説明

揮発性物質ディスペンサ

揮発性物質ディスペンサが、傾斜作動式バルブステムを有する容器上に離脱可能に取り付けられるように構成された駆動ユニットを含む。駆動ユニットは、傾斜作動式バルブステムを半径方向に変位させるように構成されている。吐出端部を有する可撓管が、容器に対して固定して保持される。可撓管は、傾斜作動式バルブステムと流体連通するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照> 該当なし
<連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載> 該当なし
<配列リスト> 該当なし
【0002】
本開示は、一般には、容器からの揮発性物質の放出のためのバルブ作動システムに関し、より詳細には、傾斜作動式バルブステムを有する容器からエアロゾル化流体を散布(放出)するように構成された可撓管を有するバルブ作動システムに関する。
【背景技術】
【0003】
エアゾール容器は通例、芳香剤、消臭剤、殺虫剤、殺菌剤、うっ血除去薬、香水などといった揮発性物質を貯蔵し、散布するのに使用される。揮発性物質は、圧縮されて、通常は液体として容器内で貯蔵される。容器に備わる放出バルブが、容器内に圧縮されて含まれる揮発性物質の放出を制御する。放出バルブは、通常、バルブから外側に向かって延在するバルブステムを有し、バルブはバルブステムによって作動され、揮発性物質はバルブステムを通って容器から流出する。このような放出バルブでは、バルブは、バルブ本体に対するバルブステムの変位によって作動される。バルブステムは、バルブステムの長手方向軸に沿って、すなわち軸方向に変位されてもよく、バルブステムの長手方向軸を横切る方向に、すなわち、半径方向に傾けられ、または変位されてもよい。
【0004】
放出バルブの作動は、自動化システムによって行うこともでき、手操作で行うこともできる。手操作での作動に際して、ユーザは、所望の放出を達成するために、必要に応じてバルブに加わる作動力を調整することができる。したがって、手動式の放出バルブの設計にとって、加わる力の要件を考慮することは、一般にあまり重要ではない。従来の作動機構は、下向きの圧力を加えてノズルを押し下げ、容器内でバルブを開く電動式のリンク機構を含み得る。通常、これらの作動機構は扱いにくく、単独で、かつ手で持った状態で使用されるよう適応させるのは容易ではない。さらに、これらの作動機構の多くは、大量に電力を消費する。一般に、傾斜作動式バルブステムを有するバルブは、垂直作動式バルブステムを有するバルブより作動させるための力が少なくて済む。より小さい作動力で済む放出バルブは、作動させるための電力がより少なく済むため有利である。電力消費が低減されれば、より長期間の電源寿命が可能になる。また、必要な力が小さいほど、より簡単で、小型で、かつ/または安くつく自動化設計が可能になるため、作動力がより小さければ作動の自動化にも有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
傾斜作動式バルブステムを有するバルブのための既存の自動バルブ作動システムは、複雑であり、製造するのが難しく、高くつく場合もある。また、歯車、ばね、および多数の可動部分の精密な相互作用を含む複雑なシステムは、動作に際してより多く電力を必要とし、故障する傾向がより大きく、揮発性物質容器上に配置するためのオーバーキャップ内に適合させるには大きすぎる場合もある。
【0006】
傾斜作動式バルブステムを有するバルブのための現在のバルブ作動システムの別の不都合点は、揮発性物質が放出される方向を制御し得る能力に限界があることである。軸方向に作動されるバルブでは、バルブステムが軸方向にどの程度押し下げられるかに関わらず、揮発性物質はバルブステムの長手方向軸に沿って放出される。しかし、傾斜作動式バルブステムでは、放出の方向は、傾斜作動式バルブステムが半径方向にどの程度変位されているか、および/または半径方向変位が周方向にどの程度変位されるかに左右される。この放出方向を制御する能力の限界により、傾斜作動式バルブステムと共に使用することのできるオーバーキャップの種類が制限される。放出される揮発性物質の一部分がオーバーキャップ内に捕捉されるのを防ぐためには、オーバーキャップは、あらゆる放出方向に対応するのに十分な大きさの開口を含まなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、揮発性物質ディスペンサは、傾斜作動式バルブステムを有する容器上に離脱可能に取り付けられるように構成された駆動ユニットを備える。この駆動ユニットは、傾斜作動式バルブステムを半径方向に変位させるように構成されている。吐出端部を有する可撓管が、容器に対して固定して保持される。この可撓管は、傾斜作動式バルブステムと流体連通するように構成されている。
