説明

揺動スイッチ

【課題】厚み方向(操作つまみの揺動軸線方向)の寸法の薄型化が図れ、且つ構造が簡単で確実に動作させることができる揺動スイッチを提供する。
【解決手段】ケース10と、操作つまみ60と、操作つまみ60の揺動運動を直線運動に変換する運動方向変換連結部を介して操作つまみ60に連結されるスライド部材100と、ケース10内の底面に直列に設置される一対ずつで2組の固定接点体130及び可動接点体支持体150と、各可動接点体支持体150上にそれぞれ当接して揺動自在に軸支され、固定接点141に接離する可動接点181を有する一対の可動接点体170と、ケース10内に設置され揺動軸223を中心に揺動するとともに先端の当接部aが各可動接点体170の表面にそれぞれ当接しながら移動することで可動接点体170を揺動操作する一対の操作体210とを具備する。両操作体210をスライド部材100によって同時に同一方向に向けて駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作つまみの揺動によってスイッチ接点を切り換える揺動スイッチ(シーソースイッチ)に関し、特に電源のオンオフに用いて好適な揺動スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、揺動型の電源スイッチ(電源のオンオフに用いるスイッチ)の中には、たとえば特許文献1の第4図,第5図に示す揺動スイッチのように、下ケース(8)内に2組(一対ずつ)の固定端子(10)及び支持端子(9)を左右並列に収納・設置し、それぞれ一対の支持端子(9)の上辺上にそれぞれ一対の接点板(11)を揺動自在に軸支し、下ケース(8)の上部に設置された1つのレバー部(4)及び一対の旋動体(5)を揺動することで両旋動体(5)内部の圧縮バネ(6)によって弾発されているロッド(7)の先端を両接点板(11)の上面に当接しながら摺動させ、これによって両接点板(11)を同時に揺動操作(オンオフ操作)する構造の揺動スイッチがある。即ちこの揺動スイッチは、1つのレバー部(4)によって2つのスイッチを同時にオンオフさせる機能を有する電源スイッチであり、たとえば双極単投スイッチとして使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3−92331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の揺動スイッチにおいては、2つのスイッチが1つの下ケース(8)内に左右並列に設置されているため、厚み方向(レバー部(4)の揺動軸線方向)の寸法の薄型化が図れないという問題があった。すなわち近年この種の揺動スイッチを取り付ける電子機器の薄型化に対応して、その厚みの薄型化が求められていたが、上記従来例の構造の揺動スイッチにおいてはこの要望に答えられなかった。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、厚み方向(操作つまみの揺動軸線方向)の寸法の薄型化が図れ、且つ構造が簡単で確実に動作させることができる揺動スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に記載の発明は、ケースと、前記ケースの上部に設置され回動軸を中心に揺動自在に支持される操作つまみと、前記ケース内に直線移動自在に設置され、前記操作つまみの揺動運動を直線運動に変換する運動方向変換連結部を介して前記操作つまみに連結されるスライド部材と、前記ケース内の底面に前記スライド部材の直線移動方向に向けて直列に設置される一対ずつで2組の固定接点体及び可動接点体支持体と、前記各可動接点体支持体上にそれぞれ当接して揺動自在に軸支され、前記固定接点体に設けた固定接点に接離する可動接点を有する一対の可動接点体と、ケース内に設置され揺動軸を中心に揺動するとともに先端の当接部が前記各可動接点体の表面にそれぞれ当接しながら移動することで可動接点体を揺動操作する一対の操作体とを具備し、前記両操作体を前記スライド部材によって同時に同一方向に向けて駆動する構成とすることによって、両操作体を同時に揺動してそれらの当接部を同時に両可動接点体の上面で移動させて両可動接点体を揺動し2組の可動接点と固定接点間を同時に接離することを特徴とする揺動スイッチにある。
【0007】
本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の揺動スイッチにおいて、前記運動方向変換連結部は、前記スライド部材の前記一対の操作体と係合している間の位置にあり、前記操作つまみまたはスライド部材の何れか一方に設けたスライド軸と、何れか他方に設けられ前記スライド軸を係合する軸係合溝とを具備することによって、前記操作つまみの揺動によって前記スライド軸を軸係合溝内において相対的に回動させながら直線方向に移動する構成であることを特徴とする揺動スイッチにある。
