の周りに位置するスカベンジング配管8を備えることを示す。このスカベンジング配管8は、第2配管壁13により囲まれ、一つ若しくは複数(ここでは4つ)の、支持ウエブ7により互いから少なくとも部分的に分離されたスカベンジング・チャンバー8’’、8’’’、8’’’’、8’’’’’を備える。それらのスカベンジング・チャンバーの全体は、本質的に流体配管2,3を囲む。ここでは、戻り配管3の領域及びスカベンジング配管8の領域において、4つの支持ウエブ7が示されている。この例にかかわらず、これを超える又は未満の支持ウエブが設けられても良いが、1配管当たり少なくとも2つの支持ウエブ7が設けられる。もし(図5Aに示すように)第1配管壁12が支持ウエブ7から分離するならば、熱形成用又は自動車に設けるための可塑性の中空形状は、より高い柔軟性を達成する。対照的に、強度を増した専ら直線的な中空形状のために(例えば、タンクへ導く又はタンクからの配管のために)、可塑性の中空形状は、好ましくはワンピース(一部品)にて(図5B参照)製造される。
【0033】
図6は、第3実施形態による、本発明に係る配管システムの流入、戻り及び通気配管による断面を示す。図5と対比して、ここでは通気配管4が同芯状に、つまり第1壁12にて円形断面を共同で形成する2つの流体配管に同軸状にさらに配置される。それらの流体配管は、ここでは流入配管及び戻り配管としてみなされ、支持ウエブ7により互いから分離される。4つの配管チャンバー4’’、4’’’、4’’’’、4’’’’’を備える通気配管4は、上記流体配管2,3の周りに位置し、中間壁21を使用して範囲が定められる。少なくとも区間Aに渡り可塑性の中空形状として実現され、スカベンジング配管8を備える配管システム1の全ての流体配管2,3,4は、本質的に、スカベンジング配管8、及び/又は支持ウエブ7にて互いから分離されるスカベンジング・チャンバー8’’、8’’’、8’’’’、8’’’’’により、囲まれる。図6Aに示すように、第1配管壁12は、支持ウエブ7から部分的に分離してもよい。これにより、熱形成のために又は自動車に置くために、可塑性の中空形状のより高い柔軟性が再び達成される。しかしながら、水平軸周りの可塑性の中空形状の柔軟性は、ここでは垂直に示されている支持ウエブ7により制限される。垂直軸に関する柔軟性を許容又は改善するため、中間壁21に位置する水平の保持ウエブ7は、好ましくは、第1配管壁12及び第2配管壁13から分離される(図6A参照)。またその代わりに、同じ結果を有して、水平の支持ウエブ7が、また常に、隣接する特定の外側壁にのみ接続されるようにしてもよい(図6B参照)。対照的に、強度を増した専ら直線的な中空形状のために(例えば、タンク設備へ導く又はタンク設備からの配管のために)、可塑性の中空形状は、好ましくはワンピースにて(図5B参照)製造される。
【0034】
図7は、第4実施形態による、本発明に係る配管システムの多数の、流入、戻り及び通気配管による断面を示す。図6と対比して、ここでは、2つの中央流体配管、流入配管2、及び戻り配管3が分離され、その結果、4つの中央流体配管2、2’’、3、3’’、及び上記中央流体配管を囲み配管チャンバー4’’、4’’’、4’’’’、4’’’’’を有する環状流体配管4が生じる。流体配管2、2’’、3、3’’は、中間壁21により流体配管4から分離される。少なくとも区間Aに渡りワンピースの可塑性の中空形状として実現され、スカベンジング配管8を備える、配管システム1の全ての流体配管2,3,4は、スカベンジング配管8、及び/又は支持ウエブ7にて互いから分離されるスカベンジング・チャンバー8’’、8’’’、8’’’’、8’’’’’により、本質的に完全に囲まれる。支持ウエブ7は、隣接する壁に全ての側で接続され、可塑性の中空形状の良好な安定性をもたらす。もしこの可塑性の中空形状が直線から非常に外れて計画された最終形状を有するものである場合、支持ウエブ7は、特別の隣接する壁から離れて製造可能であり(図6参照)、その結果、当初直線状に押し出された中空形状は、熱形成による再加熱後、形に曲げることができる。それに代えて、そのような可塑性の中空形状は、また、ワンピースにて押出成形され、又はワンピースにて吹込成形されてもよく、及び/又は連続的に吹込成形され若しくは連続的に押出成形されて最初の固化前に、それらが所望の最終形状に冷却される金型内に配置されてもよい。
