説明

揺動スイッチユニット

【課題】防水性を確保することができる揺動スイッチユニットを提供する。
【解決手段】筐体に、双方向に揺動可能に取り付けられた揺動スイッチノブと、筐体内に、揺動スイッチノブの各揺動端に対応して設けられた1対のタクトスイッチと、筐体に収納・支持され、揺動スイッチノブの各揺動端と対応するタクトスイッチとの間に介在し、該揺動スイッチノブの一方の揺動端が押圧付勢されるに伴い、当該押圧付勢力をタクトスイッチに伝達する1対の付勢伝達体と、筐体に設けられて、押圧付勢力を付勢伝達体に伝達可能な形状に開口された開口部と、弾性部材により構成されて開口部形成面を覆い、該開口部の周縁に弾性付勢力により装着され、揺動スイッチノブおよび付勢伝達体に当接したシール部材と、を備え、付勢伝達体は、揺動スイッチノブの一方の揺動端が押圧付勢されるに伴い、シール部材を介して伝達される当該押圧付勢力をタクトスイッチに伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された揺動スイッチユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両には、空調装置やオーディオ装置等の、搭載された車載装置を操作するための操作スイッチが数多く取り付けられている。また、飲料水など液体の入ったカップやビン等を置くためのカップホルダーも各座席付近に取り付けられている。操作スイッチとカップホルダーは近接して配置されていることも多く、車両用の操作スイッチには、防塵性に加えて防水性も要求されている。
【0003】
このため、防塵性,防水性を高めるために、直線方向に操作することにより接点切り替えを行うシャフトを有するスイッチの防水ブーツが考案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−071631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、シーソーボタン形式の操作部材の揺動による操作を行う、いわゆるシーソースイッチを含む揺動スイッチユニットの防水に関しては開示されていない。
【0006】
上記問題を背景として、本発明の課題は、防水性を確保することができる揺動スイッチユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するための揺動スイッチユニットは、筐体に、双方向に揺動可能に取り付けられた揺動スイッチノブと、筐体内に、揺動スイッチノブの各揺動端に対応して設けられた1対のタクトスイッチと、筐体に収納・支持され、揺動スイッチノブの各揺動端と対応するタクトスイッチとの間に介在し、該揺動スイッチノブの一方の揺動端が押圧付勢されるに伴い、当該押圧付勢力をタクトスイッチに伝達する1対の付勢伝達体と、筐体に設けられて、押圧付勢力を付勢伝達体に伝達可能な形状に開口された開口部と、弾性部材により構成されて開口部形成面を覆い、該開口部の周縁に弾性付勢力により装着され、揺動スイッチノブおよび付勢伝達体に当接したシール部材と、を備え、付勢伝達体は、揺動スイッチノブの一方の揺動端が押圧付勢されるに伴い、シール部材を介して伝達される当該押圧付勢力をタクトスイッチに伝達することを特徴とする。
【0008】
上記構成によって、揺動スイッチノブの操作を可能とするとともに、筐体の開口部をシール部材で覆うことができ、防水性を確保することができる。
【0009】
また、本発明の揺動スイッチユニットにおける揺動スイッチノブは、シール部材に予め定められた付勢力を印加した状態で、該シール部材と当接しており、揺動スイッチノブの一方の揺動端が押圧付勢されたときに、付勢力および押圧付勢力の反力によって、揺動スイッチノブが中立位置に戻るように構成される。
【0010】
上記構成によって、揺動スイッチノブが確実に中立位置に戻ることに加えて、揺動スイッチノブの操作時のガタつきを抑え、さらに車両の走行時の振動による騒音をも抑えることができ、防水に加えて防音・防振の効果も併せ持つようになる。
【0011】
