揮発性組成物用ディスペンサ
揮発性組成物ディスペンサは、車両での使用のために構成されている。揮発性組成物ディスペンサは、ハウジングと、そのハウジング内に少なくとも部分的に配置されたファンと、を備える。ファンは、断続的に起動されて空気体積を移動させるように構成されている。揮発性組成物ディスペンサは、ファンと電気通信し、ハウジング内に配置されたコントローラと、ハウジングに取り付けられ、ハウジング内に少なくとも部分的に配置されるように構成された、交換式ユニットと、を更に備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、揮発性組成物を分配するための方法及び装置に関し、より具体的には、アクチュエータを用いて揮発性組成物を分配するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアフレッシュナを用いて、エアフレッシュナ周囲の領域に快い香気を提供することができる。状況によっては、エアフレッシュナを車両で用いることができる。様々なエアフレッシュナは、車両が運転中か静止中かに関わらず、芳香剤のような揮発性組成物を車両の内部雰囲気に一定放出することができる。揮発性組成物のそのような一定放出によって、乗員が揮発性組成物に慣れてしまい、本質的にエアフレッシュナを無用なものにするようになる場合がある。更に、場合によっては車両の内部雰囲気の温度が極度になり、そのために揮発性組成物の香気が車両の乗員にとって強すぎるか、又は気づかないものになるかのいずれかになり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
必要とされているのは、上記に対する改善である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の非限定的な一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサが車両での使用のために構成されている。揮発性組成物ディスペンサは、ハウジングと、そのハウジング内に少なくとも部分的に配置されたファンと、を備えている。ファンは、断続的に起動されて空気体積を移動させるように構成されている。揮発性組成物ディスペンサは、ファンと電気通信しハウジング内に配置されたコントローラと、ハウジングに取り付けられるか、ハウジング内に少なくとも部分的に配置されるように構成された、交換式ユニットと、を更に備えている。交換式ユニットは、少なくとも部分的に液相であり蒸発して気相になるように構成された揮発性組成物を含む揮発性組成物容器を備えている。ファンは、揮発性組成物容器を通して空気体積を少なくとも部分的に断続的に押し進めて気相の揮発性組成物の少なくともほとんどを車両の雰囲気中へ放出するように構成されている。交換式ユニットは、コントローラと電気通信する電源を更に備えている。
【0005】
本開示の別の非限定的な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、空気体積を断続的に移動させるように構成された遠心式ファンと、その遠心ファンに動作可能に係合されたコントローラと、を備えている。揮発性組成物ディスペンサは、液相及び気相のうち少なくとも1つの相の揮発性組成物を含む揮発性組成物容器を更に備えている。揮発性組成物容器は、その空気体積の少なくともほとんどを受け入れるように構成されている。揮発性組成物容器は、少なくとも1つの表面を備える材料を更に含む。材料は、揮発性組成物が液相から気相に転換するのを少なくとも部分的に抑制するように構成されている。揮発性組成物容器を少なくとも部分的に通る空気体積の流れ道は、材料のその少なくとも1つの表面に実質的に沿っている。
【0006】
本開示の更に別の非限定的な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、ハウジングと、ハウジング内に配置された遠心式ファンと、を備えている。遠心式ファンは、空気体積を移動させるために断続的に起動されるように構成されている。揮発性組成物ディスペンサは、遠心式ファンと電気通信しハウジング内に配置されたコントローラと、揮発性組成物容器と、を更に備えている。揮発性組成物容器は、内壁と、内壁から延出する少なくとも1つの突起と、少なくとも部分的に液相の揮発性組成物を収容するように構成されている材料と、を備えている。少なくとも1つの突起は、材料の一部分を内壁から離れた距離に維持するために材料の一部分と係合するように構成されている。様々な実施形態において、この突起の使用は任意である。揮発性組成物容器は、内壁と材料の一部分との中間に画定される空間を更に備えている。液相の揮発性組成物の少なくとも一部分は、空間内で飽和した気相の揮発性組成物を生成するために蒸発してその空間に入るように構成されている。遠心式ファンは、少なくとも部分的にその空間を通して空気体積を断続的に押し進めて、飽和した気相の揮発性組成物の少なくともほとんどを揮発性組成物容器から放出するように構成されている。
【0007】
本開示の更に別の非限定的な実施形態では、断続的に起動されるように構成された遠心式ファンを備える揮発性組成物ディスペンサ用の交換式ユニットが提供される。交換式ユニットは、内壁と、内壁から延出する少なくとも1つの突起と、少なくとも部分的に液相の揮発性組成物を収容するように構成されている材料と、を備える揮発性組成物容器を備えている。少なくとも1つの突起は、材料を内壁から離れた距離に維持するために材料の一部分と係合するように構成されている交換式ユニットは、内壁と材料との中間に画定される空間を更に備えている。液相の揮発性組成物の少なくとも一部分は、空間内で飽和した気相の揮発性組成物を生成するために蒸発してその空間に入るように構成されている。交換式ユニットは、遠心式ファンに電力を提供するように構成された電源を更に備えている。
【0008】
本開示の更に別の非限定的な実施形態では、揮発性組成物を分配する方法は、電源を備える交換式ユニットと、揮発性組成物を含む揮発性組成物容器と、を提供する工程を含んでいる。この方法は、電源によって給電され揮発性組成物容器と流体連通している遠心式ファンを提供する工程と、揮発性組成物容器内の揮発性組成物の一部分を蒸発させる工程と、空気体積を少なくとも部分的に揮発性組成物容器を通して断続的に押し進めて揮発性組成物の蒸発した部分の少なくともほとんどを揮発性組成物容器から放出するために遠心式ファンを使用する工程と、を更に含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
様々な本開示の非限定的な実施形態の以下の説明を添付の図と共に参照することによって、本開示の上述及び他の特徴及び利点並びにそれらを達成する方法はより明白になり、本開示そのものがよりよく理解されるであろう。
【図1】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサの斜視図。
【図2】非限定的な一実施形態による様々な構成要素を図示する、図1の揮発性組成物ディスペンサの分解斜視図。
【図3】非限定的な一実施形態による図1の揮発性組成物ディスペンサの分解斜視図。
【図4】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサの交換式ユニットの分解斜視図。
【図4A】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサの交換式ユニットの斜視図。
【図5】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサの交換式ユニットの斜視図。
【図6】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサのアクチュエータの斜視図。
【図7】非限定的な一実施形態による図6のアクチュエータの分解斜視図。
【図8】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサと共に使用するように構成された揮発性組成物容器の端面図。
【図8A】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサと共に使用するように構成された揮発性組成物容器の側面図。
【図9】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサと共に使用するように構成された揮発性組成物容器の別の端面図。
【図10】非限定的な一実施形態による図3の線10−10に沿って取られた断面図。
【図10A】非限定的な一実施形態による図4Aの線10A−10Aに沿って取られた断面図。
【図11】非限定的な一実施形態による揮発性組成物容器内に配置されるように構成された材料の斜視図。
【図12】非限定的な一実施形態による揮発性組成物容器内に配置されるように構成された別の材料の斜視図。
【図13】非限定的な一実施形態による揮発性組成物容器内に配置されるように構成された更に別の材料の斜視図。
【図14】非限定的な一実施形態による揮発性組成物容器内に配置されるように構成されたなお更に別の材料の斜視図。
【図15】非限定的な一実施形態による、揮発性組成物容器内に配置された材料を有する揮発性組成物容器の例示的断面図。
【図16】非限定的な一実施形態による、揮発性組成物容器内に配置された材料を有する揮発性組成物容器の別の例示的断面図。
【図17】非限定的な一実施形態によるアクチュエータ及び揮発性組成物容器の構成の略図。
【図18】非限定的な一実施形態による別のアクチュエータ及び揮発性組成物容器の構成の略図。
【図19】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサの電気及び感知システムを記述するフローチャート。
【図20】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサの斜視図。
【図21】非限定的な一実施形態による図20の揮発性組成物ディスペンサの分解斜視図。
【図22】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサの交換式ユニットの分解斜視図。
【図23】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサの斜視図。ハウジングの一部分が取り除かれている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本明細書に開示の装置の構造、機能、製造、及び使用の原理並びに方法の総合的な理解をもたらすために、様々な実施形態について説明する。これらの実施形態の1つ以上の実施例を添付の図面に示す。本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示す装置及び方法は、非限定的な例示的実施形態であること、並びに本開示の各種の実施形態の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義されることは、当業者には理解されよう。1つの例示的実施形態に関連して示される、又は述べられる特徴は、他の例示的実施形態の特徴と組み合わせてもよい。そのような修正及び変形は、本開示の範囲に含まれることが意図される。
【0011】
様々な実施形態によると、揮発性組成物ディスペンサを使用して、揮発性組成物又は例えば芳香剤若しくは殺虫剤のような他の溶液若しくは組成物をディスペンサ周囲の領域に分配することができる。特定の実施形態では、揮発性組成物は気相になることができる単一薬品及び/又は単一材料を含むことができるか、あるいはより一般的には、揮発性組成物は気相になることができる薬品及び/又は材料の混合物を含むことができる。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物は、例えば、蒸発可能な成分に加えて蒸発不可能な成分も含むことができる。様々な実施形態において、揮発性組成物は、これらに限定されないが、エアフレッシュナ、脱臭剤、臭気中和剤、臭気ブロッキング剤、臭気マスキング剤、アロマセラピー材料、アロマコロジー材料、殺虫剤、及び/又はそれらの組み合わせとして機能することが可能な物質を含むことができる。他の様々な実施形態において、揮発性組成物は、雰囲気又は環境を修正、改良、及び/又は処理するようにそれらの気相において作用可能な他の材料を含むことができる。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、例えば室内空間、コンパートメント、領域、及び/又は車両の雰囲気内で使用するように構成することができるが、本開示はそのような用途に限定されない。用語「車両」には、例えば自動車、バン、SUV、トラック、列車、ボート、及び/又は飛行機、あるいは、人又は物を輸送するための他の好適な装置を挙げることができる。揮発性組成物ディスペンサについて、本明細書では車両での使用を参照して説明するが、当業者は、例えば居住環境のような任意の環境での使用のために、並びに任意の好適な溶液、薬品、材料、及び/又は組成物を分配するために揮発性組成物ディスペンサを構成することが可能であることを理解するであろう。
【0012】
様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサによって分配される揮発性組成物は、車両内の雰囲気を乗員にとってより快い匂いにするように及び/又は例えば車両に入るときに好ましいオープンドア体験を乗員にもたらすように構成された任意の好適な溶液、薬品、材料、及び/又は組成物を含むことができる。揮発性組成物ディスペンサは、快い芳香剤を蒸発させること、並びに/又は例えば悪臭を中和及び/若しくは少なくとも部分的に除去することが可能な揮発性組成物を蒸発させることができる。非限定的な一実施形態では、ある時間を経て揮発性組成物の香気に車両内の乗員が慣れることを防ぐ又は少なくとも抑制するために、揮発性組成物ディスペンサは既定の時間間隔にわたって断続的及び/又は定期的に揮発性組成物の用量を車両内の雰囲気に提供するように構成することができる。そのような実施形態では、車両内の雰囲気に揮発性組成物を選択的に及び/又は断続的に投与することによって、乗員の臭覚は揮発性組成物が分配されたときに揮発性組成物に対してより敏感になることができる。最適な投与時間間隔及び投与量は、例えば温度、湿度、体積、及び/又は空気の流れといった、車両内の雰囲気の多様な条件に依存して変化し得る。
【0013】
一定の用量を提供するディスペンサを有する車両及び/又は揮発性組成物を絶えず蒸発させるディスペンサを有する車両に入ったとき、乗員は例えば車両内の雰囲気で生じ得る温度のような極度の条件のために、分配された揮発性組成物にむっとくる及び/又は気づかない可能性がある。様々な状況において、揮発性組成物は温度が高いほど速く蒸発し、温度が低いほどゆっくり蒸発する可能性がある。場合によっては、車両内の雰囲気の温度は華氏170度もの高温から氷点下もの低温にまで至る可能性がある。この大きな温度範囲の各極限で同量の揮発性組成物を分配すれば、乗員は極度の高温では揮発性組成物をはるかに強すぎると感じる可能性があり、極度の低温では揮発性組成物に気づきもしない及び/又はそれが匂わないことが可能である。したがって、車両内の雰囲気の温度条件又は他の様々な条件と相関した揮発性組成物を投与する揮発性組成物ディスペンサはかなり有用であリ得る。様々な実施形態において、例えば、ディスペンサはより高温でより少量の揮発性組成物用量を提供することができ、一方、より低温でより多量の揮発性組成物用量を提供することができる。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは車両内の雰囲気の温度を測定するように構成された温度センサを備えることができるので、揮発性組成物ディスペンサは特定の温度条件に合わせて適切に車両内の雰囲気に選択的に投与することができる。
【0014】
図1〜3を参照すると、様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサ10は、上述の利点及びその他の利点を達成することができ、ハウジング12と、選択的に取り付けることができる交換式ユニット32と、を備えることができる。非限定的な一実施形態では、ハウジング12は、例えば可視インジケータ、光源、及び/又は可聴警報のようなユーザフィードバックモジュール16を備えることができる。様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサ10はまた、例えば、それ自体を通して車両内の雰囲気に揮発性組成物を分配するように構成された少なくとも1つの開口部18、及びそれ自体を通してユーザ入力ボタン又はスイッチ26を受け入れるように構成された少なくとも1つの開口24も備えることができる。様々な実施形態において、ハウジング12は細長い形、又は本明細書に記載した様々な内部構成要素を受容するように構成された任意の他の好適な形を備えることができる。図2を参照すると、非限定的な一実施形態では、ハウジング12は上殻15と底殻17とを備えることができる。上殻15は、例えば接着結合又は機械接続のような任意の好適な取り付け方法を用いて底殻17に取り付けることができる。揮発性組成物ディスペンサ10は、揮発性組成物ディスペンサ10のハウジング12又は他の好適な部分にともに形成されるか又は取り付けられるクリップ13も備えることができる。非限定的な一実施形態では、クリップ13を使用して揮発性組成物ディスペンサ10を例えば日よけ、車両の換気口、及び/又は別の物体に取り付けることができる。
【0015】
図1、6、及び7を参照すると、様々な実施形態において、ハウジング12は、揮発性組成物ディスペンサ10の様々な内部構成要素を受け入れるように構成することができる。非限定的な一実施形態では、様々な内部構成要素は、空気又は他の好適な流体又は気体(以下、「空気」と呼ぶ)の体積、容積測定排気容量、パルス、ストリーム、流れ、ボーラス、及び/又は一吹き(以下、「体積」と呼ぶ)を提供するように構成されたアクチュエータ28と、コントローラ30と、を備えることができる。そのような実施形態では、交換式ユニット32が図1に図示するようにハウジング12に接続されていると、アクチュエータ28は交換式ユニット32の一部分と流体連通することができ、それにより、アクチュエータ28は交換式ユニット32の一部分にその空気体積の少なくともほとんどを提供することができる。非限定的な一実施形態では、ハウジング12は、例えばアクチュエータ28及びコントローラ30のような様々な内部構成要素を受け入れるように構成された受け入れ部分34を画定することができる。他の様々な実施形態において、ハウジング12は、様々な内部構成要素の全てを受け入れるように構成された1つの受け入れ空間を画定することができるか、又は、例えば様々な内部構成要素のそれぞれのための別個の受け入れ空間を備えることができる。
【0016】
図2〜5を参照すると、非限定的な一実施形態では、ハウジング12はそれ自体に取り付けられた又はそれと共に形成された少なくとも1つのラッチ36を備えることができる。ラッチ36は、ハウジング12から任意の好適な方向に延出することができる。非限定的な一実施形態では、ラッチ36は、交換式ユニット32を矢印21が示す方向にハウジング12の方へ移動させたときに交換式ユニット32をハウジング12に選択的に取り付けるように構成され得る。ラッチ36は、交換式ユニット32を矢印19が示す方向にハウジング12から離れるように移動させたときに交換式ユニット32をハウジング12から解放するように構成され得る。様々な実施形態において、ラッチ36は、交換式ユニット32上又は交換式ユニット32のハウジング12の部分上のスロット37に係合されるように構成された歯35を備えることができる。非限定的な一実施形態では、ラッチ35のようなラッチは、交換式ユニット32と一体式に形成されてもよく、あるいはそれに取り付けられてもよく、ハウジング12のスロット37のようなスロットに係合されることができる。当業者には理解されるように、例えば他の取り付け部材、ネジ接続、摩擦/圧縮接続、及び/又は磁気接続のような他の取り付け技法及び/又はラッチ設計を使用して交換式ユニット32をハウジング12に固定してもよい。非限定的な一実施形態では、ハウジング(図示せず)は、例えば図4Aに図示した交換式ユニット32’のような交換式ユニットを受け入れるように構成された空洞と、交換式ユニット32’を取り外すため及び/又は交換するために開くことができる可動ドア(図示せず)と、を備えることができる。例えば、可動ドアは電源28の端末に係合されるように構成された導電部分を備えることができるので、新しい交換式ユニット32’をハウジングの空洞に挿入した後に可動ドアを閉じて電源38とコントローラ30との回路を完成させることができる。
【0017】
図1〜4及び図5〜7を参照すると、様々な実施形態において、交換式ユニット32は殻23を備えることができる。殻23は揮発性組成物容器50及び電源受け入れ空間52を画定することができる。図4を参照すると、非限定的な一実施形態では、揮発性組成物容器50と電源受け入れ空間52とを壁54によって分離することができる。他の実施形態では、壁54はなくてもよい。非限定的な一実施形態では、電源受け入れ空間52は、電源38を受け入れるように構成することができる。図5を参照すると、非限定的な一実施形態では、電源受け入れ空間52は、電源38からコントローラ30へ電力を伝えるため及び/又はコントローラ30と電源38の電気回路を完成させるために構成された電気導線51を備えることができる。図4を参照すると、非限定的な一実施形態では、以下に詳述するように揮発性組成物容器50は、揮発性組成物を含む高表面積材料64を受け入れるように構成されることができる。揮発性組成物容器50は、高表面積材料64を密封可能に受け入れることができる。
【0018】
様々な非限定的な実施形態では、高表面積材料64は約2cm3〜約16cm3、あるいは約5cm3〜約12cm3の体積を有することができ、約5cm2〜約50cm2、あるいは約15cm2〜約45cm2の蒸発表面積(すなわち、空気の流れに曝露される高表面積材料の表面積)を有することができる。高表面積材料64は揮発性組成物を含むことができ、高表面積材料64内の揮発性組成物の体積は約1.5mL〜約12mL、あるいは約4mL〜約10mLであり得る。
【0019】
図4Aに図示したように、非限定的な一実施形態では、高表面積材料64を揮発性組成物容器33内に密封収容することができる。そのような実施形態では、揮発性組成物容器33を電源38と共に形成してもよく、そうでなければ例えばストラップ68によって電源38に固定して交換式ユニット32’を形成してもよい。様々な実施形態において、例えば任意の好適なクリップ、クランプ、バンド、接着剤、及び/又はスリーブのような任意の好適な技法を用いて、電源38を揮発性組成物容器33に取り付けることができる。図示はしていないが、非限定的な一実施形態では、交換式ユニット32’を受け入れるようにハウジングを構成してもよい。そのような実施形態では、交換式ユニット32は揮発性組成物ディスペンサ10と共に使用されない。揮発性組成物容器33は、ハウジング内でアクチュエータ28に近接して位置付けられたときに揮発性組成物容器33に空気体積が流れ込むこと及び流れて通ることを可能にするために、2つ以上の開口部58を有することができる。揮発性組成物容器33によって画定される2つ以上の開口部58は、少なくとも1つの入口開口部と少なくとも1つの出口開口部とを備えることができる。少なくとも1つの出口開口部は、出口開口部18と流体連通することができる。当業者には理解されるように、交換式ユニット32’が使用されていないときは揮発性組成物の拡散及び蒸発損失を回避するために2つ以上の開口部58を覆うことができる。他の実施形態では、2つ以上の開口部58は、揮発性組成物容器33内の揮発性組成物の蒸発損失を少なくとも抑制するサイズ及び構成にされ得る。
【0020】
様々な実施形態において、交換式ユニット32又は32’は、コントローラ30、アクチュエータ28、及び/又は揮発性組成物ディスペンサ10自体全体の交換をせずに揮発性組成物ディスペンサ10を新しくすることができる。例えば、交換式ユニット32又は32’を異なる交換式ユニット32又は32’と交換することが可能である。当業者は、交換式ユニット32’がハウジング(図示せず)内に挿入され、交換式ユニット32がハウジング12に取り付けられることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、交換式ユニット32’は殻23に挿入され、ハウジング12に取り付けられることができる。以下においては、特に明記しない限り、交換式ユニット32及び交換式ユニット32’を「交換式ユニット32」と呼ぶ。
【0021】
様々な実施形態において、交換式ユニット32の交換性は、ユーザが1つの揮発性組成物の分配から別の揮発性組成物の分配へと安全で実質的に漏れのない単純なやり方で容易に変更することも可能にする。場合によっては、揮発性組成物ディスペンサ10内の揮発性組成物容器及び/又は電源38をいつ交換するかをユーザが判断することが困難であり得る。様々な状況で、揮発性組成物容器内の揮発性組成物の寿命は、揮発性組成物ディスペンサ10が曝露される例えば周囲の気温など様々な動作条件及び/又は環境条件に基づいて延長又は短縮され得る。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物容器及び電源の両方を有する交換式ユニットの提供によって、ユーザは揮発性組成物がいつなくなるか及び/又は少なくともほとんどなくなるかを「推測」する必要はもはやなくなり、単に電源38の電力レベルに依存して、交換式ユニット32の交換が必要とされるときを判断することができるようになる。様々な実施形態において、コントローラ30は、例えば電源38の電圧、電流、及び/又は残りの電力レベルを測定することができ、ユーザフィードバックモジュール16を介してユーザに交換式ユニット32の交換が必要なときを指示することができる。非限定的な一実施形態では、交換式ユニット32を提供することによって、揮発性組成物容器33又は50は内部に十分な量の揮発性組成物を通常有することになり、電源38は揮発性組成物の望ましい送達速度を維持するのに十分な電力を揮発性組成物ディスペンサ10に通常提供することができるようになるので、揮発性組成物ディスペンサ10は高レベルの効率で動作することが可能になる。加えて、交換式ユニット32は、不十分な電力レベルの電源及び/又は揮発性組成物容器内の揮発性組成物の不十分な残量のいずれかにより、望ましいレベルに満たない揮発性組成物の送達を引き起こす可能性がある、電源及び/又は揮発性組成物容器の独立した交換の必要を防ぐか、少なくとも抑制することが可能である。交換式ユニット32は、ユーザが交換式ユニット32を交換するたびに、新しい電源38及び新しい揮発性組成物を収容する新しい揮発性組成物容器33又は50を提供することによって、これらの問題を解決する。
【0022】
