説明

揮発性物質含有組成物

揮発性物質含有組成物、揮発性物質含有組成物を製造する方法、及び揮発性物質を揮発性物質含有組成物から放出する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性物質含有組成物、揮発性物質含有組成物を製造する方法、及び揮発性物質含有組成物から揮発性物質を放出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性物質含有組成物は、様々な目的で使用される。このような目的としては、室内又はその他の空間に、香料又は香り物質、殺虫剤、エアフレッシュナー、防臭剤、アロマコロジー、アロマセラピー、あるいは雰囲気を調整、緩和、若しくは他の方法で満たす、又は環境を緩和する作用のある、他のいずれかの匂いのような揮発性物質を放出することが挙げられるが、これらに限定されない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような目的に使用される既知の組成物には多くの欠点がある。1つの主な欠点は、揮発性物質を放出させることを意図していない場合、又はそれらから揮発性物質が放出されるべきではない場合でさえ、大半のこうした組成物が揮発性物質を揮発及び発散させるという事実である。香料含有揮発性物質の場合、このことがまた、揮発性の低いボトムノート及びミドルノートの前に、より揮発性の高い香料成分(「トップノート」と称される)を早期に放出する、組成物をもたらし得る。これは、早期に放出された形態の香りは不均衡に高濃度のトップノートを含み、後期に放出された形態の香りには不均衡に高濃度のボトムノートが含まれるので、時間の経過とともに一部の事前組成物において香り特性に望ましくない変化をもたらすことがある。多くの場合、トップ、ミドル及びボトムノートを共に放出し、所望の芳香又は香りを提供することが望ましい。この場合の香料含有揮発性組成物における別の欠点は、香料成分が、大抵、多くの容器材料と適合性がないことである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、揮発性物質含有組成物、揮発性物質含有組成物を製造する方法、及び揮発性物質含有組成物から揮発性物質を放出する方法に関する。本明細書にいくつかの非限定的な実施形態が記載されており、その各々は、発明それ自体、又は他の構成要素と共に、のいずれかで、発明を構成することができる。
【0005】
1つの非限定実施形態において、揮発性物質含有組成物は、約4,000以上の重量平均分子量を有するポリエチレングリコール;硬化ヒマシ油;及び炭素原子が14個以上の鎖長を有する脂肪酸のうち最低1つを含むキャリアと;最低1つの揮発性物質とを含む構造を含む。この実施形態の1つの見解として、組成物は25℃及び50%の相対湿度(RH)にて柔軟な固体の形態である。特定の実施形態では、揮発性物質(類)を放出するためにエネルギーがこの構造に適用されるまではとにかく、揮発性物質は限られた量でのみ放出される。
【0006】
揮発性物質含有組成物を製造する方法、及び揮発性物質を揮発性物質含有組成物から放出する方法も開示される。
【0007】
多数の他の実施形態も可能であり、それらには次の詳細な説明に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、揮発性物質含有組成物、揮発性物質含有組成物を製造する方法、及び揮発性物質含有組成物から揮発性物質を放出する方法に関する。いくつかの非限定的な実施形態が、そのシステムのいくつかの構成要素として本明細書に記載されており、その各々は、それ自体で、又は他の構成要素と共に、のいずれかで、発明を構成することができる。
【0009】
揮発性物質は、様々な施設で放出でき、それには部屋、家屋、病院、事務所、劇場、ビルディングなど、また、同様に列車、地下鉄、自動車、航空機などのような様々な乗物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0010】
本明細書で、「揮発性物質」という用語を使用する時、気化可能な物質を意味する。本明細書で、「揮発性物質」、「芳香」、及び「香り」という用語を使用する時、心地良い香り又は快い香りを含むがこれらには限定されず、ひいては殺虫剤、エアフレッシュナー、防臭剤、アロマコロジー、アロマセラピーとして機能する香り、あるいは雰囲気を調整、緩和、若しくは他の方法で満たす、又は環境を変える作用をする他のいずれかの匂いをも包含する。但し、香料、芳香物質、及び香りは、1つ以上の揮発性物質で構成されることが多いことを理解すべきである(これらは、揮発性物質の集合体で構成される独特及び/又は個別のユニットを形成することがある)。