また、本発明の揺動スイッチユニットにおける開口部の周縁部には、開口部形成面方向に突出し、シール部材を支持する支持部が形成される。
【0012】
上記構成によって、シール部材を筐体に確実に装着・支持することができ、シール部材の変形を防止することもできる。
【0013】
また、上記課題を解決するための揺動スイッチユニットは、筐体に、双方向に揺動可能に取り付けられた揺動スイッチノブと、筐体内に、揺動スイッチノブの各揺動端に対応して設けられた1対のタクトスイッチと、筐体に収納・支持され、揺動スイッチノブの各揺動端と対応するタクトスイッチとの間に介在し、該揺動スイッチノブの一方の揺動端が押圧付勢されるに伴い、当該押圧付勢力をタクトスイッチに伝達する1対の付勢伝達体と、弾性部材により構成されて、付勢伝達体とタクトスイッチとの間に介在し、筐体に弾性付勢力により装着され、付勢伝達体およびタクトスイッチに当接したシール部材と、を備え、付勢伝達体は、揺動スイッチノブの一方の揺動端が押圧付勢されるに伴い、伝達される当該押圧付勢力を、シール部材を介してタクトスイッチに伝達することを特徴とする。
【0014】
上記構成によって、揺動スイッチノブの操作を可能とするとともに、スイッチ筐体の開口部をシール部材で覆うことができ、防水性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】操作ユニットの概観を示す図。
【図2】揺動スイッチユニットの構成を示す分解斜視図。
【図3】揺動スイッチユニットにおいて揺動スイッチノブを外した状態での斜視図。
【図4】開口部の一例を示す図。
【図5】シール部材の構成を示す斜視図。
【図6】シール部材の構成を示す上面図および側面図。
【図7】シール部材の構成を示す正面図。
【図8】図6のシール部材におけるA−A断面図。
【図9】シール部材の構成を示す下面図およびそのB−B断面図。
【図10】揺動スイッチユニットの構成の詳細を示す断面図(実施例1)。
【図11】シール部材の貫通孔の詳細を示す図。
【図12】図11に続く、シール部材の貫通孔の詳細を示す図。
【図13】揺動スイッチノブの内側(下側)の詳細を示す模式図。
【図14】揺動スイッチノブの側面図。
【図15】揺動スイッチノブとシール部材との当接状態を示す図。
【図16】揺動スイッチノブが押圧されたときのシール部材との当接状態を示す図。
【図17】揺動スイッチユニットの構成の詳細を示す断面図(実施例2)。
【図18】揺動スイッチユニットの構成の詳細を示す断面図(実施例3)。
【図19】従来技術による揺動スイッチユニットの構成の詳細を示す断面図。
【図20】付勢伝達体の構成例を示す図。
【図21】シール部材の構成を示す上面図(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の揺動スイッチユニットの実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
図1に、本発明に係る揺動スイッチユニット1が設けられた操作ユニット100の斜視図を示す。操作ユニット100は、例えば車両のセンターコンソールに設けられ、2次元の可動範囲を有するジョイスティックやスライダー型の周知のハプティックデバイス101を備え、揺動スイッチユニット1(図1では2個設置)は、ハプティックデバイス101と連携あるいは独立して操作可能なようになっている。揺動スイッチユニット1の取り付け位置や、揺動スイッチユニット1を用いた操作の対象となる車載機器(ナビゲーション装置,エアコン等)については、特に制約はない。
【0018】
図2に揺動スイッチユニット1の分解斜視図を、図3に揺動スイッチユニット1において揺動スイッチノブ10を外した状態での斜視図を示す。揺動スイッチユニット1は、操作ユニット100に組み付けられた、あるいは操作ユニット100と一体化して形成された筐体50と、筐体50の上部の開口部55(図4参照)を覆う、例えばゴムや熱可塑性エラストマー等の弾性部材で構成されたシール部材20がその弾性力によって装着され、水などの液体が筐体50の内部に浸入するのを防止するためのシール部材20と、揺動スイッチノブ10と、を含んで構成される。また、付勢伝達体30a,30b(図10参照)の上端部31a,31bが、シール部材20に挿通されている。