【0008】
本願請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の揺動スイッチにおいて、前記各操作体は揺動軸を中心に揺動自在で且つ揺動軸自体が上下動可能にケース内に設置され、かつ弾発手段によってその当接部方向に向けて弾発されており、一方前記スライド部材には、前記各操作体を挿入することで係合する操作体挿入部が設けられていることを特徴とする揺動スイッチにある。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、2組の固定接点体及び可動接点体支持体及び可動接点体(以下「スイッチ本体」という)の各々を直列(直線状)に配置しているので、厚み方向(操作つまみの揺動軸線方向)の寸法の薄型化が図れる。また操作つまみと一対の操作体間にスライド部材を介在するだけで、操作つまみの揺動運動をスライド部材の直線運動に変換して両操作体を操作できるので、構造が簡単であると同時にスイッチ動作を確実に行わせることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、簡単な構造の運動方向変換連結部を提供できる。また運動方向変換連結部は、スライド部材の一対の操作体と係合している間の位置にあるので、バランス良くスムーズに一対の操作体を駆動することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、操作体が可動接点体の表面に当接しながら移動する動作をスムーズに行わせることができる。また操作体挿入部を設けることで、スライド部材による各操作体の操作・駆動もスムーズに行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】揺動スイッチ1の概略側断面図である。
【図2】揺動スイッチ1の平面図である。
【図3】ケース10を示す図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は断面図(図3(a)のA−A断面図)、図3(c)は底面図である。
【図4】上ケース40を示す図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は断面図(図4(a)のC−C断面図)、図4(c)は右側面図である。
【図5】操作つまみ60を示す図であり、図5(a)は平面図、図5(b)は正面図である。
【図6】スライド部材100を示す図であり、図6(a)は平面図、図6(b)は断面図(図6(a)のD−D断面図)、図6(c)は底面図、図6(d)は右側面図である。
【図7】固定接点体130を示す図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は正面図、図7(c)は右側面図である。
【図8】可動接点体支持体150を示す図であり、図8(a)は正面図、図8(b)は右側面図である。
【図9】可動接点体170を示す図であり、図9(a)は平面図、図9(b)は正面図、図9(c)は右側面図である。
【図10】スイッチ作動体220を示す図であり、図10(a)は平面図、図10(b)は正面図、図10(c)は左側面図である。
【図11】回転体240を示す図であり、図11(a)は正面図、図11(b)は平面図である。
【図12】操作つまみ支持体260を示す図であり、図12(a)は平面図、図12(b)は断面図(図12(a)のE−E断面図)である。
【図13】揺動スイッチ1−2の概略側断面図である。
【図14】固定接点体130Aを示す図であり、図14(a)は固定接点体130Aの正面図、図14(b)は固定接点体130Aの右側面図である。
【図15】可動接点体支持体150Aを示す図であり、図15(a)は可動接点体支持体150Aの正面図、図15(b)は可動接点体支持体150Aの右側面図である。
【図16】固定接点体130Bを示す図であり、図16(a)は固定接点体130Bの正面図、図16(b)は固定接点体130Bの右側面図である。
【図17】可動接点体支持体150Bを示す図であり、図17(a)は可動接点体支持体150Bの正面図、図17(b)は可動接点体支持体150Bの右側面図である。
【図18】コイルバネ280Aを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第1実施形態にかかる揺動スイッチ1の概略側断面図、図2は揺動スイッチ1の平面図である。なお図1における各部の断面の位置は説明の都合上各部で異なっている。また以下の説明において、「上」とはスライド部材100から操作つまみ60側を見る方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとする。