様々な実施形態において、電源38は、例えばAA蓄電池、AAA蓄電池、9ボルト蓄電池、及び/又は他の好適な蓄電池などの蓄電池を備えることができる。非限定的な一実施形態では、交換式ユニット32は使い捨てであることができ、更にそれからの揮発性組成物の漏れを防ぐ又は少なくとも抑制するように構成することができる。様々な実施形態において、電源38は、コントローラ30に電力を提供して、コントローラ30が例えばアクチュエータ28、ユーザフィードバックモジュール16、温度センサ、空気流センサ、動作センサ、及び/又は様々な他のセンサに給電することを可能にすることができる。様々な実施形態において、交換式ユニット32は、電源キャップ44及び揮発性組成物容器キャップ46を備えることができる。様々な実施形態において、揮発性組成物容器キャップ46は、揮発性組成物容器50との密封係合を有する。図4を参照すると、非限定的な一実施形態では、電源キャップ44は、電源38の少なくとも1つの端末を受け取るように構成されたポート45を画定することができる。非限定的な一実施形態では、電源キャップ44は導電性であってよい。電源キャップ44、又は電源38の一部分は、電源38の電気回路を完成させるために交換式ユニット32をハウジング12に取り付けたときにコントローラ30と電気通信するように構成されることができる。他の様々な実施形態において、電源38は、当業者に既知の任意の好適なやり方で受け入れ部分34内に配置される他の様々な内部構成要素と電気通信することができる。
【0023】
上記に加えて、更に他の様々な実施形態では、例えばタバコライタープラグ又は補助電力ポートのような車両の電源によって揮発性組成物ディスペンサ10に給電することもできる。非限定的な一実施形態では、例えば太陽電池のような太陽エネルギー源を使用して揮発性組成物ディスペンサ10に給電してもよい。様々な実施形態において、太陽電池(すなわち光電池)は、揮発性組成物ディスペンサ10の外部に配置されてもよく、又は揮発性組成物ディスペンサ10と通信してもよく、その結果、太陽電池は、揮発性組成物ディスペンサ10に給電するエネルギーに変換可能な光を受け取ることができる。他の様々な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサ10は、電気コードが従来の電気コンセントに挿入されたときにコントローラ30が給電されることができるように、コントローラ30又は揮発性組成物ディスペンサ10の他の構成要素と電気通信する電気コードを備えることができる。非限定的な一実施形態では、電源38は、任意の好適な技法を用いて充電可能な充電式電源であってもよい。当業者は本開示を評価することによって、揮発性組成物ディスペンサ10に給電するために任意の他の好適な方法又は装置を使用してもよいことを認識するであろう。
【0024】
図1〜5を参照すると、様々な実施形態において、交換式ユニット32は、例えば入口開口部56及び出口開口部18を備えることができる。交換式ユニット32’が提供される場合、揮発性組成物容器33は、例えばその遠位端31に近接して少なくとも1つの出口開口部58を有することができる。図2、6、及び7を参照すると、非限定的な一実施形態では、アクチュエータ28は、揮発性組成物容器キャップ46の入口開口部56と流体連通することができ、それにより、アクチュエータ28は空気体積を入口開口部56に提供することができる。非限定的な一実施形態では、アクチュエータ28は、入口開口部56を通して及び揮発性組成物容器50の長さを少なくとも部分的に通して空気体積を押し進めることによって、空気体積の少なくとも一部分を出口開口部18を通して揮発性組成物ディスペンサ10から放出することができる。揮発性組成物容器50を通して空気体積を押し進める目的は、気相の揮発性組成物の少なくとも一部分、又は場合によってはそのほとんどを、揮発性組成物容器50から押し進めることである。様々な実施形態において、入口開口部56の直径、周囲、断面構成、及び/又は長さは、揮発性組成物容器50をわたる圧力の損失を最低限にするサイズ、形、及び/又は構成に作られる。
【0025】
図8を参照すると、非限定的な一実施形態では、入口開口部56は、例えば揮発性組成物容器キャップ46の面のほぼ中心に位置付けられてもよい。図9を参照すると、他の実施形態では、入口開口部56は、揮発性組成物容器キャップ46の面の側部に近接した場所に配置されてもよい。図8を参照すると、開口部56はまた、揮発性組成物容器50の任意の好適な場所に位置付けられてもよい。図8Aを参照すると、非限定的な一実施形態では、例示的な揮発性組成物容器50の側面図が提供されている。揮発性組成物容器50は、揮発性組成物ディスペンサ10と共に使用するように構成されている。様々な実施形態において、入口開口部56及び出口開口部18は、内径(ID)及び長さ(L)を有する管状構成を備えることができる。様々な実施形態において、入口開口部56及び/又は出口開口部18の断面積は、例えば円形、楕円形、矩形であってもよく、任意の他の好適な構成を有してもよい。入口開口部56及び出口開口部18は、同様の寸法の管状構成を有することができる。他の実施形態では、入口開口部56の管状構成は、出口開口部18の管状構成と異なっていてもよい。例えば、入口開口部56の長さは出口開口部18の長さより短くてもよい。様々な実施形態において、入口開口部56及び/又は出口開口部18は、例えば通路又はチャネルを備えてもよく、あるいは空気体積の通過を可能にする任意の他の好適な構成を備えてもよい。
【0026】
更に、図9を参照すると、出口開口部18を入口開口部56から中心長手方向軸に対してずらして、揮発性組成物容器50を貫通する蛇行する通り道を作り出してもよい。本開示を考慮した後に当業者が理解するように、入口開口部及び出口開口部の場所及びサイズは、所望の流速、圧力降下、及び他の、揮発性組成物容器33及び50を通る流れ特性を達成するために変えられてもよい。非限定的な実施形態の例示的な流速を下表1に提供する。本実施例の目的上、及び様々な実施形態にしたがって、高表面積材料64は、揮発性組成物容器50を空気の流れが通ることを可能にするように、高表面積材料64と揮発性組成物容器50の内壁との間に2mmの隙間を開けて容器内に中心合わせされる。
【0027】
【表1】
【0028】
非限定的な一実施形態では、交換式ユニット32の揮発性組成物容器50は、複数の入口開口部56及び単一の出口開口部18を備えることができる。他の実施形態では、交換式ユニット32は、単一の入口開口部56及び複数の出口開口部を備えることができる。更に他の実施形態では、交換式ユニット32は、複数の入口開口部56及び複数の出口開口部18を備えることができる。図4を参照すると、非限定的な一実施形態では、入口開口部56は、概ね矩形で、揮発性組成物容器50の側壁に近接して及び/又は揮発性組成物容器50のキャップ46上に位置付けられてもよい。図4Aを参照すると、様々な実施形態において、揮発性組成物容器33を採用して揮発性組成物を収容する場合、揮発性組成物容器33がハウジング内に配置されたとき、アクチュエータ28は空気を入口開口部58に直接に送達することができるので、揮発性組成物容器キャップ46を排除することができる(図示せず)。
【0029】
しかし、様々な実施形態において、揮発性組成物容器33及び50の入口開口部は、例えば円形、細長い形、正方形、三角形のような他の形、又はアクチュエータ28からの空気体積を受け入れるように構成された他の好適な形を含むことができる。入口開口部56はまた、揮発性組成物容器50の(長手方向の)中心線と合った場所又はそれからずれた場所のような、揮発性組成物容器キャップ46上の他の好適な場所に位置付けられてもよい。入口開口部58はまた、揮発性組成物容器33の(長手方向の)中心線と合った場所又はそれからずれた場所のような、揮発性組成物容器33上の他の好適な場所に位置付けられてもよい。更に、例えば開口部18及び58のような出口開口部の直径、周囲、及び/又は長さは、アクチュエータ28から揮発性組成物容器33又は50への圧力損失を最低限にし、かつ揮発性組成物容器33及び50からの揮発性組成物の蒸発を少なくとも抑制するサイズ、形、及び/又は構成に作られてもよい。様々な実施形態において、揮発性組成物容器33又は50を通して押し進められる空気体積は、揮発性組成物ディスペンサ10が空気体積の少なくとも一部分及び揮発性組成物容器33又は50内にある気相の揮発性組成物の少なくとも一部分を出口開口部18を通して車両内の雰囲気へと分配するのを引き起こすことができる。様々な実施形態において、車両内の雰囲気は、例えば乗員コンパートメント、トランク、保管スペース、囲まれた空間、及び/又は他の空間であり得る。
【0030】
図5を参照すると、非限定的な一実施形態では、交換式ユニット32がハウジング12に取り付けられていないとき、揮発性組成物容器50から揮発性組成物容器50周囲の雰囲気への揮発性組成物の拡散を少なくとも抑制するために、入口開口部56及び/又は出口開口部18を覆うように少なくとも1つのカバー27を配置することができる。カバー27は、揮発性組成物又は他の例えば揮発性組成物容器50内のその他の溶液若しくは組成物に対して不浸透性又は少なくとも部分的に不浸透性の任意の好適な材料を含むことができる。ユーザは、交換式ユニット32をハウジング12に取り付ける前に、少なくとも1つのカバー27を取り外すことができる。非限定的な一実施形態では、カバー27は、接着剤を用いて様々な開口部の上に取り付けることが可能な、例えば射出成形品であってもよい。様々な実施形態において、カバー27は、拡散を抑制するために様々な開口部によって受け入れられるプラグ又は挿入物であってもよい。他の実施形態では、例えば剥離式テープ片のような別個のカバーを入口開口部56及び/又は出口開口部18の上に配置して、揮発性組成物の拡散又は漏れを同様に抑制することができる。他の様々な実施形態では、任意の他の好適なタイプのカバー及び/又は開口部密閉部を使用して、交換式ユニット32の使用の前に揮発性組成物容器50から揮発性組成物が拡散又は漏れるのを少なくとも抑制することができる。更に、交換式ユニット32をハウジング12に取り付けるが積極的に使用しない場合は、少なくとも1つのカバーを出口開口部18の上に配置して、揮発性組成物ディスペンサ10の揮発性組成物容器50からの揮発性組成物の拡散を防止、又は少なくとも抑制することができる。更に他の実施形態では、上述のカバーを排除してもよく、例えば、様々な開口部を、揮発性組成物の拡散又は漏れを少なくとも部分的に抑制するサイズ及び形に作ることができる。当然、当業者には認識されるように、同様のカバーを揮発性組成物容器33と共に用いることができる。
【0031】
様々な実施形態において、出口開口部18、揮発性組成物容器33の任意の開口部、及び/又は所望により入口開口部56は、アクチュエータ28が揮発性組成物容器50又は揮発性組成物容器33の外へ気相の揮発性組成物を押し進めていないときにそれらの開口部を通る揮発性組成物の分子拡散又は漏れを少なくとも抑制するサイズに作ることができる。非限定的な一実施形態では、様々な開口部の直径は、例えば、約0.1mm〜約6mm、あるいは約1mm〜約4mm、あるいは約1.5mm〜約3.5mm、あるいは約2mm〜約3mmの範囲のサイズに作られてよい。非限定的な一実施形態では、入口開口部及び出口開口部のそれぞれは、例えば、約0.008cm2〜約0.50cm2、あるいは約0.01cm2〜約0.2cm2の範囲の断面積を有することができる。非限定的な一実施形態では、入口開口部56は、約0.3mm〜約20mm、あるいは約5mm〜約10mmの長さを有することができる。非限定的な一実施形態では、出口開口部18は、入口開口部56と異なるサイズを有することができる。様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサ10は、それぞれが異なるサイズ、形、外形、及び/又は構成を有する複数の入口開口部及び/又は出口開口部を有することができる。他の様々な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサ10から分配される揮発性組成物の特性に依存して、他の開口部のサイズ及び外形を使用してもよく、それらは本開示の範囲内である。更に様々な実施形態では、複数の開口部を任意の好適な構成で使用して、揮発性組成物容器からの気相の揮発性組成物の放出を最大限及び/又は最低限にすることができる。特定の実施形態では、開口部のサイズは、所望の流速を揮発性組成物容器50及び/又は揮発性組成物容器33を通してもたらすため、並びに所望の圧力降下を揮発性組成物容器50及び/又は揮発性組成物容器33内部にもたらすために、アクチュエータ28の、例えば回転速度のような速度に少なくとも部分的に関係し得る。好適な空気流速の非限定的な例は、約2cm3/秒〜約20cm3/秒、又は約5cm3/秒〜約15cm3/秒である。
【0032】
概して、アクチュエータ28が気相の揮発性組成物の少なくとも一部分を出口開口部18を通して押し進めていないとき、「オフ」のときに揮発性組成物の蒸発損失を最低限にするように設計された出口開口部18の外形、場所、構成、及び/又はサイズの故に、出口開口部18は「オフ」、すなわち非分配状態であるとみなされてよい。非限定的な一実施形態では、出口開口部18を介した蒸発損失は完全になくすことは不可能だが、概ね約10mg/時未満、あるいは約3mg/時未満、あるいは約1mg/時未満、あるいは約0.1mg/時未満にすることができる。様々な実施形態では、様々な開口部の外形、サイズ、及び/又は形は、揮発性組成物の少なくとも一部分及び揮発性組成物ディスペンサ10の様々な動作条件での空気体積の一部分の最大質量流束をもたらすと同時に、アクチュエータ28が実働状態でないときの蒸発損失を最低限にするよう、構成することができる。これは、例えば、揮発性組成物容器50及び/又は揮発性組成物容器33をベルヌイ方程式による理想的なガス質量の流れの体積としてモデリングすることによって可能であるが、排出係数を含むように修正される。非限定的な一実施形態では、フィックの法則(Eq.1)を用いて開口部のサイズ及び/又は揮発性組成物ディスペンサ10の様々な拡散制限的観点の構成を決定することができる。
【0033】
【数1】
式中、Kは揮発性組成物の二成分系拡散係数、Dは開口部の直径、Lは開口部の長さである。開口部の断面積は、アクチュエータ28が開口部を通して空気を積極的に移動させているときの流速の主要な駆動因子であり得、一方、揮発性組成物の蒸発損失(例えばアクチュエータ28が休止状態のとき)は開口部の断面積及び長さに関係し得る。したがって、開口部の断面積の増加は、揮発性組成物の蒸発速度及び流速の両方に影響し得、開口部の長さの増加は、主に揮発性組成物の蒸発速度に影響し得る。上記実施形態を参照して開口部の構成について説明してきたが、当業者は本開示を考慮した上で、これらの開口部の構成が同様のやり方で他の様々な実施形態にも適用され得ることを理解するであろう。
【0034】
図4〜5及び10〜16を参照すると、様々な実施形態において、揮発性組成物容器50は高表面積材料64を備えることができる。図4Aに図示したように、いくつかの実施形態では、表面積材料64は揮発性組成物容器33によって収容され得る。前述のように、様々な実施形態において、高表面積材料64は揮発性組成物容器50内に受け入れられ配置されてよい。他の様々な実施形態において、高表面積材料64を揮発性組成物容器33内に配置し、次いで、揮発性組成物容器33がハウジングの一部分に受け入れられてもよい(図示せず)。高表面積材料64は、例えば、揮発性組成物49の少なくとも一部分を液相又はゲル相に維持するように構成された、例えば多孔質媒体及び/又はウィックであってもよい。様々な実施形態において、揮発性組成物49は、固体、液体、ゲル、及び/又はカプセル(ただしこれらに限定せず)を含む蒸発可能な材料で構成され得る。他の様々な実施形態において、揮発性組成物容器50は、高表面積材料64と接触した(すなわち液体連通する)別個の容器内に液体揮発性組成物を収容することができる。更なる様々な実施形態において、揮発性組成物容器50は、例えば、膜を介して気相になる液体揮発性組成物の拡散を可能にするように設計された膜の背後に収容された液体揮発性組成物を含むことができる。非限定的な一実施形態では、高表面積材料64は、木綿、セルロース、及び/又は他の天然繊維、合成繊維、例えばガラス、ポリエステル、ナイロン、及び/又はポリプロピレン、焼結/融合多孔質ガラス、セラミック、並びに/あるいはポリオレフィンのような合成材料などの(ただしこれらに限定せず)、揮発性組成物と適合性のある任意の材料で構成され得る。そのような実施形態では、高表面積材料64の空隙は、揮発性組成物49が高表面積材料64から蒸発して揮発性組成物49’の気相を生成することを可能にするように、揮発性組成物を保持するのに十分に小さいが、高表面積材料64の体積の有意な部分を占めることができる。場合によっては、高表面積材料64の空隙は、高表面積材料64の総体積の約50%より多くを占めることができる。非限定的な一実施形態では、高表面積材料64は、材料の表面積を最大限にするため、並びに高表面積材料64の周囲及び所望によりそれ自体を貫通する最大限の空気の流れを可能にするための3次元形状を備えることができる。車両用途では、高表面積材料64は、例えば約1cm2〜約100cm2あるいは約5cm2〜約50cm2の好ましい表面積を有することができる。高表面積材料64の長さは、揮発性組成物容器50又は33の内部に納まる任意の好適な長さであってよい。非限定的な一実施形態では、高表面積材料64の長さは、例えば約5mm〜約10cmの範囲であってよい。非限定的な一実施形態では、高表面積材料64は、約10mm×約10mm×約50mmである。高表面積材料64の3次元形状及び高表面積材料64と揮発性組成物容器50又は33の内壁41又は81との間のエアギャップは、揮発性組成物容器50又は33を通って押し出される空気流体積の圧力降下を最低限にすると共に例えば高表面積材料64の蒸発可能な表面積を最大限にするように構成することができる。
【0035】
高表面積材料64の構成例としては、矩形固体、管、円筒、チャネル、及び/又は通路;矩形固体、管、円筒、チャネル、及び/又はフィン付き通路:並びに/あるいは他の、例えば熱交換器設計に使用されるものと同様のフィンのスタックが挙げられる。非限定的な一実施形態では、高表面積材料64を揮発性組成物容器50又は揮発性組成物容器33の内壁又は表面に隣接して配置することができ、あるいは他の実施形態では、例えばスタンドオフ、ペグ、ポスト、リブ、延長部、細長い部材、及び/又はピンのような1つ以上の突起を用いて、高表面積材料64を揮発性組成物容器50又は揮発性組成物容器33の内壁又は表面から距離を開けて維持することができる。高表面積材料64と揮発性組成物容器33又は50の内壁41又は表面との間に間隙があることが望ましい場合があり、その間隙は約0.5mm〜約3mm、あるいは約1mm〜約2.5mmであり得る。様々な実施形態において、高表面積材料64は、所望の量の揮発性組成物49を収容するのに十分なサイズであることができ、選択される材料及び構成に依存して、高表面積材料64の体積は、揮発性組成物容器50又は33内に収容された揮発性組成物49の体積より大きくてもよい。車両用の揮発性組成物ディスペンサ10の一実施例では、揮発性組成物容器50及び/又は揮発性組成物容器33は、約2cm3〜約25cm3の体積を有することができ、高表面積材料64は、約2cm3〜約20cm3の体積を有して、約1cm3〜約10cm3の揮発性組成物を収容することができる。別の非限定的な例示的実施形態では、揮発性組成物容器50又は33は、約2.5cm3〜約16cm3の体積を有することができ、高表面積材料64は、約1.5cm3〜約12cm3の空隙体積を有して、約1.5mL〜約12mLの揮発性組成物49を収容することができる。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物容器50は、約14mm×約14mm×約54mmの寸法を有することができる。
【0036】
図11を参照すると、非限定的な一実施形態では、高表面積材料64は、本体66と、本体66から第1の方向に延出する第1の脚69と、本体66から第2の方向に延出する第2の脚70と、本体66から第3の方向に延出する第3の脚72と、本体66から第4の方向に延出する第4の脚74と、を備えることができる十字すなわち「X」型の断面構成を有することができる。当然、脚の1つ以上は任意であって、異なる断面構成を作り出すことができる。非限定的な一実施形態では、高表面積材料64は、例えば、約2mm〜約5mmの第1の寸法76及び約5mm〜約8mmの第2の寸法78を有することができる。様々な実施形態において、高表面積材料64の断面構成は、概ね「I」(図12)、円形(図13)、星形でもよく、あるいは例えばフィン63又は他の延長部(図14)を備えてもよい。そのような実施形態は、材料64の表面積を増やすと同時に、気相の組成物が蒸発して入り込むための空間もまた提供することができる。当然、任意の他の好適な断面構成を本開示と共に使用してもよく、それらは本開示の範囲内である。様々な実施形態では、高表面積材料64の断面積は、高表面積材料64の長さ又は他の寸法にわたって変化してもよい。非限定的な一実施形態では、第1の高表面積材料及び少なくとも第2の高表面積材料は、例えば揮発性組成物容器50又は33の内部に配置され得る。第1の材料及び少なくとも第2の材料は揮発性組成物容器50又は33内で互いに上下に積み上げられ間隙によって分離されてもよく、又は端と端とを接続して設置されてもよい。特定の実施形態では、揮発性組成物容器50若しくは33及び/又は高表面積材料64は、空気流を揮発性組成物容器50又は33を通して案内するように構成された少なくとも1つのバッフル又は他の空気流装置を備えることができる。
【0037】
図15及び16を参照すると、非限定的な一実施形態では、高表面積材料64は、入口開口部56へ入り空間86を通って出口開口部18から出て行く空気体積のための蛇行する流れ道(矢印80が示す)を提供するように構成され得る。空間86は、高表面積材料64の表面65に近接して、及び/又は高表面積材料64の表面と揮発性組成物容器50又は33の表面若しくは内壁81との中間に画定され得る。様々な実施形態において、揮発性組成物容器50又は33を通して押し進められる又は通過する空気体積の流れ道は、揮発性組成物49を含む高表面積材料64の表面の少なくとも一部分を横切る、沿って通る、及び/又は上を通ることができる。他の実施形態では、空気体積の流れ道は、例えば高表面積材料64の表面の少なくとも一部分に平行又は実質的に平行な方向に移動することができる。様々な実施形態において、流れ道80は高表面積材料64を通って案内され得る。そのような流れ道は、アクチュエータが空気体積を入口56に提供したときに空気体積が揮発性組成物容器50又は33の外へ気相の揮発性組成物49’を押し進めることを可能にする。
【0038】
いくつかの揮発性組成物はより平衡な状態を達成するために蒸発して気相になる傾向があるので、揮発性組成物の蒸発を少なくとも抑制することによって所望の分配時の前に気相の揮発性組成物49’が揮発性組成物容器50及び/又は揮発性組成物容器33から拡散することを少なくとも抑制することができるように、高表面積材料64はこの蒸発を少なくとも抑制し、揮発性組成物49の一部分を少なくとも部分的に液相、準液相、及び/又はゲル相に維持するように構成され得る。加えて、高表面積材料64は、揮発性組成物容器50又は33からの液体揮発性組成物49の漏れを少なくとも抑制することができる。様々な実施形態において、一定時間にかけて揮発性組成物49がその気相に転換するにつれて高表面積材料64の体積は減少し、揮発性組成物容器50又は33内に気相の揮発性組成物49’を受け入れるためのより多くの空間を提供することができる。非限定的な一実施形態では、アクチュエータ28からの空気体積が入口56を通って揮発性組成物容器50に入るにつれて、空気体積は気相の揮発性組成物49’と混合されて、出口開口部18を通って例えば車両の雰囲気中に気相の揮発性組成物49’の一部分が射出されるように作用することができる。様々な実施形態において、出口開口部18は、気相の揮発性組成物を含む揮発性組成物容器50内の空間86と流体連通することができる。更に他の様々な実施形態では、空間86は、揮発性組成物容器33が特定の実施形態で提供されているかどうかに依存して、高表面積材料64の表面65に近接して、及び/又は高表面積材料の表面65と揮発性組成物容器33の表面若しくは内壁との中間に、画定され得る。非限定的な一実施形態では、出口開口部18は、揮発性組成物容器50の上部及び/又は側部に位置付けることができ、いくつかの実施形態では、複数の出口開口部18を設けることができる。出口開口部18、高表面積材料64、及び/又は空間86の任意の他の好適な構成を、揮発性組成物容器50又は33の内部に提供することができる。
【0039】
図10を参照すると、非限定的な一実施形態では、揮発性組成物容器50は、揮発性組成物容器50の内壁81又は表面から揮発性組成物容器50内に延出する1つ以上の突起84を備えることができる。1つ以上の突起84は高表面積材料64の一部分と係合して、高表面積材料64を揮発性組成物容器50の内壁81から離れた距離に維持することができる。非限定的な一実施形態では、高表面積材料64を揮発性組成物容器50内に配置及び固定するのを助けるために、高表面積材料64は1つ以上の突起84を受け入れるための1つ以上のスロット(図示せず)を備えることができる。非限定的な一実施形態では、高表面積材料64は、内壁81に係合されるように構成されている突起を備える。高表面積材料64を内壁81から離れた距離に維持することによって、内壁81と高表面積材料64との中間に形成される空間86は、高表面積材料64内の液体揮発性組成物49が蒸発するにつれて気相の揮発性組成物で飽和し得る、又は少なくとも部分的に飽和し得る。様々な実施形態において、1つ以上の突出84は揮発性組成物容器50の内壁81の周囲に縦方向に延在することができ、他の様々な実施形態では、1つ以上の突起84は揮発性組成物容器50の内壁81に横方向に延在することができる。他の実施形態では、1つ以上の突起は、任意の他の好適な構成で内壁81上に配置され得る。本開示を考慮した後に当業者には理解されるように、高表面積材料64の様々な構成は、1つ以上の突起84の使用を必要としなくてもよい。様々な実施形態において、1つ以上の突起84は、空気体積の流れを案内するためにバッフルとして機能することができる。更に、様々な実施形態において、1つ以上の突起84は、高表面積材料64を揮発性組成物容器50内に配置するように機能することができる、例えばペグ、リブ、ポスト、スタンドオフ、細長い部材、及び/又はピンを備えることができる。更に他の様々な実施形態において、高表面積材料64は、高表面積材料64の表面を揮発性組成物容器50の内壁81から離れた距離に維持することを可能にする、高表面積材料64から延出した特徴を備えることができる。高表面積材料64のそのような特徴は、1つ以上の突起84から独立して使用することも、ともに使用することも可能である。
【0040】