【0019】
図4に、筐体50の上部に形成される開口部55の一例を示す。開口部55の周縁部には、開口部形成面方向に突出してシール部材20(例えば図9の64で示される領域)を支持するための支持部53が形成されている。これによりシール部材20の装着時の変形を防ぎ、シール部材20を筐体50に確実に装着することができ、防水性をより高めることができる。また、防塵性を高めることもできる。
【0020】
以降、図10を用いて、揺動スイッチユニット1の構成の詳細について説明する。図10は、図3において揺動スイッチノブ10が組み着けられたときのX−X断面を表したものである。
【0021】
揺動スイッチユニット1は、例えばABS樹脂製の筐体50と、筐体50に設けられた揺動支点となる係合凸部51が、その係合孔部12(図14参照)に双方向に揺動可能に取り付けられた揺動スイッチノブ10と、揺動スイッチノブ10の揺動端11a,11bに対応して設けられたプッシュ式スイッチ素子をなす1対のタクトスイッチ40a,40bと、揺動スイッチノブ10と連動する形で双方向に揺動可能に設けられ、揺動スイッチノブ10の一方の揺動端11a,11bが押圧付勢されるに伴い、当該押圧付勢力をタクトスイッチ40a,40bに伝達する付勢伝達体30a,30bと、を備えて構成されている。これにより、揺動スイッチノブ10の揺動長手方向における揺動端11a,11bに押圧操作が加わるに伴い、対応する付勢伝達体30a,30bが対応するタクトスイッチ40a,40bに向けて接近する向きに揺動変位する。
【0022】
揺動スイッチノブ10は、図13,図14のように、押圧付勢操作方向の手前側の面に意匠面が形成され、かつ押圧付勢操作方向後方に開口する中空のフランジ形状を有するノブ本体13と、ノブ本体13の内側において、揺動長手方向に所定の間隔を隔てて該押圧付勢操作方向に突出形成された揺動端11a,11bと、ノブ本体13の揺動長手方向の側面の中間位置において筐体の係合凸部51に対し揺動可能に組み付けられる係合孔部12とを備えており、ABS樹脂による樹脂射出成形体として形成されている。また、揺動スイッチノブ10の一方の揺動端11a,11bが押圧付勢されたとき、筐体50に形成された揺動ガイド部52に当接しながら揺動変位する。また、揺動ガイド部52に当接する領域が、14a,14bで示されている。
【0023】
図10に戻り、付勢伝達体30a,30bは、例えば、ABS樹脂による樹脂射出成形体として形成されている。図20のように、付勢伝達体30aは、断面が略櫛型形状となる、一方の垂直面が開放状態となった直方体で構成される本体部33aと、本体部33aから揺動スイッチノブ10の揺動端11aに向けて突出し、略円柱形状をなす上端部31aと、本体部33aからタクトスイッチ40aに向けて突出し、略円柱形状をなす下端部32aとにより構成される(30bについても同様)。図10では、図20におけるY−Y方向から見た断面図が示されている。
【0024】
なお、上端部31a,31bの先端の揺動端11a,11bと当接する部分も略円柱形状であるが、揺動端11a,11bの押圧付勢力を確実に伝達するために、(例えば、揺動端11a,11bの形状に合わせた)多角柱形状のような他の形状としてもよい。また、下端部32a,32bの先端は略テーパー形状となっているが、押圧付勢力を対応するタクトスイッチ40a,40bに確実に伝達するために、上端部31a,31bと同様の略円柱形状のような他の形状としてもよい。
【0025】
付勢伝達体30a,30bは、対応するタクトスイッチ40a,40bに向かって延出形成されて該タクトスイッチ40a,40bを付勢するものであり、上端部31a,31bは、揺動スイッチノブ10の対応する揺動端11a,11bと常に接触した状態、あるいは予め定められた間隙を設けて配置されている。また、下端部32a,32bは、タクトスイッチ40a,40bの先端部41a,41bと常に接触した状態、あるいは予め定められた間隙を設けて配置されている。