【0014】
図1に示すようにスイッチ1は、ケース10と、ケース10の上面を覆う上ケース40と、上ケース40の上部に設置される操作つまみ60と、ケース10内に直線移動自在に設置されるスライド部材100と、ケース10内の底面にスライド部材100の直線移動方向に向けて直列に設置される一対ずつで2組の固定接点体130及び可動接点体支持体150と、各可動接点体支持体150上にそれぞれ当接して揺動自在に軸支され、固定接点体130に設けた固定接点141に接離する可動接点181を有する一対の可動接点体170と、ケース10内に設置され揺動軸223を中心に揺動するとともに先端の当接部 aが前記各可動接点体170の表面にそれぞれ当接しながら移動することで可動接点体170を揺動操作する一対の操作体210と、を具備して構成されている。以下各構成部品について説明する。
【0015】
図3はケース10を示す図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は断面図(図3(a)のA−A断面図)、図3(c)は底面図である。同図に示すようにケース10は合成樹脂材(熱硬化性樹脂材または熱可塑性樹脂材)を、厚み(下記する操作つまみ60の回動軸61の軸線方向(矢印B方向)の寸法)の薄い横長の矩形箱型に成形して構成されている。ケース10の内部には上面が開口した収納部11が形成されており、収納部11の中央には底面から突出して収納部11を2つの部分に仕切る仕切り壁13が設けられている。仕切り壁13の上辺は収納部11のほぼ中央までの高さに位置し、スライド部材載置部15となっている。収納部11の長手方向の両端内側面には、段部が設けられてそれら段部の上面もスライド部材載置部17,17となっている。仕切り壁13によって2つに仕切られたそれぞれの収納部11の対向する左右両内側面には、それぞれ上端辺から下方向に向かって切り欠き凹状に延びる軸係止部19,19が設けられている。仕切り壁13によって2つに仕切られたそれぞれの収納部11の底面には、上下に貫通する一対ずつ2組の挿通孔21及び挿通孔23が設けられている。なお上記両軸係止部19,19は、上記両挿通孔23,23のほぼ真上の位置に位置している。
【0016】
図4は上ケース40を示す図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は断面図(図4(a)のC−C断面図)、図4(c)は右側面図である。上ケース40は金属板製で、上記ケース10とともにケースの一部を構成する部品であり、ケース10の上面を覆う寸法形状の矩形状の上面板41と、上面板41の長手方向を向く両側辺から下方向に折り曲げてなる一対の側面板43,43と、両側面板43,43の下端辺の両端部近傍から下方向に向かって突出する舌片状の係止部45とを具備して構成されている。上面板41のほぼ中央には矩形状の開口部47が形成され、その両側には小孔からなる一対の取付孔49が形成されている。
【0017】
図5は操作つまみ60を示す図であり、図5(a)は平面図、図5(b)は正面図である。同図に示すように操作つまみ60は、合成樹脂材を略矩形状に成形して構成されており、その左右両側面の中央下部から外方に向けて一対の回動軸61を突出し、またその底面のほぼ中央から下方向に向けて略柱状のスライド部材駆動部63を突出し、その底面に前記回転軸61の軸方向を向く凹状の軸係合溝65を設けている。すなわち軸係合溝65は回動軸61の真下に位置して回動軸61の軸方向と同一方向を向いて配置されている。軸係合溝65は半円弧状の底部651から平行な両側壁部653を下方向に伸ばしており、両側壁部653の離間距離は、下記するスライド部材100のスライド軸103の直径の寸法とほぼ同一である。つまり軸係合溝65は、下記するスライド軸103を挿入して相対的に回動させながら直線方向に移動できる寸法形状に形成されている。この軸係合溝65とスライド軸103によって運動方向変換連結部が構成される。
【0018】