【0035】
図8は、第5実施形態による、本発明に係る配管システムの流入、戻り及び通気配管による断面を示す。図3から図6と対比して、流体配管2,3,4は、周囲のスカベンジング配管8に少なくとも部分的に同軸的に延在し、中央の2つの流体配管2,3は、ここでは互いに隣接して平行に位置する。支持ウエブ7により4つの配管チャンバー4’’、4’’’、4’’’’、4’’’’’に分割される通気配管4は、流体配管2,3を囲むように延在する。流体配管2,3は、中間壁21によって流体配管4から分けられる。少なくとも区間Aに渡りワンピースの中空形状として実現され、かつスカベンジング配管8を備える全ての流体配管2,3,4は、スカベンジング配管8及び/又は支持ウエブ7により互いから分離されるそのスカベンジング・チャンバー8’’、8’’’、8’’’’、8’’’’’により、本質的に完全に囲まれる。隣接する壁に全ての側で接続されている支持ウエブ7は、可塑性の中空形状の良好な安定性をもたらす。
【0036】
もしこの可塑性の中空形状が直線から非常に外れた計画最終形状を有するならば、一方の支持ウエブ7は特定の隣接壁にある距離離れて生成可能であり、その結果、最初に直線的に押出成形された中空形状は、(例えば、水蒸気を使用して、誘導を使用して、又は金属繊維及び同種のもので作られた可撓性の加熱心金を使用して)再加熱後、形状に曲げられてもよく(熱成形され)、金型内にて加熱され、そして固化されて(冷却水を使用して冷却する)てもよい。又は、そのような可塑性の中空形状は、また、ワンピースにて押出成形され、若しくはワンピースにて吹込成形され、所望の最終形状に冷却される第1固化処理の前に、金型内に置くこともできる。
【0037】
図9は、第6実施形態による、本発明に係る配管システムの流入、戻り及び通気配管による断面を示す。図8と対比して、流体配管2,3は、互いに近接して配置され、中央の2つの流体配管2,3は、この場合、互いからある距離離れて存在し、全ての支持ウエブは、それぞれ、隣接する一つの壁にのみ接続されている。
【0038】
可塑性の中空形状の支持ウエブ7と同様に第1及び第2の配管壁12、13を含む、示される流体配管2,3,4は、同一の、単一層のポリマー材から実現されるのが好ましい。この簡単な構成は、共有押出成形又は吹込成形(好ましくは3D吹込成形)を使用する、及び/又は連続的な吹込成形又は連続的な押出成形を使用する可塑性の中空形状の、コスト効率の良い製造を可能にする。
【0039】
例えば、もし曲げの柔軟性が要求されるならば、本発明による可塑性の中空形状の外側壁が少なくとも部分的に波形形状で実現してもよいことを今一度注目してほしい。
【0040】
第2配管壁13の内壁に好ましくは位置し、共有押出成形により可塑性の中空形状内へ導かれる、少なくとも一つの追加の仕切り壁19(例えば図4参照)を、スカベンジング配管8は有しても良い。又、スカベンジング配管8は、活性炭を充填した又は共有押出成形されたポリエチレンを備えた少なくとも一つの追加の吸着層20(例えば図4参照)を有していてもよい。又、流体配管、特に内燃機関用の燃料配管システムにおける通気配管4は、追加の吸着層20(例えば図9参照)を有しても良い。上記吸着層20は、別の方法にて(例えば可塑性の中空形状に組み込まれた網状の織物材に埋め込まれる)対応するキャビティに充填又は導かれる活性炭、若しくは共有押出成形されたポリエチレンを備える。図4及び図9の例示的な図にかかわらず、必要ならば、スカベンジング配管8又は流体配管4の一若しくは複数の配管チャンバーを吸着層20とともに設けても良い。
【0041】