【0026】
タクトスイッチ40a,40bは、揺動スイッチノブ10の揺動端11a,11bに対応し、操作押圧方向の後端に設けられるものであり、基板60の予め定められた基準方向(図10の左右方向)に所定の間隔を隔てて配置され、揺動スイッチノブ10の揺動端11a,11bへの押圧付勢及び付勢解除により導通状態が切り替わるように構成されている。なお、タクトスイッチ40a,40bには、押圧操作面を有する先端部41a,41bが押圧付勢されるに伴い操作節度感(クリック感)を発生させるようになっている。
【0027】
図5〜図9を用いて、シール部材20の構成について説明する。図5にシール部材20の斜視図(符号は一部省略)を、図6にシール部材20の揺動スイッチノブ10側に相当する上面図および側面図を、図7にシール部材20の正面図を、図8に図6におけるA−A断面図を、図9に図6にシール部材20のタクトスイッチ40a,40b側に相当する下面図およびそのB−B断面図を示す。
【0028】
シール部材20には、付勢伝達体30a,30bの上端部31a,31bを挿通する、略円形状の貫通孔21a,21bが形成され、これら上端部31a,31bとはシール部材20の弾性力にて当接している。
【0029】
貫通孔21a,21bが含まれる領域25は、それ以外の領域24a,24bよりも厚みが薄くなっている。すなわち、貫通孔21a,21bに近づくにつれて断続的に薄くなっている。領域24a,24bから領域25(あるいは貫通孔21a,21b)までの厚みの変化を斜面形状として連続的に薄くする構成としてもよい。これにより、シール部材20の強度を十分なものとするとともに、貫通孔の周縁部29a,29bの弾性変形をより容易なものとしている(詳細は後述)。
【0030】
また、シール部材20の上面には、揺動スイッチノブ10の突起部13a、13b(図13,図14参照)により押圧付勢される上面凸部22a,22bが設けられている(動作および作用については後述)。また、上面凸部22a,22bを接続する上面接続凸部23も形成されて、略H型形状をなしている。これにより、シール部材20の強度を十分なものとするとともに、上面凸部22a,22bの筐体50の開口部55の周縁(例えば揺動ガイド部52)方向への弾性付勢力をより大きくし、シール部材20の筐体50への装着を確実なものとしている。
【0031】
また、シール部材20には、凹部27a,27bが形成され、筐体50に形成された揺動ガイド部52に、シール部材20(例えば、上面凸部22a,22b,上面接続凸部23)の有する弾性付勢力をもって装着される。これにより、揺動ガイド部52の三方を囲むようにシール部材20を装着することで、シール部材20がガタついたりすることもなく、筐体50に確実に装着することができる。
【0032】
なお、略矩形状をなすシール部材20の各頂点には、切り欠き部26が形成されているが、これら切り欠き部のない構成としてもよい。また、切り欠き部26が形成されていることで、揺動スイッチノブ10とシール部材20との干渉を少なくし、揺動スイッチノブ10の可動範囲を広くすることもできる。
【0033】
特に図7〜図9において、シール部材20の下面には、筐体50への装着を確実に行うための下面凸部61a,61b,62a,62bが形成されている。また、下面凸部62a,62bを接続する下面接続凸部63も形成されて、略H型形状をなしている。これにより、シール部材20の強度を十分なものとするとともに、下面凸部62a,62bの筐体50の開口部55の周縁方向への弾性付勢力をより大きくしている。そして、これら下面凸部61a,61bが、支持部53と筐体50の周縁とが形成する空間55a,55c(図4参照)に挿入され、また、下面凸部62a,62bが、2つの支持部53の間の空間55b,55d(図4参照)に挿入されることで、それぞれの部材の有する弾性付勢力をもってシール部材20は筐体50に確実に装着される。
【0034】