図10Aに図示したように、様々な実施形態において、揮発性組成物容器33も、揮発性組成物容器33内に高表面材料64を配置するために使用される1つ以上の突起84を備えることができる。そのような突起84は揮発性組成物容器33の内壁41から延出し、高表面積材料64の一部分を内壁41から離れた距離に維持するために高表面積材料64の一部分に係合させることができる。この位置付けは、揮発性組成物容器33の内壁41と揮発性組成物49’を含む高表面積材料64との間に空間86を作り出すことを可能にすることができる。空間86は、揮発性組成物49の蒸発の際に気相の揮発性組成物49’を受け入れるように構成され得る。図10を参照して上述したものと同様に、揮発性組成物容器33内の高表面積材料64もまた、高表面積材料64の表面を揮発性組成物容器33の内壁41から離れた距離に維持することを可能にする特徴を備えることができる。他の様々な実施形態において、図11及び12の例示的な高表面積材料構成のような高表面積材料の構成に依存して、1つ以上の突起が任意選択され得る。更に他の様々な実施形態においても、高表面積材料の構成に依存して任意の好適な数の突起84を使用することができる。本開示を考慮した後に当業者には理解されるように、「X」型断面構成のような高表面積材料64のいくつかの型式の構成は、容器50又は33内部に突起の使用を必要としない場合がある。例えば、「X」型断面構成(図11)を用いると、脚69、70、72、及び74は、それぞれ容器50又は33の内壁81に係合されて、高表面積材料64の位置付けを維持する一方で、空気が容器50又は33を正しく流れることを可能にすることができる。
【0041】
図2、6、及び7を参照すると、様々な実施形態において、アクチュエータ28は、任意の好適なアクチュエータ、又は揮発性組成物容器50及び/若しくは揮発性組成物ディスペンサ10の一部分を通る空気体積を生成する及び/若しくは断続的に移動させるように構成された構成要素を備えることができる。非限定的な一実施形態では、アクチュエータ28は、モータ102を備えるファンアセンブリ100を備えることができる。モータ102は駆動軸101を備えることができる。アクチュエータ28は、空気体積を生成及び断続的に移動させるように構成することができ、揮発性組成物容器50の入口開口部56に空気体積をもたらすことができる。様々な実施形態において、アクチュエータ28のアクチュエータ出口104を揮発性組成物容器50の入口開口部56に近接して配置して、アクチュエータ出口104と入口開口部56とを流体連通させることができる。非限定的な一実施形態では、例えばバルクヘッド110のような中間構造体を入口開口部56とアクチュエータ出口104との間に配置することができる。バルクヘッド110は、アクチュエータ出口104から入口開口部56へ空気体積が移動するのを可能にするように構成されたバルクヘッド開口部112を画定することができる。バルクヘッド110は、交換式ユニット32が取り付けられていないときにハウジング12の様々な内部構成要素を保護又は隔離するように構成され得る。開口部104、112、及び56は、例えば圧力及び/又は流量損失を最小限にするように設計され得る。様々な実施形態において、一方向弁をアクチュエータ出口104と入口開口部56との中間に配置して、揮発性組成物容器50への空気体積の流れを調節することができる。様々な実施形態において、一方向弁を出口開口部18と揮発性組成物ディスペンサ10の外の雰囲気との中間に配置して、空気体積の流れ及び揮発性組成物容器50の外への気相の揮発性組成物49’の流れを調節することができる。本開示を考慮した後に当業者には理解されるように、様々な実施形態において入口開口部56及び/又は出口開口部18に近接して一方向弁を使用する場合、これらの開口部の長さを短縮してもよく、及び/又は入口開口部及び/又は出口開口部の断面積を増加させてもよい。
【0042】
上記に加え、図6及び7を参照すると、様々な実施形態において、ファンアセンブリ100は、ファンハウジング114と、ファンハウジングカバー116と、回転式ハブ118と、回転式ハブ118から延びるか若しくは回転式ハブに取り付けられた又はともに形成された少なくとも2つのファンブレード120と、を備えることができる。非限定的な一実施形態では、回転ハブ118の直径は、例えば約8mm〜約20mmであってよい。ファンアセンブリ100は、ファン入口124を画定することができる。駆動軸101は、回転式ハブ118に動作可能に係合されることができ、その結果、モータ102による駆動軸101の回転は回転式ハブ118を回転させ、それによって少なくとも2つのファンブレード120が回転する。非限定的な一実施形態では、ファンアセンブリ100は遠心式(放射状)ファンであってよい。各ブレード120は、回転式ハブ118の回転軸(軸「A」として図示されている)に平行又は実質的に平行な方向に配置される空気強制表面122を備えることができる。非限定的な一実施形態では、回転式ハブ118を矢印126が示す方向に回転させるために、導電線又は端末(図示せず)を介して電流をモータ102に提供することができる。そのような回転は、空気体積がファン入口124を通ってファンハウジング114内に引き込まれるようにすることができる。遠心式ファン構成では、ファンアセンブリ100を通って流れる空気はファン入口124を通って引き込まれ、駆動軸101に対して放射状方向に押し進められ得る。他の実施形態では、空気体積を例えば上殻15と底殻17との間の界面にあるような任意の好適な通路を通して、又はハウジング12の開口部を通して、揮発性組成物ディスペンサ10の外の雰囲気から引き込むことができる。少なくとも2つのファンブレード120の回転は、空気体積を、アクチュエータ出口104を通してファンハウジング114の外へ、そして揮発性組成物容器50の入口開口部56内に押し進めることができる。様々な実施形態において、少なくとも2つのファンブレード120は弧状(図のように)であっても一直線でもよく、並びに/又は曲線、一直線、及び/若しくは弧状の部分を有してもよい。加えて、少なくとも2つのファンブレード120は、例えば翼型又は先細り形のような様々な断面形を有することができる。本開示の考慮の後に当業者には理解されるように、遠心式ファンは、比較的小さい寸法で高い効率を提供することができ、圧力の変化は、揮発性組成物容器50を通る圧力水頭の低下に対する影響をほとんど有し得ない。様々な非限定的な実施形態では、ファンは約3パスカル〜約20パスカル、あるいは約5パスカル〜約15パスカルの範囲の圧力を生成することができる。
【0043】
非限定的な一実施形態では、モータ102は、電源38から0.7VDCがモータ102に供給されたときに毎分約6200回転で駆動軸101を回転させ、電源38から1.0VDCがモータ102に供給されたときに毎分約9400回転で駆動軸104を回転させるマブチRF−J20WA−5Z145モータであってよい。様々な実施形態において、入口開口部56及び出口開口部18の断面積に依存して、モータ102によって生成される空気体積の流速は、約0.7VDCで約1.0〜約8.0mL/秒の範囲、1.0VDCで約6.0〜約16.0mL/秒の範囲であってよい。様々な電圧レベルをモータ102に供給することによって、駆動軸101の回転速度及び結果として生じる空気体積の流速を変化させることができる。また、例えばSunon UB393−10のような任意の他の好適なモータをファンアセンブリ100と共に使用してもよい。加えて、コントローラ30は、当業者に既知の任意の好適な技法を用いてモータ102に電圧を供給することができる。様々な実施形態において、パルス幅変調技術を用いて、例えば約0.7VDC〜約1.0VDCのような特定の範囲にかけてモータ102に電圧を提供することができる。A−D変換器のような追加的な回路又は構成要素を使用して、例えば電源電圧及び周囲温度のような多様な要因の補正をしてもよい。駆動軸101及び/又は回転式ハブ118の回転による振動を隔離又は制限するために、例えばシリコン若しくは熱可塑性エラストマーファン支持体及び/又は交換式ユニット32とハウジング12との界面でのガスケットの使用など振動抑制装置又は技術を使用してもよい。
【0044】
様々な実施形態において、コントローラ30が、アクチュエータ28と電気通信するように配置されることができ、その結果、揮発性組成物容器50を通して空気体積を押し進めるためにコントローラ30がアクチュエータ28に起動されるべきとき及び回転速度を指示することができる。非限定的な一実施形態では、コントローラ30は、例えばマイクロコントローラのような任意の好適なタイプのコントローラであってよい。非限定的な一実施形態では、コントローラ30は、例えばTexas Instruments MSP430F2132コントローラであってよい。様々な実施形態において、コントローラ30は1つ以上のユーザ入力ボタン又はスイッチ26を備えることができ、このボタン又はスイッチは、例えばユーザが押したときに入力信号をコントローラ30に提供してコントローラ30がそれに対応する出力信号を例えばアクチュエータ28及び/又はユーザフィードバックモジュール16に送信することができるように構成されている。非限定的な一実施形態では、様々なユーザ入力ボタン又はスイッチ26は、揮発性組成物ディスペンサ10の電源をオン又はオフにするように構成された電源オン/オフスイッチ、及びユーザが揮発性組成物ディスペンサ10によって分配される揮発性組成物の量を調整することを可能にするように構成された少なくとも1つの揮発性組成物用量ボタンを備えることができる。理解されるように、入力ボタン又はスイッチ26は、例えば押しボタン、スライダ、ダイヤル、ノブのようなボタン及び/又はスイッチの任意の組み合わせであってよい。様々な実施形態において、既定の時間間隔にわたり分配される揮発性組成物の量は、コントローラ30によってアクチュエータ28が起動される割合を調整することによって(すなわち、アクチュエータ28が起動している時間及びアクチュエータ28が休止している時間を調整することによって)、アクチュエータ28が起動しているときの空気移動速度を調整することによって(すなわち、モータ102への電圧を調整することによって回転速度を調整することによって)、及び/又は両方の技法の組み合わせによって、制御することができる。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサ10は、揮発性組成物の用量を要求に応じて車両の雰囲気に送達するための「ブースト」ボタンを有することができる。例えば、ブーストボタンを押圧すなわち起動させると、アクチュエータ28は例えば30秒〜60秒のような特定時間にわたり又は特定の回転速度で起動され得る。
【0045】
様々な実施形態において、コントローラ30は、例えば車両内の雰囲気内の温度を感知するように構成された温度センサ及び車両が動作中かどうかを判断するように構成された動作センサとも電気通信することができる。様々な実施形態において、温度センサは、コントローラ30が出力信号をアクチュエータ28に提供することができるように車両の温度を示す信号をコントローラ30に、あるいは特定の温度及び/又は温度範囲に関する揮発性組成物用量を示す信号を揮発性組成物ディスペンサ10の他の様々な構成要素に送信することができる。例えば、所望の結果を達成するために、より高い温度範囲はより低い温度範囲よりも大きい用量を必要とし得る。非限定的な一実施形態では、動作検出器は、アクチュエータ28に適宜指示することによってコントローラ30が揮発性組成物用量を適切に調整することができるように、車両が動作中かどうかを示す信号をコントローラ30に送信することができる。車両が動作中でない場合、揮発性組成物用量を低減することができるか、あるいは、他の様々な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサ10を例えば休止状態に留めることができる。結果として、揮発性組成物ディスペンサ10は電気効率的であることができ、その結果、例えは電源38の寿命を最大限にすることができる。様々な実施形態において、車両が動いている場合、適切な揮発性組成物用量が引き続き断続的又は定期的に分配されて、ユーザが揮発性組成物に慣れることを阻止することができる。そのような実施形態では、揮発性組成物ディスペンサ10は、例えば1〜30秒間起動されてから、例えば10〜200秒間休止することができる。他の様々な実施形態において、ユーザは所望の断続的用量を提供するように揮発性組成物ディスペンサ10を設定することができる。
【0046】
様々な実施形態において、コントローラ30はまた、空気流センサ、揮発性組成物濃度センサ、及び/又はタイマーと通信することができる。非限定的な一実施形態では、空気流センサは、車両内の雰囲気内の空気流速を測定するように構成することができる。そのような実施形態では、空気流センサは、空気流速を示す信号をコントローラ30に送信することができ、その結果、車両の雰囲気内の空気流速に対応してコントローラが揮発性組成物用量の指示をアクチュエータ28に提供することができる。また、空気流センサを使用して、特定の時間間隔にわたり車両内の雰囲気において何回空気交換が生じているかを判断するために、例えば、車両内の雰囲気内の空気循環及び/又は1つ以上の窓が開いているかどうかを検出することもできる。次いで、この情報を揮発性組成物用量と相関させることができる。様々な実施形態において、濃度センサは、車両内の雰囲気内の揮発性組成物の濃度を感知することができる。空気流センサと同様に、濃度センサも、コントローラ30が車両の雰囲気の濃度にしたがって揮発性組成物用量を調整することができるように、車両内の雰囲気の揮発性組成物の濃度を示す信号をコントローラ30に送信することができる。様々な実施形態において、既定の時間間隔の後にコントローラ30に信号を送信するようにタイマーを構成して、ディスペンサ10が揮発性組成物用量を提供する必要があることをコントローラ30に示すことができる。様々な実施形態において、空気流センサ、温度センサ、動作センサ、濃度センサ、及びタイマーのうち少なくとも2つを互いに共に併用して、例えば車両内の雰囲気に適切な揮発性組成物用量を分配するように揮発性組成物ディスペンサ10に指示することができる。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサ10はまた、揮発性組成物ディスペンサ10内の揮発性組成物49の量及びタイプに関する情報を感知し、かつその同じ情報を処理するようにコントローラ30に伝えるように構成された揮発性組成物センサも備えることができる。
【0047】
様々な実施形態において、アクチュエータ28のための制御技術又はアプローチは、少なくとも、高表面積材料64、揮発性組成物、及び/又は揮発性組成物容器50の特徴に基づくことができる。様々な実施形態において、アクチュエータ28のための制御技術又はアプローチは、少なくとも、揮発性組成物容器33の特徴に基づくことができる。低い蒸気圧を有する揮発性組成物は、より高い蒸気圧を有する揮発性組成物よりゆっくりと蒸発する可能性が高い。様々な実施形態において、アクチュエータ28は、揮発性組成物容器50内の空間86が気相の揮発性組成物49’で完全に飽和又はほぼ完全に飽和するまでは起動されなくてよい。非限定的な一実施形態では、アクチュエータ28の休止時間は、揮発性組成物49が蒸発して気相の揮発性組成物49’で空間86を飽和又は少なくとも部分的に飽和するのに必要な時間と関係し得る。非限定的な一実施形態では、アクチュエータ28の起動時間は、気相の揮発性組成物49’のほぼ全てを揮発性組成物容器50から車両の雰囲気中に放出するのに必要な時間と関係し得る。揮発性組成物容器50から蒸気が放出されたら、揮発性組成物49の一部分が気相になることを再び可能にするために、アクチュエータ28を休止状態にすることができる。当業者には理解されるように、特定の揮発性組成物では、比較的大きい体積の空間86を有する揮発性組成物容器は、所望の飽和レベルを達成するためにより長い時間を要する可能性があり、比較的小さい体積の空間86を有する揮発性組成物容器は、所望の飽和レベルを達成するためにより短い時間を要する可能性がある。更に、時間を経て揮発性化合物49のレベル及び/又は高表面積材料64のサイズが減少するにつれて、飽和又は部分的飽和に必要な時間が増え得る。コントローラ30は、アクチュエータ28の様々な制御技法を決定するときにこれらの特徴を計算に入れることができる。非限定的な一実施形態では、気相の揮発性組成物の飽和を達成するために必要な時間は、例えば約5秒未満であり得る。より高い蒸気圧を有する製剤は、より低い蒸気圧を有する製剤より速い速度で蒸発して気相になる。したがって、より高い蒸気圧を有する製剤は、より低い蒸気圧を有する製剤より速く平衡状態に到達し得る。
【0048】
気相の揮発性組成物49’の少なくともほとんどを放出するために要する時間と等しい又はほぼ等しい時間にかけてアクチュエータ28を起動させることによって、電源38の寿命を最適化することができる。アクチュエータ28の制御によって、気相の揮発性組成物49’の最大の放出を最小のアクチュエータ稼働時間で実現することができる。様々な実施形態で、アクチベータの起動の順序又はパターンあるいはアクチュエータ28によって生成される空気体積の流速を調整して空間内の揮発性組成物の完全飽和又はほぼ完全な飽和を可能にし、気相の揮発性組成物の放出を最大限にすることができる。非限定的な一実施形態では、例えば、アクチュエータ28を約1〜10秒間起動させ、次いで約1〜10秒間休止させることができる。
【0049】
様々な実施形態において、アクチュエータ28の起動持続時間又はアクチュエータ28が提供する空気体積の流速を増して、揮発性組成物ディスペンサ10からの揮発性組成物放出をより高い強度でもたらすことができる。例えば、アクチュエータ28を約10〜60秒間起動させ、次いで約10〜300秒間休止させることができる。アクチュエータ28の起動と起動との間に時間を提供することによって、ユーザが揮発性組成物49の香気に再び気づく可能性、すなわち慣れが避けられる可能性は高まる。より高い強度での放出の使用はまた、様々な実施形態において、車両に存在する揮発性有機組成物(VOC)及び例えば悪臭のような他の背景的揮発物を少なくとも部分的に克服することを可能にする。非限定的な一実施形態では、典型的な車両は10〜1000ppbの範囲のVOCを有し得る。より新しい車両は、ppmレベルのVOCを有する場合がある。当業者には理解され得るように、車両に存在するVOCのレベルは、例えば周囲温度など数多くの因子に依存し得る。場合によっては、空気中に放出された芳香剤を人の臭覚が感知することを車両雰囲気中のVOCが妨害する可能性がある。したがって、車両雰囲気中に気相の揮発性組成物49’をより高いレベルで放出(pulsing)することは、ユーザが気相の揮発性組成物49’をより強く検知することを可能にし得る。非限定的な一実施形態では、アクチュエータ28を10〜60秒間起動することは、気相の揮発性組成物49’をより感知可能にすることを可能にすることができ、約10〜300秒間の遅延をもたらすことは、濃度を降下させてユーザ又は乗員が次の放出をより強く感じ取るようにすることができる。当業者には理解されるように、例えば異なるパルス頻度及び/又は異なる空気流速を用いて、異なる香気体験をもたらすことができる。
【0050】
表2は、アクチュエータ28の非限定的な例示的起動パターンを提供する。
【0051】
【表2】
【0052】
様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサ10からの揮発性組成物50の放出速度は、例えば、約0.5〜12mg/時、あるいは約1.0〜8.0mg/時、あるいは約2.0〜4.0mg/時であってよい。非限定的な一実施形態では、約10mm×10mm×50mmの寸法を有する高表面積材料64は、揮発性組成物容器50又は33内に収容される。この実施形態では、高表面積材料64は、Filtrona Porous Technologiesから入手可能な吸収性ポリオレフィン繊維(D4507B)である。しかし、理解され得るように、他の好適な材料を使用してもよい。この実施形態では、高表面積材料64には、4グラムの、例えばベンジルアセテートのような揮発性組成物49が充填される。この実施形態では、揮発性組成物49は20℃で190Paの蒸気圧を有する。理解され得るように、他の揮発性組成物は様々な蒸気圧を有することができる。この実施形態では、直径2.5mm、長さ10mmの入口開口部及び出口開口部の寸法では、揮発性組成物ディスペンサ1から0の揮発性組成物49の放出速度は、アクチュエータ28が0.7VDC、周囲温度華氏70度で20%デューディサイクル(30秒間オン/120秒間オフ)で運転しているとき、約3.5mg/時である。そのような実施形態では、揮発性組成物容器50を通る空気流速は約5.5cm3/秒であり得る。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサ10からの揮発性組成物49の放出速度は、アクチュエータ28が1.0VDC、周囲温度華氏70度で20%デューディサイクル(30秒間オン/120秒間オフ)で運転しているとき、約5mg/時である。そのような実施形態では、揮発性組成物容器50を通る空気流速は約12cc/秒であり得る。これと比較して、揮発性組成物49の放出速度は、アクチュエータ28が100%デューティサイクルで周囲温度華氏70度で運転しているとき、0.7VDCでは約16mg/時、1.0VDCでは約24mg/時であり得る。様々な実施形態において、長時間にかけての100%の運転デューティサイクルでは、電源38の電力レベルが低下し得るが、アクチュエータは、約30秒未満又は約10秒未満のような比較的短い時間にかけて100%のような高いデューティサイクルで運転することができる。これらの実施形態では、そのような運転(すなわち「ブースト」運転)を用いて揮発性組成物ディスペンサ10の放出速度を一時的に増すことによって、前述のようなVOCの存在によってある程度引き起こされ得る悪臭、又は芳香剤の不足を著しく克服することができる。
【0053】
様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサ10は、揮発性組成物ディスペンサ10の状態に関してユーザにフィードバックを提供するように構成されたユーザフィードバックモジュール16を備えることができる。非限定的な一実施形態では、ユーザフィードバックモジュール16を使用して、揮発性組成物ディスペンサ10の特性をユーザに警告することができる。そのような実施形態では、フィードバックは可視及び/又は可聴のものであってもよく、特に、揮発性組成物ディスペンサ10の電源がオンであるかどうか、分配されている揮発性組成物用量、電源38の電力レベル、揮発性組成物容器50内の揮発性組成物49の量、タイプ、若しくはレベル、及び/又はユーザにとって有用又は有益な任意の他の好適なフィードバックをユーザに示すことができる。図1及び2を参照すると、様々な実施形態において、ユーザフィードバックモジュール16は、コントローラ30及び/又は電源38に電気的に連結された例えば複数の光源のような1つ以上のインジケータ42並びにハウジング12内の半透明の部分43を備えることができ、その結果、ユーザは、ハウジング12を通して1つ以上のインジケータ42を見ることができる。非限定的な一実施形態では、1つ以上のインジケータ42は、どのようなタイプのフィードバックがユーザに提供されるかに依存して、1つ以上のインジケータ42の様々な光がハウジング12の半透明の部分43を通して可視光を発することができるように、任意の好適なやり方で方向づけられてよい。非限定的な一実施形態では、ハウジング12の半透明の部分43は、任意の好適な形を有することができ、1つ以上のインジケータ42を同様の形に構成して、例えば光源などの1つのインジケータへの電気が供給又は遮断されると、ユーザに第1のフィードパックが提供され、2つ以上の光源への電気が給電又は遮断されると、ユーザに少なくとも第2のフィードバック及びその後のフィードバックが提供されることができる。非限定的な一実施形態では、少なくとも1つのボタン26は、1つ以上のインジケータ42がボタン26を通して見えるように少なくとも部分的に半透明である。
【0054】
様々な実施形態において、交換式ユニット32は、任意の数の容器を備えることができ、各容器は、異なる揮発性組成物、わずかに異なる揮発性組成物、又は同じ揮発性組成物を含むことができる。他の様々な実施形態では、交換式ユニット32は複数のチャンバをその内部に備えることができ、各チャンバは、例えば異なる揮発性組成物、わずかに異なる揮発性組成物、又は同じ揮発性組成物を含むことができる。非限定的な一実施形態では、各揮発性組成物は、例えば異なる蒸気圧範囲、わずかに異なる蒸気圧範囲、又は同じ蒸気圧範囲を有することができる。この特徴は、例えばユーザが第1の用量の第1の揮発性組成物及び第2の用量の第2の揮発性組成物を分配したいときに有用であり得る。1つより多くの揮発性化合物が1つの容器内又は容器の1つのチャンバ内にある場合、より高い蒸気圧範囲を有する揮発性組成物は、より低い蒸気圧範囲を有する揮発性組成物が気相に転換するより先に、液相、準液相、及び/又はゲル相から気相に転換し得る。この状況では、より高い蒸気圧範囲を有する揮発性組成物が先に分配される可能性が高く、より低い蒸気圧範囲を有する揮発性組成物がその次に分配される可能性が高くなるであろう。様々な実施形態において、異なる蒸気圧範囲を有する異なる揮発性組成物が別個の容器又はチャンバにある場合、例えば異なる揮発性組成物をそれらのそれぞれの容器から同時に分配することができる。結果として、様々な組成物を揮発性組成物ディスペンサ10から分配して、揮発性組成物が芳香剤であるならば、例えば香気の混合物を生成することができる。
【0055】
上記に加えて、様々な実施形態において、複数の揮発性組成物容器を直列に、並列に、及び/又は任意の他の好適な構成に配置することができる。図17を参照すると、複数の揮発性組成物容器が直列に配置される非限定的な一実施形態では、アクチュエータ28からの空気体積は第1の容器204に入ることができる。容器204は第1の揮発性組成物200を収容し、第1の容器204から気相の第1の揮発性組成物200’を分配することができる。次いで、空気体積の一部分が第2の揮発性組成物202を収容する第2の容器206に入り、例えば、第2の容器206から気相の第2の揮発性組成物202’を分配することができる。図18を参照すると、様々な実施形態において、複数の揮発性組成物容器が並列に配置されると、空気体積は第1の容器204’につながる第1の通路208’と第2の容器206につながる第2の通路208”とに分岐され得る。そのような構成では、例えば、第1及び第2の容器204及び206はそれぞれ気相の揮発性組成物200’及び202’の揮発性組成物用量を同時に提供するように構成され得る。様々な実施形態において、選択式スイッチ及び/又は弁209を使用して、空気体積を1つ又はいくつかの容器に案内するが他の容器には案内しないことによって、特定の揮発性組成物用量又は特定の状況のための揮発性組成物用量の組み合わせを提供するようにユーザが揮発性組成物ディスペンサ10を構成する能力を可能にすることができる。換言すると、ユーザは、例えば第1の状況では第1の揮発性組成物200又は芳香剤を投与し、第2の状況では第2の揮発性組成物202又は芳香剤を投与することができる。様々な実施形態において、選択式弁209は、例えばハウジング12上の部材、ボタン、及び/又はスイッチによって制御することができる。図17及び18は例示のみを目的としており、アクチュエータ28から容器204及び206への流れ道は、流れ及び圧力の損失を最小限にするために理想的には長さが短く、直径は比較的大きい。