【0008】
本発明の別の態様によれば、散布システムは、傾斜作動式バルブステムを有する容器上に離脱可能に取り付けられるように構成された、吐出孔を含むハウジングを備える。可撓管は、傾斜作動式バルブステムと流体連通するように構成されており、吐出孔のすぐ近くに固定して配置される吐出端部を有する。ハウジング内には、傾斜作動式バルブステムを半径方向に変位させるように構成されたソレノイドアセンブリを含む駆動ユニットが配置されている。
【0009】
本発明の別の態様によれば、揮発性物質ディスペンサは、容器上に取り付けられるように構成された駆動ユニットを備える。この駆動ユニットは、少なくとも1台のセンサからの信号に応答して、容器の傾斜作動式バルブステムを半径方向に変位させるように作動される。可撓管は、容器に対して固定して保持される吐出端部を有し、傾斜作動式バルブステムと流体連通するように構成されている。
本発明の他の態様および利点は、以下の詳細な説明を考察すれば明らかになるであろう。以下の説明では、類似の構造を類似の参照番号で示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】流体容器上に取り付けられた揮発性物質ディスペンサの一実施形態を示す等角図である。
【図2】図1の揮発性物質ディスペンサを示す正面図である。
【図3】図1の揮発性物質ディスペンサを示す背面図である。
【図4】図1の揮発性物質ディスペンサを示す右側面図である。
【図5】図1の揮発性物質ディスペンサを示す左側面図である。
【図6】図1の揮発性物質ディスペンサを示す平面図である。
【図7】明確にするために、揮発性物質ディスペンサのプラットフォームより上方の構造が省略されている、図6の線7−7に沿った部分断面右側面図である。
【図8】明確にするために、取付けブラケットおよび支持部品が省略されている、図1の揮発性物質ディスペンサを示す右側面図である。
【図9】明確にするために、流体容器、吐出管、および可撓管だけが示されている、概ね図7の線9−9に沿った揮発性物質ディスペンサの部分断面図である。
【図10】明確にするために、切断面の背後の構造が省略されている、概ね図6の線10−10に沿った図1の揮発性物質ディスペンサのガイド部材を示す断面図である。
【図11】図1の揮発性物質ディスペンサのハウジングを示す正面図である。
【図12】図11のハウジングを示す右側面図である。
【図13】ACコネクタを含み、容器上に取り付けられていることを除いて図12および図13に示すものと同様の、図1の揮発性物質ディスペンサのハウジングの別の実施形態を示す左背面等角図である。
【図14】明確にするために、切断面の背後の構造が省略されている、図6の線14−14に沿った調整可能なガイド部材を示す別の実施形態を示す断面図である。
【図15】概ね図14の線15−15に沿った図14の調整可能なガイド部材を示す部分断面図である。
【図16】図14および図15に示す調整可能なガイド部材を含む揮発性物質ディスペンサの別の実施形態を示す右側面等角図である。
【図17】スロットとセンサを収容するための開口とを含む図16の揮発性物質ディスペンサのハウジングを示す正面図である。
【図18】押し下げ可能なパネルをさらに示す図17のハウジングを示す右側面図である。
【図19】第1の操作順序による図1〜18の揮発性物質ディスペンサの動作を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1〜図7に、容器52(図1〜図5および図7参照)上に取り付けられるように構成された揮発性物質ディスペンサ50を示す。揮発性物質ディスペンサ50は、特定の条件が発生すると、容器52から流体を吐出する。この条件は、揮発性物質ディスペンサ50の手操作による作動とすることもでき、タイマまたはセンサからの電気信号に応答した揮発性物質ディスペンサ50の作動を自動化することもできる。吐出される流体は、キャリア液内、脱臭液内などに含まれる香料または殺虫剤とすることができる。また流体は、殺菌剤、芳香剤、臭気除去剤、カビもしくは菌類防止剤、昆虫忌避剤などといった、かつ/または芳香療法的特性を有する他の有効成分を含むこともできる。あるいは流体は、容器52から吐出させることのできる、当業者に公知の任意の流体を含む。したがって揮発性物質ディスペンサ50は、いくつもの異なる流体調合物を散布するように構成されている。
【0012】