【0011】
実施形態の1つでは、環境に香りを分配するシステムは、1つ以上の香り又は芳香物質を含有する1つ以上の構成成分を含むものが提供され得る。こうした実施形態において、システムは、装置及び1つ以上の芳香物質含有製品又は「香り含有製品」のような分配装置を含むのが好ましく、それは芳香剤「カートリッジ」の形態で提供されてもよい。それぞれのカートリッジは、単一の揮発性組成物、又は異なる香り物質の組み合わせのような異なる揮発性物質の組み合わせを提供できる。特定の実施形態において、カートリッジのそれぞれは、例えばテーマ、経験、生理的効果、及び/又は治療的効果を送達する香りの集合体を提供する。
【0012】
本明細書において対象とする揮発性組成物は、いずれかの好適な形態で提供されることができる。一部の実施形態において、香りは、好適なキャリア上又はキャリア中に導入された香油のような香料を含む揮発性組成物によって提供される。キャリアは、固体、液体、ペースト、ゲル、ビーズ、カプセル、灯心(wicks)、香料を含浸させた又は含有する多孔質物質のようなキャリア物質、及びこれらの組み合わせのような非限定的な形態で提供できる。一部の実施形態において、キャリアは、室温(73°F(25℃)、50%RH)にて柔軟な固体構造又はマトリックスの形態である組成物を形成するために、融解可能であり、キャリアに添加された香料成分を有することができる柔軟な固体の形態である。
【0013】
特定の実施形態において、揮発性組成物は、25℃にて40mm直径のコーン・アンド・プレート形状を用いて、AR2000(米国デラウェア州ニュキャッスル(New Castle)のTAインスツルメンツ(TA instruments))のような回転レオメーターで100Paの剪断応力にて測定される場合に、約1Pa・s〜約1,000Pa・s(約1,000Cps〜約1,000,000Cps)又はそれ以上の粘度を有する。このような組成物は、少なくとも約13Pa・s(約13,000Cps)までゲルとして存在できる。特定の実施形態において、組成物が柔軟な固体の形態である場合、組成物は約100〜約1,000Pa・s(約100,000〜約1,000,000Cps)の粘度を有することができる。
【0014】
1つの非限定実施形態において、室温では、組成物は構造化されたポリマーの柔軟な固体である構造の形態である。このような構造は、多孔性であっても、又は多孔性でなくてもよい。構造は、均質(本明細書では「連続」と称されることもある)、又は非均質であってもよい。多くの実施形態において、構造がそこに含有される揮発性物質に対して浸透性であるのが望ましい。このことにより、構造がそこに含有される揮発性物質を所望される時に放出できる。このような実施形態の好ましい見解では、組成物は、多孔性でなく、均質で浸透性の構造化されたポリマーの柔軟な固体を含む。
【0015】
揮発性組成物は、多数の異なる様式で形成できる。1つの実施形態では、組成物は、ポリエチレングリコール(又は「PEG」)のようなキャリアに揮発性成分を添加することによって製造できる。香料のような揮発性成分は、キャリアと混和性であるのが好ましく、冷却後室温において柔軟な固体様を形成する。PEGは種々の分子量のものが利用可能である。低分子量(又は「MW」)(例えば、400未満の分子量)を有するPEGを香料の溶媒として使用できるが、このようなPEGは室温で液体であり、使用できるが、本明細書に記載の組成物に使用するのには好ましくない。より好ましい組成物の実施形態では、PEGのMWは約1,000以上、又は約4,000以上である。PEGのMWは、約8,000以上であるのが望ましい。PEGの分子量は、24,000程度大きくてもよく、それ以上でもよい。本明細書で記載される分子量は、全て重量平均分子量である。
【0016】
他の好適なキャリアは、硬化ヒマシ油及び高鎖脂肪酸、特に炭素原子14個以上の鎖長を有するものである。特定の実施形態において、組成物の大部分が、こうしたキャリア及び揮発性成分(類)を含むのが望ましい。故にこうしたキャリア及び揮発性成分(類)は、組成物の約20重量%を超えるか、あるいは組成物の約50重量%を超えて含まれてもよい。特定の実施形態において、組成物(及び/又はキャリア)がまた、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)を実質的に含まないのが望ましい場合もある。
【0017】