可塑性の中空形状を製造するのに適したポリマー材料は、流体配管2,3,4内を輸送される少なくとも流体に関して耐性を有するものである。限定された範囲に供給される流体に浸透性がある、可塑性の中空形状を製造するためのポリマー材料を選択するのに、経済的理由に関心があってもよい。第2の場合、しかしながら、可塑性の中空形状のスカベンジング配管8は、液体及び/又は気体を使用する部分的な真空及び/又はフラッシングされることにより永久に吸引されるということであろう。吸引された及び/又はフラッシングされた気体は、この目的に適した、活性体容器(図3参照)のようなトラッピング容器にトラップされてもよく、又は、例えば、吸気システムにより吸引された炭水化物蒸気は、エンジン内で燃料として直接燃焼されてもよい。蒸気又は気体の圧力の存在により、自動車のタンク容器(tank bladder)内の場合のように、追加のフラッシングをすることなく、及び/又はエンジンが停止したときでも、気体は、活性炭フィルタへ移動する。したがって、本発明による可塑性の中空形状は、高い蒸気圧及び可塑性に関して浸透特性を有する流体に特に適している。それゆえに、環境に有害で、有毒であり、又は揮発性成分を有する可燃性流体は、本発明による可塑性の中空形状内を無害に輸送可能である。
【0042】
流体配管を備える長円の内部可塑性パイプが最初に押し出される、ヨーロッパ特許のEP0264102に開示される方法は、例えば、本発明による可塑性の中空形状の製造にまた適している。その後、この内部パイプは、横方向の主鋳型(transverse main matrix)を有する押出成形鋳型機に連続的に供給され、それを使用して、長手方向に延在し一定の高さで内側で放射状に延びる少なくとも2つの支持ウエブを有する長円の外部可塑性パイプが、また、上記内部パイプの周りに連続的に押し出される。下流の口径測定鋳型ユニット(calibration matrix unit)において、外部パイプは、外部パイプの支持ウエブの自由端が内部パイプの外周面に溶けるまで(図4B、図5B、図7及び図8参照)、柔らかい状態のまま共に引かれる。もし内部パイプが加熱によってさらに柔らかくなる場合、例えば自動車内に、装着用の最終形状が、外部パイプの溶融と同時に可塑性の中空形状に与えられてもよい。この方法にて製造される可塑性の中空形状は、スカベンジング配管内に同軸的に位置する流体配管を好ましくは備え、外部パイプの外径は、0.1〜2mmの肉厚で3〜20mmでありうる。内部パイプの外径は、0.05〜2mmの肉厚で、外部パイプの外径の0.2〜0.9倍が好適である。支持ウエブの厚さは、0.1〜1.5mmであるのが好ましい。この方法は、図2〜図5に示されるような可塑性の中空形状を生成するのに特に適しており、この場合、さらにエンベロープは、好ましくはあらかじめ押し出された可塑性の中空形状に常に適用される。その結果、図2に示す可塑性の中空形状に関して、2つの作業工程が必要であり(ヨーロッパ特許、EP0264102に記述されるように)、図3から図5に示す可塑性の中空形状に関して3つの作業工程が必要である。もし外部パイプが押し出しの後に、ともに部分的にのみ引かれ、又は少しもともに引かれないならば、支持ウエブは、隣接する一つの壁のみに接続され続け、他方の隣接した壁から未だ離れたものとなる(図4A、図5A、図6A、図6B及び図9参照)。
【0043】
特に、ポリアミドに基づく成形コンパウンドは、本発明に係る可塑性の中空形状の製造用のポリマー材料として適切である。この場合、上記可塑性の中空形状の成形コンパウンド用のポリアミドが、PA6、PA9T、PA46、PA66、PA69、PA610、PA612、PA1010、PA1012、PA11、PA12、PA1212、それらの混合物、及びこれら成分を有する共重合ポリアミドを備えるグループから選択されるのが好ましい。
【0044】
また、部分的な結晶性脂肪族ポリアミド及び部分的な芳香族ポリアミドで作られたポリマー混合物に基づくポリアミド成形コンパウンドは、可塑性の中空形状の製造に特に非常に適している。この場合、脂肪族ポリアミドの割合は、50重量パーセントを超えるのが好ましく、脂肪族のポリアミドにおけるアミド化合物に対する脂肪族の炭素原子の数値比率は、8:1から12:1までの範囲である。さらに、欠乏して設けられた部分的な芳香族ポリアミドが、ヘキサメチレンテレフタルアミド(6T)ユニットに加えて、部分的な芳香族及び/又は脂肪族アミドユニットさらに有し、及び、大部分、部分的な結晶性になるのが好ましい。
【0045】
輸送される流体の表面摩擦により発生可能な、可塑性の中空形状から静電気の電荷を導くため、例えば、可塑性の中空形状は、電気的に伝導性(帯電防止)として実現されるのが好ましく、及びグラウンド電位9に電気的に接続される。導電性は、成形コンパウンドに、カーボンブラック、炭素繊維、黒鉛小繊維、黒鉛粒、ナノカーボンチューブ、金属粉、又は金属繊維(特に鋼ファイバー)のような電気的に伝導性のフィラーを加えることによる、それ自身知られた方法で生成されるのが好ましい。鋼ファイバーは、さらに可塑性の中空形状に、その熱伝導率を増加させる。