【0056】
様々な実施形態において、図19は、揮発性組成物ディスペンサ10の回路図を図示する。非限定的な一実施形態では、電源38はコントローラ30に電力を提供することができる。そのような実施形態では、電源38はまた、例えば電源38の電力レベルを示す電気信号をコントローラ30に提供することもできる。様々な実施形態において、例えば、温度センサ、空気流センサ、濃度センサ、動作センサ、及びタイマーは、コントローラ30と電気通信することができ、その結果、各センサは、車両内雰囲気の温度、車両内雰囲気の空気流、車両内雰囲気の揮発性組成物濃度、車両が動作中かどうか、及び/又は揮発性組成物の最後の用量が揮発性組成物ディスペンサ10によって車両雰囲気に提供されてからの経過時間を示す様々な信号をコントローラ30に送信することができる。非限定的な一実施形態では、コントローラ30は様々なセンサから受信した信号を解読し、それに応じてアクチュエータ28及び所望によりユーザフィードバックモジュール16に指示を与えることができる。そのような実施形態では、ユーザフィードバックモジュール16はコントローラ30と電気通信することができ、例えば、センサによって感知された及び/又は電源38によって提供された様々な車両の特性を示す出力を受信するように構成され得る。様々な実施形態において、アクチュエータ28はコントローラ30と電気通信して、コントローラ30から電力及び/又は断続的な電力を受け取ることができる。非限定的な一実施形態では、スイッチ26もまたコントローラ30と電気通信することができるので、ユーザが1つ以上のスイッチ26を押圧すなわち起動させると、ユーザの入力を示す信号がコントローラ30に送信され得る。本開示を考慮した当業者は、この回路が単に構成例に過ぎず、したがって他の様々な好適な回路構成も使用可能であり本開示の範囲内であることを理解するであろう。
【0057】
いくつかの揮発性組成物(例えば芳香剤を含むもの)では、高い蒸気圧の揮発性組成物の原料は低い蒸気圧の原料より速く蒸発することになるので、変化する揮発性組成物製剤を補正するためにファン速度、ランタイムの頻度、又はオン/オフタイムを調整することが有用である場合がある。この場合、揮発性組成物は多くの日数を含む期間にかけて蒸発するので、任意によりコントローラにファンをより頻繁に運転させることが望ましい場合がある。例えば、非限定的な一例では、最初の10日間の使用では10%デューティサイクルでファンを実行し、11日目から最高60日目にかけて最高約30%〜約40%のデューティサイクルまで徐々に増していくことができる。このようにすると、ファン頻度又は持続期間を増すことによって芳香剤の強度の潜在的減少を補正することができる。その老朽化に合わせて調整することによって、芳香剤の量及び高い蒸気圧成分から低い蒸気圧成分までの混合物が時間と共に変化しても、より一貫した香気の強度を送達することが可能である。更に、交換式ユニット32又は32’又は232が老朽化するにつれて、コントローラ30又は230はユーザがいつ車両を運転しているかを知るために動作検出器を使用してもよく、車両が運転中のときと車両が数分間又は数時間駐車された状態のときとでファンの運転条件が異なるように調整することができる。
【0058】
交換式ユニット32又は32’又は232のランタイムを追跡記録する手段の非限定的な一例は、交換式ユニット32又は32’又は232と関連付けられた蓄電池の電圧をモニタリングすることである。例えば、新しいAA蓄電池は1.60ボルト〜約1.65ボルトであり得るが、30日使用したAA蓄電池は約1.2ボルト〜約1.45ボルトの電圧を有する可能性がある。蓄電池の電圧をモニタリングすることによって、コントローラ30又は230は交換式ユニット32又は32’又は232の寿命を認識し、交換式ユニット32又は32’又は232の寿命にかけて一貫した香気体験を与えるように運転条件を調整することができる。
【0059】
時間をモニタリングする手段の別の非限定的な例は、交換式ユニット32又は32’又は232が挿入されたときにタイマーを開始し、ファンが運転した時間/分を追跡記録することである。上述のように、より一貫した香気体験を与えるために、製品が老朽化するにつれてファンタイムを調整することができる。
【0060】
交換式ユニット32又は32’又は232の全寿命の指標として蓄電池の電圧又はランタイムを見る場合、交換式ユニット32又は32’又は232が空であること及び又は交換を必要とすることを示すために、赤色光の点灯などの信号をユーザに提供する又は点滅光を提供するようにコントローラ30又は230をプログラムすることができる。
【0061】
図20〜22を参照すると、様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサ210は、上殻215と底殻217とを備えるハウジング212を備えることができる。上殻215と底殻217とは合体して空洞214を画定することができる。様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサ210は、クリップ213と交換式ユニット232とを備えることができる。交換式ユニット232は、任意選択により仕切り壁254を備えることができる。交換式ユニット232は、電源252と、導線251と、揮発性組成物容器キャップ246で密封された揮発性組成物容器250と、を備えることができる。高表面積材料264は揮発性組成物容器250内に配置してもよく、又は高表面積材料は、前述の実施形態と同様に揮発性組成物容器250内に受け入れられる別の容器内に置かれてもよい。先の実施形態と同じく、別の容器を電源238に取り付けてもよく、電源238とセットにしてもよい。例示の目的でハウジング212が取り除かれている図21に図示したように、揮発性組成物ディスペンサ210は、アクチュエータ228、コントローラ230、モータ202、及び/又はボタンアセンブリ若しくはスイッチ226のような、他の様々な実施形態に関して上述したものと同様の内部構成要素を備えることができる。様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサ210は、複数の光源及び/又はハウジング212の半透明部分を備える少なくとも1つのインジケータを備えるユーザフィードバックモジュールを備えることができる。非限定的な一実施形態では、ボタンアセンブリ226は、ボタン226を照射するために、光源又は複数の光源を空洞214内に配置させるように構成された少なくとも半透明の部分を備えることができる。理解されるように、異なる色の光又は点滅パターンを使用して、様々な情報をユーザに伝達することができる。例えば、特定の光パターン及び/又は構成は、例えば、用量、投与頻度、電源238の電力レベル、及び/又は揮発性組成物レベルを表すことができる。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサ210はホルダ211を備えることができる。ホルダ211は、ホルダ211をハウジング212に固定するために少なくとも1つのラッチ236又は他の接続装置を有することができる。揮発性組成物ディスペンサ210は、底部パン216を備えることができる。ホルダ211及び底部パン216が交換式ユニット232の上に配置及び/又は滑着され、ホルダ211がハウジング212に固定されると、交換式ユニット232はハウジング212に対して正しい向き及び/又は位置に維持され得る。ユーザは交換式ユニット232の交換を望むとき、ホルダ211をハウジング212から取り外して交換式ユニット232の取り外しを可能にすることができる。本開示を考慮して当業者が理解するように、ホルダ211及び底部パン216は、例えばスリーブ、ストラップ、及び/又はバックルのような、ハウジング212に交換式ユニット232を固定するための任意の好適な構成を備えることができる。様々な実施形態において、底部パン216は排除してもよく、及び/又は例えばホルダ211と共に形成することができる。ホルダ211は、使用中、アクチュエータ228及び電源238に対する交換式ユニット232の配置を維持することができる。交換式ユニット232は、少なくとも1つの出口開口部218を有することができる。開口部218のサイズ、外形、及び/又は構成は、上述の出口開口部18に関して提供した構成と同様の検討事項を考慮して決定することができる。非限定的な一実施形態では、ホルダ211は、揮発性組成物容器250内に収容された揮発性組成物を動作中に揮発性組成物ディスペンサ210から放出することを可能にする1つ以上の開口部223を備えることができる。非限定的な一実施形態では、追加的な開口部をクリップ213と底殻217とが接する場所に近接して設けることにより、ディスペンサ210を取り囲む雰囲気から空気がディスペンサ210へ、そしてアクチュエータ228へと移動することを可能にすることができる。
【0062】
上述の揮発性組成物容器50と同様に、様々な実施形態において、揮発性組成物容器250は、例えば多孔質材料及び/又はウィックのような高表面積材料と、その中に気相の揮発性組成物を受け入れるように構成された空間と、を備えることができる。様々な実施形態において、図10に図示された1つ以上の突起84と同様に、側壁255は、それ自体から延出した、例えば揮発性組成物容器250内の定位置に材料を維持するように構成された、例えば連続又は不連続リブ、細長い部材、ピンのような1つ以上の突起を備えることができる。様々な実施形態において、高表面積材料264は突起を備えることができる。様々な実施形態において、前述の実施形態と同様に、1つ以上の突起は空気体積がそれらと材料との間を通過することを可能にすることができる。ディスペンサ210の動作は、前述の実施形態と同様の性質であってよい。様々な実施形態において、交換式ユニット32’もまたこの実施形態と共に使用することができる。
【0063】
本開示の一部は、電源を備える交換式ユニットと、揮発性組成物を含む揮発性組成物容器と、を提供する工程を含む、揮発性組成物を分配する方法を含むことができる。この方法は、更に、電源から給電され、揮発性組成物容器と流体連通している、例えば遠心式ファンのようなファンを提供する工程、及び揮発性組成物容器内の揮発性組成物の一部分を蒸発させる工程を含んでもよい。この方法はまた、空気体積を少なくとも部分的に揮発性組成物容器を通して断続的に押し進めて揮発性組成物の蒸発した部分の少なくともほとんどを揮発性組成物容器から放出するために遠心式ファンを使用する工程も含むことができる。既に述べたように、揮発性組成物及び/又は電源が枯渇したときは、揮発性組成物及び/又は電源を交換することができる。いくつかの実施形態では、揮発性組成物を収容する揮発性組成物容器及び電源を備えるセットが提供される。このセットを殻の中に挿入し、ハウジング及び/又はハウジングの一部(図示せず)に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、揮発性組成物及び電源は、殻の中にそれぞれ別々に設置しハウジングに取り付けるか又はハウジングの一部に挿入することができるものとして(図示せず)提供することができる。いくつかの実施形態では、揮発性組成物及び電源を収容する殻をハウジングに直接取り付けられるものとしてユーザに提供することができる。いくつかの実施形態では、揮発性組成物及び電源がユーザに提供され、ハウジングに直接に設置され得る。他の実施形態では、他の好適な構成又は実施形態を用いることができる。
【0064】
本明細書に開示した様々な揮発性組成物ディスペンサについて車両での使用のために説明してきたが、当業者は他の環境におけるこれらのディスペンサのその他の使用を認識するであろう。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサを使用して、例えばキャンプ場及び/又はテント若しくはキャビン内で殺虫剤を分配してもよい。他の様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサを家庭、職場、ロッカー、保管スペース、及び/又は揮発性組成物ディスペンサの実用性がユーザにもたらされるであろう任意の他の好適な場所若しくは環境で使用することができる。
【0065】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0066】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、その関連部分において、本明細書に参照により組み込まれるが、いかなる文献の引用も、それが本開示に対する先行技術であることを認めるものと解釈すべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0067】
本開示の特定の実施形態について説明し記載したが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることは当業者には明白であろう。したがって、本開示の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。
【技術分野】
【0001】
本開示は、揮発性組成物を分配するための方法及び装置に関し、より具体的には、アクチュエータを用いて揮発性組成物を分配するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアフレッシュナを用いて、エアフレッシュナ周囲の領域に快い香気を提供することができる。状況によっては、エアフレッシュナを車両で用いることができる。様々なエアフレッシュナは、車両が運転中か静止中かに関わらず、芳香剤のような揮発性組成物を車両の内部雰囲気に一定放出することができる。揮発性組成物のそのような一定放出によって、乗員が揮発性組成物に慣れてしまい、本質的にエアフレッシュナを無用なものにするようになる場合がある。更に、場合によっては車両の内部雰囲気の温度が極度になり、そのために揮発性組成物の香気が車両の乗員にとって強すぎるか、又は気づかないものになるかのいずれかになり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
必要とされているのは、上記に対する改善である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の非限定的な一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサが車両での使用のために構成されている。揮発性組成物ディスペンサは、ハウジングと、そのハウジング内に少なくとも部分的に配置されたファンと、を備えている。ファンは、断続的に起動されて空気体積を移動させるように構成されている。揮発性組成物ディスペンサは、ファンと電気通信しハウジング内に配置されたコントローラと、ハウジングに取り付けられるか、ハウジング内に少なくとも部分的に配置されるように構成された、交換式ユニットと、を更に備えている。交換式ユニットは、少なくとも部分的に液相であり蒸発して気相になるように構成された揮発性組成物を含む揮発性組成物容器を備えている。ファンは、揮発性組成物容器を通して空気体積を少なくとも部分的に断続的に押し進めて気相の揮発性組成物の少なくともほとんどを車両の雰囲気中へ放出するように構成されている。交換式ユニットは、コントローラと電気通信する電源を更に備えている。
【0005】
本開示の別の非限定的な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、空気体積を断続的に移動させるように構成された遠心式ファンと、その遠心ファンに動作可能に係合されたコントローラと、を備えている。揮発性組成物ディスペンサは、液相及び気相のうち少なくとも1つの相の揮発性組成物を含む揮発性組成物容器を更に備えている。揮発性組成物容器は、その空気体積の少なくともほとんどを受け入れるように構成されている。揮発性組成物容器は、少なくとも1つの表面を備える材料を更に含む。材料は、揮発性組成物が液相から気相に転換するのを少なくとも部分的に抑制するように構成されている。揮発性組成物容器を少なくとも部分的に通る空気体積の流れ道は、材料のその少なくとも1つの表面に実質的に沿っている。
【0006】
本開示の更に別の非限定的な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、ハウジングと、ハウジング内に配置された遠心式ファンと、を備えている。遠心式ファンは、空気体積を移動させるために断続的に起動されるように構成されている。揮発性組成物ディスペンサは、遠心式ファンと電気通信しハウジング内に配置されたコントローラと、揮発性組成物容器と、を更に備えている。揮発性組成物容器は、内壁と、内壁から延出する少なくとも1つの突起と、少なくとも部分的に液相の揮発性組成物を収容するように構成されている材料と、を備えている。少なくとも1つの突起は、材料の一部分を内壁から離れた距離に維持するために材料の一部分と係合するように構成されている。様々な実施形態において、この突起の使用は任意である。揮発性組成物容器は、内壁と材料の一部分との中間に画定される空間を更に備えている。液相の揮発性組成物の少なくとも一部分は、空間内で飽和した気相の揮発性組成物を生成するために蒸発してその空間に入るように構成されている。遠心式ファンは、少なくとも部分的にその空間を通して空気体積を断続的に押し進めて、飽和した気相の揮発性組成物の少なくともほとんどを揮発性組成物容器から放出するように構成されている。
【0007】
本開示の更に別の非限定的な実施形態では、断続的に起動されるように構成された遠心式ファンを備える揮発性組成物ディスペンサ用の交換式ユニットが提供される。交換式ユニットは、内壁と、内壁から延出する少なくとも1つの突起と、少なくとも部分的に液相の揮発性組成物を収容するように構成されている材料と、を備える揮発性組成物容器を備えている。少なくとも1つの突起は、材料を内壁から離れた距離に維持するために材料の一部分と係合するように構成されている交換式ユニットは、内壁と材料との中間に画定される空間を更に備えている。液相の揮発性組成物の少なくとも一部分は、空間内で飽和した気相の揮発性組成物を生成するために蒸発してその空間に入るように構成されている。交換式ユニットは、遠心式ファンに電力を提供するように構成された電源を更に備えている。
【0008】
本開示の更に別の非限定的な実施形態では、揮発性組成物を分配する方法は、電源を備える交換式ユニットと、揮発性組成物を含む揮発性組成物容器と、を提供する工程を含んでいる。この方法は、電源によって給電され揮発性組成物容器と流体連通している遠心式ファンを提供する工程と、揮発性組成物容器内の揮発性組成物の一部分を蒸発させる工程と、空気体積を少なくとも部分的に揮発性組成物容器を通して断続的に押し進めて揮発性組成物の蒸発した部分の少なくともほとんどを揮発性組成物容器から放出するために遠心式ファンを使用する工程と、を更に含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
様々な本開示の非限定的な実施形態の以下の説明を添付の図と共に参照することによって、本開示の上述及び他の特徴及び利点並びにそれらを達成する方法はより明白になり、本開示そのものがよりよく理解されるであろう。
【図1】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサの斜視図。
【図2】非限定的な一実施形態による様々な構成要素を図示する、図1の揮発性組成物ディスペンサの分解斜視図。
【図3】非限定的な一実施形態による図1の揮発性組成物ディスペンサの分解斜視図。
【図4】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサの交換式ユニットの分解斜視図。
【図4A】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサの交換式ユニットの斜視図。
【図5】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサの交換式ユニットの斜視図。
【図6】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサのアクチュエータの斜視図。
【図7】非限定的な一実施形態による図6のアクチュエータの分解斜視図。
【図8】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサと共に使用するように構成された揮発性組成物容器の端面図。
【図8A】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサと共に使用するように構成された揮発性組成物容器の側面図。
【図9】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサと共に使用するように構成された揮発性組成物容器の別の端面図。
【図10】非限定的な一実施形態による図3の線10−10に沿って取られた断面図。
【図10A】非限定的な一実施形態による図4Aの線10A−10Aに沿って取られた断面図。
【図11】非限定的な一実施形態による揮発性組成物容器内に配置されるように構成された材料の斜視図。
【図12】非限定的な一実施形態による揮発性組成物容器内に配置されるように構成された別の材料の斜視図。
【図13】非限定的な一実施形態による揮発性組成物容器内に配置されるように構成された更に別の材料の斜視図。
【図14】非限定的な一実施形態による揮発性組成物容器内に配置されるように構成されたなお更に別の材料の斜視図。
【図15】非限定的な一実施形態による、揮発性組成物容器内に配置された材料を有する揮発性組成物容器の例示的断面図。
【図16】非限定的な一実施形態による、揮発性組成物容器内に配置された材料を有する揮発性組成物容器の別の例示的断面図。
【図17】非限定的な一実施形態によるアクチュエータ及び揮発性組成物容器の構成の略図。
【図18】非限定的な一実施形態による別のアクチュエータ及び揮発性組成物容器の構成の略図。
【図19】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサの電気及び感知システムを記述するフローチャート。
【図20】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサの斜視図。
【図21】非限定的な一実施形態による図20の揮発性組成物ディスペンサの分解斜視図。
【図22】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサの交換式ユニットの分解斜視図。
【図23】非限定的な一実施形態による揮発性組成物ディスペンサの斜視図。ハウジングの一部分が取り除かれている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本明細書に開示の装置の構造、機能、製造、及び使用の原理並びに方法の総合的な理解をもたらすために、様々な実施形態について説明する。これらの実施形態の1つ以上の実施例を添付の図面に示す。本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示す装置及び方法は、非限定的な例示的実施形態であること、並びに本開示の各種の実施形態の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義されることは、当業者には理解されよう。1つの例示的実施形態に関連して示される、又は述べられる特徴は、他の例示的実施形態の特徴と組み合わせてもよい。そのような修正及び変形は、本開示の範囲に含まれることが意図される。
【0011】
様々な実施形態によると、揮発性組成物ディスペンサを使用して、揮発性組成物又は例えば芳香剤若しくは殺虫剤のような他の溶液若しくは組成物をディスペンサ周囲の領域に分配することができる。特定の実施形態では、揮発性組成物は気相になることができる単一薬品及び/又は単一材料を含むことができるか、あるいはより一般的には、揮発性組成物は気相になることができる薬品及び/又は材料の混合物を含むことができる。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物は、例えば、蒸発可能な成分に加えて蒸発不可能な成分も含むことができる。様々な実施形態において、揮発性組成物は、これらに限定されないが、エアフレッシュナ、脱臭剤、臭気中和剤、臭気ブロッキング剤、臭気マスキング剤、アロマセラピー材料、アロマコロジー材料、殺虫剤、及び/又はそれらの組み合わせとして機能することが可能な物質を含むことができる。他の様々な実施形態において、揮発性組成物は、雰囲気又は環境を修正、改良、及び/又は処理するようにそれらの気相において作用可能な他の材料を含むことができる。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、例えば室内空間、コンパートメント、領域、及び/又は車両の雰囲気内で使用するように構成することができるが、本開示はそのような用途に限定されない。用語「車両」には、例えば自動車、バン、SUV、トラック、列車、ボート、及び/又は飛行機、あるいは、人又は物を輸送するための他の好適な装置を挙げることができる。揮発性組成物ディスペンサについて、本明細書では車両での使用を参照して説明するが、当業者は、例えば居住環境のような任意の環境での使用のために、並びに任意の好適な溶液、薬品、材料、及び/又は組成物を分配するために揮発性組成物ディスペンサを構成することが可能であることを理解するであろう。
【0012】
様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサによって分配される揮発性組成物は、車両内の雰囲気を乗員にとってより快い匂いにするように及び/又は例えば車両に入るときに好ましいオープンドア体験を乗員にもたらすように構成された任意の好適な溶液、薬品、材料、及び/又は組成物を含むことができる。揮発性組成物ディスペンサは、快い芳香剤を蒸発させること、並びに/又は例えば悪臭を中和及び/若しくは少なくとも部分的に除去することが可能な揮発性組成物を蒸発させることができる。非限定的な一実施形態では、ある時間を経て揮発性組成物の香気に車両内の乗員が慣れることを防ぐ又は少なくとも抑制するために、揮発性組成物ディスペンサは既定の時間間隔にわたって断続的及び/又は定期的に揮発性組成物の用量を車両内の雰囲気に提供するように構成することができる。そのような実施形態では、車両内の雰囲気に揮発性組成物を選択的に及び/又は断続的に投与することによって、乗員の臭覚は揮発性組成物が分配されたときに揮発性組成物に対してより敏感になることができる。最適な投与時間間隔及び投与量は、例えば温度、湿度、体積、及び/又は空気の流れといった、車両内の雰囲気の多様な条件に依存して変化し得る。
【0013】