図6はスライド部材100を示す図であり、図6(a)は平面図、図6(b)は断面図(図6(a)のD−D断面図)、図6(c)は底面図、図6(d)は右側面図である。スライド部材100は合成樹脂材を横長の略四角柱状に成形して構成されており、前記ケース10の収納部11内にほぼぴったり収納でき、且つそのスライド方向(スライド部材100の長手方向)に所定寸法スライド自在となる寸法形状に形成されている。スライド部材100の上面中央には、その長手方向を向く両側辺から上方向に向かって突出する略三角板状の軸支持部101,101が設けられ、両軸支持部101,101の上部中央間を連結するように円柱状のスライド軸103を架け渡している。スライド部材100の上面のスライド軸103の左右両側位置には、上下に貫通する操作体挿入部105,105が設けられている。スライド部材100の底面の両操作体挿入部105,105の周囲は、略四角錐台形状に突出する突出部107,107となっており、その先端の開口部109の対向する一対の内周辺(スライド部材100のスライド方向に直交する内周辺)が下記する操作体210を押圧動作する押圧部111となっている。スライド部材100の上面の長手方向を向く両側辺の所定位置2か所ずつには上方向に向かって平板状の突出部113が突出している。
【0019】
図7は固定接点体130を示す図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は正面図、図7(c)は右側面図である。同図に示すように固定接点体130は、金属板を略L字状に折り曲げその一方の面を接点取付部133、他方の面を端子部135としてなる固定端子131と、前記接点取付部133の上面側に取り付けられる固定接点141とを具備して構成されている。なおこの実施形態に用いている端子部135は、プリント回路基板に設けた孔に挿入して半田付けするプリント回路基板用端子である。
【0020】
図8は可動接点体支持体150を示す図であり、図8(a)は正面図、図8(b)は右側面図である。可動接点体支持体150は1枚の金属板の上部を幅の広い可動接点体支持部151、下部を幅の狭い端子部161として構成されている。可動接点体支持部151の上辺は下記する可動接点体170を揺動自在に支持する支持部153となっており、支持部153の左右両端部には上方向に向かって突出する可動接点体係止部155が設けられている。なおこの端子部161も、プリント回路基板に設けた孔に挿入して半田付けするプリント回路基板用端子である。
【0021】
図9は可動接点体170を示す図であり、図9(a)は平面図、図9(b)は正面図、図9(c)は右側面図である。同図に示すように可動接点体170は、略帯状の金属板の一方の端部近傍部分の下面に可動接点181を取り付け、もう一方の端部近傍部分を上方向にほぼ直角に折り曲げて構成されている。可動接点体170の長手方向を向く両側辺のほぼ中央位置には、前記可動接点体支持体150の両可動接点体係止部155に係止される凹状の切り欠きからなる係止部171が設けられている。可動接点体170の前記上方向に折り曲げられた部分の下面側の折り曲げ辺の部分は、ケース10の収納部11の底面に当接する当接係止部173となっている。
【0022】
図10は操作体210を構成するスイッチ作動体220を示す図であり、図10(a)は平面図、図10(b)は正面図、図10(c)は左側面図である。同図に示すようにスイッチ作動体220は、合成樹脂材を略四角柱状(縦長薄板状)に成形して構成されている。スイッチ作動体220の上端面中央には、下記するコイルバネ280を挿入する弾発部材挿入部221が形成されている。スイッチ作動体220の左右両側面の上端近傍部分からは一対の揺動軸223,223が突出している。またスイッチ作動体220の下端部には、下記する回転体240の本体部241を挿入する溝状の挿入部225が設けられ、この挿入部225の両側の部分には、揺動軸223の軸方向と平行な方向に向かう一対の略円形の溝からなる軸支持部227,227が形成されている。軸支持部227は下記する回転体240の軸部243を回動自在に支持するものであり、その下端部は下方に向かって解放されていて、下記する軸部243をスナップイン方式で挿入できるようになっている。
【0023】
図11は操作体210を構成する回転体240を示す図であり、図11(a)は正面図、図11(b)は平面図である。同図に示すように回転体240は合成樹脂材製であり、円板状の本体部241の左右両側面の中心位置から回転軸方向に一対の円柱状の軸部243を突出して構成されている。この回転体240の本体部241の外周面は、可動接点体170の表面(上面)に当接(弾接)する当接部a(図1参照)となる。
【0024】
図12は操作つまみ60を上ケース40の上部に揺動自在に保持するのに用いる操作つまみ支持体260を示す図であり、図12(a)は平面図、図12(b)は断面図(図12(a)のE−E断面図)である。同図に示すように操作つまみ支持体260は合成樹脂材製であり、略矩形状の基部261の対向する両側辺から上方向に向かって一対の略三角形状の軸支持部263を立設し、また基部261の中央に上下に貫通する矩形状の挿通孔265を設け、さらに基部261の下面の挿通孔265の両側部分に一対の小突起状の取付部267を設けて構成されている。前記両軸支持部263の上部中央の対向する位置には、一対の軸支孔269が形成されている。軸支孔269は前記操作つまみ60の回動軸61を回動自在にぴったり挿入する寸法に形成されている。また前記取付部267は前記上ケース40の取付孔49をぴったり挿入できる寸法に形成されている。