【0046】
ポリアミド成形コンパウンドに関して、それ自身知られたさらなる添加物は、層状のケイ酸塩(フィロケイ酸塩)の形態のフィラーを備え、それは、改善された機械的性質に加えて、揮発性材料の浸透に関して改善されたバリア効果を有するナノ合成物を提供する。
この場合、生成された材料は、部分的に結晶性ポリアミド、及び高々100nmの平均粒子径の超微細な粒状物を好ましくは有する無機質フィラーを有するポリアミド成形コンパウンドである。剥離された層状のケイ酸塩は、合成フッ化雲母(synthetic fluoromica)において、長手方向にて1000nmの長さを有することができる。寸法のこの詳述は、少なくとも一つの寸法に関する。ポリアミドの用語は、ホモポリアミド、共重合アミド、及びホモポリアミド及び/又は共重合アミドの混合物を含むように理解される。
【0047】
脂肪族のポリアミド及びフィロケイ酸塩を有するポリアミドナノ合成物は、特に好まれる。この場合、ホモポリアミドのPA6、PA66、PA46並びにPA11及びPA12が好ましい。又は、アモルファス・ポリアミドの成分を有する部分的な結晶性ポリアミドで作製させた混合物も考えられ、しかしながら、部分的な結晶性ポリアミドの成分は、本発明により生産された全てのポリアミドナノ合成物に常に存在する。この変形の好ましい例は、部分的な結晶性PA66及びアモルファスPA6I/6Tで作られた混合物であり、それは、登録商標GRIVORY GV(補強されたガラス繊維)の下に、EMS−Chemie AG(CH−7013 Domat/Ems)から入手可能である。
【0048】
有機的に変更されたフィロケイ酸塩が好ましくは使用され、特に、ポリアミド成形コンパウンドが高々10重量パーセントにて備える3層タイプ(2:1)のものが好ましい。3層タイプ(2:1)のフィロケイ酸塩(層状のケイ酸塩)は、雲母(例えば、白雲母(muskovite)、ソーダ雲母、金雲母(phologopite)、黒雲母、紅雲母(lepidolith)、真珠雲母))、スメクタイト(smektite)(モンモリロナイト、ヘクトライト)、および蛭石を含み、特にモンモリロナイトが好ましい。これらは、有機的に変更された形態にて好ましくは用いられる。その結果、それらはポリアミド・マトリックスにおける剥離された形態で分散することができ、ナノ合成物として最大の効果を展開してもよい。
【0049】
流体配管2、3、4及びスカベンジング配管8は、好ましくはそれらの入口10と出口11で、各々接続システム18の接続エレメント17に接続される配管端16を有している。この接続は、導かれる流体に対してシールされることになっており、例えば突き合せ溶接、回転溶接、摩擦溶接、振動溶接、レーザー溶接又は誘導溶接、による溶接により、接着及び/又は栓をすることにより、作製可能である。あるいは、特別の接続エレメント17は、流体配管2、3、4及びスカベンジング配管8の配管端16に、例えば押出コーティングにより、成型されてもよい。
【0050】
ヨーロッパ特許EP0635670の明細書から分かるように、迅速な接続システムのプラグとして実現される接続エレメント17が特に好ましい。そのような接続エレメント17は、また、電気的に伝導性のもの(帯電防止)として実現されるのが好ましい。
【0051】
任意の実施形態の単一の又は複数の(例えば各々2つが正反対に対向する)配管チャンバー3’’、3’’’、3’’’’、3’’’’’は、指向的な分離流体配管及び/又は機能的分離流体配管として、交互に使用することもできる。従って、例えば、図3において、一度に2つの配管チャンバー3’’、3’’’’が戻り配管3として使用可能であり、及び一度に2つの配管チャンバー3’’’、3’’’’’が通気配管4として使用可能である。また、冷却水が配管チャンバー3’’、3’’’、3’’’’、3’’’’’の一つ内、又はスカベンジング配管8内に導かれても良い。
【0052】