一定の用量を提供するディスペンサを有する車両及び/又は揮発性組成物を絶えず蒸発させるディスペンサを有する車両に入ったとき、乗員は例えば車両内の雰囲気で生じ得る温度のような極度の条件のために、分配された揮発性組成物にむっとくる及び/又は気づかない可能性がある。様々な状況において、揮発性組成物は温度が高いほど速く蒸発し、温度が低いほどゆっくり蒸発する可能性がある。場合によっては、車両内の雰囲気の温度は華氏170度もの高温から氷点下もの低温にまで至る可能性がある。この大きな温度範囲の各極限で同量の揮発性組成物を分配すれば、乗員は極度の高温では揮発性組成物をはるかに強すぎると感じる可能性があり、極度の低温では揮発性組成物に気づきもしない及び/又はそれが匂わないことが可能である。したがって、車両内の雰囲気の温度条件又は他の様々な条件と相関した揮発性組成物を投与する揮発性組成物ディスペンサはかなり有用であリ得る。様々な実施形態において、例えば、ディスペンサはより高温でより少量の揮発性組成物用量を提供することができ、一方、より低温でより多量の揮発性組成物用量を提供することができる。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは車両内の雰囲気の温度を測定するように構成された温度センサを備えることができるので、揮発性組成物ディスペンサは特定の温度条件に合わせて適切に車両内の雰囲気に選択的に投与することができる。
【0014】
図1〜3を参照すると、様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサ10は、上述の利点及びその他の利点を達成することができ、ハウジング12と、選択的に取り付けることができる交換式ユニット32と、を備えることができる。非限定的な一実施形態では、ハウジング12は、例えば可視インジケータ、光源、及び/又は可聴警報のようなユーザフィードバックモジュール16を備えることができる。様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサ10はまた、例えば、それ自体を通して車両内の雰囲気に揮発性組成物を分配するように構成された少なくとも1つの開口部18、及びそれ自体を通してユーザ入力ボタン又はスイッチ26を受け入れるように構成された少なくとも1つの開口24も備えることができる。様々な実施形態において、ハウジング12は細長い形、又は本明細書に記載した様々な内部構成要素を受容するように構成された任意の他の好適な形を備えることができる。図2を参照すると、非限定的な一実施形態では、ハウジング12は上殻15と底殻17とを備えることができる。上殻15は、例えば接着結合又は機械接続のような任意の好適な取り付け方法を用いて底殻17に取り付けることができる。揮発性組成物ディスペンサ10は、揮発性組成物ディスペンサ10のハウジング12又は他の好適な部分にともに形成されるか又は取り付けられるクリップ13も備えることができる。非限定的な一実施形態では、クリップ13を使用して揮発性組成物ディスペンサ10を例えば日よけ、車両の換気口、及び/又は別の物体に取り付けることができる。
【0015】
図1、6、及び7を参照すると、様々な実施形態において、ハウジング12は、揮発性組成物ディスペンサ10の様々な内部構成要素を受け入れるように構成することができる。非限定的な一実施形態では、様々な内部構成要素は、空気又は他の好適な流体又は気体(以下、「空気」と呼ぶ)の体積、容積測定排気容量、パルス、ストリーム、流れ、ボーラス、及び/又は一吹き(以下、「体積」と呼ぶ)を提供するように構成されたアクチュエータ28と、コントローラ30と、を備えることができる。そのような実施形態では、交換式ユニット32が図1に図示するようにハウジング12に接続されていると、アクチュエータ28は交換式ユニット32の一部分と流体連通することができ、それにより、アクチュエータ28は交換式ユニット32の一部分にその空気体積の少なくともほとんどを提供することができる。非限定的な一実施形態では、ハウジング12は、例えばアクチュエータ28及びコントローラ30のような様々な内部構成要素を受け入れるように構成された受け入れ部分34を画定することができる。他の様々な実施形態において、ハウジング12は、様々な内部構成要素の全てを受け入れるように構成された1つの受け入れ空間を画定することができるか、又は、例えば様々な内部構成要素のそれぞれのための別個の受け入れ空間を備えることができる。
【0016】
図2〜5を参照すると、非限定的な一実施形態では、ハウジング12はそれ自体に取り付けられた又はそれと共に形成された少なくとも1つのラッチ36を備えることができる。ラッチ36は、ハウジング12から任意の好適な方向に延出することができる。非限定的な一実施形態では、ラッチ36は、交換式ユニット32を矢印21が示す方向にハウジング12の方へ移動させたときに交換式ユニット32をハウジング12に選択的に取り付けるように構成され得る。ラッチ36は、交換式ユニット32を矢印19が示す方向にハウジング12から離れるように移動させたときに交換式ユニット32をハウジング12から解放するように構成され得る。様々な実施形態において、ラッチ36は、交換式ユニット32上又は交換式ユニット32のハウジング12の部分上のスロット37に係合されるように構成された歯35を備えることができる。非限定的な一実施形態では、ラッチ35のようなラッチは、交換式ユニット32と一体式に形成されてもよく、あるいはそれに取り付けられてもよく、ハウジング12のスロット37のようなスロットに係合されることができる。当業者には理解されるように、例えば他の取り付け部材、ネジ接続、摩擦/圧縮接続、及び/又は磁気接続のような他の取り付け技法及び/又はラッチ設計を使用して交換式ユニット32をハウジング12に固定してもよい。非限定的な一実施形態では、ハウジング(図示せず)は、例えば図4Aに図示した交換式ユニット32’のような交換式ユニットを受け入れるように構成された空洞と、交換式ユニット32’を取り外すため及び/又は交換するために開くことができる可動ドア(図示せず)と、を備えることができる。例えば、可動ドアは電源28の端末に係合されるように構成された導電部分を備えることができるので、新しい交換式ユニット32’をハウジングの空洞に挿入した後に可動ドアを閉じて電源38とコントローラ30との回路を完成させることができる。
【0017】
図1〜4及び図5〜7を参照すると、様々な実施形態において、交換式ユニット32は殻23を備えることができる。殻23は揮発性組成物容器50及び電源受け入れ空間52を画定することができる。図4を参照すると、非限定的な一実施形態では、揮発性組成物容器50と電源受け入れ空間52とを壁54によって分離することができる。他の実施形態では、壁54はなくてもよい。非限定的な一実施形態では、電源受け入れ空間52は、電源38を受け入れるように構成することができる。図5を参照すると、非限定的な一実施形態では、電源受け入れ空間52は、電源38からコントローラ30へ電力を伝えるため及び/又はコントローラ30と電源38の電気回路を完成させるために構成された電気導線51を備えることができる。図4を参照すると、非限定的な一実施形態では、以下に詳述するように揮発性組成物容器50は、揮発性組成物を含む高表面積材料64を受け入れるように構成されることができる。揮発性組成物容器50は、高表面積材料64を密封可能に受け入れることができる。
【0018】
様々な非限定的な実施形態では、高表面積材料64は約2cm3〜約16cm3、あるいは約5cm3〜約12cm3の体積を有することができ、約5cm2〜約50cm2、あるいは約15cm2〜約45cm2の蒸発表面積(すなわち、空気の流れに曝露される高表面積材料の表面積)を有することができる。高表面積材料64は揮発性組成物を含むことができ、高表面積材料64内の揮発性組成物の体積は約1.5mL〜約12mL、あるいは約4mL〜約10mLであり得る。
【0019】
図4Aに図示したように、非限定的な一実施形態では、高表面積材料64を揮発性組成物容器33内に密封収容することができる。そのような実施形態では、揮発性組成物容器33を電源38と共に形成してもよく、そうでなければ例えばストラップ68によって電源38に固定して交換式ユニット32’を形成してもよい。様々な実施形態において、例えば任意の好適なクリップ、クランプ、バンド、接着剤、及び/又はスリーブのような任意の好適な技法を用いて、電源38を揮発性組成物容器33に取り付けることができる。図示はしていないが、非限定的な一実施形態では、交換式ユニット32’を受け入れるようにハウジングを構成してもよい。そのような実施形態では、交換式ユニット32は揮発性組成物ディスペンサ10と共に使用されない。揮発性組成物容器33は、ハウジング内でアクチュエータ28に近接して位置付けられたときに揮発性組成物容器33に空気体積が流れ込むこと及び流れて通ることを可能にするために、2つ以上の開口部58を有することができる。揮発性組成物容器33によって画定される2つ以上の開口部58は、少なくとも1つの入口開口部と少なくとも1つの出口開口部とを備えることができる。少なくとも1つの出口開口部は、出口開口部18と流体連通することができる。当業者には理解されるように、交換式ユニット32’が使用されていないときは揮発性組成物の拡散及び蒸発損失を回避するために2つ以上の開口部58を覆うことができる。他の実施形態では、2つ以上の開口部58は、揮発性組成物容器33内の揮発性組成物の蒸発損失を少なくとも抑制するサイズ及び構成にされ得る。
【0020】
様々な実施形態において、交換式ユニット32又は32’は、コントローラ30、アクチュエータ28、及び/又は揮発性組成物ディスペンサ10自体全体の交換をせずに揮発性組成物ディスペンサ10を新しくすることができる。例えば、交換式ユニット32又は32’を異なる交換式ユニット32又は32’と交換することが可能である。当業者は、交換式ユニット32’がハウジング(図示せず)内に挿入され、交換式ユニット32がハウジング12に取り付けられることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、交換式ユニット32’は殻23に挿入され、ハウジング12に取り付けられることができる。以下においては、特に明記しない限り、交換式ユニット32及び交換式ユニット32’を「交換式ユニット32」と呼ぶ。
【0021】
様々な実施形態において、交換式ユニット32の交換性は、ユーザが1つの揮発性組成物の分配から別の揮発性組成物の分配へと安全で実質的に漏れのない単純なやり方で容易に変更することも可能にする。場合によっては、揮発性組成物ディスペンサ10内の揮発性組成物容器及び/又は電源38をいつ交換するかをユーザが判断することが困難であり得る。様々な状況で、揮発性組成物容器内の揮発性組成物の寿命は、揮発性組成物ディスペンサ10が曝露される例えば周囲の気温など様々な動作条件及び/又は環境条件に基づいて延長又は短縮され得る。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物容器及び電源の両方を有する交換式ユニットの提供によって、ユーザは揮発性組成物がいつなくなるか及び/又は少なくともほとんどなくなるかを「推測」する必要はもはやなくなり、単に電源38の電力レベルに依存して、交換式ユニット32の交換が必要とされるときを判断することができるようになる。様々な実施形態において、コントローラ30は、例えば電源38の電圧、電流、及び/又は残りの電力レベルを測定することができ、ユーザフィードバックモジュール16を介してユーザに交換式ユニット32の交換が必要なときを指示することができる。非限定的な一実施形態では、交換式ユニット32を提供することによって、揮発性組成物容器33又は50は内部に十分な量の揮発性組成物を通常有することになり、電源38は揮発性組成物の望ましい送達速度を維持するのに十分な電力を揮発性組成物ディスペンサ10に通常提供することができるようになるので、揮発性組成物ディスペンサ10は高レベルの効率で動作することが可能になる。加えて、交換式ユニット32は、不十分な電力レベルの電源及び/又は揮発性組成物容器内の揮発性組成物の不十分な残量のいずれかにより、望ましいレベルに満たない揮発性組成物の送達を引き起こす可能性がある、電源及び/又は揮発性組成物容器の独立した交換の必要を防ぐか、少なくとも抑制することが可能である。交換式ユニット32は、ユーザが交換式ユニット32を交換するたびに、新しい電源38及び新しい揮発性組成物を収容する新しい揮発性組成物容器33又は50を提供することによって、これらの問題を解決する。
【0022】
様々な実施形態において、電源38は、例えばAA蓄電池、AAA蓄電池、9ボルト蓄電池、及び/又は他の好適な蓄電池などの蓄電池を備えることができる。非限定的な一実施形態では、交換式ユニット32は使い捨てであることができ、更にそれからの揮発性組成物の漏れを防ぐ又は少なくとも抑制するように構成することができる。様々な実施形態において、電源38は、コントローラ30に電力を提供して、コントローラ30が例えばアクチュエータ28、ユーザフィードバックモジュール16、温度センサ、空気流センサ、動作センサ、及び/又は様々な他のセンサに給電することを可能にすることができる。様々な実施形態において、交換式ユニット32は、電源キャップ44及び揮発性組成物容器キャップ46を備えることができる。様々な実施形態において、揮発性組成物容器キャップ46は、揮発性組成物容器50との密封係合を有する。図4を参照すると、非限定的な一実施形態では、電源キャップ44は、電源38の少なくとも1つの端末を受け取るように構成されたポート45を画定することができる。非限定的な一実施形態では、電源キャップ44は導電性であってよい。電源キャップ44、又は電源38の一部分は、電源38の電気回路を完成させるために交換式ユニット32をハウジング12に取り付けたときにコントローラ30と電気通信するように構成されることができる。他の様々な実施形態において、電源38は、当業者に既知の任意の好適なやり方で受け入れ部分34内に配置される他の様々な内部構成要素と電気通信することができる。
【0023】
上記に加えて、更に他の様々な実施形態では、例えばタバコライタープラグ又は補助電力ポートのような車両の電源によって揮発性組成物ディスペンサ10に給電することもできる。非限定的な一実施形態では、例えば太陽電池のような太陽エネルギー源を使用して揮発性組成物ディスペンサ10に給電してもよい。様々な実施形態において、太陽電池(すなわち光電池)は、揮発性組成物ディスペンサ10の外部に配置されてもよく、又は揮発性組成物ディスペンサ10と通信してもよく、その結果、太陽電池は、揮発性組成物ディスペンサ10に給電するエネルギーに変換可能な光を受け取ることができる。他の様々な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサ10は、電気コードが従来の電気コンセントに挿入されたときにコントローラ30が給電されることができるように、コントローラ30又は揮発性組成物ディスペンサ10の他の構成要素と電気通信する電気コードを備えることができる。非限定的な一実施形態では、電源38は、任意の好適な技法を用いて充電可能な充電式電源であってもよい。当業者は本開示を評価することによって、揮発性組成物ディスペンサ10に給電するために任意の他の好適な方法又は装置を使用してもよいことを認識するであろう。
【0024】
図1〜5を参照すると、様々な実施形態において、交換式ユニット32は、例えば入口開口部56及び出口開口部18を備えることができる。交換式ユニット32’が提供される場合、揮発性組成物容器33は、例えばその遠位端31に近接して少なくとも1つの出口開口部58を有することができる。図2、6、及び7を参照すると、非限定的な一実施形態では、アクチュエータ28は、揮発性組成物容器キャップ46の入口開口部56と流体連通することができ、それにより、アクチュエータ28は空気体積を入口開口部56に提供することができる。非限定的な一実施形態では、アクチュエータ28は、入口開口部56を通して及び揮発性組成物容器50の長さを少なくとも部分的に通して空気体積を押し進めることによって、空気体積の少なくとも一部分を出口開口部18を通して揮発性組成物ディスペンサ10から放出することができる。揮発性組成物容器50を通して空気体積を押し進める目的は、気相の揮発性組成物の少なくとも一部分、又は場合によってはそのほとんどを、揮発性組成物容器50から押し進めることである。様々な実施形態において、入口開口部56の直径、周囲、断面構成、及び/又は長さは、揮発性組成物容器50をわたる圧力の損失を最低限にするサイズ、形、及び/又は構成に作られる。
【0025】
図8を参照すると、非限定的な一実施形態では、入口開口部56は、例えば揮発性組成物容器キャップ46の面のほぼ中心に位置付けられてもよい。図9を参照すると、他の実施形態では、入口開口部56は、揮発性組成物容器キャップ46の面の側部に近接した場所に配置されてもよい。図8を参照すると、開口部56はまた、揮発性組成物容器50の任意の好適な場所に位置付けられてもよい。図8Aを参照すると、非限定的な一実施形態では、例示的な揮発性組成物容器50の側面図が提供されている。揮発性組成物容器50は、揮発性組成物ディスペンサ10と共に使用するように構成されている。様々な実施形態において、入口開口部56及び出口開口部18は、内径(ID)及び長さ(L)を有する管状構成を備えることができる。様々な実施形態において、入口開口部56及び/又は出口開口部18の断面積は、例えば円形、楕円形、矩形であってもよく、任意の他の好適な構成を有してもよい。入口開口部56及び出口開口部18は、同様の寸法の管状構成を有することができる。他の実施形態では、入口開口部56の管状構成は、出口開口部18の管状構成と異なっていてもよい。例えば、入口開口部56の長さは出口開口部18の長さより短くてもよい。様々な実施形態において、入口開口部56及び/又は出口開口部18は、例えば通路又はチャネルを備えてもよく、あるいは空気体積の通過を可能にする任意の他の好適な構成を備えてもよい。
【0026】
更に、図9を参照すると、出口開口部18を入口開口部56から中心長手方向軸に対してずらして、揮発性組成物容器50を貫通する蛇行する通り道を作り出してもよい。本開示を考慮した後に当業者が理解するように、入口開口部及び出口開口部の場所及びサイズは、所望の流速、圧力降下、及び他の、揮発性組成物容器33及び50を通る流れ特性を達成するために変えられてもよい。非限定的な実施形態の例示的な流速を下表1に提供する。本実施例の目的上、及び様々な実施形態にしたがって、高表面積材料64は、揮発性組成物容器50を空気の流れが通ることを可能にするように、高表面積材料64と揮発性組成物容器50の内壁との間に2mmの隙間を開けて容器内に中心合わせされる。
【0027】
【表1】
【0028】
非限定的な一実施形態では、交換式ユニット32の揮発性組成物容器50は、複数の入口開口部56及び単一の出口開口部18を備えることができる。他の実施形態では、交換式ユニット32は、単一の入口開口部56及び複数の出口開口部を備えることができる。更に他の実施形態では、交換式ユニット32は、複数の入口開口部56及び複数の出口開口部18を備えることができる。図4を参照すると、非限定的な一実施形態では、入口開口部56は、概ね矩形で、揮発性組成物容器50の側壁に近接して及び/又は揮発性組成物容器50のキャップ46上に位置付けられてもよい。図4Aを参照すると、様々な実施形態において、揮発性組成物容器33を採用して揮発性組成物を収容する場合、揮発性組成物容器33がハウジング内に配置されたとき、アクチュエータ28は空気を入口開口部58に直接に送達することができるので、揮発性組成物容器キャップ46を排除することができる(図示せず)。
【0029】
しかし、様々な実施形態において、揮発性組成物容器33及び50の入口開口部は、例えば円形、細長い形、正方形、三角形のような他の形、又はアクチュエータ28からの空気体積を受け入れるように構成された他の好適な形を含むことができる。入口開口部56はまた、揮発性組成物容器50の(長手方向の)中心線と合った場所又はそれからずれた場所のような、揮発性組成物容器キャップ46上の他の好適な場所に位置付けられてもよい。入口開口部58はまた、揮発性組成物容器33の(長手方向の)中心線と合った場所又はそれからずれた場所のような、揮発性組成物容器33上の他の好適な場所に位置付けられてもよい。更に、例えば開口部18及び58のような出口開口部の直径、周囲、及び/又は長さは、アクチュエータ28から揮発性組成物容器33又は50への圧力損失を最低限にし、かつ揮発性組成物容器33及び50からの揮発性組成物の蒸発を少なくとも抑制するサイズ、形、及び/又は構成に作られてもよい。様々な実施形態において、揮発性組成物容器33又は50を通して押し進められる空気体積は、揮発性組成物ディスペンサ10が空気体積の少なくとも一部分及び揮発性組成物容器33又は50内にある気相の揮発性組成物の少なくとも一部分を出口開口部18を通して車両内の雰囲気へと分配するのを引き起こすことができる。様々な実施形態において、車両内の雰囲気は、例えば乗員コンパートメント、トランク、保管スペース、囲まれた空間、及び/又は他の空間であり得る。
【0030】
図5を参照すると、非限定的な一実施形態では、交換式ユニット32がハウジング12に取り付けられていないとき、揮発性組成物容器50から揮発性組成物容器50周囲の雰囲気への揮発性組成物の拡散を少なくとも抑制するために、入口開口部56及び/又は出口開口部18を覆うように少なくとも1つのカバー27を配置することができる。カバー27は、揮発性組成物又は他の例えば揮発性組成物容器50内のその他の溶液若しくは組成物に対して不浸透性又は少なくとも部分的に不浸透性の任意の好適な材料を含むことができる。ユーザは、交換式ユニット32をハウジング12に取り付ける前に、少なくとも1つのカバー27を取り外すことができる。非限定的な一実施形態では、カバー27は、接着剤を用いて様々な開口部の上に取り付けることが可能な、例えば射出成形品であってもよい。様々な実施形態において、カバー27は、拡散を抑制するために様々な開口部によって受け入れられるプラグ又は挿入物であってもよい。他の実施形態では、例えば剥離式テープ片のような別個のカバーを入口開口部56及び/又は出口開口部18の上に配置して、揮発性組成物の拡散又は漏れを同様に抑制することができる。他の様々な実施形態では、任意の他の好適なタイプのカバー及び/又は開口部密閉部を使用して、交換式ユニット32の使用の前に揮発性組成物容器50から揮発性組成物が拡散又は漏れるのを少なくとも抑制することができる。更に、交換式ユニット32をハウジング12に取り付けるが積極的に使用しない場合は、少なくとも1つのカバーを出口開口部18の上に配置して、揮発性組成物ディスペンサ10の揮発性組成物容器50からの揮発性組成物の拡散を防止、又は少なくとも抑制することができる。更に他の実施形態では、上述のカバーを排除してもよく、例えば、様々な開口部を、揮発性組成物の拡散又は漏れを少なくとも部分的に抑制するサイズ及び形に作ることができる。当然、当業者には認識されるように、同様のカバーを揮発性組成物容器33と共に用いることができる。
【0031】
様々な実施形態において、出口開口部18、揮発性組成物容器33の任意の開口部、及び/又は所望により入口開口部56は、アクチュエータ28が揮発性組成物容器50又は揮発性組成物容器33の外へ気相の揮発性組成物を押し進めていないときにそれらの開口部を通る揮発性組成物の分子拡散又は漏れを少なくとも抑制するサイズに作ることができる。非限定的な一実施形態では、様々な開口部の直径は、例えば、約0.1mm〜約6mm、あるいは約1mm〜約4mm、あるいは約1.5mm〜約3.5mm、あるいは約2mm〜約3mmの範囲のサイズに作られてよい。非限定的な一実施形態では、入口開口部及び出口開口部のそれぞれは、例えば、約0.008cm2〜約0.50cm2、あるいは約0.01cm2〜約0.2cm2の範囲の断面積を有することができる。非限定的な一実施形態では、入口開口部56は、約0.3mm〜約20mm、あるいは約5mm〜約10mmの長さを有することができる。非限定的な一実施形態では、出口開口部18は、入口開口部56と異なるサイズを有することができる。様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサ10は、それぞれが異なるサイズ、形、外形、及び/又は構成を有する複数の入口開口部及び/又は出口開口部を有することができる。他の様々な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサ10から分配される揮発性組成物の特性に依存して、他の開口部のサイズ及び外形を使用してもよく、それらは本開示の範囲内である。更に様々な実施形態では、複数の開口部を任意の好適な構成で使用して、揮発性組成物容器からの気相の揮発性組成物の放出を最大限及び/又は最低限にすることができる。特定の実施形態では、開口部のサイズは、所望の流速を揮発性組成物容器50及び/又は揮発性組成物容器33を通してもたらすため、並びに所望の圧力降下を揮発性組成物容器50及び/又は揮発性組成物容器33内部にもたらすために、アクチュエータ28の、例えば回転速度のような速度に少なくとも部分的に関係し得る。好適な空気流速の非限定的な例は、約2cm3/秒〜約20cm3/秒、又は約5cm3/秒〜約15cm3/秒である。
【0032】
概して、アクチュエータ28が気相の揮発性組成物の少なくとも一部分を出口開口部18を通して押し進めていないとき、「オフ」のときに揮発性組成物の蒸発損失を最低限にするように設計された出口開口部18の外形、場所、構成、及び/又はサイズの故に、出口開口部18は「オフ」、すなわち非分配状態であるとみなされてよい。非限定的な一実施形態では、出口開口部18を介した蒸発損失は完全になくすことは不可能だが、概ね約10mg/時未満、あるいは約3mg/時未満、あるいは約1mg/時未満、あるいは約0.1mg/時未満にすることができる。様々な実施形態では、様々な開口部の外形、サイズ、及び/又は形は、揮発性組成物の少なくとも一部分及び揮発性組成物ディスペンサ10の様々な動作条件での空気体積の一部分の最大質量流束をもたらすと同時に、アクチュエータ28が実働状態でないときの蒸発損失を最低限にするよう、構成することができる。これは、例えば、揮発性組成物容器50及び/又は揮発性組成物容器33をベルヌイ方程式による理想的なガス質量の流れの体積としてモデリングすることによって可能であるが、排出係数を含むように修正される。非限定的な一実施形態では、フィックの法則(Eq.1)を用いて開口部のサイズ及び/又は揮発性組成物ディスペンサ10の様々な拡散制限的観点の構成を決定することができる。
【0033】
【数1】
式中、Kは揮発性組成物の二成分系拡散係数、Dは開口部の直径、Lは開口部の長さである。開口部の断面積は、アクチュエータ28が開口部を通して空気を積極的に移動させているときの流速の主要な駆動因子であり得、一方、揮発性組成物の蒸発損失(例えばアクチュエータ28が休止状態のとき)は開口部の断面積及び長さに関係し得る。したがって、開口部の断面積の増加は、揮発性組成物の蒸発速度及び流速の両方に影響し得、開口部の長さの増加は、主に揮発性組成物の蒸発速度に影響し得る。上記実施形態を参照して開口部の構成について説明してきたが、当業者は本開示を考慮した上で、これらの開口部の構成が同様のやり方で他の様々な実施形態にも適用され得ることを理解するであろう。
【0034】