図11,図12を用いて、シール部材20の貫通孔21a,21bの詳細について、貫通孔21aの断面図を例に挙げて説明する。図11のように(図9の断面図にもあるように)、貫通孔21aの周縁部29aは、シール部材20の他の部分に比べて、操作スイッチノブ10に向かって(すなわち、押圧付勢力の伝達方向とは逆方向)、孔径が連続的あるいは断続的に縮小する形態で、貫通孔21aの周方向に向かって連続的あるいは断続的に突出する突出部を形成している(あるいは突出部を含んでいる)。この周縁部29aは、貫通孔21aに挿通される付勢伝達体30aの上端部31aに弾性力をもって当接している。これにより、付勢伝達体30aのガタつきを抑えることもできる。
【0035】
図12のように、揺動スイッチノブ10の揺動端11aに押圧操作が加わると、付勢伝達体30aの上端部31aが、タクトスイッチ40aの方向へ移動する。このとき、付勢伝達体30a(端部31a)と周縁部29aとの当接面Pにおいて生ずる摩擦力が、付勢伝達体30aに印加される押圧付勢力よりも大きくなるように、シール部材20および付勢伝達体30aの材質を選定することで、周縁部29aは上端部31a上を滑ることなく当接した状態を保って弾性変形する。これにより、周縁部29aと上端部31aとの間に空隙が生じ防水性を損なうことを防止できる。
【0036】
図13に、揺動スイッチノブ10の内側(下側)の模式図を示す。また、図14に揺動スイッチノブ10の側面図を示す。揺動スイッチノブ10の内側(下側)には、シール部材20の上面凸部22a,22bを押圧付勢するための突起部13a,13bが設けられている。図15に突起部13a周辺における揺動スイッチノブ10の長手方向の断面図を示す。図15においては、筐体50は省いてある。このように、揺動スイッチノブ10からシール部材20に押圧付勢力が常時印加されていることで、シール部材20の筐体への装着を確実なものとしている。無論、この押圧付勢力は、揺動スイッチノブ10の動作に影響を及ぼさないものとなっている。
【0037】
揺動スイッチノブ10の一方の揺動端11a,11bが押圧付勢されたとき、対応する上面凸部22a,22bは、突起部13a,13bにより押圧された方向にさらに弾性変形する(図16は揺動端11aを押圧した場合)。そして、揺動端(11a,11b)が押圧付勢されなくなると、上面凸部22a,22bの弾性変形時の復元力により、揺動スイッチノブ10は元の位置(中立位置)に戻る。
【0038】
また、揺動スイッチノブ10(突起部13a,13b)が、シール部材の凸部22a,22bに押圧付勢された状態で、筐体50に取り付けられていることにより、揺動スイッチノブ10の押圧時のガタつき、車両走行時の揺動スイッチノブ10の振動およびその振動によって発生する騒音を抑えることができる。さらに、ユーザに対し適度な押し応えを感じさせることもできる。
【実施例2】
【0039】
図17を用いて、本発明に係る揺動スイッチユニット1の実施例の別例について説明する。なお、本実施例は、上述の実施例1の変形例であるため、同一の構成のものについては同一の符号を付与し、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0040】
図21の上面図のように、開口部55を覆うシール部材201は、上述の実施例のシール部材20とほぼ同じ構成で、相違点は貫通孔(21a,21b)がないことである。つまり、シール部材201は、開口部55の全面を覆って、水などの液体の浸入を防止している。
【0041】
また、付勢伝達体30a,30bの上端部31a,31bの形状は、円柱形状でなくてもよく、多角柱形状でもよい。
【0042】
図17のように、揺動スイッチノブ10の揺動端11a,11bは、シール部材201の上面と常に接触した状態、あるいは予め定められた間隙を設けて配置されている。また、付勢伝達体30a,30bの上端部31a,31bも、シール部材201の下面と常に接触した状態、あるいは予め定められた間隙を設けて配置されている。また、シール部材201の厚みは、揺動端11a,11bおよび上端部31a,31bが当接する部分(図21の25)を、他の部分(図21の24a,24b)よりも薄くすれば(すなわち、図6で貫通孔21a,21bに相当する箇所も周囲と同じ厚さとしたとき)、揺動端11a,11bからの押圧付勢力を、効率よく付勢伝達体30a,30bへ伝達することができる。