本発明による、特にワンピースにおける可塑性の中空形状において、第2配管壁13により囲まれ、かつ支持ウエブ7により互いから分離された一若しくは複数のスカベンジング・チャンバー8’’、8’’’を有し、その全体が少なくとも本質的に流体配管2,3,4を閉じ込めるスカベンジング配管8を、可塑性の中空形状が備える限り、任意の数の流体配管は、任意の配列で設けられてもよく、任意の流れ方向を有してもよい。
【0053】
異なる図における参照符号は、それぞれの場合において、同一の若しくは対応する要素を示す。このことは、それらの要素が本文中に明白に示されていないときでも正しい。
【0054】
図4〜図9における要素は、本発明の範囲内で、実用的に任意に互い交換されてもよい。特に、支持ウエブ7は、可塑性の中空形状の所望の空間的な柔軟性に依存して、隣接する一つの壁に若しくは隣接する両方の壁に、特定のポイントで、接続されてもよい。可塑性の中空形状を変形する所望の能力によって、追加の吸着層20が特定方向における上記中空形状の曲がりを妨げることが少ないような方法で、吸着層20が配置されてもよい。しかしながら、これらの支持ウエブ7及び/又は吸着層20は、また、可塑性の中空形状のさらなる三次元の安定化のために用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】自動車における関連技術から既知である燃料配管システムを示す図である。
【図2】自動車において、本発明による燃料配管システムを示す図であり、断面は図5に対応する。
【図3】自動車において、本発明による燃料配管システムを示す図であり、断面は図6から図9に対応する。
【図4】本発明による配管システムの第1実施形態で、最も単純なものによる、可撓性(図4A)及び安定した(図4B)断面を示す。
【図5】図2に示す第2実施形態による、本発明による配管システムの流入、戻り及び通気の配管による、可撓性(図5A)及び安定した(図5B)断面を示す。
【図6】図3に示す第3実施形態による、本発明による配管システムの流入、戻り及び通気の配管による、2つの水平な可撓性(図6A、図6B)断面を示す。
【図7】第4実施形態による、本発明による配管システムの多数の流入、戻り及び通気の配管による、安定した断面を示す。
【図8】第5実施形態による、本発明による配管システムの流入、戻り及び通気の配管による、安定した断面を示す。
【図9】第6実施形態による、本発明による配管システムの流入、戻り及び通気の配管による、全側面で可撓性である断面を示す。
【符号の説明】
【0056】
1…配管システム、2…流入配管、3…戻り配管、4…通気配管、
7…支持ウエブ、8…スカベンジング配管、12…第1配管壁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性成分を有する流体用の配管システムであって、各々が別々の入口(10)及び出口(11)を有する少なくとも一つの流体配管(2,3,4)を備え、上記流体配管(2,3,4)は、第1配管壁(12)により囲まれ、かつ当該配管システム(1)の区間(A)に渡り共同で互いに接近配置して延在し、かつ当該流体配管(2,3,4)の全長にわたり少なくとも上記第1配管壁(12)により互いから分離されており、上記配管システム(1)は、少なくとも上記区間(A)に渡り可塑性の中空形状として実現され、かつ別の流体配管(8)を備え、該別の流体配管は、第2配管壁(13)により囲まれ、かつ一つ若しくは複数の配管チャンバー(8’、8’’)を備え、該配管チャンバーは、その全体が少なくとも本質的に上記流体配管(2,3,4)を囲み、かつ支持ウエブ(7)により互いから少なくとも部分的に分離され、上記可塑性の中空形状の上記第1及び第2の配管壁(12,13)並びに支持ウエブ(7)は、同じポリマー材料から実現される、揮発性成分を有する流体用の配管システムであって、
上記別の流体配管(8)は、スカベンジング・チャンバー(8’、8’’)を有するスカベンジング配管(8)として実現され、かつ上記スカベンジング配管(8)をフラッシング又は吸引して、上記流体配管から発生した浸透物を輸送しかつ収集するために実現されるスカベンジング装置に接続される、ことを特徴とする流体用の配管システム。
【請求項2】
上記可塑性の中空形状の、上記第1及び第2の配管壁(12,13)並びに支持ウエブ(7)は、単一層として実現されることを特徴とする、請求項1記載の配管システム。
【請求項3】