揮発性物質ディスペンサ50は、円筒形部分56上に配置されたプラットフォーム54を含む。図7に示すように、円筒形部分56は、容器52の上端部58にスナップ嵌めされるように形成されている。図7には、本実施形態が、円筒形部分56の内周62から内側へ突出する環状突出部60を含むことが示されている。環状突出部60の末端部64は、容器52の上端部58にある上部マウンティングカップ68と下部マウンティングカップ70の間に配置された容器52の切り込み66とのスナップ嵌めを形成する。容器52は、当業者に公知の任意のサイズおよび容量のエアゾール容器とすることができる。
【0013】
図7を参照すると、プラットフォーム54には開口72が設けられている。開口72は、図7〜図9に示すように、吐出管76の入口部分74を収容する。図9に最もよく示されているように、吐出管76は、入口部分74を出口部分80に連結する横中間部分(transverse medial portion)78を含む。吐出管76を貫通して基端部84から出口端部86まで連続する開口82が配置されている。容器52内のバルブアセンブリ(不図示)は、容器52の端部表面92上に配置されたカラー(collar)90を貫通して上方に延在する傾斜作動式バルブステム88を含む。吐出管76の基端部84は、プレス嵌めなどによって、傾斜作動式バルブステム88を覆うように取り付けられている。連続開口82は、傾斜作動式バルブステム88を貫通して配置されている内腔94と流体連通している。図7および図8に示すように、吐出管76は、その入口部分74から半径方向に延在するフランジ96をさらに含む。傾斜作動式バルブステム88は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、Van der Heijdenの米国特許第4064782号明細書に記載されているタイプのものであってもよい。
【0014】
可撓管98は、図1、図3、図4、および図9に示すように、吐出管76の出口端部86に取り付けられて(連結されて)いる入口端部100を含む。また可撓管98は、図1、図2、図4〜図6、図15、および図16に示すように、吐出端部101も含む。本実施形態では、図2、図6、図10、図14、および図15に示すように、スリーブ102が、プレス嵌め、接着剤、ファスナなどによって、または他の任意の連結手段によって、可撓管98の吐出端部101の近傍で可撓管98を覆うように連結されている。図2、図3、図6、および図10に示すようなガイド部材104は、可撓管98の吐出端部101を容器52に対して固定化するようにスリーブ102を固定して保持する。ガイド部材104は、図10に示すように、可撓管98へのプレス嵌め、接着剤、ファスナなどによって、あるいは当業者に公知の任意の連結手段によって、可撓管98の吐出端部101のすぐ近くに連結することができる。さらに、別の実施形態では、スリーブ102を取り除くことにより、ガイド部材104が可撓管98を直接保持し得ることも企図されている。この実施形態では、ガイド部材104は、図1〜図3、図6、および図10に示すように、1対の縦方向に延在する電池ホルダ106の間に連結されている。
【0015】
可撓管98は、図2、図6、図9、図10、図14、および図15に示すように、可撓管98の入口端部100と吐出端部101の間の流体連通を与える、可撓管98を貫通する連続した内腔108を有する。この管は、滑らかで、または刻み目があり、例えば図14に示すように円形のものや、五角形、六角形、楕円形、三角形、正方形、八角形、または当業者に公知の他の任意の形状の断面をした外面を有するものとすることができる。同様に、管98を貫通する内腔108も、滑らかな、または刻み目がある内面を有し、円形、楕円形、正方形、三角形、五角形、六角形、八角形、または当業者に公知の、外面の断面と同じ、または異なる他の任意の形状の任意の所望の断面を有するものとすることができる。さらに、管98の外面の断面と内腔108の内面の断面は、それぞれ、管98の入口端部100と吐出端部101の間で均一なものとすることも、可変のものとすることもできる。
【0016】
非活動化状態では、傾斜作動式バルブステム88は、図7に示すように容器52の長手方向軸110と一致する。プランジャ114を駆動するソレノイドアセンブリ112などの駆動ユニットが、図8に示すように、作動されるときに吐出管76上のフランジ96と係合する。代表的なソレノイドアセンブリは、例えば、ジョンソンエレクトリック社工業製品グループ、米国オハイオ州バンデーリア(Johnson Electric, Industry Products Group, Vandalia, Ohio)から提供されている、Ledex(登録商標)Low Profile Battery Operated Linear Solenoid(扁平電池駆動式リニアソレノイド)、サイズ番号1ECM、型番号282342−025などである。1ECM−282342−025ソレノイドは、重さ42.5グラム、直径25.4mm、高さ13.5mmである。50%の最大負荷サイクルで動作するとき、1ECM−282342−025ソレノイドは、公称で、直流2.9ボルトを要し、2mmの公称ストロークによって2.2ニュートン(0.49ポンド)の力を発生し、最大162秒間にわたって通電状態に保つことができる。