図4〜5及び10〜16を参照すると、様々な実施形態において、揮発性組成物容器50は高表面積材料64を備えることができる。図4Aに図示したように、いくつかの実施形態では、表面積材料64は揮発性組成物容器33によって収容され得る。前述のように、様々な実施形態において、高表面積材料64は揮発性組成物容器50内に受け入れられ配置されてよい。他の様々な実施形態において、高表面積材料64を揮発性組成物容器33内に配置し、次いで、揮発性組成物容器33がハウジングの一部分に受け入れられてもよい(図示せず)。高表面積材料64は、例えば、揮発性組成物49の少なくとも一部分を液相又はゲル相に維持するように構成された、例えば多孔質媒体及び/又はウィックであってもよい。様々な実施形態において、揮発性組成物49は、固体、液体、ゲル、及び/又はカプセル(ただしこれらに限定せず)を含む蒸発可能な材料で構成され得る。他の様々な実施形態において、揮発性組成物容器50は、高表面積材料64と接触した(すなわち液体連通する)別個の容器内に液体揮発性組成物を収容することができる。更なる様々な実施形態において、揮発性組成物容器50は、例えば、膜を介して気相になる液体揮発性組成物の拡散を可能にするように設計された膜の背後に収容された液体揮発性組成物を含むことができる。非限定的な一実施形態では、高表面積材料64は、木綿、セルロース、及び/又は他の天然繊維、合成繊維、例えばガラス、ポリエステル、ナイロン、及び/又はポリプロピレン、焼結/融合多孔質ガラス、セラミック、並びに/あるいはポリオレフィンのような合成材料などの(ただしこれらに限定せず)、揮発性組成物と適合性のある任意の材料で構成され得る。そのような実施形態では、高表面積材料64の空隙は、揮発性組成物49が高表面積材料64から蒸発して揮発性組成物49’の気相を生成することを可能にするように、揮発性組成物を保持するのに十分に小さいが、高表面積材料64の体積の有意な部分を占めることができる。場合によっては、高表面積材料64の空隙は、高表面積材料64の総体積の約50%より多くを占めることができる。非限定的な一実施形態では、高表面積材料64は、材料の表面積を最大限にするため、並びに高表面積材料64の周囲及び所望によりそれ自体を貫通する最大限の空気の流れを可能にするための3次元形状を備えることができる。車両用途では、高表面積材料64は、例えば約1cm2〜約100cm2あるいは約5cm2〜約50cm2の好ましい表面積を有することができる。高表面積材料64の長さは、揮発性組成物容器50又は33の内部に納まる任意の好適な長さであってよい。非限定的な一実施形態では、高表面積材料64の長さは、例えば約5mm〜約10cmの範囲であってよい。非限定的な一実施形態では、高表面積材料64は、約10mm×約10mm×約50mmである。高表面積材料64の3次元形状及び高表面積材料64と揮発性組成物容器50又は33の内壁41又は81との間のエアギャップは、揮発性組成物容器50又は33を通って押し出される空気流体積の圧力降下を最低限にすると共に例えば高表面積材料64の蒸発可能な表面積を最大限にするように構成することができる。
【0035】
高表面積材料64の構成例としては、矩形固体、管、円筒、チャネル、及び/又は通路;矩形固体、管、円筒、チャネル、及び/又はフィン付き通路:並びに/あるいは他の、例えば熱交換器設計に使用されるものと同様のフィンのスタックが挙げられる。非限定的な一実施形態では、高表面積材料64を揮発性組成物容器50又は揮発性組成物容器33の内壁又は表面に隣接して配置することができ、あるいは他の実施形態では、例えばスタンドオフ、ペグ、ポスト、リブ、延長部、細長い部材、及び/又はピンのような1つ以上の突起を用いて、高表面積材料64を揮発性組成物容器50又は揮発性組成物容器33の内壁又は表面から距離を開けて維持することができる。高表面積材料64と揮発性組成物容器33又は50の内壁41又は表面との間に間隙があることが望ましい場合があり、その間隙は約0.5mm〜約3mm、あるいは約1mm〜約2.5mmであり得る。様々な実施形態において、高表面積材料64は、所望の量の揮発性組成物49を収容するのに十分なサイズであることができ、選択される材料及び構成に依存して、高表面積材料64の体積は、揮発性組成物容器50又は33内に収容された揮発性組成物49の体積より大きくてもよい。車両用の揮発性組成物ディスペンサ10の一実施例では、揮発性組成物容器50及び/又は揮発性組成物容器33は、約2cm3〜約25cm3の体積を有することができ、高表面積材料64は、約2cm3〜約20cm3の体積を有して、約1cm3〜約10cm3の揮発性組成物を収容することができる。別の非限定的な例示的実施形態では、揮発性組成物容器50又は33は、約2.5cm3〜約16cm3の体積を有することができ、高表面積材料64は、約1.5cm3〜約12cm3の空隙体積を有して、約1.5mL〜約12mLの揮発性組成物49を収容することができる。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物容器50は、約14mm×約14mm×約54mmの寸法を有することができる。
【0036】
図11を参照すると、非限定的な一実施形態では、高表面積材料64は、本体66と、本体66から第1の方向に延出する第1の脚69と、本体66から第2の方向に延出する第2の脚70と、本体66から第3の方向に延出する第3の脚72と、本体66から第4の方向に延出する第4の脚74と、を備えることができる十字すなわち「X」型の断面構成を有することができる。当然、脚の1つ以上は任意であって、異なる断面構成を作り出すことができる。非限定的な一実施形態では、高表面積材料64は、例えば、約2mm〜約5mmの第1の寸法76及び約5mm〜約8mmの第2の寸法78を有することができる。様々な実施形態において、高表面積材料64の断面構成は、概ね「I」(図12)、円形(図13)、星形でもよく、あるいは例えばフィン63又は他の延長部(図14)を備えてもよい。そのような実施形態は、材料64の表面積を増やすと同時に、気相の組成物が蒸発して入り込むための空間もまた提供することができる。当然、任意の他の好適な断面構成を本開示と共に使用してもよく、それらは本開示の範囲内である。様々な実施形態では、高表面積材料64の断面積は、高表面積材料64の長さ又は他の寸法にわたって変化してもよい。非限定的な一実施形態では、第1の高表面積材料及び少なくとも第2の高表面積材料は、例えば揮発性組成物容器50又は33の内部に配置され得る。第1の材料及び少なくとも第2の材料は揮発性組成物容器50又は33内で互いに上下に積み上げられ間隙によって分離されてもよく、又は端と端とを接続して設置されてもよい。特定の実施形態では、揮発性組成物容器50若しくは33及び/又は高表面積材料64は、空気流を揮発性組成物容器50又は33を通して案内するように構成された少なくとも1つのバッフル又は他の空気流装置を備えることができる。
【0037】
図15及び16を参照すると、非限定的な一実施形態では、高表面積材料64は、入口開口部56へ入り空間86を通って出口開口部18から出て行く空気体積のための蛇行する流れ道(矢印80が示す)を提供するように構成され得る。空間86は、高表面積材料64の表面65に近接して、及び/又は高表面積材料64の表面と揮発性組成物容器50又は33の表面若しくは内壁81との中間に画定され得る。様々な実施形態において、揮発性組成物容器50又は33を通して押し進められる又は通過する空気体積の流れ道は、揮発性組成物49を含む高表面積材料64の表面の少なくとも一部分を横切る、沿って通る、及び/又は上を通ることができる。他の実施形態では、空気体積の流れ道は、例えば高表面積材料64の表面の少なくとも一部分に平行又は実質的に平行な方向に移動することができる。様々な実施形態において、流れ道80は高表面積材料64を通って案内され得る。そのような流れ道は、アクチュエータが空気体積を入口56に提供したときに空気体積が揮発性組成物容器50又は33の外へ気相の揮発性組成物49’を押し進めることを可能にする。
【0038】
いくつかの揮発性組成物はより平衡な状態を達成するために蒸発して気相になる傾向があるので、揮発性組成物の蒸発を少なくとも抑制することによって所望の分配時の前に気相の揮発性組成物49’が揮発性組成物容器50及び/又は揮発性組成物容器33から拡散することを少なくとも抑制することができるように、高表面積材料64はこの蒸発を少なくとも抑制し、揮発性組成物49の一部分を少なくとも部分的に液相、準液相、及び/又はゲル相に維持するように構成され得る。加えて、高表面積材料64は、揮発性組成物容器50又は33からの液体揮発性組成物49の漏れを少なくとも抑制することができる。様々な実施形態において、一定時間にかけて揮発性組成物49がその気相に転換するにつれて高表面積材料64の体積は減少し、揮発性組成物容器50又は33内に気相の揮発性組成物49’を受け入れるためのより多くの空間を提供することができる。非限定的な一実施形態では、アクチュエータ28からの空気体積が入口56を通って揮発性組成物容器50に入るにつれて、空気体積は気相の揮発性組成物49’と混合されて、出口開口部18を通って例えば車両の雰囲気中に気相の揮発性組成物49’の一部分が射出されるように作用することができる。様々な実施形態において、出口開口部18は、気相の揮発性組成物を含む揮発性組成物容器50内の空間86と流体連通することができる。更に他の様々な実施形態では、空間86は、揮発性組成物容器33が特定の実施形態で提供されているかどうかに依存して、高表面積材料64の表面65に近接して、及び/又は高表面積材料の表面65と揮発性組成物容器33の表面若しくは内壁との中間に、画定され得る。非限定的な一実施形態では、出口開口部18は、揮発性組成物容器50の上部及び/又は側部に位置付けることができ、いくつかの実施形態では、複数の出口開口部18を設けることができる。出口開口部18、高表面積材料64、及び/又は空間86の任意の他の好適な構成を、揮発性組成物容器50又は33の内部に提供することができる。
【0039】
図10を参照すると、非限定的な一実施形態では、揮発性組成物容器50は、揮発性組成物容器50の内壁81又は表面から揮発性組成物容器50内に延出する1つ以上の突起84を備えることができる。1つ以上の突起84は高表面積材料64の一部分と係合して、高表面積材料64を揮発性組成物容器50の内壁81から離れた距離に維持することができる。非限定的な一実施形態では、高表面積材料64を揮発性組成物容器50内に配置及び固定するのを助けるために、高表面積材料64は1つ以上の突起84を受け入れるための1つ以上のスロット(図示せず)を備えることができる。非限定的な一実施形態では、高表面積材料64は、内壁81に係合されるように構成されている突起を備える。高表面積材料64を内壁81から離れた距離に維持することによって、内壁81と高表面積材料64との中間に形成される空間86は、高表面積材料64内の液体揮発性組成物49が蒸発するにつれて気相の揮発性組成物で飽和し得る、又は少なくとも部分的に飽和し得る。様々な実施形態において、1つ以上の突出84は揮発性組成物容器50の内壁81の周囲に縦方向に延在することができ、他の様々な実施形態では、1つ以上の突起84は揮発性組成物容器50の内壁81に横方向に延在することができる。他の実施形態では、1つ以上の突起は、任意の他の好適な構成で内壁81上に配置され得る。本開示を考慮した後に当業者には理解されるように、高表面積材料64の様々な構成は、1つ以上の突起84の使用を必要としなくてもよい。様々な実施形態において、1つ以上の突起84は、空気体積の流れを案内するためにバッフルとして機能することができる。更に、様々な実施形態において、1つ以上の突起84は、高表面積材料64を揮発性組成物容器50内に配置するように機能することができる、例えばペグ、リブ、ポスト、スタンドオフ、細長い部材、及び/又はピンを備えることができる。更に他の様々な実施形態において、高表面積材料64は、高表面積材料64の表面を揮発性組成物容器50の内壁81から離れた距離に維持することを可能にする、高表面積材料64から延出した特徴を備えることができる。高表面積材料64のそのような特徴は、1つ以上の突起84から独立して使用することも、ともに使用することも可能である。
【0040】
図10Aに図示したように、様々な実施形態において、揮発性組成物容器33も、揮発性組成物容器33内に高表面材料64を配置するために使用される1つ以上の突起84を備えることができる。そのような突起84は揮発性組成物容器33の内壁41から延出し、高表面積材料64の一部分を内壁41から離れた距離に維持するために高表面積材料64の一部分に係合させることができる。この位置付けは、揮発性組成物容器33の内壁41と揮発性組成物49’を含む高表面積材料64との間に空間86を作り出すことを可能にすることができる。空間86は、揮発性組成物49の蒸発の際に気相の揮発性組成物49’を受け入れるように構成され得る。図10を参照して上述したものと同様に、揮発性組成物容器33内の高表面積材料64もまた、高表面積材料64の表面を揮発性組成物容器33の内壁41から離れた距離に維持することを可能にする特徴を備えることができる。他の様々な実施形態において、図11及び12の例示的な高表面積材料構成のような高表面積材料の構成に依存して、1つ以上の突起が任意選択され得る。更に他の様々な実施形態においても、高表面積材料の構成に依存して任意の好適な数の突起84を使用することができる。本開示を考慮した後に当業者には理解されるように、「X」型断面構成のような高表面積材料64のいくつかの型式の構成は、容器50又は33内部に突起の使用を必要としない場合がある。例えば、「X」型断面構成(図11)を用いると、脚69、70、72、及び74は、それぞれ容器50又は33の内壁81に係合されて、高表面積材料64の位置付けを維持する一方で、空気が容器50又は33を正しく流れることを可能にすることができる。
【0041】
図2、6、及び7を参照すると、様々な実施形態において、アクチュエータ28は、任意の好適なアクチュエータ、又は揮発性組成物容器50及び/若しくは揮発性組成物ディスペンサ10の一部分を通る空気体積を生成する及び/若しくは断続的に移動させるように構成された構成要素を備えることができる。非限定的な一実施形態では、アクチュエータ28は、モータ102を備えるファンアセンブリ100を備えることができる。モータ102は駆動軸101を備えることができる。アクチュエータ28は、空気体積を生成及び断続的に移動させるように構成することができ、揮発性組成物容器50の入口開口部56に空気体積をもたらすことができる。様々な実施形態において、アクチュエータ28のアクチュエータ出口104を揮発性組成物容器50の入口開口部56に近接して配置して、アクチュエータ出口104と入口開口部56とを流体連通させることができる。非限定的な一実施形態では、例えばバルクヘッド110のような中間構造体を入口開口部56とアクチュエータ出口104との間に配置することができる。バルクヘッド110は、アクチュエータ出口104から入口開口部56へ空気体積が移動するのを可能にするように構成されたバルクヘッド開口部112を画定することができる。バルクヘッド110は、交換式ユニット32が取り付けられていないときにハウジング12の様々な内部構成要素を保護又は隔離するように構成され得る。開口部104、112、及び56は、例えば圧力及び/又は流量損失を最小限にするように設計され得る。様々な実施形態において、一方向弁をアクチュエータ出口104と入口開口部56との中間に配置して、揮発性組成物容器50への空気体積の流れを調節することができる。様々な実施形態において、一方向弁を出口開口部18と揮発性組成物ディスペンサ10の外の雰囲気との中間に配置して、空気体積の流れ及び揮発性組成物容器50の外への気相の揮発性組成物49’の流れを調節することができる。本開示を考慮した後に当業者には理解されるように、様々な実施形態において入口開口部56及び/又は出口開口部18に近接して一方向弁を使用する場合、これらの開口部の長さを短縮してもよく、及び/又は入口開口部及び/又は出口開口部の断面積を増加させてもよい。
【0042】
上記に加え、図6及び7を参照すると、様々な実施形態において、ファンアセンブリ100は、ファンハウジング114と、ファンハウジングカバー116と、回転式ハブ118と、回転式ハブ118から延びるか若しくは回転式ハブに取り付けられた又はともに形成された少なくとも2つのファンブレード120と、を備えることができる。非限定的な一実施形態では、回転ハブ118の直径は、例えば約8mm〜約20mmであってよい。ファンアセンブリ100は、ファン入口124を画定することができる。駆動軸101は、回転式ハブ118に動作可能に係合されることができ、その結果、モータ102による駆動軸101の回転は回転式ハブ118を回転させ、それによって少なくとも2つのファンブレード120が回転する。非限定的な一実施形態では、ファンアセンブリ100は遠心式(放射状)ファンであってよい。各ブレード120は、回転式ハブ118の回転軸(軸「A」として図示されている)に平行又は実質的に平行な方向に配置される空気強制表面122を備えることができる。非限定的な一実施形態では、回転式ハブ118を矢印126が示す方向に回転させるために、導電線又は端末(図示せず)を介して電流をモータ102に提供することができる。そのような回転は、空気体積がファン入口124を通ってファンハウジング114内に引き込まれるようにすることができる。遠心式ファン構成では、ファンアセンブリ100を通って流れる空気はファン入口124を通って引き込まれ、駆動軸101に対して放射状方向に押し進められ得る。他の実施形態では、空気体積を例えば上殻15と底殻17との間の界面にあるような任意の好適な通路を通して、又はハウジング12の開口部を通して、揮発性組成物ディスペンサ10の外の雰囲気から引き込むことができる。少なくとも2つのファンブレード120の回転は、空気体積を、アクチュエータ出口104を通してファンハウジング114の外へ、そして揮発性組成物容器50の入口開口部56内に押し進めることができる。様々な実施形態において、少なくとも2つのファンブレード120は弧状(図のように)であっても一直線でもよく、並びに/又は曲線、一直線、及び/若しくは弧状の部分を有してもよい。加えて、少なくとも2つのファンブレード120は、例えば翼型又は先細り形のような様々な断面形を有することができる。本開示の考慮の後に当業者には理解されるように、遠心式ファンは、比較的小さい寸法で高い効率を提供することができ、圧力の変化は、揮発性組成物容器50を通る圧力水頭の低下に対する影響をほとんど有し得ない。様々な非限定的な実施形態では、ファンは約3パスカル〜約20パスカル、あるいは約5パスカル〜約15パスカルの範囲の圧力を生成することができる。
【0043】
非限定的な一実施形態では、モータ102は、電源38から0.7VDCがモータ102に供給されたときに毎分約6200回転で駆動軸101を回転させ、電源38から1.0VDCがモータ102に供給されたときに毎分約9400回転で駆動軸104を回転させるマブチRF−J20WA−5Z145モータであってよい。様々な実施形態において、入口開口部56及び出口開口部18の断面積に依存して、モータ102によって生成される空気体積の流速は、約0.7VDCで約1.0〜約8.0mL/秒の範囲、1.0VDCで約6.0〜約16.0mL/秒の範囲であってよい。様々な電圧レベルをモータ102に供給することによって、駆動軸101の回転速度及び結果として生じる空気体積の流速を変化させることができる。また、例えばSunon UB393−10のような任意の他の好適なモータをファンアセンブリ100と共に使用してもよい。加えて、コントローラ30は、当業者に既知の任意の好適な技法を用いてモータ102に電圧を供給することができる。様々な実施形態において、パルス幅変調技術を用いて、例えば約0.7VDC〜約1.0VDCのような特定の範囲にかけてモータ102に電圧を提供することができる。A−D変換器のような追加的な回路又は構成要素を使用して、例えば電源電圧及び周囲温度のような多様な要因の補正をしてもよい。駆動軸101及び/又は回転式ハブ118の回転による振動を隔離又は制限するために、例えばシリコン若しくは熱可塑性エラストマーファン支持体及び/又は交換式ユニット32とハウジング12との界面でのガスケットの使用など振動抑制装置又は技術を使用してもよい。
【0044】
様々な実施形態において、コントローラ30が、アクチュエータ28と電気通信するように配置されることができ、その結果、揮発性組成物容器50を通して空気体積を押し進めるためにコントローラ30がアクチュエータ28に起動されるべきとき及び回転速度を指示することができる。非限定的な一実施形態では、コントローラ30は、例えばマイクロコントローラのような任意の好適なタイプのコントローラであってよい。非限定的な一実施形態では、コントローラ30は、例えばTexas Instruments MSP430F2132コントローラであってよい。様々な実施形態において、コントローラ30は1つ以上のユーザ入力ボタン又はスイッチ26を備えることができ、このボタン又はスイッチは、例えばユーザが押したときに入力信号をコントローラ30に提供してコントローラ30がそれに対応する出力信号を例えばアクチュエータ28及び/又はユーザフィードバックモジュール16に送信することができるように構成されている。非限定的な一実施形態では、様々なユーザ入力ボタン又はスイッチ26は、揮発性組成物ディスペンサ10の電源をオン又はオフにするように構成された電源オン/オフスイッチ、及びユーザが揮発性組成物ディスペンサ10によって分配される揮発性組成物の量を調整することを可能にするように構成された少なくとも1つの揮発性組成物用量ボタンを備えることができる。理解されるように、入力ボタン又はスイッチ26は、例えば押しボタン、スライダ、ダイヤル、ノブのようなボタン及び/又はスイッチの任意の組み合わせであってよい。様々な実施形態において、既定の時間間隔にわたり分配される揮発性組成物の量は、コントローラ30によってアクチュエータ28が起動される割合を調整することによって(すなわち、アクチュエータ28が起動している時間及びアクチュエータ28が休止している時間を調整することによって)、アクチュエータ28が起動しているときの空気移動速度を調整することによって(すなわち、モータ102への電圧を調整することによって回転速度を調整することによって)、及び/又は両方の技法の組み合わせによって、制御することができる。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサ10は、揮発性組成物の用量を要求に応じて車両の雰囲気に送達するための「ブースト」ボタンを有することができる。例えば、ブーストボタンを押圧すなわち起動させると、アクチュエータ28は例えば30秒〜60秒のような特定時間にわたり又は特定の回転速度で起動され得る。
【0045】
様々な実施形態において、コントローラ30は、例えば車両内の雰囲気内の温度を感知するように構成された温度センサ及び車両が動作中かどうかを判断するように構成された動作センサとも電気通信することができる。様々な実施形態において、温度センサは、コントローラ30が出力信号をアクチュエータ28に提供することができるように車両の温度を示す信号をコントローラ30に、あるいは特定の温度及び/又は温度範囲に関する揮発性組成物用量を示す信号を揮発性組成物ディスペンサ10の他の様々な構成要素に送信することができる。例えば、所望の結果を達成するために、より高い温度範囲はより低い温度範囲よりも大きい用量を必要とし得る。非限定的な一実施形態では、動作検出器は、アクチュエータ28に適宜指示することによってコントローラ30が揮発性組成物用量を適切に調整することができるように、車両が動作中かどうかを示す信号をコントローラ30に送信することができる。車両が動作中でない場合、揮発性組成物用量を低減することができるか、あるいは、他の様々な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサ10を例えば休止状態に留めることができる。結果として、揮発性組成物ディスペンサ10は電気効率的であることができ、その結果、例えは電源38の寿命を最大限にすることができる。様々な実施形態において、車両が動いている場合、適切な揮発性組成物用量が引き続き断続的又は定期的に分配されて、ユーザが揮発性組成物に慣れることを阻止することができる。そのような実施形態では、揮発性組成物ディスペンサ10は、例えば1〜30秒間起動されてから、例えば10〜200秒間休止することができる。他の様々な実施形態において、ユーザは所望の断続的用量を提供するように揮発性組成物ディスペンサ10を設定することができる。
【0046】
様々な実施形態において、コントローラ30はまた、空気流センサ、揮発性組成物濃度センサ、及び/又はタイマーと通信することができる。非限定的な一実施形態では、空気流センサは、車両内の雰囲気内の空気流速を測定するように構成することができる。そのような実施形態では、空気流センサは、空気流速を示す信号をコントローラ30に送信することができ、その結果、車両の雰囲気内の空気流速に対応してコントローラが揮発性組成物用量の指示をアクチュエータ28に提供することができる。また、空気流センサを使用して、特定の時間間隔にわたり車両内の雰囲気において何回空気交換が生じているかを判断するために、例えば、車両内の雰囲気内の空気循環及び/又は1つ以上の窓が開いているかどうかを検出することもできる。次いで、この情報を揮発性組成物用量と相関させることができる。様々な実施形態において、濃度センサは、車両内の雰囲気内の揮発性組成物の濃度を感知することができる。空気流センサと同様に、濃度センサも、コントローラ30が車両の雰囲気の濃度にしたがって揮発性組成物用量を調整することができるように、車両内の雰囲気の揮発性組成物の濃度を示す信号をコントローラ30に送信することができる。様々な実施形態において、既定の時間間隔の後にコントローラ30に信号を送信するようにタイマーを構成して、ディスペンサ10が揮発性組成物用量を提供する必要があることをコントローラ30に示すことができる。様々な実施形態において、空気流センサ、温度センサ、動作センサ、濃度センサ、及びタイマーのうち少なくとも2つを互いに共に併用して、例えば車両内の雰囲気に適切な揮発性組成物用量を分配するように揮発性組成物ディスペンサ10に指示することができる。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサ10はまた、揮発性組成物ディスペンサ10内の揮発性組成物49の量及びタイプに関する情報を感知し、かつその同じ情報を処理するようにコントローラ30に伝えるように構成された揮発性組成物センサも備えることができる。
【0047】