上記スカベンジング配管(8)をフラッシング又は吸引するための装置は、上記スカベンジング配管(8)の出口(11)に接続される部分的な真空源、又は上記スカベンジング配管(8)の入口(10)に接続される超過圧源であることを特徴とする、請求項1又は2記載の配管システム。
【請求項4】
上記スカベンジング配管(8)の入口(10)は、浸透蒸気を捉えるために、上記スカベンジング配管(8)の出口(11)に位置する吸引ユニット(15)を少なくとも一時的にバイパス及び/又はバッファーする吸収ユニット(14、14’)に接続されることを特徴とする、請求項1又は2記載の配管システム。
【請求項5】
上記可塑性の中空形状の上記スカベンジング配管(8)は、永続的に、部分的な真空により吸引され、及び/又は、液体及び/又は気体を使用してフラッシングされることを特徴とする、請求項3又は4記載の配管システム。
【請求項6】
上記可塑性の中空形状は、内燃機関用の燃料配管システムとして実現され、上記燃料配管(2,3,4)は、流入配管(2)、戻り配管(3)、及び通気配管(4)を備えるグループから選択された少なくとも一つの配管を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の配管システム。
【請求項7】
上記可塑性の中空形状は、動力車の燃料容器(5)と内燃機関(6)との間、特に、自動車の燃料容器と内燃機関との間に配置されることを特徴とする、請求項6記載の配管システム。
【請求項8】
上記スカベンジング配管(8)は、燃料タンク(5)をエンジン(6)の吸気システム(15)に接続する通気配管(4)として実現されることを特徴とする、請求項7記載の配管システム。
【請求項9】
上記可塑性の中空形状は、燃料タンクへ導く及び/又は燃料タンクから導かれる燃料配管システムとして実現され、上記流体配管(2,3,4)は、輸送配管、充填配管、蛇口配管及び通気配管を備えるグループから選択された少なくとも一つの配管を備えたことを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の配管システム。
【請求項10】
上記可塑性の中空形状のポリマー材は、上記流体配管(2,3,4)内を輸送される流体に関し耐性がありかつ浸透可能性を制限し、上記流体は、ガソリン、ディーゼル、エタノール、メタノール、メタン及び水素を有するグループから選択されることを特徴とする、請求項2から9のいずれかに記載の配管システム。
【請求項11】
上記流体配管(2,3,4)及び上記スカベンジング配管(8)は、一方を他方の内側に、又は互いに隣接して、好ましくは同軸状に一方を他方の内側に、又は互いに平行に隣接して位置されることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の配管システム。
【請求項12】
流体配管(2,3,4)、スカベンジング配管(8)及び支持ウエブ(7)を有する上記可塑性の中空形状は、ワンピースの押出成形された可塑性の中空形状、若しくはワンピースの吹込成形された可塑性の中空形状であることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の配管システム。
【請求項13】
上記可塑性の中空形状は、一若しくは複数のワンピースの予め押出成形された流体配管(2,3,4)及び外部のスカベンジング配管(8)から構成され、横方向の主鋳型を有する押出成形機に、上記予め押出成形された支持ウエブ(7)を有する流体配管(2,3,4)が加えられ、かつ上記予め押出成形された流体配管(2,3,4)の第1配管壁(12)とともに上記支持ウエブ(7)が溶けるまで、口径測定鋳型ユニットにてまだ暖かい状態において共に引かれることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の配管システム。
【請求項14】
上記可塑性の中空形状は、カーボンブラック、炭素繊維、黒鉛小繊維、黒鉛粒、ナノカーボンチューブ、金属粉、金属繊維及び鋼繊維を備えるグループから選択される導電性フィラーを成形コンパウンドに加えることにより電気的に伝導性として実現され、かつグランド電位(9)に電気的に接続可能であることを特徴とする、請求項1から13のいずれかに記載の配管システム。
【請求項15】