【0017】
図8に示すように、プランジャ114を長手方向軸110と平行に下方に伸張させると、フランジ96の下方変位が生じる。吐出管76は、フランジ96の下方変位により、吐出管76の基端部84が長手方向軸110から離れて半径方向116に変位し、その結果、基端部84内に配置された傾斜作動式バルブステム88も長手方向軸110から離れて半径方向116に変位するように、十分な剛性を有する。傾斜作動式バルブステム88の末端部が半径方向に十分に、すなわち動作可能位置まで変位すると、容器52内のバルブアセンブリが開き、容器52の内容物が傾斜作動式バルブステム88の内腔94を通して吐出される。本明細書で使用する軸対象座標系の用語では、半径方向変位は、長手方向軸110から離れる傾斜作動式バルブステム88の末端部の任意の変位を含む。したがって、このような半径方向変位は、傾斜作動式バルブステム88の末端部の側方または横方向の変位として特徴付けることができる。傾斜作動式バルブステム88を通した揮発性物質ディスペンサ50による流体の放出は、従来技術の機器においては、前述のように、特定の放出方向への制御を欠くために、問題を生じ得る。しかし本実施形態においては、吐出管76に連結された可撓管98を含むことにより、流体を特定の方向に向けさせることができる。というのは、可撓管98の吐出端部101がガイド部材104によって容器52に対して固定して保持されるからである。
【0018】
容器52の内容物は、連続して、または定量として吐出させることができる。さらに、容器52の内容物の吐出は、いくつものやり方で実施することができ、例えば吐出は、定量の一部を含むものとすることもでき、複数回の連続した吐出を含むものとすることもできる。また、当業者に公知の、フランジ96を下方に変位させる能力を有する任意の適切な駆動アセンブリを使用して傾斜作動式バルブステム88を半径方向に変位させ得ることも企図されている。例えば、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、出願番号第11/801554号明細書および第11/893456号明細書に示されている駆動アセンブリを、本明細書で示す各実施形態と連動するように適合させ得ることも企図されている。
【0019】
次に図1〜図6を参照すると、ソレノイドアセンブリ112は、連結壁118によってプラットフォーム54に連結されている。別の実施形態では、ソレノイドアセンブリ112は、ソレノイドアセンブリ112から延在する支持ねじ(不図示)によって、または当業者に公知の他の連結機構によってプラットフォーム54に連結することもできる。プラットフォーム54からは1対の支柱120が上方に延在している。支柱120の間のソレノイドアセンブリ112上方には、プリント回路基板122が保持されている。プリント回路基板122は、その前面に固定され、そこから上方に延在する発光ダイオード(LED)124を含む。プリント回路基板122の背面には、リニア・スイッチ・アセンブリ126が連結されている。リニア・スイッチ・アセンブリ126においては、矩形のスロット130から位置決めフィンガ128が延在している。
【0020】
図11〜図13に示すように、ハウジング132は、概ね円筒形の形状を有し、下部分134、中間部分136、および上部分138を含む。下部分134は、その下端部のところに内側へ突出する環状リップ(不図示)を含む。この環状リップは、例えば図13に示すように、ハウジング132を容器52上に取り付けることができるように、容器52の外周から外側に延在する隆起部分140(図1〜図8参照)にスナップ嵌めされるように構成されている。ハウジング132の中間部分136は、下部分134よりわずかに小さい直径を有し、下部勾配つき肩部によって下部分142に接続されている。上部勾配付き肩部144は、中間部分136を、下部分134の直径にほぼ等しい直径を有する上部分138に接続する。
【0021】
ハウジング132は、背面148と前面150とを含む。上部分138は、背面148から前面150まで概ね上方に傾斜する凸形上面152を含む。LED124を収容するために上面152を貫通して円形の開口154が配置されており、リニア・スイッチ・アセンブリ126を収容するために上面152を貫通して矩形の開口156が配置されている。上部分138の前面150は、可撓管98の吐出端部101を収容するための前面150を貫通して配置された開口158を含む。
【0022】