キャリアと共に構造化剤を利用することが望ましい場合がある。構造化剤は、いかなる好適な目的のためにも使用できる。こうした目的の例としては、より大きな安定性をもつ組成物によって形成される構造を提供することが挙げられるが、これらに限定されない。構造化剤は、構造が低温(例えば、周囲又は保存又は搬送温度)にて揮発性物質(類)を放出する傾向を低減できる。故に揮発性物質(類)は、揮発性物質(類)を放出するためにエネルギーが構造に適用されるまで放出されない。いかなる好適な構造化剤にも使用できる。好適な構造化剤は、二価の陽イオンを含むいずれかの物質を含む。二価の陽イオンを含む物質としては、マグネシウム及び塩化カルシウム、マグネシウム及び炭酸カルシウムのようなマグネシウム含有分子及びカルシウム含有分子が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な構造化剤としては、ヒマシ油誘導体が挙げられるが、これらに限定されず、ヒマシ油誘導体には硬化ヒマシ油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
また、組成物が少なくとも1つのワックスを含むのが望ましい場合がある。ワックスは、いかなる好適な目的のためにも使用でき、そのような目的としては、改善された安定性のために組成物によって形成される構造の融解温度を上昇させることが挙げられるが、これらに限定されない。いかなる好適なワックス(類)をも使用することができる。特定の実施形態において、ワックスがキャリアの融解温度より高い融解温度を有するのが望ましい。キャリアがPEGである場合、ワックスの融点は、例えば約50℃を超えてもよい。好適なワックスとしては、キャリアの誘導体であるワックス、例えばPEG誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。キャリアの誘導体であるワックスは、キャリアを構造化できる、構造化剤が全体のマトリックスの融点をさらに上昇させるために、ワックスも構造化できるので、好ましい場合がある。ワックスは揮発性物質の放出速度又は送達に影響を及ぼさないように揮発性物質に対して親和性をもたないことが望ましい場合がある。
【0019】
1つの実施形態において、組成物はポリエチレングリコール(又は「PEG」)、硬化ヒマシ油、低濃度の少なくとも1つのワックス、及び少なくとも1つの揮発性成分を組み合わせることによって形成される。
【0020】
揮発性成分(類)は、多数の構成成分又は組成物を含むことができ、それらには、芳香剤(又は香油)、フレーバ、殺虫剤、防虫剤、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
揮発性成分(類)は、いずれかの好適な様式にてキャリア物質と組み合わせることができる。揮発性成分(類)をキャリア物質と組み合わせることができるいくつかの好適な様式には、捕捉によるもの、揮発性成分(類)がキャリア物質に溶解されるもの、揮発性成分(類)をキャリア物質に部分的に又は完全にカプセル化できるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
組成物の構成成分は、どの好適な量でも組成物に組み込むことができる。一部の実施形態において、揮発性物質(類)の濃度が組成物の約10%を超えるのが望ましい場合がある。一部の実施形態において、香料成分のような揮発性物質(類)の濃度は、組成物の約75%ほどに高いか、又はそれ以上であってもよい。他の実施形態において、揮発性物質(類)の量は、組成物の約25%〜約75%の範囲であってもよい。キャリア(例えばポリエチレングリコール)は、組成物の残部を構成してもよい。一部の実施形態において、キャリアは約25%〜約75%、又はそれ以上の範囲であることができる。代替実施形態において、キャリアはこの範囲未満の量で存在してもよい。構造化剤(例えば、硬化ヒマシ油)は、約0〜約15%、20%、30%、40%、又はそれ以上の範囲であってもよい。ワックスの濃度は、約0〜約3%、5%、又はそれ以上の範囲であることができる。本明細書で示される百分率は全て、特に指定しない限り組成物に対する重量による。構成成分の量は、通常、それらが全部で100%となるように選択されている。しかし、他の構成成分を組成物に添加することも可能であり、その場合、キャリア、揮発性物質(類)、構造化剤、及びワックスのような構成成分の重量は全部で組成物の100%未満であってもよい。
【0023】