【0025】
次に揺動スイッチ1の組み立て方法の一例を説明する。まず予めケース10の各挿通孔21に固定接点体130の端子部135を挿入して固定し、同様に各挿通孔23に可動接点体支持体150の端子部161を挿入して固定しておく。また上ケース40の開口部47上に、操作つまみ支持体260を載置し、その際操作つまみ支持体260の各取付部267を上ケース40の各取付孔49に挿入してその先端を上ケース40の下面で熱かしめして固定しておく。これによってケース10内の底面に、下記するスライド部材100の直線移動方向に向けて、一対ずつで2組の固定接点体130及び可動接点体支持体150(つまり4つの部品の全て)が直列に配置される。また各スイッチ作動体220の図10に示す挿入部225に図11に示す回転体240の本体部241を挿入し、その軸部243を軸支持部227にスナップイン方式で挿入して回動自在に取り付けることで、操作体210を完成させておく。
【0026】
そして前記ケース10の収納部11内の各可動接点体支持体150の支持部153上に可動接点体170を載置し、その際支持部153の両側の可動接点体係止部155に可動接点体170の係止部171を係止することによって、可動接点体170を支持部153上に揺動自在に軸支する。
【0027】
次にケース10の収納部11内にスライド部材100を収納し、その下面をケース10のスライド部材載置部15,17上に載置する。次にスライド部材100の各操作体挿入部105内に操作体210を挿入する。その際各スイッチ作動体220の揺動軸223をケース10の各軸係止部19に挿入することで、操作体210を揺動軸223を中心に回動自在で且つ軸係止部19内を直線状に上下動できるように支持する。次に各スイッチ作動体220の弾発部材挿入部221に弾発部材であるコイルバネ280を挿入する。なお図1では、向かって左側のスイッチ作動体220にコイルバネ280を挿入した部分を示し、右側のスイッチ作動体220に揺動軸223と軸係止部19の係合関係を示しているが、両者は全く同一の構成であることは言うまでもない。コイルバネ280の上部はスイッチ作動体220の上端面から上方に突出する。
【0028】
次にケース10の上面を覆うように上ケース40を被せ、係止部45をケース10の裏面側に折り曲げることで両者を一体化する。さらに操作つまみ60を操作つまみ支持体260上に配置して操作つまみ60の両回動軸61を操作つまみ支持体260の両軸支孔269にスナップインによって挿入・係合し、回動自在に軸支する。このとき操作つまみ60のスライド部材駆動部63は操作つまみ支持体260の挿通孔265と上ケース40の開口部47とを貫通し、その先端の軸係合溝65がスライド部材100のスライド軸103に挿入・係合され、運動方向変換連結部が構成される。これによって揺動スイッチ1が完成する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0029】
このとき図1に示すように、スライド部材100の突出部113の上面は上ケース40の下面に当接または接近する。同時にコイルバネ280の上端面が上ケース40の下面に弾接し、これによって操作体210は可動接点体170方向に押圧されて回転体240の外周面の当接部aが可動接点体170の表面(上面)に弾接する。図1はスライド部材100が向かって右方向に移動している状態を示しており、スライド部材100に設けた両操作体挿入部105の押圧部111によって、両操作体210は同一方向(回転体240の当接部aが可動接点体170の可動接点体支持体150によって支持されている部分から見て可動接点181から離れている位置を弾発する方向)に傾いている。このとき可動接点体170の当接係止部173は、ケース10の収納部11の底面に当接し、可動接点体170はこの位置に保持され静止する。したがって何れの可動接点181も固定接点141から離間して位置しており、何れの端子部135,161間もオフ状態となっている。
【0030】