前述のように、従来技術の機器における傾斜作動式バルブステム88の使用は、本質的に流体の特定の放出方向への制御を欠くために、問題が多い。その結果、傾斜作動式バルブステム88から放出される流体は、ハウジング132内に不適切に噴霧されやすく、そのため、周囲に向けられるのではなく、不本意にハウジング132の内面を覆うことになる。可撓管98を含めれば、傾斜作動式バルブステム88から放出される流体がハウジング132の内側に噴霧されるのが防止される。可撓管98は、開口158を、望ましい位置でハウジング132上に位置決めして、流体を揮発性物質ディスペンサ50から都合よく、正確な方向に噴霧することを可能にする。さらに可撓管98は、開口158を、傾斜作動式バルブステム88の噴霧方向制限とは無関係なサイズまたは形状を有するものとすることも可能にする。
【0023】
ハウジング132は、当業者に公知の任意のやり方で容器52上に保持することができる。例えば、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、Balfanzの米国特許第4133408号明細書、Demarestの米国特許第5027982号明細書、およびDemarestらの米国特許第5609605号明細書に記載されている保持構造を、本明細書で示す実施形態のいずれかと併せて使用することができる。またハウジング132は、揮発性物質ディスペンサ50と一体化することもでき、かつ/または、例えば、揮発性物質ディスペンサ50の円筒形部分56のところの接続などによって揮発性物質ディスペンサ50に接続できるようにすることもできる。例えば、ハウジング132は、ハウジング132の内周面から内側へ突出する環状リップ(不図示)を含んでいてもよい。この環状リップは、円筒形部分56の底縁部または円筒形部分56の外周面上の対応する外側に突出するリップ(不図示)にスナップ嵌めされるように構成することができる。よってハウジングは、容器52上に保持されることに加えて、またはこれの代わりに、揮発性物質ディスペンサ50上に直接保持することもできる。さらに、本明細書で示すハウジング132の美的態様のいずれかを、当業者に公知のやり方で変更することもでき、例えば、中間部分136、および下部と上部の勾配つき肩部142、144を除去することもでき、ハウジング132に異なる形状を与えることもできる。
【0024】
縦方向に延在する電池ホルダ106はそれぞれ、駆動ユニットに直流電源を提供するための、単三電池や単四電池などの電池を保持するように構成されている。実施形態によっては、電池は、他の電源と交換することもできる。例えば電池は、当業者に公知の適切な電源変圧器および交流/直流変換器を有する交流電源アダプタ162に電池パックを接続するのに使用することのできる導線160を有する充電式ニッケルカドミウム電池または電池パック(不図示)で置き換えることもできる(図13参照)。
【0025】
別の実施形態において、可撓管98の吐出端部101は、図14および図15に示すような、調整可能なガイド部材164によって、容器52に対して固定して保持される。この実施形態では、揮発性物質ディスペンサ166(図16参照)は、それぞれが、その内側を向いた縁部172に沿って縦方向に走る溝170を含む1対の縦方向に延在する電池ホルダ168を含む。調整可能なガイド部材164は、1対のエンドブラケット174を含む。各エンドブラケット174は、支持本体176と、支持本体176から延びる、一方の溝170間にぴったり嵌まるサイズの舌部178とを有する。また各エンドブラケット174は、舌部178とは反対のエンドブラケット174の側面に円形スロット180も含む。また、調整可能なガイド部材164は、回転軸186に沿ってその側面から側方に突出する円形アーム184を有する中央支持部材182も含む。各円形アーム184は、一方の円形スロット180内にぴったり収まるように配置されている。中央支持部材182は、可撓管98の吐出端部101のすぐ近くに、図14に示すような可撓間98へのプレス嵌め、接着剤、ファスナ、あるいは当業者に公知の任意の連結手段などによって、連結させることができる。
【0026】
エンドブラケット174は、溝170に沿って上下に摺動させることができ、円形アーム184は、円形スロット180内で回転調整することができる。調整可能なガイド部材164のこのような選択的調整によって、ユーザは、容器52に対する可撓管98の吐出端部101の向きおよび/または位置決めを選択することができる。図16に示すように、調整可能なガイド部材164は、可撓管98の吐出端部101が、第1の位置188に固定して保持されることを可能にする。また、可撓管98の吐出端部101は、第2の位置190に固定して保持されるように下方に並進させることもでき、第3の位置192に固定して保持されるように上方に並進させ、回転させて向きを変えることもできる。実際、調整可能なガイド部材164は、ユーザが、可撓管98の吐出端部101の軸186の周りの回転の向きと、溝170に沿った縦方向の位置との、それぞれのあらゆる組み合わせを選択することを可能にする。