組成物は、いずれかの好適な様式で製造できる。1つの非限定実施形態において、組成物は、キャリア物質(例えばPEG)が融解するまで加熱し、揮発性物質(類)を融解したPEGに添加することによって形成される。キャリアがPEGである場合、それは通常約100℃〜約120℃で融解する。PEGは、香油の溶媒として作用し、香油はPEGに完全に混和性である。揮発性物質(類)を添加することにより、PEGをより低温に冷却し、室温まで冷却した場合に柔軟な固体が形成される。構造化剤を使用する実施形態では、キャリア物質及び構造化剤は混合及び加熱されて、共に融解されてもよい。次いで揮発性物質(類)が、キャリア及び構造化剤の融解混合物に添加される。ワックスを使用する実施形態においては、キャリア物質、構造化剤及びワックスが共に融解されるように、混合及び加熱される。次いで揮発性物質(類)は、キャリア、構造化剤及びワックスの融解混合物に添加される。
【0024】
組成物を含む構造(又はマトリックス)は、熱誘発ないしは別の方法でエネルギーが適用されて、揮発性物質(類)を放出できる。このような構造は、構造が加熱される温度によって、種々の異なる状態の間を推移できる。例えば、一部の実施形態において、組成物は、固体、ペースト、ゲル、半融解、及び液体、又はその他の状態の相のいずれにても存在できる。組成物の各相は、異なる揮発特性を提供できる。香り物質の場合、これは、異なる揮発速度、強度、香り特性、放出特性などが挙げられる。一部の実施形態において、組成物状態の変化は、より固体に近い状態に戻る又は向かうように変化できるという点において可逆性である。一部の実施形態において、組成物の構成成分の割合を制御することによって組成物の形態又は状態を固体様からゲル様に変化させることができる。例えば、組成物は、硬化ヒマシ油のような追加の構造化剤を添加することによって、より固体ではない状態、及びよりゲル様になる。構造の可逆性の液化/ゲル化/固化は、揮発性物質の放出を調節/制御するために使用できる。大抵の組成物において、芳香剤組成物の場合、低温ではより揮発性の高い香料成分(「トップノート」)が最初に揮発する。本明細書に記載される組成物の特定実施形態の場合では、組成物がその融点を超えて(それが液体になるまで)加熱される場合、物質の構成成分の全てが揮発性の高い香料構成成分(「トップノート」)から揮発性の低いもの(「ボトムノート」)まで所望の温度及び時間にて同じ強度で放出されるので、揮発性組成物の知覚は、揮発性物質の特性、香り、フレーバなどの所望のエッセンスに関して忠実である。故に特定の実施形態において、長期間にわたって揮発性物質組成物と特性/濃度の一貫性の分配が最小限である。本明細書に設定される例の場合、マトリックスの融点は約52℃である。エネルギーがもはや適用されない場合、構造は、揮発性物質の発散傾向を低減するワックス様の固体状態又は柔軟な固体に戻る。
【0025】
特定の実施形態において、組成物がキャリアの融点を超える温度に加熱されるのが望ましい。香料成分の添加により、通常、組成物の融解温度が低下する。香料成分は揮発される時、組成物の残りの部分の融解温度が高くなる。常に組成物がキャリアの融解温度を超える温度まで加熱される場合、このことが、組成物から揮発性構成成分を放出するために常に十分なエネルギーを組成物に提供する。
【0026】
組成物は特定の利点を提供できる。しかし、この点に関して、組成物は、添付の特許請求の範囲に記載されない限り、こうした利点のいずれも提供する必要はないことを理解すべきである。一部の実施形態において、芳香剤組成物の場合、組成物はより長く持続する芳香を放出できる。例えば、揮発性物質を含有するために以前使用されていた特定ゲルは、加熱されなくても、ないしは別の方法でエネルギーを加えられなくても揮発性の高い香料構成成分を放出する。これは、こうした組成物の寿命を縮め、組成物が加熱される場合に放出される香料の特性に影響を及ぼす。一部の実施形態において、揮発性物質(類)が放出されることを意図しない期間中、一部の他の組成物よりも良好に揮発性物質を保持できる。一部の実施形態において、組成物は配置される容器の材料(「支持材料」と称される場合がある)とより適合性であることができる。多くの場合、香油はプラスチックと適合性がない。しかし、香油が本明細書に記載の組成物に組み込まれる場合、組成物はプラスチック材料とより適合性であることができる。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、本明細書に記載される揮発性物質含有組成物は、吸い上げとして知られる現象である組成物からの香油の移動を低減又は排除するために、香油の表面張力より大きい表面張力を有すると考えられている。一部の実施形態において、組成物は、0.0002N/cm(20dyne/cm)以上、かつ0.00025N/cm(25dyne/cm)未満の表面張力を有する。一部の実施形態において、組成物は高温(例えば、約120°F、又は50℃)及び/又は高湿度(例えば、約80%RHまで、又は約80%RH以上)にて、さらに揮発性物質濃度が高い場合でさえも良好な安定性を有する。すなわち、組成物はこうした条件下では形状又は物理的状態の変化はしない。特定の実施形態において、湿気のような水を吸収する場合でさえも、組成物は物理的状態の変化をしない(例えば、より液体になることがない)構造を提供する。