そして操作つまみ60の持ち上がっている側の上面を図1に示す矢印G方向に押圧すると、操作つまみ60は回動軸61を中心に回動し、回動(揺動)する軸係合溝65内をスライド軸103が相対的に回動しながら直線方向(軸係合溝65の長手方向)に移動し、これによって操作つまみ60の揺動運動がスライド部材100の直線運動に変換され、スライド部材100は図1に示す左方向に直線状に移動し、その際、両操作体挿入部105の押圧部111が同時に両操作体210のスイッチ作動体220の外周側面を左方向に押圧することで両操作体210は揺動軸223を中心に揺動し、可動接点体170の表面を先端の当接部aが当接しながら移動し、この当接部aが可動接点体支持体150の支持部153を越えた段階でコイルバネ280の弾発力によって可動接点体170は支持部153の部分を中心にして可動接点181が下降する方向に急速に揺動し、両可動接点181がそれぞれ同時に両固定接点141に当接し、それぞれ両端子部135,161間がオンする。上記操作体210が揺動する際は、同時に揺動軸223はケース10の軸係止部19内を上下方向に移動する。
【0031】
以上説明したように揺動スイッチ1は、ケース10(及び上ケース40)と、ケース10の上部に設置され回動軸61を中心に揺動自在に支持される操作つまみ60と、ケース10内に直線移動自在に設置され、操作つまみ60の揺動運動を直線運動に変換する軸係合溝65及びスライド軸103からなる運動方向変換連結部を介して操作つまみ60に連結されるスライド部材100と、ケース10内の底面にスライド部材100の直線移動方向に向けて直列に設置される一対ずつで2組の固定接点体130及び可動接点体支持体150と、各可動接点体支持体150上にそれぞれ当接して揺動自在に軸支され、固定接点体130に設けた固定接点141に接離する可動接点181を有する一対の可動接点体170と、ケース10内に設置され揺動軸223を中心に揺動するとともに先端の当接部aが各可動接点体170の表面にそれぞれ当接しながら移動することで可動接点体170を揺動操作する一対の操作体210とを具備し、両操作体210をスライド部材100によって同時に同一方向に向けて駆動する構成とすることによって、両操作体210を同時に揺動してそれらの当接部aを同時に両可動接点体170の上面で移動させて両可動接点体170を揺動し2組の可動接点181と固定接点141間を同時に接離するように構成されている。そしてこの揺動スイッチ1によれば、固定接点体130及び可動接点体支持体150及び可動接点体170からなる2組のスイッチ本体の各々を直列(直線状)に配置したので、厚み方向(操作つまみ60の揺動軸線方向)の寸法の薄型化が図れる。また操作つまみ60と一対の操作体210間にスライド部材100を介在するだけで、操作つまみ60の揺動運動をスライド部材100の直線運動に変換して両操作体210,210を操作できるので、構造が簡単であると同時にスイッチ動作を確実に行わせることができる。
【0032】
また揺動スイッチ1の運動方向変換連結部は、スライド部材100の一対の操作体210,210と係合している間の位置にあり、スライド部材100に設けたスライド軸103と、操作つまみ60に設けた軸係合溝65とを具備することによって、操作つまみ60の揺動によってスライド軸103を軸係合溝65内において相対的に回動させながら直線方向に移動する構成としている。このように構成することで、簡単な構造の運動方向変換連結部を提供できる。また前述のように運動方向変換連結部は、スライド部材100の一対の操作体210,210と係合している間の位置にあるので、バランス良くスムーズに一対の操作体210,210を駆動することができる。
【0033】
また揺動スイッチ1の各操作体210は揺動軸223を中心に揺動自在で且つ揺動軸223自体が上下動可能にケース10内に設置され、かつコイルバネ280によってその当接部a方向に向けて弾発されているので、操作体210が可動接点体170の表面に当接しながら移動する動作をスムーズに行わせることができる。一方スライド部材100には、各操作体210を挿入することで係合する操作体挿入部105が設けられているので、スライド部材100による各操作体210の操作・駆動もスムーズに行える。
【0034】
図13は本発明の第2実施形態にかかる揺動スイッチ1−2の概略側断面図である。同図に示す揺動スイッチ1−2において、前記図1〜12図に示す実施形態にかかる揺動スイッチ1と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図12に示す実施形態と同じである。この揺動スイッチ1−2において上記揺動スイッチ1と相違する点は、図13に示すように、ケース10の左右両外側面(スライド部材100のスライド方向に垂直な両外側面)に、それぞれ弾発係止部25を形成した点である。弾発係止部25は上下方向に延びて外方向に膨らむ略V字状の平板状のアームであり、弾性を有する。アームの上部の外側面には、図に仮想線で示す外装ケース300の揺動スイッチ挿入孔301の内周辺を弾発係合して揺動スイッチ1―2を外装ケース300に取り付ける凹凸状の係止部251が形成されている。なおこの実施形態に用いるケース10の材質としては、熱硬化性の合成樹脂材よりも可撓性を有する熱可塑性の合成樹脂材が好適である。