【0027】
別の実施形態では、図16に示す実施形態と同様の揮発性物質ディスペンサは、プラットフォーム54上に配置され、半径方向に長手方向軸110と反対方向を向いたセンサ(不図示)を含む。このセンサは、以下で詳細に説明するように、プリント回路基板122と電気的に導通している。図17および図18に揮発性物質ディスペンサのハウジング198を示す。ハウジング198は、以下の違いを除いて、図11および図12に関して前述したハウジング132と概ね同様のものである。ハウジング198の前面150に沿って、上部分138および中間部分136を貫通して吐出孔またはスロット200が配置されている。またハウジング198は、下部分134の前面150を貫通して配置された開口202も含む。ハウジング198が揮発性物質ディスペンサにかぶせて容器52上に取り付けられると、周囲の感知を可能にするためのセンサが開口202内に配置される。さらに、可撓管98の吐出端部101を、調整可能なガイド部材164によって、スロット200内のどこかに配置されるように調整することもできる。
【0028】
別の実施形態では、図16に示す実施形態と同様の揮発性物質ディスペンサは、手動式押しボタンを有する常時開スイッチ(不図示)、または基部上に取り付けられた当業者に公知の他の機械的アクチュエータを含む。常時開スイッチは、駆動ユニットの作動をトリガするためにプリント回路基板122に電子的に接続することができる。代替として、手動式押しボタンの押し下げが傾斜作動式バルブステム88を半径方向に変位させるように、手動式押しボタンを、当業者に公知の機械的リンク機構によって吐出管76に機械的にリンクさせることもできる。図18に示すハウジング198の中間部分136の背面148上の押し下げ可能なパネル214を、ハウジング198が容器52に取り付けられるときに、手動式押しボタンと接触し、手動式押しボタンを押し下げるように構成することができる。押し下げ可能なパネル214は、リビングヒンジ(living hinge)とすることもでき、当業者に公知の別のやり方で内側に押し下げ可能なものとすることもできる。また、押し下げ可能なパネル214は、より使いやすくするための指くぼみ216を含むこともできる。
【0029】
図19に、使用中条件における前述の各揮発性物質ディスペンサのいずれかの動作を例示するタイミング図を示す。最初に、揮発性物質ディスペンサ、例えば揮発性物質ディスペンサ166などが、リニア・スイッチ・アセンブリ126の位置決めフィンガ128を「オフ」位置218から図3に示す4つの動作モード220、222、224、および226のうちの1つに移動させることによって通電され、その結果、プリント回路基板122上にエッチングすることのできる制御回路(不図示)が、揮発性物質ディスペンサ166を始動遅延期間に入らせる。4つの動作モード220、222、224、および226はそれぞれ、連続する噴霧期間の間の所定の休眠期間に対応する。例えば、第1の動作モード220は5分の休眠期間に対応し、第2の動作モード222は7分半の休眠期間に対応し、第3の動作モード224は15分の休眠期間に対応し、第4の動作モード226は30分の休眠期間に対応する。この例では、第1の動作モード220が選択されているものと仮定する。始動遅延期間が完了すると、ソレノイドアセンブリ112が作動されて、第1の噴霧期間にわたって容器52から流体を吐出する。始動遅延期間は、好ましくは、約3秒間であり、噴霧期間は、通常は、約98ミリ秒間である。第1の噴霧期間が完了すると、揮発性物質ディスペンサ166は5分間の第1の休眠期間に入る。第1の休眠期間が終了すると、ソレノイドアセンブリ112が作動されて、第2の噴霧期間にわたって流体を吐出する。その後、揮発性物質ディスペンサ166は、5分間の第2の休眠期間に入る。この例では、第2の休眠期間は、手操作による揮発性物質ディスペンサ166の作動によって中断され、その結果、第3の噴霧期間にわたって流体が散布される。その後、自動動作により、引き続き休眠期間と噴霧期間が交互に行われる。休眠期間の間いつでも、ユーザは、前述のように揮発性物質ディスペンサ166に取り付けることのできる手動式押しボタンを押し下げることによって、選択可能な期間または決まった期間にわたって揮発性物質ディスペンサ166を手操作で作動させることができる。手動噴霧操作が終了すると、揮発性物質ディスペンサ166は保留中の休眠期間を完了する。その後、噴霧動作が行われる。