【0027】
組成物はまた、一部の実施形態において、比較的高濃度の揮発性物質(例えば、組成物の約25重量%〜約75重量%)を含有できうる点でも有利な場合がある。組成物はまた、多数の、範囲、スペクトル(又はポートフォリオ)の異なる揮発性物質を組み込むことができる。これは、構造化剤(例えば、硬化ヒマシ油)の濃度を調整することにより、キャリアの極性を揮発性物質の極性に合わせるように変更する/調整する能力によって可能となる。例えば、本明細書に記載の組成物の場合、揮発性物質(類)の極性は、約2〜約5デバイの範囲であることができるが、組成物は広い範囲の保存条件下でなおも安定であることができる。このことにより、組成物に組み込むのに通常適合性のない香料の組み合わせが可能になる(例えば、非常に極性が高いバニラ、コーヒー、桂皮を、果実(例えば、レモン)又は極性スペクトルの他方の末端にある他の種類の香料成分と組み合わせることができる)。さらに、揮発性物質(類)を組み込む組成物の構造は可逆性であってもよい(すなわち、より固体の状態(例えば柔軟な固体)から、より液体の状態に変換され、次いでより固体の状態に戻ることができる)。このことにより、取り扱い性、保存性及び加工性に有利な組成物を提供できる。
【実施例】
【0028】
表1は、本明細書の記載に従って製造できる香り組成物のいくつかの非限定例を提供する。
【0029】
【表1】

【0030】
本記述全体にわたって言及したすべての特許、特許出願(及びそれに基づいて発行された特許及びいかなる関連して発行された外国特許出願)、並びに公開公告の開示内容を本明細書に参考として組み込む。但し、本明細書に参考として組み込まれる文献のいずれもが本発明を教示又は開示していないことを明言する。
【0031】
本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定も、本明細書に明示的に記載されたものとして包含されると理解すべきである。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定も、本明細書に明確に記載されたものとして包含する。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる数値範囲は、より広い数値範囲内にあるあらゆるより狭い数値範囲も、全て本明細書に明確に記載されたものとして包含する。
【0032】
本発明の特定の実施形態について記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には明らかである。さらに、本発明をある特定の実施形態と関連して説明してきたが、これは説明を目的とするものであって、限定を目的とするものではなく、本発明の範囲は、添付の請求項によって定義され、これは従来技術が可能にするのと同様に幅広く考えられるべきであることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約4,000以上の重量平均分子量を有するポリエチレングリコール;硬化ヒマシ油;及び炭素原子が14個以上の鎖長を有する脂肪酸のうち少なくとも1つを含むキャリア;並びに
少なくとも1つの揮発性物質を含む揮発性物質含有組成物であって、
25℃及び50%RHにて柔軟な固体の形態である前記組成物。
【請求項2】
前記組成物が約100,000〜1,000,000Cpsの粘度を有する、請求項1に記載の揮発性物質含有組成物。
【請求項3】
前記組成物が、次の条件、約50℃までの温度、及び約80%RH以上の湿度、のうち少なくとも1つの条件にて柔軟な固体のままである、請求項1に記載の揮発性物質含有組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの揮発性物質が、次の、香油、フレーバ、殺虫剤、防虫剤、及びこれらの混合物のうち1以上を含む、請求項1に記載の揮発性物質含有組成物。
【請求項5】
前記組成物が約75重量%までの揮発性物質を含む、請求項4に記載の揮発性物質含有組成物。