【0035】
なお図1に示す揺動スイッチ1の場合、外装ケースへの取付構造については何ら記載していないが、例えば上ケース40の上面板41の外周辺から外方に向けて取付部を突出して設け、この取付部にねじ挿入孔を設け、外装ケースの下面側に別途設置したシャーシに前記取付部をネジ止めなどの固定手段によって固定しても良い。また例えば前記上ケース40の側面板43から下方に向かって基板取付片を突出して設け、前記各端子部135,161を半田付けなどするプリント回路基板に前記基板取付片を係止することで揺動スイッチをプリント回路基板側に取り付けても良い。
【0036】
図14,図15はそれぞれ本発明の更に他の実施形態に用いる固定接点体130A,可動接点体支持体150Aを示す図であり、図14(a)は固定接点体130Aの正面図、図14(b)は固定接点体130Aの右側面図、図15(a)は可動接点体支持体150Aの正面図、図15(b)は可動接点体支持体150Aの右側面図である。両図に示す固定接点体130A,可動接点体支持体150Aにおいて、前記図1〜12図に示す固定接点体130,可動接点体支持体150と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図12に示す実施形態と同じである。これら固定接点体130A,可動接点体支持体150Aにおいて、前記図7,図8に示す固定接点体130,可動接点体支持体150と相違する点は、プリント回路基板への取付用の細い端子部135,161の代りに、その幅が広くて中央付近に小孔からなる係止部137,163を有する、いわゆるタブ端子の構成の端子部135A,161Aを用いた点である。タブ端子は、可撓性を有するリード線の先端に取り付けた金属製のメス型端子にこれを圧入し、その挟持力(圧接力)によって両者間(固定接点体130Aとリード線間、可動接点体支持体150Aとリード線間)を電気的・機械的に接続するものである。係止部137,163はこれにメス型端子が係止されることで両者間の抜けを防止するものである。この接続構造を用いた場合、揺動スイッチ1はプリント回路基板上に取り付けられないので、前述の図13に示すように弾発係止部25を用いて外装ケースに直接取り付けたり、シャーシにネジ止めすることで外装ケースの下面側に取り付けたりすればよい。
【0037】
図16,図17はそれぞれ本発明の更に他の実施形態に用いる固定接点体130B,可動接点体支持体150Bを示す図であり、図16(a)は固定接点体130Bの正面図、図16(b)は固定接点体130Bの右側面図、図17(a)は可動接点体支持体150Bの正面図、図17(b)は可動接点体支持体150Bの右側面図である。両図に示す固定接点体130B,可動接点体支持体150Bにおいて、前記図1〜12図に示す固定接点体130,可動接点体支持体150と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図12に示す実施形態と同じである。これら固定接点体130B,可動接点体支持体150Bにおいて、前記図7,図8に示す固定接点体130,可動接点体支持体150と相違する点は、プリント回路基板への取付用の細い端子部135,161の代りに、その幅が広くて中央付近にリード線取付孔139,165を有する、リード線半田付用端子の構成の端子部135B,161Bを用いた点である。このリード線取付孔139,165は、大径と小径の2つの円を重ね合わせた形状であり、リード線が取り付き易い形状となっているが、もちろん他の各種形状であっても良い。これら端子部135B,161Bは、可撓性を有するリード線の先端をリード線取付孔139,165内に挿入して巻き付け、巻き付けた部分を半田付けすることによって両者間(固定接点体130Bとリード線間、可動接点体支持体150Bとリード線間)を電気的・機械的に接続するものである。この接続構造を用いた場合も揺動スイッチ1はプリント回路基板上に取り付けられないので、前述の図13に示すように弾発係止部25を用いて外装ケースに直接取り付けたり、シャーシにネジ止めすることで外装ケースの下面側に取り付けたりすればよい。
【0038】