様々な実施形態において、アクチュエータ28のための制御技術又はアプローチは、少なくとも、高表面積材料64、揮発性組成物、及び/又は揮発性組成物容器50の特徴に基づくことができる。様々な実施形態において、アクチュエータ28のための制御技術又はアプローチは、少なくとも、揮発性組成物容器33の特徴に基づくことができる。低い蒸気圧を有する揮発性組成物は、より高い蒸気圧を有する揮発性組成物よりゆっくりと蒸発する可能性が高い。様々な実施形態において、アクチュエータ28は、揮発性組成物容器50内の空間86が気相の揮発性組成物49’で完全に飽和又はほぼ完全に飽和するまでは起動されなくてよい。非限定的な一実施形態では、アクチュエータ28の休止時間は、揮発性組成物49が蒸発して気相の揮発性組成物49’で空間86を飽和又は少なくとも部分的に飽和するのに必要な時間と関係し得る。非限定的な一実施形態では、アクチュエータ28の起動時間は、気相の揮発性組成物49’のほぼ全てを揮発性組成物容器50から車両の雰囲気中に放出するのに必要な時間と関係し得る。揮発性組成物容器50から蒸気が放出されたら、揮発性組成物49の一部分が気相になることを再び可能にするために、アクチュエータ28を休止状態にすることができる。当業者には理解されるように、特定の揮発性組成物では、比較的大きい体積の空間86を有する揮発性組成物容器は、所望の飽和レベルを達成するためにより長い時間を要する可能性があり、比較的小さい体積の空間86を有する揮発性組成物容器は、所望の飽和レベルを達成するためにより短い時間を要する可能性がある。更に、時間を経て揮発性化合物49のレベル及び/又は高表面積材料64のサイズが減少するにつれて、飽和又は部分的飽和に必要な時間が増え得る。コントローラ30は、アクチュエータ28の様々な制御技法を決定するときにこれらの特徴を計算に入れることができる。非限定的な一実施形態では、気相の揮発性組成物の飽和を達成するために必要な時間は、例えば約5秒未満であり得る。より高い蒸気圧を有する製剤は、より低い蒸気圧を有する製剤より速い速度で蒸発して気相になる。したがって、より高い蒸気圧を有する製剤は、より低い蒸気圧を有する製剤より速く平衡状態に到達し得る。
【0048】
気相の揮発性組成物49’の少なくともほとんどを放出するために要する時間と等しい又はほぼ等しい時間にかけてアクチュエータ28を起動させることによって、電源38の寿命を最適化することができる。アクチュエータ28の制御によって、気相の揮発性組成物49’の最大の放出を最小のアクチュエータ稼働時間で実現することができる。様々な実施形態で、アクチベータの起動の順序又はパターンあるいはアクチュエータ28によって生成される空気体積の流速を調整して空間内の揮発性組成物の完全飽和又はほぼ完全な飽和を可能にし、気相の揮発性組成物の放出を最大限にすることができる。非限定的な一実施形態では、例えば、アクチュエータ28を約1〜10秒間起動させ、次いで約1〜10秒間休止させることができる。
【0049】
様々な実施形態において、アクチュエータ28の起動持続時間又はアクチュエータ28が提供する空気体積の流速を増して、揮発性組成物ディスペンサ10からの揮発性組成物放出をより高い強度でもたらすことができる。例えば、アクチュエータ28を約10〜60秒間起動させ、次いで約10〜300秒間休止させることができる。アクチュエータ28の起動と起動との間に時間を提供することによって、ユーザが揮発性組成物49の香気に再び気づく可能性、すなわち慣れが避けられる可能性は高まる。より高い強度での放出の使用はまた、様々な実施形態において、車両に存在する揮発性有機組成物(VOC)及び例えば悪臭のような他の背景的揮発物を少なくとも部分的に克服することを可能にする。非限定的な一実施形態では、典型的な車両は10〜1000ppbの範囲のVOCを有し得る。より新しい車両は、ppmレベルのVOCを有する場合がある。当業者には理解され得るように、車両に存在するVOCのレベルは、例えば周囲温度など数多くの因子に依存し得る。場合によっては、空気中に放出された芳香剤を人の臭覚が感知することを車両雰囲気中のVOCが妨害する可能性がある。したがって、車両雰囲気中に気相の揮発性組成物49’をより高いレベルで放出(pulsing)することは、ユーザが気相の揮発性組成物49’をより強く検知することを可能にし得る。非限定的な一実施形態では、アクチュエータ28を10〜60秒間起動することは、気相の揮発性組成物49’をより感知可能にすることを可能にすることができ、約10〜300秒間の遅延をもたらすことは、濃度を降下させてユーザ又は乗員が次の放出をより強く感じ取るようにすることができる。当業者には理解されるように、例えば異なるパルス頻度及び/又は異なる空気流速を用いて、異なる香気体験をもたらすことができる。
【0050】
表2は、アクチュエータ28の非限定的な例示的起動パターンを提供する。
【0051】
【表2】
【0052】
様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサ10からの揮発性組成物50の放出速度は、例えば、約0.5〜12mg/時、あるいは約1.0〜8.0mg/時、あるいは約2.0〜4.0mg/時であってよい。非限定的な一実施形態では、約10mm×10mm×50mmの寸法を有する高表面積材料64は、揮発性組成物容器50又は33内に収容される。この実施形態では、高表面積材料64は、Filtrona Porous Technologiesから入手可能な吸収性ポリオレフィン繊維(D4507B)である。しかし、理解され得るように、他の好適な材料を使用してもよい。この実施形態では、高表面積材料64には、4グラムの、例えばベンジルアセテートのような揮発性組成物49が充填される。この実施形態では、揮発性組成物49は20℃で190Paの蒸気圧を有する。理解され得るように、他の揮発性組成物は様々な蒸気圧を有することができる。この実施形態では、直径2.5mm、長さ10mmの入口開口部及び出口開口部の寸法では、揮発性組成物ディスペンサ1から0の揮発性組成物49の放出速度は、アクチュエータ28が0.7VDC、周囲温度華氏70度で20%デューディサイクル(30秒間オン/120秒間オフ)で運転しているとき、約3.5mg/時である。そのような実施形態では、揮発性組成物容器50を通る空気流速は約5.5cm3/秒であり得る。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサ10からの揮発性組成物49の放出速度は、アクチュエータ28が1.0VDC、周囲温度華氏70度で20%デューディサイクル(30秒間オン/120秒間オフ)で運転しているとき、約5mg/時である。そのような実施形態では、揮発性組成物容器50を通る空気流速は約12cc/秒であり得る。これと比較して、揮発性組成物49の放出速度は、アクチュエータ28が100%デューティサイクルで周囲温度華氏70度で運転しているとき、0.7VDCでは約16mg/時、1.0VDCでは約24mg/時であり得る。様々な実施形態において、長時間にかけての100%の運転デューティサイクルでは、電源38の電力レベルが低下し得るが、アクチュエータは、約30秒未満又は約10秒未満のような比較的短い時間にかけて100%のような高いデューティサイクルで運転することができる。これらの実施形態では、そのような運転(すなわち「ブースト」運転)を用いて揮発性組成物ディスペンサ10の放出速度を一時的に増すことによって、前述のようなVOCの存在によってある程度引き起こされ得る悪臭、又は芳香剤の不足を著しく克服することができる。
【0053】
様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサ10は、揮発性組成物ディスペンサ10の状態に関してユーザにフィードバックを提供するように構成されたユーザフィードバックモジュール16を備えることができる。非限定的な一実施形態では、ユーザフィードバックモジュール16を使用して、揮発性組成物ディスペンサ10の特性をユーザに警告することができる。そのような実施形態では、フィードバックは可視及び/又は可聴のものであってもよく、特に、揮発性組成物ディスペンサ10の電源がオンであるかどうか、分配されている揮発性組成物用量、電源38の電力レベル、揮発性組成物容器50内の揮発性組成物49の量、タイプ、若しくはレベル、及び/又はユーザにとって有用又は有益な任意の他の好適なフィードバックをユーザに示すことができる。図1及び2を参照すると、様々な実施形態において、ユーザフィードバックモジュール16は、コントローラ30及び/又は電源38に電気的に連結された例えば複数の光源のような1つ以上のインジケータ42並びにハウジング12内の半透明の部分43を備えることができ、その結果、ユーザは、ハウジング12を通して1つ以上のインジケータ42を見ることができる。非限定的な一実施形態では、1つ以上のインジケータ42は、どのようなタイプのフィードバックがユーザに提供されるかに依存して、1つ以上のインジケータ42の様々な光がハウジング12の半透明の部分43を通して可視光を発することができるように、任意の好適なやり方で方向づけられてよい。非限定的な一実施形態では、ハウジング12の半透明の部分43は、任意の好適な形を有することができ、1つ以上のインジケータ42を同様の形に構成して、例えば光源などの1つのインジケータへの電気が供給又は遮断されると、ユーザに第1のフィードパックが提供され、2つ以上の光源への電気が給電又は遮断されると、ユーザに少なくとも第2のフィードバック及びその後のフィードバックが提供されることができる。非限定的な一実施形態では、少なくとも1つのボタン26は、1つ以上のインジケータ42がボタン26を通して見えるように少なくとも部分的に半透明である。
【0054】
様々な実施形態において、交換式ユニット32は、任意の数の容器を備えることができ、各容器は、異なる揮発性組成物、わずかに異なる揮発性組成物、又は同じ揮発性組成物を含むことができる。他の様々な実施形態では、交換式ユニット32は複数のチャンバをその内部に備えることができ、各チャンバは、例えば異なる揮発性組成物、わずかに異なる揮発性組成物、又は同じ揮発性組成物を含むことができる。非限定的な一実施形態では、各揮発性組成物は、例えば異なる蒸気圧範囲、わずかに異なる蒸気圧範囲、又は同じ蒸気圧範囲を有することができる。この特徴は、例えばユーザが第1の用量の第1の揮発性組成物及び第2の用量の第2の揮発性組成物を分配したいときに有用であり得る。1つより多くの揮発性化合物が1つの容器内又は容器の1つのチャンバ内にある場合、より高い蒸気圧範囲を有する揮発性組成物は、より低い蒸気圧範囲を有する揮発性組成物が気相に転換するより先に、液相、準液相、及び/又はゲル相から気相に転換し得る。この状況では、より高い蒸気圧範囲を有する揮発性組成物が先に分配される可能性が高く、より低い蒸気圧範囲を有する揮発性組成物がその次に分配される可能性が高くなるであろう。様々な実施形態において、異なる蒸気圧範囲を有する異なる揮発性組成物が別個の容器又はチャンバにある場合、例えば異なる揮発性組成物をそれらのそれぞれの容器から同時に分配することができる。結果として、様々な組成物を揮発性組成物ディスペンサ10から分配して、揮発性組成物が芳香剤であるならば、例えば香気の混合物を生成することができる。
【0055】
上記に加えて、様々な実施形態において、複数の揮発性組成物容器を直列に、並列に、及び/又は任意の他の好適な構成に配置することができる。図17を参照すると、複数の揮発性組成物容器が直列に配置される非限定的な一実施形態では、アクチュエータ28からの空気体積は第1の容器204に入ることができる。容器204は第1の揮発性組成物200を収容し、第1の容器204から気相の第1の揮発性組成物200’を分配することができる。次いで、空気体積の一部分が第2の揮発性組成物202を収容する第2の容器206に入り、例えば、第2の容器206から気相の第2の揮発性組成物202’を分配することができる。図18を参照すると、様々な実施形態において、複数の揮発性組成物容器が並列に配置されると、空気体積は第1の容器204’につながる第1の通路208’と第2の容器206につながる第2の通路208”とに分岐され得る。そのような構成では、例えば、第1及び第2の容器204及び206はそれぞれ気相の揮発性組成物200’及び202’の揮発性組成物用量を同時に提供するように構成され得る。様々な実施形態において、選択式スイッチ及び/又は弁209を使用して、空気体積を1つ又はいくつかの容器に案内するが他の容器には案内しないことによって、特定の揮発性組成物用量又は特定の状況のための揮発性組成物用量の組み合わせを提供するようにユーザが揮発性組成物ディスペンサ10を構成する能力を可能にすることができる。換言すると、ユーザは、例えば第1の状況では第1の揮発性組成物200又は芳香剤を投与し、第2の状況では第2の揮発性組成物202又は芳香剤を投与することができる。様々な実施形態において、選択式弁209は、例えばハウジング12上の部材、ボタン、及び/又はスイッチによって制御することができる。図17及び18は例示のみを目的としており、アクチュエータ28から容器204及び206への流れ道は、流れ及び圧力の損失を最小限にするために理想的には長さが短く、直径は比較的大きい。
【0056】
様々な実施形態において、図19は、揮発性組成物ディスペンサ10の回路図を図示する。非限定的な一実施形態では、電源38はコントローラ30に電力を提供することができる。そのような実施形態では、電源38はまた、例えば電源38の電力レベルを示す電気信号をコントローラ30に提供することもできる。様々な実施形態において、例えば、温度センサ、空気流センサ、濃度センサ、動作センサ、及びタイマーは、コントローラ30と電気通信することができ、その結果、各センサは、車両内雰囲気の温度、車両内雰囲気の空気流、車両内雰囲気の揮発性組成物濃度、車両が動作中かどうか、及び/又は揮発性組成物の最後の用量が揮発性組成物ディスペンサ10によって車両雰囲気に提供されてからの経過時間を示す様々な信号をコントローラ30に送信することができる。非限定的な一実施形態では、コントローラ30は様々なセンサから受信した信号を解読し、それに応じてアクチュエータ28及び所望によりユーザフィードバックモジュール16に指示を与えることができる。そのような実施形態では、ユーザフィードバックモジュール16はコントローラ30と電気通信することができ、例えば、センサによって感知された及び/又は電源38によって提供された様々な車両の特性を示す出力を受信するように構成され得る。様々な実施形態において、アクチュエータ28はコントローラ30と電気通信して、コントローラ30から電力及び/又は断続的な電力を受け取ることができる。非限定的な一実施形態では、スイッチ26もまたコントローラ30と電気通信することができるので、ユーザが1つ以上のスイッチ26を押圧すなわち起動させると、ユーザの入力を示す信号がコントローラ30に送信され得る。本開示を考慮した当業者は、この回路が単に構成例に過ぎず、したがって他の様々な好適な回路構成も使用可能であり本開示の範囲内であることを理解するであろう。
【0057】
いくつかの揮発性組成物(例えば芳香剤を含むもの)では、高い蒸気圧の揮発性組成物の原料は低い蒸気圧の原料より速く蒸発することになるので、変化する揮発性組成物製剤を補正するためにファン速度、ランタイムの頻度、又はオン/オフタイムを調整することが有用である場合がある。この場合、揮発性組成物は多くの日数を含む期間にかけて蒸発するので、任意によりコントローラにファンをより頻繁に運転させることが望ましい場合がある。例えば、非限定的な一例では、最初の10日間の使用では10%デューティサイクルでファンを実行し、11日目から最高60日目にかけて最高約30%〜約40%のデューティサイクルまで徐々に増していくことができる。このようにすると、ファン頻度又は持続期間を増すことによって芳香剤の強度の潜在的減少を補正することができる。その老朽化に合わせて調整することによって、芳香剤の量及び高い蒸気圧成分から低い蒸気圧成分までの混合物が時間と共に変化しても、より一貫した香気の強度を送達することが可能である。更に、交換式ユニット32又は32’又は232が老朽化するにつれて、コントローラ30又は230はユーザがいつ車両を運転しているかを知るために動作検出器を使用してもよく、車両が運転中のときと車両が数分間又は数時間駐車された状態のときとでファンの運転条件が異なるように調整することができる。
【0058】
交換式ユニット32又は32’又は232のランタイムを追跡記録する手段の非限定的な一例は、交換式ユニット32又は32’又は232と関連付けられた蓄電池の電圧をモニタリングすることである。例えば、新しいAA蓄電池は1.60ボルト〜約1.65ボルトであり得るが、30日使用したAA蓄電池は約1.2ボルト〜約1.45ボルトの電圧を有する可能性がある。蓄電池の電圧をモニタリングすることによって、コントローラ30又は230は交換式ユニット32又は32’又は232の寿命を認識し、交換式ユニット32又は32’又は232の寿命にかけて一貫した香気体験を与えるように運転条件を調整することができる。
【0059】
時間をモニタリングする手段の別の非限定的な例は、交換式ユニット32又は32’又は232が挿入されたときにタイマーを開始し、ファンが運転した時間/分を追跡記録することである。上述のように、より一貫した香気体験を与えるために、製品が老朽化するにつれてファンタイムを調整することができる。
【0060】
交換式ユニット32又は32’又は232の全寿命の指標として蓄電池の電圧又はランタイムを見る場合、交換式ユニット32又は32’又は232が空であること及び又は交換を必要とすることを示すために、赤色光の点灯などの信号をユーザに提供する又は点滅光を提供するようにコントローラ30又は230をプログラムすることができる。
【0061】
図20〜22を参照すると、様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサ210は、上殻215と底殻217とを備えるハウジング212を備えることができる。上殻215と底殻217とは合体して空洞214を画定することができる。様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサ210は、クリップ213と交換式ユニット232とを備えることができる。交換式ユニット232は、任意選択により仕切り壁254を備えることができる。交換式ユニット232は、電源252と、導線251と、揮発性組成物容器キャップ246で密封された揮発性組成物容器250と、を備えることができる。高表面積材料264は揮発性組成物容器250内に配置してもよく、又は高表面積材料は、前述の実施形態と同様に揮発性組成物容器250内に受け入れられる別の容器内に置かれてもよい。先の実施形態と同じく、別の容器を電源238に取り付けてもよく、電源238とセットにしてもよい。例示の目的でハウジング212が取り除かれている図21に図示したように、揮発性組成物ディスペンサ210は、アクチュエータ228、コントローラ230、モータ202、及び/又はボタンアセンブリ若しくはスイッチ226のような、他の様々な実施形態に関して上述したものと同様の内部構成要素を備えることができる。様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサ210は、複数の光源及び/又はハウジング212の半透明部分を備える少なくとも1つのインジケータを備えるユーザフィードバックモジュールを備えることができる。非限定的な一実施形態では、ボタンアセンブリ226は、ボタン226を照射するために、光源又は複数の光源を空洞214内に配置させるように構成された少なくとも半透明の部分を備えることができる。理解されるように、異なる色の光又は点滅パターンを使用して、様々な情報をユーザに伝達することができる。例えば、特定の光パターン及び/又は構成は、例えば、用量、投与頻度、電源238の電力レベル、及び/又は揮発性組成物レベルを表すことができる。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサ210はホルダ211を備えることができる。ホルダ211は、ホルダ211をハウジング212に固定するために少なくとも1つのラッチ236又は他の接続装置を有することができる。揮発性組成物ディスペンサ210は、底部パン216を備えることができる。ホルダ211及び底部パン216が交換式ユニット232の上に配置及び/又は滑着され、ホルダ211がハウジング212に固定されると、交換式ユニット232はハウジング212に対して正しい向き及び/又は位置に維持され得る。ユーザは交換式ユニット232の交換を望むとき、ホルダ211をハウジング212から取り外して交換式ユニット232の取り外しを可能にすることができる。本開示を考慮して当業者が理解するように、ホルダ211及び底部パン216は、例えばスリーブ、ストラップ、及び/又はバックルのような、ハウジング212に交換式ユニット232を固定するための任意の好適な構成を備えることができる。様々な実施形態において、底部パン216は排除してもよく、及び/又は例えばホルダ211と共に形成することができる。ホルダ211は、使用中、アクチュエータ228及び電源238に対する交換式ユニット232の配置を維持することができる。交換式ユニット232は、少なくとも1つの出口開口部218を有することができる。開口部218のサイズ、外形、及び/又は構成は、上述の出口開口部18に関して提供した構成と同様の検討事項を考慮して決定することができる。非限定的な一実施形態では、ホルダ211は、揮発性組成物容器250内に収容された揮発性組成物を動作中に揮発性組成物ディスペンサ210から放出することを可能にする1つ以上の開口部223を備えることができる。非限定的な一実施形態では、追加的な開口部をクリップ213と底殻217とが接する場所に近接して設けることにより、ディスペンサ210を取り囲む雰囲気から空気がディスペンサ210へ、そしてアクチュエータ228へと移動することを可能にすることができる。
【0062】
上述の揮発性組成物容器50と同様に、様々な実施形態において、揮発性組成物容器250は、例えば多孔質材料及び/又はウィックのような高表面積材料と、その中に気相の揮発性組成物を受け入れるように構成された空間と、を備えることができる。様々な実施形態において、図10に図示された1つ以上の突起84と同様に、側壁255は、それ自体から延出した、例えば揮発性組成物容器250内の定位置に材料を維持するように構成された、例えば連続又は不連続リブ、細長い部材、ピンのような1つ以上の突起を備えることができる。様々な実施形態において、高表面積材料264は突起を備えることができる。様々な実施形態において、前述の実施形態と同様に、1つ以上の突起は空気体積がそれらと材料との間を通過することを可能にすることができる。ディスペンサ210の動作は、前述の実施形態と同様の性質であってよい。様々な実施形態において、交換式ユニット32’もまたこの実施形態と共に使用することができる。
【0063】
本開示の一部は、電源を備える交換式ユニットと、揮発性組成物を含む揮発性組成物容器と、を提供する工程を含む、揮発性組成物を分配する方法を含むことができる。この方法は、更に、電源から給電され、揮発性組成物容器と流体連通している、例えば遠心式ファンのようなファンを提供する工程、及び揮発性組成物容器内の揮発性組成物の一部分を蒸発させる工程を含んでもよい。この方法はまた、空気体積を少なくとも部分的に揮発性組成物容器を通して断続的に押し進めて揮発性組成物の蒸発した部分の少なくともほとんどを揮発性組成物容器から放出するために遠心式ファンを使用する工程も含むことができる。既に述べたように、揮発性組成物及び/又は電源が枯渇したときは、揮発性組成物及び/又は電源を交換することができる。いくつかの実施形態では、揮発性組成物を収容する揮発性組成物容器及び電源を備えるセットが提供される。このセットを殻の中に挿入し、ハウジング及び/又はハウジングの一部(図示せず)に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、揮発性組成物及び電源は、殻の中にそれぞれ別々に設置しハウジングに取り付けるか又はハウジングの一部に挿入することができるものとして(図示せず)提供することができる。いくつかの実施形態では、揮発性組成物及び電源を収容する殻をハウジングに直接取り付けられるものとしてユーザに提供することができる。いくつかの実施形態では、揮発性組成物及び電源がユーザに提供され、ハウジングに直接に設置され得る。他の実施形態では、他の好適な構成又は実施形態を用いることができる。
【0064】
本明細書に開示した様々な揮発性組成物ディスペンサについて車両での使用のために説明してきたが、当業者は他の環境におけるこれらのディスペンサのその他の使用を認識するであろう。非限定的な一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサを使用して、例えばキャンプ場及び/又はテント若しくはキャビン内で殺虫剤を分配してもよい。他の様々な実施形態において、揮発性組成物ディスペンサを家庭、職場、ロッカー、保管スペース、及び/又は揮発性組成物ディスペンサの実用性がユーザにもたらされるであろう任意の他の好適な場所若しくは環境で使用することができる。
【0065】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0066】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、その関連部分において、本明細書に参照により組み込まれるが、いかなる文献の引用も、それが本開示に対する先行技術であることを認めるものと解釈すべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0067】
本開示の特定の実施形態について説明し記載したが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることは当業者には明白であろう。したがって、本開示の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両での使用のために構成された揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)であって、
ハウジング(12、212)と、
前記ハウジング(12、212)内に少なくとも部分的に配置され、断続的に起動されて空気体積を移動させるように構成されたファンと、
前記ファンと電気通信し、前記ハウジング(12、212)内に配置されたコントローラ(30、230)と、
前記ハウジング(12、212)に取り付けられるか、前記ハウジング(12、212)内に少なくとも部分的に配置されるように構成された、交換式ユニット(32、32’、232)と、
を備え、
前記交換式ユニット(32、32’、232)は、
少なくとも部分的に液相であり蒸発して気相になるように構成された揮発性組成物(49、49’)を含む揮発性組成物容器(33、50、250)であって、前記ファンが前記揮発性組成物容器(33、50、250)を通して前記空気体積を少なくとも部分的に断続的に押し進めて前記気相の揮発性組成物(49、49’)の少なくともほとんどを車両の雰囲気中へ放出するように構成された、揮発性組成物容器(33、50、250)と、前記コントローラ(30、230)と電気通信する電源(38、238、252)と、を備えている、揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項2】
前記ファンが、回転式ハブ(118)と、前記回転式ハブ(118)に取り付けられるか、前記回転式ハブ(118)と共に形成される少なくとも2つのブレードとを備える遠心式ファンであり、前記少なくとも2つのブレードのそれぞれが前記回転式ハブ(118)の回転軸にほぼ平行方向に配置された空気強制面を備えている、請求項1に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項3】