流体配管(2,3,4)及びスカベンジング配管(8)は、それらの入口(10)及び出口(11)に、接続システム(18)の接続エレメント(17)にそれぞれ接続される配管端(16)を有することを特徴とする、請求項1から14のいずれかに記載の配管システム。
【請求項16】
上記配管端(16)は、密閉を形成する溶接又は接着を形成するため特別な接続エレメント(17)に接続されることを特徴とする、請求項15記載の配管システム。
【請求項17】
特別な接続エレメント(17)は、流体配管(2,3,4)及びスカベンジング配管(8)の配管端(16)に成形されることを特徴とする、請求項15記載の配管システム。
【請求項18】
上記接続エレメント(17)は、迅速な接続システムのプラグとして実現されることを特徴とする、請求項15から17のいずれかに記載の配管システム。
【請求項19】
上記接続エレメント(17)は、カーボンブラック、炭素繊維、黒鉛小繊維、黒鉛粒、ナノカーボンチューブ、金属粉、金属繊維及び鋼繊維を備えるグループから選択される導電性フィラーを成形コンパウンドに加えることにより電気的に伝導性として実現されることを特徴とする、請求項15から18のいずれかに記載の配管システム。
【請求項20】
上記可塑性の中空形状は、ポリアミドに基づく成形コンパウンドに基づくことを特徴とする、請求項1から19のいずれかに記載の配管システム。
【請求項21】
上記可塑性の中空形状の成形コンパウンド用のポリアミドは、PA6、PA9T、PA46、PA66、PA69、PA610、PA612、PA1010、PA1012、PA11、PA12、PA1212、それらの混合物、及びこれら成分を有する共重合ポリアミドを備えるグループから選択されることを特徴とする、請求項20記載の配管システム。
【請求項22】
上記可塑性の中空形状用のポリアミド成形コンパウンドは、部分的な結晶性脂肪族ポリアミド及び部分的な芳香族ポリアミドで作られたポリマー混合物に基づいてなり、脂肪族ポリアミドの割合は、50重量パーセントを超えるのが好ましく、脂肪族ポリアミドにおけるアミド化合物に対する脂肪族の炭素原子の数値比率は、8:1から12:1までの範囲であり、かつ、欠乏して設けられた部分的な芳香族ポリアミドは、ヘキサメチレンテレフタルアミド(6T)ユニットに加えて、部分的な芳香族及び/又は脂肪族アミドユニットさらに有し、及び、大部分、部分的な結晶性になることを特徴とする、請求項20記載の配管システム。
【請求項23】
上記可塑性の中空形状用の成形コンパウンドは、層状のケイ酸塩を有するポリアミドナノ合成物であることを特徴とする、請求項20から22のいずれかに記載の配管システム。
【請求項24】
上記スカベンジング配管(8)は、少なくとも一つの追加の仕切り層(19)を有することを特徴とする、請求項1又は3から23のいずれかに記載の配管システム。
【請求項25】
上記スカベンジング配管は、少なくとも一つの追加の吸着層(20)を有することを特徴とする、請求項1又は3から24のいずれかに記載の配管システム。
【請求項26】
上記吸着層(20)は、活性炭又はポリエチレンを備えることを特徴とする、請求項25記載の配管システム。
【請求項27】
請求項1から26のいずれかに記載の配管システムの使用であって、上記可塑性の中空形状は、揮発性成分を有する流体用で、可動な、埋設され、又は建物に据え付けられるタンク施設の供給配管又は排出配管として装着されることを特徴とする。
【請求項28】
請求項1から26のいずれかに記載の配管システムの使用であって、上記可塑性の中空形状は、燃料容器と内燃機関との間、特に、燃料タンクと自動車のエンジンとの間の燃料配管として装着されることを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−307841(P2006−307841A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−80186(P2006−80186)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(502415180)エーエムエス−ヒェミー・アクチェンゲゼルシャフト (7)
【氏名又は名称原語表記】EMS−CHEMIE AG
【Fターム(参考)】