【請求項6】
前記柔軟な固体が、約50℃までの温度にて、約2週間完全に暴露された場合に少なくとも約80%の前記揮発性物質を保持する、請求項2に記載の揮発性物質含有組成物。
【請求項7】
前記組成物が、50℃を超える温度で熱誘発されて揮発性物質の少なくとも一部を放出できる、請求項5に記載の揮発性物質含有組成物。
【請求項8】
さらに構造化剤を含む、請求項1に記載の揮発性物質含有組成物。
【請求項9】
前記構造化剤が二価の陽イオンを含む物質である、請求項8に記載の揮発性物質含有組成物。
【請求項10】
前記構造化剤が、マグネシウム及び塩化カルシウム、マグネシウム及び炭酸カルシウムのようなマグネシウム含有分子及びカルシウム含有分子、並びにこれらの混合物から成る群から選択される、請求項9に記載の揮発性物質含有組成物。
【請求項11】
前記構造化剤がヒマシ油誘導体を含む、請求項9に記載の揮発性物質含有組成物。
【請求項12】
さらに少なくとも1つのワックスを含む、請求項1に記載の揮発性物質含有組成物。
【請求項13】
前記キャリアが融解温度を有し、前記ワックスが前記キャリアの融解温度よりも高い融解温度を有する、請求項12に記載の揮発性物質含有組成物。
【請求項14】
前記ワックスが前記キャリア物質の誘導体である、請求項12に記載の揮発性物質含有組成物。
【請求項15】
前記組成物が柔軟な固体の形態で、エネルギーが前記組成物に適用されていない第1の状態と、前記組成物にエネルギーが適用される第2のエネルギー適用状態とを前記組成物が有し、前記揮発性物質が、前記第1の状態にて前記揮発性物質含有組成物から第1のレベルで放出され、前記揮発性物質が、前記第2の状態にて前記揮発性物質含有組成物からより高い第2のレベルで放出され、エネルギーが前記揮発性物質含有組成物にもはや適用されない場合に、前記揮発性物質含有組成物が前記第1の状態に戻る、請求項1に記載の揮発性物質含有組成物。
【請求項16】
前記組成物が前記第2の状態にて融解される、請求項15に記載の揮発性物質含有組成物。
【請求項17】
前記揮発性物質が表面張力を有し、前記揮発性物質含有組成物が支持材料上に配置され、前記揮発性物質含有組成物が、前記揮発性物質単独の場合よりも大きい表面張力を有し、前記揮発性物質含有組成物の表面張力が、20dyne/cmを超え、かつ25dyne/cm未満である、請求項1に記載の揮発性物質含有組成物。
【請求項18】
揮発性物質含有組成物であって、
前記組成物の約25重量%〜約75重量%を含むポリエチレングリコールと、
前記組成物の約10重量%〜約75重量%を含む少なくとも1つの揮発性物質と、
任意の他の成分とを含み、前記組成物が室温で柔軟な固形の形態である、揮発性物質含有組成物。
【請求項19】
揮発性物質含有組成物を製造する方法で、前記方法が、
キャリア物質を提供すること、
前記キャリア物質を融解するまで加熱すること、
前記融解キャリア物質に少なくとも1つの揮発性物質を添加して混合物を形成すること、及び
前記融解キャリア物質及び前記少なくとも1つの揮発性物質の混合物を冷却することを含む前記方法。
【請求項20】
揮発性物質含有組成物から揮発性物質を放出する方法で、前記方法が、
キャリア及びこのキャリアに混和性である少なくとも1つの揮発性物質を含む揮発性物質含有組成物を提供することであって、前記キャリアが融解温度を有し、前記組成物が前記キャリアの融解温度よりも低い融解温度を有し、前記組成物が、前記組成物にエネルギーが適用されていない第1の状態と、前記組成物にエネルギーが適用される第2のエネルギー適用状態とを有すること、及び
前記揮発性物質含有組成物を、前記キャリアの融解温度を超える温度に加熱することを含む方法。
【請求項21】
前記揮発性物質含有組成物にもはや熱が加えられない場合に、前記組成物が前記第1の状態に戻る、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物の第1の状態が柔軟な固体である、請求項21に記載の方法。

【公表番号】特表2007−526343(P2007−526343A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501317(P2006−501317)
【出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/016162
【国際公開番号】WO2004/105811
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】