【0030】
別の実施形態では、リニア・スイッチ・アセンブリ126は、前述の4つの異なる動作モード220、222、224、および226の代わりに、連続した設定範囲を有していてもよい。そのような実施形態では、リニア・スイッチ・アセンブリ126は、数時間または数日間にわたって続く連続した噴霧期間と休眠期間の間での連続したユーザによる噴霧期間および/または休眠期間の変更を可能にする、ダイヤル(不図示)などといったスイッチ機構を備えることができる。別の実施形態では、リニア・スイッチ・アセンブリ126を、運動検出器として使用され得る、光電池光センサなどのセンサで置き換え、かつ/またはこれで補うこともできる。代替として、リニア・スイッチ・アセンブリ126の代わりに、またはこれと組み合わせて、複数のセンサを設けることもできる。当業者は、ユーザの必要を満たすために、あらゆる種類のセンサを、単独で、またはリニア・スイッチ・アセンブリ126および/もしくは他のセンサと組み合わせて提供することができるものと考えられる。1つの具体的な実施形態(不図示)では、例えば、揮発性物質ディスペンサにおいてリニア・スイッチ・アセンブリ126とセンサの両方が設けられる。そのような実施形態では、ユーザは、タイマベースのリニア・スイッチ・アセンブリ126を使ってソレノイドアセンブリ112を自動的に動作させようとすることもでき、センサを使って、ソレノイドアセンブリ112を作動させる前に所与のイベントを検出しようとすることもできる。あるいは、そのような揮発性物質ディスペンサは、同時にタイマとセンサに基づく動作モードで動作することもできる。
【0031】
前述のように、センサは、光電池光センサとすることができる。光電池光センサは、周辺光を集め、制御回路が周辺光の強度の変化を検出することを可能にする。制御回路によって光電池出力のフィルタリングが行われる。制御回路が、光強度の所定の変化レベルなど、閾値光条件に達したと判定した場合、制御回路は、ソレノイドアセンブリ112を作動させる信号を発生する。例えば、光電池光センサを含む揮発性物質ディスペンサが明かりのついたバスルームに配置されている場合、人がセンサのそばを通り過ぎると、十分な量の周辺光がセンサに届くのを遮られて、制御回路にソレノイドアセンブリ112を作動させ、流体を吐出させる。さらに、当業者に公知の他の運動検出器、例えば、受動赤外線または焦電運動センサ、赤外線反射運動センサ、超音波運動センサ、レーダまたはマイクロ波無線運動センサなどを利用することもできる。
【0032】
LED124は、揮発性物質ディスペンサ166が動作状態にあるときに点灯する。LED124は、休眠期間には15秒間に1回断続的に点滅する。選択動作モードによっては、LED124の点滅頻度は、噴霧期間が切迫するにつれて増加する。LED124がより頻繁に点灯することは、揮発性物質ディスペンサ166がまもなく空気中に流体内容物を吐出しようとしていることを視覚的に表示する役割を果たす。
【0033】
本明細書に示す実施形態はいずれも、別の実施形態との関連で開示されている構造または方法のいずれかを含むように改変することができる。さらに、本開示は、具体的に示した種類のエアゾール容器だけに限定されるものではない。さらに、本明細書に開示する実施形態のいずれかの揮発性物質ディスペンサは、傾斜作動式バルブステムを有する任意の種類の流体容器と連動するように改変することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
エアゾールディスペンサは、一般に、エアゾール容器内に貯蔵された芳香剤、消臭剤、殺虫剤、殺菌剤、うっ血除去薬、香水などといった揮発性物質を散布するのに使用される。エアゾール容器のための自動バルブ作動システムは、エアゾール容器の内容物を、例えば、所定のタイムスケジュールなどに従って、人間の介在なしで放出させることができる。エアゾール容器放出バルブのための傾斜作動式バルブステムは、通常、動作するのに垂直作動式バルブステムより少ない力ですむが、正確な方向制御を欠く場合がある。選択的方向制御を可能にする傾斜作動式バルブステムを自動的に作動させるシステムを提示する。このシステムは、通常の傾斜作動式エアゾール容器と共に使用するための典型的なオーバーキャップ内に設置することができ、その結果、エアゾール容器の実用性が改善される。
【0035】
以上の説明を考慮すれば、当業者には、本発明への多くの改変が明らかになるであろう。したがって、この説明は、例示にすぎないものと解釈されるべきであり、当業者が本発明を作成、利用することを可能にする目的で、本発明を実施する最良の形態を教示するために提示するものである。添付の特許請求の範囲内に含まれるあらゆる改変に対する独占権を保有するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜作動式バルブステムを有する容器上に離脱可能に取り付けられるように構成された駆動ユニットであり、前記傾斜作動式バルブステムを半径方向に変位させるように構成されている前記駆動ユニットと、