前記揮発性組成物容器(33、50、250)が、
前記液相の揮発性組成物(49、49’)を収容し、前記液相の揮発性組成物(49、49’)が蒸発して前記気相の揮発性組成物(49、49’)になることを可能にするように構成された高表面積材料(64、264)と、
内壁(41、81)又は内面と、
を含み、
前記高表面積材料(64、264)と前記内壁(41、81)又は内面との間に間隙があり、前記間隙が0.5mm〜3mmである、請求項1又は2に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項4】
前記揮発性組成物容器(33、50、250)が、
前記液相の揮発性組成物(49、49’)を収容し、前記液相の揮発性組成物(49、49’)が蒸発して前記気相の揮発性組成物(49、49’)になることを可能にするように構成された高表面積材料(64、264)と、
内壁(41、81)と、
前記内壁(41、81)から前記揮発性組成物容器(49、49’)へと延出する少なくとも2つの突起(84)であって、前記少なくとも2つの突起(84)がそれぞれ、前記高表面積材料(64、264)を前記内壁(41、81)から離れた距離に維持するために前記高表面積材料(64、264)の表面と係合するように構成されている、少なくとも2つの突起(84)と、
前記内壁(41、81)と前記高表面積材料(64、264)の表面との中間に画定された少なくとも1つの空間と、
を含み、
前記少なくとも1つの空間は前記気相の揮発性組成物(49、49’)を受け入れるように構成され、好ましくは、前記ファンは、前記空気体積を少なくとも部分的に前記少なくとも1つの空間に断続的に通過させ、飽和された前記気相の揮発性組成物(49、49’)の少なくともほとんどを前記揮発性組成物容器(33、50、250)から放出するように構成され、より好ましくは、前記ファンは、前記空気体積を前記高表面積材料(64、264)の前記表面に実質的に沿って断続的に押し進めるように構成され、更により好ましくは、前記ファンによって生成された空気体積が2cm3/秒〜20cm3/秒の流速で前記揮発性組成物容器(33、50、250)を通る、請求項1〜3のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項5】
前記電源(38、238、252)が、前記コントローラ(30、230)に電力を提供するように構成された蓄電池を備え、前記コントローラ(30、230)は、前記蓄電池が既定の閾値未満の電力レベルを有するときを検出して前記交換式ユニット(32、32’、232)を交換しなくてはならないことを示すように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項6】
ユーザフィードバックモジュール(16)を備え、
前記ユーザフィードバックモジュール(16)は、
前記揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)の特性を感知するように構成されたセンサと、
前記特性をユーザに警告するように構成されたインジケータと、
を備え、
好ましくは、前記揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)は温度センサを備え、前記コントローラ(30、230)は前記温度センサからの入力を受信して前記車両内の温度を測定し、前記温度に基づいて揮発性組成物用量を提供するように前記揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)に指示するように構成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項7】
選択式用量投与スイッチを備え、前記コントローラ(30、230)が、前記選択式用量投与スイッチから所望の揮発性組成物(49、49’)用量を示す入力を受信し、前記所望の揮発性組成物(49、49’)の用量を提供するように前記揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)に指示するように構成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項8】
選択式スイッチを備え、前記コントローラ(30、230)が、前記選択式スイッチから入力を受信し、前記ファンの速度及び前記ファンの断続的起動パターンのうち1つを調整するために前記ファンに出力を提供するように構成されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項9】
前記揮発性組成物容器(33、50、250)が、
前記ファンからの空気体積を受け入れるように構成された少なくとも1つの第1の開口部と、
前記空気体積の少なくとも一部分及び前記気相の揮発性組成物(49、49’)の一部分を前記揮発性組成物容器(33、50、250)から前記車両の雰囲気へ放出するように構成された少なくとも1つの第2の開口部と、
を備え、
好ましくは、前記少なくとも1つの第1の開口部(18、56、58、223)及び前記少なくとも1つの第2の開口部のそれぞれが0.007cm2〜0.50cm2の範囲の断面積を有し、少なくとも前記第2の開口部は、前記ファンが休止状態のときの前記車両への前記気相の揮発性組成物(49、49’)の拡散を少なくとも部分的に抑制するように構成されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第1の開口部が少なくとも1つの入口開口部(56)であり、前記少なくとも1つの第2の開口部が少なくとも1つの出口開口部(18)であり、前記少なくとも1つの入口開口部(56)は0.007cm2〜0.50cm2の範囲の合計断面積を有し、前記少なくとも1つの出口開口部(18)は0.007cm2〜0.50cm2の範囲の合計断面積を有し、好ましくは、前記少なくとも1つの入口開口部(56)及び前記少なくとも1つの出口開口部(18)のうち少なくとも1つは0.1cm〜2.0cm長の長さを有している、請求項1〜9のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項11】
前記揮発性組成物容器(33、50、250)が、液相の揮発性組成物(49、49’)を収容し、前記液相の揮発性組成物(49、49’)が蒸発して気相の揮発性組成物(49、49’)になることを可能にするように構成された材料を含み、好ましくは、前記材料は20mm〜60mmの長さを有し、前記材料は断面積を含み、前記断面積は、
本体(66)と、
前記本体から第1の方向に延出する第1の脚(69)と、
前記本体から第2の方向に延出する第2の脚(70)と、
前記本体から少なくとも第3の方向に延出する少なくとも第3の脚(72)と、
を備えている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項12】
揮発性組成物容器(33、50、250)が、
前記液相の揮発性組成物(49、49’)が前記揮発性組成物容器(33、50、250)から漏れることを少なくとも部分的に抑制するように構成され、かつ前記揮発性組成物(49、49’)が前記液相から前記気相に転換することを少なくとも部分的に抑制するように構成された、第1の材料と、
前記揮発性組成物(49、49’)が前記揮発性組成物容器(33、50、250)から漏れることを少なくとも部分的に抑制するように構成され、かつ前記揮発性組成物(49、49’)が前記液相から前記気相に転換することを少なくとも部分的に抑制するように構成された、第2の材料と、
を含んでいる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項13】
揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)であって、
空気体積を断続的に移動させるように構成された遠心式ファンと、
前記遠心式ファンに動作可能に係合されたコントローラ(30、230)と、
液相及び気相のうち少なくとも1つの相の揮発性組成物(49、49’)を含む揮発性組成物容器(33、50、250)であって、前記空気体積の少なくともほとんどを受け入れるように構成されている、揮発性組成物容器(33、50、250)と、
少なくとも1つの表面(65)を備える材料であって、前記材料は、前記揮発性組成物(49、49’)が前記液相から前記気相に転換するのを少なくとも部分的に抑制するように構成され、前記揮発性組成物容器(33、50、250)を少なくとも部分的に通る前記空気体積の流れ道が前記材料の前記少なくとも1つの表面(65)に実質的に沿い、好ましくは、前記空気体積の前記流れ道の少なくとも一部分が前記材料の前記少なくとも1つの表面(65)を横断する、材料と、
を備えている、揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項14】
揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)であって、
ハウジング(12、212)と、
前記ハウジング(12,212)内に配置された遠心式ファンであって、空気体積を移動させるために断続的に起動されるように構成された、遠心式ファンと、
前記遠心式ファンと電気通信し、前記ハウジング(12、212)内に配置されたコントローラ(30、230)と、
揮発性組成物容器(33、50、250)と、を備え、前記揮発性組成物容器は、
内壁(41、81)と、
前記内壁(41、81)から、又は揮発性組成物(49、49’)を収容するために構成された材料から延出する、少なくとも1つの突起(84)であって、
前記材料は少なくとも部分的に液相の揮発性組成物(49、49’)を収容するように構成され、前記少なくとも1つの突起(84)は前記材料の一部分を前記内壁(41、81)から離れた距離に維持するために前記材料の一部分と係合するように構成されている、突起(84)と、
前記内壁(41、81)と前記材料の前記一部分との中間に画定される空間と、
を備え、
前記液相の揮発性組成物(49、49’)の少なくとも一部分は、前記空間内で飽和した気相の揮発性組成物(49、49’)を生成するために蒸発して前記空間に入るように構成され、
前記遠心式ファンは少なくとも部分的に前記空間を通して前記空気体積を断続的に押し進めて前記飽和した気相の揮発性組成物(49、49’)の少なくともほとんどを前記揮発性組成物容器(33、50、250)から放出するように構成され、好ましくは、前記揮発性組成物容器(33、50、250)は入口及び出口を備え、前記遠心式ファンは前記入口に前記空気体積を押し進めて前記飽和した気相の揮発性組成物(49、49’)の一部分を前記出口を通して放出するように構成されている、揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項15】
断続的に起動されるように構成された遠心式ファンを備える揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)用の交換式ユニット(32、32’、232)であって、
内壁(41、81)と、
前記内壁(41、81)から、又は揮発性組成物(49、49’)を収容するために構成された材料から延出する、少なくとも1つの突起(84)であって、
前記材料は少なくとも部分的に液相の揮発性組成物(49、49’)を収容するように構成され、前記少なくとも1つの突起(84)は前記材料を前記内壁(41、81)から離れた距離に維持するために前記材料の一部分と係合するように構成されている、突起(84)と、
前記内壁(41、81)と前記材料との中間に画定される空間であって、
前記液相の揮発性組成物(49、49’)の少なくとも一部分が前記空間内で飽和した気相の揮発性組成物(49、49’)を生成するために蒸発して前記空間に入るように構成されている、空間と、
を備える、揮発性組成物容器(33、50、250)と、
前記遠心式ファンに電力を提供するように構成された電源(38、238、252)と、
を備え、好ましくは、前記揮発性組成物容器(33、50、250)及び電源(38、238、252)を少なくとも部分的に囲むように構成された殻(23)を備えている、交換式ユニット(32、32’、232)。
【請求項1】
車両での使用のために構成された揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)であって、
ハウジング(12、212)と、
前記ハウジング(12、212)内に少なくとも部分的に配置され、断続的に起動されて空気体積を移動させるように構成されたファンと、
前記ファンと電気通信し、前記ハウジング(12、212)内に配置されたコントローラ(30、230)と、
前記ハウジング(12、212)に取り付けられるか、前記ハウジング(12、212)内に少なくとも部分的に配置されるように構成された、交換式ユニット(32、32’、232)と、
を備え、
前記交換式ユニット(32、32’、232)は、
少なくとも部分的に液相であり蒸発して気相になるように構成された揮発性組成物(49、49’)を含む揮発性組成物容器(33、50、250)であって、前記ファンが前記揮発性組成物容器(33、50、250)を通して前記空気体積を少なくとも部分的に断続的に押し進めて前記気相の揮発性組成物(49、49’)の少なくともほとんどを車両の雰囲気中へ放出するように構成された、揮発性組成物容器(33、50、250)と、前記コントローラ(30、230)と電気通信する電源(38、238、252)と、を備えている、揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項2】
前記ファンが、回転式ハブ(118)と、前記回転式ハブ(118)に取り付けられるか、前記回転式ハブ(118)と共に形成される少なくとも2つのブレードとを備える遠心式ファンであり、前記少なくとも2つのブレードのそれぞれが前記回転式ハブ(118)の回転軸にほぼ平行方向に配置された空気強制面を備えている、請求項1に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項3】
前記揮発性組成物容器(33、50、250)が、
前記液相の揮発性組成物(49、49’)を収容し、前記液相の揮発性組成物(49、49’)が蒸発して前記気相の揮発性組成物(49、49’)になることを可能にするように構成された高表面積材料(64、264)と、
内壁(41、81)又は内面と、
を含み、
前記高表面積材料(64、264)と前記内壁(41、81)又は内面との間に間隙があり、前記間隙が0.5mm〜3mmである、請求項1又は2に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項4】
前記揮発性組成物容器(33、50、250)が、
前記液相の揮発性組成物(49、49’)を収容し、前記液相の揮発性組成物(49、49’)が蒸発して前記気相の揮発性組成物(49、49’)になることを可能にするように構成された高表面積材料(64、264)と、
内壁(41、81)と、
前記内壁(41、81)から前記揮発性組成物容器(49、49’)へと延出する少なくとも2つの突起(84)であって、前記少なくとも2つの突起(84)がそれぞれ、前記高表面積材料(64、264)を前記内壁(41、81)から離れた距離に維持するために前記高表面積材料(64、264)の表面と係合するように構成されている、少なくとも2つの突起(84)と、
前記内壁(41、81)と前記高表面積材料(64、264)の表面との中間に画定された少なくとも1つの空間と、
を含み、
前記少なくとも1つの空間は前記気相の揮発性組成物(49、49’)を受け入れるように構成され、好ましくは、前記ファンは、前記空気体積を少なくとも部分的に前記少なくとも1つの空間に断続的に通過させ、飽和された前記気相の揮発性組成物(49、49’)の少なくともほとんどを前記揮発性組成物容器(33、50、250)から放出するように構成され、より好ましくは、前記ファンは、前記空気体積を前記高表面積材料(64、264)の前記表面に実質的に沿って断続的に押し進めるように構成され、更により好ましくは、前記ファンによって生成された空気体積が2cm3/秒〜20cm3/秒の流速で前記揮発性組成物容器(33、50、250)を通る、請求項1〜3のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項5】
前記電源(38、238、252)が、前記コントローラ(30、230)に電力を提供するように構成された蓄電池を備え、前記コントローラ(30、230)は、前記蓄電池が既定の閾値未満の電力レベルを有するときを検出して前記交換式ユニット(32、32’、232)を交換しなくてはならないことを示すように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項6】
ユーザフィードバックモジュール(16)を備え、
前記ユーザフィードバックモジュール(16)は、
前記揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)の特性を感知するように構成されたセンサと、
前記特性をユーザに警告するように構成されたインジケータと、
を備え、
好ましくは、前記揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)は温度センサを備え、前記コントローラ(30、230)は前記温度センサからの入力を受信して前記車両内の温度を測定し、前記温度に基づいて揮発性組成物用量を提供するように前記揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)に指示するように構成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項7】
選択式用量投与スイッチを備え、前記コントローラ(30、230)が、前記選択式用量投与スイッチから所望の揮発性組成物(49、49’)用量を示す入力を受信し、前記所望の揮発性組成物(49、49’)の用量を提供するように前記揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)に指示するように構成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項8】
選択式スイッチを備え、前記コントローラ(30、230)が、前記選択式スイッチから入力を受信し、前記ファンの速度及び前記ファンの断続的起動パターンのうち1つを調整するために前記ファンに出力を提供するように構成されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項9】
前記揮発性組成物容器(33、50、250)が、
前記ファンからの空気体積を受け入れるように構成された少なくとも1つの第1の開口部と、
前記空気体積の少なくとも一部分及び前記気相の揮発性組成物(49、49’)の一部分を前記揮発性組成物容器(33、50、250)から前記車両の雰囲気へ放出するように構成された少なくとも1つの第2の開口部と、
を備え、
好ましくは、前記少なくとも1つの第1の開口部(18、56、58、223)及び前記少なくとも1つの第2の開口部のそれぞれが0.007cm2〜0.50cm2の範囲の断面積を有し、少なくとも前記第2の開口部は、前記ファンが休止状態のときの前記車両への前記気相の揮発性組成物(49、49’)の拡散を少なくとも部分的に抑制するように構成されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第1の開口部が少なくとも1つの入口開口部(56)であり、前記少なくとも1つの第2の開口部が少なくとも1つの出口開口部(18)であり、前記少なくとも1つの入口開口部(56)は0.007cm2〜0.50cm2の範囲の合計断面積を有し、前記少なくとも1つの出口開口部(18)は0.007cm2〜0.50cm2の範囲の合計断面積を有し、好ましくは、前記少なくとも1つの入口開口部(56)及び前記少なくとも1つの出口開口部(18)のうち少なくとも1つは0.1cm〜2.0cm長の長さを有している、請求項1〜9のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項11】
前記揮発性組成物容器(33、50、250)が、液相の揮発性組成物(49、49’)を収容し、前記液相の揮発性組成物(49、49’)が蒸発して気相の揮発性組成物(49、49’)になることを可能にするように構成された材料を含み、好ましくは、前記材料は20mm〜60mmの長さを有し、前記材料は断面積を含み、前記断面積は、
本体(66)と、
前記本体から第1の方向に延出する第1の脚(69)と、
前記本体から第2の方向に延出する第2の脚(70)と、
前記本体から少なくとも第3の方向に延出する少なくとも第3の脚(72)と、
を備えている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項12】
揮発性組成物容器(33、50、250)が、
前記液相の揮発性組成物(49、49’)が前記揮発性組成物容器(33、50、250)から漏れることを少なくとも部分的に抑制するように構成され、かつ前記揮発性組成物(49、49’)が前記液相から前記気相に転換することを少なくとも部分的に抑制するように構成された、第1の材料と、
前記揮発性組成物(49、49’)が前記揮発性組成物容器(33、50、250)から漏れることを少なくとも部分的に抑制するように構成され、かつ前記揮発性組成物(49、49’)が前記液相から前記気相に転換することを少なくとも部分的に抑制するように構成された、第2の材料と、
を含んでいる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項13】
揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)であって、
空気体積を断続的に移動させるように構成された遠心式ファンと、
前記遠心式ファンに動作可能に係合されたコントローラ(30、230)と、
液相及び気相のうち少なくとも1つの相の揮発性組成物(49、49’)を含む揮発性組成物容器(33、50、250)であって、前記空気体積の少なくともほとんどを受け入れるように構成されている、揮発性組成物容器(33、50、250)と、
少なくとも1つの表面(65)を備える材料であって、前記材料は、前記揮発性組成物(49、49’)が前記液相から前記気相に転換するのを少なくとも部分的に抑制するように構成され、前記揮発性組成物容器(33、50、250)を少なくとも部分的に通る前記空気体積の流れ道が前記材料の前記少なくとも1つの表面(65)に実質的に沿い、好ましくは、前記空気体積の前記流れ道の少なくとも一部分が前記材料の前記少なくとも1つの表面(65)を横断する、材料と、
を備えている、揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項14】
揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)であって、
ハウジング(12、212)と、
前記ハウジング(12,212)内に配置された遠心式ファンであって、空気体積を移動させるために断続的に起動されるように構成された、遠心式ファンと、
前記遠心式ファンと電気通信し、前記ハウジング(12、212)内に配置されたコントローラ(30、230)と、
揮発性組成物容器(33、50、250)と、を備え、前記揮発性組成物容器は、
内壁(41、81)と、
前記内壁(41、81)から、又は揮発性組成物(49、49’)を収容するために構成された材料から延出する、少なくとも1つの突起(84)であって、
前記材料は少なくとも部分的に液相の揮発性組成物(49、49’)を収容するように構成され、前記少なくとも1つの突起(84)は前記材料の一部分を前記内壁(41、81)から離れた距離に維持するために前記材料の一部分と係合するように構成されている、突起(84)と、
前記内壁(41、81)と前記材料の前記一部分との中間に画定される空間と、
を備え、
前記液相の揮発性組成物(49、49’)の少なくとも一部分は、前記空間内で飽和した気相の揮発性組成物(49、49’)を生成するために蒸発して前記空間に入るように構成され、
前記遠心式ファンは少なくとも部分的に前記空間を通して前記空気体積を断続的に押し進めて前記飽和した気相の揮発性組成物(49、49’)の少なくともほとんどを前記揮発性組成物容器(33、50、250)から放出するように構成され、好ましくは、前記揮発性組成物容器(33、50、250)は入口及び出口を備え、前記遠心式ファンは前記入口に前記空気体積を押し進めて前記飽和した気相の揮発性組成物(49、49’)の一部分を前記出口を通して放出するように構成されている、揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)。
【請求項15】
断続的に起動されるように構成された遠心式ファンを備える揮発性組成物ディスペンサ(10、10A、210)用の交換式ユニット(32、32’、232)であって、
内壁(41、81)と、
前記内壁(41、81)から、又は揮発性組成物(49、49’)を収容するために構成された材料から延出する、少なくとも1つの突起(84)であって、
前記材料は少なくとも部分的に液相の揮発性組成物(49、49’)を収容するように構成され、前記少なくとも1つの突起(84)は前記材料を前記内壁(41、81)から離れた距離に維持するために前記材料の一部分と係合するように構成されている、突起(84)と、
前記内壁(41、81)と前記材料との中間に画定される空間であって、
前記液相の揮発性組成物(49、49’)の少なくとも一部分が前記空間内で飽和した気相の揮発性組成物(49、49’)を生成するために蒸発して前記空間に入るように構成されている、空間と、
を備える、揮発性組成物容器(33、50、250)と、
前記遠心式ファンに電力を提供するように構成された電源(38、238、252)と、
を備え、好ましくは、前記揮発性組成物容器(33、50、250)及び電源(38、238、252)を少なくとも部分的に囲むように構成された殻(23)を備えている、交換式ユニット(32、32’、232)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公表番号】特表2012−525950(P2012−525950A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510977(P2012−510977)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/034547
【国際公開番号】WO2010/132565
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/034547
【国際公開番号】WO2010/132565
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
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