【0043】
揺動スイッチノブ10の揺動端11a,11bが、シール部材201の上面と常に接触した状態で配置されていれば、図13,図15の揺動スイッチノブ10の構造と合わせて、防振・防音の効果を期待できる。また、付勢伝達体30a,30bの上端部31a,31bが、シール部材201の下面と常に接触した状態配置されていれば、同様の効果を期待できる。
【0044】
上記構成において、揺動スイッチノブ10の一方の揺動端11a,11bが押圧付勢されたとき、その押圧付勢力がシール部材201を介して、対応する付勢伝達体30a,30bに伝達され、付勢伝達体30a,30bの下端部32a,32bが、対応するタクトスイッチ40a,40bの先端部41a,41bを押圧付勢する。
【実施例3】
【0045】
図18を用いて、本発明に係る揺動スイッチユニット1の実施例の別例について説明する。なお、本実施例は、上述の実施例2の変形例であるため、同一の構成のものについては同一の符号を付与し、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0046】
実施例2と異なるのは、シール部材202は、筐体50の上端の開口部55ではなく、付勢伝達体30a,30bとタクトスイッチ40a,40bの先端部41a,41bとの間の開口面54に、その弾性力により装着されていることである。そして、シール部材202は、開口面54の全面を覆って、水などの液体の浸入を防止している。
【0047】
また、付勢伝達体30a,30bはシール部材201に挿通されないため、上端部31a,31bはなく、揺動スイッチノブ10の揺動端11a,11bは、付勢伝達体30a,30bの本体部33a,33bと常に接触した状態、あるいは予め定められた間隙を設けて配置されている。
【0048】
また、付勢伝達体30a,30bの下端部32a,32bは、シール部材202の上面と常に接触した状態、あるいは予め定められた間隙を設けて配置されている。また、タクトスイッチ40a,40bの先端部41a,41bは、シール部材202の下面と常に接触した状態、あるいは予め定められた間隙を設けて配置されている。
【0049】
上記構成において、揺動スイッチノブ10の一方の揺動端11a,11bが押圧付勢されたとき、その押圧付勢力が対応する付勢伝達体30a,30b(本体部33a,33b)に伝達され、下端部32a,32bが、シール部材202を介して、押圧付勢力を対応するタクトスイッチ40a,40bの先端部41a,41bに伝達する。シール部材202の厚みは、下端部32a,32bおよび先端部41a,41bが当接する部分を、他の部分よりも薄くすれば、付勢伝達体30a,30bからの押圧付勢力を、効率よくタクトスイッチ40a,40bへ伝達することができる。
【0050】
また、シール部材202の上部と付勢伝達体30a,30b(本体部33a,33b)との間に、弾性部材70を配置してもよい。弾性部材70は、揺動スイッチノブ10一方の揺動端11a,11bが押圧付勢されて付勢伝達体30a,30bのいずれかが移動したときに、その付勢伝達体により押圧されて弾性変形する。そして、揺動端(11a,11b)が押圧付勢されなくなると、弾性変形時の復元力により付勢伝達体30a,30bを押し上げ、揺動スイッチノブ10を元の位置(中立位置)に戻す。
【0051】
本実施例との比較のために、図19に、従来技術による揺動スイッチユニット1の構成例について示す。図18の例と異なるのは、シール部材202のない点のみである(同一の構成については一部の符号を省略)。図19の構成では、揺動スイッチユニット1の上部(すなわち揺動スイッチノブ10の近辺)から水などの液体が筐体50内に浸入すると、タクトスイッチ40a,40bの取り付けられた基板60まで容易に到達してしまう。一方、図18の例では、水などの液体が筐体50内に浸入しても、シール部材202によって基板60の到達を防止できる。
【0052】