前記容器に対して固定して保持される吐出端部を有する可撓管であり、前記傾斜作動式バルブステムと流体連通するように構成されている前記可撓管と
を備える揮発性物質ディスペンサ。
【請求項2】
傾斜作動式バルブステムと前記可撓管の入口端部の間に流体連通を与えるように前記可撓管の前記入口端部と前記傾斜作動式バルブステムの間に配置される吐出管をさらに備える、請求項1に記載の揮発性物質ディスペンサ。
【請求項3】
前記吐出管は、入口部分、前記入口部分と平行に配置された出口部分、および前記入口部分と前記出口部分とを接続する横中間部分を備える、請求項2に記載の揮発性物質ディスペンサ。
【請求項4】
前記吐出管は前記吐出管から半径方向に延在するフランジを含む、請求項3に記載の揮発性物質ディスペンサ。
【請求項5】
前記駆動ユニットは、前記吐出管の前記フランジと係合し、前記吐出管の前記フランジを軸方向に変位させて、傾斜作動式バルブステムを半径方向に変位させるように構成されたプランジャを含む、請求項4に記載の揮発性物質ディスペンサ。
【請求項6】
前記可撓管の前記吐出端部は、容器に対する前記吐出端部の調整可能な向きおよび位置決めを可能にするガイド部材によって、前記容器に対して固定して保持される、請求項1に記載の揮発性物質ディスペンサ。
【請求項7】
前記可撓管の前記吐出端部は、半径方向に容器の長手方向軸と反対方向を向いている、請求項6記載の揮発性物質ディスペンサ。
【請求項8】
前記可撓管の前記吐出端部は、容器の長手方向軸と軸方向に平行に保持される、請求項6記載の揮発性物質ディスペンサ。
【請求項9】
傾斜作動式バルブステムを有する容器をさらに含む、請求項1に記載の揮発性物質ディスペンサ。
【請求項10】
傾斜作動式バルブステムを有する容器上に離脱可能に取り付けられるように構成された、吐出孔を含むハウジングと、
前記傾斜作動式バルブステムと流体連通するように構成されており、前記吐出孔の近くに固定して配置される吐出端部を有する可撓管と、
前記ハウジング内に配置された、前記傾斜作動式バルブステムを半径方向に変位させるように構成されたソレノイドアセンブリを含む駆動ユニットと、
を備える散布システム。
【請求項11】
前記ハウジングの前記吐出孔は、前記可撓管の前記吐出端部の固定配置される複数の位置に適応することができる、請求項10に記載の散布システム。
【請求項12】
傾斜作動式バルブステムを有する容器をさらに含む、請求項10に記載の散布システム。
【請求項13】
容器上に取り付けられるように構成された駆動ユニットであり、少なくとも1台のセンサからの信号に応答して前記容器の傾斜作動式バルブステムを半径方向に変位させるように構成されている前記駆動ユニットと、
前記容器に対して固定して保持される吐出端部を有する可撓管であり、前記傾斜作動式バルブステムと流体連通するように構成されている前記可撓管と、
を備える揮発性物質ディスペンサ。
【請求項14】
前記駆動ユニットはタイマからの信号に応答して作動される、請求項13に記載の揮発性物質ディスペンサ。
【請求項15】
前記タイマの1つまたは複数の動作モードを提供するスイッチアセンブリをさらに含む、請求項14に記載の揮発性物質ディスペンサ。
【請求項16】
前記駆動ユニットは手動アクチュエータからの信号に応答して作動される、請求項13に記載の揮発性物質ディスペンサ。
【請求項17】
前記センサは光電池光センサである、請求項13に記載の揮発性物質ディスペンサ。
【請求項18】
前記センサは超音波運動センサである、請求項13に記載の揮発性物質ディスペンサ。
【請求項19】
前記センサはマイクロ波無線運動センサである、請求項13に記載の揮発性物質ディスペンサ。
【請求項20】
傾斜作動式バルブステムを有する容器をさらに含む、請求項13に記載の揮発性物質ディスペンサ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公表番号】特表2011−517973(P2011−517973A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501802(P2011−501802)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/001836
【国際公開番号】WO2009/120318
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】