図18は本発明の更に他の実施形態に用いるコイルバネ280Aを示す図である。このコイルバネ280Aにおいて前記コイルバネ280と相違する点は、その上端部の径を拡大することによって径拡大部281を形成した点である。径拡大部281は上ケース40の下面に直接当接する部分であるが、前記コイルバネ280の場合は操作体210の揺動に伴ってコイルバネ280が揺動した際に、コイルバネ280の上端部の上ケース40の下面への当接状態が安定しなくなる恐れがあるが、このコイルバネ280Aのように径拡大部281を設ければ、操作体210の揺動に伴ってコイルバネ280Aが揺動した際でも、コイルバネ280Aの上端部全体が常に安定して上ケース40の下面の面に密着するので、その動作が安定する。
【0039】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記実施形態では、運動方向変換連結部を構成するスライド軸103をスライド部材100側に、軸係合溝65を操作つまみ60側に設けたが、逆にスライド軸103を操作つまみ60側に、軸係合溝65をスライド部材100側に設けてもよい。要は操作つまみ60の揺動運動を直線運動に変換してスライド部材100に伝達するように連結する構成であればどのような構成であってもよい。
【0040】
操作体210もスイッチ作動体220の先端に回転体240を取り付ける構造のものに限定されるものではなく、たとえば回転体240を省略してスイッチ作動体220の先端面を球面状に形成することで構成してもよい。要はケース内に設置され揺動軸を中心に揺動するとともに先端の当接部が可動接点体の表面に当接しながら移動することで可動接点体を揺動操作する構成であれば、どのような構成であってもよい。また上記実施形態では弾発手段としてコイルバネ280を用いたが、板バネなどの他の各種構造の弾発手段を用いてもよい。
【0041】
上記揺動スイッチ1においては上ケース40に操作つまみ支持体260を取り付けた構成としたが、上ケース40を合成樹脂材で構成し、その際前記操作つまみ支持体260を上ケース40を一体の成形しても良い。このように構成すれば部品点数が減少する。
【符号の説明】
【0042】
1 揺動スイッチ
10 ケース
40 上ケース
60 操作つまみ
61 回動軸
63 スライド部材駆動部
65 軸係合溝(運動方向変換連結部)
100 スライド部材
103 スライド軸(運動方向変換連結部)
105 操作体挿入部
111 押圧部
130 固定接点体
141 固定接点
150 可動接点体支持体
170 可動接点体
181 可動接点
210 操作体
220 スイッチ作動体
223 揺動軸
240 回転体
a 当接部
260 操作つまみ支持体
280 コイルバネ(弾発手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースの上部に設置され回動軸を中心に揺動自在に支持される操作つまみと、
前記ケース内に直線移動自在に設置され、前記操作つまみの揺動運動を直線運動に変換する運動方向変換連結部を介して前記操作つまみに連結されるスライド部材と、
前記ケース内の底面に前記スライド部材の直線移動方向に向けて直列に設置される一対ずつで2組の固定接点体及び可動接点体支持体と、
前記各可動接点体支持体上にそれぞれ当接して揺動自在に軸支され、前記固定接点体に設けた固定接点に接離する可動接点を有する一対の可動接点体と、
ケース内に設置され揺動軸を中心に揺動するとともに先端の当接部が前記各可動接点体の表面にそれぞれ当接しながら移動することで可動接点体を揺動操作する一対の操作体とを具備し、
前記両操作体を前記スライド部材によって同時に同一方向に向けて駆動する構成とすることによって、両操作体を同時に揺動してそれらの当接部を同時に両可動接点体の上面で移動させて両可動接点体を揺動し2組の可動接点と固定接点間を同時に接離することを特徴とする揺動スイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載の揺動スイッチにおいて、
前記運動方向変換連結部は、前記スライド部材の前記一対の操作体と係合している間の位置にあり、前記操作つまみまたはスライド部材の何れか一方に設けたスライド軸と、何れか他方に設けられ前記スライド軸を係合する軸係合溝とを具備することによって、前記操作つまみの揺動によって前記スライド軸を軸係合溝内において相対的に回動させながら直線方向に移動する構成であることを特徴とする揺動スイッチ。
【請求項3】
請求項2に記載の揺動スイッチにおいて、
前記各操作体は揺動軸を中心に揺動自在で且つ揺動軸自体が上下動可能にケース内に設置され、かつ弾発手段によってその当接部方向に向けて弾発されており、
一方前記スライド部材には、前記各操作体を挿入することで係合する操作体挿入部が設けられていることを特徴とする揺動スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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