また、図18の例では、シール部材202が付勢伝達体30a,30bの振動を吸収する効果もあるので、付勢伝達体30a,30bあるいは揺動スイッチノブ10のガタつきやそれに伴う騒音の発生を防止することもできる。
【0053】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 揺動スイッチユニット
10 揺動スイッチノブ
11a,11b 揺動端
13a,13b 突起部
20 シール部材
21a,21b 貫通孔
22a,22b 上面凸部
29a,29b 周縁部(突出部)
30a,30b 付勢伝達体
31a,31b 上端部
32a,32b 下端部
40a,40b タクトスイッチ
50 筐体
55 開口部
53 支持部
61a,61b 下面凸部
62a,62b 下面凸部
100 操作ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に、双方向に揺動可能に取り付けられた揺動スイッチノブと、
前記筐体内に、前記揺動スイッチノブの各揺動端に対応して設けられた1対のタクトスイッチと、
前記筐体に収納・支持され、前記揺動スイッチノブの各揺動端と対応する前記タクトスイッチとの間に介在し、該揺動スイッチノブの一方の揺動端が押圧付勢されるに伴い、当該押圧付勢力を前記タクトスイッチに伝達する1対の付勢伝達体と、
前記筐体に設けられて、前記押圧付勢力を前記付勢伝達体に伝達可能な形状に開口された開口部と、
弾性部材により構成されて前記開口部形成面を覆い、該開口部の周縁に弾性付勢力により装着され、前記揺動スイッチノブおよび前記付勢伝達体に当接したシール部材と、を備え、
前記付勢伝達体は、前記揺動スイッチノブの一方の揺動端が押圧付勢されるに伴い、前記シール部材を介して伝達される当該押圧付勢力を前記タクトスイッチに伝達することを特徴とする揺動スイッチユニット。
【請求項2】
前記揺動スイッチノブは、前記シール部材に予め定められた付勢力を印加した状態で、該シール部材と当接しており、
前記揺動スイッチノブの一方の揺動端が押圧付勢されたときに、前記付勢力および前記押圧付勢力の反力によって、前記揺動スイッチノブが中立位置に戻る請求項1に記載の揺動スイッチユニット。
【請求項3】
前記開口部の周縁部には、前記開口部形成面方向に突出し、前記シール部材を支持する支持部が形成される請求項1または請求項2に記載の揺動スイッチユニット。
【請求項4】
前記シール部材の厚みは、前記揺動端および前記付勢伝達体が当接する部分が、他の部分よりも薄くなるように形成されている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の揺動スイッチユニット。
【請求項5】
筐体に、双方向に揺動可能に取り付けられた揺動スイッチノブと、
前記筐体内に、前記揺動スイッチノブの各揺動端に対応して設けられた1対のタクトスイッチと、
前記筐体に収納・支持され、前記揺動スイッチノブの各揺動端と対応する前記タクトスイッチとの間に介在し、該揺動スイッチノブの一方の揺動端が押圧付勢されるに伴い、当該押圧付勢力を前記タクトスイッチに伝達する1対の付勢伝達体と、
弾性部材により構成されて、前記付勢伝達体と前記タクトスイッチとの間に介在し、前記筐体に弾性付勢力により装着され、該付勢伝達体および該タクトスイッチに当接したシール部材と、を備え、
前記付勢伝達体は、前記揺動スイッチノブの一方の揺動端が押圧付勢されるに伴い、伝達される当該押圧付勢力を、前記シール部材を介して前記タクトスイッチに伝達することを特徴とする揺動スイッチユニット。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−209273(P2012−209273A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−169535(P2012−169535)
【出願日】平成24年7月31日(2012.7.31)
【分割の表示】特願2008−282048(P2008−282048)の分割
【原出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】